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{{Wiktionary|左右}} '''左右''' * '''さゆう''' [[方向軸]]([[方位|六方]])の一つ。本稿で示す。 * '''そう''' [[日本]]における[[地名]]。 ** [[高知県]][[南国市]][[左右山]]。 ** [[福井県]][[丹生郡]][[越前町]][[左右 (越前町)]]。 ** [[徳島県]][[名西郡]][[神山町]]を流れる[[吉野川]][[水系]]の[[河川]]。→[[左右山谷川]]。 ---- '''左右'''(さゆう、ひだりみぎ)とは、[[六]][[方位]](六方)の名称の一つで、横・幅を指す方位の総称。この内、アナログ[[時計]]で、7 から 11 までの文字盤がある方向を'''左'''(ひだり)、1 から 5 までの文字盤がある方向を'''右'''(みぎ)という。 南を向いたとき西にあたる方を右という。 観測者にとって、[[上下]](高さ)と[[前後]]([[縦]])の方向が定まった時に、左右([[横]])の方向が決まる。前後、上下とは直角に交差し、左と右は互いに正反対である。 日常的には、方向としての左と右を意味するが、次の項目のようにその他の場面においても様々な意味に用いられる。また、日本語では、左右が物事の善悪や成否の意味で用いられる例があり、「日本の将来を左右する」「運命を左右する」などに例が見られるが、この左と右とのどちらが肯定的か否定的かは問題とはされない。 人間にとって、上下は[[重力]]の方向を、前後は自己の進行方向を示すというようにはっきりと異なる意味を持つのに対して、左右にはこのような価値の差が判然とは存在しないために、混乱が生じやすい。 == 左右の定義 == [[Image:Wikipe-tan Birthday-mirror.jpg|200px|]][[Image:Wikipe-tan Birthday.png|200px|]]<br/> '''右'''、'''左'''は[[幾何学]]的に定義できない。互いに直角に交わる3つの軸が、それぞれ前後の軸、上下の軸、左右の軸となる。[[前後|前]](または[[前後|後]])および[[上下|上]](または[[上下|下]])が定まったときに残る方が左右の軸であるが、どちらが右でどちらが左であるかは右と左をそれぞれ'''図で示す'''ことでしか説明できない。 それが一般的通念として世界共通に利用できるのは、ヒトの体がほぼ左右相称であるが、[[心臓]]の位置や[[利き手]]などの非相称性が共通に存在するためである(「どっちだっけ?」「お箸を持つ方だよ」というよくあるやり取りがそれを示している)。それが利用できない条件では左右はほとんど確定できない。たとえば上記の[[Wikipedia:ウィキペたん|ウィキペたん]]のどちらが[[鏡像]]なのかは絵だけでは判断不可能である。 より基本的な自然現象の範囲では、ほとんどの現象は左右対称性が見られる。つまりほとんどの場合、[[鏡]]に映った像と実際の姿を区別することはできない。ところが、いくつかの重要な事例において、左右が対称でない場合、あるいは左右対称であっても同一でないと見なさねばならない場合があり、その際の方向を指示するためにも左右は使用される。 == 幾何学的立場 == たとえばすべての辺の長さの異なる不等辺三角形は[[三角形]]の頂点ABCを右回りに振った場合と左回りに振った場合の二通りが書け、両者は同一平面上ではどのようにしても重ね合わすことができない。しかし、[[ユークリッド幾何学]]では三辺の長さが等しい三角形は[[合同]]であるとして、幾何学的にはこの二つを区別しない。 このように、平面図形では形としては同じでも、平面上ではどのように移動しても絶対に重ね合わせられない形が存在し、それはいわゆる鏡像である。ただし、我々の空間の中ではこのような図形は持ち上げて引っ繰り返せば重ね合わせられるので、これらを合同と見なす。それに対して、空間図形の場合、我々の空間の中ではこれを引っ繰り返すことはできないから、絶対に重ね合わせられず、これらを区別せざるを得ない。それに対する名に右と左を使う場合もある。これについては[[鏡像]]の項目も参照のこと。 == 自然現象に於ける左右 == 前述のように、自然現象のほとんどは左右対称に現れる。しかしながら、若干の、しかし重要な左右不相称の現象が存在する。代表的なのは以下のようなものである。 # [[電流]]によって生じる[[磁場]]の向きは右ねじの方向である。これを[[右ねじの法則]]と言う。 # 電流の流れる向きを前、[[磁力線]]の向きを上とした場合、[[力]]は右に向かって働く。[[フレミングの法則]]などを参照。 # [[素粒子]]の世界で働く[[弱い相互作用]](例:[[原子核]]の[[ベータ崩壊]])では、左右の対称性が破れている。これを[[パリティ対称性の破れ]]という。 # 左右不対称な[[分子]]は[[キラリティー|キラル]]であるという。キラルな分子の鏡像体同士は[[物性]]、[[化学反応]]性がほぼ一致しマクロな方法での分離が困難である。これを実現するのが[[不斉合成]]である。これらを区別する名称として、かつては右旋性・左旋性という語も使われた。[[光学異性体]]・[[旋光]]を参照。 # なお、この例は、[[生物学]]においても重要である。というのは、生物において最も重要な物質と言ってよい[[タンパク質]]の構成単位である[[アミノ酸]]がこの性質をもつからである。実際の生物の場合、利用されるアミノ酸はL 型(左旋性)に限られており、D型(右旋性)を利用することはできない。なぜ生物がL 型しか利用しないかの理由は不明であり、むしろ、[[生命の起源]]に関する理論がこれを説明することを求められる。 # 生物の発生においては、左右の形態の差異を生じるのに[[レフティ]]遺伝子が関与していることが示されているが、詳細は未だ解明されていない。 # [[台風]]や[[サイクロン]]、[[ハリケーン]]など[[熱帯低気圧]]の渦の回転方向は[[北半球]]で発生したものと[[南半球]]で発生したもので逆である(北半球では反時計回り)。これは[[コリオリの力]]による(ただし、発生後に赤道を越える進路を取る場合があるので、北半球の熱帯低気圧はすべて左回り、あるいはその逆というのは誤り)。 左右の区別を純粋に論理的に区別することの困難さについては、後述の[[#左右の定義は伝達できるか?|左右の定義は伝達できるか?]]も参照されたい。 == 左右の決め方 == 左右の区別は人間の体を元に決めればよいが、それだけでは決定できない場合がある。 === 向かって === たとえば人間が向き合った状態では、自分の右手側は相手の左手側になる。相手が人間の場合は、相手の側に立った方向を指示するのが普通だが、物が相手ではそうでもない。その場合、自分の側に立った方向で左右を決める。この決め方を'''向かって'''という。向かって右側、などと言う。たとえば[[オーディオ]]に於ける[[スピーカ]]の位置はこれで表示する。 === 左回りと右回り === 平面上の回転については[[時計]]の文字盤に合わせて表現することがある。時計の文字盤は慣習的に(立てた状態で)上に12を、そこから向かって右下に向けて1、2、3と数字を振ってあり、時計の針はこれを追う方向で回る。そこで時計の針と同じ方向の回転を右回りまたは[[時計回り]]と呼び、その逆を左回りまたは反時計回りと呼ぶ。 ただし時計にはこの反対向きになっている例もある。 === 螺旋の場合 === [[螺旋]]が平面上にある場合にはひっくり返せば鏡像が得られるから両者を区別しない。しかし、立体的になっている場合、たとえば[[つる植物]]や[[巻き貝]]、[[バネ]]や[[ねじ]]などでは右巻きと左巻きを区別しなければならない。ただし、その方向の決め方についてはやや混乱があり、分野によっても異なる。右手を軽く握り、親指を立てたときに四本の指先方向に回すと親指側にねじ込めるものを右ねじという。これについては[[右巻き、左巻き]]を参照。 === 地上での左右の定義 === * [[地]]を下、[[北]]を前とした時、[[東]]の方向が右、[[西]]の方向が左となる。 ** [[京都市|京都]]など[[条坊制]]の都市では、右京・左京がこの反対となっているが、これは[[天子]]は南面するという慣例のため、天子から見た左右である。 * 川の両側の名は、川の流れる方を向いた形で決める。川下に向かって川を見た時、左側の岸を左岸、右側の岸を右岸と呼ぶ。ただし、[[地名]]としては逆に使われている例もある([[川#川の用語]]参照)。 == 身体に関する左右 == 人体に見られる左右の不対称性は、我々が左右を区別する必要を感じる基礎である。直接にその体で操作する機械や、体を用いるスポーツにおける左右の違いはこれに基づく。 === 利き手 === 人間には一般的に日常生活において、左右いずれかの手のほうが器用に動かしやすいことから、これを[[利き手]]として用いることが多い。それぞれ右利き・[[左利き]]と呼ばれ、世界的にみて右利きの人間が多数だがその理由ははっきりとわかっていない。 === 左足と右足 === 足にも手と同様に利き足が存在する。利き手のように目立つことはないが、利き足の方がそうでない足より蹴る力が強い。 そのため、砂漠などの広い土地で目印を定めず直進しようとすると、直進することができず、利き足とは逆回り(右利きの場合左回り)の巨大な円を描いてしまうことがある([[リングワンダリング]])。 * [[運動生理学]] === 内臓の位置 === 生物の内臓は、左右に非対称性が見られ、例えば人間の場合、通常は自分から見て、[[肺]]は左右にあるが右側の方が大きい。また[[肝臓]]は右側に大きく偏り、[[胃]]は左、[[盲腸]]は右、ついでに腸の配置は対称性がない。この状態は「正位」と呼ばれる。しかし、稀には臓器が左右逆の位置にある者もあり、これは「逆位」と呼ばれている。全て逆の人もいれば特定の臓器のみ逆転している人もいる。 * [[全臓器反転症]] === 脳と左右 === [[動物]]の[[脳]]はほぼ左右対称な形状をしており、[[大脳]]および[[小脳]]は左右の半球に分かれて存在している。大脳は反対側の半身の、小脳は同じ側の半身の[[運動]]・[[感覚]]を担当しているが、それぞれの半球の役割は同等ではない([[脳機能局在論#左右半球|脳機能局在論]])。その差は特に大脳で著しく、優位半球と呼ばれる側の大脳が論理思考、[[言語]]など主要な精神機能を司る。逆の劣位半球と呼ばれる側は空間認識に関わっているなどが明らかになっているが、まだ十分に解明されてはいない。また、両側大脳にあって[[短期記憶]]を司る[[海馬]]も優位側は言語的記憶、劣位側は非言語的記憶に関わることが知られる。右利きの人間のほとんど(約95%)で優位半球は左、劣位半球は右である。左利きの人間の場合にはあまり一定していないうえ、優位半球と劣位半球の区別が明確になっていないことも多い。 === ヒト以外の生物 === 生物一般の場合も、たいていはヒトと同じで、ほぼ左右対称ながら、一部に不対称が見られる。全く左右対称でないのが植物の場合で、葉序や枝葉は螺旋であったり交互であったりという状況である。ただし葉一枚や花などについては対称性が見られる。その点は藻類や菌類も植物とほぼ同じである。 動物では個体としては左右対称性が見られるものがほとんどである。たいていの場合、外部形態においても内部形態においても左右相称なのが基本である。ヒトの場合の主な不対称は心臓と肝臓の位置、及び消化管の配置である。しかし、これらも本来は左右対称な形である。心臓もその発生からは体の中央にあるべきものである。消化管も口から肛門までの長さであれば真っすぐに配置するはずで、他の動物群においても体長より長い消化管を持つ場合、その配置は不対称である例が多い。 大抵の器官は中央に一つ生じるか左右に対をなす。左右どちらかが退化することで左右不対称となる例もある。たとえば[[オタマジャクシ]]の内鰓の出入り口は左側だけにある。 よりはっきりした不対称が見られるものもある。たとえばヒラメやカレイでは体側面を下にし、反対側に両眼が移動している。他の魚の鱗を食ういわゆるスケールイーターでは獲物をねらう向きによって顔が歪んでいる種がある。化石動物の[[ホマロゾア]]は体が全体に左右不対称となっていた。 ==== 軟体動物の場合 ==== さらに左右不対称がある例に[[軟体動物]]の[[腹足類]]がある。この類では、殻が螺旋状に巻いているので、左右が不対称になっている。それだけでなく、その進化の初期に体がねじれたと言われており、内臓や神経系の配置に独特のねじれが見られる。なお、そのねじれが戻ったと見られるものもある。 また、これらの動物では殻の巻き方に左右両側のものがあり、それぞれ群によっておおよそ決まっているほかに、その中でも種によって異なっている。たとえば陸産貝類では[[カタツムリ]]は右巻きで、[[キセルガイ]]は左巻きである。そしてカタツムリ類にも左巻きの種が散見される。 この巻き方の差異は[[生殖隔離]]の仕組みとしても働いている。カタツムリ類の生殖器は体の片方によっており、二頭が行き違う形で交尾が行われるが、巻きが逆のものでは生殖器のある側が反対になるため、交尾が成立しない。このことから、巻きが反対になる[[突然変異]]が起きれば、それが種分化の機会になる可能性も指摘される。なお、巻き貝全般では同種内で両方の巻き方がある種もある。 == 道具・機械に関する左右 == 道具や機械によっては、急須などのように右利き専用に作られているものも多い。これについては[[利き手]]を参照されたい。 一方、冷蔵庫では、1989年から左右どちらからでも開くタイプのものが発売されている。 == スポーツにおける左右 == {{Main2|球技や格闘技における利き手による有利不利|サウスポー}} === 各種レース === 陸上の[[陸上競技|トラック]]競技は、左回りで行われる。これは利き足が右である人間が多く、その場合右足の方が左足と比べて地面を蹴る力が強いので、左回りの方が速く走れるためである。競馬のレースは、左回りのものと右回りのものの双方がある。 == 政治的・思想的立場と左右 == 物理的な方向とは別に、'''右'''と'''左'''は政治的・思想的な立場を表すために用いられる場合がある。右([[右翼]]・右派)は保守的・国粋的な立場を、左([[左翼]]・左派)は急進的・革新的な立場をそれぞれ意味する。これは、[[フランス革命]]時の国民議会で、議長席から見て、右に保守派、左に急進派の[[ジャコバン党]]が座ったことに由来する。→[[右翼思想]]・[[左翼思想]] ちなみに、[[日本]]の衆議院本会議における政党別の配席については、慣例上、議長から見て右から左に獲得議席数の多い順に並ぶこととされていることから、2009年現在で議長から向かって右側には民主党に席が与えられている。 == 文化と左右 == 民族には、右と左に特別の意味を持たすことがある。[[中国]]では「吉事尚左、凶事右」と左を尊ぶ[[老子]]や[[道教]]の影響で主に左が尊ばれたが、時代によって左右の優劣が変わり、[[周]]は左を尊び、[[戦国時代_(中国)|戦国]]・[[秦]]・[[漢]]は右を尊び、[[六朝]]・[[隋]]・[[唐]]・[[宋 (王朝)|宋]]は左を尊び、[[元 (王朝)|元]]は右を尊び、[[明]]・[[清]]は左を尊んだ。ここで注目すべきは右を尊んだ時代が荒れ乱れた世が多いことである。これは「君子、居れば則ち左を貴び、兵を用うれば則ち右を貴ぶ」という老子の言葉の通りであるという見方がある。 日本は中国の歴代王朝の中でも特に左を尊んだとされる唐から強く影響を受けており、ゆえに日本では[[左大臣]]は[[右大臣]]より高位である。なお、漢の時代に[[周昌伝]]が[[漢書]]で地位を下げることを'''左遷'''と表現したが、この言葉は概して左を尊んだ中国では余り使われない。 === 建物・住居における左右 === 日本の国会議事堂は、左右対称の建物であり、建物の正面から見て左側が衆議院、右側が参議院である。 襖や障子は通常右側が手前になるようにはめ込む。引き戸やアルミサッシなどでも同様である。 === 舞台における左右 === 日本の[[劇場]]の[[舞台]]では、演者と観客が対面する形での上演が多く、左右で方向を捉えると混乱してしまう。そのため、観客から舞台に向かって見たとき、右側を'''[[上手]]'''(かみて)、左側を'''下手'''(しもて)と統一した呼称を用いる。 英語の表現では、逆に舞台上の演者から観客に向かって見るので、左側を"stage left"(日本語の上手)、右側を"stage right"(日本語の下手)となる。 === 衣服における左右 === 日本の着物は、現代では通常、男性用、女性用ともにその着物を着る者からみて左側の部分が右側の部分の上となるように着付ける。これを、「右前(みぎまえ)」という。例外的に、死者に着せる和服のみは「左前(ひだりまえ)」に着せる。 これに対して、洋服では、男性用は「右前」、女性用では「左前」のものが一般的である。 === 食事における左右 === 日本の和食において、飯茶碗と汁茶碗は、食事をする者から見てそれぞれ左、右に配膳することとされる。また、焼き魚を皿に盛り付ける場合には、食事をする者からみて左側に頭を据えるものとされている。 洋食のテーブルセットは、通常、客からみて右側にナイフ、左側にフォークがセットされている。これはナイフは右手で、フォークが左手で用いるのが一応のマナーとされるからであるが、ナイフを置き、フォークを右手に持ち替えて食べることをアメリカン・スタイルと呼びマナー上も許容されている。 [[アラブ]]など[[イスラム教]]を信仰する地域や、[[インド]]など[[ヒンドゥー教]]を信仰する地域では、左手は不浄の手とされ、食事に用いられない。 === 平城京、平安京・京都における左右 === [[平城京]]や[[平安京]]の北部にある[[御所]]において[[天皇]]が南むきに玉座に座ったときに、街の東側は左側に、街の西側は右側にみえることから、東側は左京、西側は右京と呼んだ。[[京都市]]の[[左京区]]、[[右京区]]は、平安京とは地域的にずれるがこれに倣ったものであり、地図上の左右、つまり地図の北を上にしたときの東西とは一致しない。しかしながら、京都の[[五山送り火]]には西と東に二つの「大文字」があるが、こちらは西側の大文字が「左大文字」と呼ばれる。 === 卜占と左右 === 卜いや順位においては、左を低い方、右を高い方とする風習が古くから存在する。これは、[[数]]や横文字において、小さい方を左から書き始め、大きくなるにつれて右へ遷る習慣に由来する。 例えば、英語で「凶運な」を意味する“sinistrous”は、日本語に直訳すると「左向き」である(ラテン語で、左を''sinistra''という)が、日本語でも“sinistrous”のほぼ忠実な訳語として「左前」がある。これは、[[ローマ帝国]]の卜者が、鳥が飛ぶ方角を見て、左に向かったら凶、右へ向かったら吉としたことに由来する。 一方、中国では[[陰陽五行思想]]では左が[[陽]]とされ、[[太極拳]]や[[気功]]は左から始まる。 また、「最左翼」は「極左」という意味を持つが、「最下位」という意味も持つ。例:「優勝候補の最左翼」(最も優勝しそうにない人)。一方、右は、上位や幸運を意味する[[方位]]とされた。第二次大戦までの日本の[[士官学校]]では、最上位の者を最右に配置し、成績順に右から左に列べた。最右翼が「最上位」を意味し、最左翼が「最下位」を意味するのは、その名残である。 == 文字に関する左右 == === 漢字の左と右 === 漢字の[[部首]]において偏(へん)は、左に、旁(つくり)は右に位置する。 === 表記 === 日本語の表記方法としては、縦書きと横書きがあるが、縦書きの場合には、右列から左列に、横書きの場合には、左から右へと文字が綴られるのが標準である。戦前までは横書きを右から読むことが多かったが、これは1行1文字の縦書きであるとみることができる。また、縦書きを左から書くこともある。 なお、[[複式簿記]]の仕訳の表記においては、左側を借方、右側を貸方と特殊な呼び方をする。 == 交通における左右 == === 歩行者 === 日本の道路においては原則として右側通行であり、これは道路交通法(昭和35年6月25日法律第105号)第10条第1項に定められている。 道路交通法制定前は歩行者は左側通行が一般的だった。これは[[武士]]が道の左側を通行していたことの名残であった。[[日本刀]]は左腰に装備したときに外側になる面が「表」であるため左腰に装備していた。このため右側通行にすると武士同士がすれ違う時に刀がぶつかってしまうため、それを避ける意味があった。この習慣に合わせて車両も左側通行になったが、これでは危険であるため、道路交通法の制定によって歩行者を右側通行に改め、[[対面交通]]を導入することになった。 日本において、[[エスカレーター]]などで急ぐ歩行者を優先させる場合のマナーとして、東京では左側に立って右側を空けるが、大阪にいくとこの逆であるとされる。これは1970年の[[大阪万博]]の影響である。それまでは、左側に立っていたのだが、このとき以降逆になった{{要出典}}。 (ただし、エスカレーターの製造者や設置者としては、安全上の観点から、地域や左右に関わらずエスカレーター上で歩行すること自体及び過重が左右のどちらかに大きく偏った状態が続くような利用法を推奨していないのがほとんどである。) === 自動車 === 世界には、自動車が右側通行の国と左側通行の国がある。 日本は、左側通行であり、これは道路交通法(昭和35年6月25日法律第105号)第17条第4項に定められている。ただし、例外として地形の制約により上下線の配列が左右逆になっている箇所([[東名高速道路]]の[[大井松田インターチェンジ]]~[[御殿場インターチェンジ]]間の一部など)が存在する。日本以外の左側通行の国や地域の多くは、[[イギリス]]、[[アイルランド]]、[[オーストラリア]]、[[マレーシア]]など、旧[[大英帝国]]・イギリスの旧[[植民地]]であるところが大部分である(→[[対面交通]]を参照)。 左側通行では右ハンドル、右側通行では左ハンドルの車の使用が標準となる。右ハンドル左ハンドルどちらの場合もクラッチ・ブレーキ・アクセルの並びは左からこの順で変わりはない。日本では左右ハンドル車の運行が共に許容されており、先進国の中では極めて例外的な状況である。 === 二輪車 === 右側通行、左側通行に関わらず、二輪車の乗り降りは左側から行なうのが普通である。二輪車を押して歩く場合も、人が二輪車の左側となる。 === 船舶 === 船舶は右側航行が原則とされる。海上衝突予防法(昭和52年6月1日法律第62号)第14条では、2隻の動力船が正面から行き会う場合には、原則的に、それぞれ針路を右に転じなければならないとされている。 === 航空機 === 航空機は、船舶の場合と同様に右側航行が原則とされる。2機の航空機が、互いに正面から接近しつつある場合には、互に進路を右に変えなければならないこととされる。これは、航空法施行規則(昭和27年7月31日運輸省令第56号)第182条に規定されている。 === 鉄道 === 日本においては[[鉄道]]は左側通行である。日本統治時代に鉄道が建設された[[大韓民国|韓国]]や[[台湾]]も同様である。しかしどちらも最近建設された[[地下鉄]]などは右側通行である。(ただし、韓国の場合は[[ソウルメトロ]]1号線と[[韓国鉄道公社]]の一部区間は左側通行である。[[韓国の地下鉄]]参照。) 例外として地形の制約により上下線の配列が左右逆になっている箇所(東海道本線の南荒尾信号場~関ヶ原駅間、北陸本線の新疋田駅~敦賀駅間など)が存在する。それ以外では、[[三重交通神都線]]が複線区間で右側通行だった。但し、単線区間においてホームに進入する際には、線路の構造や、[[閉塞 (鉄道)|閉塞]]取扱(の名残)、ワンマン運転における乗客の取り扱いの利便性から、右側通行になる場合がある。 == 左右の定義は伝達できるか? == '''[[宇宙人]]に通信で左右を伝えることができるか?'''という、興味深い問題がある。相手が宇宙人であるのは、ヒト同士のように、心臓のあるほうが左、といった定義が使えない、ということである。しかも、何しろ遠いので、[[写真]]や[[模型]]など、実物を送りつけることはできないと仮定する。通信の手段だけは確保されているという前提で、言葉だけで、論理のみによって左右の方向を確定するのはどうすれば可能か、を問うものである。 まず重力に対して上と下を定義し、上下軸に直交する1本の軸を前後軸として定義する。その2本と直交する最後の軸が左右軸であるが、さてどちらが右でどちらが左と伝えればよいだろうか。 * [[テレビ]]など映像通信で伝える *: '''不可'''。あらかじめ左右の方向が伝達できていなければ、[[走査]]方向が右から左となるか、あるいは左から右となるかが決められない。 * [[複素数#ガウス平面|ガウス平面]]の虚数軸・実数軸を上下・左右とする *: '''不可'''。図を書く際、どちらの方向を正とし、負とするかはまったく暗黙の了解によっているから。 * 2つの[[幾何ベクトル|ベクトル]]の[[クロス積|外積]]によって得られるベクトルの方向 *: '''不可'''。これを右ネジの進む方向としているのは約束事にすぎない。宇宙人は左ネジの進む方向として扱っているかもしれない。 * [[アンドレ=マリ・アンペール|アンペール]]の[[右ねじの法則]]、[[ジョン・フレミング|フレミング]]の[[フレミング右手の法則|右手の法則]] *: '''不可'''。[[磁束|磁力線]]の方向の定義(N極とS極の定義)が約束事に過ぎないため。 * [[パリティ対称性の破れ]] *: '''可'''。ただし、宇宙人(と彼らの環境)が[[反物質]]で構成されているわずかな可能性を考慮すると、'''不可'''。例えば、宇宙人が反コバルト60のベータ崩壊を観測して左右を決定すれば、我々の左右とは逆になってしまう。 * [[偏光|円偏光]]で通信する等、左右非対象の性質を持つ通信媒体を用いる *: このような解答は、ネジのように左右の模型となる物を直接送付しているのと同じで、「通信内容によって左右を伝える」という題意を満たしていない。 このように、実物なしに、言語等論理のみで左右を伝えることは、極めて難しいことがわかる。 == 関連項目 == * [http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%89%B9%E5%88%A5%3APrefixIndex&from=%E5%B7%A6&namespace=0 「左」一覧] * [http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%89%B9%E5%88%A5%3APrefixIndex&from=%E5%8F%B3&namespace=0 「右」一覧] * [[Wikipedia:索引 さ]] * [[Wikipedia:索引 ひた]] * [[Wikipedia:索引 う]] * [[Wikipedia:索引 みき]] * '''左右''' - [[前後]] - [[上下]] * [[縦と横]] * [[右巻き、左巻き]] * [[利き手]] * [[さ]] * [[う]] {{DEFAULTSORT:さゆう}} [[Category:方向]] [[Category:対称性]] [[de:Links]] [[de:Rechts]] [[en:Left and right]] [[fr:Gauche]] [[he:ימין ושמאל (כיוונים במרחב)]] [[nl:Links en rechts (richting)]] [[zh:相对方位]]
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