時計

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プライバシー・ポリシー Wikipedioについて 免責事項 thumb|200px|懐中時計 時計(とけい)は時間を計る道具(機械)。もしくは、一日、または日中の何分の一が経過したか知る道具。

目次

概説

11世紀以降の機械時計には、動くための動力、一定の速度で動かすための調速機、計った時を外部に伝える部分の三要素からなる。動力としては、重力ぜんまい(ネジ)、電気など。調速機としては、振り子テンプ音叉、電力線、水晶、原子など。外部に伝える部分は、一般的には針(アナログ)や文字(デジタル)、音など。

1970年代頃までは、腕時計や置時計では動力にぜんまいを使った機械式、掛時計では電気(トランジスタ)式がほとんどであったが、1980年代以降、現在のほとんどの時計は、動力に電気、調速機に水晶振動子を使ったクォーツ時計となった。しかし、決して機械式時計が廃れたわけではなく、その完成度の高さから機械式時計の愛好家は多い。

クォーツ時計は一秒間に 32,768回(2の15乗回)振動する (32.768kHz) 水晶振動子を用いて時を刻む。特にこの数値でなければならないわけではなく、適当に分周(周波数を小さくする電子回路の動作)をすると一秒が得られやすいために用いられているだけで、他の周波数の水晶振動子が用いられることもある。

また、近年はセシウム原子の振動 (9,192,631,770Hz=9.19263177GHz) を用いた原子時計の時刻を基に発信された電波(標準電波JJY)を受信し、クォーツ時計の時刻を自動修正する電波時計も利用されている。日本での標準電波の発信基地(電波送信所)は、福島県田村市都路町(大鷹鳥谷山、40kHz)と佐賀県佐賀市富士町羽金山、60kHz)の二箇所。

一方、動力については、電池交換の手間を省くため、腕時計の分野では手の動きによる発電機の回転 (AGS) や、文字盤に組み込まれた太陽電池などにより発生した電気を、二次電池、もしくはキャパシタに充電しながら作動するタイプが出てきている。

また時計は電子機器の多くにも内蔵されている。これは、ビデオの録画予約や、電子レンジの加熱時間など、タイマーとして使われる。

パソコンなどのデジタル回路では、日付や時刻を刻む時計を持つほかに、CPUクロック周波数を使って回路全体を同期させる場合があり、この場合もある意味で時計を持っているといえる。

時計の歴史

Template:Main 有史以前より人類(おそらく他の動物にも)は太陽の位置などにより、朝-昼-夕程度の曖昧で不明確な時の概念を持っていたと考えられる。太陽の位置を知る方法に「固定された適当な物の影を見る」というのがあり、これはいわゆる紀元前約2000年頃に発明されたといわれる日時計である。

しかし日時計は晴天の日中しか利用することができない欠点がある。そのため、別の物理現象を使って時間の流れを測定する時計が考えられた。例えば特定の大きさで作った蝋燭線香、火縄が燃える距離を使う(燃焼時計)、が小さな穴から落ちる体積を使う(水時計砂時計)などであり、紀元前1400年 - 紀元前700年頃の間にエジプトイタリア中国などで考案された。

14世紀に入ると駆動軸の動きを制限する脱進機が発明され、これを使った機械時計が開発された。この時計は定期的に重錘を引き上げ、それが下がる速度を棒テンプと脱進機で調節するものであった。また1510年頃、ニュルンベルグの錠前職人ピーター・ヘンラインゼンマイを発明し携帯できるようになった。

1583年ガリレオ・ガリレイは、振り子の周期が振幅によらず一定であること(正確には振幅がごく小さい場合に限られる)を発見し、振り子時計を思いついた。1657年クリスティアーン・ホイヘンスは、サイクロイド曲線を描く振り子および振り子に動力を与える方法を発明し、振り子時計を作った。

1654年ロバート・フックはひげゼンマイの研究を行い、それが振り子と同じく一定周期で振動することを発見し、1675年ホイヘンスはこの原理を利用した懐中時計を開発した。

中世ヨーロッパでの時計の意義は主に宗教目的で、神に祈りを捧げる時を知るためのものであった。しかし大航海時代に入り、天測および計時によって現在位置の経度を知るためには、揺れる船内に長時間放置してもくるわない正確な時計(クロノメーター)が必要となった。時刻にして1分の誤差は経度にして15(1/4、赤道上で28km)もの誤差となり、時計の狂いが遭難や座礁につながるという事故が多発したためである。1713年イギリス政府は「5ヶ月間の航海で誤差は1分以内」という懸賞条件に2万ポンドの賞金をかけ、1736年ジョン・ハリソンが見合う時計を完成させた。しかしハリソンが単なる職人だったためか、イギリス議会はいろいろと難癖を付けて賞金を払わず、40年に渡って改良を重ねさせた。ハリソンはジョージ3世の取りなしがあって、ようやく賞金を手に入れられたが、それは彼の死の3年前であった。

時計制作の歴史に革命を起こしたのが天才時計師として名高いアブラアン・ルイ・ブレゲであり、彼によって時計の進歩は200年早まったとされる。ブレゲはフランスを中心に時計制作を行い、トゥールビヨン永久カレンダーミニッツ・リピーターなど、現代の機械式時計にも用いられている画期的な発明を数多く行った。ブレゲの顧客にはフランス国王ルイ16世ナポレオン・ボナパルトイギリス国王ジョージ3世ロシア皇帝アレクサンドル1世などがおり、当時の最高権力者たちはこぞって彼に時計制作を依頼していた。

ブレゲがその生涯に制作した時計は約3,800個といわれ、数々の傑作を生み出したが、そのなかでも最高傑作として名高い逸品が、王妃マリー・アントワネットの注文に応じて制作された懐中時計「マリー・アントワネット」である。永久カレンダー、ミニッツ・リピーター、自動巻き、独立した秒針などを懐中時計サイズで実現するためにブレゲは持てる技術の全てをつぎ込んだが、王妃が断頭台にて非業の死を遂げたため、ついに完成品は王妃の手に渡ることはなかった。その後「マリー・アントワネット」は数々のコレクターの手を経た後、エルサレムのL・A・メイヤー記念イスラム美術館に所蔵されていたが1983年4月16日に盗難され、2006年8月に発見された。しかし真贋は未だ不明で、現在ニコラス・G・ハイエック社長指揮のもと、美術館に調査チームを送って目下調査中である。

その後、機械式時計は精度や携帯性を求めて様々な改良が施された。また、この17 - 19世紀初頭は、職人の徒弟チームによる手工芸的な少量生産から、いかに大量生産で高精度の時計を作れるか・定期的な保守を誰でもできるかという要求により改良がなされていった時代である。ぜんまい動力の掛かる駆動部の歯車はなるべく均一な力がかかるように歯車の歯数を互いに割り切れないようにする工夫もなされた。気温によって振り子の長さやひげゼンマイの弾性が変化することも精度に影響するため、20世紀初頭に熱膨張率の小さなインバー合金、温度によって弾性率の変化が小さなエリンバー合金が発明され、大きな貢献を与えた。各種あった脱進機も、現在のアンクル脱進機にほぼ絞り込まれていった。

20世紀後半動力として電動機が使われるようになった。従来の機械式時計に対し脱進機にトランジスタを使ったトランジスタ時計、調速機にRC発振回路を使った時計、音叉を使った音叉時計などが開発されたが、水晶振動子を使ったクォーツ時計、セシウム原子の振動を利用した原子時計等の高精度な時計の出現によりほとんど姿を消した。

クォーツ時計は廉価で小型化が可能で、一ヶ月の誤差が15秒ほどと実用上十分の精度があるため現在でも一般的に使われている。一方原子時計は2000万年に1秒くらいの狂いという高精度を持つものの、21世紀初頭の段階では廉価・小型化が難しい。そこで、原子時計による時報を適当な頻度で電波によって受信し、クォーツ時計の時刻を自動修正する電波時計も利用されている。またこれ以上に正確な時刻を知る必要がある(科学技術用途など)場合、GPSにより10億分の1秒オーダの正確な時刻が地球上どこでも容易に得られるようになったことも特筆に値する。

クォーツ時計が一般化する前の電気式時計では、アナログ式では電源周波数に同期して回転するサーボモータを使ったり、デジタル式では電源周波数より1秒毎のパルスを得て駆動していた(後者は現在でもビデオテープレコーダなどのタイマー予約用時計に使われることがある)。このため商用電源(日本では50/60Hz)は長時間で誤差が累積されないように進み遅れの制御がなされている。

一方機械式時計の新しい発明として20世紀末には、オメガによる#コーアクシャル脱進機が提案されている。これはアンクル脱進機以来の発明といわれている。また、セイコーによる#スプリングドライブの発明は、機械式時計と電子式時計の融合として興味深い。

時計産業は、17世紀には手工芸的な産業であり、イギリスの独擅場だった。しかし産業革命を経て18 - 19世紀のアメリカ西部開拓時代になると、正確かつ規格化された鉄道時計の需要が生まれ、アメリカに開発・生産の重心を移していった。ところが大量生産による粗悪化が起こり、20世紀初頭にはアメリカの時計産業は衰退した。対してスイスドイツなどで発展した精密機械工業が応用され、精密・堅牢であり高級感がありながら大量に生産されるシステムとして、特にスイスの時計産業が有名になっていった。

日本での精密時計の大量生産は20世紀に入ってから始まった。クォーツ時計の発明、さらに1970年代以降のデジタル化へのシフトにより、スイスの時計産業は衰退し日本へとその主軸を移していった。20世紀末には生産地がさらにアジア諸国にシフトしていった。

この頃にはクロノメーター時代の最高精度の何倍もの精度の時計が数百円で買えるようになり、デジタル時計なども実用的にはこれ以上進歩のしようがなくなった。ただしこういった安価な製品には粗悪感があり、物としての所有感がないため、スイス・ドイツ・日本の高級精密時計産業がまた盛り返した。『実用的な道具としての時計』と『高級な嗜好品としての時計』に分化していったといえる。

その後21世紀になると、携帯電話等に付属する時計を利用するユーザが多くなったため、前者の『実用的な道具としての時計』産業は衰退しつつある。後者の高級精密時計産業は、特にスイスの時計生産業者がグループ化され統合されて安定しつつある。また、ファッションブランドとの統合による資本の安定、他の産業(自動車・光学・精密・電子機器など)との複合経営による資本の安定や技術の応用・還元などにより、機械式時計もさらなる発展をしつつある。

その他パソコンの画面上ではタスクバーで時間が標準表示される他、主にガジェットウィジェットとして各種アナログ・デジタル時計も公開されている。

時計の種類

表示方式

アナログ
長針と短針を組み合わせた針式、長針1回転が60分、短針1回転が12時間。
レギュレータ
長針・分針(あれば秒針も)がすべて同軸にない(文字盤に3つの目盛りがある)もの。機械式時計の基本原理としてはこの形態になる(#機械式時計の項参照)。
2針式
長針・分針が同軸(秒針が付いていても同軸でないもの)。レギュレータに歯車を1個追加して分針を駆動している。
3針式
秒針が長針・短針と同軸にあるもの。2針式の機構に歯車を1 - 2個追加して秒針を駆動している。
  • その他文字盤に多数の目盛りが追加され、クロノグラフ(秒・分・時)やカレンダーが針で表示できるものもある。日付や月齢などは回転する板を穴からのぞくようにして文字盤地板に表示するものも多い。
  • ※なお、「12時方向」や「3時方向」などアナログ式時計の文字盤に見立てて方向・方角を表す方法をクロックポジションという。方角#クロックポジション参照。
デジタル
数字で直接表示

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一般的には12時間表示が多い。アナログ式はほとんど12時間表示(短針が12等分されている)であるが、デジタル式は24時間表示のものもある。電子的に表示するものでは12時間と24時間を切り替えられるものもある。

原理別

火時計

最古の火時計はろうそく時計で、西洋では西暦900年ころまでもちいられた。当時のろうそく時計は長さ12インチで、1インチごとに印をいれて火を点じ、1インチの蝋のもえつくす経過から時を知るようにしてある。目盛りには白い角の粉を透明なほど薄く煉って、文字を溝のようにほり、それに塗りこんだ。日本でもこの法に準じて時を計った時代があった。

ランプ時計はフェリペ2世の室に夜間時をしめすのにもちいられたものが最初であるといわれる。ガラス製の油入に目盛りをきざみ、時間を計るしかけで、近世までドイツ、オランダで使用された。

時間区切り

  • 日長により変化する - 不定時法:和時計など。
  • 年中基本的に一定 - 定時法:現代の時計

形態

腕時計
腕にバンドで取り付けて持ち運ぶもの。
懐中時計
鎖で衣に取り付け、ポケットに入れて持ち運ぶもの。
ナースウォッチ
防水機構が進歩していなかった時代に、頻繁に手を洗う看護師がすぐに時刻を見られるよう6時側(12時側ではなく)に短い鎖を取り付けてあり、反対側にはピンがついていて、胸につけるようになっている。防水腕時計が当然になった現在でも、患者に怪我をさせないよう手に金属製品をつけない要請から一部で使用されている。
置き時計
棚や机の上に据え置くもの。
クロノメーター
航行する船舶内で正確に時刻を刻めるように、ケースに収められたり水平を保つ台座に取り付けられたりしている時計。
掛け時計
壁に掛けて使用するもの。
柱時計
掛け時計が大きく重かった時代には柱に取り付けていたためこの名がある。
親子時計 
親時計からの30秒ごとのパルス信号で子時計を駆動するシステム。
からくり時計
毎正時などに、装飾が動いて時刻を知らせるもの。
鳩時計
鳥を象った木像が飛び出して鳴き声を模した音を出し、その数で時刻を知らせるもの。
花時計
主に屋外に設置される、花壇と一体となった時計をさす。
バーバークロック
針が逆回転し文字も裏返し文字となっており、鏡に映したときに正しい表示になる時計。理容店等前面が大きい鏡で覆われて時計を置くスペースがない場合のために製造されたことからこの名がある。

など

付加機能

目覚し時計
ベル・電子音・ラジオコンパクトディスクなどの音声鳴動(アラーム)、あるいは光によって、また特殊なものでは寝具の下部に敷いておいたエアークッションを膨らませるなどして起床させることを目的としたもの。
タイマー
音による通知を目的としたものではなく、他の機器の電源ON・OFFや周期的な制御を目的としたもの。
時報・チャイム・リピータ
主に定置される時計において、毎時00分などに音を鳴らしたり音で時刻を示すものがある。簡単な音列(ウェストミンスターチャイムが有名である)を演奏するものもあり、近年の電子制御の時計では百貨店などの人形が踊る時計もある。任意の時間に操作により現在の時刻を鐘の数により示すものをリピーターと呼び、複雑機構のひとつである。
世界時計
時差に対応し、世界各地の時間を表示するもの。特に2つの同期する時計・独立した時計をもつもの(デジタルの場合は内部で時差を加算することも多い)はデュアルタイムとよばれ、自国の時間と現地時間・世界標準時などを同時に読み取れる。
カレンダー
日・月からはじまって年・月齢などを表示するものもある。デジタル式では内蔵ハードウェア・コンピュータのプログラムにより簡単であるが、これらを機械式で制御するものは複雑時計とよばれ、特に大の月・小の月、閏年の自動判別をし無調整とするものは最高級の複雑時計とされる。
天文時計
星図板の表示・月や太陽など天体の運行を表示するものもある(純粋な機械式時計でこれを実現する超複雑時計もある)。これらはカレンダー機能の一種であるが、もともとジョン・ハリスンの時代には不等時法であったため季節による均時差を表示する・加える機能は古くから実現されていた。
クロノグラフ
使用者の制御により、通常の時・分・秒の表示に影響を及ぼすことなく特定の事象の経過時間を測定するためのもの。特に技術者や医療関係者向けに開発された。
カウントダウンタイマー
一定時間経過したことを知らせるもの。
ラップタイム・スプリットセコンド
クロノグラフを止めることなく経過時間を一時停止し読み取れるようにしたもの。読み取りが終わったら再度、計測表示に戻る・計測秒針に追いつく。機械式時計では2つのクロノグラフ秒針が同時に動き、スプリット操作により片方が止まることで実現される複雑時計である。
フライバック
定期的に起こる事象の計測のため、停止操作をすることなく再スタート(リセット)操作が行なえるもの。
テレメータ・プロダクツメータ・パルスメータ
主に機械式時計において、クロノメータの秒表示に逆数表示を加え、時速(テレメータ)・生産数量(プロダクツメータ)・脈拍(パルスメータ)などを測定できるようにしたもの。テレメータは特定の長さの走行開始・終了を計れば、時速などが算出できる。プロダクツメータは一個あたりの生産開始・終了を測定すれば、時間当たりの生産数量が算出できる(なお1分を10等分・100等分したデシマル時間表示も併記されることが多い)。パルスメータは少数(10拍など)の脈動の所要時間をカウントすれば、一分計測しなくとも脈拍がカウントできる。

構造

機械式時計

時計を動かす動力はぜんまいばね(おもり)である。ぜんまいばねはゆっくりとほどけながら動力主軸を回し、おもりはゆっくりと下がりながら動力主軸に撒きついた鎖を引いて主軸を回す。ぜんまいばねがほどけきったら巻き直し、おもりが下がりきったら巻き上げる。ぜんまいばねがほどけきるまで数日から数十日のものが一般的だが、万年時計のように長期間動き続けるものも作られた。

動力主軸(1番車)の回転は短針を回転させ、歯車を経て回転比を上げた軸(2番車)が長針を回転させる。さらにこれより回転比を上げた軸(3番車・秒針付き時計の時代には秒針に用いられるようになった)・最後の軸(4番車)にいくに従いトルクは小さくなり速度は速くなる。4番車には調速機構である脱進機(エスケープメント)が取り付けられ、速度を調節するようになっている。現代の代表的な脱進機はアンクル脱進機であり、腕時計・懐中時計から柱時計にまで応用されている。

保守

以前は数年に一回の分解掃除が必要とされて来たが、多数所有が当然となって使用頻度が落ちていることやオイルが改良されて来たことから十数年に一度で良いという意見もある。分解掃除は主にオイルを足すために行われるが、使用オイルを指定する機種もあり、また本当の適正量は素人には想像できない程少量<ref>オイルが多すぎると精度が出ず、また毛細管現象でオイル切れが早く起きる。</ref>であるし、また部品の破損・紛失の危険性も高いため絶対に試行してはならない。専門の業者に依頼することになるが、機械時計が主流でなくなってから久しいため、正しく分解掃除ができる業者が減り、また機械式時計ブームに乗ってちゃんと分解掃除ができないのに受け付ける業者も増えて来たことから、業者の選定にも注意が必要である。

アンクル脱進機

アンクル脱進機では、4番車の同軸に特別な歯車(雁木車)と雁木車を止めるためのアンクルが取り付けられる。アンクルの2つのツメは雁木車を2つの位置で止める。またアンクルは規則的に往復運動する振り子テンプに動力を供給し、逆に振り子・テンプは押されると一定時間後に反対側でアンクルのロックを解除する。

アンクルが片側に振れたときには一方のツメは雁木車から外れて、もう一方のツメが雁木車に掛かるようになっている。雁木車の歯やアンクルのツメの形状には工夫がしてあり、アンクルのツメが外れて雁木車が回転する際に僅かにツメを押し返すようになっている。アンクルが左右に振れるたびに雁木車はちょうど一歯分だけ回転する。「チクタク」と聞こえる時計の音は、アンクルのツメが雁木車に掛かる際の衝撃音である。

振り子は重力加速度と錘までの腕の長さによってほぼ振動周期が決定される。テンプはクロノメータ・懐中時計から腕時計に至るまで振り子を携帯する必要性のためにこれを往復回転する輪にしたもので、周期は渦巻きバネの長さによってほぼ決定される。振り子の振れ幅・テンプの回転角度によって周期は厳密には異なるが、ほぼ一定とみなすことができる程度であるため、巻きはじめと巻き終わりで著しくトルクが異なるぜんまいの動力により振り子またはテンプがはじかれる強さが異なっても、ほぼ一定の周期が保たれるわけである。

コーアクシャル脱進機

ジョージ・ダニエルズによって発明された。アンクルが雁木車を止める際に大きな衝撃が加わらないような動作をするもので、衝撃による寿命低下を軽減すると期待されている。3つの爪をもつアンクル、同軸の2枚の雁木車(ちなみに2枚とも歯は雁木 = もはや雁の首の形をしていない)、バランスローラーをもつのが特徴である。

スプリングドライブ

機械式時計の輪列を用いゼンマイを動力としながら、脱進機部分に発電機を備えクオーツ機構により等時性を制御するものである。進み遅れをクオーツ部分の時刻と比較し、発電機の抵抗を増減することにより調整する。

電気式アナログ時計

電気式アナログ時計では、機械式と輪列は同様であるが、動力が伝わる向きは逆である。すなわち調速機構の位置にある動力源(電磁テンプやモータなど)・秒針位置にある動力源(ステッピングモータなど)で駆動する。

なお、伝統的な輪列により時-分-秒針が同期動作するのではなく、複数のステッピングモータを搭載し、時-分と秒針、または時針と分針と秒針を独立に動かせるコンピュータ制御の時計も一部にある。モード切替(ワールドタイム、クロノグラフなど)により針がジャンプしてシンプルな文字盤で多機能を実現するためである。

クオーツ式アナログ時計

水晶発信を分周したデジタル電子回路で、低速のパルス(多くは1Hz = 秒1回)を発生させ、ステッピングモータをそれに応じた角度だけ回転させる。1Hzでモータが60ステップの場合、直接秒針を駆動する。アナログとはいいながら中間の針位置がない(6度刻み)動作になる。現在の電気式アナログ時計の主流である。

音叉時計

アナログ電子回路を発振させた電気振動で電気音叉を駆動し、その先についた爪で秒針同軸の円盤に刻まれた細かい歯車を送る機構。アナログ電子回路では1Hzなどの低速のパルスは精度よく発生しにくいため、このような機構が発明された。小型化され腕時計にもなっている。

温度差式時計

1928年ニューシャテルの技術者ジャン=レオン・リュッター (Jean-Leon Reutter) は気温の変化により駆動される時計を発明した。

丸型でガスと塩化エチルが注入されたタンクが取り付けられ、その温度変化による膨張収縮によりアコーディオンを動かしゼンマイを巻き上げる構造になっている。15℃から30℃の間で1℃の温度変化が生じれば2日間動く。

この原理を利用し1936年よりジャガー・ルクルトが「アトモス」の名称で発売している。

時計を題材にした作品

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関連項目

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脚注

<references />

参考文献

外部リンク

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