平井和正
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平井 和正(ひらい かずまさ、1938年(昭和13年)5月13日 - )は、神奈川県横須賀市生まれの小説家、SF作家。神奈川県立横須賀工業高等学校を経て中央大学法学部卒業。
ファンからの愛称は「ひらりん」<ref>ひらりんをペンネームとする漫画家・漫画原作者が存在するが、無関係。</ref>。娘は漫画家の平井摩利。
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来歴
1938年(昭和13年)横須賀市に3人姉弟の長男として生まれる。手塚治虫の影響を受け、中学2年生で大学ノートに長編SF処女小説「消えたX」を執筆、級友に回覧され人気を博し、小説家を志す。1959年(昭和34年)ハードボイルド小説「夜の干潮」が中央大学ペンクラブ会誌『白門文学』に掲載され、初めて作品が活字になる。1961年(昭和36年)「殺人地帯」が『SFマガジン』第1回空想科学小説コンテスト(ハヤカワ・SFコンテストの前身)で奨励賞を受賞する。
豊田有恒とともに、いわゆる「SF作家第一世代」の最年少メンバーとして登場し、SF同人誌『宇宙塵』や『ヌル』などに参加する。1962年(昭和37年)、『SFマガジン』6月号に「レオノーラ」が掲載され、作家デビューを果たす。
「漫画原作者の元祖」でもあり、桑田二郎(当時は桑田次郎)の『8マン』や、石ノ森章太郎(当時は石森章太郎)の『幻魔大戦』などで知られている。また、『週刊少年マガジン』掲載の池上遼一版『スパイダーマン』には、後半からストーリー・ライターとして加わり、本家の米国版とは異なる展開を見せた。
また、『8マン』のアニメ化にあたっては脚本家としてもかかわる。のちに、その小説版として、黒人サイボーグ捜査官を主人公にした『サイボーグ・ブルース』を発表する。この作品は日本SFにおける「サイボーグ・テーマ」作品の代表作とされている。
また「人類ダメ小説」と自称する、「人類の暗黒面」を強調するアクションSFを、多数発表するようになる。短編はほとんど発表しなくなり、ほぼ長編小説オンリーの作家となる。
1970年代から1980年代前半にかけてヒットシリーズを連発、『ウルフガイ』シリーズ、『アダルト・ウルフガイ』シリーズ、『幻魔大戦』シリーズなどが多くの熱狂的な読者を呼んだ。
一時期は宗教団体GLAにかかわり、高橋佳子の著書『真創世記』の編集協力を務めたこともある。
一方で、鏡明、横田順彌ら親交のあった後輩SFファンを実名で登場人物にした『超革命的中学生集団』は、破天荒な文体と構成の小説で、大森望から「ライトノベルの元祖」と呼ばれている。また、SF作家たちの集まりでの星新一の「奇想天外な発言」をテーマにした「星新一のインナースペース」という異色短編も発表している。
インターネットが普及する前のパソコン通信の頃からネットワーク上での活動を行っており、近年は『週刊アスキー』にパソコンの利用レポートを不定期に掲載したり、自らWebサイトで積極的に情報を発信するなど、ITにも明るい一面を見せる。現在では、過去の作品を含めたほとんどの作品をデジタルノベルとしてWebで発表・配信し、携帯電話への作品配信も行っている。
1994年(平成6年)にアスキーによってパソコン通信ネット10社からデジタルノベルとして配信された『ボヘミアンガラス・ストリート』は、現在もインターネット上でデジタルノベルの配信に熱心である平井が初めて手がけた作品である。以前から「最高のラブストーリーを書きたい」という願望のあった平井が、高橋留美子の『めぞん一刻』と、闘病中にTVアニメ『きまぐれオレンジ☆ロード』の再放送を見て触発されたことが、本作品を執筆したきっかけである。
エピソード
- 『ウルフガイ』シリーズは、最初の文庫化時の1971年(昭和46年)に、1970年(昭和45年)に創刊されたばかりのハヤカワSF文庫に収録されているが(当時、ハヤカワ文庫JAは発刊されていない)、これは当時「SFマガジン」2代目編集長であった森優(現・南山宏)の、先代編集長福島正実の「文学路線」とは異なる、「エンターテインメントとしてのSF」路線の一環であった。平井の小説は、その路線の成功にあたって大きな貢献をし、従来のSFファンの域を越えて、多くの熱狂的な読者を獲得した。
- 言霊によって小説を書いていると自称している。
- 初期の『ウルフガイ』シリーズを書いていた頃は、読者のファンレターすべてに目を通して、返事を書いていた。その一部は『狼より若き友への手紙』(後に『ウルフレター』として再編集文庫化)として刊行されている。
- SF雑誌「SFアドベンチャー」(徳間書店)の1986年(昭和61年)8月号には、「ウルフガイ・シリーズ」の主人公である「リアル犬神明」を名乗る人物が登場し、平井和正と対談した(司会:南山宏)。
小説
長編・シリーズ作品
- メガロポリスの虎 (1968年)早川書房、のちハヤカワ文庫、角川文庫他
- アンドロイドお雪 (1969年)立風書房、のちハヤカワ文庫、角川文庫
- サイボーグ・ブルース (1971年)早川書房、のち角川文庫他
- 超革命的中学生集団 (1971年)朝日ソノラマ、のちハヤカワ文庫、角川文庫
- 超人騎士団リーパーズ(超革命的中学生集団を改訂) (2003年)講談社青い鳥文庫
- 悪霊の女王 (1976年)徳間書店(トクマ・ノベルス)、のち角川文庫
- ボヘミアンガラス・ストリート(全9巻) (1995年)アスペクト
シリーズ
- ウルフガイ・シリーズ
- アダルト・ウルフガイ・シリーズ(出版社により書籍のタイトル、作品の組み合わせが異なる。)Template:Main
- 狼男だよ (1969年)立風書房、のちハヤカワ文庫、祥伝社ノン・ノベル、角川文庫他
- 狼よ、故郷を見よ (1973年)ハヤカワ文庫
- リオの狼男 (1973年)ハヤカワ文庫
- 人狼地獄編 (1974年)ハヤカワ文庫
- 人狼戦線 (1974年)祥伝社ノン・ノベル
- 狼は泣かず (1974年)祥伝社ノン・ノベル
- 人狼白書 (1976年)祥伝社ノン・ノベル
- 人狼天使(第1部-第3部) (1978年-1980年)祥伝社ノン・ノベル
- 若き狼の肖像 (1979年)祥伝社ノン・ノベル
- ウルフガイ・シリーズ(出版社、出版期により書籍のタイトルが異なる。)Template:Main
- 狼の紋章 (1971年)ハヤカワ文庫、のち祥伝社ノン・ノベル、角川文庫、徳間書店
- 狼の怨歌 (1972年)ハヤカワ文庫、のち祥伝社ノン・ノベル、角川文庫、徳間書店
- 狼のレクイエム(第1部・第2部) (1975年)祥伝社ノン・ノベル、のち角川文庫、徳間書店
- 黄金の少女(全5巻) (1985年-1994年)徳間書店、トクマ・ノベルズ
- 犬神明(全10巻) (1994年-1995年)トクマ・ノベルズ
- 月光魔術團シリーズ
- ウルフガイ番外編
- ウルフランド(狼の世界) (1976年)祥伝社ノン・ノベル、のち角川文庫
- 女神變生 (1988年)トクマ・ノベルス
- アダルト・ウルフガイ・シリーズ(出版社により書籍のタイトル、作品の組み合わせが異なる。)Template:Main
- 死霊狩り(ゾンビー・ハンター)三部作
- 死霊狩り (1973年)ハヤカワ文庫、のち角川文庫、ハルキ文庫他
- 死霊狩り2 (1976年)角川文庫、のちハルキ文庫他
- 死霊狩り3 (1978年)角川文庫、のちハルキ文庫他
- 幻魔大戦シリーズ
- 地球樹の女神
- 地球樹の女神 (1988年-1992年)カドカワノベルズ 6巻まで、徳間書店 全13集
- クリスタル・チャイルド(地球樹の女神コア・ストーリー) (電子書籍)
- その日の午後、砲台山で (電子書籍)
- 21世紀8マン
- ∞BLUE(インフィニティー・ブルー) (2002年)駿台曜曜社 全4集、集英社文庫 上下巻
- BLUE シリーズ
- BLUE HIGHWAYS (2002年)駿台曜曜社
- BLUE LADY (2005年)(電子書籍)
- アブダクション・シリーズ
- 時空暴走気まぐれバス (2001年)集英社文庫
- WAYWARD BUS-気まぐれバス-(時空暴走気まぐれバスを改訂) (電子書籍)
- STRAY SHEEP-迷い子- (電子書籍)
- ABDUCTION-拉致- (電子書籍)
- SILENCE-沈黙- (電子書籍)
- SHADE-翳- (電子書籍)
- CAPRICIOUS-移り気- (電子書籍)
短編集
- 虎は目覚める (1967年)早川書房
- 美女の青い影 (1970年)毎日新聞社 のち角川文庫
- エスパーお蘭 (1971年)早川書房
- 悪夢のかたち (1973年)ハヤカワ文庫、のち角川文庫
- 悪徳学園 (1974年)ハヤカワ文庫、のち角川文庫
- 虎は暗闇より (1974年)角川文庫
- 魔女の標的 (1974年)角川文庫
- 怪物はだれだ (1975年)角川文庫
- 虎はねむらない (1986年)ウルフ会(限定出版)、のちリム出版
- 月光学園 (1994年)出版芸術社
- ストレンジ・ランデヴー (2001年)集英社文庫
その他の作品
漫画原作
- 8マン(画:桑田次郎)
- エリート(画:桑田次郎)
- 超犬リープ(画:桑田次郎)
- 幻魔大戦(画:石森章太郎)
- デスハンター(画:桑田次郎)
- ウルフガイ(画:坂口尚)
- スパイダーマン(画:池上遼一)
- 新幻魔大戦(石森章太郎)
- クリスタル・チャイルド(画:泉谷あゆみ)
- バチガミ(画:余湖ゆうき)
- 8MAN infinity(「8マン」の続編、ストーリー:七月鏡一、作画:鷹氏隆之)
他多数。
テレビアニメ脚本
小説を漫画化した作品
- サイボーグ・ブルース(画:秋本シゲル)
- 狼男だよ(画:ケン月影)
- 狼のバラード(画:ケン月影)
- Wolf Guy(画:かどたひろし)
- 死霊狩り(画:梁慶一)
- ウルフガイ(脚本:田畑由秋、作監:余湖ゆうき、作画:泉谷あゆみ)
作品の映画化
- エイトマン ロボット007(1964年) テレビアニメの劇場版
- 狼の紋章(1973年、実写映画) 志垣太郎(犬神明)、松田優作(羽黒獰)、他
- ウルフガイ 燃えろ狼男(1975年、実写映画) 千葉真一(犬神明)、他
- 幻魔大戦(1983年、アニメーション映画)
- 8マン・すべての寂しい夜のために(1992年、実写映画)
その他の著書
- ウルフレター(狼より若き友への手紙) ※読者との書簡集
- 語り尽せ熱愛時代 ※高橋留美子との対談集
- 高橋留美子の優しい世界
- ウルフ対談 ※対談集
- ウルフの神話
- 夜にかかる虹(HIRAIST)
- メガビタミン・ショック ※共著:余湖裕輝+ウルフガイ・ドットコム
他多数。
備考
<references />