行列の階数
出典: Wikipedio
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線型代数学において、行列Aの階数(かいすう、GiBupC <a href="http://gpsnqwvzbsbg.com/">gpsnqwvzbsbg</a>, [url=http://dbtauaohikgv.com/]dbtauaohikgv[/url], [link=http://fasownhcrtod.com/]fasownhcrtod[/link], http://npemhjdofvfv.com/)とは、Aの列ベクトルの一次独立なものの最大個数を指し、rank A と表記する。また、線型写像fの階数 rank f も行列Aの階数と一致するのでここで記述する。
目次 |
定義
行列の階数について、文献によっては列ベクトルの線型独立なものの最大個数を定義とせずに、以下のどれかを定義とする場合もある。
- Aの列ベクトルの線型独立なものの最大個数(このページでの定義)
- Aの行ベクトルの線型独立なものの最大個数
- Aに基本変形を施して階段行列Bを得たとする。このときのBの零ベクトルでない行(または列)の個数(階段の段数とも表現される)
- 表現行列Aの線型写像の像空間の次元。詳しくは#線型写像の階数を見られたし。
- Aの 0 でないような小行列式の最大サイズ
- Aの特異値の数
性質
Aをm×n行列とする。また、fを表現行列Aの線型写像とする
- rankA=rankAT(ATは転置行列)
- Aが零行列のときかつその時に限りrank A=0
- <math>\mathrm{rank} A \le \min(m,n)</math>
- <math>\mathrm{rank} A = \min(m,n)</math> の場合に,Aをフルランク行列という.
- Aがフルランク行列かつ<math>m \ge n</math>の場合に,Aを行フルランク行列という.
- Aがフルランク行列かつ<math>m \le n</math>の場合に,Aを列フルランク行列という.
- <math>\mathrm{rank} A < \min(m,n)</math>の場合に,Aをランク不足の行列という.ランク落ちともいう.これ(rank deficient)に対して和訳が定まっているのかは不明.
- Aが正方行列のとき(すなわちm=n)、そのときrank A=nのときかつその時に限りAは正則行列であり、逆行列A-1が存在する
- Bがn×m行列とした時、rank(AB)について以下の不等式が成立する:
- <math>\mathrm{rank}A + \mathrm{rank}B - m \le \mathrm{rank}(AB) \le \min(\mathrm{rank}A, \mathrm{rank}B)</math>
- Bがn×k行列でrankB=nならば、rank(AB)=rank A
- Cがl×m行列でrankC=mならば、rank(CA)=rank A
- 以下の式が成立するようなm×m正則行列Xとn×n正則行列Yが存在するときかつその時に限り、rankA=rが成立
- <math>
XAY = \begin{bmatrix} I_r & 0 \\ 0 & 0 \\ \end{bmatrix}
</math>
- なお上の式でIrはr×rの単位行列である。
階数の計算
例えば、行列
- <math>
M = \begin{pmatrix}
4 & 2 & 1 \\ 5 & 4 & 1 \\ 1 & 2 & 0 \\
\end{pmatrix} </math> は、基本変形を行うことによって
- <math>
M \iff \begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 \\ 0 & 4 & 5 \\ 0 & 0 & 0 \\
\end{pmatrix} </math> と書けるから、M の階数は rank M = 2 である。実際、[第 2 行] = [第 1 行] + [第 3 行] であるから、2 行目の行ベクトルは線型独立でない。ここで、1 行目と 3行目は明らかに線型独立であるから、rank M = 2 である。
浮動小数点を用いたコンピューター上の数値計算においては、この基本変形を用いたりLU分解を用いることで階数を求める方法は、精度が落ちることもあり用いられない。替わりに、特異値分解(SVD)やQR分解を用いて求められる。
線型写像の階数
V, Wをそれぞれベクトル空間とする。 (係数体<math>\mathbb{K}</math>は実数体<math>\mathbb{R}</math>または 複素数体<math>\mathbb{C}</math>を表すとする。)
線型写像<math> f: V \to W </math>の階数(かいすう、rank)とは、 線型写像fの像の次元を指す。 つまり、fの階数を rankfと書くとき、
<math> \mathrm{rank}f = \dim \mathrm{Im} f = \dim \{ f(v) \in W \,|\, v \in V \} </math>
である。
V, Wはともに有限次元ベクトル空間とし、 それらの次元を<math> \dim V = n, \dim W = m</math>とする。 Vの基底として<math> \{ v_1, \cdots, v_n \} </math>、 Wの基底として<math> \{ u_1, \cdots, u_m \}</math>を取り、 これらの基底に関する線型写像fの表現行列をAと書くことにしよう。 つまり、Aは次式で定義される<math> m \times n</math>行列である;
<math> ( f(v_1), \cdots, f(v_n) ) = ( u_1, \cdots, u_m ) \begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \vdots & & \vdots \\ a_{m1} & \cdots & a_{mn} \end{pmatrix} = ( u_1, \cdots, u_m ) A </math>
このとき、Vの任意の元 <math>v=x_1 v_1 + \cdots + x_n v_n </math>に対して、
<math> f(v) = ( f(v_1), \cdots, f(v_n) ) \begin{pmatrix} x_1 \\ \vdots \\ x_n \end{pmatrix} = ( u_1, \cdots, u_m ) A \begin{pmatrix} x_1 \\ \vdots \\ x_n \end{pmatrix} </math>
となる。 したがって、fの像は <math> \{ A\boldsymbol{x} \in \mathbb{K}^{m} \,|\, \boldsymbol{x} \in \mathbb{K}^{n} \} </math> と同一視される。
特に、 <math> \mathrm{rank}f = \dim \mathrm{Im}f = \dim \{ A\boldsymbol{x} | \boldsymbol{x} \in \mathbb{K}^{m} \}</math> である。
今、線型写像fの表現行列Aを<math> A = (\boldsymbol{a}_1, \cdots, \boldsymbol{a}_{n})</math> と列ベクトル表示する。 ここで、<math> \boldsymbol{a}_{i}, i=1,\cdots,n,</math>はm次元列ベクトルである。 すると、
<math> A\boldsymbol{x} = x_1\boldsymbol{a}_1 + \cdots + x_n\boldsymbol{a}_n, \,\,\, \boldsymbol{x} = \begin{pmatrix} x_1 \\ \vdots \\ x_n \end{pmatrix} \in \mathbb{K}^{n} </math>
であるから、 <math> \{ A\boldsymbol{x} \in \mathbb{K}^{m} \,|\, \boldsymbol{x} \in \mathbb{K}^{n} \} </math> は列ベクトル<math> \boldsymbol{a}_i, i=1,\cdots,n,</math>で張られている <math>\mathbb{K}^{m}</math>の部分空間である。 すなわち、
<math> \{ A\boldsymbol{x} \in \mathbb{K}^{m} \,|\, \boldsymbol{x} \in \mathbb{K}^{n} \} = \{ x_1\boldsymbol{a}_1 + \cdots + x_n\boldsymbol{a}_n \,|\, x_1, \cdots, x_n \in \mathbb{K} \} </math>
である。 この式の右辺の空間の次元は、 <math> \boldsymbol{a}_i, i=1,\cdots,n, </math>の一次独立なベクトルの最大個数に等しい。 したがって、次のことが分かる:
rankf = (fの像の次元) = (fの表現行列の一次独立な列ベクトルの最大個数)=rankA.
次元定理
V, Wを有限次元ベクトル空間とし、<math> f:V \to W </math>を線型写像とする。 また、dim V=nとおく。
n次元の空間を線型写像fで写像したときに、その像の次元 rankf は nになっているとは限らない。 つまり、fで写像されることによって、n-rankfだけ次元が下がっている。 その下がっている分は、<math> f(v) = 0 </math>となるようなベクトルvの分である。
<math> f(v)=0 </math>となる<math>v\in V </math>の集合を線型写像fの核といい、 kerfと書く。
以上の説明から、次の公式が成立することがわかる:
<math> \dim V - \mathrm{rank}f = \dim(ker f). </math>
この公式が成り立つことを次元定理という。
次元定理は無限次元ベクトル空間間の線型写像に対しては一般には成立しない。cs:Hodnost matice de:Rang (Mathematik) en:Rank (linear algebra) eo:Rango (matrico) es:Rango de una matriz fr:Rang (mathématiques) he:דרגה (אלגברה לינארית) hr:Rang matrice is:Metorð it:Rango (algebra lineare) ko:계수 (선형대수학) nl:Rang (lineaire algebra) pl:Rząd macierzy pt:Posto matricial ru:Ранг матрицы sr:Ранг матрице sv:Matrisrang uk:Ранг матриці zh:秩 (线性代数)