重賞

出典: Wikipedio


重賞(じゅうしょう)とは競馬競走の中の目玉となる大きな競走である。

解説

重賞の開催は事前から告知を行い有力馬を集め、多くの観客を集めるための看板となる競走である。

重賞の語源は英語のパターンレース(pattern race)から来ている。パターンレースとは「毎年一定の時期に一定の条件で繰り返し行われる競走」のことで、18世紀イギリスで始まった。それ以前は競馬の競走は開催直前まで条件が確定されないことが常であったが、パターンレースが広まることによって有力馬が目標を持って調整を行うことが可能となった。「重賞」という語は、このパターンレースの「回をねてを行う」点を採って意訳したものとされる。もちろん「重要な賞」であることに疑いはないが、patternという語に「重要な」という意味はない。

ただし、現在ではパターンレースの訳語が重賞であると単純に定義づけることはできない。例えばグレード制(またはグループ制)のもとではパターンレースはG1(グレード1もしくはグループ1、以下同じ)、G2、G3およびL(LR、リステッドレース、Listed race)に格付けされるが、このうちリステッドレースは日本では主に「準重賞」と訳され、重賞には含めない。

日本でも重賞以外の一般競走・特別競走の番組が一部を除いて中央競馬では年3回、地方競馬では当該開催の直前に所属馬の動向を鑑みて発表されるのに対し、重賞は年度ごとの発表であり、なおかつ頻繁な条件の変更は行われないことから「重賞はパターンレースの一種」であるということは間違いない。

重賞に対応する言葉としてグレード競走(グループ競走)という表現が用いられることも多いが、日本にはグレードなどの格付けのない重賞も地方競馬を中心に多数存在する<ref>中央競馬では平地競走1984年障害競走1999年から全ての重賞競走に格付けがなされ、格付けの無かったアングロアラブ系競走は1995年に廃止されたため、しばらく全重賞に格付けがなされていた(芝コースからダートコースに馬場変更となったために格付けがはずされたレースを除く)。2009年より施行されたレパードステークスは創設から2年は格付けを行わないことが決まっており、グレード制が導入されてからは初の格付けのない重賞となる。</ref>。準重賞は地方競馬では現在も用いられている。

中央競馬では、降雪等により出馬投票後にコースからダートコースに馬場変更となった場合には重賞競走のままであるが格付けは設定されない。最近ではエルコンドルパサーが勝利した1998年共同通信杯4歳ステークスがこれにあたり、降雪で本来の芝1800mからダート1600mに変更となったため格付け(JRAGIII)が外された。この取り扱いは1984年2月4日から実施されているものであり<ref>『優駿』(日本中央競馬会)1984年3月号、p161</ref>、それ以前に芝コースからダートコースに変更された4競走<ref>アメリカジョッキークラブカップ日経新春杯中日新聞杯京都牝馬特別</ref>については当初の格付けのまま施行されている。

日本競馬の重賞に関する記録

対象となるのは、中央競馬(その前身も含む)の重賞、ダートグレード競走、各地方競馬独自の重賞、日本調教馬が出走した海外における重賞である。 すべての重賞が対象となっているが、地方競馬独自の重賞を含む記録が、地方競馬独自の重賞を含まない記録を上回っている場合は、両方を併記する。

便宜上、以下の表では、中央競馬の重賞は「中央」、ダートグレード競走は「交流」、地方競馬独自の重賞は「公営」、海外重賞は「海外」と表す。

重賞勝利数
17勝ブライアンズロマン交流1勝 公営16勝
16勝オグリキャップ中央12勝 公営4勝
15勝トウケイニセイ公営15勝
14勝アブクマポーロ中央1勝 交流9勝 公営4勝
14勝メイセイオペラ中央1勝 交流3勝 公営10勝
14勝スズノキャスター公営14勝
13勝ホクトベガ中央4勝 交流9勝
13勝ケイエスヨシゼン公営13勝
13勝ロードバクシン公営13勝
13勝ヴァーミリアン中央3勝 交流10勝
12勝スピードシンボリ中央12勝
12勝テイエムオペラオー中央12勝
12勝ナイキアディライト交流2勝 公営10勝
12勝マリンレオ公営12勝
12勝ローゼンホーマ公営12勝
12勝ワシュウジョージ公営12勝
外国調教馬重賞勝利数
3勝カラジ障害重賞
2勝ハートレイク
日本調教馬海外重賞勝利数
3勝エイシンプレストン香港3勝
2勝エルコンドルパサーフランス2勝
2勝アグネスワールドフランス、イギリス各1勝


年間重賞勝利数
8勝オグリキャップ1988年中央7勝 公営1勝
8勝ホクトベガ1996年交流8勝
8勝アブクマポーロ1998年交流6勝 公営2勝
8勝テイエムオペラオー2000年中央8勝
7勝ブライアンズロマン1998年交流1勝 公営6勝
7勝マリンレオ2002年公営7勝


重賞連勝
10連勝オグリキャップ中央6勝 公営4勝 重賞以外での勝利を挟む
9連勝マリンレオ公営9勝 重賞以外での勝利を挟む
8連勝タイキシャトル海外1勝 中央7勝
8連勝テイエムオペラオー中央8勝
7連勝ホクトベガ中央1勝 交流6勝


同一重賞勝利数
6勝シバフイルドークイーンカップ(公営) 6連覇
4勝ブライアンズロマンとちぎ大賞典(公営) 4連覇
4勝オースミダイナー瑞穂賞(公営) 4連覇
3勝セカイオー鳴尾記念 3連覇
3勝シゲルホームランセイユウ記念 3連覇
3勝アドマイヤドンJBCクラシック 3連覇
3勝タップダンスシチー金鯱賞 3連覇
3勝カラジ中山グランドジャンプ 3連覇
3勝エリモハリアー函館記念 3連覇
3勝コウエイトライ阪神ジャンプステークス 3連覇
3勝ブルーコンコルドマイルチャンピオンシップ南部杯 3連覇
3勝マツリダゴッホオールカマー 3連覇
3勝ヴァーミリアンJBCクラシック 3連覇
他にバローネターフ中山大障害・秋を3連覇している
年間複数開催される重賞の勝利数
5勝バローネターフ中山大障害
4勝フジノオー中山大障害 4連覇
4勝グランドマーチス中山大障害 4連覇


同一重賞連対数
6連対シバフイルドークイーンカップ(公営) 6連続
6連対ブライアンズロマンとちぎ大賞典(公営) 6連続
5連対メルシーエイタイム中山大障害 5連続
5連対クーリンガー佐賀記念
年間複数開催される重賞の連対数
7連対バローネターフ中山大障害 6連続
5連対フジノオー中山大障害 5連続
5連対グランドマーチス中山大障害 5連続


重賞勝利距離幅
2400mドクタースパート1200m北海道3歳優駿)~3600m(ステイヤーズステークス
2100mタカハタ1100m(朝日杯3歳ステークス)~3200m(日本経済賞
2100mタカオー1100m(朝日杯3歳ステークス)~3200m(天皇賞(春)
2100mメイヂヒカリ1100m(朝日杯3歳ステークス)~3200m(天皇賞(春))
2100mキタノオー1100m(朝日杯3歳ステークス)~3200m(天皇賞(春))
2000mタケシバオー1200m(英国フェア開催記念)~3200m(天皇賞(春)) 古馬戦のみでの最高記録
中央での重賞に限っての最長記録
2200mドクタースパート1400m(京成杯3歳ステークス)~3600m(ステイヤーズステークス)
参考 障害重賞を含む記録
2900mゴッドスピード1200m(小倉3歳ステークス)~4100m(中山大障害)


連続出走重賞連勝距離幅
1600mタイテエム1600m(マイラーズカップ)~3200m(天皇賞(春))
1600mフソウ1600m(安田賞)~3200m(日本経済賞)
1600mクリチカラ1600m(安田賞)~3200m(日本経済賞)
1400mアサホコ1800m(スワンステークス)~3200m(天皇賞(春))
1400mクシロキング1800m(中山記念)~3200m(天皇賞(春))
1400mサクラローレル1800m(中山記念)~3200m(天皇賞(春))
1400mメジロブライト3600m(ステイヤーズステークス)~2200m(アメリカジョキークラブカップ


重賞勝利距離数
7シンザン1800m 2000m 2400m 2500m 2600m 3000m 3200m
7アブクマポーロ1600m 1800m 2000m 2100m 2300m 2400m 2600m
7ヴァーミリアン1600m 1870m 1900m 2000m 2100m 2400m 2500m
重賞勝利競馬場数
10ホクトベガ中山 京都 札幌 川崎 東京 船橋 高崎 大井 盛岡 浦和
9メイショウバトラー小倉 京都 佐賀 中京 名古屋 浦和 川崎 水沢 船橋


重賞勝利間隔
2522日ユウユウサンボーイ1990年12月29日 全日本3歳優駿1997年11月24日 北上川大賞典 共に公営
2165日ブルーコンコルド2002年11月9日 京王杯2歳ステークス ~ 2008年10月13日 マイルチャンピオンシップ南部杯
1932日トーアファルコン1983年9月4日 小倉3歳ステークス1988年12月18日 CBC賞
中央における重賞勝ちを挟まない例
1457日メジロマイヤー2002年2月10日 きさらぎ賞2006年2月6日 小倉大賞典
勝利を挟まない例
1434日エルウェーウィン1992年12月13日 朝日杯3歳ステークス ~ 1996年11月16日 アルゼンチン共和国杯
最短記録
6日エレーヌ2010年4月19日 日高賞4月25日 ル・プランタン賞 共に公営
7日バリモスニセイ1964年10月25日 朝日チャレンジカップ11月1日 京都杯
12日ヤサカ1955年5月3日 京都4歳特別5月15日 毎日杯


同一重賞制覇間隔
1472日テツノヒリユウ東京盃第21回1987年9月15日 ~ 第25回1991年9月26日
1463日ヒダカハヤトカブトヤマ記念第44回1990年10月21日 ~ 第48回1994年10月23日
1456日ローエングリン中山記念第77回2003年3月2日 ~ 第81回2007年2月25日
最短記録
36日バンチャンプテレビ埼玉杯第7回1997年3月26日 ~ 第8回1997年5月1日(公営)
287日シエスキイクモハタ記念第16回1966年12月11日 ~ 第17回1967年9月24日
年間複数開催される重賞での記録
82日プラトーフォンテン東京障害特別第50回1980年11月9日 ~第51回1981年1月31日
98日ヤマニリユウ京都記念第42回1966年11月27日 ~ 第43回1967年3月5日


長期休養後の重賞制覇
573日テイエムドラゴン2006年5月3日中山グランドジャンプ(2着) ~ 2007年11月10日京都ハイジャンプ
384日サクラローレル1995年2月19日目黒記念(2着) ~ 1996年3月10日中山記念
363日トウカイテイオー1992年12月27日有馬記念(11着) ~ 1993年12月26日有馬記念
343日メジロマックイーン1992年4月26日天皇賞(春)(1着) ~ 1993年4月4日大阪杯 連勝


高齢重賞制覇
13歳オースミダイナーエトワール賞(公営)
12歳オースミダイナー北海道スプリントカップ
12歳カラジ中山グランドジャンプ
10歳ブラーボウッズみちのく大賞典(公営) 初重賞制覇
10歳セタノキングさくらんぼ記念
10歳ブラクパワー金杯 福山(公営) 初重賞制覇
10歳アサカディフィート小倉大賞典
9歳ゲイリーフラッシュシルクロードステークス 初重賞制覇


遅い重賞制覇
106戦目サンエムキング2002年開設記念 高崎(公営)
94戦目ダイニカツフジ1956年京都大障害(秋)
75戦目トラツクオー1953年毎日王冠
75戦目タマツバキ1951年読売楯アラブ東西対抗(秋)
遅い重賞初制覇
93戦目クルセイズ2008年OROカップ(公営)
71戦目リバーセキトバ1998年黒船賞
68戦目メリーダンサー1970年京都大障害(秋)
66戦目ブレツシング1958年中京競馬開設5周年記念


重賞勝ち馬勝率ランキング
戦績勝率馬名主な勝ち鞍
11戦11勝1.000クリフジ東京優駿
10戦10勝1.000トキノミノル東京優駿
8戦8勝1.000マルゼンスキー朝日杯3歳ステークス
8戦8勝1.000ケイウンリーダー荒尾ヤングチャンピオン
7戦7勝1.000カヅミネオン笠松アラブダービー
7戦7勝1.000ナイスフレンドアラブダービー(大井)
7戦7勝1.000キタノダイオー北海道3歳ステークス
4戦4勝1.000フジキセキ朝日杯3歳ステークス
4戦4勝1.000アグネスタキオン皐月賞
3戦3勝1.000ガヴアナー東京優駿
3戦3勝1.000レッドイーグル朝日杯3歳ステークス
3戦3勝1.000ミラクルユートピア帝室御賞典
3戦3勝1.000ダイナサンキューデイリー杯3歳ステークス
2戦2勝1.000サイキョウカチドキ兼六園ジュニアカップ
13戦12勝0.923コウザンハヤヒデ楠賞全日本アラブ優駿
12戦11勝0.917ツキノイチバン金盃(大井)
11戦10勝0.909ホスピタリテイセントライト記念
43戦39勝0.907トウケイニセイマイルチャンピオンシップ南部杯
10戦9勝0.900ピユーアゴールド帝室御賞典
8戦7勝0.875ミホノブルボン東京優駿
8戦7勝0.875キングカメハメハ東京優駿
8戦7勝0.875ロイヤルブリッジしもつけ弥生賞
23戦20勝0.870ゴールドレツト東海ダービー
14戦12勝0.857ディープインパクト七冠馬
27戦23勝0.852シユンエイタマツバキ記念
20戦17勝0.850トチノミネフジ全日本アラブ大賞典
13戦11勝0.846バンザイ帝室御賞典
13戦11勝0.846タイキシャトルジャックルマロワ賞
13戦11勝0.846カブラヤオー東京優駿
19戦16勝0.842キンカイチフジ全日本アラブ大賞典
30戦25勝0.833インターハイクラス九州王冠
18戦15勝0.833ヘイセイパウエル新春アラブ争覇
6戦5勝0.833シーザリオアメリカンオークス
6戦5勝0.833アグネスフローラ桜花賞
6戦5勝0.833ダイシンフブキ朝日杯3歳ステークス
6戦5勝0.833ユーワフォルテ新潟大賞典
6戦5勝0.833アサクサスケールクイーンステークス
41戦34勝0.829ローゼンホーマ全日本アラブ大賞典
35戦29勝0.829第二メルボルン帝室御賞典
49戦40勝0.816マリンレオタマツバキ記念
16戦13勝0.813シンボリルドルフ七冠馬
15戦12勝0.800エビタカラ全日本アラブ大賞典
15戦12勝0.800クロイチョキンバコ全日本2歳アラブ優駿
5戦4勝0.800ダービーリッチラジオたんぱ賞
5戦4勝0.800ギャラントダンサー朝日杯3歳ステークス
29戦23勝0.793ダイナナホウシユウ天皇賞(秋)
19戦15勝0.789シンザン五冠馬
14戦11勝0.786ホマレショウハイ全日本アラブ争覇
9戦7勝0.778ハクシヨウ東京優駿
9戦7勝0.778マルシンヴィラーゴ全日本アラブ争覇
13戦10勝0.769ミラ帝室御賞典
30戦23勝0.767コトノアサブキ道営記念
21戦16勝0.762メイヂヒカリ中山グランプリ
40戦30勝0.750ニホンカイユーノス西日本アラブダービー
36戦27勝0.750ニユーバラツケー読売楯争奪東西対抗
12戦9勝0.750トウカイテイオー有馬記念
12戦9勝0.750メジロラモーヌ牝馬三冠
8戦6勝0.750イソノルーブル優駿牝馬
8戦6勝0.750サルノキング弥生賞
4戦3勝0.750ミナミホマレ東京優駿
4戦3勝0.750ミュゲロワイヤル共同通信杯
15戦11勝0.733キタノカチドキ皐月賞 菊花賞
11戦8勝0.727エルコンドルパサーサンクルー大賞
11戦8勝0.727ノースフライト安田記念
11戦8勝0.727カオリビジン六甲盃
25戦18勝0.720キーストン東京優駿
32戦23勝0.719アブクマポーロ帝王賞
7戦5勝0.714キタサンヒボタンファンタジーステークス
38戦27勝0.711ヒメカツプアラブ大賞典
41戦29勝0.707カウンテスアツプ東京大賞典
17戦12勝0.706コダマ東京優駿
17戦12勝0.706ホクトライデンアラブダービー(大井)
40戦28勝0.700スズノキャスター全日本アラブクイーンカップ
20戦14勝0.700マルタケ帝室御賞典
10戦7勝0.700テスコガビー桜花賞 優駿牝馬
現役馬は含まれない

脚注

<references />

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