BTRON

出典: Wikipedio


BTRON(びーとろん、Business TRON)は、東京大学教授の坂村健によって提唱されたTRONプロジェクトの、ビジネス局面を担当するサブプロジェクトの一つ。そこで策定されたオペレーティングシステム(OS)やその構成部品の仕様など、おおむねパーソナルコンピュータ(パソコン)関連の内容を指す。

本来特定の製品ではなく、あくまでも「仕様」を指す。が、実際にはBTRON仕様OSのことをそのまま「BTRON」と呼ぶことも多い。現在この仕様に準拠したOSとしては、超漢字シリーズが発売されている。

目次

経緯

BTRON仕様の策定

BTRONは他のTRONと同様、仕様だけが策定され、OSの細かな部分までが決められているわけではない。

実装

FM-Rに実装された「1B」、BTRONマシン試作機MCUBEの「3B」、Brainpad Tipoの「B-right」、PC/AT互換機の「1B/Vシリーズ」「B-right/V」「超漢字」などの実装例がある。

小学校の教育用パソコンへの導入

朝日新聞を主とするマスコミのTRONキャンペーンに乗って、「国産OSで米国産OSに対抗しよう」という政府の流れが生じた。この当時、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を全面的に使った実用的OSとしてはアップルのものがあるだけで、Windowsはまだ実用レベルに達していなかったが、実用レベルのBTRONもまだ誕生していなかったため、これは希望にすぎなかった。しかし、「将来は導入したい」という方針がだされ、それに沿って開発体制が組まれることとなった。学校で使われるパソコンは将来、社会に出たときに使われるパソコンとなるので、普及にとって絶対的に有利と考えられたからである。しかし、この政府をも巻き込んだ市場への働きかけが逆に米国政府に介入の口実を与えてしまう。

スーパー301条

Template:独自研究

このような、TRONキャンペーン、もしくは国産OSを開発し教育用パソコンに導入しようとする気運は、1989年、米国政府が議会へ提出したスーパー301条を適用する製品の対象の中にBTRONがあったことから、一気に沈静化の方向に向かった。

この背景にはマイクロソフト日本法人が本社に働きかけてロビー活動を行ったという話もあり、また通産官僚などにも反対派が生じたと言われている。ただこの説は当時のマイクロソフトの会社規模的に不自然であり、一部ではOS/2を推進し、またNTTと合弁で日本情報通信株式会社を設立するなど精力的に日本市場の拡大を行っていたIBMによるロビー活動であったとも言われており、当時IBMの1下請企業でしかなかったマイクロソフトが便乗したとの見方が強いTemplate:誰Template:要出典。 ただし、坂村教授自身は、NHKの番組『プロジェクトX』に出演の際、IBMも協力してくれていた、と語っている。1989年は日米貿易摩擦が頂点に達したといってもいい年であり、自動車スーパーコンピュータなどの米国の基幹産業や戦略的産業への保護政策に巻き込まれたと言ってもいいだろう。

むしろTRON排除に最も積極的であったのは、当時はまだ日本国籍を取得していなかった孫正義であった。大下英治による孫正義の伝記「孫正義 起業の若き獅子」には、孫が「TRON阻止に尽力した」と述べられている。TRON推進派はこれをもって、「米国政府の策謀に押しつぶされた」と地団駄を踏んだTemplate:要出典

なお、最終的にBTRONはスーパー301条の適用はされていない。

BTRONというまだ実用化もされていないOSさえ巻き込み日米貿易摩擦が過熱する中、スーパー301条の適用の示唆が、米国へ多額の輸出を行っていたBTRON開発に参加した大手メーカーを及び腰にさせた。そのため、BTRONの開発資源はかなり限られたものになった。

ただ、最も圧力が強かったとされる時期の坂村健のコメントを見ても、理想のOSとしてのTRONの概念あるいは観念や理念を語るだけで、プロダクトとして具体性のある話はほとんどしていない。当然、具体性のあるプロダクトは当時全くできていなかった。 開発しようと思えば、TRONをOS研究プロジェクトとして、坂村が所属した東京大学内で独自に研究開発しようと思えばできたはずだが、そのような努力の跡は特に見られない。また、TRONにかかわる研究を全くしないように、国内の大学に圧力があったという事実もない。 このような理由から、当時の時点では、市販どころか基礎研究さえ始っていない、ペーパーレベルの国内独自OS構想にすぎなかった。

結局、BTRONの失敗の根本的な理由は、日本の開発資源のもともとの少なさと、絶妙のタイミングでの介入によって、少ないその資源集中ができなかったという双方の要素が作用しあった結果と考えられる。その結果、ファイル操作に似た操作をなす単体OSとしてはできていたが、その上のドライバもアプリも貧弱で、システムとしてのパソコンを見れば全く実用レベルに達しなかった。TRONが実際に原稿プロセッサなどを提供したあとでは、影響力の弱いマイナーなOSになってしまっていた。システムとしてはあまりにも開発が遅れたので、ライバルと見なす企業・団体もいなくなっていた。

仕様

2004年時点、BTRON仕様には6種類ある。数字の順に性能が上がるわけではなく、BTRON3よりもBTRON2のほうがより高度な仕様である。

OS名の末尾に付いている「/V」は「PC/AT互換機(いわゆるDOS/V機)」の「V」を指すとされる。

なお、厳密な仕様名は「BTRON1(2、3)/(CPUプラットフォーム)」という様に表記する。たとえばPC/AT互換機向けのBTRON1なら「BTRON1/286」である。しかし、この形式の表記は一般には用いられていない。

TRONは仕様と実装をわけたことを特徴とするが、BTRONは仕様と実装が同時に行われ、実装によって仕様も変化し、厳密に分けることはできない。

いずれも完全GUIベースの仕様で、カーソル形状や基本的な画面デザインなども仕様に含まれる。逆に中心核(カーネル)より下のハードウェアに接する低レベル部についてはBTRONの範囲外である。超漢字などではITRONカーネルが用いられる。

μBTRON(1989)

BTRONのサブセットとして構想される。TRON電脳住宅の空調管理用リモコンやオーディオ機器など、フルセットのBTRONを使うほどではないが、ちょっとしたユーザインタフェースを使いたい場合のために構想された。またこれらのリモコンや機器とBTRONをつなげるためのバスやインタフェースも策定された。

BTRON1

インテル80286モトローラ68000等の16ビットCPUと、少ないメモリで動作するように作られた簡略版のBTRON規格。その実装である1Bは、当初は日本の教育市場向けへの標準機として松下電器が開発していた。その道が絶たれるとプロジェクトに参加していたパーソナルメディアが松下電器の下請けとして開発を引き継いだといわれている。その成果として松下電器は富士通からOEM供給を受けた松下電器のPanacomM(FM-Rと同型)を教育市場向けにPanaCALETとして販売。BTRON1はそのPanaCALETに搭載されていたソフトウェアの総称「ETマスター」のOS部分だった。一般販売して欲しいとの要望から教育向けソフトを外してパーソナルメディアよりハードウェアにインストールされた状態で「1B/note-L」「1B/desktop-SX」などの名称で販売された。しばらくして、FM-R向けに「1B/FM-Rソフトウェアキット」として初めてBTRON OSの単独販売がされた。さらに、それをPC/AT互換機向けに移植し当初はやはり「1B/note-Jet」「1B/desktop-SXE」とハードウェアにインストールされた状態で販売されたがすぐに1B/V1ソフトウェアキットとしてOS単独販売され、1B/V3までバージョンアップされた。

BTRON2

本来の32ビットCPU向けBTRONで、ワークステーション用途などを意図していた。設計時点ではハードウェアの性能が追いつかず、研究開発された試作品のみが存在する。ごく少数ながら(参加者は50名ほどと言われている)、研究・開発セミナーであるSIGBTRONにおいて、TRONCHIP仕様のGmicro/300(日立製)をCPUとして使用したBTRONマシン、MCUBEが頒布された。このセミナーでは最終的にはBTRON2マシンを完成させる予定だったが断念し、1Bを32bit化したBTRON3仕様の「3B」が配布された。

知られている特徴は以下のようなものである。

  • デバイスドライバに至るまで徹底して抽象化を図った実身・仮身仕様(マイクロカーネルで仮想化した対象をも仮身を介して扱う)
  • アプリケーション概念を持たずコンポーネントによる編集単位。OpenDoc、WindowsのCOMGNOMEBonoboなどが概念的に近いが、実身・仮身モデルと連携する、より一般化したものである。
  • シングルレベルストア。全てのデータは単一のアドレス空間に配置され、メモリはディスクのキャッシュとなる。

現在カーネル部の仕様のみパーソナルメディア社より販売されている。

μBTRON(1996)

BTRON1を32ビットに拡張。SII社より販売されたPDA、BrainpadTipoに搭載された。パーソナルメディアによって開発されたOS部分はB-rightと呼ばれる。PDA向けのユーザインタフェースを搭載し、OSの大部分をROM化しても動作できるような構造になっている。

BTRON3

松下電器産業からOSソースの権利を受けてパーソナルメディアが開発。著作権的には本当に松下電器産業の権利がないのかは不明。 32ビットCPUを前提とし、柔軟な実身・仮身システムを持つ。APIがBTRON1に酷似しているので、アプリケーションの移植は比較的容易と言われる。BTRON3仕様がはじめて登場するのは前述のMCUBEへの実装からで、当初の構想ではBTRON1を32ビット化したものにBTRON2の仕様を一部取り入れる予定だったと言われる。PC/AT互換機で動作するパーソナルメディア社のB-right/V超漢字)は一般販売されており入手が容易である。

中心核はItIsをベースとしたITRON仕様OS I-rightである。I-right はT-Kernelの原型といえる。

T-Shell

超漢字の外殻をミドルウェアとしてT-Engineに移植。

特徴

TAD

BTRONで扱うデータの形式は、当初TAD(Tron Application Databus)という形式に統一することを標榜した。DataではなくDatabusなのが注目すべき点で、図形や文字列ごとに異なる形式とはなっていない。TADはデータの先頭でデータ形式を宣言し、その後に続くデータについて定義している。ただし、実装されたBTRONはすべて準TADを扱い、TADは使われなかった。動画も未対応。画像の圧縮も仕様のみで実装されなかった。代わりにJPEGファイルなどが混在して扱われている。

BTRON仕様どおりに純TADが実装されれば、そのBTRON-OSではTADでマルチメディアを同等に扱うことができる。

(関連項目:TACL

実身・仮身システム

BTRONでは、ディレクトリとファイルによる階層型のファイル管理ではなく、実身/仮身モデルと呼ぶネットワーク型のモデルを採用している。実身/仮身システムは手軽で奥深いハイパーテキスト環境である。BTRON推進派の中には実身/仮身システムとTADを使っていると頭の中が構造化され頭がよくなるとする者もいる。ただし、ある程度使い込まないとその真価に気づかないという報告が数多くなされており、それが実身/仮身システム、ひいてはBTRONの欠点である。

BTRONではファイルやフォルダという言葉を基本的に使わず、データの実体である実身(じっしん、Real Object)と、それを指し示す仮身(かしん、Virtual Object)という用語を使う。Windowsの用語で言い換えれば、実身とは、おおむね「ファイル」、仮身とは、おおむね「ショートカット」に当たる。

だが通常の「ファイル」や「ショートカット」とは、以下のような点で異なる。

  • ひとつの実身に対して、いくつもの仮身をつくることができる。
    これだけならば、エイリアスやショートカットアイコンに近い。
  • 同一ディスク上の場合、ある実身をさす仮身がひとつでも残っているとき、その実身は削除されない。
    これによって、ファイルの「リンク切れ」のないシステムが実現される。
  • ある実身をさす仮身がひとつもなくなったとき、自動的にその実身は削除される。
    孤立ファイルが基本的にできないため、ディスクの無駄がない。
  • 同じ場所に、同じ名前のファイルを幾つでも置くことができる。
    これは、人間がファイルを認識する「実身名」と、OS側がファイルを管理するID(自動的に割り当てられる)を完全に切り離したため。このため実身名を変更してもリンクは切れない。
  • どんな文字も実身名にすることができる。
    上記のとおりシステムが使用するIDと切り離されているため、システムが使用する文字を使えない、などの制限がない。また、後述のように、点字なども含むTRONコードのすべての文字を実身名として使用できる。
  • 仮身には、「開いた仮身」と呼ばれるプレビュー表示モードにできるものがある。
    仮身を「開いた状態」にすることで、その実身の中身を見ることができる。実身名が同じでも、これによって内容の区別ができるほか、実身名を隠した「開いた仮身」を配置すると、プレビューを埋め込み、埋め込まれた側の文書のコンテンツの一部とすることができることになる。ただし画像は原寸大、表計算は実行して再計算しない限り最新のファイルにならないなど、実装でのばらつきが目立つ。マイクロカードや基本ブラウザのようにプレビューを表示できないソフトも少なくない。
  • 仮身は、文書、表計算、画像など任意の実身中に置くことができる。
    自分で触るパソコンの中にハイパーリンク(=ハイパーテキスト)環境が実現される。
    ユーザーにとっては、リアルタイムでウェブページを生成しているような操作となる。
    あるファイルと関連のあるファイルのアイコンを思うままの場所に置けるので、コンピュータの都合に合わせるのではなく、人間の思考に近い形でファイル管理ができるとされる。一方、あまりに自由度が高いので、他のOSに慣れた人間は、かえって何をしたら良いのか分からなくなる、とも言われる。

現在BTRONの使用感覚を再現したソフトとしてWindows用のBTMemoがある。

内部的には、一般的なOSのファイルシステムとは異なり、BTRONの「ファイル」はディレクトリとデータファイルを区別せず、全てのファイルが他のファイルへの参照レコードを保持するようになっている。つまり、あらゆるファイルが潜在的にディレクトリでありうるため、ファイルの絶対位置が不要なのである。他のOSでもハードリンクを駆使すれば原理的には似たことが可能だが、BTRONのように多重リンクを前提としたファイル構成は他に類を見ない。

解決が困難とされる問題点

実身・仮身システムの現在の課題のひとつとしては、2001年に発売された商用実装であるB-right/V R4(超漢字4において、ひとつのディスク(ハードディスクなど)には最大で65000の実身しか置くことができないという点が挙げられる。これは、OSの実装に際してファイルを認識するIDに16ビット整数を使用しているからで(本来のBTRON3仕様は32ビット)、現行のシステムとバイナリの互換性を保ったままこれを拡張することは困難と言われている。従ってこの実身数制約を拡張するためには、新たに実装しなおす必要がある。

高速動作

BTRON仕様OSは、実時間(リアルタイム)OSであり、ビデオ、オーディオ等、実時間処理が必要なタスクを安定的、高速で処理できる。これは核となる部分にITRONの技術を利用しているためである。このため動作が軽快で、同じハードウェア構成のコンピュータにインストールしたWindowsなどの別のOSと比較してみると、高速で動作するところがある。 Windowsとのシェアの差により、ディスプレイドライバなどが貧弱なため、グラフィックチップのハードウェアによる描画等の加速化があまりされておらず、画面の書き換えは遅く感じることもある。 起動時間は短いが、これは常駐ソフト(UnixのデーモンやWindowsのサービス等)やデバイスドライバなどが少ないためであり、単純にWindowsと比較することはできない。

この高速性を利用して、BTRON推進者からは、中古パソコンの再利用にBTRON仕様OSを使おうという動きがでたこともあった。

ダイレクトオペレーション

BTRONでは、画面上にあるものは基本的に全て、マウスや電子ペン等のポインティングデバイスで操作することが可能となっている。コンピュータに詳しくないユーザーにでも簡単に扱えるように、ウィンドウのサイズ変更はもちろんのこと、選択範囲(BTRONでは「ちらつき枠」という)の文章や図形は、そのままドラッグ・アンド・ドロップ(BTRONでは「つかんでポイ」という)操作で移動ないし複写できる。

アプリケーションは既存の文書などはその仮身をダブルクリックするなどしてアプリケーションを起動するのはWindowsなどと同様だが、新規の文章を書き起こす場合は「原紙集め」という仮身を開いてその中にある「原稿用紙」という仮身をドラッグして任意の位置にドロップすると新しい文書の仮身が作られる。Windowsなども同様の操作ができるが、逆に他のOSのアプリケーションで一般的なアプリケーションを起動してから文書を作成する、既存の文書を読み込む、という操作は不可能で、文書(仮身)からアプリケーションを起動しなければならない。例えば「書く前に新しい紙か既存の文書を用意」などの現実の行動と合っているのでわかりやすいという人もいれば、他のOSと違いわかりにくいという人もいる。この作法はAltoの経験を基に米ゼロックス社(XEROX)によって1981年に商品化されたXerox Starときわめて類似している。

ソフトウェアのインストールも簡単で、基本的にはソフトウェアのアイコン(仮身)をシステムを管理するウィンドウに「ドラッグ・アンド・ドロップ」するだけで完了する。

イネーブルウェア

TRONの思想のひとつに、イネーブルウェアというものが挙げられる。これは平たく言えばソフトウェアのユニバーサルデザイン、と換言できる。BTRON仕様OSでは、さまざまなハンディを持つ人でもよりパソコンを使いやすいようにメニュー項目や実身名の書体・サイズ、マウスポインタの大きさ、仮身サイズや表示方法、ウィンドウのスクロールバーの幅などが自由に変更できる様に定められている。ただし、これはあくまでも、利用者の便宜を図るための機能であり、他のOS、ウィンドウシステムに見られるような、ことさらに奇をてらい、華美に見せるための機能ではない。使用感の統一化を図るため、例えば、マウスポインタのデザインは、特別な場合を除き変更しないこととされている。初めて使用するアプリケーションであっても混乱がない様、メニューの並び順なども規格化されている。多言語の利用についても考慮されたデザインガイドラインも既定されている。市販のTRON仕様OSにおいても、上記の機能は実装されている。

大規模文字セット

BTRON(仕様OS)は、「文字に強いOS」として設計された。事実上地球上すべての文字を利用可能な文字コードである、TRON文字コードを使用しており、2003年現在、TRON文字収録センターにより管理されている17万字の文字が扱える。これらは固有の文字コードを与えられており、いわゆる外字ではないため、検索・置換の対象とすることができる。また、アプリケーション間でコピー&ペーストしたり、ネットワークを介して他の(同仕様の)コンピュータに送信しても文字化けを起こすことがない。また、UNICODE他の文字コードを実装したシステムと異なり、実身名(=ファイル名)に、漢字アラビア文字点字などを混用しても通常通りの操作が可能である。また、文字についてはたえず増強が行われており、特殊なものとしてはアーヴ文字(アース)や、神代文字の一つであるホツマ文字等の架空文字や、チベットの一部で使用されているトンパ文字等も使用可能となっている。UNICODEを内包し、CJKのユニフィケーションは、とりあえず日本の漢字が割り当てられており、対応する中国の漢字、韓国の漢字は、別のコードが割り当てられている。また、康熙字典に収載された漢字についても、全て個々の文字コードが割り当てられている。他の大規模文字セットと異なり、日本主導で策定されており、特徴として、来るものは拒まず方式で、あらゆる異体字を、ばらばらの文字コードでとりあえずとにかく入れてしまい、検索時の不便さは、アプリケーション側で対応するという方針を取っている。

超漢字の場合、全ての文字コードの相互の関連情報を保持したデータベース及び検索用の共有ライブラリを持つ。この方式は、実は、他の大規模文字セットを利用するときも妥当な方式であるが、UNICODEを用いるWindows環境では余り真剣に議論が行われていないようである。

現在の問題点としては、表示ルールの難しいタイ文字などの対応でUNICODEに後れをとっていることがあげられる。

『ビジネス』(トロンとしての実用性)

ハードウェア資産の活用

BTRON仕様OSは軽量高速なことから、数世代前のハードウェアでも充分使用可能で、古いハードウェアを廃棄せずに第一線で活用することができる、と言われている。

実用環境はCPU166MHz RAM32MB HDD1GB程度。 辞書、BBBを使うのであれば十分。 Firefoxなどを使う場合はもう少し上の環境が望ましい。

ファイルの互換性

2003年現在、BTRON仕様OSには基本的な文書作成・表計算などのアプリケーションがあるが、ビジネスソフトとして事実上の標準となっているMicrosoft Officeのファイルをそのまま読み込むことができない。

Macintoshにはマイクロソフト自身がMacintosh向け製品を作っているほか、LinuxBSDといったPC-UNIX上ではOpenOffice.orgが動作する。そのためこの点が、Business-TRONをビジネスの現場で用いるための妨げとなっている点は否めない。

また、BTRON向けにAdobe Acrobatが提供されておらず、PDFを作成することもできない(閲覧は実現されている)。

そもそも、ファイルや編集の基礎概念が根本的に異なるBTRONに、既存のアプリケーション体系を当てはめる事自体に無理があり、この方面での発展は今後も望みが薄いものと推測される。

関連項目

  • 新JIS配列 - 教育用パソコンのキー配列はこれが元になっている。

外部リンク


Template:TRONen:BTRON

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