統一地方選挙
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統一地方選挙(とういつちほうせんきょ)とは、地方公共団体における選挙日程を全国的に統一して行う選挙。日本においては、ある一定期間に任期満了となった都道府県や市区町村の首長および地方議会議員について、4年に1度(閏年の前年)行われる。
目次 |
概要
一般には当該年の4月に行われ、上旬(一般には第2日曜日)に都道府県知事や政令指定都市の市長、ならびにそれぞれの地方議会議員選挙が、下旬(同第4日曜日)に政令市以外の市町村(東京都の特別区含む)の首長・議会議員選挙が行われる。
これはもともと1947年に、新憲法施行を前に首長・議会議員選挙が実施されたことが始まりである。したがって4年ごとに全国の多くの地方公共団体において一斉に改選時期を迎えることとなることから、選挙への関心を高めたり、日程の重複を避けるため、日程を統一的に調整している。さらに2000年に公職選挙法などが改正されて、下旬の選挙日には衆議院議員および参議院議員の補欠選挙もあわせて実施される。この統一地方選挙の結果は国政にも影響を及ぼすことがあり、とくに知事選挙の全国的な結果は国政政党の執行部の進退につながることもある。
選挙期日等の臨時特例
毎回の統一地方選挙が実施される直前に、選挙期日等の臨時特例に関する法律が制定され、この特例法により選挙日程が統一される。通常この臨時特例法では、該当年の3月1日から5月31日までに任期満了となる首長・議会議員の選挙を、原則として統一地方選挙の対象とすることが定められる。また該当年の6月1日から6月10日までに任期満了となる場合においては統一地方選挙の日程で選挙を実施することを可能とすることが定められる。この他、上旬に実施される選挙(都道府県・政令市の選挙)に立候補した時、当該選挙区を含む選挙区で行われる下旬の選挙(政令市以外の市町村・東京都の特別区の選挙や、衆議院または参議院の補欠選挙)に重複して立候補することはできない(例:上旬に実施されるA県知事選挙に立候補したときは、下旬に実施されるA県にあるB市の市長選挙に立候補できない)。
最近の状況
最近では首長の辞職・死去、議会の解散、市町村合併などにより、少しずつ任期のズレが発生し、そのために統一的に実施される数は回を経るごとに下がり続ける傾向にある。とくに、市町村合併は3度にわたる大規模な合併促進(合併ブーム)により、多くの自治体選挙に影響を及ぼしている。そのため統一地方選挙の統一率の向上が課題となっている。
区分 | 都道府県 | 政令指定都市 | 政令市以外の市 | 特別区 | 町村 | |||||
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知事 | 議会 | 市長 | 議会 | 市長 | 議会 | 区長 | 議会 | 町村長 | 議会 | |
全体数(a) | 47 | 17 | 765 | 23 | 1022 | |||||
実施数(b) | 13 | 44 | 4 | 15 | 94 | 309 | 13 | 21 | 155 | 448 |
(b/a)×100 | 27.66% | 93.62% | 23.53% | 88.24% | 12.29% | 40.39% | 56.52% | 91.30% | 15.17% | 43.84% |
2007年4月1日現在 出典:総務省報道資料(PDF形式) | ||||||||||
2007年4月8日に実施された広島市長・広島市議会議員両選挙は、先述の臨時特例法で定義される統一地方選挙の対象ではなく、公職選挙法第34条の2に定めるいわゆる90日特例を適用して実施された。この表では統一地方選挙の日程で実施される選挙として数に含めているため出典元の資料と数値が異なる。 |
都道府県知事・政令指定都市市長選挙
首長が退職や死亡により、任期途中で欠けたり、新設合併方式で市町村合併を実施した時に失職したりしたことにより一時、統一地方選挙の日程で実施される都道府県知事選挙は11都道県、政令指定都市市長選挙は札幌市1市のみとなっていた。その後、首長の失職や退職により任期満了日が臨時特例法の対象となったり、新たに政令指定都市に移行した市があったりしたことなどにより、統一地方選挙の日程で実施される知事選挙・政令指定都市市長選挙は13都道県・4市となっている。
都道府県・政令指定都市議会議員選挙
首長選挙と比較して、任期のズレが生まれにくい都道府県議会議員選挙では44道府県(茨城県、東京都、沖縄県以外)が、政令指定都市議会選挙では15市(静岡市と北九州市以外)がそれぞれ統一地方選挙の日程で実施する。
都道府県議会・政令指定都市市議会議員選挙にズレが生まれにくいのは以下に挙げる原因が発生しにくいことが挙げられる。
- 住民発議による解散請求(リコール)の投票により過半数の賛成により議会が解散された場合
- 事例なし(都道府県、政令指定都市の場合、有権者数が多いのでリコールできるだけの署名(有権者の3分の1)が集めにくい)
- 都道府県知事、政令指定都市市長の不信任決議の可決(議員数の3分の2以上の出席で4分の3以上の賛成が必要)に伴う議会の解散
- 事例なし(長野県、徳島県などで、知事の不信任決議が可決されたが、いずれも知事が議会を解散せず失職または失職前の辞職を選択した)
- 都道府県議会、政令指定都市市議会の自主解散(議員数の4分の3以上出席で5分の4以上の賛成が必要)(地方公共団体の議会の解散に関する特例法)
- 都道府県の統廃合
- 事例なし
- 政令指定都市の新設合併による市町村合併(政令指定都市への移行の前後を問わない)
ただし沖縄県議会については、同県が1972年5月に日本に復帰し、同6月25日に復帰後初の選挙が実施されたという経緯から、統一地方選挙とは異なる日程となっている。
実施される主な選挙
- 都道府県知事選挙、都道府県議会議員選挙、政令指定都市市長選挙、政令指定都市市議会議員選挙のうち、統一地方選挙の際に実施されるものは下記の通り。
- 都道府県知事選挙は47都道府県中13都道県、都道府県議会議員選挙は47都道府県中44道府県、政令指定都市市長選挙は18市中4市、政令指定都市市議会議員選挙は18市中15市。
北海道 | 青森県 | 岩手県 | 宮城県 | 秋田県 | 山形県 | 福島県 | 茨城県 | 栃木県 | 群馬県 |
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知事 道議会 札幌市長 札幌市議会 | 県議会 | 知事 県議会 | 県議会 仙台市議会 | 県議会 | 県議会 | 県議会 | 県議会 | 県議会 |
埼玉県 | 千葉県 | 東京都 | 神奈川県 | 新潟県 | 富山県 | 石川県 | 福井県 | 山梨県 | 長野県 |
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県議会 さいたま市議会 | 県議会 千葉市議会 | 知事 | 知事 県議会 横浜市議会 川崎市議会 | 県議会 新潟市議会 | 県議会 | 県議会 | 知事 県議会 | 県議会 | 県議会 |
岐阜県 | 静岡県 | 愛知県 | 三重県 | 滋賀県 | 京都府 | 大阪府 | 兵庫県 | 奈良県 | 和歌山県 |
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県議会 | 県議会 静岡市長 浜松市長 浜松市議会 | 県議会 名古屋市議会 | 知事 県議会 | 県議会 | 府議会 京都市議会 | 府議会 大阪市議会 堺市議会 | 県議会 神戸市議会 | 知事 県議会 | 県議会 |
鳥取県 | 島根県 | 岡山県 | 広島県 | 山口県 | 徳島県 | 香川県 | 愛媛県 | 高知県 | 福岡県 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
知事 県議会 | 知事 県議会 | 県議会 | 県議会 広島市長 広島市議会 | 県議会 | 知事 県議会 | 県議会 | 県議会 | 県議会 | 知事 県議会 福岡市議会 |
佐賀県 | 長崎県 | 熊本県 | 大分県 | 宮崎県 | 鹿児島県 | 沖縄県 | |
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知事 県議会 | 県議会 | 県議会 | 知事 県議会 | 県議会 | 県議会 |
その他の地方選挙
- プレ統一地方選挙
- 統一地方選挙が行われる直前の半年間ほどに実施される選挙をプレ統一地方選挙と呼び、茨城県議会議員選挙、福島、沖縄、和歌山、愛媛、山梨、宮崎、愛知の各県知事選挙と新潟、福岡、北九州の各政令指定都市市長選挙や和歌山市、金沢市、甲府市などの県庁所在地の市長選挙が行われ、これらについても各政党は国政選挙並みの体制で臨むなど統一地方選挙までの一連の政治日程の一環として統一地方選挙並みの扱いがされる。
関連項目
- 日本の選挙
- 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律
- ボートマッチ
- 補欠選挙
- 地方自治法
- 公職選挙法
- 供託金
- 亥年現象
- 寅年現象
- 地方公共団体
- 日本の政治
- 都道府県知事
- 全国知事会
- 多選
- 政令指定都市市長一覧
- 直近の統一地方選挙
外部リンク
- 総務省選挙制度改革関連ページ
- 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(平成18年法律第107号) ・ 概要 (総務省 PDF形式)