私鉄

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Template:国際化 私鉄(してつ)は、鉄道事業者のうち、主に私企業により運営が行われる鉄道軌道、またはその事業者をさす語。正式な呼称は民営鉄道(みんえいてつどう、略称「民鉄」=みんてつ)であるが、一般的には私鉄と呼ばれることが多い。

[[ファイル:Kintetsu1233Series01.jpg|200px|thumb|right|近畿日本鉄道の快速急行。JRを除く日本の鉄道事業者(民営鉄道)の中では最長の営業路線網を持つ。]]

一般に「私鉄」と呼ぶ場合、次のような二つの分け方がある

  1. 民営の鉄道や軌道全体。
  2. JRグループのほか、国有化された鉄道、第三セクター鉄道地方公共団体(交通局)、場合によっては東京地下鉄ニューヨーク市地下鉄も除く鉄道や軌道全体。

本項では、特に断りが無い限り、日本の私鉄について述べる。

目次

旧国鉄やJRとの対比での私鉄・私鉄の定義

日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化により、すべてのJR各社もすでに組織形態は公社ではなく民間企業(株式会社)である。JR貨物と三島会社(JR北海道JR四国JR九州)が依然として全発行済み株式鉄道・運輸機構に保有されJR会社法による規制を受ける特殊会社である一方、本州の旅客鉄道3社(JR東日本JR西日本JR東海)は株式上場後民間保有の株式の割合が高くなったことから、2001年JR会社法による規制から外れ、その後いずれも完全民営化がすでに完了したため、事実上ほぼ民間鉄道事業者であるといえる。しかし、歴史的な経緯から、「私鉄」という場合、JR各社は含めないのが一般的である。これは、「私鉄」が「国鉄」の対義語であり、JRが国鉄改革法で「国鉄」の事業を引き継いだ法人と位置づけられているからである。また、JR自体も私鉄であるという認識はないものと思われる[1]。完全民営化された本州の3社も日本民営鉄道協会(民鉄協)には非加入である。JR各社の労働組合も、分割民営化に反対だった国労などはともかく、分割民営化に賛成だった組合でも国鉄時代の動労鉄労などを前身とするJR総連JR連合のいずれかに属し、この点でも他の民間鉄道事業者とは異なる(ただし、少数派の組合であるが、全動労はその後JR以外の組合と組織統合し、建交労という上部団体を結成している)。このように、現在は違いがあいまいになっているにもかかわらず、歴史的経緯から別の業界団体を結成している例としては、他に(以前からの)地方銀行第二地方銀行(旧相互銀行)がある。

一方、東京地下鉄そのものも営団時代から民鉄協に加入し現在では大手私鉄の一つに数えられ、その労働組合も営団時代から私鉄総連に加入しているが、2008年現在では全株式を日本国政府及び東京都が保有し東京地下鉄株式会社法の規制を受ける特殊会社である。また、株式会社の形態ながらも自治体が出資する第三セクター鉄道の中にも民鉄協に加入する事業者がある(青い森鉄道神戸高速鉄道など)。

したがって、日本における私鉄(民鉄)の定義としては、概して言えばJRを除いた民間事業者による鉄道ということになる。旧国鉄及びその承継法人ではない民間企業の形態をとる事業者の運営による鉄道・軌道及び事業者自体を指し、狭義では東京地下鉄・第三セクター鉄道の鉄道・軌道と事業者自体を含めず、広義ではそれらも含めると解すべきであろう。

なお、明確な規定はないが、「私鉄」と呼ぶのは労働組合や一般利用者であり、経営側は「民鉄」と自称することが多い(労働組合の連合会は「私鉄総連」、業界団体の名称は「日本民営鉄道協会」である)。

なお、官庁への届出書類等では「民鉄」という表現を使い、法令でも「民営鉄道」「民鉄」と表記され、「私鉄」とは表現しない。従って、正式な名称としては民鉄であるが、一般的には私鉄と呼ばれることが多い。

経営規模における私鉄の区分

私鉄各社は経営規模等によって、大都市圏中心に路線網を展開する最も大規模な16社(東武鉄道小田急電鉄南海電気鉄道など、2008年現在)が大手私鉄、それに次ぐ規模の5社(新京成電鉄など)が準大手私鉄、前述のいずれにも入らない規模の小さな各社が中小私鉄とされ、3つに区分される。

東京地下鉄は2009年時点では特殊会社であるため、それを除いた15社のみを大手私鉄とみなすこともある。

これらの区分は日本民営鉄道協会によるものとはいえ、明確な定義・基準が存在するわけではないが、国土交通省においてもこの区分が用いられる。

詳細は、これらの各項目を参照のこと。

地図上の私鉄とJR(旧国鉄)の区分

日本においては、国土地理院発行の地形図では、旧来から国鉄線とそれ以外の鉄道線路、現在でもJR線とそれ以外の鉄道線路は記号が異なる。市販の時刻表の索引地図においてもJR線と他の事業者の鉄道路線は異なる記号となっている。このような国有鉄道またはその民営化・組織改変で成立した鉄道事業者による鉄道線と他の事業者による鉄道線とを地図等の表示において記号で区分するのは、日本国外ではほとんど例を見ない<ref>『鉄道ひとつ話2』 原武史講談社 2007年</ref>。

私鉄各社の事業展開

私鉄各社は鉄道事業のほか、異業種にその企業の直営または企業グループによって参入しているのが顕著に見られ、多種の異業種に亘って事業展開する鉄道事業者の企業グループが幾つも見られる(殊に大手私鉄)。異業種では、百貨店、不動産業、レジャー関連、宿泊施設などが挙げられ、不動産業においては沿線のデベロッパーとなってきた事業者もある。

東京急行電鉄西武鉄道阪急電鉄近畿日本鉄道名古屋鉄道西日本鉄道のように、鉄道事業以外では企業グループ全体が自社沿線を超えた事業活動をする事業者も存在する。

しかし、分割民営化後のJR各社もその関連企業が鉄道事業以外に多種の事業展開を行っており、私鉄各社のみに顕著な特徴ではなくなった。

関連項目

脚注

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外部リンク

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