肺炎
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Template:Medical Template:出典の明記 Template:Infobox Disease 肺炎(はいえん、pneumonia)とは、肺の炎症性疾患の総称である。一般的には肺の急性感染症として理解されている。
目次 |
肺炎の分類
肺炎の分類としては、いくつかの異なった分類が存在する。
大きく分けて
- 原因による分類
- 罹患場所による分類
- 発生機序による分類
- 病変の形態による分類
などがあげられる。
原因による分類
- 感染性肺炎
- 細菌性肺炎
- ウイルス性肺炎
- 非定型肺炎
- マイコプラズマ肺炎
- マイコプラズマによる肺炎。潜伏期2~3週間。統計は、院内肺炎ではなく市中肺炎が多い。検査は、血液検査では寒冷凝集反応や抗マイコプラズマ抗体の上昇を見る。胸部X線写真は区域性の所見を示さず、すりガラス状の間質性陰影を見ることが多い。ルーチン検査の喀痰培養検査でも検出できないので参考にならない。診断は、抗マイコプラズマ抗体の上昇で確定診断になる。治療は、抗マイコプラズマ抗体が上昇するまで数日掛かるため確定診断を待ってから治療するのでは遅いので、寒冷凝集反応から経験的治療に基づいて化学療法を行う。化学療法は抗生物質を用いる。マイコプラズマが細胞壁を持たないのでβ-ラクタム系やアミノグリコシド系等の細胞壁合成阻害薬は無効である。マクロライド系、テトラサイクリン系、ケトライド系を第一選択薬とする。
- 喫煙
- クラミジア(クラミドフィラ)
- 真菌
- 原虫...以前原虫とされていたニューモシスチス肺炎は現在は真菌に分類される。
- 寄生虫
- マイコプラズマ肺炎
- 機械的肺炎
- 誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎;aspiration pneumonia)
- 閉塞性肺炎
- 吸入性肺炎
- 薬剤性肺炎
- 症候性肺炎
罹患場所による分類
- 市中肺炎:普通の生活のなかで発症した肺炎
- 院内肺炎:医療機関で治療中の患者、他の疾患を持つ患者に発症した肺炎
病変の形態による分類
- 大葉性肺炎
- 気管支肺炎
肺炎の症状
肺炎の診断
身体所見(聴診所見など体の症状)、胸部X線写真、胸部CT、採血(白血球数、CRP値、KL-6、LDH)、喀痰培養など。
喀痰のグラム染色は有用と考えられ、好中球による貪食像(どんしょくぞう:好中球が細菌を取り込んでいる像)は起炎菌の同定(原因となる病原体を特定すること)につながることもある(肺炎球菌では特に)。ただし、臨床研究では喀痰グラム染色と起炎菌とは一致しないと結論され、アメリカのガイドラインでは推奨されていない。
近年は迅速診断キットにより肺炎球菌、レジオネラについては尿を検体(検査をする対象物)として検査が可能となった。 (商品名 BinaxNOW®肺炎球菌、レジオネラ。溶血連鎖球菌の検査キットBinaxStrepAは咽頭粘液を検体とする。)
肺炎の治療
細菌性肺炎が疑われる場合は細菌にあった抗生物質の投与を行うが、原因菌特定には、喀痰培養同定・感受性検査など、時間のかかる事が多く菌の種類を推定して抗生剤の選択を行うことが多い。肺真菌症では抗真菌薬、ウイルス性肺炎では対応した抗ウイルス薬を用いる。
施設による違いはあるが、米国式のやり方をとっている施設では、菌の種類は推定せず、市中肺炎であるか院内肺炎であるかによって抗生剤を使い分ける。それは、胸部レントゲン像で菌の種類をみわけることはできないとする臨床研究の結果にしたがったものである。
- 入院を必要としない市中肺炎では、肺炎球菌、インフルエンザ菌、クラミジア、マイコプラズマ、黄色ブドウ球菌、モラクセラ、レジオネラを主なターゲットとしてマクロライド系抗生剤(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)や新世代ニューキノロン(レボフロキサシン、ガレノキサシン)を用いる。入院が必要とされる市中肺炎では、βラクタマーゼ阻害剤を含むペニシリン製剤であるユナシン-S®やゾシン®が用いられることが多い。
- 細菌性市中肺炎の原因となる頻度としては肺炎球菌が最も多く、特に65歳以上では28.1%を占めていた。<ref>Saito A. et al: J Infect Chemother 12(2): 63, 2006</ref>また65歳以上ではクレブシエラなどのグラム陰性桿菌による肺炎も4.4%ほどみられている。
近年では肺炎球菌のペニシリン耐性化が進んでおりPISP/PRSPは2003年の調査では59.8%にも及んだ。<ref>猪狩淳: 順天堂医学 50(2):124, 2004</ref>
- 細菌性市中肺炎の原因となる頻度としては肺炎球菌が最も多く、特に65歳以上では28.1%を占めていた。<ref>Saito A. et al: J Infect Chemother 12(2): 63, 2006</ref>また65歳以上ではクレブシエラなどのグラム陰性桿菌による肺炎も4.4%ほどみられている。
- 院内肺炎ではグラム陰性桿菌、たとえばテレビでも話題になっている緑膿菌やセラチア菌をターゲットとして第3世代セフェム(セフォタキシム、セフトリアキソンでは力不足、セフタジジム以上)を用いる。
小児の肺炎
小児の肺炎では、経験的治療は大きく異なってくる。その違いは肺炎の起炎菌の違いによるものである。
新生児を除く乳幼児では、肺炎の3大起炎菌といえるのはインフルエンザ桿菌、肺炎球菌、モラキセラ・カタラーリスである。成人と異なりクレブシエラ属や緑膿菌は少ないため、第3世代セフェムよりも抗菌スペクトラムの狭いペニシリン系抗生物質を選択するのが一般的である(施設によってはセフェムを選択するところもある)。
モラクセラ(モラキセラ、ブランハメラともいう)はほぼ100%の株でβラクタム分解酵素(β-ラクタマーゼ)を有するため、ベータラクタム分解酵素阻害薬を配合した抗菌薬製剤(スルバクタム・アンピシリン、タゾバクタム・ピペラシリンなど)を選択することが多い。 喀痰塗抹グラム染色を参考にできるような施設では、肺炎球菌が疑わしい場合にはアンピシリンなどより狭いスペクトラムを持つ薬剤を選択する。
特に乳児では誤嚥性の肺炎も少なからず見られるが、高齢者と異なり誤嚥性肺炎でも緑膿菌感染症は少ないため、スルバクタム・アンピシリン(嫌気性菌にも有効であるため)を選択する。誤嚥性肺炎が疑わしい場合には、気道症状が治まるまで経口哺乳の禁止が必要となることもある。
学童以上の年齢ではマイコプラズマによる肺炎が多くなる。細菌性肺炎との鑑別はX線像ではまず不可能であり、血液所見(好中球増加の有無、C反応性蛋白上昇の有無、マイコプラズマIgM迅速検査など)や全身状態、気道症状の程度などが参考となる。マイコプラズマにはβラクタム系の抗菌薬が無効であるが、テトラサイクリン系抗生物質(ミノサイクリンなど)やニューキノロン系抗菌薬は副作用の問題で小児には投与しにくい、あるいはできないため、マクロライド系抗生物質を選択する。
- (永久歯が生えていない小児にテトラサイクリンを投与すると、後に生えた永久歯に黄色く色素沈着することがある。また骨成長障害が副作用としてみられることも知られている。ニューキノロン系多くではの小児への投与は、動物実験で関節障害が見られたために日本では禁忌となっている。トスフロキサシン(商品名:オゼックス®小児用細粒)は例外で小児への適応症をもつ。)
基礎疾患や障害のある患児では、その疾患によって肺炎の起炎菌に特徴がある。また、過去の細菌検査の結果も起炎菌推定の助けになる。
いずれの場合にも、喀痰培養の結果や(マイコプラズマの場合)血清診断の結果がでれば、それにあわせて最適の抗菌薬に変更していくことが必要である(広域スペクトラムの抗菌薬を漫然と投与してはならない)。
関連項目
外部リンク
引用・参照
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