PC-FX

出典: Wikipedio


Template:Infobox コンシューマーゲーム機

PC-FX(ピーシー エフエックス)とは、1994年12月23日に発売された家庭用ゲーム機で、日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)がハドソンと共同開発したPCエンジンの後継機である。当時のメーカー希望小売価格は49,800円。

目次

概要

開発コードネームは「FX」。商品名は、「PC」=「PC-9800(PC-98)シリーズ」、「F」=「Future(未来)」、「X」=「未知数」から採ったものである。

PCエンジン時代に一度終焉を迎えた「コア構想」が改めて継承されており、PC-FXボード、PC-FXGAなどPC上でPC-FXのソフトが遊べるボードが発売されたり、PC-98シリーズの外付けSCSI接続のCD-ROMドライブとして使えるなど、PC-98との連携が意識されていた。また、家庭用ゲーム機としては初めて縦置きデザインを採用しており、その年に通商産業省グッドデザイン賞を受賞した。なお、PC-FXの外観(特にフロントパネル)はPC-8801MCに似ているため、デザインを再利用したものと推測される。

動画専用のバスを備えるため、1994年当時の他の同世代機と違い直接、動画を扱うことが可能で、『バトルヒート』のような他機種では実現不可能なゲーム表現が可能だった。

仕様

  • CPU:NEC V810 21.475MHz
  • メインRAM:2MB
  • CDバッファ:256KB
  • 最大表示色数:1677万色
  • 表示画素数:最大320×240ドット
  • エフェクト:回転・拡大・縮小・セロファン・フェード・プライオリティ
  • 動画再生:30フレーム/秒、フルカラー・フルスクリーン
  • サウンド機能:ADPCM 2ch、波形メモリ音源(最大6音)
  • 拡張端子
    • 本体底 - 対応製品なし(メインメモリ拡張用スロット)
    • 本体後部 - PC-98シリーズとの接続用
    • 本体前面 - FX-BMP(本体メモリの4倍の容量を持つバックアップメモリパック)用

ハードウェア

CPUは親会社であるNECが開発した、オリジナル設計の32ビットRISC CPUであるV810(μPD70732GD-25)を搭載した。このCPUは32ビットRISC CPUでありながら16ビット長の命令混在を許容することでメモリ使用効率の改善を図るなど、組み込み用途での使用に適したプロセッサであり、ゲーム機では他に任天堂バーチャルボーイにも採用された。

チップセットはPCエンジンと同様、ハドソン製HuC62シリーズを採用する。もっとも同一シリーズ名であるが、こちらは元々同社の手によってコード名「TETSUJIN」として開発されていた次世代ゲーム機のためのチップセットを基本としていた。しかし、クボタコンプスとの共同開発による、表示個数やサイズなどに制限のないスプライト機能・演算性能10万ポリゴン/秒の3Dグラフィック機能の付加を実現する新グラフィックチップ・HuC6273の開発が難航し、PC-FX製品化のタイムスケジュールに間に合わないという事態となった。

そこでこのチップの代わりに前世代のPCエンジン用グラフィックチップ(HuC6270)を2個搭載し、これにMotion JPEGデコーダ(HuC6271)を追加することで強力な動画再生機能を付与するという、はなはだアンバランスな構成となった。その結果、本機のグラフィック機能、特に画面モードとビデオメモリへのアクセス方法には様々な制約が存在することとなり、グラフィックメモリマッピングが極めて変則的であるため3Dゲームのみならず、2Dシューティング/アクション/対戦格闘ゲーム等の移植も困難になってしまった。

他の次世代機群が次元の異なる高性能グラフィックコントローラを搭載していたのに対し、本機のグラフィック機能は「PCエンジン2台分の2Dグラフィック機能にMotion JPEG再生機能が追加されただけ」に過ぎなかった。

なお、開発の遅れていたHuC6273は1995年に発売されたPC-9800シリーズ用及びPC/AT互換機用ゲームアクセラレータボード・PC-FXGAに搭載されてPC-FXの本来あるべき姿を示したが、それはあまりに遅きに失した。PC-FXにも、GA相当の機能をアダプターとして別売予定はあったようだが、製品化されずに終わった。PC-FXGA自体も売れ行き不振から叩き売り処分の対象となって市場から姿を消し、当初計画・予告されていたPCIバス対応版のPC-FXGA/PCIも、やはり製品化されずに終わっている。

その他

ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)のプレイステーションセガ・エンタープライゼス(現:セガ)のセガサターンとほぼ同時期に発売され、32ビットゲーム機戦争と言われた販売合戦の一角を担うかに見えた。しかし、2Dの動画機能を前面に押し出す代わりに、当時の他の次世代機最大のセールスポイントだった3Dポリゴン表示機能を全く備えていなかった(3Dチップ開発難航の事情は、前項#ハードウェア参照のこと)。

スプライトやサウンド機能がPCエンジンとあまり変わっていないなどの複数の致命的な戦略ミスにより約40万台と販売台数はストップし、たちまちに前2機の勢いに引き離された。PCエンジンの資産だったビジュアルシーンなどの「アニメーション機能重視」の長所を引き継ぐつもりで設計されたが、完全に市場の読み違えで劣勢を余儀なくされた。

もう一点、本機の致命傷となったのが、キラーソフトと呼ばれる、広く万人にアピール出来るヒットソフトを生み出せなかったことである。プレイステーションの『リッジレーサー』、セガサターンの『バーチャファイター』のような、一部のコアファン以外にも本体の購買意欲をかき立てさせるようなキラーソフトを揃えることが出来ず、この加速のなさが余計にサードパーティーに積極的な参加を控えさせてしまった。パッドのボタン仕様が二列横並びの6ボタンと、当時の格闘ゲームを意識したものであるにもかかわらず、ボタンを多用するようなゲーム性の作品はほとんど出なかった。

こうした悪循環により結果的にソフトにも恵まれず、結局メーカー自ら『アニメフリークFXシリーズ』を展開するなど、ギャルゲーやアニメなどの特定のファン層を対象とした間口の狭い作品偏重のラインナップとなっていったことが、更に本機の一般層への普及を妨げていった。

こうして発売された本機対応のソフトには、隠れた名作もそれなりにあるが、一般受けするようなソフトが僅少であり、ゲームファンの中には「ほとんどがクソゲーだった」と評論するユーザーさえ少なくない。

他機種と比較して劣勢の販売経過から開発ツールを一般に提供するという努力も行われたが、主だった成果は上がらずに終わり、本機は32ビット機としては最初に消えた3DOの次に淘汰されることになる。ソフトの総数も、雑誌付録、体験版、PC-FXGA専用ソフトを除くとわずか62本。本機の失敗により、NECホームエレクトロニクスはNECグループの事業整理の対象になり、家庭用ゲーム業界から撤退することとなった。

当初は『天外魔境III』が本機に移行したことにより、それに対する期待で一時売れ行きが伸びたものの、本機の売り上げ不振などの理由により、結局は発売中止になってしまった。

マスコットキャラクター「ロルフィー」

ロルフィー(Rolfee)は、PC-FXのマスコットキャラクターである。只野和子画。声は大野まりなが演じた。ロルフィーの設定年齢は13歳で、一部アニメファンに訴えるかのような幼い外見にされている。ロルフィーを題材にしたゲームソフト『となりのプリンセス ロルフィー』が発売されている。

アニメファン以外のPC-FXユーザーには評判が良くなかったと言われ、PC-FXユーザー以外の人間にはPC-FXのイメージがロルフィーによって決定付けられるという側面もあった。

ロルフィーといっしょにアニメであそぼ」「アニメゲームでいっしょにあそぼ♥」などといった、開き直りとも言える衝撃的な台詞広告で使われていた。

その後、NECビッグローブが運営するプロバイダーBIGLOBEのコンテンツの一つ、「BIGLOBEゲーム」の18禁美少女ゲーム・アダルトコミック総合ポータル「ドキドキCPLAZA」のバナーにロルフィーらしきキャラクターが描かれている。

関連商品

周辺機器

PC用カード

  • PC-FXボード(FX-98IF、98CanBe専用)
  • PC-FXGA(PC-98用)
  • PC-FXGA(DOS/V用)

代表作

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関連項目

ソフト一覧

その他

外部リンク

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