錯体化学

出典: Wikipedio


錯体化学(さくたいかがく、Complex chemistry)とは金属錯体を研究する化学であり、無機化学の根幹領域のひとつでもある。 古くは錯塩化学(さくえんかがく、Complex salt chemistry)や配位化学(はいいかがく、Coordination chemistry)とも呼び表された。

目次

歴史

錯体化学の創始は、1896年にドイツのアルフレッド・ウェルナー配位理論により、遷移金属塩のアンモニア化合物、水和物などを説明したことに始まる。また、配位理論は構造論であり無機化合物の構造に関する研究の第一歩でもあった。当時は配位子もほとんど無機化合物であったため無機化学の一分野と考えられた。

その後、EDTAをはじめ多座配位子として複雑な有機配位子、例えばコンプレキサン類、色素、ポルフィリンヘムあるいは金属配位タンパク質についても研究されるようになると生化学とも深いつながりを生じるようになる。また錯体中心金属は遷移金属のみならず、典型金属または非金属の典型元素までも研究対象とされるようになった。

有機金属化学との連携は1951年のフェロセンの発見に端を発して、メタロセンパイ錯体など従来の配位理論の範疇を超える錯体の発見へとつながった。これらの錯体の構造論と反応性との研究成果は有機金属化学における新しい触媒や新しい反応試剤の開発へとつながり、有機合成化学とも深いつながりをもとらすようになった。

研究手法

錯体化学は構造論を軸としているので、対象化合物の構造解析は重要である。遷移金属錯体では配位構造変化に伴う光の吸収スペクトル変化が顕著でありUV-Visで確認することも多い。今日ではより直接的な構造解析手法、例えば、X線構造解析などによって行われる。また、必要に応じてIRNMRESRなども利用される。

おもな錯体化合物

関連項目

個人用ツール