樽見鉄道樽見線

出典: Wikipedio


樽見線(たるみせん)は、岐阜県大垣市大垣駅から岐阜県本巣市樽見駅に至る樽見鉄道鉄道路線である。

大垣 - 神海間は旧国鉄特定地方交通線を転換、神海 - 樽見間は旧日本鉄道建設公団建設線であった路線である。本来、この路線は鉄道敷設法別表の「大垣ヨリ福井県大野ヲ経テ金沢ニ至ル鉄道」の一部であったが、国鉄時代は神海駅までの開業にとどまり以北の建設は凍結された。樽見駅までは7割ほど完成していたことから転換後に工事を再開し延伸開業した。

住友大阪セメント岐阜工場のセメント輸送のため、大垣 - 本巣間には貨物列車も運行され、本巣駅から工場までの専用線も存在していた。このセメント輸送は営業収入の約4割を占めていたが、2004年に住友大阪セメントが鉄道輸送の利用を2005年度末で打ち切ることを表明し、2006年3月28日限りでセメント輸送貨物列車の運行を終了した。樽見線の貨物輸送は1990年度には約54万トンあったが、2002年度には約17万トンまで減少していた。今後の経営への影響が懸念されており動向が注目されている。

目次

路線データ

運行形態

朝と夜に区間運転列車があるほか、一部の列車は本巣乗り換えであるものの大垣 - 樽見間の運転で、日中は1時間半に1本の運行である。

全列車がレールバスで運行されているが、2006年3月4日までは平日の朝夕の通学時間帯の大垣 - 本巣間の1往復はディーゼル機関車牽引による客車で運行されていた(大垣駅より岐阜第一高等学校へ通う生徒が多く乗車するためであり、他校の生徒からは通称「一高列車」と呼ばれていた)。

終点の本巣市根尾にある淡墨桜の見物客で賑わう春の観桜シーズンには特別ダイヤである「桜ダイヤ」が組まれていたが、2006年は貨物列車削減の影響により通常ダイヤでの運行となった。しかし最盛期の乗客に対応しきれず2007年から特別ダイヤが復活した。

また、沿線にあるショッピングセンター「モレラ岐阜」の利用客対応のため、土曜日・休日は午前中に追加運行がある。

本巣 - 樽見間の大垣方面に接続しない列車も朝6時台・夜22時台に1往復運行されている。大垣発の最終列車は樽見までが21時台で、22時台は本巣駅までの運行であるが、以前は22時台に樽見行があった。また、樽見発最終列車は本巣行きで、途中神海のみの停車となる。

2006年4月20日までは毎時1本程度の運行で、本巣 - 樽見間に早朝5時台と深夜23時台の1往復、通過駅のある列車が設定されていた。

大垣 - 本巣間は田園地帯を走っているものの、本巣 - 樽見間は沿線の山及び根尾川渓谷に沿って走っているため四季折々の美しい景色(春は桜、夏は新緑の山、秋は紅葉、冬は雪景色)を楽しむことができる。また、それらの景色を楽しむためのイベント列車も運行されている。

桜ダイヤ

桜ダイヤとは、本巣市にある日本三大桜の一つであり、国の天然記念物である淡墨桜への観光客用に3月から4月に実施していた(2007年以降は4月の上旬から中旬に実施)。

ナイスホリデー淡墨桜

淡墨桜の開花時期に東海旅客鉄道(JR東海)が樽見鉄道に乗り入れを行う形で、1990年(平成2年) - 1999年(平成11年)に名古屋駅 - 樽見駅間を東海道本線・樽見鉄道樽見線経由で運行した臨時快速列車としてナイスホリデー淡墨桜(ナイスホリデーうすずみざくら)があった。

基本的には、樽見鉄道が3月から4月に実施する桜ダイヤに合わせての運行であった。そのため、運行時期は毎年異なっていた。また、1日1往復の運行であった。

停車駅 
名古屋駅 - 尾張一宮駅 - 岐阜駅 - 大垣駅 - 本巣駅 - 樽見駅
  • 樽見鉄道内の停車駅は、年により異なる。
使用車両
客車
  • JR東海14系客車 - 基本は5両編成。大垣駅で進行方向が変わる。
機関車
名古屋 - 大垣間で使用。ユーロライナー専用機関車が使用されたこともある。
  • 樽見鉄道TDE10形
  • 樽見鉄道TDE11形
大垣 - 樽見間で使用。国鉄DE10形の同系車。

利用状況

輸送実績

収入実績

営業成績

歴史

鉄道敷設法別表第74号に規定する「岐阜県大垣ヨリ福井県大野ヲ経テ石川県金沢ニ至ル鉄道」で、建設着手は太平洋戦争前の1935年であった。戦時中は一時工事が中断したが、1952年に再開、1956年に漸く谷汲口まで開業、1958年には神海まで延伸された。

沿線はもともと人口があまり多くなく、人の流れも大垣ではなく岐阜に向かっていた(後に高校の学区が設定され、沿線の大半で大垣の県立普通科への進学ができなくなったためこの傾向は強まった)ため、本巣に誘致された住友セメント(現・住友大阪セメント)の工場から積み出されるセメント輸送が当初から頼みの綱であった。この傾向は平野部で宅地化が進んでからも変わっていない。

1979年度の収支係数は392で、1980年に国鉄再建法が公布されると、旅客輸送密度の小さい盲腸線であった樽見線は第1次特定地方交通線に選定され、廃止対象となってしまった。

沿線では、通学輸送と貨物輸送を確保する観点から第三セクター方式での路線存続を選択し、大垣市に本社を置く貨物専業の西濃鉄道や住友セメントを主な株主として樽見鉄道が設立され、1984年に転換された。転換後は、列車増発などの積極策が奏功し、順調な滑り出しとなった。この好調さを受け、工事が70%まで進捗していた神海 - 樽見間の工事が1986年に再開され、1989年に延長開業を成し遂げている。

年表

  • 1956年昭和31年)3月20日 - 国鉄樽見線 大垣 - 谷汲口間 (21.7km) 開業。貨物営業は大垣 - 美濃本巣間 (16.3km) のみ。東大垣駅、十九条駅、美江寺駅、本巣北方駅、糸貫駅、美濃本巣駅、谷汲口駅開業。
  • 1958年(昭和33年)1月15日 - 木知原駅開業。
    • 4月29日 - 谷汲口 - 美濃神海間 (2.3km) 間延伸開業。美濃本巣 - 谷汲口間 (5.4km) で貨物営業開始。美濃神海駅開業。
  • 1960年(昭和35年)2月15日 - 横屋駅開業。
  • 1971年(昭和46年)3月31日 - 旅客手荷物輸送廃止。
  • 1974年(昭和49年)10月1日 - 美濃本巣 - 美濃神海間 (7.7km) の貨物営業廃止。
  • 1976年(昭和51年)8月21日 - 小荷物輸送廃止。
  • 1981年(昭和56年)9月18日 - 第1次特定地方交通線として廃止承認。
  • 1984年(昭和59年)10月6日 - 国鉄樽見線 (24.0km) 廃止転換、樽見鉄道樽見線 (23.6km) 開業。本巣北方駅を北方真桑駅に、美濃本巣駅を本巣駅に、美濃神海駅を神海駅に改称。
  • 1988年(昭和63年)11月1日 - 大垣 - 本巣間がタブレット閉塞から特殊自動閉塞になる。
  • 1989年平成元年)3月25日 - 神海 - 樽見 (10.9km) が延伸開業し全通。高科駅、鍋原駅、日当駅、高尾駅、水鳥駅、樽見駅開業。
  • 1993年(平成5年)6月 - 本巣 - 神海間がタブレット閉塞から特殊自動閉塞になる。
  • 1995年(平成7年)12月 - 神海 - 樽見間がタブレット閉塞から特殊自動閉塞になる。
  • 2002年(平成14年)4月1日 - 織部駅開業。
  • 2006年(平成18年)4月21日 - モレラ岐阜駅開業。同時にダイヤ改正も実施し、始発列車の大幅な繰り下げや最終列車の繰り上げ・繰り下げを実施。
    • 4月30日 - 大垣 - 本巣 (16.2km) の貨物営業廃止(貨物列車の運転は3月28日まで)。

駅一覧

  • 全駅岐阜県に所在。
  • *印は転換時(後)に設置された新駅。カッコ内は国鉄時代の駅名。
駅名 駅間キロ 営業キロ 国鉄時代の
営業キロ
接続路線 所在地
大垣駅 - 0.0 0.0 東海旅客鉄道東海道本線
養老鉄道養老線
大垣市
東大垣駅 2.7 2.7 2.8  
横屋駅 1.8 4.5 4.7   瑞穂市
十九条駅 1.0 5.5 5.7  
美江寺駅 2.0 7.5 7.6  
北方真桑駅
(本巣北方駅)
3.3 10.8 10.9   本巣市
*モレラ岐阜駅 1.7 12.5 -  
糸貫駅 0.9 13.4 13.6  
本巣駅
(美濃本巣駅)
2.8 16.2 16.3  
*織部駅 1.3 17.5 -  
木知原駅 2.7 20.2 20.4  
谷汲口駅 1.4 21.6 21.7   揖斐郡揖斐川町
神海駅
(美濃神海駅)
2.0 23.6 24.0   本巣市
*高科駅 1.6 25.2 -   揖斐郡揖斐川町
*鍋原駅 1.2 26.4 -   本巣市
*日当駅 1.9 28.3 -  
*高尾駅 2.2 30.5 -  
*水鳥駅 2.0 32.5 -  
*樽見駅 2.0 34.5 -  

関連項目

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