平泳ぎ

出典: Wikipedio


平泳ぎ(ひらおよぎ)は、水泳で、胸の前で一かき、足で一蹴り、という動作を繰り返す泳ぎ方である。水泳選手を中心にブレストとも呼ばれている。俗にカエル泳ぎという言い方もあるが、例えば、カエル泳ぎでは掌で水を掻く動作が推進力になる一方、正しい平泳ぎでは脇で水を掻き出す動作が主な推進力になる等、正しい平泳ぎと初心者のカエル泳ぎでは手足の動作やタイミングが異なる。平泳ぎは4泳法最古の泳法とされており、1837年にイギリスで行われた世界で最初の水泳(競泳)大会から1896年第1回オリンピックの頃まで、平泳ぎと平泳ぎの手の掻きを改良して1873年に生み出されたトラジオン泳法が主流とされ、自由形として競われていた。その後、1900年にトラジオン泳法からクロール泳法が生み出されたことで、1904年第3回オリンピックから平泳ぎは独立種目となった。

目次

速度と効率

平泳ぎの最高速度は約1.67 m/sとされる。初心者の壁である息継ぎ動作が比較的簡単に習得でき、また顔を上げたままの泳法がほかの泳法よりも安易なところから、水泳に不慣れな者には「最も楽で、遠泳に適している泳法」だと思われている。しかし、平泳ぎは4泳法中唯一、完全停止と呼ばれる推進力をまったく生まない時間帯があり、実際はクロールよりも遙かに、そしてバタフライよりもエネルギー効率が悪い。そのため、例えばオープンウォータースイミングトライアスロンの遠泳競技では、もっとも効率の良いクロールが用いられている。効率が悪いがゆえ、4泳法の中で最も避抵抗の技術が必要とされる。また、もっとも馬力がある泳法とも言われている。(平泳ぎのキックによる推力は4泳法中最大である。)

30歳を過ぎても勝利を狙える他の競泳競技種目と比べ、平泳ぎは低年齢の選手に有利な傾向にあり、女子の場合には20代前半で引退するケースもあると言われる。また、他の種目と比べて身長の高さが勝敗の決め手になりにくい傾向があるとも言われている。 そのため、オリンピックで日本人が最も多数の金メダルを獲得しているのがこの種目である。

サバイバル術としての平泳ぎ

平泳ぎは、速力が遅くエネルギー効率の悪い泳ぎ方である。しかし、本来の平泳ぎは、水中に顔を入れることなく泳ぎ続けられる長所をもっている。このため、呼吸法を習得してない初心者にも受け入れられやすく、また、遭難者に接近する泳法としても重宝されていた。また、船舶が沈没した際、重油まみれの海面を泳ぐ際も、顔を水に漬けない平泳ぎは、極めて有効である。平泳ぎはスピード向上の研究が図られているが、近年、本来のサバイバル泳法としても見直されてきている。

平泳ぎから生まれたバタフライ

当初、平泳ぎの泳法規定は「うつぶせで、左右の手足の動きが対称的な泳法」とだけ定められていた。ここから1936年ベルリンオリンピックで、ルールの隙間を縫って現在のバタフライに似た手の掻きと平泳ぎのキックを組み合わせた泳法が登場し、好成績を収めると、1952年ヘルシンキオリンピックではほとんどの選手がバタフライの手の掻きを用いるようになった。そのため、1956年メルボルンオリンピックから、バタフライは別種目として独立した。現在はバタフライの動作を用いることは認められていない。

ルール

平泳ぎからバタフライができたので、ルールはバタフライに似ている。バタフライのルールの厳しいものが平泳ぎと考えても差し支えない。

スタート・折返し

審判長の笛の合図の後、スタート台に乗り、静止。出発合図員の「Take your marks...(日本では、「よーい」)」で構えたあとは、号砲まで静止しなければならない。「よーい」の合図から号砲までに動いた場合、失格となる。 号砲後飛び込み、潜水中にはひと掻き・ひと蹴りのみが許されており、一連の動作中に頭の一部を水面上に出し、浮上して泳法に入らなければならない。また、折返しを終えてからの潜水中にも同様にひと掻き、ひと蹴りが許されている。なお、2006年のルール改正により、スタート及び折返し後の水中動作1回につき1度だけドルフィンキックの使用が認められている。ただしストローク動作が始まる以前にドルフィンキックを打ってはならないとされている。しかし国際大会でさえストローク動作以前にドルフィンキックがあっても失格になることは少ない。

泳法

両手は、スタートおよび折返し後のひと掻きを除き、尻の線より後まで掻いてはならない。両手両足の動作は左右対称でなければならず、肩は水平でなければならない。また、足の甲で水を蹴ってはならない(あおり足やドルフィンキックなど)。ひじ、足を水面より上に出してはならない。ひと掻き・ひと蹴り後、頭を水面から出さなければ潜水泳法として失格になる。ターン・ゴールのタッチは両手同時にしなければならない(ただし、肩が水平なら手は同じ高さでなくてよい)。泳ぎのサイクルは「ひと掻きひと蹴り」であり、この順序で行う組み合わせでなければならない。このため、折り返し及びゴールタッチの直前でタイミングをあわせるためにサイクルを無視した連続での掻きや蹴りは違反となる。ほかの種目と同様にプールの壁(端)まで自分のレーン以外のところに行ったり、コースロープに触れたり、プールの底に立ったり歩いたり蹴ったりしてはならない。

歴代日本人金メダリスト

男子

女子

主な平泳ぎの選手

男子

女子

関連項目

外部リンク

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