機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
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Template:Infobox Film 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(きどうせんしガンダム ぎゃくしゅうのシャア、MOBILE SUIT GUNDAM Char's Counter Attack)は、1988年3月に松竹系で劇場公開されたガンダムシリーズのアニメ映画。宇宙世紀(UC)の2人の主人公、アムロ・レイとシャア・アズナブルの最後の対決を描いている。ファンの間では「逆シャア」や英題の頭文字を取り「CCA」などと略されることもある。
ガンダムシリーズのアニメ映画としては初めてテレビアニメの再編集ではない完全新作として制作され、主題歌にTM NETWORKを起用した事も話題となった。なお、サンライズアニメーション作品企画部が用いる共同ペンネーム「矢立肇」のクレジットは使用されていない。監督は富野由悠季。配給収入6億2千万円、観客動員数103万人。DVDは30万枚出荷<ref>月刊ascii2008年5月号</ref>。
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物語
宇宙世紀0093年。かつてジオン公国軍のエース・パイロットであり、ジオン共和国創始者ジオン・ズム・ダイクンの息子であるシャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)は幾多の戦いを経て人類に対する失望を強め、その腐敗の根源たる地球連邦政府に対しネオ・ジオンを率いて反乱の狼煙を上げた。彼は地球環境を汚染し続けるアースノイドを粛清するため、小惑星5thルナの落下による地球寒冷化を実施する。
かつての一年戦争の英雄で元ホワイトベース艦長ブライト・ノアを中心に構成する連邦軍独立部隊ロンド・ベルは、いち早くネオ・ジオンの動向を察知し、地球寒冷化作戦を阻止すべく応戦した。しかし、シャアの最大のライバルであった連邦きってのエース・パイロット、アムロ・レイらの奮闘虚しく、5thルナはラサにある地球連邦軍総司令部に落下してしまう。
ネオ・ジオンはアデナウアー・パラヤを始めとする地球政府高官と密かに裏取引を行い、スペースコロニー・ロンデニオンにて停戦交渉に合意する。停戦に安堵する地球連邦の思惑と裏腹に、シャアは取引によって得た小惑星アクシズを地球に衝突させるべく再び作戦を開始した。そんな時、アムロとシャアは幾度目かの再会を果たし、決定的に決裂するのだった。
合意が偽りである事を察していたロンド・ベルは核ミサイルなどを準備、やがてネオ・ジオンとロンド・ベルとの間で戦端が開かれる。アムロは自ら開発に加わった新型モビルスーツν(ニュー)ガンダムを操り、ネオ・ジオンのエースを相手にしながらアクシズを目指す。一方、アクシズを内部から爆破して軌道を逸らすロンド・ベルの作戦は成功するかに見えたが、アクシズの一部は既に地球の引力に捉われていた。
壮絶な一騎打ちの末にシャアを下したアムロは、自分の命に代えてもアクシズ落下を阻止する決意を固める。
作品解説
この作品の舞台は『機動戦士ガンダム』から続いてきた宇宙世紀という歴史の延長線上にあり、一年戦争があった宇宙世紀0079年から14年後、宇宙世紀0093年の第二次ネオ・ジオン抗争<ref>「第二次ネオ・ジオン戦争」「シャアの反乱」と表記している資料もある。</ref>を描いた作品である。一連のシリーズで因縁のライバル同士であったアムロとシャアの戦いに一応のピリオドが打たれ、劇場版『機動戦士ガンダム』シリーズの事実上の完結編とされている。
キャラクターデザインと作画監督には『機動戦士ガンダムΖΖ』に引き続いて北爪宏幸を起用している。
『機動戦士Ζガンダム』で可変機構が組み入れられ、『機動戦士ガンダムΖΖ』では巨大化・大出力化が進んできたモビルスーツであるが、本作品ではシンプルな人型の機体が中心となっている。サイコミュ回路を金属粒子に封じ込めて機体のフレームに使うサイコフレームが登場し、ファンネルが、初めて主役機のνガンダムにも装備された。
メカニックデザインは、主役のνガンダムについてはΖガンダム、ΖΖガンダムと同様にコンペ形式で多数のデザイナーが参加、その中で鈴木雅久らが中心になって数多くのラフデザインを提出し、最終的に出渕裕がまとめている<ref>ジェガンのみ佐山義則がクリンナップを担当している。</ref>。ネオ・ジオン軍MSは出渕裕がデザインしている。その他、戦艦のデザインをガイナックスが担当している(ネオ・ジオン軍艦艇は庵野秀明、ロンド・ベル艦艇は増尾昭一)<ref>ガイナックスは他のガンダムシリーズでは後に『機動戦士Vガンダム』『機動武闘伝Gガンダム』の作画、『劇場版Ζガンダム』の動画も担当している。</ref>。
スペースコロニーのサイド1・ロンデニオンとスウィートウォーターの描写などで当時としては珍しいCG技術も使われた。このうちロンデニオンの映像はのちに『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のラストカットで登場するサイド6・リボーの映像としても流用された。
登場人物
地球連邦軍(ロンド・ベル)
- アムロ・レイ
- 声:古谷徹
- ロンド・ベルのモビルスーツ隊隊長、階級は大尉。リ・ガズィやνガンダムを駆り、一年戦争以来の宿敵・シャアとの決着をつけるべくネオ・ジオンとの戦いに挑む。『ハイ・ストリーマー』では、当初ラー・ザイムに配置されジェダを愛機としていたが、物語の途中でラー・カイラムに転属となった。
- ブライト・ノア
- 声:鈴置洋孝
- ロンド・ベル旗艦ラー・カイラム艦長兼部隊司令にして大佐。一年戦争を通じて戦友となったアムロと共にシャア率いるネオ・ジオンと戦う。
- Template:Visible anchor (Chan Agi)
- 声:弥生みつき(『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』以降のゲーム作品:折笠富美子)
- ロンド・ベル所属の技術士官で階級は准尉。νガンダムの開発をサポートするため、アナハイム・エレクトロニクス社へ出向する。メカニックマンのほかに、ラー・カイラムの砲座の機銃でレズンのギラ・ドーガを撃墜したり、ある程度のMSの操縦をするなど行動的な女性ではあるが、朴訥な面もある。また、アムロとは恋人関係にもあり、公私にわたってサポートする。同じくアムロに惹かれていたクェスにとっては嫌な女に映っていたようで、彼女がネオ・ジオンへと走る要因を作ってしまう。サイコフレームのサンプルを携帯していた過程で、ニュータイプとしての素養に次第に開花していく。
- なお、本来はアムロの恋人役は『機動戦士Ζガンダム』同様ベルトーチカ・イルマになる予定だったが、映画スタッフの意見により彼女の登場となった経緯がある。小説作品の一つ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』では、恋人役はベルトーチカのため、メカニック兼νガンダム開発スタッフにすぎず死亡しない。
- Template:Visible anchor (Kayra Su)
- 声:安達忍
- ロンド・ベル隊の女性モビルスーツパイロット。階級は中尉。アムロ指揮下のモビルスーツ隊で先鋒をつとめていた。戦闘での勇敢さと優しさを持ち合わせた女性で、チーフメカニックであるアストナージと恋人同士であった。アムロがνガンダムに搭乗してからは、リ・ガズィを譲り受けた。
- アストナージ・メドッソ
- 声:広森信吾(現:拡森信吾)
- 『機動戦士Zガンダム』で登場して以来、ブライトが艦長を務める艦に主要メカニックマンとして搭乗している。本作ではラー・カイラムのMSの整備を行っており、MSパイロットを陰で支える縁の下の力持ち的存在。モビルスーツパイロットのケーラ・スゥとは恋人同士である。
- アンナ・ハナン
- 声:丸尾知子
- アストナージの同僚。『Ζガンダム』、『ガンダムΖΖ』に引き続き登場。
ネオ・ジオン
- シャア・アズナブル
- 声:池田秀一
- 新生ネオ・ジオンの総帥であり階級は大佐。『Ζガンダム』におけるグリプス戦役終盤で行方不明となったが、本作では新生ネオ・ジオンの総帥として再び歴史の表舞台に登場。少数精鋭による新生ネオ・ジオン軍を結成して連邦政府に宣戦布告を行う。アムロと最後の決着をつけるべく、ファンネル搭載MS・サザビーを駆る。
- ナナイ・ミゲル
- 声:榊原良子
- ネオ・ジオンのニュータイプ研究所所長にして戦術士官。階級は大尉。軍事では参謀として、私的な場では恋人として、シャアを公私にわたってサポートする。彼が連れてきたクェスとは折り合いが悪く、何かとその相手をするシャアに苛立ちを見せることも。
- クェス・パラヤ(クェス・エア)
- 声:川村万梨阿(角川カセット文庫版:荘真由美)
- 天真爛漫な少女。父は地球連邦軍高官アデナウアー・パラヤ。エア姓はそれを隠すためにシャアがつけた偽名である。インドで不法居住者の若者たちと付き合い、何らかの精神修養をしていた。アムロやハサウェイと出会い、アムロに惹かれていくが、彼らと訪れたロンデニオンでシャアと出会いネオ・ジオン側に身を投じる。
- Template:Visible anchor (Gyunei Guss)
- 声:山寺宏一
- ナナイが所長を務めるニュータイプ研究所出身の強化人間で階級は准尉。ヤクト・ドーガのパイロットであり、ロンデニオンではシャアの護衛を務め、ホビー・ハイザックでシャアの送迎を行った。
- 強化人間では珍しく精神的に安定している点が大きな特徴で、むしろ歳相応の健康な若者に多く見られがちな血の気の多さの方が目に付く人物である。ただし、これは度重なる強化、調整の結果であり、以前はそうではなかったらしい。劇中では過度な強化に懸念がされている。
- クェスに当初は迷惑していたものの、ヤクト・ドーガの試験飛行でファンネルを上手く使う等の要素から本物のニュータイプとして認め、惹かれはじめていく。しかし、クェスはシャアに興味を持ち、ギュネイのアプローチに全く応えなかった。
- 戦闘では、核ミサイルを全部撃ち落とす活躍も見せたが、アムロとの交戦で被弾し、戦死した。
- Template:Visible anchor (Rezin Schnyder)
- 声:伊倉一恵
- 新生ネオ・ジオンのモビルスーツ隊長で階級は少尉。青いカスタムカラーのギラ・ドーガを駆り、戦場に入れば好き勝手にやっていた。また、強化人間やニュータイプといった類を一切信用していない。カッとなり易く、クェスの挑発にスパナを投げたりもしていた。シャアの陽動作戦に参加した際、サイコフレームを抱えるチェーンのラー・カイラムの機銃を受け死亡する。
- カイザス・M・バイヤー
- 声:村松康雄
- 文官。シャアの政治・外交面の補佐役。ギュネイの強化の程度を懸念している。
- ホルスト・ハーネス
- 声:池田勝
- 文官。カイザスと共に政治・外交面の補佐役。連邦軍からのアクシズ買収の交渉にあたる。
- ライル
- 声:曽我部和恭(『ギレンの野望 アクシズの脅威』:斉藤次郎)
- レウルーラの艦長。階級は中佐。
- グラーブ・ガス
- 声:松本保典(角川カセット文庫版)
- 小説版『ベルトーチカ・チルドレン』でギュネイとほぼ同じ役回りで登場している。乗機はサイコ・ギラ・ドーガ(作中では「サイコ・ドーガ」と表記)。ベルトーチカの乗ったリ・ガズィと戦い、ベルトーチカの子の声を感じ取り動揺した所をグレネード(カセット文庫版ではミサイル)で撃墜される。
地球連邦政府
- アデナウアー・パラヤ
- 声:嶋俊介(『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』:中多和宏)
- クェスの父親。ロンド・ベルを無視してネオ・ジオンとの和平交渉を進める。
- カムラン・ブルーム
- 声:村山明
- ミライ・ヤシマの元恋人でありブライトのかつての恋敵。シャアの思惑を見抜き、「ミライには生きていてほしい」との思いから、禁を犯して核弾頭15基をブライトに託す。
- ジョン・バウアー
- 本編では冒頭で名前が挙がるのみ。ミライ等のために宇宙行きの航空券を取っていた。またアデナウアーにもなんらかの貸しを作っていたらしい。
その他
- ハサウェイ・ノア
- 声:佐々木望
- ブライトの息子で、息子の成長を期したミライによって宇宙に送り出される。ブライトと再会した後、クェス・パラヤと出会い行動を共にしていくうちに、彼女に好意を抱く。クェス・パラヤがネオ・ジオンに付き出撃していることを知り無断でモビルスーツで出撃する。
- ミライ・ノア(ミライ・ヤシマ)
- 声:白石冬美
- ブライトの妻。本作ではシャアの地球寒冷化作戦を受け、子供達と共に宇宙に上ろうとする場面で登場。ハサウェイをシャトルで送り出す。
- チェーミン・ノア
- 声:荘真由美
- ブライトとミライの娘で、ハサウェイの妹。
- オクトバー・サラン
- 声:牛山茂
- アナハイム・エレクトロニクスの重役。サイコフレームの出所をチェーンに知らせる。
- ララァ・スン
- 声:潘恵子
- 一年戦争当時、シャアにニュータイプの資質を見出され、ジオン軍に在籍していた少女。当時ガンダムのパイロットだったアムロとの交戦中に彼と意識を共鳴させるも、割って入ったシャアを庇い戦死。彼女の死は、アムロとシャアにとって深い遺恨となっていた。その後何度かアムロやシャアの心の中に出てくる。
ハイ・ストリーマーのみに登場する人物
地球連邦軍
- マシアス・テスタ
- ラー・ザイムの艦長。アムロにはパイロットのみならず、宇宙港への入港事務、捕虜の尋問、エグムの潜入捜査を命じる。物語途中でラー・ザイムごとロンド・ベルからルナ・ツーに転属となる。アムロからは「素人」と低く評価されている。
- カニンガム・ショー
- ラー・ザイムのモビルスーツ隊パイロット。ジェダ五番機を駆りアムロのパートナーとして捕虜の尋問や潜入操作もこなす。アムロに恋をしている。
- ジョー・セイ
- ラー・ザイムのジェダ四番機パイロット。悩み事の無さそうな楽天家。
- オルヤン・ブルムクイフト
- ラー・ザイムのジェダ六番機パイロット。
- メステマー・ディロン
- ラー・ザイムの士官。中尉。アリョーナ・ペイジを尋問する。
- ベッグルマン・オファー
- ラー・ザイムのメカニックチーフ。徹夜でモビルスーツの整備にいそしむ真面目で実直なメカマンだが、アムロからは低く評価されている。
- キメロン
- ラー・ザイムの副長
- コンケスト
- ラー・カイラムのパイロット。中尉。戦争を当然と考えるアムロに反発して、戦闘忌避を主張するが、アムロの強引さに押し切られる。
エグム
- ゼダ・マンディラ
- 市民運動のエグムを隠れ蓑にネオ・ジオンとしてのゲリラ活動をしている。シャアをシャア・ダイクンと呼んで崇拝している。カブール・ベルグソン2式を駆り、アムロを追いつめる。
- キャシー・カザリック
- アリョーナ・ペイジが住むアパートの管理人。ポーランド出身の宇宙移民一世。興信所の探偵に変装したアムロにエグムとの連絡先を教える。
- アンクル・サムの主人
- エグムの支持者が集まるバー「アンクル・サム」の主人。変装したアムロにゼダ・マンディラを紹介する。
- アリョーナ・ペィジ
- エグムのゲリラ。アムロに尾行されてエグムの拠点を暴かれたことで仲間からリンチを受ける。エグムの暴力的活動に愛想を尽かしラー・ザイムに潜入して逃亡をはかる。アムロを保証人としてロンデニオンに移住しアムロと一夜を明かす。愛してくれると言う約束を残したまま帰ってこないアムロの冷たさに涙を止められずにいる。
- アマランとクラーク
- ザクに酷似したモビルスーツのパイロットたち。エグムの運動家でネオ・ジオンの活動員。
登場機体
- 地球連邦軍
- ネオ・ジオン軍
ハイ・ストリーマーにのみ登場する機体
- 地球連邦軍
- リ・ガズィ - Zガンダムのフレームをコピーしてメガ粒子砲のエンジン・コアをランドセル状に背負わせたもの。アムロがラー・カイラムの艦内で製作した改造機。アムロの思い入れとは裏腹にブライトやチェーンの評価は低い。
- ジェダ - ニュータイプを警戒する地球連邦軍によってアムロの部隊に配備された"普通のモビルスーツ"。ブライトによれば「ジェガンはジェダと同じようなもの」。アムロが操るとビームライフルをショットガンのように操作出来る。
- エグム
- カブール・ベルグソン2式 - ゼダ・マンディラが乗る黒いゲリラ戦用モビルスーツ。
- ザクに酷似した機体 - 民間用のホビーのザクを改造したもの。
スタッフ
- 企画:山浦栄二
- 製作:伊藤昌典
- 総監督・脚本:富野由悠季
- 原案:矢立肇/原作:富野由悠季
- キャラクターデザイン:北爪宏幸
- モビルスーツデザイン:出渕裕
- メカニカルデザイン:ガイナックス、佐山善則
- デザイン協力:大畑晃一
- 作画監督:稲野義信、北爪宏幸、山田きさらか、大森英敏、小田川幹雄、仙波隆綱
- 作画監督補:恩田尚之、中沢数宣、重田亜津史、小林利充
- 音楽:三枝成章
- 撮影:古林一太、奥井敦
- 美術:池田繁美
- 編集:布施由美子
- 演出補:川瀬敏文、高松信司
- プロデューサー:内田健二
- 原画 :小林利充 梅津泰臣 吉田徹 所ともかず 上野けん 菅沼栄治 千明孝一 内田順久 大平晋也 川元利浩 木下ゆうき 北久保弘之 他
主題歌
- 主題歌「BEYOND THE TIME 〜メビウスの宇宙を越えて〜」
- 作詞:小室みつ子 作曲・編曲:小室哲哉 唄:TM NETWORK (EPIC・ソニー)
補足
- 本作公開直前に、特別番組が放送された。この特番には、監督の富野由悠季の他、アムロ役の古谷徹、シャア役の池田秀一、クェス役の川村万梨阿に加え、シャアのファンである富田靖子が出演し、番組内で彼女が富野から本作でシャアが着用しているネオ・ジオンの制服をプレゼントされたことが、本作のパンフレットに写真入りで記事として記載された。また、富野は番組の最後で「この作品は35歳以上の方に、特に男性の方に見てもらいたい」と視聴者に向けたメッセージを送っていた。
- 『逆襲のシャア』というタイトルは、1984年頃に『機動戦士ガンダム』の続編小説企画のタイトルとして一般に告知されたものであった。だが翌年に『機動戦士Ζガンダム』製作が決定した事で、同企画も番組の小説版として『機動戦士Ζガンダム』に改題されたという経緯がある。また、小説『ガイア・ギア』の連載前予告タイトルは『機動戦士ガイア・ギア 逆襲のシャア』であった(連載後は変更されている)。
- 公開時のキャッチコピーは「宇宙世紀0093 君はいま、終局の涙を見る…」。
関連作品
小説
総監督の富野由悠季による小説が、2作刊行されている。
ハイ・ストリーマー
- 徳間書店刊 『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』
- アムロ編 ISBN 978-4-19-905125-8
- クェス編 ISBN 978-4-19-905129-6
- シャア編 ISBN 978-4-19-905130-2
アニメ雑誌『アニメージュ』に『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』として連載されたもの。ただし、連載されたものは映画版の前日談となっており(アムロがスウィート・ウォーターに潜入調査をしているシーンやνガンダム設計会議、シャアとの再会、クェスの地上での修行の描写などが描かれている)、フィフス・ルナでの戦闘からは文庫の書下ろしで、ほぼ劇場版に沿ったストーリーになっている(但し連載最終話のチャプターLは文庫の方で先に発表された)。
表紙や挿絵を担当したのはSF漫画家の星野之宣。従来のデザインや劇場版と比べると、大胆な独自の解釈によるデザインとなっていた。
アニメージュ文庫で刊行される際に劇場版と同じく『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』という題名に変更された。
2002年10月より『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』に題名を戻され、徳間デュアル文庫から再版された。こちらの挿絵は久織ちまきだが、アニメージュ文庫版に収録された星野之宣によるイラストも巻末に再録されている。
また、2009年にはアニメージュ文庫版も再び刊行された。
ベルトーチカ・チルドレン
角川書店刊 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』 ISBN 978-4-04-410109-1
当初書き上げた映画シナリオの第1稿は、内部での審査時に「アニメーション映画の主人公が妻子持ちになるのはどうか?」という批判を受けて改訂が行われた。本来は発表されない第1稿であるが、モチーフ小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』として角川スニーカー文庫より刊行されている。本書の後書きには「ロボットアニメのストーリーの結末が、ロボットの否定であってはならない」というスポンサーからの抗議によって、結末のディテールが変更される等、映画化における顛末の一部が記述されている。本書においては、ストーリーの大筋は映画版の展開をなぞるものの、一部の設定や登場キャラクターの変更等、よりシナリオ第1稿に近い構成が採られている。特にテレビシリーズ『機動戦士Zガンダム』の続編である事が、より明確に伝わる内容となっている。内容的にも、クェス・パラヤがハサウェイ本人の誤射により死亡するなど、ストーリーに重大な影響を及ぼす変更があり、後の小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、こちらの作品の歴史を引き継ぐものとなっている。
ベルトーチカ・チルドレンの口絵は出渕裕による描き下ろしだが、νガンダムのデザインにアレンジが施されており、後に「Hi-νガンダム」と呼ばれゲームに登場したり、模型化されるなど独自の人気を得た。またサザビーに代わるシャア専用MSナイチンゲールが登場し、こちらも人気を得ている。
なお角川書店が一時期展開した角川カセット文庫には本作のサウンドドラマ版がラインナップされた。ベルトーチカが登場するためクェスの声が川村万梨阿から荘真由美に変更されているなどキャスティングが一部変更されている他、音楽も増田俊郎の手によってこのカセット文庫版用に書き下ろされたものが使用されている。
漫画
2種類の漫画版がコミックボンボンに掲載されている。
- 劇場公開後の1988年4月及び5月に前後編で掲載。単行本としては1999年に大都社が復刻版として発売した漫画版『機動戦士ガンダムΖΖ』の単行本2巻に併録されたのが唯一。映画とは異なりハサウェイは連邦のパイロット候補生として最初からラー・カイラムに乗艦しているためクェスとの関わりは全く無く、他にもリ・ガズィ、αアジールが登場しない等、ストーリーに幾つか差異が見られる。
- 1998年10月から1999年2月まで連載、1999年3月に単行本化。こちらの作品は映画とほぼ同様のストーリーとなっている。
派生作品
- 『GUNDAM EVOLVE 5 RX-93 ν GUNDAM』
短編映像作品『GUNDAM EVOLVE 5』では、CGとセル画を合わせる手法によりリデザインされたνガンダムとα・アジールの戦いが、映画や小説とは違う展開で描かれている。本作は1から4までと合わせて『GUNDAM EVOLVE +』としてDVD化された。
ちなみにこの『EVOLVE5』は、複数製作された同シリーズにおいて、唯一ガンダムの生みの親である富野がストーリーを製作した作品である。劇場版や小説版の続編『閃光のハサウェイ』とは異なり、クェスとハサウェイの結末がポジティブな物へと転化されている。
- 勁文社刊 『機動戦士ガンダム シャアの帰還 ―逆襲のシャア外伝―』
1988年4月に発行されたゲームブック。スタジオ・ハード編集、草野直樹、日高誠之構成・文。
本作の時代設定から3年前の宇宙世紀0090年が舞台。主人公であるシャア・アズナブルとなって、ジオン残党ダンジダン・ポジドン少将の協力の下、新生ネオ・ジオンの組織作りの経緯を描いた内容となっている。なお、ネェル・アーガマを率いるブライトやナナイ、ギュネイなど本作の人物も登場する。
ゲーム
- 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
1998年12月にバンダイより発売されたPS用ゲームソフト。背面視点の3Dシューティングゲーム。逆襲のシャアを中心に一年戦争でのアムロとシャアの対決を織り交ぜた内容。本作用に制作されたアニメーションパートも収録されている。なお、2001年7月に廉価版である「BANDAI THE BEST」が発売された。
『スーパーロボット大戦シリーズ』においては、アニメ『機動戦士ガンダム』よりも本作を登場させることが多い。逆にシャアは味方として登場する時は、グリプス戦役時の偽名である「クワトロ・バジーナ」を名乗っているため、本作の姿で登場することはアムロらに比べると少ない(『スーパーロボット大戦D』のみ「ネオ・ジオン軍総帥シャア・アズナブル」として仲間になる)。また、『Another Century's Episode』シリーズでも本作のMSやキャラクターなどが登場。ちなみにクェスは最初からネオ・ジオンに参加している設定となっている。
『SUNRISE WORLD WAR Fromサンライズ英雄譚』では、ゲーム中でも原作と同様の展開になるものの、ケーラ、チェーン、クェス、ギュネイ、レズンは死亡しない。また、第1話の中盤まで原作の開始前のストーリーが描写された。
『ギレンの野望』シリーズでは、連邦、ネオ・ジオンを自分で戦略を立てていくので原作とは違う終わり方ができる。
脚注
関連項目
外部リンク
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