路面電車

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Template:Redirect [[ファイル:Toei6000-ikkyusan.jpg|thumb|190px|戦後の標準的な路面電車の東京都電6000形」]] [[ファイル:Nagasaki_Denkikidou3002.jpg|190px|thumb|20世紀末より各地で導入されている超低床電車長崎電気軌道3000形」(リトルダンサーシリーズ「タイプU」)]] 路面電車(ろめんでんしゃ、Tram、Tramway、Street Car)とは、主に道路上に敷設された軌道併用軌道)を走行する電車である。

本項では路面気動車についても記述する。

目次

概要

ドイツロシアウクライナを中心に、世界約50か国の約400都市に存在する。都市内およびその近郊で旅客の移動手段として利用されているものが多い。

路線は、一般的に路面を走行するものの、郊外では別個に専用軌道(日本の軌道法では新設軌道に相当)を設ける場合が多い。一方、市街地においても地下化もしくは高架化で道路との分離を図った区間も多いが、20世紀末以降は逆に路面から乗降できることが評価され、トランジットモールが欧州を中心に普及している。

[[ファイル:Stadtbahn Nancy.jpg|thumb|190px|ゴムタイヤトラムフランスナンシー)]] 類似のシステムとしてライトレールトラムトレインゴムタイヤトラムなども存在する。詳細は各項目参照。

現在の日本では約20ヶ所で路面電車が存在している。詳細は日本の路面電車一覧を参照。

歴史

元々は乗合馬車そして馬車鉄道を発祥とする。その動力を馬以外にする試みに、蒸気機関などもあったが、電気動力がもっとも普及した。これは1879年にドイツの電気会社、シーメンスがベルリン博覧会でデモンストレーション走行させたのがはじまりで、1881年にはベルリン郊外での運行が開始された。その後、1887年にアメリカ人のスプレーグが自国のバージニア州リッチモンドに架線集電方式と釣り掛け駆動を用いたシステムを建設。これが高い信頼性から一般的なシステムとなり世界的に普及してゆくことになる。 なお、欧州において電気軌道と一般鉄道が別個のシステムと認識される背景には、そもそもの発祥が全く異なるという理由がある。

電気軌道(路面電車)は1886年アラバマ州モントゴメリー<ref>Charles J. Van Depoele Soylent Communications.</ref>やペンシルベニア州スクラントン<ref>Marker Details: First Electric Cars. Pennsylvania Department of Community and Economic Development.</ref>に敷設されたのを皮切りに米国の各都市で、続いて欧州各国で普及してゆく。特に米国では、専用軌道化や運転速度の向上などシステムを高度化し都市と都市を結ぶインターアーバンにも発展した。しかし、1920年代に入ると、米国では自家用車が普及し、多くの都市で廃止されてゆく。欧州の一部でも戦前までにこの流れでロンドン、パリなどの都市で廃止された。なお、パリの路面電車は、2006年12月16日に再開業したが、その区間は戦前のものと全く異なり、関連性はない。

一方で、旧ソ連と東欧諸国、そして西ドイツでは、第二次世界大戦後も路面電車を活用した。西ドイツでは小規模なものは廃止になったが、人口20万人以上の都市では、連接電車の投入や運賃の収受に信用乗車方式を導入するなど、輸送力増強と生産性向上に努めた。路線網のスクラップアンドビルドも盛んで、郊外への路線延長を図る一方で中心地の路線の地下化なども行われた。

これらの一部は、1960年代後半以降、専用軌道化など路線の高規格化を推進して速度の向上や定時性の確保を行った。フランクフルト・アム・マインケルンシュトゥットガルトなどに代表されるこの方式は、シュタットバーンと呼ばれるようになった。

これは新交通システムの開発で行き詰まっていたアメリカ合衆国に影響をあたえた。1970年代に入り、連邦交通省都市大量輸送局によって「ライトレール (LRT)」という言葉が定義される。その内容は、「大部分を専用軌道とし、部分的に道路上(併用軌道)を1両ないし数両編成の列車が電気運転によって走行する、誰でも容易に利用できる交通システム」というものである。つまり本来「ライトレール (LRT)」とはシステムであり、また路面を走行する電車である必要性は薄い。これに伴い、アメリカ(およびカナダ)でライトレールが整備されてゆくことになるが、中には専用軌道ばかりの路線もある。全般的に高速鉄道指向が強い。

1980年代になると、今度はフランスで、都市内での軌道システム整備の動きが強まってくる。フランスでは、シュタットバーン〜ライトレールの流れではなく、併用軌道率の高い路面電車を採用した。これは後に他の欧州諸国にも広まって行くが、これらも一部では「ライトレール」と呼ぶようになった。

したがって、ライトレールという言葉は米国での原義・実例と、欧州での呼称事例の間に違いがある。

こうした軌道系交通が欧米で注目される背景には、市街中心地への人の流れを確保し振興する手段として、また環境破壊を防ぐ面から有意義であることが考えられるためである。したがって、その整備は土地利用や人口分布などの点で都市政策にしっかりと組み込まれているのが常である。 また、自家用車を郊外の駐車場に置き、路面電車やバスなどに乗り換えて中心市街地に入るパークアンドライド方式や、中心市街で自動車の乗り入れを禁止し公共交通と歩行者のみを通行可能としたトランジットモール化といったアイディアが生まれ、実行された。

車両面では、高床式ホームの少ない欧州では1980年代後半より床高さを20〜30cm程度とした超低床電車の開発が進められ、バリアフリー化が促進された。

日本の路面電車

[[ファイル:Hakodate-tram39-amid.jpg|thumb|190px|初期の路面電車を復元した函館市交通局30形」]] 日本においては、路面電車は軌道法の管轄下にあり、鉄道事業法に基づく一般の鉄道とは明確に区別されている。原則として併用軌道を走行するのが路面電車で、道路外を走行するのが鉄道だが、実際には例外も多い。なお、同じく日本の道路交通法では、「レールにより運転する」と定義している。また都市計画法に定める都市施設においても、路面電車は都市計画道路のうちの「特殊街路」に分類される。 経営形態としては、地方自治体による地方公営企業交通局)、一般の私鉄と同じ純民間企業、第三セクター鉄道によるものがある。

歴史は1895年(明治28年)に京都市で開通した京都電気鉄道(後、京都市電)をはじめとして、大正から昭和初期にかけて大都市圏を中心に、数多くの軌道が整備された。その中には、京王線阪神本線などなように、都市間高速軌道(インターアーバン)として建設され、現在の高速鉄道路線の前身となったものもある。

なお1960年代の札幌では非電化区間も存在していたため、路面気動車もごく少数ながら製作されていた。

1932年には65都市82事業者、総路線長1479kmと最盛期となり、戦前から戦後には、都市の重要な交通手段として機能していた。しかし、1960年代の高度成長時代に自動車の所有率が増加すると、モータリゼーションの流れに押され路面電車は渋滞の元凶だとされ、1970年代末にかけて各地で廃止された。「できるだけ路面電車はなくしていきたい。しまいには皆無にいたしたい」とする当時の大臣の答弁も残っている。自動車技術の発展によりバスが大型化され、バスの定員が路面電車と遜色がなくなったため、運営コストの安いバスが選択されたのも自然の流れである。一部の大都市(政令指定都市)では地下鉄が建設され、また多くの都市ではバスが代替となった。そのため、2008年現在日本で路面電車が走っているのは20箇所以下と少なく、東北地方では皆無となっている。それでも隣国の大韓民国においては全廃(1968年)、中華人民共和国においては長春大連(この2都市は満州国時代に建設)・香港の3都市にしかないことからすれば、アジア諸国の中ではかなり多い方である。

一方で、20世紀末以降、環境負荷の軽減、バリアフリー及び交通渋滞緩和の観点から世界各地で路線の復活および好評を博している事実に触発され、日本でも再評価の動きが高まった。2006年には新幹線工事に伴う富山駅高架化工事に伴い、西日本旅客鉄道の富山港線を市内の基幹交通機関として再整備した富山ライトレールが開業した。2009年現在、3つの異なる事業者が路面電車を運営している都道府県は、富山県(富山地方鉄道、富山ライトレール、万葉線)が唯一である。岡山や広島などでは、廃止された路線の復活や新規路線の建設といった計画もあるが、橋の改修や道路幅の不足によって実現していない。

省エネルギー性の高いVVVF制御は、現在の日本の電気鉄道で電車の制御方式として広く採用されている。しかし、その先駆として国内で実用化された例は熊本市交通局の路面電車であり、現在では路面電車も車両技術(機構・デザイン)面で最先端のLRVを採用する例は少なくない。しかし現場からは、加減速性能やマスコン操作からの応答性を考えるとVVVF制御は郊外電車向きで路面電車向きではない、抵抗制御チョッパ制御が良いとの声も根強いとされる。Template:要出典

導入構想

実現性はともかく、自治体や市民団体などが全国数十ヶ所で導入構想を提案している。ただし、この中の一部には地域交通や採算性を無視し、LRT導入が目的化しているものも見受けられる。

詳細は日本の路面電車一覧を参照。

路面電車の日

1995年広島市で開かれた第2回路面電車サミットにより、6月10日を路面電車の日に制定した。これは6=ろ(路面)、10=英語でテン(電車)という語呂合わせによる。路面電車の日には路面電車の利点をPRするためのキャンペーンやイベントが行われる。

各地の路面電車

「チンチン電車」という通称

これはフートゴングの音や、車掌運転士にあるいは運転士が車掌に合図を送るために鳴らしていた(ベル)の音に由来する。鐘の音は以下のような意味で使用されていた。

  • 走行中電車が停留場に近づいたとき「チン」と1回鳴らせば「降客があるため停車せよ」または「停車する」
  • 「チンチン」と2回鳴らせば「降客がないので通過しても良いか」または「良い」
  • さらに停車中に「チンチン」と2回鳴らした場合は「乗降がすんだので発車しても良いか」または「良い」
  • 「チンチンチンチン」と3回以上鳴らせば「直ちに停車せよ」または「停車する(非常停車)」

現在でも都電荒川線阪堺電気軌道の全車両で発車時に聞くことができる。ただし現在は全列車がワンマン運転のため、上記で述べた車掌・運転士同士の連絡には用いられず、乗客に対する発車合図という位置付けである。また、函館市交通局で夏季に限って運行されている箱館ハイカラ號の他、土佐電気鉄道の「維新号」でもこの鐘が信鈴として使用されていた。2009年1月のICカード導入を機に、維新号は運行されなくなった。

また広島電鉄では、ツーマンで運行しているときに車掌が運転士にブザーで合図を送っており、鐘がブザーに変わっただけで上記と全く同じ運用をしている。

なお、路面電車以外を含めれば名古屋鉄道(ただし300系以降の車両は2打式ブザーに変更)や京阪電気鉄道阪急電鉄阪神電気鉄道近畿日本鉄道南海電気鉄道京都市営地下鉄烏丸線大阪市営地下鉄筑豊電気鉄道等でも、ワンマン運転路線を除きベル2連打による合図を残している。過去には叡山電鉄などでも行っていた。これも路面電車時代の名残といえる。特に関西は路面電車発祥の会社が多いため、それが顕著である。関東でも、京成電鉄が発車時にブザー2回、停車駅が近づいた時にブザー1回と、路面電車式の合図を行なっている。

路面電車関連用語

軌道運送高度化事業
日本の地域公共交通の活性化及び再生法の中で、LRTを想定した整備事業の呼び名。
センターポール
上下線の間に架線柱を立てる方式。道路脇の電柱や建物から架線を吊る方式(側柱方式)に比べ景観が良くなる。鉄道線で採用の事例もある。かつて電柱が多くなかった時代は、その必要性から一般的だったが、道路脇の電柱が増えるに従いセンターポールはみられなくなっていた。しかし景観に配慮した電線の地下埋設化により市街地での電柱が再び減ったため復活している。
センターリザベーション
自動車が軌道内に進入できない様、道路の中央部を物理的に区切って線路を敷設した準専用軌道。逆に道路の端に線路を敷設し、中央部を自動車用とするものはサイドリザベーションという。
パッセンジャーフロー
電車の扉を乗車専用と降車専用に分け、乗客がその間を移動する途中で運賃を支払う方式。最盛期の札幌市電では、2両編成の後部車両から乗車、運賃を支払ったあと前部車両から降りるようになっていた。
地表集電方式
"APS (Alimentation par le Sol) "の名称でアルストム社の子会社が開発した集電システムで、短いセグメントに区切った第三軌条を敷設し、電車が通過中のセグメントにだけ電気を通す方式。架線が不要なことから障害が少なくなる上に見栄えが良いという利点があり、フランスのボルドーで実用化された。
地中溝集電方式
コンデュイット (conduit) 方式とも。線路の間に給電線を埋設し、車体下部から伸びた集電靴で集電を行う。ロンドンやニューヨークなど各地で用いられたが、1963年のワシントンD.C.を最後に姿を消した。
高速電車
路面電車に対し、路面電車ではない通常の電車(鉄道)を区別する際に使われる言葉。
都市高速鉄道
街路交差点での交通信号で停止せざるを得ない「路面電車」に対して、交通信号で停止しないように計画・設計された鉄道をいう。英語のrapid transitの訳語であり、「都市施設」のひとつとして都市計画法第11条第1項に規定されている。

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関連項目

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外部リンク

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