月姫 (ゲーム)

出典: Wikipedio


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月姫』(つきひめ)は、同人サークルTYPE-MOON』(有限会社ノーツの前身であり、現在はそのブランド)制作のビジュアルノベル伝奇恋愛ゲーム)。シナリオ担当は奈須きのこ、グラフィック担当は武内崇。イメージカラーは「夜の青」。

完全版(ゲームとしての完成形)は、2000年12月に東京国際展示場にて開催されたコミックマーケット(以下コミケ)59が初出。

目次

概要

同人ゲーム(シナリオ枚数原稿用紙5000枚、グラフィックの総数500枚以上)。その世界観、細かい設定などがコミケ終了後にユーザー(プレイヤー)の間で大きな評判を呼び、同人ゲームとしてはヒット作となった。また、エキサイト ブックス現代作家ガイドにも掲載されている<ref>エキサイト ブックス現代作家ガイド―奈須きのこ(なすきのこ)</ref>。

月姫の好評を受けて、おまけディスク『月姫PLUS-DISC』やファンディスク『歌月十夜』が制作された。その後、同人サークル渡辺製作所とのコラボレーションによる対戦格闘ゲームMELTY BLOOD』も発表され、月姫シリーズを形成した。

また、同人作品であるにも係わらず、商業作品として展開・派生した作品・商品が多いことでも知られており、『真月譚 月姫』としてのアニメ化・漫画化といった各種メディアへの展開、『MELTY BLOOD Act Cadenza』としてのアーケードゲーム進出、フィギュアキャラクターグッズの商品化などが挙げられる(詳細は各記事や歴史の節を参照。)。特にアンソロジーコミックの発行点数は、TYPE-MOONが二次創作をあまり規制していないことから、相当な数となっている。 TYPE-MOON10周年記念に「リメイク化」が決定した。

歴史

  • 1999年 コミックマーケット56で無料告知フロッピー300枚を配布。コミケ57では体験版フロッピー50枚を頒布。
  • 2000年8月 コミケ58で『月姫(半月版)』300枚を頒布。
  • 2000年12月 コミケ59で『月姫(完全版)』を頒布。
  • 2001年1月 サンシャインクリエイション11で『月姫PLUS-DISC』を頒布。
  • 2001年8月 コミケ60で『歌月十夜』を頒布。
  • 2002年12月 コミケ63で『MELTY BLOOD』を頒布。
  • 2003年4月 『月箱』を頒布。
  • 2003年8月 「月刊コミック電撃大王」10月号より漫画『真月譚 月姫』連載開始。
  • 2003年10月 BS-iでアニメ『真月譚 月姫』放送開始。
  • 2004年5月 『MELTY BLOOD Re・ACT』を頒布。
  • 2004年10月 『月姫読本 Plus Period』発売。
  • 2005年3月 アーケードゲームMELTY BLOOD Act Cadenza』稼動開始。
  • 2006年2月24日 同日発売の「ファミ通」にて『MELTY BLOOD Act Cadenza』のPS2への移植を発表。
  • 2006年8月10日 PS2版『MELTY BLOOD Act Cadenza』発売。
  • 2007年7月27日 Windows版『MELTY BLOOD Act Cadenza Ver.B』発売。
  • 2008年4月21日 Windows版『月姫』(リメイク版)、「TYPE-MOONエース」誌上にて開発開始を発表。

ストーリー

物語の主人公である遠野志貴は、幼い頃に一度死にかけた後、「モノ」の壊れやすい部分を黒い線として捉えることのできる特別な眼「直死の魔眼」を持つようになった。とはいえその能力をもてあましていたときに、偶然出会った女性からたしなめられ、その眼の力を封じる眼鏡を受け取ったおかげで、外見上、普通の少年として平凡な生活を送ることができた。

しかし、子供の頃から預けられていた親戚の家から、実家に帰ることが決まった頃と時を同じくして起きる、全身の血液を抜かれて人が殺されていく連続猟奇殺人事件が、志貴の生活を非日常へと急激に変化させてゆくこととなる。


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主な用語

吸血鬼

人の血を吸う吸血種(血を吸う生き物の総称)の一種。作中においては後述の真祖(しんそ)、死徒(しと)、ないしそれらに血を受けて吸血種と成ったモノを指す。基本的に太陽光に弱く、血を吸ったモノを支配し配下に置いたり、血を入れたモノを手足の延長線の様に操ることができる。

真祖

吸血鬼の一種で吸血種の中でも特異なモノ。人間を恐れた星が生み出した、人間を律する「自然との調停者」。星をかつての姿「真世界」に戻そうとする「自然(星)の触覚」。精神と肉体の構造は律する対象である人に似せて作られているが、分類は受肉した自然霊にあたり、生まれた時から人知を超えた力を持つ。高い身体能力に加え、精霊に近い性質を持ち、世界と繋がることで思い描く通りに自身(精霊)と自然を変貌させる「空想具現化」(マーブル・ファンタズム)の異能力を有す。

細胞の限界という意味での寿命は無いが、全ての真祖には「律する対象である人間の血を吸いたい」という欲求(欠陥)があり、真祖はその欲求を抑えるのに大半の精神力を消費し、いずれ蓄積された欲求が自身の精神力を超えそうになった時には自ら永劫の眠りに付くため、それが寿命の無い真祖の「寿命」とされる。自ら眠りにつくことなく吸血衝動に負けて欲求のままに無差別に人間の血を吸うようになってしまった真祖は「堕ちた真祖」や「魔王」とも呼ばれ、力の抑制から解き放たれ、真祖としての真の力を発揮できるようになっているため人間では太刀打ちできない存在とされる。

現代では「堕ちた真祖」を狩る為に無から作り出されたある真祖が、ある人間の姦計により暴走、真祖の大半を消滅させたため、現在では真祖はほぼ全滅しているが、『MELTY BLOOD』では、真祖というにはあまりにも純度が低いものの、アルクェイド以外に真祖の生き残りがいることが示唆されている。

地球≒ガイアによって作り出された「霊長の敵対者」である真祖に対し、アラヤ(霊長≒人類)が欲した「霊長の守護者」が存在する。『Fate/stay night』ではある登場キャラクターがそれにあたり、『空の境界』では形の無い集合的無意識として語られ、『空の境界』『月姫』『Fate/stay night』の物語に共通する世界観を読み解く要素になっている。

死徒

吸血鬼の一種。人間から吸血種に成った者たち。真祖や他の死徒に吸血され、その血を体内に入れられた人間のうち、肉体・霊的資質に優れた者が成った場合と、魔術師が研究の果てにその身を吸血種へと変えた場合とがある。吸血による死徒化の場合、血を入れた側を「親」、血を入れられた側を「子」とも呼び、「親」である吸血鬼は「子」の力や吸血衝動に影響を与える。

吸血による死徒化の過程は次の通り。素質ある人間の死体の脳髄が溶けて魂が肉体に完全に“固定”された「食屍鬼(グール)」の状態となり、その後数年かけて他の遺体を喰らい続けることにより腐敗した血肉を補った「生きる死体(リビングデッド)」になり、「生きる死体」がさらに数年かけて人間だった頃の知性を取り戻してはじめて「吸血鬼」となる。ただし、特に資質に恵まれた者であれば、短期間で吸血鬼となる場合もある。

死徒の肉体は不老であるうえ、肉体も人間に比べれば頑強になり、“復元呪詛”と呼ばれる時間逆行によって生きている限りは損傷部位も元に戻る。しかし、精神や魂の劣化を防ぐことはできず、またその肉体は何もしなくても常に崩壊を続ける。そのため、生前と同じ種類の生き物の血を定期的に摂取することで遺伝情報の補完を繰り返す必要のある「不完全な」不老不死である。

死徒の起こりは真祖の吸血衝動の一種の痛み止めとして用意された人間だったが、やがて力を付けることで真祖の支配を破り逃げ出した最初期の死徒たちが「死徒二十七祖」と呼ばれるようになり、特に強力な吸血種の称号として、代替わりや欠番、または死徒以外の吸血種を座に迎えながらも、現在も世界の闇に君臨している。

直死の魔眼

「モノの死」を視覚情報として捉えることのできる眼。これが読み取って視覚する「死」とは単なる「生命活動の終了」ではなく、あらゆる意味や存在そのものが発生した瞬間に定められている概念である“いつか来る終わり”、「死期」や「存在限界」を意味し、存在の寿命そのものである。「死」は黒い線と点で現れ、強度を持たない。この「死」を切ったり突くことでそのモノの寿命を断つと、あらゆるモノ(有機、無機を問わず、時にはより広義・上位概念上の存在も含む)を殺すことができる。

「死の線」はモノの死に易いラインを表し、線をなぞり断てば本体が生きていようとその部分は「死亡」し、結果として対象はどんなに強靭であろうと切断される。「死の点」は死の線の源でもあり、寿命そのもの。死の点を突けばそのモノの意味が死に至る。

直死の魔眼と称してるが正しくは魔眼ではなく超能力に分類され、所持者の脳と眼球でワンセットであり、見ることができる「死」は所持者の認識に左右される。対象物の中の限定的な部分に関する線や点だけを突くことも可能で、体内の毒物や病んだ内蔵などを限定して殺せば他は傷つけずに排除できるため治療としての応用が可能。ただし直死の魔眼を用いたとしても、魔眼所有者が死を理解できないモノ、その時代において殺す(壊す)ことが不可能なモノ、死期が無いモノはその死も理解できないので線も点も視えず、殺すことはできない。それは人間である保持者の基準がその時代の人間の限界に準じるからである。

混血

かつて、ヒトならざるもののと交わり力を得た人間の末裔。血の力を引き出すことで人間には無い異能を使い、先祖の血や個人によって能力は大きく異なる。ヒトならざるものの血を引く者が血の力を最大に引き出した状態を先祖還りまたは、魔を示す三大色を冠した紅赤朱(くれないせきしゅ)と呼ぶ。基本的に歳を重ねるごとに人以外の血は強くなっていき、魔としての意識がそれを抑えつける人の意思より強くなった状態を「反転」と呼ぶ。「反転」すると人らしい理性や道徳観が欠如し、ケモノじみた欲望のままに行動するようになる。紅赤朱など、そういった魔としての血が濃くなって人から「外れた者」を処罰する退魔の組織や血筋も存在し、家柄や時と場合によって混血も彼らと協力したり、最大の敵対者となったりする。

魔術と魔法

「魔術」とは、人為的に神秘・奇蹟を再現する行為の総称である。魔力を用いて「世界にあらかじめ定められているルール」を起動・安定させ、神秘を起こす。基本的には等価交換であるため万能ではない。また、時間や資金をかければ他の手段を用いても実現できるような結果しか期待できない。

「魔法」とは、魔術師たちの最終到達目標。魔術とは異なり、その時代で実現不可能な出来事を可能とするのが魔法である。文明が幼かった過去においては、魔術師の大半は「魔法使い」と呼ばれたが、現代において魔法使いは五人のみ(個人の認識の違いにより、「生きている」四人のみを現代においての魔法使いと数える場合もある)。

以下、魔術においての主な用語を記述する。

魔力
魔術を起動させるための要素。原初の生命力とも呼ばれる。世界に満ちる魔力は「マナ」、生物の体内の魔力は「オド」とも呼ばれる。基本的に両者の質に差はほとんど無いが、マナの方がオドより遥かに多い。
魔術回路
魔術を起動させるための基盤。生き物が持つ擬似神経であり、一種の内臓。生命力を変換して魔力(オド)を精製する炉心にして、「世界にあらかじめ定められているルール」に魔力を注ぐためのパイプライン。生まれながらに持てる数が決まっており、魔術師の素質とも言え、一つでも多く魔術回路を持ったほうが魔術行使の上で有利とされる。
魔眼
視界内の者に一工程の魔術を行使する眼。行使する魔術の種類は魔眼により、暗示・魅惑・束縛・石化など多数存在する。人工的な物と生まれつきの物があり、強力な魔眼は後者に限られる。魔眼は色でランク分けされ、緑や赤、黄金、宝石、虹の順に格上になっていく。
固有結界
“異界創造”法の一種。自らの内面である心象世界をカタチにし、現実を侵食させて創り出す結界。術者の心象世界の体現ゆえに個人個人でその能力の概要は大きく異なり、カタチは常に一定で術者の意思では変えられないが、影響下のあらゆるものを“現実と異なる現実”に従わせることができる。
本来は悪魔や精霊の能力だが、死徒や魔術師も一部の上級者が可能とする。魔術としては禁呪に当たり、最も魔法に近い魔術とされる。ただし、世界の延長である精霊以外の者が用いると世界そのものが異界を潰しにかかる(これを「世界による修正」とも呼ぶ)ため、維持には莫大な力がいる。
魔術協会
魔術を管理・隠匿し、その更なる発展(衰退とも言う)の為の研究機関。本部はロンドンにあり、「時計塔」の異名を持つ。三大部門に分かれていて、「時計塔」の他にエジプトの「アトラス院」(通称、巨人の穴倉)、北欧に根を張る複合教会「彷徨海」がある。中東圏の魔術基盤、大陸の思想魔術とは相容れず不可侵。</br>神の教えを説く宗教機関の裏側であり、神の教えに反する「異端」を狩ることに特化した一大部門・「聖堂教会」とは折り合いが悪く、これまで幾度も殺し合いを続けてきた(現在は協定が結ばれ仮初めの平穏を保っている)。

登場キャラクター

登場人物名の後に記した声優名(〔『MELTY BLOOD』/『真月譚 月姫』〕の順)は参考データで、『月姫』自体にはボイスは付いていない。

メインキャラクター

遠野志貴(とおの しき)
声優野島健児/鈴村健一
身長:169cm 体重:57kg
誕生日:10月15日 血液型:AB型
本作の主人公。高校二年生。財閥めいた大グループである遠野家の長男だが、幼い頃に重傷を負い、それ以後父親に勘当同然に拒絶されて親戚の家「有間」で過ごしていたが、父親の死をきっかけに再び遠野の屋敷に彼が戻るところから物語は始まる。
子供の頃の二度にわたる臨死体験がきっかけで、「モノの死」を見ることの出来る「直死の魔眼」を得る。視力は両目とも2.0(あるいはそれ以上)だが、直死の魔眼は脳に非常に重い負担をかけるため、普段は「魔眼殺しの眼鏡」をかけて眼の力を抑えている。
基本的には誰にでも優しくできる中立な青年。運動神経は良いが、幼い頃に重傷を負った事件以降、慢性的な貧血持ちであるため体育は苦手。私物を持ちたがらない性格で部屋の中もさっぱりしているが、刃物の収集癖があり、また殺人鬼としての秀でた素質を持つ。
何事も器用にこなすが女性に対して鈍感であるため、各ヒロインから「愚鈍」「鈍感」「野暮天」「朴念仁」「一番悪い人」と言われている。
実は養子で遠野の血は引いておらず、 旧姓は七夜。魔よりになった混血を暗殺することを生業とする退魔の一族である七夜を恐れた遠野槙久による七夜一族殲滅の際、自分の息子と同じ「シキ」であるという気まぐれから養子に取られ(また自身の子が反転衝動に堕ちたときの討伐者としての側面もあり、アニメ版・漫画版ではこちらの面が強く出ている)、シキ、秋葉、翡翠とともに幼少の一時期を過ごすが、ゲーム開始直後は槙久により幼少時の一部の記憶を暗示により封印されている。七夜志貴であった頃の記憶はほぼ無くしているが、「直死の魔眼」の元となった「ありえざるモノを視る」眼である「淨眼」は残っている。彼が魔眼をフル活動する時に目が蒼い淨眼になるのは淨眼の性質である。因みに淨眼の能力も保持しており、対象の情報を元に霊体を見ることが出来ると歌月十夜でシキが推測している。「人でないモノ」に対する殺意の衝動や殺人鬼としての資質、極限状態で見せる体術などの七夜の一族の特徴は、いまだ彼に残っている。また反転衝動で極限状態になった彼は殺人貴と呼ばれ、もしくは可能性の一つとされる。詳しくは下記を参照。
名前も能力も顔立ちも『空の境界』の主人公の両儀式と準主人公の黒桐幹也から受け継いでいる。
アルクェイド・ブリュンスタッド(Arcueid Brunestud
声優:柚木涼香/生天目仁美
身長:167cm 体重:52kg スリーサイズ:B88/W55/H85
誕生日:12月25日生(自称) 血液型:不明
イメージカラー:白 イメージソング:Nav KatzeCrazy Dream
本作の正ヒロイン。真祖に区分される吸血種。真祖の執行者。日光を浴びても「なんかだるい」位にしか感じず、人間の血を吸わない変わった吸血鬼。
性格は無邪気で天真爛漫で感情の起伏が激しい。わがままとも取れる行動をとるが、それは社会経験が殆どないためであり本人に悪気はない。自由奔放な猫のように、明るくしなやかな女性。楽観的に見えるが、根は悲観主義。「教えて知得留先生」ではデフォルメされた謎のキャラ「猫アルク」として登場している。
他の追随を許さぬ高い身体能力から繰り出される「爪」と「空想具現化」による戦闘力は、TYPE-MOON作品の多く(『DDD』を除く)が共有する統一的世界観において最強クラスである。しかし作中ではロアに力の一部を奪われ、また志貴に出会い頭に惨殺された影響で大きく弱体化している。
地球そのものから無限のバックアップを受けるが、同時に星からの絶対命令により相手<ref>この「相手」というのは相手の「個体能力」のことである。</ref>よりもやや上の出力しか許されない。シンプルイズベストであるためオールラウンダーであり、総じて勝率が高い。
真祖の項で説明したように、真祖は常に吸血衝動を抑えるために7割方の力を使っている。彼女も例外ではなく、普段は吸血衝動を抑えているが、逆上し吸血衝動に飲まれかけた状態の時は普段よりも力が増す<ref>その状態の彼女の怪物ぶりを表す例として、公園 - 学校間の約6kmを一分足らずで走破し(計算上では時速約360km以上で移動したことになる)、普段ならまだ勝負になる相手・シエルを一瞬で倒したことが挙げられる。</ref>。この状態は暴走アルクェイドあるいは悪クェイド(ワルクェイド)と称されている。
本編では表情豊かな女性だが、本来は真祖の処刑道具として一切の感情を排して「運用」されていた。彼女が感情を持ったのは、志貴に殺されたことで「システム」も破壊され、再生する中で「バグ」を起こしたようなもの、と例えられている。12世紀頃に誕生したとされるが、その活動年数は1年にも満たず、人生の殆どは城で深い眠りにつくものだった。
ストーリーが秋葉たちを中心に展開する「遠野家ルート」では全くと言っていいほど出番がないため、正ヒロインであるにもかかわらずヒロイン中最も出番が少ない。そのことについて猫アルクが愚痴をこぼしている。
武梨えり二次創作で、志貴と魔法少女の映画を見に行ったことで、アルクェイドがそれに気に入り、魔法少女に扮した「白き月姫ファンタズムーン」という姿で登場しており、これが後に『キャラクターマテリアル』に紹介され、また『フェイト/タイガーころしあむアッパー』に参戦している。ちなみに、ファンタズムーンの杖は『Fate/stay night』のキャスターから奪い取った設定である。
嫌いな食べ物はにんにく
4回行われた月姫キャラクター公式人気投票で1位を独占する等、絶対的な人気を誇る。なお、2009年のまほうつかいの箱での公式人気投票の「第1回マイBESTキャラランキング」では、全TYPE-MOONキャラ中5位と初めて1位から転落したが、月姫キャラクター中では2位の琥珀に大差をつけての1位であり、未だ根強く支持を受けている。
デザインのモチーフは武内崇が大学時代に読んだファッション雑誌の外国人モデル。現在、跡地となっている同人時代の公式ホームページでその写真の閲覧が可能となっている(EXTRA→スタッフ座談会第一夜と進むと、中程からリンクが貼られている)。名前の由来はドラキュラの逆綴りではないかと言われていたが、スタッフによれば名前が中々決まらなかったために奈須きのこの別作品に登場するキャラクターの名前を使うことになっただけで偶然とのこと。
シエル(Ciel
声優:佐久間紅美/折笠富美子
身長:165cm 体重:52kg スリーサイズ:B85/W56/H88
誕生日:5月3日 血液型:O型
イメージカラー:青 イメージソング:BUCK-TICK地下室のメロディー
気さくで物腰の柔らかい、志貴の学校での先輩。しかし実は“普遍的な意味を持つ”一大宗教の裏側、“異端狩り”の組織「聖堂教会」の中でもさらに異端審問に特化した組織「埋葬機関」の代行者として、神に代わって異端を殺すことを生業としている人物。「シエル」は洗礼名で、本来の名はエレイシア。
組織の第七位(組織は七人編成。予備役が一人)であり、卓越した身体能力、膨大な知識、冷酷な感性を持ち、総合的に非常に高い戦闘力を有する。任務遂行時はクールで冷徹。身体能力を生かした高い格闘技術の他、「黒鍵」と呼ばれる投擲用の剣から銃火器まで数多くの飛び道具を法衣の下にしまい込み愛用するため、埋葬機関から「弓」と呼ばれる。
魔術に関しても秀でており、知識だけなら対立組織「魔術協会」の最上位の魔術師に匹敵し、魔力のキャパシティーも通常の魔術師の百倍に相当する。簡単な催眠から、戦闘用の投剣「黒鍵」への魔術の付与、結界に関するものも見られる。ある理由から魔術を使用することを嫌うが、任務遂行のためなら拒まない。またその同じ理由から、決して死ぬことが出来ない。
シエルの武装の中には転生を否定する概念武装「第七聖典」があり、霊体に対し絶大な威力を持つ強力なパイルバンカーである。元は厳かな神具だったがシエルの趣味で改造され、物理的攻撃力も高くなっている。精霊が宿っているが、こちらは『歌月十夜』にて登場。
メガネにはあまり度が入っておらず、戦闘時は外していることが多い。
実は先代(17代目)のロアの転生体。フランスの片田舎でパン屋の娘として平凡に生きていたが、ロアが覚醒したことで自身の意識は保ったまま家族や友人を含めた故郷の人間を全て惨殺してしまう。その後、教会と組んだアルクェイドによって滅ぼされるものの、生まれ持ったポテンシャルゆえか「ロア」が抜け出た死体が蘇生を果たす。しかし同時に「ロア」が二つ存在するという世界にとって矛盾を抱えた存在となり、「死ねない体」(正確には無限蘇生)となってしまう。異端として教会によるありとあらゆる殺戮を経験した彼女は、その不死性に目をつけた埋葬機関長・ナルバレックの誘いを受け、埋葬機関第七位の代行者となる。
上記の因縁によりアルクェイドとは折り合いが悪く、隙あらば殺し合いを始める関係。存在自体がある意味で異端である埋葬機関で生きてきた彼女は、自分同様「死」を経験しながら緩い志貴の生き方に強く感化されていく。
極度のカレー好き(ゲーム中での食事はほぼカレーだけ「カレーうどんをおかずにしてカレーライスを食べる」という徹底振り)であるため各所でネタキャラとしても扱われている。アニメ版『真月譚 月姫』では食事をしているとき、シエルが食べていたのがカレーではなくスパゲティだったために激怒したファンがいた。
ひぐらしのなく頃に』では彼女のオマージュとして知恵留美子(ちえ るみこ)先生というキャラクターが登場し、外見はもちろんのこと、「先生」「カレー好き」という設定も引き継ぎ、アニメの声優は『真月譚』でシエルを演じている折笠富美子である。前述のアニメでの不評要因であるスパゲティを嫌いなものに設定している(ネタで同一人物と捉える向きもある)。最初はただのオマージュだったが、後に作者同士の対談で公認化している。
名前はフランス語で「弓」は「シエル」だったと思い込んだシナリオライター奈須きのこによる命名だが、"Ciel"の実際の意味は「弓」でなく「空」(なお「弓」は"'arc")であった。開発も終盤に差し掛かって判明したが、そのままで行くことになった。
遠野秋葉(とおの あきは)
声優:ひと美/伊藤静
身長:160cm 体重:45kg スリーサイズ:B73/W57/H79
誕生日:9月22日 血液型:A型
イメージカラー:赤 イメージソング:Swinging Popsicleサテツの塔
志貴の妹で、名門「遠野家」の現当主。志貴を家に呼び戻した張本人であり、礼儀正しく完璧な立ち居振舞いを見せる気の強い令嬢。しかし、小さい頃は大人しく気が弱かった。
8年間も離れて暮らしていた志貴に負い目や不満があり、優しくしたいと思いつつも、志貴の気ままな性格や自身のプライドのせいで素直に感情を表せないでいる。血の繋がらない志貴を異性として愛しており、嫉妬深い面も見せる。胸がないことをコンプレックスに思っている。
屋敷の中では未成年飲酒を堂々としている。かなりの量を飲んでも顔が僅かに赤くなるだけで、志貴いわく「ざる」。洋酒が好み。
浅上女学院という学園で寮生活を送っていたが志貴を遠野家に戻すにあたり自宅からの通学に切り替えた。ルートによっては志貴の通う学校に転校する。
“略奪”の混血。視界にある無機物・有機物の熱を任意で奪う力を持ち、熱を完全に奪われた物体は形を保てなくなり気化する。この能力を最大に発揮させた状態である略奪呪界「檻髪」に加え、対象に命を分けて再稼動させる「式神行使」の力を持ち、8年前の事件において志貴が一度死んだ際、式神行使の能力により彼に自分の半分の命を与えて彼を蘇生させた。以後彼女は半分しか自分の命を使えなくなり、琥珀の能力で残り半分の命を補っている。なお、能力を使う際には髪が赤く染まり、その髪を用いた物理的攻撃も可能。
「兄」遠野志貴がそうであるように同じく「空の境界」の黒桐鮮花(黒桐幹也の妹)と容姿及び能力のイメージが似ている。この二人に関しては、青子や凛と共にキャラクター的な根源が同一であると述べられている。(紅赤朱)秋葉と青子はお互いに「他人と思えない」と感じている。
翡翠(ひすい)
声優:松来未祐/かかずゆみ
身長:156cm 体重:43kg スリーサイズ:B76/W58/H82
誕生日:3月12日 血液型:B型
イメージカラー:青紫 イメージソング:SOFT BALLETPARADE
遠野家の使用人で、琥珀の双子の妹。邸内の食事を除く家事全般と志貴の世話を受け持っている。包丁の扱いが下手なことと味音痴であることから料理することを禁じられている。
寡黙で無表情だが、よく見ると感情表現がはっきりとしており、芯も強い。潔癖症で極度の照れ屋で男性恐怖症でもある。志貴が持ち歩いているナイフが初登場したとき、その刃紋に見惚れる一幕も。
対象の生命力などを増幅させる「感応」能力を持つ一族の孤児で、志貴と前後する時期に遠野家に使用人として引き取られている。当時から、琥珀とともに彼と縁のある人物。しかし志貴側は記憶が曖昧になっており姉妹側は以前のことをはぐらかしている。
幼少時は現在とは違い明るい性格であり、七夜一族が目の前で惨殺され落ち込んでいた志貴を外界に目を向けさせる切っ掛けを作ったのも彼女。志貴、秋葉、シキらと共に幸せな幼少時代を過ごしていたがシキが反転し、秋葉をかばって重傷を負った志貴を目のあたりにして何もできなかった自分を「まるで人形のよう」と悔やみ、現在のような寡黙な性格になってしまった。男性恐怖症も姉である琥珀が自分の身を削ってまで彼女の純潔を守ったことへの反動である。そのため琥珀に非常に負い目を感じている。
『月姫(半月版)』では、「お部屋お連れします」などなかなかにぶっ飛んだ発言をしているなど、彼女のセリフに関わる誤字脱字が特に酷く、このことから「あなた犯人です」という台詞を決め台詞とする「洗脳探偵翡翠」というネタが生まれた。後の『キャラクターマテリアル』においては「翡翠の可能性の1つ」として設定が追加されている。
本編以後は前述の連発された誤植や『MELTY BLOOD』での「暗黒翡翠拳」やメカ翡翠の登場など、ややギャグキャラ化している感は否めない。反面、洗脳探偵はダークヒーロー的キャラクターとして設定されている(とはいえ、洗脳探偵自体がギャグキャラであるが)。
琥珀(こはく)
身長:156cm 体重:43kg スリーサイズ:B78/W58/H80
声優:高野直子/植田佳奈
誕生日:3月12日 血液型:B型 イメージカラーは赤紫 イメージソングはCoccoやわらかな傷跡
遠野家の使用人で、翡翠の双子の姉。和服割烹着が普段着で、秋葉付として彼女の身の回りの世話や料理や庭の手入れ、遠野家の健康管理や財務管理など幅広く受け持っている。だが、邸内の掃除は破壊癖があるため禁じられている。また、薬学の心得があり、遠野家の庭の草で薬品を調合することがある。 遠野家において唯一、テレビやゲームなどの娯楽用家電機器を所有する。
いつも明朗で笑顔を絶やさないが、実は翡翠とは逆に笑顔しか表情を表現できない。その裏には、過去の様々な出来事が深く関係している。
実は遠野槙久の暴走(反転による紅赤朱化)を抑えるために琥珀・翡翠姉妹の「感応」能力が必要とされ、遠野家に引き取られた経緯がある。琥珀は翡翠に累が及ぶのを食い止めるため、幼少の頃から一人で反転衝動で槙久が凶暴化した際に感情の捌け口としての暴行(感応能力を行わせるため性交の強制も含んでいたため、ほぼ性的虐待)に耐え続ける日々を送っていた。それ以降彼女は、自身を「人形」と思い込むことで苦痛から自分の精神を守ろうとするが、元から寡黙で感情を表に出すのが苦手だった彼女は自分を見失い、喜びも悲しみも感じなくなってしまう。
「人間らしさ」を失いつつも「人間らしさ」にすがった結果、自分が受けてきた苦痛を遠野の一族に復讐するという形をとることで「人間らしく」あろうとし、槙久に対する憎しみすら持てない空虚なまま、事件発覚以後寡黙になった翡翠に変わってかつての明るかった翡翠の役割を演じた笑顔の仮面を被り、裏で密かに策謀を巡らせ、遠野シキを懐柔して槙久を殺害することに成功するが、志貴の帰還は琥珀の復讐を、琥珀本人も気づかないうちに違う方向へと誘っていく。尚、歌月十夜以降は、本編で見せたような冷徹な策士と言う部分はあまり見せず、かなりはっちゃけたキャラへと変貌する事になる。
企画当初はサブキャラであったが、『半月版』で予想以上の人気が出たため、急遽一週間で専用ルートが設けられたという経緯がある。また最初期の『完全版』では、フローチャートの不備により、渾身の演出として隠しシナリオであったはずの琥珀ルートが初回から攻略可能であったため、フローチャートを作った張本人である奈須きのこが激怒、相方の武内崇に「見たこともないほど怒っていた」と言わしめた逸話もある。
前述のアルクェイドや翡翠同様、『キャラクターマテリアル』において「魔法のお手伝いさんマジカルアンバー」として登場している。

サブキャラクター

弓塚さつき(ゆみづか さつき)
声優:南央美/田中かほり
身長161cm 体重45kg 79/59/82
誕生日:8月15日 血液型:A型
イメージソング:原田知世T'EN VA PAS
志貴のクラスメイト。中学時代から志貴に想いを寄せていたが、志貴は高校まで存在自体に気づいていなかった。本作の舞台・三咲町で起こった連続殺人事件に巻き込まれ、吸血鬼と化して人を襲うようになってしまう。裏ルートにおける中ボス。
人間だった時は普通の少女だったが、死徒としての素質に恵まれていたため、半日程度で吸血鬼として蘇生した。その資質はかつての「死徒二十七祖」に匹敵し、存命していればわずか半年後には固有結界「枯渇庭園」さえ用いるようになる。
通称「さっちん」。本来なら彼女にも専用ルートが用意されるはずだったが、諸般の事情でカットされた。シナリオ自体は完成しており、「他のヒロインの話が食われてしまう」ほど完成度が高いと評される。
作中では悲劇のキャラであるが、作品の外でも、専用ルートがないことで不遇キャラとしてたびたびネタにされている<ref>例として、MELTY BLOOD Act Cadenzaでのとあるキャラのシナリオで、「いつかはヒロインになれる」と発言したところ、「聖杯」でも無理といわれるなど。</ref>。
同人時代の人気投票ではシエルの直下に必ず張り付き(公式第1回6位-シエル5位、第2回6位-シエル4位、第3回7位-シエル6位、第4回5位-シエル4位)通称、シエルキラーの名を与えられる。第4回ではついに強敵・翡翠(6位)を下す快挙を果たし、2009年のまほうつかいの箱での「第1回マイBESTキャラランキング」でとうとう翡翠(15位)のみならず、念願のシエル(13位)越えに成功し、全TYPE-MOONキャラ中10位にランクインという大健闘を果たした。
『MELTY BLOOD Re・ACT FinalTuned』では声優繋がりで某キャラをイメージした2Pカラーが存在する。
アニメ版と漫画版では生存している。また漫画版では両親と思われる「弓塚徳春」「弓塚博子」の名前が出ている。
乾有彦(いぬい ありひこ)
声優:‐/櫻井孝宏
身長:174cm 体重:62kg
誕生日:10月24日 血液型:B型
志貴のクラスメイト。悪友。女好きでシエルにも好意を持つ。赤毛の不良で志貴とは相性が悪そうな人物だが、いろいろと通ずる部分があり小学校以来の腐れ縁を保ち続けている。中学時代の志貴は、乾家に入り浸っていた。
たとえ1夜限りだとしても女性への態度は真剣そのものらしく、女子からの評判は良好。ただし志貴曰く「ナンパの成功率2割以下」とのこと。
蒼崎青子(あおざき あおこ)
声優:三石琴乃/木村亜希子
身長:160cm 体重:50kg スリーサイズ:88/56/84
誕生日:7月7日生 血液型:A型
志貴の人格に多大な影響を与えた女性。フルネームで呼ばれるのを嫌うため、志貴は「先生」と呼んでいる。特異な眼を持ってしまった幼い頃の志貴に、死に掛けていた心に活を入れ、生き方に関する教えと、姉(蒼崎橙子)から奪った「魔眼殺しの眼鏡」を与えた。物語のプロローグとエピローグ『月蝕』で登場する。
奈須きのこの未公開小説『魔法使いの夜』の主人公であり、本来なら『月姫』に登場する予定はなかったが、武内崇の強い要望で登場した。
「ミス・ブルー」(若しくは「ブルー」)、「マジック・ガンナー」の二つ名を持つ世界に五人しかいない「魔法使い」の一人である。
『月姫』で志貴と関わっている時は気さくかつ偉大な「賢者」的存在として捉えられているが、普段は傍迷惑な暴れん坊の側面も持っており、『MELTY BLOOD』ではそういった側面が描かれている。
遠野槙久(とおの まきひさ)
声優:‐/有本欽隆
故人。遠野家の前頭首にして、秋葉、シキの実父。志貴の本当の血筋である七夜の一族皆殺しの首謀者。
家族に対する保護欲は人並み以上だが、自分に甘く被害者意識が強い性格で、他人を道具程度にしか考えなかったことが、後の遠野家の悲劇を招いた。
歳を取るごとに「混血」としての反転衝動が強くなり、まともな状態である本来の人格と、残忍・凶暴な反転した性格のほぼ二重人格だった。自己の精神・体力を強化するために琥珀・翡翠の姉妹を使用人として手にいれ、感応能力で自己を保っていたが、道具としか思っていなかった琥珀に騙されて槙久を憎んだシキに殺害される。
有間啓子(ありま けいこ)
声優:‐/夏樹リオ
遠野家を勘当された志貴の面倒を見ていた。有間家は華道の家元である。小学生の娘に都古がいる。
有間文臣(ありま ふみおみ)
遠野家の分家の一つである有間家の人間。名前が出てくるが、本人は登場しない。
高田陽一(たかだ よういち)
志貴や有彦のクラスメート。大柄な体格で、チョコレートが好物。作中で交通事故を起こしている。兄はラーメンの屋台をやっている。
国藤(くにふじ)
声優:‐/桐井大介
志貴たちのクラスの担任教師。
坂木崎清乃(さかきざき きよの)
声優:‐/夏樹リオ
ニュースキャスター。三咲町で起こった殺人事件について報道している。なお名前の初出は『歌月十夜』のゲストイラスト。
ナルバレック
埋葬機関の創設者の女性。ロアが構成した埋葬機関を管轄する事になった。以後、代々埋葬機関のトップに君臨する一族となった。本編ではロアの回想シーンで登場している。
今代のナルバレックも女性で、既に死徒二十七祖を封印した実績を持つ実力者。しかし極度の殺人嗜好者のために半ば幽閉される形で埋葬機関の執務室に閉じこもっているらしい。彼女は本編では登場しないが、コミックス版の回想シーンで登場している。

敵キャラクター

ネロ・カオス(NRVNQSR Chaos
声優:中田譲治/三宅健太
身長:188cm 体重:84kg
誕生日:2月13日 血液型:不明
「真祖狩り」のためにアルクェイドを追ってきた吸血鬼。「死徒二十七祖」の第十位。元々は魔術協会の一角である「彷徨海」の学者で、魔術の研究の末に死徒となった魔術師上がりの死徒。『MELTY BLOOD』では「千年を生きた」とされる。
肉体が固有結界「獣王の巣」になっており、彼の体内である「獣王の巣」の中には彼が取り込んだ666の獣の因子と同数の命が「混沌」として渦巻いており、対外に放出した「混沌」を獣の使い魔として操り、死して「混沌」に戻った獣を体内に戻すことで蘇生させる。また、それらの使い魔もネロ・カオス自身であるため、彼を滅ぼすには666の命を一度に滅ぼさなければならないことと同義である。本気のアルクェイドでも殺しきれないとされる。使用する獣は犬や虎といった実在の陸上動物の他、シャチのような海棲動物、果ては神話の怪獣そのものの存在までいる。また、本来は世界からの修正を受けるため短時間しか使用できない固有結界を、体内に展開することでいつまでも使用することが出来る優れた魔術師でもある。
「ネロ・カオス」とは教会が名づけた通称で、人間だった時の名前は「フォアブロ・ロワイン」だが、現在は取り込み群生する666の命が「ネロ・カオス」の意思になっており、人間だった時の意識・知性は薄くなっている。
ミハイル・ロア・バルダムヨォン(Micael Roa Valdamjong
声優:成田剣/吉野裕行
身長:178cm 体重:65kg
誕生日:9月29日 血液型:A型
通称「ロア」。「転生無限者」や「アカシャ」と呼ばれる死徒。教会側からは死徒二十七祖の一角に数えられているが、その二十七祖からは一介の死徒として認識されており、二十七祖としては番外位となっている。ただし、ネロ・カオスとは盟友である。パーソナルデータは今回の転生体である遠野四季のものである。
元は「永遠」という命題に憑かれた人間の男で、強力な魔術師であると共に教会の司祭の立場にあった。ネロ同様研究の果てに死徒になる道を選び、アルクェイドに己の血を吸わせ彼女の力の一部を奪って強力な死徒となり逃走、数年後教会と共同戦線を張ったアルクェイドに滅ぼされるが、その間に自身の魂を伝達可能なモノとして加工し、選んだ人間の赤子に乗り移ることで数百年間、転生を繰り返してきた。とある事情からアルクェイドに執着している。
オリジナルのロアの人格は既にほとんど消えかけており、転生体の人格はロアが覚醒するまでに育った人間としての意識をベースに、「~をこうしたい」というロアの意思と知識が合わさり主導権を握ることで形成されている。このため、「ロア」が覚醒する前の環境によってベースとなる人格の善・悪といった性格は変わるが、ロアが覚醒すれば善人であろうとその人格を保ったまま凶悪な殺人者になる。また、ロアの魂自体が汚染されているため、ロアが覚醒すれば肉体は吸血鬼化する。
現代では遠野家の長男・遠野四季に転生し、表ルートではロアの意識が強く出たため、ロア好みの洋装・黒髪で長髪・片目が髪で隠れた姿で登場する。
ナイフを得物として、志貴の「モノの死」を捉える「直死の魔眼」に似て非なる、「物を生かしている部分」を線と点として捉える魔眼を持ち、生物に対してしか力を発揮しないが、線や点を切ることで対象の命=生命力を直接削ることが出来る。
制作サイドには「ビジュアルジャンキー」、「ピアニスト」とも呼ばれる。第一回目の人気投票で一票も入らなかったり、キャラクターデザインの武内崇自ら「『月姫』の中で一番どうでもいいと思われてるよね、きっと」と発言するなど、裏ルートでのシキの活躍に比べ存在感が薄い。
佐々木少年によるコミックス版では白髪に和装の裏ルートでのシキの姿で登場。表と裏のシキが混ざったような性格・能力をしており、シキのような秋葉への過剰な執着心を見せたかと思えば、ロアのように冷徹な態度を取ったり、シキの混血としての能力と、ロアとしての知識と魔術と魔眼を全て使いこなし、黒いコートワイシャツといったロア好みの洋装も着こなす。魔眼の能力で志貴に致命傷を与えた後は、シキとしての願望(志貴を殺す事)が達成されたためかロアが覚醒、原作と同じ黒髪長髪の容姿へと変貌を遂げた。
遠野四季(とおの しき)
声優:‐/本田貴子(幼少期)
身長:178cm 体重:65kg
誕生日:9月29日 血液型:A型
遠野家の長男。秋葉の実兄。裏ルートで出てくる家系図には「四季」とあるが、作中では「シキ」で通っている。
第十八代目ロアの転生体。ロアの意識が強く出た表ルートではロア(の転生体)として扱われ、シキの意識が強く出た裏ルートでは遠野四季として扱われる。容姿・性格・能力等が違うが、どちらも肉体は遠野シキの物である。
裏ルートではベースとなるはずの本来のシキの自我が反転の影響によりほぼ完全に崩壊したためロアも正常に顕在化出来ていない。そのため吸血鬼化してはいるものの魔術等のロアの知識の継承はなく、ロアの意思は「全てを殺せ」といった大まかな方向性のみになっており、容姿は和装に白髪、性格はアルクェイドには執着せず実妹の秋葉に対して異常な程に関心を示すなど、「反転したシキ」に近くなっている。
「混血」としての力は“不死”。「死なない」ではなく「死に難くなる」という力である。この能力の片鱗として、傷ついた箇所を再生するのではなくそのままの状態でも生きていけるように肉体を組み替える「拒死性肉体」、応用として自身の血液を自在に変形・硬質化させる「血刀」、失った肉体や命を他者から奪うことによって補充する融合呪詛「蝕離」など個性的な能力を持つ。
志貴・秋葉とはかつては仲の良い兄弟だったが、遠野に宿る鬼の血を濃く継承していたシキは、ロアの影響で人間としてのシキの意思が消された8年前に幼くして反転、最愛の妹である秋葉を攻撃してしまう。その際秋葉を庇った志貴を殺してしまい、反転した者への処罰として自身も当主の槙久により殺されるが、混血としての能力で奪った志貴の命を共融することで生き長らえ、その後一時的に反転が落ち着いたことで槙久に地下牢へと幽閉され、人格が人よりに戻るまで琥珀が世話をすることになるが、志貴が遠野の長男として扱われたことで自分の全てを奪ったことを知ったことと、反転して凶暴化したシキに痛めつけられたことでより壊れてしまった琥珀に「槙久はシキを死ぬまで幽閉するつもり」と嘘を吹き込まれたことで、彼らに大きな憎悪を抱くこととなる。
「秋葉」の兄ということから、スタッフによる通称は「春男(ハルオ)」。
赤目になったのは吸血鬼化の影響であるが、白髪、和装になった理由について公式からの説明はされていない。佐々木少年の漫画版では、幼少の頃の秋葉と同じ黒髪碧眼にカジュアルな服装をしていた姿や、自分が反転してしまった時は退魔の衝動を持つ志貴に自分を殺すように頼むなど、人間だった時の彼が描かれている。子供でありながら聡く、遠野の血の末路や志貴が退魔の七夜であることなどを全て知った上で、父槙久が志貴を拾った本当の理由も悟っていた。ロアの項にある通り、成長後もしばらくはロアの意識が混濁した状態で、肉体はシキよりの姿で生きていたが、学校の戦いで志貴を倒した直後、狂気の笑みと涙を流し、執着した過去も焼き切れてシキの意識は消え去り、肉体も精神も完全にロアのものへと変わってしまった。

このほか、漫画版では一コマだけ、メレム・ソロモンワラキアの夜(ズェピア・オベローン)なども登場した。

教えて知得留先生

バッドエンド時のプレーヤー救済コーナー。シエル扮する知得留先生(ちえるではなく、しえると読むのだが、ファンからもちえると呼ばれている)と適当にデフォルメ化されたアルクェイド(ネコアルク)が漫才形式で攻略におけるヒントを教えてくれる。また、トゥルーエンド・グッドエンドのときはエンディングの解説をしてくれる。たまに知得留先生が不在であったり、ゲスト講師が登場したりと多様な場面が見られる。

元々、バッドエンド時のプレーヤー救済のヒント的なものを作ろうという考えはあったものの、「教えて知得留先生」の構想はなかった。しかし『月姫』のマスターアップを一週間後に控えたある日、サポート役のOKSGと奈須きのこが最終のチェックを行っていたところ、武内崇から突然、知得留先生の絵がFAXで届きそれを見た奈須きのこが「これはやるしかねぇ!」と急遽作成されたという逸話がある。

ネコアルクは一人(一匹?)で『歌月十夜』『MELTY BLOOD』進出や架空の映画『NECOARC-THE MOVIE-』で銀幕デビューと暴走に暴走を重ねている。さらにはアニメ『月詠 -MOON PHASE-』のエンドクレジットに登場したことも。『Fate/hollow ataraxia』にも一瞬ではあるが登場する。『歌月十夜』では、シエル先輩と茶室で見事なクロスカウンターを決めている。ちなみに、このシーンは「週刊少年マガジン」連載中の『はじめの一歩』のパロディである。このバッドエンドのお助けコーナーという趣旨は、Leafビジュアルノベルシリーズ『』『』にも存在した。また、TYPE-MOONの次作『Fate/stay night』にも「タイガー道場」として受け継がれている。

他作品との関連

『月姫』(『月姫PLUS-DISC』『歌月十夜』『MELTY BLOOD』を含む)は、それ自体独立した作品であるが世界そのものは同一で、そこに登場する人物やその能力は他のTYPE-MOON作品や奈須きのこの小説とも何らかの繋がりを持っている。

  • 世界には「魔術」と「魔法」と呼ばれる奇跡の法が存在し、それぞれを行使できる人間を「魔術師」「魔法使い」と呼ぶ。そして、それらを管理・発展のために「魔術協会」とよばれる組織がそれらを統轄している。魔術協会と対峙している組織に「聖堂教会」があり、神以外の奇跡、特に吸血種の存在を否定している。
  • 『空の境界』の場合、主人公・両儀式の能力は、まさに志貴の「直死の魔眼」そのものであり、蒼崎橙子は蒼崎青子の姉、琥珀と翡翠は巫条霧絵と同じく巫淨の分家筋、とされている。
  • 『Fate/stay night』では、遠坂一族の師匠筋として、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグという魔法使いが登場するが、彼は『歌月十夜』起動時のメッセージに於いて「魔道元帥」と呼ばれている人物で、死徒二十七祖の第四位にしてアルクェイドのじいや(後見人)にあたる人物である。
  • また「魔眼殺し」は3作品すべてに登場する。最初に『空の境界』にて蒼崎橙子が両儀式のために作るが「そんなもんいらん」と一蹴される。『月姫』では遠野志貴のために青子が橙子から失敬してくる。『Fate/stay night』では「石化の魔眼」(呪い)を持つライダーが人間に扮する際にかけている。
  • Fate/hollow ataraxia』では、弓塚さつき、翡翠、琥珀、『歌月十夜』からレンがゲスト出演(ぬいぐるみで)を果たしている。

テレビアニメ

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外伝・続編・リメイク等について

TYPE-MOONスタッフは、『月姫』の商業リメイク作や、『月姫』の続編『月姫2』の作成を示唆する発言を残しているが、真偽のほどは明確ではなかったが、2008年の発売の「TYPE-MOONエース」にて、リメイク版『月姫』(Windows)の発売が正式に発表された。対象年齢は未定。続編と目される『月姫2』については現在未定のままである。

Talk.

同人誌『宵明星』に掲載された、奈須きのこ著の『月姫』の外伝小説。『月姫読本』にて加筆修正されて再録されている。
本編のとあるルートの後から約一年後の時間軸で起きた事件が書かれている。

登場人物

シエル
基本的な設定に付いては、本編でのシエルについて書かれた上述の文を参照のこと。
ロアが滅びたことで不死では無くなっているが、聖堂教会の埋葬機関を抜けておらず、アインナッシュ討伐の任務を受けて腑海林を訪れる。
遠野志貴
基本的な設定に付いては、本編での遠野志貴について書かれた上述の文を参照のこと。
魔眼殺しの眼鏡だけでは「直死の魔眼」を制御できなくなったのか、戦闘時以外は眼に包帯を巻いている。
アルクェイドの吸血衝動を抑制するために、アインナッシュの実を求めて 「腑海林」に侵入する。
メレム・ソロモン(Merm Solomon
死徒二十七祖の二十位。死徒でありながら聖堂教会の埋葬機関5位に属し、王冠の通り名を持つ。シエルの先輩。アルクェイドファン。
デモニッションと呼ばれる異能を持ち、四大魔獣(フォーデーモン・ザ・グレイトビースト)と呼ばれる架空の悪魔を「想造」する悪魔使い。その四肢は四体の悪魔それぞれに支えられているもので、それぞれ左手が“ネズミの王様”、右腕が“機巧令嬢”、右脚が“陸の王者”、左足が“空の王者”のクラスの悪魔になっている。
見た目は12歳ほどの少年であり、元々は動物と心を通わせ、他人の身勝手な願いをカタチにする異能力を持った故に、幼くして両手両足を切断されて生き神として小さな部落で奉られていた神子だったが、「朱い月」を恐れた人々の願いをカタチにする負荷に耐え切れず死んだ後、「朱い月」の戯れにより死徒として蘇生し、朱い月に忠誠を誓う。
「仲間意識」により、本来シエルと任務を組むはずだったアインスを食べて、シエルと共に腑海林を訪れる。
アインナッシュ(Einnashe
死徒二十七祖の七位。「腑海林」「思考林」の通り名を持つ、一種の固有結界であるとされる「生きた森」を従えている死徒。数十年に一度、数日に渡って活動し、「生きた森」が移動しながら無差別かつ大規模に吸血行為を行う。
しかし、実際は「生きた森」は固有結界でもなんでもなく、かつて倒された初代アインナッシュの血を偶然吸った吸血植物が、自ら動いて人を襲う化け物に変化し、同種である他の植物も動く吸血植物に変化させて取り込んでいった結果形成された、新種の遊牧民のようなモノである。
活動が終わった後は休眠するが、その直前に作られる血を凝固させて作られた実は、仮初めの不老不死をもたらすと言われ、教会・死徒・協会などから多くの者が様々な思惑を持って「腑海林」に侵入している。
フォルテ
協会に所属する魔術師で、封印指定の執行者。女性。剣の形状の杖を使い、何百メートルと離れた相手に不可視の衝撃を与える「空気打ち」と呼ばれる風属性の魔術を使う。「フォルテ」は俗称であり、本名は不明。
目的は不明だが、「腑海林」に侵入している。
アインス
埋葬機関の代行者。50過ぎの中年。シエルとともにアインナッシュ討伐に赴くが、突如現れたメレムに殺害された。

シエルさんインドです

同人誌『宵明星』に収録された武内崇による漫画作品。シナリオ担当の奈須きのこは一時期、この設定を認めていなかったらしいが、現在は『月姫読本 Plus Period』に収録されている。

登場人物

遠野志貴
シエル
カリー・ド・マルシェ
死徒としての名は“空駆のキルシュタイン”。褐色肌の死徒で、当初はエレイシア時代のロアの傘下にいた。ロアの影響で強大な力を得たが、カレーの美味しさに目覚めてしまい、以降吸血が出来なくなって弱体化した。そのために埋葬機関からは無力な死徒として放置されている。シエルのカレー好きのきっかけを作った人物であり、現在は細かった体格もがっしりしたものとなっている。物質の性質に干渉する特殊能力を有する。

tale

DVD『真月譚 月姫 prologue』に収録された作品。絵本のような形式になっている。真祖のあらましとアルクェイドの過去が簡潔に語られている。

登場人物

アルクェイド・ブリュンスタッド
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ(Kishua Zelretch Schweinorg
死徒二十七祖の一角で、四位。現存する四人の魔法使いの一人で、第二魔法の使い手、魔導元帥。朱い月と戦闘に及び、勝利するも死徒になってしまったという経歴を持つ。アルクェイドとも面識があり、その将来を予言する。また『Fate』シリーズでも登場している(詳細は『Fate/stay night』を参照)。

秋葉ちゃんにやさしくする会

TYPE-MOON公式モバイルサイト『まほうつかいの箱』で配信されている4コマ漫画。作画はACPI。タイトルの通り、遠野秋葉を主軸とする遠野屋敷での物語が展開される。第十七話から第十九話は「浅上女学院編」と銘打って、文字通り舞台が浅上女学院に移る。

登場人物

登場人物の一部は『歌月十夜』からも登場している。

遠野秋葉
琥珀
翡翠
遠野志貴
アルクェイド・ブリュンスタッド
レン
月姫蒼香
三澤羽居
瀬尾晶

商業版月姫

TECH GIAN2008年6月号にて『月姫』のリメイク版の製作が発表された。シナリオ・奈須きのこ、原画・武内崇のコンビはそのままで、CGは全て作り直すとのこと。発売時期、対象年齢は未定。

月姫2/the dark six

『歌月十夜』ではネタとして、『Character material』では舞台や登場キャラクター設定が語られるなど、様々なところで内容『月姫2』の内容がほのめかされているが、現在では奈須きのこ曰く「きのこの脳内ゲーム」でしかない。

『歌月十夜』にてネタとして発表された予告編では、真祖の姫を守る殺人貴・遠野志貴と、真祖を狩るために集まった死徒二十七祖の一人である復讐騎・エンハウンスが、敵対関係にありながらも協力し合い他の二十七祖や青の魔法使いを乗り越えていく、というような内容。プレイ時間が一ヒロイン20時間で、推定100時間とのこと。ただし『月姫読本』によると女の子は3、4人ほどしか出ないと答えている。

『Character material』において、『歌月十夜』では『月姫2/The Dark Six』だったものが、『the dark six(仮名)』のみとなっていた。また物語のプロローグらしき「Prelude」が公開された。

また、『月姫』のエピローグ『月蝕』の時系列は『月姫2』の翌日の内容となることや『Fate/hollow ataraxia』のヒロインであるカレン・オルテンシアはもともと『月姫2』のサブキャラだったことなどが奈須きのこによって明かされている。

「TYPE-MOONエース」VOL2では、『月姫』はもう先に進まない話、2010年1月からはまた部屋にこもり『DDD』を書けると思うと奈須きのこが語っている。

プロローグ

死徒勢力がイギリスの片田舎アルズベリ・バレステインで儀式を何十年越しに準備し、ついにその儀式が実行される日がきた。魔術協会・聖堂教会ともに、アルズベリで恐ろしい儀式が準備されていたことは知っていたが、準備の段階では怪異はなく、傍観するしかなかった。実行日がきて怪異が起こり、初めて手がだせる。死徒・魔術協会・聖堂教会にとって待ちわびた日がきたのだ。死徒にとって第六は悲願、魔術協会・聖堂教会にとっては、死徒を一網打尽にし、計画の旨みを独占する絶好の機会。アルズベリに三勢力が一堂に会し、争いが始まる。

登場キャラクター

殺人貴(遠野志貴)
『月姫』の主人公、遠野志貴の数年後の姿。志貴の可能性の一つ。魔眼殺しだけでは直死の魔眼を抑えきれなくなったため、両目に包帯をしている。『月姫2』があるとしたらメインキャラクターとなる予定。『月姫』以後、死徒狩りを行い続け、死徒の間でも災禍として噂になりだしている。
殺人貴とは殺人鬼+志貴の造語。月姫本編中のサブタイトルの一つにもなっている。
シスター
「Prelude」に登場する代行者。銃器を好むダウンのお得意様。ダウンに先んじて、アルズベリに潜入している。アルズベリにカレーを出す店が無いことに絶望し、香辛料などをダウンに調達させて自分で作ろうとしている。正体は『月姫』のヒロインの一人であるシエルであると思われるが明言されてない。
バルトメロイ・ローレライ
現代最高峰の魔術師であり、現魔導元師、時計塔院長補佐。魔術属性は風。単身で二十七祖クラスの死徒と真っ向勝負が可能で、聖歌隊・クロンの大隊を率い、『月姫2』までに彼らの内の2体を撃破している。ロンドン魔術協会でも古い家柄。典型的な貴族主義者であり、今は亡き第一魔法の使い手のみを同列にみる。そのために他の人間には関心を持たないが、自分にはない特異能力を持つ人間には興味を持つ。
『月姫2』においては、メインヒロインとして予定されている。アルズベリ監察連盟のリーダーになっていて、アルズベリ計画を阻止し、宿敵トラフィムと他の死徒を仕留めようとする。「Prelude I」でエンハウンスと出会い、遠野志貴とは出会わなかったが因縁が出来た。
エンハウンス(Enhance
死徒二十七祖の十八位。復讐騎。『月姫2』の主人公の一人とほのめかされている。死徒でありながら、死徒を狩り続ける異端。『月姫』本編において、あるルートで名前のみ出てくる。
先代から奪った魔剣「アヴェンジャー」と、教会で作られた銃「聖葬砲典」を用いる。『歌月十夜』のデイリーメッセージによると、「ルックスは『デビルメイク○イ』の主人公そのもの」とのこと。
ルヴァレ
「Prelude I」に登場。湖の死徒と呼ばれる。見た目が美しいという理由である真祖に死徒にされた。そのために特異能力は持ち合わせていないが、多数の魔術礼装を集めている。湖畔の城に勢力を誇り、ネロ・カオス亡き後の死徒二十七祖の十位候補でもある。聖堂教会によって一度壊滅状態に追い込まれてからは親族作りを試みるようになり、娘と息子が一人ずついる。
ミスター・ダウン
埋葬機関6位。ただしダウン一人では暫定で、相棒と合わせて二人で正式な第6位。戦闘能力は皆無どころか、有事にはパニクり足を引っ張るため、代行者から“一緒に任務につきたくない男・ぶっちぎりで第一位”に認定されている。悪魔祓いの力もなく、教会からは「殺し合いに参加しないのだから雑用係として死ね」として武器や食料の調達・運搬などの仕事をしている。だが成体に成った悪魔を後に祓ったと言う、教会唯一の人物でもある。
元はV&Vインダストリィという会社の主任だったが、ある事件をきっかけに埋葬機関に鞍替えした。ミスター・ダウンは仮の名で、本名を知ろうとしているが、実際は彼の本名は周りは皆知っており、彼も聞いているが、本名を認識できない狂気の中にいる。アルズベリ作戦において自分の名前を取り戻せると預言があったために、アルズベリに向かう。
相棒
本名不明。女性。ダウンの運転するトラックに乗ってアルズベリに向かう。『Fate/hollow ataraxia』のカレンと共通点があるが、同一人物かは明言されていない。
メレム・ソロモン
死徒二十七祖の二十位。基本的な設定に付いては、『Talk.』でのメレムについて書かれた上述の文を参照のこと。
トラフィムに招集をかけられるも、『月姫2』では聖堂教会側として出陣する。
グランスルグ・ブラックモア(Gransurg Black-more
死徒二十七祖の十六位。月飲み。上位の祖には黒翼公とも蔑称される。現在は教会に封印されているが、今の正体は全長数キロの巨大なカラス。「Prelude」では人の大きさで登場する。魔術でもある固有結界「ネバーモア」は「宙を覆う死羽の天幕、月も星も飲み込む、絶対無明の“死の世界”」とされ、死徒に対してのみ強力な力を持つ。
「Prelude」では健在で、トラフィムに招集をかけられる。「朱い月」に絶対の忠誠を誓っており、主の願いとしてトラフィムの計画に加担する。
「朱い月」に対する思いの違いから、メレム・ソロモンを殺すらしきことが暗示されている。
トラフィム・オーテンロッゼ(Trhvmn Ortenrosse
死徒二十七祖の十七位。白翼公。最古参の死徒の一人で、形式上最大の発言力を持つ死徒の王。魔術師上がりの死徒で、能力に突出する点はないが、最大の勢力と地力を持つ。アルズベリ計画の首謀者。六王権発動のため、アルズベリに祖を招集する。「真祖狩り」の提唱者でもあり、かつて第十位ネロ・カオスを三咲町に差し向けた。
ヴァレリー・フェルナンド・ヴァンデルシュターム
死徒二十七祖の十四位。最古参の死徒の一人。通称魔城のヴァン・フェム。七大ゴーレム「城」を有する。
人として世界有数の巨大財閥のトップの立場も持っており、最近はエコロジーがマイブームだったり、モナコにおいてカジノ船を開いて人々の挑戦を受けたりしている変わり者。『Fate/hollow ataraxia』でのある平行世界では、衛宮士郎がモナコのフェムの船宴(フェムのカーサ)でギャンブルに参加している。
トラフィムとは仲が悪く、アルズベリ計画を人間の手で行わせ、準備の段階では魔術教会・聖堂教会の妨害を排するための資金を出しただけで参加せず。
アルトルージュ・ブリュンスタッド(Altrouge Blunestud
死徒二十七祖の九位。黒血の月蝕姫。真祖と死徒の混血。血と契約の支配者であり、『MELTY BLOOD』では死徒ズェピアに「現象」となる力を与えていた。かつてアルクェイドと戦い、長髪を奪った。ロアとも戦ったことがあるが、その際は返り討ちにされた。『月姫2』のメインヒロインの予定。
アルクェイドの姉とも言える存在。普段は14程の少女の姿だが、二段階変身が可能。護衛として死徒二十七祖の一位“ガイアの怪物”プライミッツ・マーダー、六位の“黒騎士”シュトラウト、八位の”白騎士”ヴラドを連れる。
コーバック・アルカトラス
死徒二十七祖の二十七位。魔術師上がりの死徒。長年の研究の末に聖典“トライテン”を編み出すが、それを隠匿するために作り上げた迷宮に自らもろとも閉じこもっている。表へは南京錠に姿を変えており、通称“千年錠の死徒”。魔法使いゼルレッチとは旧知の仲で、自身も魔法使いに匹敵する優秀な魔術師。『月姫2』の予告で登場しているが、立ち位置は不明。最も若い祖と表現される。
the dark six
死徒二十七祖の二位。闇色の六王権。正体不明。最初の死徒であるが未完成らしく、現在蘇生中。正体は誰も知らないが、復活後は二十七祖を束ねる存在となるらしい。『月姫2』の仮題にもなっている。

その他

『月姫用語辞典』などでは、まだ作中に登場していない設定のみの人物が複数存在する。

オルト(ORT
死徒二十七祖の一角、五位。死徒ではないが吸血種であり、先代五位の二十七祖を殺害して以来、祖として扱われている。全長40mの巨大な蜘蛛のようなフォルムをしている。その正体は『鋼の大地』に登場するアリストテレスの一体“タイプ・マアキュリー”。特殊能力“水晶渓谷”を持ち、普段はそれに閉じこもっている。
プライミッツ・マーダー(Primate Murder
死徒二十七祖の一角、一位。アルトルージュに従う白い魔犬で、人間に対する絶対殺害権を持つ「ガイアの怪物」。死徒ではないがアルトルージュを真似て血を吸う事があるらしい。
リィゾ=バール・シュトラウト(Rizo-Waal Strout
死徒二十七祖の一角、六位。アルトルージュの護衛であり“黒騎士シュトラウト”と呼ばれる。武装は魔剣“真性悪魔ニアダーク”。時の呪いを受けているために不死の肉体を所持している。
フィナ=ブラド・スヴェルテン(Fina-blood Svelten
死徒二十七祖の一角、八位。アルトルージュの護衛の一人で、通称“白騎士ブラド”。また“吸血伯爵”“ストラトバリスの悪魔”とも呼ばれる。固有結界“パレード”を有し、幽霊船団の船長を務める。美少年趣味で、気に入った人物以外からは血を吸わないらしい。
スタンローブ・カルハイン(Stanrobe Calhin
死徒二十七祖の一角、十一位。通称“捕食公爵”“街食うモノ”。既に消滅しているがその怨念が残留しており、その怨念が未だ破壊活動を行っている。
リタ・ロズィーアン(Rita Rozay-en
死徒二十七祖の一角、十五位。芸術家を称する死徒で、先代から正式に跡を継いだ二代目。同じ二十七祖のスミレとは殺し合うほど仲がいいらしい。
スミレ
死徒二十七祖の一角、二十一位。女性。流水を克服した死徒で、水中で暮らしている。その分陸上での行動が苦手となってしまった。死徒の中で唯一空想具現化を使用できる。
エル・ナハト(El Nahat
死徒二十七祖の一角、二十四位。一対一ならば確実に相手と相討ちになれるという特殊能力を持った死徒。その後、蘇生には数十年の時間を要するらしい。現在は埋葬期間によって運営されており、その分身ともいえる概念武装“胃界教典”でもって死徒対策の切り札とされているらしい。

関連商品

関連書籍

月姫読本 Plus Period ISBN 978-4-7767-9037-2(2004年10月22日発売)

カードゲーム

Lycee
シルバーブリッツトレーディングカードゲームLyceeに参戦している。収録エキスパンションは、TYPE-MOON1.0など。

脚注

<references/>

関連項目

外部リンク


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