Debian

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Debian GNU/Linux から転送)

Template:Infobox OS thumb|300px|Debian (KDE) Debian(デビアン)またはDebian Projectは、ボランティアの集まりによってフリーオペレーティングシステム (OS) を作成しようとするプロジェクト。またはそのプロジェクトによって作成されたオペレーティングシステムを指す。歴史が長く保守的なLinuxディストリビューションのDebian GNU/Linuxが最もよく知られている。 Hurdのような他のカーネルのためのDebianを提供する計画も進行中。正式リリースはされていないが、FreeBSDNetBSDをベースにした移植版もある。

目次

概要

Debianは、Debian GNU/Linux などのOS、加えてそれらで利用できるデスクトップ環境サーバー運用向けのソフトウェアなどに代表される20,000以上ものソフトウェアを提供している。現在、Debianのソフトウェアパッケージは12のアーキテクチャ向けにリリースされている。インテルAMD32ビット64ビットプロセッサ、組み込み機器で使われるARMアーキテクチャなどに対応しており、APTと呼ばれるパッケージ管理システムが存在する。このパッケージ管理システムでは、.debという拡張子のパッケージを利用する。

Debianのスタンダードインストールでは、GNOMEデスクトップ環境がインストールされ、IceweaselFirefoxのフォーク版)やOpenOffice.orgなどもインストールされる。その他にもEvolution個人情報管理ソフトウェア、メディアプレーヤー、画像ビューア、ドキュメントビューアなどもインストールされる。その他にも、KDEXfceLXDEのソフトウェアにより構成されたCDイメージも存在する。

また、"Ubuntu"、"MEPIS"、"Xandros"、"sidux"、"KNOPPIX"などDebianをベースとする多くのLinuxディストリビューションがある。

歴史

プロジェクトの組織

プロジェクトは、世界中の有志の開発者によって構成されている。プロジェクトには誰でも参加できるが、正規の開発者になるためには、技術的なチェックを受ける必要がある。現在、1000名以上<ref>http://db.debian.org/</ref>のメンバーがいる。日本人の開発者は40人ほどである。

プロジェクトの抱負として、Debian社会契約<ref>http://www.debian.org/social_contract</ref>を掲げている。Debian社会契約は、プロジェクトが遵守すべき事項を定めたもので、1997年7月5日に採択された。その中のDebianフリーソフトウェアガイドライン (DFSG) は、Debianにおけるソフトウェア評価基準となっており、このガイドラインに適合しない、フリーではないと評価されたソフトウェアは、Debianの一部として提供されることはない。

プロジェクト内の意思決定はDebian憲章<ref>http://www.debian.org/devel/constitution</ref>の元で行なわれる。Debian憲章は、組織構成やその権限、投票にかけるまでの手続きなどを定めたもので、1998年12月2日に採択された。

毎年、Debian会議<ref>http://www.debconf.org/</ref> (通称DebConf) が開催される。Debian会議は、世界中のDebian開発者が直接会談する場で、2000年7月5日に初めて開催された。資金面などの多くの障害があるため、今のところ日本で開催されたことはないが、有志によって開催が検討されている<ref>http://wiki.debian.org/DebConfInJapan</ref>。


メンテナンスの容易さ

APT

APTを参照。

Debianの特長として、メンテナンスの単純さがある。パッケージ管理システムを備えており、ひとたびインストールが終了すれば、パッケージマネージャのAPT (Advanced Package Tool) により、ソフトウェアの更新が行える。パッケージのインストールは、セキュリティ関連の更新やプログラム相互の依存性確認も含めて、仮想端末 (コンソール) より容易に操作できる。

パッケージの依存関係には、大きく分けて、depends(依存)recommends(推奨)suggests(提案) という3種類の項目が設定されており、動作に必須なものがdepends、動作に必須ではないが常識的に必要とするものがrecommends、組み合わせる事で更に便利に使えるものがsuggestsに指定されている。しかしAPTでは、depends以外の項目を上手に扱えないため、これらの項目を最大限生かす事ができるaptitudeの使用がsargeでは勧められている。

APTには補助的機能を追加するフロントエンドが数多く提供されており、以下ではaptitudeを含めた幾つかのフロントエンドを紹介する。

aptitude

aptitudeを参照。

GUIフロントエンド

thumb|Synaptic thumb|apt-watch の自動更新通知 thumb|Update Notifier の自動更新通知 ユーザーフレンドリーなユーザーインターフェイスは複数存在する。

一般的に良く知られる代表としては、Debianだけでなく RPM系のディストリビューションにも移植された Synaptic(シナプティック)がある。Synapticは、apt-getコマンドを使用せずにシステムの更新が全てマウスで直感的に行えるだけでなく、ソフトウェアの削除機能も備えている。

「apt-watch(アプト-ウォッチ)」は、デスクトップで使用するユーザーにとって、アップデートのリリースを直ちに通知してくれるアプレットとして極めて有効なツールである。apt-watch は、より簡易にパッケージの管理を実現するツールとして開発されたアプリケーションである。これは、ネットワークに接続し、アップデータを定期的に監視するアプレットであり、アップデータが利用可能となった時には、クライアントに自動的に更新の通知を行う。Windows Updatesや Red Hat Network と同様な機能を持っている。

4.0 (Etch) では、apt-watch に加えて新たに update-manager も用意された。これは、GNOMEデスクトップ環境で利用可能なパッケージの管理ツールである。この update-manager は、Update Notifier と呼ばれるデスクトップ上のアプレットと組み合わせて利用することができる。機能的には apt-watch と似ているが、APT keyring を管理する仕組みが追加されている。なお、Update Notifier は GNOME や KDEXfce など Freedesktop.org 準拠の全てのデスクトップ環境で動作するように設計されている。

ただしこれらもアップデートの実際の内部処理は、APT が機能しているので、apt-get コマンドを実行することと大差は無い。

gdebi

thumb|GDebi パッケージ・インストーラー Debian 4.0 では、グラフィカルなパッケージ・インストーラーが新たに提供された。このインストーラーを利用すれば、ローカルに保存した Debianパッケージ(Debファイル)がコマンド操作なしでインストール可能である。Red Hat Linux で初めて採用された Gnome-RPM<ref>http://www.jp.redhat.com/support/manuals/RHL62/ref-guide/ch-gnorpm.html</ref> (あるいは gnorpm とも) というグラフィカルなインストーラーと好対照を成すツールであるが、Gnome-RPM がシェルプロンプトから RPMコマンドを実行するのと同じ機能を有するのに留まるのとは違い、gdebi は APTのようにパッケージ間の依存関係を自動的に解決する機能も併せ持っている点でより優れている。GDebi とも表記される。

debconf

パッケージ管理にはdebconfと呼ばれるフレームワークが用意されており、パッケージ作成者はユーザーに対して簡易のフロントエンドを提供できる。そのため、このフレームワークを積極的に利用しているパッケージでは、インストール後にユーザーが行うであろう初期設定の大半を、対話形式の質問に答えていくだけで、インストールと同時に終える事ができる。またdebconfのフロントエンドは、対話形式のものから、非対話形式なもの、キャラクタベースなものから、グラフィカルなものまで、ユーザーが自由に選択可能である。

リリースの種類

公開は、4つのレベルで何時でも行なわれている。

  1. 安定版 (stable):これは、厳密に安定性を検証したリリースで、公式のリリースはこれになる。これは、おおよそ一年から二年の間隔をもって公開されている。
    • 3.1r3のr3は、3.1に対してセキュリティ等のアップデートパッケージが適用された回数を示すものである。不定期にそれまでのセキュリティアップデートを含めたリリースが行われる。なお、3.1又は、3.1r0、3.1r1に対して全ての更新を適用すると、3.1r3と同じものになる。セキュリティホールバグの修正は、主に上流から修正コードをバックポートする事で行なわれるため、ソフトウェアのバージョンナンバー自体は更新されない。
    • 次の安定版がリリースされると、それまでの安定版は一般に「旧安定版」(old stable) と呼ばれて区別される。
    • セキュリティアップデートは、次の安定版がリリースされた後も、そのまま一年間は継続して提供される。
  2. テスト版 (testing):次期の安定版となる公開テスト中の版である。次に説明する不安定版で一定期間致命的なバグが発見されなかったパッケージが、自動的にテスト版に組み入れられる。
    • デスクトップなどで使う分には支障のない程度の安定度を持っていると言われ、最新のデスクトップを使いたい場合は、このテスト版を使うことが多いようである。だがパッケージ更新が機械的に行なわれるため、依存関係が壊れやすい。
    • リリースが近付くと段階的にフリーズされ、この自動処理が止められる。すべてのRCバグ (Release Critical Bug。安定版として致命的なバグ) が無くなったとき、テスト版は安定版としてリリースされる。
    • テスト版が安定版としてリリースされる時期が近付くとセキュリティアップデートの提供が始まる。それ以前は提供されない。だが、2005年9月より、Debian開発者の有志らがDebian Testing Security Teamを結成し、非公式な形でテスト版向けのセキュリティアップデートを提供している。
  3. 不安定版 (unstable):これは、開発者向けの版である。「sid」とも呼ばれる。
    • セキュリティのアップデートは提供されないが、パッケージの更新サイクルが早いため、セキュリティの問題も比較的早く取り除かれる。またテスト版とは違い、DSA (Debian Security Advisory) によってどのバージョンから当該セキュリティホールが塞がれているか告知される。
  4. experimental:これは、影響が大きなパッケージ群が、不安定版に入れる前に一時的に置かれて、不安定版との組合せによりしばらく実験が行われる。experimentalだけで全てのインストールを行うことは出来ず、他の版との組み合わせにより動く。

なお、apt pinningの技法を使うと、一部のパッケージをより開発途上の版から借りてくる事ができる。例えば、基本的にシステムは安定版で動いているが、ウェブブラウザをテスト版の物を使うなどと言った事ができる。この状態でもAPTが、各パッケージの依存関係を解決してシステムの整合性を保ってくれるので、パッケージの依存関係による問題は生じないようになっている。

Debianのコードネームは、ディズニー配給の映画「トイ・ストーリー」のキャラクタから取られている。 これは、過去にDebianのプロジェクトリーダを務めたブルース・ペレンズが、トイ・ストーリーを製作したピクサー・アニメーション・スタジオの社員であったためである。

バージョン履歴

バージョン コードネーム リリース日 アーキテクチャ数 パッケージ数 Debianセキュリティチームによる現在のサポート状況 特記事項
1.1 buzz 1996年6月17日 1 474 No dpkgELFへ移行、Linux 2.0<ref>Template:Cite web</ref>
1.2 rex 1996年12月12日 1 848 No -
1.3 bo 1997年6月2日 1 974 No -
2.0 hamm 1998年7月24日 2 ~ 1500 No glibcへ移行、新アーキテクチャ: m68k<ref>Template:Cite web</ref>
2.1 slink 1999年3月9日 4 ~ 2250 No APT、新アーキテクチャ: alpha, sparc<ref>Template:Cite web</ref>
2.2 potato 2000年8月15日 6 ~ 3900 No 新アーキテクチャ: arm, powerpc<ref>Template:Cite mailing list</ref>
3.0 woody 2002年7月19日 11 ~ 8500 No 新アーキテクチャ: hppa, ia64, mips, mipsel, s390<ref>Template:Cite web</ref>
3.1 sarge 2005年6月6日 11 ~ 15400 No モジュラーインストーラー、半公式amd64サポート
4.0 etch 2007年4月8日 11 ~ 18000 No<ref>Template:Cite mailing list</ref> グラフィカルインストーラー、udevへ移行、モジュラーX.Orgへ移行、新アーキテクチャ: amd64、脱落アーキテクチャ: m68k<ref>Template:Cite mailing list</ref>
5.0 lenny<ref>Template:Cite mailing list</ref> 2009年2月14日 12 28000 次の安定版リリースの後一年経つまで 新アーキテクチャ: armel

移植版

Debianはいくつかのアーキテクチャに移植されている。以下は実際にリリースされた移植版である。括弧内はプロジェクトでの呼称である。

まだ正式リリースされていない移植版もいくつかある。

  • SuperH (sh)
  • Motorola/IBM PowerPC64 (ppc64)
  • Linksys NSLU2 (armeb)
  • Renesas Technology M32R (m32r)
  • Sun UltraSPARC (sparc64)

こちらも正式リリースはまだだが、Linuxカーネル以外への移植版もある。

  • Debian GNU/Hurd (hurd-i386)
  • Debian GNU/NetBSD (netbsd-i386, netbsd-alpha)
  • Debian GNU/kFreeBSD (kfreebsd-i386, kfreebsd-amd64)
  • Debian GNU/Solaris (solaris-i386)

Debianベースのディストリビューション

Debianはいくつかのディストリビューションのベースとして利用されている。以下はその一部である。

  • Damn Small Linux - 名刺サイズのCDに収まるLiveCD
  • Debian Live - Debian Live Project によるLiveCD日本語版あり。
  • KNOPPIX - ポピュラーなLiveCD。産総研による日本語版あり。
  • Linspire - 企業向けディストリビューション (旧Lindows)。
  • MEPIS - 高いハードウェア認識能力と高度なチューニングツールが特徴のデスクトップ用ディストリビューション。
  • Progeny Debian - Anacondaを移植したディストリビューション。
  • sidux - Debian sidをベースとするLiveCD日本語版
  • Ubuntu - ポピュラーなディストリビューション。
  • UserLinux - 企業向けディストリビューションのベースとなるべく開発されている。
  • Xandros - 企業向けディストリビューション。
  • gnuLinEx - スペインの教育・地方自治体で使用するためのディストリビューション

注釈

<references />

関連項目

外部リンク

プロジェクトの公式リソース

コミュニティサイト

カスタムDebianディストリビューション

Custom Debian Distributions Wiki Pageに一覧などがある。

その他

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