CID (文字コード)

出典: Wikipedio

Adobe-Japan から転送)

CIDは、アドビ社のCIDフォントが内蔵するすべての文字(文字コレクション)を識別するため、文字ごとに振られる一連の番号。

文字コレクションは言語ごとに定義され、その言語の主要な文字集合をサポートするために必要な文字をすべて含む。文字コレクションには「登録者-配列(-追補番号)」の形式で名前が付けられる。たとえばアドビ社が定めた日本語の表記に使われる文字コレクションの名称はAdobe-Japan1である。

Adobe-Japan1は、JIS X 0208ISO/IEC 10646(≒Unicode)などの公的な文字コード規格では(異体字セレクタを使わない限り)同じコードが与えられている異体字の字形1つ1つに別々のCIDを割り当てている。実際のOS・アプリケーションとのやりとりは通常フォントに内蔵されている CMAPテーブル(CIDとUnicodeを相互に関連付けた対応表)を参照して行われるが、AcrobatInDesign(いずれもアドビシステムズ社製品)・日本語LaTeX<ref>OTFパッケージの利用で可能。</ref>(フリーソフト)などのソフトはCID番号を直接利用することがある。

Adobe-Japan1の追補ごとの詳細は以下の通り。

Adobe-Japan1-0 
1993年6月11日発表。8,284グリフ。JIS X 0208-1983まで、OCFフォントで利用<ref>OCFフォントのグリフはCIDを持たないが、グリフの内訳はAdobe-Japan1-0と等価</ref>。Adobe-Japan1-4でJIS X 0208-1983の規格票字形が追加されたことに伴いAdobe-Japan1-0の範囲にはJIS X 0208-1990の規格票字形を実装することになったが、当初は厳密な規格票字形の実装を求められていなかった。このためAdobe-Japan1-4以前から存在するフォントで互換性の問題が生じる場合がある<ref>jfonts_Topics</ref>。
Adobe-Japan1-1 
1994年10月4日発表。8,359グリフ。富士通やNECのJIS X 0208実装に使われていた字体(おおむねJIS C 6226-1978に基づく)の拡張およびJIS X 0208-1990で追加された漢字の追加。
Adobe-Japan1-2 
1994年10月4日発表。8,720グリフ(CIDフォント)。IBM外字などの拡張によりマイクロソフト標準キャラクタセットをサポートした。
Adobe-Japan1-3 
2000年3月31日発表。9,354グリフ (OpenType Std)。縦書き字形の拡張。漢字の追加はない。
Adobe-Japan1-4 
2000年3月31日発表。15,444グリフ (OpenType Pro)。Mac OS X v10.0で利用可。過去のJIS X 0208の規格票字形すべてや、JIS X 0221 附属書1の追加漢字集合に対応。
Adobe-Japan1-5 
2002年9月20日発表。20,317グリフ(Opentype Pr5)。Apple拡張(APGS)の取込み、JIS X 0213:2000、国語審議会「表外漢字字体表」など対応。Mac OS X v10.2, 10.3, 10.4で利用可。
Adobe-Japan1-6 
2004年6月11日発表。23,058グリフ(Opentype Pr6N(・Pr6))。JIS X 0213:2004<ref>マイクロソフト社Microsoft Windows 7の後継となるOSから、和文フォントについてはJIS X 0208-1990(Pr6)には対応せず、JIS X 0213:2004(Pr6N)にのみ対応することを決めている。</ref>およびJIS X 0212への対応。U-PRESSの文字を追加。Mac OS X v10.5で利用可。現時点では少なくともアドビシステムズ・モリサワ<ref>2009年12月9日をもって、Windowsについて、和文のみを扱うフォントベンダーとしては初の64bit版OSへの完全対応を果たした(ただし、「Pack for Vista」はNT6.xのみの完全対応。また、同年内で終売とはならず、2010年以降も継続して販売するパッケージフォントおよびレンタルするフォントライセンスに限る)。</ref>の2社がこれに完全対応する Opentype フォントを販売している。

Adobe-Japan1-4 と Adobe-Japan1-5 の間に Apple が Mac OS X (10.1) で JIS X 0213 文字を拡張した Apple Publishing Glyph Set(APGS) もあるが、Adobe-Japan1-5 と同じものということになっている(実際にはAdobe-Japan1-5との間には僅かに違いがある<ref>Adobe-Japan1-4 & APGS実践情報</ref>)。

古いものでAdobe-Japan2もある。Adobe-Japan2-0はJIS X 0212に相当するが、Adobe-Japan1-6に統合され廃止された<ref>Adobe-Japan2-1以降は元々存在しない。なお、実際には Adobe-Japan2-0 には含まれるグリフで、Adobe-Japan1-6 には含まれないグリフとしては、漢字3字が存在する。これについては、Adobe-Japan1-7 で追補される予定</ref>。

Adobe-GB1(簡体字中国語)・Adobe-CNS1(繁体字中国語)・Adobe-Korea1(朝鮮語)など日本語以外のCJK圏で使われる文字コレクションもあるが、Adobe-Japan1以外はおおむね公的な文字コード規格の文字をそのまま含んでいるだけであるため、Adobe-Japan1に比べると、さほど注目されていない(最新版はそれぞれAdobe-GB1-5(30,284グリフ)・Adobe-CNS1-6(19,156グリフ)・Adobe-Korea1-2(18,352グリフ))。

脚注

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関連項目

外部リンク

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