救世軍
出典: Wikipedio
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救世軍(きゅうせいぐん、Salvation Army)は、世界120の国と地域で伝道事業(=宗教活動)、社会福祉事業、教育事業、医療事業を推進するキリスト教(プロテスタント)の教派団体。日本では日本福音同盟に加盟している。
軍隊を模した組織をとる点に特徴がある。
目次 |
創立者ウィリアム・ブースの言葉
「今日そうであるように、女性が泣いている限り、わたしは戦う。幼い子供が飢えている限り、わたしは戦う。男たちが刑務所に出入りする限り、わたしは戦う。酔っぱらいが残っている限り、街頭に哀れな女性がいる限り、神の光を受けていない一人の魂でもある限り、わたしは戦う。終わりまで戦う。」(救世軍公式サイトより)この言葉は現在も略称“WWW”(While Women Weep―女性が泣いている限り)として語り継がれている<ref>「ときのこえ」2006年10月15日号より</ref>。
沿革
救世軍は、1865年にイギリスのメソジスト教会の牧師、ウィリアム・ブースと妻キャサリンによって、ロンドン東部の貧しい労働者階級に伝道するために設立された。当初は「キリスト教伝道会」(東ロンドン伝道会)と称する超教派の伝道団体だったが、軍隊組織・制服・軍隊用語の採用に伴い、1878年に「救世軍」と改称した。1880年代に爆発的に教勢が伸張し、ブリテン諸島から海外に拡大した。改称に伴い、教理もメソジスト・ホーリネス色が濃いものとなっていく。
1891年にウィリアム・ブースは著書『最暗黒の英国とその出路』を出版し、都市植民・農業植民・海外植民の三段階からなる社会改良計画を発表。10万ポンドの事業資金を公募し、大規模な社会福祉事業に着手した。
現在、救世軍はイギリスで政府に次ぐ規模の社会福祉団体であり、世界で1万2千ヵ所近くの社会福祉施設、教育機関、医療施設を運営しており、国際連合社会経済理事会(ECOSOC)において1947年以降、特別協議資格を持つ国連NGOである。また米国経済専門誌『フォーブス』で「全米で最も効率の高い組織」として評価され、2004年度のノーベル平和賞候補に挙げられた。世界福音同盟の加盟団体でもあり、世界メソジスト会議及び世界教会協議会とも非加盟の提携関係にある。
日本では1895年から山室軍平らにより布教活動が行われ、廃娼運動を皮切りに、現在では医療施設や社会福祉施設の運営、他国の救世軍と連携しての内外の災害発生時の支援活動なども行っている。他に著名な信徒としては、自由民権運動家の村松愛蔵・落合寅市、元組合派牧師金森通倫、婦人民主クラブ呼びかけ人山室民子(軍平の長女)、聖書神学者渡辺善太、ヤマト運輸元社長小倉昌男、日本聖書協会副理事長朝野洋らがいる。
特に、クリスマスを中心とした年末に行われる募金活動「社会鍋」で有名。
現在は東京都千代田区神田神保町二丁目に「日本本営」を置いている。
組織
救世軍は、万国本営をイギリス・ロンドンに置き、最高会議において士官の中から選出される単独の最高指導者「大将」によって統率される。原則として大将の任期は5年で、2009年現在の大将は18代目のショー・クリフトン。なお、創設当初から男女同権の思想が強く、女性の士官も多い。現在までに女性の大将が2名選出されている。
救世軍の法的根拠は、「規約証書」 「増補規約証書」 「1980年救世軍法」に規定され、その変更にはいずれもイギリス議会の承認を必要とする。
救世軍の組織統治は、信仰面においては、十一か条の「救世軍教理」とその公式解説書である「教理便覧」に示される基準に拠り、実行面においては、「軍令及び軍律」とそれらを補足する「覚書」に示される基準に拠り、監督政治を通じて行われる。信仰上及び実行上の逸脱に対しては、「兵籍調査会」 「士官審査会議」 「調査委員会」が行う審査に基づいて、公務禁止・停職・除名等の規律が執行される。
「教理便覧」と各種「軍令及び軍律」は、大将の権威によって発行され、随時改定される。
現在の日本の救世軍は、法的には以下の3つの法人格で活動している。2009年現在の代表者は司令官・吉田眞中将(2006年~)。
(以上の住所は東京都千代田区神田神保町2丁目17番地)
- 財団法人としての「在日本救世軍財団」
(住所は東京都千代田区神田神保町2丁目17番地1号)
メンバー
- 軍友
- 他教団所属で、救世軍と協力関係にあるクリスチャン。(現在の救世軍ブース記念病院(杉並区)院長は日本基督教団所属であり、軍友である。)
- 準兵士
- イエス・キリストを救い主として認め、救世軍への入隊希望を表明し認められた人。他教団における洗礼準備者。この期間、入隊式までキリスト教や聖書、教会、救世軍などについて詳しく学び、入隊に備える。
下士官、兵士、準兵士は無給のボランティア(ただし後述の准尉は有給)。士官、軍属、一部の軍友が宗教法人・社会福祉法人・財団法人の専従職員となる。また、準兵士以上の救世軍軍人同士は戦友と呼びあう。
- 士官の階級は士官学校入校時および在学期間中は士官候補生で、卒業すると中尉となる(参考文献<ref>『知って役立つキリスト教大研究』194ページ</ref>に記載のとおり、2001年以降は少尉・中尉の階級は廃止されていたが、2008年任官時より中尉の階級が復活した。現行では士官学校卒業時に中尉の階級で任官され、奉仕年数第5年目に大尉に昇任する)。
- その後奉仕年数により、任官後15年で少佐・大佐補・大佐・中将と昇任していく。ほとんどの士官は少佐の階級を退役まで保持する。以前は存在したが、現在の救世軍の階級には中佐が無く、代わりに一般的な軍隊には存在しない階級の大佐補が存在する。これは旧救世軍中佐の原語であるBrigadierが中佐と訳されていたが、そのBrigadierが廃止されてLieutenant Colonelが制定されたため、BrigadierとLt.Col.を区別するための新語である。
- かつて中尉と訳されていたLieutenantは、現在の日本の救世軍においては准尉制度の導入に伴う中尉の階級の廃止とその後の復活という紆余曲折を経て、Lieutenantを准尉と中尉に訳し分けながら併用されている。
- 准尉制度の実施に伴い、従来存在した「特務大尉」および「特務曹長」の階級は順次的に廃止されることとなった<ref>2と同じ</ref>(「特務大尉」および「特務曹長」の詳細については外部リンクの救世軍用語集を参照)。
- 世界代表である現役の大将は1名のみである。また、大将は「万国総督」とも呼ばれる。
- 大将の補佐役で大将に次ぐ役職として参謀総長が設けられている。
- 参謀総長の下には地区別・担当任務別に複数の万国書記官という役職が設けられている。万国書記官の階級は中将である。
- 軍国司令官など本営の役員や連隊長は原則として大佐補以上の階級の士官の中から任命されるが、士官の絶対数が少ない軍国では大佐が軍国司令官、少佐が連隊長を務めることもある。
- 各軍国司令官の補佐役としては書記長官という役職が設けられている。
- 本人の意思もしくはなんらかの事情により士官にはなれないが、下士官として一定期間(最低三年)フルタイムで奉仕する人は准尉(旧特務大尉)に任官される<ref>2と同じ</ref>。
救世軍の教理
- われらは、旧新約聖書が神の感動によりて与えられたること、また聖書のみが、クリスチャンの信仰及び実行に関する、神の法規たることを信ず。
- われらは、無限に完全なる独一の神ありて、万物の創造者、保持者、また統治者にして唯これのみ、宗教的礼拝の真(しん)の対象たることを信ず。
- われらは、神の中(なか)に、父、子、聖霊なる三つの人格ありて、本質においては、分かつべからざるもの、権能と栄光とにおいては同等たることを信ず。
- われらは、イエス・キリストの人格の中に神性(しんせい)と人性(じんせい)とが結合していて、彼は正(まさ)しく真(しん)に神にして、また正(まさ)しく真(しん)に人たることを信ず。
- われらは、われらの最初の父母が、罪なき者として創造されたが、彼の不従順によりてその純潔と幸福とを失い、堕落の結果、すべての人みな罪人(つみびと)となり、全く邪悪になり、またかかる者として当然神の怒りを受くべき者なることを信ず。
- われらは、主イエス・キリストが、その苦難と死とによりて、全世界のために償罪(しょうざい)をしたもうたゆえに、何人(なにびと)でも欲する者は救われ得ることを信ず。
- われらは、神に対して悔い改めること、われらの主イエス・キリストを信ずること、また聖霊によりて新たに生まれることは、救いに必要なりと信ず。
- われらは、われらの主イエス・キリストを信ずることにより、恩恵(めぐみ)によりて義とされること、また信ずる者はそのうちに証(あかし)を有することを信ず。
- われらは、救いの状態の持続は、キリストに対する信仰と服従との持続によることを信ず。
- われらは、「全く潔く」されることはすべての信者の特権にして、「霊と心と体とを全く守」られて、「われらの主イエス・キリストの来りたもうとき責むべき所なき」に至り得ることを信ず。
- われらは、霊魂(れいこん)の不滅、身体(しんたい)の復活、世の終わりの総審判、正しき者の永遠の幸福、及び悪しき者の永遠の刑罰を信ず。
事業
伝道事業
社会福祉事業
- ホームレス給食施設・宿泊施設
- アルコール依存症患者・薬物依存症患者更生施設
- 女性保護施設
- 母子保護施設
- 保育所
- 児童養護施設
- 非行少年教護施設
- 障害者養護施設
- 高齢者介護施設
- 職業安定所
- 職業訓練所
- リサイクル施設
- 農場
- 刑務所教誨
- 行方不明者捜索
医療事業
- 総合病院、専門病院
- 診療所、巡回診療所
- 地域保健衛生プログラム
- ホスピス(ターミナルケア)
教育事業
- 幼稚園
- 小中高校
- 専門学校、短大、大学
- 教師養成学校
- 看護学校
その他の事業
- 救世軍総合保険会社(火災保険、自動車保険、損害保険)
- リライアンス銀行(救世軍の資金運用及び一般銀行業務)
- 救世軍住宅協会(救世軍の居住型の社会福祉施設の管理)
- 従軍牧師 (イギリス軍とオーストラリア軍の従軍牧師は救世軍士官が務めている場合がある)
- 難民支援事業(戦時難民救済事業等)
- 緊急災害支援事業(都市災害、地震、山火事、洪水、竜巻、噴火、鉄道事故、航空機事故等)
- 海外開発プログラム(発展途上国における飲料水、保健衛生、栄養指導、雇用創出、小額資金貸付制度、HIV/AIDS対策等のプログラム)
- 救世軍出版供給部(機関紙「ときのこえ」などの定期刊行物、書籍、楽譜、制服、バッジ、音楽CD、ビデオ等の製作・販売・供給)
日本国内における事業
伝道事業
- 北海道連隊(5個小隊)
- 札幌市中央区(連隊本部)、紋別郡遠軽町、函館市、釧路市、帯広市、小樽市(分隊)
- 関東東北連隊(10個小隊)
- 宮城県仙台市泉区、福島県双葉郡浪江町・会津若松市・郡山市(分隊)、群馬県前橋市・桐生市・高崎市(連隊本部)、栃木県佐野市、埼玉県熊谷市、新潟県新潟市、長野県長野市・下高井郡山ノ内町(分隊)
- 東京東海道連隊(20個小隊)
- 東京都港区・大田区・江東区(連隊本部)・渋谷区・千代田区(本営)・杉並区・中央区・墨田区・台東区・足立区・清瀬市・八王子市(分隊)、埼玉県川口市、神奈川県横浜市南区・横須賀市(分隊)、千葉県館山市(分隊)、山梨県甲府市(分隊)、静岡県静岡市葵区・清水区・浜松市、愛知県名古屋市東区、岐阜県岐阜市
- 西日本連隊(14個小隊)
- 京都府京都市下京区、大阪府大阪市北区(連隊本部)・大正区・西成区・生野区、兵庫県神戸市中央区、岡山県岡山市、広島県広島市南区・福山市・呉市、香川県高松市、高知県高知市、福岡県福岡市中央区・北九州市八幡東区・大牟田市(分隊)、熊本県菊池郡大津町(分隊)
- 2009年4月現在、茨城県、千葉県、山梨県、三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、山口県、徳島県、愛媛県、沖縄県、東北(宮城福島以外)・北陸・九州(福岡以外)には小隊が無い。旧熊本小隊は比較的近年(詳細な時期は不明)に閉鎖された。日本海側は新潟小隊が唯一の小隊となっている。
医療事業
- 清瀬病院、ホスピス(東京)
- ブース記念病院、ホスピス(東京)
社会福祉事業
児童養護施設
- 愛光園(呉)
- 豊浜学寮(呉)
- 希望館(大阪)
- 機恵子寮(東京)
- 世光寮(東京)
保育所
- しせいかん保育園(札幌)
- 菊水上町保育園(札幌)
- 桑園保育所(札幌)
- 呉保育所(呉)
- 佐野保育園(佐野)
女性保護施設
- 婦人寮(東京)
- 新生寮(東京)
ホームレス宿泊施設
- 自助館(東京)
- 新光館(東京)
アルコール依存症総合専門施設(救護施設)
- 自省館(東京)
特別養護老人ホーム
- 恵泉ホーム(東京)
ケアハウス
- ケアハウスいずみ、ホームヘルパーステーションいずみ(東京)
老人保健施設
- ブース記念老人保健施設グレイス、在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、訪問介護ステーション(東京)
リサイクル施設
- 男子社会奉仕センター、バザー場(東京)
信仰と実行
救世軍の教理は、穏健なウェスレー派の特色を持つ11か条の信仰告白によって規定されている。礼拝にはピアノやオルガンと共に、ブラスバンドが使用される(ミュージカル「ガイズ&ドールズ」でも取り上げられた)。賛美歌は独自編集の「救世軍歌集」を使用。楽曲は他の教会賛美歌と重なる(日本では中田羽後編纂・翻訳の「聖歌」と日本基督教団「讃美歌」の両賛美歌集より抜粋)が、救世軍信徒による作詞・作曲の賛美歌もある。
礼拝形式は一般のキリスト教会と同じく讃美歌、祈祷、説教などにより構成。必ず「証言」の時間が設けられることが特徴。洗礼や聖餐式などの聖礼典は行なわない。これは救世軍が元々超教派の伝道団体で会員は原則として全員どこかの教会で既に洗礼を受けたクリスチャンであったことや、アルコールが入っているワインを使う聖餐を忌避したことに起因するが、現在は「形式主義を排するため」と説明されている。
洗礼は会衆の前で信仰告白を行なう「入隊式」で代替する。入隊式を済ませた隊員(兵士)は他教会でもクリスチャンと認められ、プロテスタント教会での聖餐式も本人が希望すれば受けられる。
説教は単純であり、神学的理論よりも聖霊体験を重視する。礼拝の中心は「恵みの座」と呼ばれる木製ベンチでの祈りに置かれる。伝道方法、管理運営、財務、意志決定については、大将の権限によって発行される各種『軍令及び軍律』によって詳細に規定されている。
神学的にはメソジストやホーリネス運動を土台とする穏健な福音派であり、リベラルとファンダメンタリズムのちょうど中間に位置する。とはいえ特定の神学理論・聖書解釈を個々の信徒に押し付けることはなく、リベラルで社会派的傾向を支持する信徒もいれば、逐語霊感説や千年王国論を支持する保守派の信徒もいる。一方、生活規律は厳しく、特に飲酒喫煙は厳禁。ポルノや性風俗、開放的な性生活なども忌避する傾向にある。
士官は士官同士でしか結婚出来ない。活動効率を上げるためと考えられている。既婚者が士官となるためには、夫婦揃って士官学校(神学校)に入る必要がある。
社会福祉活動には極めて熱心であり、キリスト教界随一と言われる。上意下達の軍隊式組織により高い活動効率を誇る。現在は医療福祉、老人・障害者・児童福祉、ホームレス支援の炊き出しや施設運営などが中心。災害救援の対応も早く、阪神淡路大震災の際は、キリスト教系団体の中では最も早くボランティアを組織し駆けつけた。新潟県中越沖地震の際にもボランティアが給食活動などを行っている。また、海外では医科大学や幼稚園の運営といった教育活動も盛んに行っている。募金活動の1つで年末に行われる社会鍋は季語になるほど有名。バザーも頻繁に行なっており、東京などでは専用の会場で常時開催されている。収益金は全て寄付に回される。かつては職業紹介や失踪者捜索など、現在は行政や警察が主体となっている活動も行っていた。
同時に政治との関わりを嫌い、政党所属者(党員)は士官学校に入れない。戦争などについては兵士のメンタルケアやカウンセリングには熱心だが、戦争そのものを止めるためには動かない、また、貧困についても救援物資の調達・配布には熱心だが、行政への働きかけなど貧困脱出への具体的な施策は行なわない、とされる。マザー・テレサなどと同じく、「目の前にある問題の救済には熱心だが、根本原因には目をつぶりがち」「平和や人権の問題への関心があまりにも薄すぎる」と批判されやすい。しかし、マザー・テレサがそうであるように、政治と一定の距離を置くことは宗教者としての節度と見識を示しているとの見方もある。
但し、海外においてはイギリスやカナダの本営がイラク戦争反対や核兵器廃絶を願う信仰告白を発表するなど、若干の軌道修正が見られる。日本では戦前に山室軍平が宗教団体法に賛成した事や太平洋戦争を「海外伝道の良い機会である」と肯定的に捉えていた事、機関紙「ときのこえ」が元号表示だったり、1980年代までは皇族の誕生日のたびに祝いの言葉を「ときのこえ」の1面に載せていた事などから、一部に保守的と評される向きもある。しかし、日本では第二次世界大戦前にイギリス人宣教師がスパイ容疑で逮捕されたり、「皇軍以外で『軍』を名乗る組織が存在することは認められない」という理由で「日本救世団」に強制改称させられ、最終的には日本基督教団に吸収され事実上の解散状態に追い込まれたなどの経験から、右翼的潮流に与することは余り無い。
2008年10月2日には国際社会正義委員会が軍内に設立され、社会問題についても積極的に取り組むことが表明された。
日本本営は、かつてはリベラル派の日本キリスト教協議会(NCC)(世界教会協議会(WCC)、エキュメニカル系)に加盟していたが、「活動内容が政治的過ぎる」と脱退。しばらく日本キリスト教連合会のみに加盟していたが、万国本営の勧めで福音派の日本福音同盟(JEA、世界福音同盟系)に加盟。しかしアジアキリスト教協議会への加盟や「世界祈祷日」(毎年3月第1金曜日)への協力など、NCCとの連携は現在も続いている。
軍服調の制服・制帽<ref>制帽の帽章はクレストと呼ばれる救世軍のシンボルマークで、鉢巻部分には「救世軍」の文字が入っている</ref>の着用や軍隊調の用語の使用は外部者には一見特異に映るが、礼拝の形式・内容は一般的なメソジスト教会と同様のものであり、野次馬感覚で覗きに行っても拍子抜けしてしまう。極一部に「カルト宗教ではないのか」という誤解もあるが、キリスト教界において異端・カルト扱いされることは無く、一般社会でも宗教というよりは宗教系の社会福祉団体・ボランティア団体・NGOと見られることが多い。
制服はイギリス軍の軍服を模したデザインであり、かつては詰襟だったが現在はブレザーに近いものとなっている。士官は原則として常時着用義務がある。下士官・兵士については以前は士官と同じく常時着用義務があったが、現在は大会や伝道集会などを除いては「推奨」にとどめ、普段着での集会参加を容認している。
制服は日本ではオーダーメイドで8万円前後だが、イギリス等では既製品が日本円に換算して3万円前後で販売されており、インターネットで通信販売も行なわれている[1]。
芸術作品の中の救世軍
- サスペンスドラマ「コンドル」(ロバート・レッドフォード主演):終わりの場面で、救世軍の賛美歌の合唱と共に主人公が立ち去る場面が印象的。
- 「オリバー・ツイスト」:始まりの場面に当時のロンドンの下町が写るが、そこに救世軍の給食の様子が出てくる。
- ベルトルト・ブレヒトの戯曲「屠殺場の聖ヨハンナ」「ハッピーエンド」など:救世軍は抑圧者・偽善者として極めて批判的に描かれている。ブレヒトに影響を与えたフリードリヒ・エンゲルスは「空想から科学へ」の中で救世軍のことを「資本家のデマゴギーを満たすだけのための存在」と手厳しく批判している。
- ジョージ・バーナード・ショーの戯曲「バーバラ少佐」:タイトル・ロールは救世軍の奉仕活動に没頭する弾薬会社の社長令嬢。これもキリスト教と救世軍の偽善を批判する作品である。
- ミュージカル「ガイズ&ドールズ」:賭博師と、身持ちの堅い救世軍下士官との恋愛を描く。
- 「メリークリスマス・Mr.ビーン」:「社会鍋」を行なっている救世軍ブラスバンドと、ビーンの滑稽なやり取りが見られる。
- 映画「オースティン・パワーズ」:スパイアクションコメディだが、世界征服を企む敵の組織に「救世軍武闘派(架空の派閥)」の女性高級士官が幹部として在籍。
- サイモン&ガーファンクルの楽曲「冬の散歩道」:冬の情景を象徴するものとして「hear the salvation army band」という歌詞と救世軍のブラスバンドをイメージした音が入っている。
- 浦沢直樹の漫画パイナップルARMY:知人宅でクリスマスを過ごす主人公の元に、救世軍の女性兵士が寄付を求めにやって来るシーンがある。
参照文献
- 八木谷涼子『知って役立つキリスト教大研究』182-194ページ及び269ページ(新潮OH!文庫、2001年)
- 「救世軍紹介パンフレット」(救世軍日本本営)
- 『ときのこえ』各号
関連項目
- 社会鍋
- 赤十字社
- 国境なき医師団
- イングランド国教会 - 社会奉仕団体「チャーチ・アーミー」(教会軍)を組織。
- 天理教-「災害救援ひのきしん隊」という自己完結した救援部隊を各教区ごとに持っており、災害時には自治体や他のボランティア団体などと協力して救援活動や支援活動を行っている。
脚注
<references />
外部リンク
- 救世軍日本本営(日本語)
- 救世軍ブース記念病院(日本語)
- 救世軍万国本営(英語)
- 救世軍オンラインストア(英語)-書籍、制服、バッジ、音楽CD、DVD等の通信販売サイト
- キャプテン・マクのページ(日本語および英語)-救世軍士官のサイト、多数のコンテンツが充実している。
- 救世軍用語集(日本語)
- Major Mak's Diary-現役の救世軍士官、山谷真少佐のブログ(日本語)
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