沖ノ鳥島

出典: Wikipedio


Template:半保護 Template:Coord Template:Infobox Islands 沖ノ鳥島(おきのとりしま)は、九州・パラオ海嶺に位置する太平洋上に浮かぶ日本最南端のサンゴ礁)である。

満潮時に沈まないのは東小島、北小島と呼ばれる2つの露岩で、大部分は海面下にある。沖ノ鳥島の法的地位については古くから論争があり、近年では中華人民共和国及び大韓民国より日本の排他的経済水域(EEZ)の主張に対する異議が申し立てられている。

目次

地理

東京から1,740km硫黄島から720km、太平洋の絶海に孤立して形成された南北約1.7km、東西約4.5km、周囲約11kmほどのコメ粒形をしたサンゴ礁の島で、干潮時には環礁の大部分が海面上に姿を現すが、満潮時には礁池内の東小島(ひがしこじま)と北小島(きたこじま)の2つの島が海面上に姿を現すのみである。Template:ウィキ座標度分秒<ref>日本の東西南北端点の経度緯度、国土地理院</ref>フィリピン海プレートのほぼ中央に位置する。日本では小笠原諸島の一部として、東京都小笠原村に属し、住所は郵便番号「100-2100」、東京都小笠原村沖ノ鳥島1番地(北小島)及び、2番地(東小島)となっている。ただし、東京都だけでは保守費用を負担しきれないことから、1999年6月以降は、国(所管は国土交通省)が中心に管理をしている。電話市外局番は小笠原村の04998だが、無人島であるこの島に加入者は存在しない。過去に東京市京橋区硫黄島とともに所属していたという説があるが、これは誤りである<ref>須田皖次「沖の鳥島夢物語」および幻想諸島航海記/[特別篇]沖ノ鳥島の謎――歴史篇 (2)</ref>。

第二次世界大戦の前の調査では最大2.8mの北小島(昔は北露岩と呼ばれた。現在は数十cm)を含め6つの島があったようだが、現在では北小島と東小島(同、東露岩)の2つのみである(正確なところは不明ながら、1933年当初の記録では5つ確認されており、1968年に日本へ管轄権が返還された後も、1982年以前は4つとされていた)。このため、残りの2つも消滅する恐れがあり、この頃から国際的に大きな話題となっていた、半径200海里排他的経済水域を失うことになるため、日本政府1988年から、これらの島に消波ブロック設置とコンクリート護岸工事を施し、チタン合金の金網を被せて保護している。

このほかに、第二次世界大戦前に建設を試みて中断していた旧灯台跡に人工島の観測所基盤、海面上に大規模な観測施設(60m×80m)が建設されており<ref name="REPORT">沖ノ鳥島の変位(1999年2月~2002年2月)、国土地理院</ref>、無人の気象観測が行われている。

東小島には一等三角点「沖ノ鳥島」、北小島には三等三角点「北小島」<ref>2002年1月23日付けで一等三角点「東露岩」、三等三角点「北露岩」から名称変更された。</ref>、観測所基盤には水準標石が設けられている<ref>平成11年度地殻変動監視観測(沖ノ鳥島)海上保安庁海洋情報部</ref>。また、2005年には電子基準点「沖ノ鳥島」が東小島に設置されている<ref name="PRESS">沖ノ鳥島に電子基準点設置、国土地理院、2005年6月29日</ref>。

なお、この島は過去100年あたり1cmという、地盤の沈下が極めて小さいことでも知られ、地球温暖化などに伴う海面の水位変化を調べるのに役立っている。ただし、近年のGPS調査によると沈降こそ無いものの、N70°W5.0cm/年(1年間に進む距離が、真北から西へ70度回った方向に5cm)で、西北西に移動している事が確認されている<ref name="REPORT" />。

沖ノ鳥島周辺は、海面海底の水の温度差が年間を通じて20℃程あり、海洋温度差発電にふさわしい条件が揃っている。

島の歴史

沖ノ鳥島の意義

日本政府は沖ノ鳥島を中心とする半径200海里(370.4km)、約40万km²の排他的経済水域(EEZ)を設定することを国際連合に届け出て以降、国際社会から「」と認められているとしている。

風化防止策

沖ノ鳥島が風化などで満潮時に海の下に隠れてしまうと、日本の国土面積(約38万km²)を上回る排他的経済水域が失われてしまうということで、1988年から段階的に2つの島の周りに消波ブロックとコンクリート護岸工事を行った。ところが、消波ブロックが島を傷つけるという事件が起こったため、島の上をチタン合金の金網で覆ってある。これらの工事費用合計は約300億円と推定されている。

自然による造成策

地球温暖化に伴う海面上昇により、島その物が将来水面下に没する事が予想されている。そこで、自然の力により島を高くしよう、との構想がある。具体的には、島の周囲の珊瑚礁を活性化し、大規模な珊瑚礁を作成させる。これが砕けて砂となり堆積や波による集積を行う事により、自然の力により島の高さを上げてしまうという構想である。この構想の調査のために、水産庁は実施期間を平成18年(2006年)度から2年間とする「生育環境が厳しい条件下における増養殖技術開発調査事業」を創設、業務取りまとめ機関として「サンゴ増養殖技術検討委員会」を設置し、初年度に3億円の予算を充てている。

地位に関する論争

現在の国際海洋法の基礎となっている海洋法に関する国際連合条約(1982年締結、1996年正式発効。国連海洋法条約)では、「島」(island)について以下のように定義されている。

  • 第121条第1項 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。

この定義に従い、日本政府は、満潮時でも水面上に出ている部分がわずかにある沖ノ鳥島は島であると主張している。

しかし同条約では、以下のように定められている。

  • 第121条第3項 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。
  • 第60条第8項 人工島、施設及び構築物は、島の地位を有しない。これらのものは、それ自体の領海を有せず、また、その存在は、領海、排他的経済水域又は大陸棚の境界画定に影響を及ぼすものではない。

これに対して日本政府は、同条約でいう「岩」の定義が、国連海洋法条約上存在しないことを根拠に、排他的経済水域を主張している(1999年4月16日の第145回国会衆議院建設委員会の場における、政府委員の大島正太郎・外務省経済局長の主張)。

沖ノ鳥島は同条約でいう「岩」に当てはまるとする意見は以前から存在する。海洋法専門家のヴァン・ダイク・ハワイ大学システムマノア校教授は1988年、「沖ノ鳥島―せいぜいキングサイズのベッドくらいの大きさしかない、2つの浸蝕された突起から構成される―は、独自の経済的生活を維持することのできない居住不可能な岩、という記述に間違いなく当てはまる。従ってそれは、200海里排他的経済水域を生み出す資格を与えられない」と主張した<ref>沖ノ鳥島補強しても経済水域保てない/米学者が主張、讀賣新聞、1988年1月22日附夕刊2面</ref>。

ヴァン・ダイク教授は、「日本の立場は、英国が1990年代にEEZの主張を諦めた大西洋のロッコール島の例に酷似している」と指摘した。

中国の主張

2001年頃から、中国海洋調査船による調査が沖ノ鳥島の排他的経済水域内で多く行われ、この件について日本は2004年、事務レベル協議で抗議した。これに対し2004年4月11日、中国側は、沖ノ鳥島は「島」ではなく「岩」であり、日本の領土とは認めるが、排他的経済水域は設定出来ないと主張。2009年8月24日には国際連合大陸棚限界委員会において、沖ノ鳥島を「人の居住または経済的生活を維持できない岩」であると認定するよう意見書を提出した。

この中国の主張は、アメリカとの軍事的対立に備えて、この海域の詳細な海図を製作するためといわれている。中国は南西諸島を「第一列島線」、小笠原諸島からマリアナ諸島グアムパラオを結ぶ線を「第二列島線」として、自国の防衛網に組み入れている。この両列島線のほぼ中間に位置するのが沖ノ鳥島であり、この周辺の広大な海域が確保されていないと、軍事行動に大きな支障をきたすため、近年になってこのような主張を行っていると考えられている。

その一方では、中国も赤瓜礁の岩周辺に人工建造物<ref name="akauri">沖ノ鳥島に「港」-カギはレアメタルと制海権</ref>を造成している。

日本の対抗措置

2005年1月31日石原慎太郎東京都知事首相官邸小泉純一郎総理大臣(当時)と会談、経済活動の実証のため沖ノ鳥島周辺での海洋深層水と表層水の温度差を利用する実験的発電所の建設計画や漁業活動の計画があると明らかにした。沖ノ鳥島周辺は深海底から陸まで、まれに見る急勾配で、せり上がる地形のため温度差発電に適している。

5月20日、石原都知事は沖ノ鳥島の視察を行い、周辺海域へシマアジの稚魚を放流した。6月にはチタン製の看板を設置する。内容は「沖ノ鳥島、日本国最南端の島、設置場所『東京都小笠原村沖ノ鳥島1番地』」とされ、沖ノ鳥島の北緯東経が記されている。

2005年8月24日海上保安庁が、経済活動実証のため沖ノ鳥島に灯台を設置することを決定し、2007年3月16日に灯台を設置し運用を開始した。これにより灯台が海図に記載された。

2009年11月6日には、環礁部分に船舶が接岸できるような港湾施設を建設する方針を決めたと報道された<ref>沖ノ鳥島に「港」建設へ 中国の「岩」主張に対抗、産経新聞、2009年11月6日</ref>。中国の「経済的生活の維持」ができないとする主張に対抗する意図があると見られる。

脚注

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関連項目

外部リンク

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