OS/2

出典: Wikipedio


Template:Infobox OS OS/2オーエス・ツー)は、DOS(MS-DOSおよびPC DOS)の後継として、IBMマイクロソフトとの共同で開発された、パーソナルコンピュータ(パソコン)用の16ビットおよび32ビットのオペレーティングシステム(OS)である。

目次

名称

正式名称は「IBM Operating System/2(IBM オペレーティングシステム/2)」および「Microsoft Operating System/2(マイクロソフト オペレーティングシステム/2)」である。「2」は次世代のOSという意味とされる。

略称は「IBM OS/2」「Microsoft OS/2」である(「MS-DOS」のように、「MS-OS/2」と略される場合が多いが正式名称ではない)。

PC DOSとMS-DOSの場合と同様に、IBMからは「IBM OS/2」が、マイクロソフトからIBM以外のメーカーへのOEM供給版は「Microsoft OS/2」とされた(ベースは同一だが、IBM版のみに拡張版(EE)が存在した)。

バージョン2以降はIBM版のみである。「OS/2 Warp」はバージョン3から付けられた名称である。

概要

OS/2はIBM IBM PS/2と同時に発表され、IBMとマイクロソフトにより供給され、当時はMS-DOS(PC DOS)の後継とされた、16/32ビットのパーソナルコンピュータ向けOSである。

以下の特徴がある。

  • バージョン1は16ビット(CPUは80286以上)、バージョン2以降は32ビットOS(CPUは80386以上。一時はPowerPC用も開発された)である
  • ファイルシステムとして、DOSのFATに加えて、途中からHPFSが追加された
  • MS-DOSコマンド類似のOS/2コマンドで、最初からプリエンプティブ・マルチタスクを実現していた
  • GUI
    • バージョン1は、Windows 3.0同等のプレゼンテーションマネージャー (PM)
    • バージョン2以降は、オブジェクト指向のワークプレースシェル (WPS)
  • DOS互換環境
    • バージョン1は、1つのみ。メモリ制約が多く、特に日本で不評であった。
    • バージョン2以降は、複数(マルチ仮想DOSマシン、MVDM)。複数のDOS環境同士でプリエンプティブ・マルチタスクに稼動する。WindowsのDOSコマンドプロンプトや、更にはDOS自体と比較しても、DOSアプリケーションが使用できるコンベンショナルメモリが広く安定している場合があり、注目された。
  • Windows互換環境(WIN-OS/2)。エミュレートではなく、マイクロソフトのライセンスを含むWindows本体のモジュールをOS/2のMVDM上で稼動させたため、互換性が高く、複数のWIN-OS/2同士でプリエンプティブ・マルチタスクにも設定できた。
    • バージョン2は、Windows3.0相当
    • バージョン2.1以降は、Windows 3.1相当

日本では日本電気東芝富士通AX各社などにより採用され、DOS/Vに続きOADGの標準化にも採用された。しかしWindows 95およびWindows NTとの競争に敗北し、サーバやネットワーク端末の組み込みOSとして継続された後、現在は販売されておらずサポートも終了している。

バージョン

  • OS/2 1.0:1987年4月2日:IBMとマイクロソフトの共同開発。GUI非搭載。
  • OS/2 1.1:1987年:GUIであるPM (Presentation Manager) 搭載。
  • OS/2 1.2:1989年HPFS採用。
    • 1991年6月:当時主にマイクロソフトが担当し開発中だった OS/2 3.0をWindows NTと改名。
  • OS/2 2.0:1992年:主にIBMが開発を担当。Windows 3.0用のアプリケーションをサポート(WIN-OS/2)。
    • 1992年6月:IBMとマイクロソフトは、1993年9月まででOSソースの相互公開を中止することを決定。
  • OS/2 2.1:1993年:Windows 3.1が動く(WIN-OS/2がWindows 3.1相当になった)。
    • 1993年9月:IBMとマイクロソフトのOSソースの相互公開が終了。
  • OS/2 2.11:1994年:ユーザインタフェースの改善など。
    • これとV3, Connectは、WIN-OS/2の有無でパッケージが別れる。
  • OS/2 Warp V3:1995年:Ver.3にあたる。32ビット専用化。前述のOS/2 3.0とは別物・無関係である。
  • OS/2 Warp Connect V3:1995年:Warp V3にLAN対応機能(TCP/IP、LAN Serverクライアント、NetWareクライアントなど)を追加。
  • OS/2 Warp 4:1996年:デスクトップOSシェア獲得戦争から撤退。
    • デスクトップ版はこの後引き続き下記のWarp Server for e-businessをベースに開発は続行。
  • OS/2 Warp Server for e-business:1999年:NT 4.0 Server群をシームレスに管理可能。
  • OS/2 Communications Server for OS/2 Warp, V6.1:2000年:SNAとTCP/IP間の通信を統合。
  • Convenience Package for OS/2 Warp 4 (V4.51):2001年
  • Convenience Package for OS/2 Warp 4 (V4.52):2002年

歴史

元来は、IBMのPS/2用を始めとしてIBM PC及其互換機のOSとして、IBMマイクロソフトとの共同で開発されたものである。

OS/2 1.x

最初のVer.1.0ではGUIは搭載されておらず、16ビットのOS/2コマンドプロンプトとDOS互換環境をキーボードでスイッチできた。OS/2コマンドプロンプト間は最初からプリエンプティブ・マルチタスクであった。

次のVer.1.1でGUIとして、OS/2プレゼンテーションマネージャー (PM) が搭載された。外見はWindows 3.0のプログラムマネージャーとほぼ同一である(OS/2 PMもWindows 3.0も、IBM Systems Application ArchitectureのCUA'87準拠のため)。

Ver.1.2のリリース後、マイクロソフトはWindowsの開発に注力することになり、以降はIBMのみの開発となった。

1990年、更に軽量化したIBM版16ビットOS/2 1.3を発売。これ以降の開発は、OS/2 2.0を主にIBMが、OS/2 3.0を主にMicrosoftがそれぞれ分担することとなる。Windows 3.0発売時、当時開発中のOS/2 3.0(後にWindows NTと改名)の主要な拡張Windows APIや拡張OS/2 APIを置き換えると決め、IBMとの緊張を生む事になる。マイクロソフトはその後、IBMとの一切の共同開発から手を引きWindows NTの開発に専念するようになった。

OS/2 2.x

1992年3月31日、IBMは世界初のパーソナルコンピュータ用32ビットOSである、OS/2 2.00を発売。Windows3.0互換環境 (WIN-OS/2)、複数のDOS互換環境 (MVDM) を持ち、統合プラットフォームとして一つの完成形を見る。また、UIをがらりと変更し、オブジェクト指向のGUIであるワークプレース・シェル (Workplace Shell、WPS) を標準環境とし、他に先駆けてプリエンプティブ・マルチタスクを採用した。

ワークプレース・シェルは、CORBA準拠のオブジェクト間通信技術、SOM (System Object Model) / DSOM (Distributed SOM) の上で構築されていた。SOMは、オブジェクト指向ではないOSで、言語にほぼ依存せずにオブジェクト指向の機能を実現するオブジェクト管理用の開発環境である。

これらの技術背景により、オブジェクトの動的追跡などが可能である(今なおWindowsで実現できていない)。

Ver.2.1ではWindows 3.1用のアプリケーションが動くようになった(WIN-OS/2がWindows3.1相当になった)。

Ver.2.11からは、パッケージからWindows 3.1モジュール (WIN-OS/2) を削除した、既存(導入済)のWindows 3.1を利用できる低価格パッケージであるJ2.11 for Windowsが追加され、以下の2パッケージとなった。

  • OS/2 Ver.2.11:Windows互換環境 (WIN-OS/2) を含む
  • OS/2 Ver.2.11 for Windows:Windows互換環境 (WIN-OS/2) を含まないが、導入済のWindows 3.1があれば、それをWIN-OS/2として使用できる

1993年9月、IBMとマイクロソフトのソースコードの相互公開契約が満了し、これ以降のOS/2とWindows NTは完全に分化し、それぞれ別の発展をすることとなる。

OS/2 2.11は、対抗商品となったWindows NT 3.1の完成度の低さと、Windows 3.x系との互換性の高さから、当時のパソコン用32ビットOSとしては比較的リソースを消費せず、Windows 3.1のソフトウェアがほぼ完全に動作することから「OSごと落ちない完全なマルチタスク可能なWindows3.xマシン」として重宝された。また、当時のパソコン雑誌「DOS/Vマガジン」と「PC WAVE」にOS/2 2.11の体験版(CD-ROM)が収録された(当時は雑誌でCD-ROMを付録にすることはできず、引換券を出版元に送付することにより入手できた)。このため、CD-ROMドライブの普及に貢献したと言われる。

1994年10月、IBMモトローラとともにPowerPCを使ったプラットフォーム、PowerPC Reference PlatformPReP)を提唱。PReP向けにマイクロカーネル上で複数のOSを動作させる、Workplace OSの開発をIBMは表明したが、最終的には、OS/2 for PowerPCを作り上げるにとどまった。

また、アップルコンピュータノベルとともに、OpenDoc(マイクロソフトのOLEとほぼ同様の機能を、高機能・マルチプラットホーム化したもの)を開発したが、後年Java等の台頭により、製品化には至らなかった。

OS/2 Warp 3.x

1995年3月に発売されたVer.3.0(前述のOS/2 3.0とは無関係)では、32ビット専用となり、開発コードで使用されたWarp(ワープ)の呼称を使用し、グループウェアLotus Notesや日本語IMのWritingHeads/2等のアプリケーションを多数バンドルして発売された。ちなみに、開発コードのWarpは米国SF TVシリーズのスター・トレックに由来するもので、当時新スタートレックが放映中であったこともあり、バージョン4.0の開発コードがMerlinになるまで、スター・トレック関係の固有名詞が開発コードに使用されていた。

日本では、「DOSも走る、Windowsも走る。OS/2なら一緒に走る」(J2.11のテレビコマーシャル)「ワープを使え」という、山口智子のテレビコマーシャルが流された。IBMが家庭向けに販売していたパソコンであるAptivaシリーズにバンドルされるなど、個人ユーザー向けに最も積極的に普及のための活動が行われたのがこのころである。しかし、同年11月に発売を予定していたWindows 95の評価が固まるまで、双方の導入を見送ったユーザも多かった。

OS/2 Warp 4.x

1996年OS/2 Warp 4を発表。

1999年Warp Server for e-business (WSeB) を発表。

2001年OS/2 Warp 4.51を出荷(ベースはWSeB)

2002年OS/2 Warp 4.52を出荷

OS/2はデスクトップの主流となる事はなかったが、サーバやネットワーククライアント用OSとして機能の追加や拡張を行うこととなった。なお「4.5xは小幅なヴァージョンアップのように見えてシステム、カーネル周りはかなり改変が行われており、実質的にはバージョンアップである」という指摘がある。

2003年時点でIBMは2006年末までのサポートをすると発表しており、また、少なくとも1社に対しては2019年までメンテナンスを行うとの事。

2005年7月にIBMは正式なサポート終了通告を発表し、2006年12月をもって通常ルートのメンテナンスを完全に停止する事となった。日本IBMのサポートページでは、2006年12月31日をもって「OS/2のすべての活動が終了」との告知と謝辞のみが示されている。

現状

IBMは1996年のWarp 4を最後にOS/2の新規開発を打ち切り、使用を続ける顧客に対してのサポートのみを続けていた。IBMはパーソナルコンピュータ市場では、Windowsに加えてLinuxを重視している。

OS/2はその保守サポートにより1997年以降に主流となったPCアーキテクチャ(AGPUSBDVD±Rなど)や現在発売されているプリンタCD-RWDVDなどの周辺機器について対応している。しかし、IEEE 1394についてはオープンソースによるドライバ開発が始まったところである。

サポート状況の詳細に関しては、外部リンク「IBMのOS/2 Warp 対応各種一覧」や、「DD Pak Online」を参照されたい。 もっとも、日本でサードパーティが販売していた主要なデスクトップ向けアプリケーションソフトは1997年頃からバージョンアップが行われていないことから、2004年現在、クライアント用途のデスクトップマシンでは過去に開発された専用業務システム、端末エミュレータ、IBMのアプリケーション(旧ロータス製品等)が主に使用されていると思われる。

海外では状況が異なり、OpenOffice.orgの移植やSerenity Virtual StationのOS/2サポートなどが開発中である。もちろんMozillaFirefoxも最新版が提供されている。

なお、全てではないにしろAGP(少なくともMilleniumG400にはDBCSとWin3.1のドライバが存在する)、USB、CD-RW、DVD等もドライバ等が用意されており利用可能である。PCI ExpressについてもPCIやAGPと同様に対応する汎用ドライバが存在するが、最新のビデオカードへの対応が追いついていないのが現状である。


なお、OS/2 WarpのOEMバージョンであるeComStation (略称 eCS)が存在する。IBM OS/2サポートと同様のドライバ提供が受けられる。日本語版を含めOS/2 Warp Server for e-businessでリリースされているすべてのNLV版のリリースを約束したが、今のところリリースされているのは、英語版/ドイツ語/ロシア語/オランダ語版である。 eComStationはSBCS圏では順調にリリースを重ねる。DBCS圏用eCSの開発の陰ながら続けられており、2008年11月には漸く日本語rc版のテストが開始された。

オープンソースとの関わり

現在OS/2クローンを作成するオープンソースプロジェクトが進行中である。IBMのサポート終了通告を受けて、オリジナルソースコードの公開を要求する声がある一方、アセンブラで書かれたコードにどれほどの意味があるか疑問視する見方もある。オープンソース化を求める嘆願書には13,000人以上が署名している。

他機種について

OS/2は、元来 IBM IBM PS/2のOSとして開発されたものだが、PC-9800シリーズFMRシリーズMulti16J3100等の国産機にも移植されている。ほとんどのメーカが1.x系で撤退したが、東芝はWarp V3まで、日本電気はWarp 4までOS/2の移植、販売を行っていた。

また、森精機製作所CNC旋盤では、OS/2シリーズを操作画面に採用した工作機械を製造している。

半導体製造装置メーカー大手の日立国際電気製の縦型拡散炉減圧CVD装置VERTEXシリーズ、QuixAceシリーズ、ALDINNAシリーズで使用されている装置制御システムCX-3000シリーズは、SEMIスタンダード準拠のGUIのベースOSにOS/2 Warp4を採用している(半導体製造装置の商品サイクルから考えると、IBMが2019年までのメンテナンス契約を行っているメーカーは同社と思われる)。

一時期、Warp V3をベースに組込用途に特化したOS/2も開発しており、ほぼ完成していたが、その成果は公表されていない。

アプリケーション

主な商用のOS/2ネイティブ・アプリケーションには以下があった。

表計算ソフト

ワープロソフト

オフィススイート

  • IBM
    • SMART(日本独自開発の統合オフィスツール。表計算、ワープロ、チャートなど。)
    • TakeFive(簡易オフィスツール。FootPrint Worksの日本語版であり、IBM Worksの前身。)
    • IBM Works(簡易オフィスツール。表計算、ワープロ、チャートなど。Footprint Worksがベースであり、OS/2 WarpのBonusPakに収録され、日本語化もされた。機能的にはMicrosoft Worksに相当する)
  • FootPrint
    • FootPrint Works(簡易オフィスツール。イギリスIBMが開発し、カナダFootPrintが販売した。英語版のみ。)
  • SUN

ウェブブラウザ

かな漢字変換ソフト

ミドルウェア

  • IBM
    • Database Manager (DBM。OS/2 1.x 拡張版(EE)に標準添付のDBMS。後のDB2 for OS/2(DB2/2)。)
    • Communication Manager (CM。3270/5250エミュレーションなどのSNA接続。OS/2 1.x 拡張版(EE)には標準添付。後のPCOMM。)
    • LAN Server(ドメイン管理、ファイル・プリンタサーバ。マイクロソフト LAN ManagerのIBM拡張版。)
  • ロータス (IBMによる買収以前)
    • Lotus Notes(グループウェア。サーバーおよびクライアント)
  • マイクロソフト
    • LAN Manager(ドメイン管理、ファイル・プリンタサーバ)
  • オラクル
    • Oracle Database(Oracle7 Workgroup Server for OS/2、Oracle7 Server for OS/2 )

プログラミングツール

CASEツール

  • KnowledgeWare
    • IEW、ADW

ゲーム

その他

以下のDOS版・Windows版アプリケーションは、OS/2上のDOSやWindowsの互換環境で一時はサポートされていた。

また、商用ソフトではなくシェアウェアではあるが秀丸も早い時期から公開されていた。(後にWindowsに移植されて現在に至る)

関連項目

外部リンク

ユーザーサイト

クローンプロジェクト

Template:Windows Template:オペレーティングシステムar:أو إس/2 az:OS/2 ca:OS/2 cs:OS/2 da:OS/2 de:OS/2 en:OS/2 eo:OS/2 es:OS/2 fa:اواس/۲ fi:OS/2 fr:OS/2 gl:OS/2 he:OS/2 hu:OS/2 id:IBM OS/2 is:OS/2 it:OS/2 ko:OS/2 lt:OS/2 nl:OS/2 no:OS/2 pl:OS/2 pt:OS/2 ru:OS/2 sk:OS/2 sr:OS/2 sv:OS/2 th:OS/2 tr:OS/2 uk:OS/2 zh:OS/2

個人用ツール