魔法の国ザンス

出典: Wikipedio


Template:継続中の作品 Template:文学 魔法の国ザンス(まほうのくにざんす)シリーズはピアズ・アンソニイ (Piers Anthony) 著のファンタジー小説である。

当初は3部作として開始されたが、好評であったために、9部作(32)、さらには27部作(33)の予定となり、そして現在は30作目を超えて続けられている。このシリーズの大きな特徴は「駄洒落」である。駄洒落や語呂合わせがキャラクターや小道具、劇中の会話は言うに及ばず、作品の構造自体にも抜きがたく組み込まれている。

目次

設定

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舞台
物語の主な舞台となるのは魔法の国ザンス (Xanth)。魔法がない外部地域をマンダニア(Mundania="現世")という。ザンスは半島状の陸地であり、作者が住むフロリダ半島と似た海岸線を持つ。ザンスとマンダニアとの繋がり方は複雑であり、ザンスからはマンダニアの様々な時代・地域に移動することができる。例えば、ポエニ戦争カルタゴ)の頃、13世紀の朝鮮、19世紀のフランス、現代のアメリカ合衆国など。
住人はみな、何か魔法の力を持っているか、魔法的な生き物であるのが原則である。しかし、魔法の力を持つ魔法的な生き物もいる。
ザンスには、マンダニアと同じ動物は人間以外ほとんどいない。それは、世代を経るにつれ、セントール(ケンタウロス)、ハーピーゴブリンドラゴンのような魔法的な生き物になってしまうためである。植物も、パイ、クッションのような特殊な実を作る木や、まじない消しの木や触手木のような魔法を持つ木に変化している。
上に述べた理由で、ザンスで純粋な人間という種属が存続するためには、マンダニアからの移住が必要であった。しかしながら、移住の歴史は必ずしも平和的ではなく、虐殺が伴ったこともあった。そのため、一時は結界を張って外来者を受け入れない時代もあった。
魔法の源
ザンスの魔法の源は、地下に存在する魔王X(A/N)thである。魔法の粉塵村の住人は、魔力をザンス全体に広めるために、魔王の魔力を帯びた粉を撒き散らしている。一時、魔王がザンスを離れたときは、ザンス全域の魔力が消えてしまったこともある。
ザンス王位の継承権
ザンス人の魔法の力は、他の人の力と重なることは基本的にない。他の人よりも強い魔法の力を示す男性を魔法使いといい(作中では、「魔法の力でしか為しえない能力を持つ者」を「魔法使い」と定義している。例えば、同じ「どんな者とでも会話できる魔法」でも「生物との会話」は魔法の力でなくとも「技術」として習得できるが、「無生物との会話」は魔法の力でなければ出来ない、など)、女性の場合魔女と呼ぶのが過去の慣習であった。ザンスの王は、前の王の血族ではなく、魔法使いの中から選ばれる。そのため過去の歴史では魔女が王位に就くことができなかったが、『夢馬の使命』で魔女とは女魔法使いであると定義が見直され、女性が王位に就くことも認められている。魔法使いが居なくなってしまえば王位に就くものが自動的にいなくなるため、暫定的に或る人物が王位に就いた事がある。現在では魔王X(A/N)thによりビンクの子孫が魔法使いとして産まれるよう取り図られている。
人名や種属名などについて
原作は英語であるが日本語訳では、人名や種属名は必ずしも英語読みに準じていない。Irene(アイリーン→イレーヌ)など。しかしながら、セントール(centaur)は、日本では馴染み深いケンタウロスではなく英語読みに準じている。

登場人物

ビンクとカメレオンの家系

ビンク
第1・2作目の主人公。彼は魔法の力を示すことができないため、ザンスを追放されてしまった。マンダニアとの境界部で、昔追放された邪悪な魔法使いトレントに捕らえられ、ザンスへの帰還に同行することになる。後に彼が「魔力無効(敵が魔法でビンクに危害を加えようとした時、他者にビンクの能力を知られない状況の時に発動する)」の魔法使いであることが判明したが、ビンクの身の安全の為に当初そのことは極一部の者にしか知らされていなかった。
ローランド
ビンクの父親。睨んだ者の身体の自由を奪う「金縛りの凝視」の魔法を持つ。公の場では感情を表に表すことをせず、常に冷静沈着な人物であるが、ビンクにとっては理解力のある頼もしい父親である。
ビアンカ
ビンクの母親。狭い範囲で5秒間だけ時間をとびこえることができる「再生」の魔法を持つ。夫のローランドに比べると多少、感情的で潔癖症な性格であるが、ビンクにとっては大変に愛情深い母親である。
カメレオン
ビンクの妻。月の周期に従って容姿と知性が逆比例して変化する魔法。
ドオア
ビンクとカメレオンの息子。無生物と会話ができる魔法使い。トレント王の退位後、ザンス王位に就く。妻は、トレントの娘イレーヌ。
アイビィ
ドオアとイレーヌの娘。周りにいる生き物の能力を強める力を持つ魔法使い。恋人はマーフィの息子グレイ。
ドルフ
ドオアとイレーヌの息子でアイビィの弟。自分自身が他の生物に変身する魔法使い。婚約者が決定するまでに、重大な事件があった。

トレントとアイリスの家系

トレント
生き物を変身させる魔法使い。変身させられたものは、魔法の力も変身後の生き物と同じとなり、心も影響を受ける。かつて王位を狙ったが、敵対する人を容赦なく変身させるという邪悪なことしたため、ザンスから追放された。マンダニア(19世紀フランスアルル地方)で数年を過ごし妻子を得るが、彼らが亡くなった後、再びザンスに戻ってきた。帰還後、アイリスと再婚し、王位に就く。
アイリス
トレントの後妻。目くらましの魔女。
イレーヌ
トレントとアイリスの一人娘。植物を瞬時に育て上げる能力を持つが、魔法使いとはみなされていない。ただし、ある事件の時には一時的に王位に就いた。ドオアとは幼馴染みであり、後に結婚した。

ハンフリーとゴルゴンの家系

ハンフリー
ハンフリーは昔の王であり、現在でも生存し、ザンスに影響を与え続けている「情報の魔法使い」である。彼は、ザンスの人や生物が抱える人生(怪物生?)上の難問について回答を与える。しかしながら質問者は、ハンフリーの元にたどり着くために3つの関門を突破し、回答をもらった後には1年間の奉公をしなければならない。
ゴルゴン
ハンフリーの妻。セイレーンの妹。
ヒューゴー
ハンフリーとゴルゴンの息子。腐った果物を召喚する魔術を使う。

チェスターとチェリーの家系とその他のセントール

チェスター
馬力応用学を専門とするセントール。ハーマンの甥。上半身である人体のルックスは見栄えしないが、馬である下半身はすばらしいという体の持ち主。剣と弓の扱いに長ける。気が短い。セントール族としては珍しく、魔法に対する嫌悪感は少ない。
チェリー
ヒューマノイドの歴史学を専門とするレディ・セントール。魅力的な顔立ちをした美しいセントール。ほとんどのセントール族と同様に、魔法に対する嫌悪感は強い。
ハーマン
魔法を使うために追放されたチェスターの叔父。鬼火を出現させる魔法。ぴくぴく虫からザンスを救った。
アーノルド
セントールの島の文献学者。魔法に対する嫌悪感が強い。
チェット
チェスターとチェリーの息子。ドオアより少し年上。大きな物を小さくする魔法。
チェム
チェットの妹,未知の地形について論文を書いている。地図を投影する魔法。
チェスク

バリバリと悪霊のニンフの家系

バリバリ
悪霊の呪いから逃れるために菜食主義になった人食い鬼。
悪霊の女優ニンフ
バリバリの妻。イラクサみたいな髪にベトベトの肌をした人食い鬼を演じている悪霊。
メリメリ
バリバリと悪霊の女優ニンフの息子。後にタンディと結婚。
エスク
メリメリとタンディの息子。「否定」の魔術(発生した事象や相手の行動に対して「NO」という事によりそれを無効化する)を使う。

ゾンビーの頭とミリーの家系

ゾンビーの頭
死体をゾンビーとして蘇らせる魔法使い。ルーグナ王の時代に生きていたが、あるエピソードにより現代に蘇る。
ミリー
ルーグナ時代に死んで、ルーグナ城に出現していた幽霊。トレント王時代に蘇り、ゾンビーの頭の妻となる。性的魅力の魔法を持つ。
ハイエイタス・ラクーナ
ゾンビーの頭とミリーの間に生まれたいたずら好きの双子。

マーフィとバードヌの家系

マーフィ
物事の進行を妨げる力を持つ魔法使い。800年ほど前の時代でルーグナと王位を争った。あるエピソードを経て、ドオア王の時代に再び現れる。
バードヌ
物の形を変える位相の魔女。マーフィと同じく、ルーグナ・ドオア時代に生きる。マンダニア滞在中にマーフィと結婚した。
グレイ
魔法の力を打ち消す魔法使い。マンダニアで生まれたマーフィとバードヌの息子。マンダニアでアイビィと知り合い、恋人となった。

クロンビーとジュエルの家系

クロンビー
王国の兵士。あらゆる探し物に対し、その方角を探知する「ものの所在をつきとめる力」の魔法を持つ。剣技と格闘に長けており、信頼する者には厚い友情を示すが、女性に対しては徹底的な不信感を持っている。
ジュエル
クロンビーの妻。宝石を地中に埋める仕事をしている。感情に応じた匂いを出す魔法。
タンディ
クロンビーとジュエルの娘。感情が高ぶると癇癪球を投げる魔法。後にメリメリと結婚。

過去の王

嵐の王
その名の通り、嵐を起こすなどの天候をコンロトールすることができる魔法使い。在任中には王位を狙うトレントをマンダニアに追放することに成功した。晩年は高齢のためか魔法の力が失われ、冷静な判断を下すことも困難となっていた。
ルーグナ
ザンスの初代国王。

その他

サブリナ
ビンクとは幼馴染みの恋人。あらゆる映像を立体的に空中に描くことができる「ホログラム」の魔法を持つ。容姿端麗で才能に恵まれている。ビンクがザンスを追放されるにあたり、二人の関係は破局する。
ジャスティン
北の村に生えている記念物的な木。
声を発することなく離れたところに自身の声を届ける「声の投射」の魔法を持つ。
かつては人間だったが、トレントに敵対したために彼の魔法により木に変身させられた。物事を客観的に捉えるため、村人からは良き助言者として尊重されている。トレント即位時に一度人間に戻ったが、ドオアの子供時代には木になっている。
ジャンパー
中年の雄クモ。ルーグナ城の秘密でドオアと一緒に旅をする仲間。絹の糸をつむぐ。
頭脳サンゴ
防腐の湖に住む魔法の源の番人。防腐の湖でいろんなものを保存する。
グランディ
ハンフリーが作った親指大のゴーレム。生命あるものとすべて会話ができる通訳の魔法を持つ。
セイレーン
ゴルゴンの姉。 ダルシマーと歌で男性を魅了する人魚。
アイダ

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作品リスト

第一部

  • 1.「カメレオンの呪文」(A Spell for Chameleon):英国幻想文学大賞受賞
  • 2.「魔王の聖域」 (The Source of Magic)
  • 3.「ルーグナ城の秘密」(Castle Roogna)
  • 4.「魔法の通廊」(Centaur Aisle)
  • 5.「人喰い鬼の探索」(Ogre,Ogre)
  • 6.「夢馬の使命」(Night Mare)
  • 7.「王女とドラゴン」(Dragon on a Pedestal)
  • 8.「幽霊の勇士」(Crewel Lye -A Caustic Yarn-)
  • 9.「ゴーレムの挑戦」(Golem in the Gears)

第二部

  • 10.「悪魔の挑発」(Vale of the Vole)
  • 11.「王子と二人の婚約者」(Heaven Cent)
  • 12.「マーフィの呪い」(Man from Mundania)
  • 13.「セントールの選択」(Isle of View)
  • 14.「魔法使いの困惑」 (Question Quest)
  • 15.「ゴブリン娘と魔法の杖」(The Color of Her Panties)
  • 16.「ナーダ王女の憂鬱」(Demons Don't Dream)
  • 17.「名誉王トレントの決断」(Harpy Thyme)
  • 18.「ガーゴイルの誓い」(Geis of the Gargoyle)
  • 19.「女悪魔の任務」 (Roc and a Hard Place)
  • 20.「魔王とひとしずくの涙」(Yon Ill Wind)

未訳

  • 21. Faun & Games (1997)
  • 22. Zombie Lover (1998)
  • 23. Xone of Contention (1999)
  • 24. The Dastard (2000)
  • 25. Swell Foop (2001)
  • 26. Up in a Heaval (2002)
  • 27. Cube Route-Ay Adult- (2003)
  • 28. Currant Events (2004)
  • 29. Pet Peeve (2005)
  • 30. Stork Naked (2006)
  • 31. Air Apparent (2007)

シリーズ構成

  • 第一部(第1-9作)では、作品ごとに異なる主人公が問題解決のためハンフリーに質問し、もらった回答の真の意味を知るための旅に出るというパターンが多い。
  • 第二部(第10作-)は、失踪したハンフリー一家をアイビィなどが探索する構成となっていた。ハンフリー一家の帰還(『魔法使いの困惑』)以降は、第一部と同じ謎解決の旅のパターンの作品もある。

外部リンク

en:Xanth es:Xanth fr:Cycle de Xanth no:Xanth pl:Xanth ru:Ксанф (серия романов)

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