輸送機

出典: Wikipedio


輸送機(ゆそうき)

  • (軍事)物資や人員の輸送のために使われる軍用機のこと。大きく分けて戦術輸送機と戦略輸送機がある。英語の cargo aircraft (カーゴ エアクラフト)の頭文字から、C- という制式名称のものが多い。本項で詳述。
  • (民間)貨物輸送に使われる航空機のこと。英語の freighter(フレイター)の頭文字から、型式の末尾に F を付けて表されることもある(貨物機を参照)。
  • 輸送機工業 - トレーラーなどを製造している日本の企業。「ユソーキ」と表記されることが多い。

目次

軍用輸送機

特徴

輸送機に求められるものは搭載量や航続距離である。軍用輸送機では、その他に不整地における離着陸能力や空中給油能力、空中からの物資投下能力を求められる場合もある。

はじめから輸送機として設計されたものと、爆撃機旅客機から設計変更(改造)されたものに大別される。後者では60年の長きにわたって姿を変えながら活躍しているB-29 の派生機一族が知られている (B-29 → C-97プレグナントグッピースーパーグッピー)。

機体の特徴は、高高度を飛行するものは貨物室(カーゴベイ)を含め与圧構造とされ、貨物の緊定(タイダウン、固定)が必要なため、補強された床構造をはじめ、貨物室まわりは簡素ながらも相応に強固な設計とされている。機体サイズや重量から来る過大なストレスに対応するため、また、不整地での離着陸も考慮して、降着装置をはじめ、強度部材にも十分な強度が与えられている。そのため機体重量は増える傾向にあり、かつ、軽量化も難しい。

貨物の積み降ろし口(カーゴドア)は、古くは機体左側面(船舶のポートサイドに習ったと言われる)に大型のドアを設けたものが一般的であったが、現在では、機械による荷役に適合させるため、機首部分の胴体をチルトアップさせる方法と、機体後尾にスロープ兼用のドロップゲートを設ける方法が多く見られる。

旅客機をベースとしたもので、構造上、本来の客室の床を取り払うことができない機体は、胴体下部のカーゴベイとカーゴドアは生かしたまま、二階部分の側面(本来客室のあるレベル)に大型のスイングアップ式のドアを追加したものがある。変り種としては、以前は日本にも多く飛来しており、いまだにファンも多いカナディア CL-44スイングテール式が知られている。軍用機では作戦上、上空から人員の降下、車輌や物資の投下を行う必要が発生する。そのため当該機種は飛行中、安全にカーゴドアの開閉が行えるようになっている。

主翼の配置は、特に専用設計機で、高翼配置が好まれる。メリットとしては次のようなことが挙げられる。

  • 胴体内の主翼桁に煩わされることなく、貨物室床面を低く、広く、平らにできる。これによって貨物の収容量を増し、搬入出が容易となる。
  • 主翼設計が自由になるほか、翼下と地面とのクリアランス(距離)を十分に確保できるため、大径エンジンや大型フラップを採用することができる。
  • STOL性能の向上に有利。クリアランスが確保できることから、地面効果の影響が小さく、多段式フラップなどを展開する余地も生まれるため。
  • クリアランスが確保できることは、エンジンへの異物吸入による損傷 (FOD) の防止にも繋がり、不整地での運用に適する。

飛行体としてみた場合、高翼であることがデメリットとなることもあるが、空力よりも荷さばき時間も含めた運用性を優先させた結果と言える。

歴史

第二次世界大戦の前半において、ドイツ国防軍空挺部隊を効果的に運用した。特に1941年クレタ島における戦いでは、ドイツ軍は多数のJu 52を用いて、空輸作戦を行いクレタ島を占領した。また、独ソ戦においても各所で物資を空中投下する空中補給を効果的に用いた。第二次世界大戦後半においては、連合国が同様にノルマンディー上陸作戦をはじめとして、多数のC-47を用い空挺作戦や空中補給を効果的に行った。日本軍は、パレンバン空挺作戦にて一〇〇式輸送機などを用い、陸軍落下傘部隊の降下に寄与するなどしたが、国力の差から連合国やドイツのような輸送機の大量保有や運用は行えず、沖縄戦時の独立混成第15連隊の例を除き、1,000人を超えるような大規模な空挺作戦や空輸作戦は行われていない。

1948年ベルリン封鎖が発生すると、アメリカ合衆国をはじめとする西側諸国は輸送機を総動員し、西ベルリンへ補給物資を輸送した。第二次世界大戦時の空輸による補給物資輸送は、一時的措置のものであったが、ベルリン封鎖時の空輸による補給物資輸送は継続的なものであり、輸送機が恒常的に大量の物資を輸送できることを示した。

1950年代には、戦術輸送機の決定版と言われ、現在でも改良型の生産が続いているC-130が開発された。この機体は、それまでの軍の経験を踏まえ、十分な量の貨物を搭載でき、また貨物の積み下ろしが容易で、前線の不整備な飛行場でも運用できることから評価が高い。物資輸送任務以外に特殊部隊の展開支援にも供されており、用途に合わせて独自に改良されたMC-130Hが空軍特殊部隊に配備されている。

航空自衛隊C-1を独自開発しC-130に代えるつもりだった。しかし、周辺諸国への配慮からあえて航続距離を短く設計され、極端に使いづらい機体になってしまった。特に開発後に返還された沖縄県周辺や海外での活動となるとこの欠点は致命的である。結局、C-130が導入され主力となっている。現在、後継のC-Xが開発中である。

C-130は、あくまでも戦術輸送機であり大陸間の輸送を行うには航続距離が不足している。そこで、アメリカ軍は大陸間の輸送を行う戦略輸送機として、C-5等を使用していた。1990年代に入り、C-130なみに前線の不整備な飛行場でも運用ができ、かつ大陸間の輸送ができるC-17が開発され、アメリカ合衆国本土からヨーロッパ中東への輸送に活躍している。

ロシアや旧ソ連では、国土が広く利用可能な海洋が少ないことから、輸送手段としての航空機開発には熱心であった。そのため、Il-76An-124ルスラーンなどの大型機からAn-2のような小型の機体まで多くの輸送機を開発している。また、ロシアは特に冬季の気候が厳しい上、必ずしも整備状況の良い飛行場ばかりではない。そのため、旧ソ連の輸送機のいずれもが未整地でも運用できるという特長を持っている。

現代の主な軍用輸送機

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Template:SSR / Template:RUS

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国際共同

過去の代表的な輸送機(一部は現役)

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関連項目

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