2000年問題

出典: Wikipedio


2000年問題(にせんねんもんだい)は、グレゴリオ暦2000年になるとコンピュータが誤作動する可能性があるとされた問題。Y2K問題(ワイツーケイもんだい:"Y"はyear)、"K"はキロkilo))、ミレニアム・バグ(millennium bug)とも呼ばれた。

目次

原因

直接の原因は、プログラム内でを扱う際の年数の表現方法である。年数の表現をグレゴリオ暦の下二桁のみで行っている場合、2000年が内部で00年となり、これを1900年とみなしてしまい、例えば「データベースを日付順に並び替える処理をすると、順序が狂う」などの誤作動につながる可能性があるとされた。

また、現行の太陽暦であるグレゴリオ暦では

  1. 年が4で割り切れる年は閏年とする
  2. (1)のうち、年が100で割り切れる年は閏年としない
  3. (2)のうち、年が400で割り切れる年はこれを適用しない(つまり閏年とする)

というルールがあり、このため2000年は閏年だったが、誤って1と2のルールしか適用せず、閏年としなかったプログラムが存在したため、この対応も併せて必要とされた。

コンピュータの黎明期は、リソース(特にメモリ関係)の費用負担が重く、出来るだけメモリを節約するプログラムが要求され、年号を下二桁で表すことによりリソースを節約をするのは、当時のプログラマの間では当然のテクニックだった。また電子式コンピューターの先祖とも言える機械式コンピューター(パンチカードシステム)においては、年数の下二桁表示が当たり前であり、それをそのまま継承したという一面もあった。そのようなプログラムの多くは1960年代から1980年代頃に開発され、当事者は「2000年までには、何らかの改良が加えられるか、全く新しいプログラムが運用されるだろう」との前提でいたため、特にこの問題に対する対策を施していない場合が多かった。2000年問題が表面化した際は、プログラムを作成した技術者の退職などもあり、手作業でのプログラムの確認と修正が必要になった場合も多い。

これらのプログラムが作成された時点で既に、多くの国で様々な領域や分野でコンピューターが使用されていたため、思わぬところでの機能停止の危険があり得ることが指摘されていた。これらの問題により、物流や、その他の社会運営上の不具合の発生などが連想され、国際経済が深刻な不況に陥る可能性を指摘する声もあった。一部には、カレンダーを持たず2000年問題の影響を受けない、独立したマイクロコンピュータ応用機器の誤動作の不安を煽るなどの過剰反応も見られた。

事前対策

当時、想定された問題としては

などがあった。このため、1990年代末に使用していたプログラムの訂正が世界規模で行われた。この修正作業に費用と期間が取られてしまい、中小零細レベルの会社などにおいて大きな打撃となった。

結果

日本

2000年1月1日

1999年12月31日から2000年1月1日にまたがる運行をするJR東日本などの鉄道各社はすべて列車を最寄りの駅に臨時停車し運転を見合わせ、航空便はシステムの不測の事態に備えて欠航したり、年が明けてからの出発に変更されたりした。

2000年になった時点では、一部のシステムに不具合は出たものの、ほとんどが致命的な問題には至らなかった。また、システムによっては時刻を協定世界時(UTC)で取扱うものがあり、そのようなシステムでは日本時間で言えば2000年1月1日午前9時に不具合が生じる事も懸念されたが、午前9時を迎えて重大な問題に至ったものもほとんどなかった。

具体的な例としては、電力供給において、女川原子力発電所福島第二原子力発電所および志賀原子力発電所にて、警報装置が誤報を発したり一部データ管理が不能になるも、発電、送電機能や放射性物質管理に問題は発生しなかった<ref>電気事業連合会 2000年1月21日報道発表資料</ref>。

身近なものの例としては、当時NTTドコモが販売していた携帯電話「ムーバN206」(NEC製)のショートメール機能において、「既読メールが容量オーバーで受信できなくなった場合、古いメールから自動削除する」機能が誤作動した例がある<ref>『産経新聞』 2000年1月3日東京朝刊26面</ref>。また、2000年を想定した設計がされていない、古いビデオデッキの予約録画、ワープロ機の文書管理機能などに影響が出た機種がある。

2000年2月29日

2000年2月29日になり、当日を閏日として処理していないために「エラー日付」として取り扱われる問題が発覚した。

なお、もともと2000年問題の深刻さ・その対処については疑問の声も多くあり、例えば1月1日よりも2月29日の方が大きな騒ぎとなったことを理由に、「そもそも重大な危険が存在しなかった」とする者もいる。これに対しては「対策を行ったため結果として大きな問題が発生しなかったのであり、何の対策も行わなかった場合は大きな問題が発生していただろう」との意見がある。 日本に於いては1989年に元号対応の問題が発生しており、その対応時に同時に2000年問題への対処も併せて行っていた事例が多かったという事情も存在する。 いずれにせよ、結果としては直前にマスメディアで騒がれていたような生活に直結するほどの混乱は一切起きず、ほぼ杞憂に終わったと言える。

参考文献

<references />

関連項目

外部リンク

cs:Problém roku 2000 da:År 2000-problemet de:Jahr-2000-Problem en:Year 2000 problem eo:Problemo de jaro 2000 es:Problema del año 2000 fi:Y2K fr:Passage informatique à l'an 2000 fy:Milenniumbrek he:באג 2000 id:Masalah Tahun 2000 it:Millennium bug ko:2000년 문제 lt:2000 metų problema ml:വൈ. 2 കെ. ms:Pepijat tahun 2000 nl:Millenniumbug no:År 2000-problemet pl:Problem roku 2000 pt:Problema do ano 2000 ru:Проблема 2000 года simple:Year 2000 problem sl:Hrošč tisočletja sv:Millenniebuggen tr:Y2K problemi vi:Sự cố máy tính năm 2000 zh:2000年问题

個人用ツール