常用漢字

出典: Wikipedio


Template:JIS2004

常用漢字(じょうようかんじ)とは、日常の使用に必要なものとして選ばれた漢字をいい、以下のようなものがある。

  1. 1923年大正12年)、文部省臨時国語調査会が発表した漢字1962字とその略字154字。一部資料に1960字とあるのは略字によって2組が同字となるため。同年9月1日実施予定であったが、同日発生した関東大震災により頓挫した。
  2. 1931年昭和6年)、「常用漢字表及仮名遣改定案に関する修正」にて上記常用漢字表中の147字を減らし45字を増やして修正した1858字。
  3. 1942年(昭和17年)、国語審議会が作成した標準漢字表2528字のうちの常用漢字1134字。ほかに準常用漢字1320字、特別漢字74字。簡易字体(略字)の本体78字、許容64字があった。
  4. 1946年(昭和21年)、国語審議会が上記標準漢字表の中の常用漢字から88字を削り249字を加えた常用漢字表1295字案。この案は採択されず、同年、これを修正した1850字が当用漢字として公布された。
  5. 1981年(昭和56年)、答申・内閣告示された常用漢字表1945字。以下、詳説。

Template:漢字 常用漢字(じょうようかんじ)は、現代日本の漢字であり、文部省国語審議会(現文部科学省文化審議会国語分科会)の政策による「当用漢字」の後継。1981年(昭和56年)10月1日に昭和56年内閣告示第1号「常用漢字表」の「本表」により発表された漢字使用の目安。「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送等、一般の社会生活で用いる場合の、効率的で共通性の高い漢字を収め、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安」(答申前文)を示す。1945字からなる。

常用漢字表の目的は、漢字使用の目安であって制限ではないため、強制力を有するものではない。しかし、義務教育の国語で読みを習う漢字であるため、漢字修得における制限となる(さらに、漢字を適切に使うことに関しては、義務教育では学年別漢字配当表に示されている漢字にとどまる)。マスメディアのほとんどは、常用漢字のほかに使用可能な漢字を独自にまたは任意に選定し、常用漢字に準用している。一般的な新聞は、日本新聞協会用語懇談会が示す新聞漢字表に基づき、各社で多少手を加えて、漢字使用を運用している。

  • 常用漢字の一覧については別項目「常用漢字一覧」を参照のこと。

目次

当用漢字との違い

  • 字数の上では、以下の95字が増加した。削除された文字はない。
    • 猿 凹 渦 靴 稼 拐 涯 垣 殻 潟 喝 褐 缶 頑 挟 矯 襟 隅 渓 蛍 嫌 洪 溝 昆 崎 皿 桟 傘 肢 遮 蛇 酌 汁 塾 尚 宵 縄 壌 唇 甚 据 杉 斉 逝 仙 栓 挿 曹 槽 藻 駄 濯 棚 挑 眺 釣 塚 漬 亭 偵 泥 搭 棟 洞 凸 屯 把 覇 漠 肌 鉢 披 扉 猫 頻 瓶 雰 塀 泡 俸 褒 朴 僕 堀 磨 抹 岬 妄 厄 癒 悠 羅 竜 戻 枠
  • 字体を改めた字。
    • 当用漢字字体表の「燈」「灯」に改められた。
  • 音訓が加わった字。
    • 栄 はえる
    • 危 あやぶむ
    • 憩 いこう
    • 香 かおる
    • 愁 うれえる
    • 謡 うたう
    • 露 ロウ
    • 和 オ
  • 付表に加わったもの。
    • 叔父・伯父 おじ
    • 叔母・伯母 おば
    • 桟敷 さじき
    • 凸凹 でこぼこ
  • 音訓が削られた字。
    • 膚 はだ
    • 盲 めくら

法令における使用

法令では常用漢字のみを使用することを原則として<ref>法令に関する諸通知</ref>、常用漢字外の字は、語そのものの言い換えが行われるか、その字のみ平仮名書きするか、常用漢字外の字を使用しつつ初出の箇所にのみ振り仮名ルビ)を振る運用がなされる。

同音の漢字による書きかえは、戦後の当用漢字策定期に多用される。例えば「抛棄」を「放棄」と改める例などである。

平仮名書きは、機械的に行えるために多く使用されてきたが、同音異義語がある場合や、「だ捕」(拿捕)「改ざん」(改竄)「隠ぺい」(隠蔽)など語の一部のみ平仮名書きされる不自然さがあり、また講学上は漢字を使用するのが通常であるため、次第に避けられるようになりつつある。

初出箇所にのみ振り仮名を振る方式は、常用漢字使用の原則に沿いつつ、自然な記載をなしうるため、法令の条文の記載において、多く用いられるようになりつつある。平成に入って口語化された刑法民事訴訟法等はいずれもこの方式によっている例である。

法令以外の公用文においても、公用文作成の要領により、常用漢字のみを使用することを原則とするように定められている。

問題点と今後の傾向

別項「日本語の乱れ」・「日本語の変化」にもあるように、言葉は生きた人間が使うものであるから、それ相応に時代に即して変化するものである。常用漢字は、「一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」であるが、常用漢字表制定から年月を経た現在の社会生活においてはこれ以上の漢字の知識を要することがある。したがって常用漢字に限った使用に固執すると、上記のような問題が出てくるのは必然であり、これを今回の改訂における直接的要因と指摘している。また、常用漢字以外、すなわち表外字に対する一般的な認識の高まりはワードプロセッサの漢字変換機能が大きく関わっており、それの一般的普及との関連が指摘されている<ref>漢検漢字辞典、はしがきより。</ref>。

常用漢字に取り入れられてない字、もしくは音訓

名詞の例
主(あるじ)、粋(いき)、古(いにしえ)、家(うち)、宴(うたげ)、鑑(かがみ)、要(かなめ)、毎(ごと)、直(じか)、旬(シュン)類(たぐい)、匠・工(たくみ)、為(ため)、屯(たむろ)、歳・齢(とし)、鶏(とり)、虜(とりこ)、等(など・ら)、斜(はす)、他(ほか)、薪(まき)、雅(みやび)、刃(やいば)、館(やかた)、輩・族(やから)、奴(やつ)、齢・歳(よわい)、私(わたし)
動詞の例
崇める(あがめる)、論う・評う(あげつらう)、与る(あずかる)、肖る(あやかる)、癒える・癒やす(いえる・いやす)、活きる・活ける・活かす(いきる・いける・いかす)、逝く(いく)、失せる(うせる)、疑る(うたぐる)、圧す(おす)、憶える(おぼえる)、想う(おもう)、屈む(かがむ)、関わる(かかわる)、画く(かく)、匿う(かくまう)、象る(かたどる)、敵う(かなう)、適う(かなう)、被る・被せる(かぶる・かぶせる)、鑑みる(かんがみる)、括る・括る・括れる(くくる・くびる・くびれる)、降る・降す(くだる・くだす)、寛ぐ(くつろぐ)、応える(こたえる)、堪える(こたえる・こらえる)、拘る(こだわる)、零れる(こぼれる)、混む(こむ)、射す(さす)、焦れる・焦らす(じれる・じらす)、雪ぐ(すすぐ・そそぐ)、逸れる・逸らす(それる・そらす)、企む(たくらむ)、貯える(たくわえる)、称える・賛える(たたえる)、発つ(たつ)、司る・宰る・掌る(つかさどる)、衝く(つく)、創る(つくる)、灯す(ともす)、点る(ともる)、囚える・囚われる(とらえる・とらわれる)、摂る(とる)、準える・擬える・准える(なぞらえる)、均す(ならす)、臭う(におう)、遺す(のこす)、育む(はぐくむ)、弾く(はじく)、逸る(はやる)、凹む・凹ます・凹む(へこむ・へこます・くぼむ)、放る(ほうる)、愛でる(めでる)、止む・止める(やむ・やめる)、委ねる(ゆだねる)、赦す(ゆるす)、過る(よぎる)、避ける(よける)、慶ぶ(よろこぶ)、力む(りきむ)<ref name="A">「表の見方」に「字音を動詞として用いることのできるもの」として「案じる」・「信じる」とともに例示されている。「力」に新しく訓「りきむ」を追加したのではない。</ref>、解る・判る(わかる)、弁える(わきまえる)
形容詞・形容動詞の例
篤い(あつい)、愛しい(いとしい)、空ろ・虚ろ(うつろ)、旨い・美味い(うまい)、巧い・上手い(うまい)、疎か(おろそか)、微か(かすか)、頑(かたくな)、淑やか(しとやか)、拙い(つたない)、審らか・詳らか(つまびらか)、辛い(つらい)、温い(ぬるい・ぬくい)、酷い・虐い・惨い(むごい)、空しい・虚しい(むなしい)、易い(やすい)、邪(よこしま)、宜しい(よろしい)
その他の品詞の例
敢えて(あえて)、予め(あらかじめ)、未だ(いまだ)、概ね(おおむね)、却って(かえって)、如し(ごとし)、頻りに(しきりに)、暫く(しばらく)、即ち・則ち(すなわち)、全て(すべて)、因みに(ちなみに)、遂に・終に(ついに)、序でに(ついでに)、尚(なお)、秘かに・密かに・私かに・窃かに(ひそかに)、先ず(まず)、濫りに・妄りに・乱りに(みだりに)、寧ろ(むしろ)、以て(もって)、漸く(ようやく)
音読みの例
衣紋(「エ」モン)、壊死(「エ」シ)、隠密(「オン」ミツ)、公家(「ク」ゲ)、怪我(「ケ」ガ)、荘園(「ショウ」エン)、寿司(「ス」シ)、一途(イチ「ズ」)、下駄(ゲ「タ」)、堪能(「タン」ノウ、カンノウとも読む)、刃傷(「ニン」ジョウ)、苗字(「ミョウ」ジ)、明朝体(「ミン」チョウタイ)
訓読みのその他の例
私達(わたし「たち」)、外様(「と」ざま)、愛娘(「まな」むすめ)
  • 表外漢字の例
※以下、JIS第1・第2水準に含まれていないものが正字の場合は《》内にそれを示す。なお、《》で示さない漢字でも閲覧環境によって字体に差が出るものがある。
  • だれ :「誰(だれ)」文化庁の平成18年度世論調査により96.6%<ref name="B">「よく使われていると思う」と「時々使われていると思う」の合計。</ref>が日常で用いると答えた漢字である<ref>平成18年度「国語に関する世論調査」の結果についてより。</ref>。
  • ころ :「頃(ころ)」同調査により、誰と並んで高率(96.6%<ref name="B"/>)を記録した漢字である。
その他、名詞、動詞、形容詞、あるいは地名などで頻繁に常用される漢字があり、一部は後述の改定常用漢字の候補に含まれる。しかし、同表は造語力(熟語構成力)に重点を置いているため、日常的に用いられるものでも「嘘《噓》」「噂」「叩く」「嬉しい」などは現在、候補の対象外に置かれている。対して、交ぜ書きを減らしていくという見解の下、以下に挙げるような構成熟語を持つ漢字が追加候補になっているのが特色である。
  • 表外漢字を用いた熟語で、下記の改定常用漢字の候補に該当するもの(太字の漢字が該当。漢字は重複する場合もある。また[ ]でくくった熟語は追加候補字種には入っているが、音訓には取り入れられていない)
(あいがん)、挨拶(あいさつ)、曖昧(あいまい)、遺(いがい)、敬(いけい)、縮(いしゅく)、子(いす)、一目然(いちもくりょうぜん)、一(いっしゅう)、一(いったん)、怖(いふ)、行(いんこう)、咽喉(いんこう)、隠(いんぺい)、積(うっせき)、憤(うっぷん)、恨(えんこん)、盛(おうせい)、病(おくびょう)、念(おんねん)、霊(おんりょう)、骨(がいこつ)、潰瘍(かいよう)、解(がかい)、[首(かくしゅ)]、覚(かくせい)、酷(かこく)、城(がじょう)、喝(かっさい)、葛藤(かっとう)、歌舞(かぶき)、烈(かれつ)、具(がんぐ)、間(かんげき)、元(がんたん)、完(かんぺき)、[楽(ぎがく)]、危(きぐ)、損(きそん)、覚(きゅうかく)、裂(きれつ)、差(きんさ)、着(きんちゃく)、愚(ぐろう)、形(けいがい)、古(けいこ)、軽(けいべつ)、血(けっこん)、[骨(げんこつ)]、銃(けんじゅう)、謙(けんそん)、盤(けんばん)、法(けんぽう)、語(ごい)、口(こうがい)、概(こうがい)、[彩(こうさい)]、梗塞(こうそく)、配(こうばい)、慢(ごうまん)、間(こかん)、滑(こっけい)、語(ごろ)、跡(こんせき)、才(さいえん)、配(さいはい)、傷(ざしょう)、折(ざせつ)、沙汰(さた)、残(ざんがい)、三角(さんかくきん)、参(さんけい)、新(ざんしん)、三(さんまい)、山(さんろく)、意的(しいてき)、私(しえん)、死(しがい)、自(じちょう)、[下(しっか)]、叱《𠮟》責(しっせき)、失(しっそう)、嫉妬(しっと)、遮(しゃへい)、恥(しゅうち)、充填《塡》(じゅうてん)、[熟(じゅくし)]、縛(じゅばく)、文(じゅもん)、腫瘍(しゅよう)、憧憬(しょうけい)、焼(しょうちゅう)、浄瑠璃(じょうるり)、食(しょくぜん)、所(しょせん)、処方(しょほうせん)、真(しんし)、親(しんせき)、臓(じんぞう)、進(しんちょく)、親(しんぼく)、辛(しんらつ)、推(すいたい)、頭(ずがい)、頭(ずきん)、惨(せいさん)、[清(せいしき)]、精(せいち)、整(せいとん)、[青(せいらん)]、髄(せきずい)、脊椎(せきつい)、刹那(せつな)、索(せんさく)、茶(せんちゃ)、煎餅(せんべい)、望(せんぼう)、全(ぜんぼう)、戦(せんりつ)、快(そうかい)、雑(ぞうきん)、巣(そうくつ)、[爪牙(そうが)]、象(ぞうげ)、造(ぞうけい)、痩《瘦》身(そうしん)、装填《塡》(そうてん)、双(そうへき)、僧(そうりょ)、及(そきゅう)、撃(そげき)、行(そこう)、色(そんしょく)、冠(たいかん)、積(たいせき)、肥(たいひ)、液(だえき)、棄(だき)、脱(だっきゅう)、断(だんがい)、旦那(だんな)、密(ちみつ)、笑(ちょうしょう)、頂(ちょうだい)、付(ちょうふ)、観(ていかん)、愛(できあい)、死(できし)、洞(どうくつ)、孔(どうこう)、陶(とうや)、灯(とうろう)、毒(どくが)、博(とばく)、頓挫(とんざ)、欲(どんよく)、落(ならく)、捻挫(ねんざ)、出(ねんしゅつ)、俳(はいかい)、配(はいぜん)、剥《剝》製(はくせい)、剥《剝》奪(はくだつ)、剥《剝》落(はくらく)、剥《剝》離(はくり)、声(ばせい)、破(はたん)、倒(ばとう)、点(はんてん)、用(はんよう)、濫(はんらん)、伴(はんりょ)、必(ひっす)、美(びぼう)、比(ひゆ)、肥(ひよく)、便(びんせん)、風(ふうぼう)、布(ふきん)、浮(ふしゅ)、付(ふせん)、払(ふっしょく)、報(ふほう)、風(ふろ)、閉(へいそく)、視(べっし)、変(へんぼう)、起(ほうき)、捕(ほそく)、起(ぼっき)、興(ぼっこう)、発(ぼっぱつ)、補填《塡》(ほてん)、乳(ほにゅう)、翻(ほんろう)、間(みけん)、未有(みぞう)、月(みつげつ)、利(みょうり)、名(めいさつ)、土(めいど)、福(めいふく)、明(めいりょう)、金(やきん)、憂(ゆううつ)、水(ゆうすい)、妖艶(ようえん)、怪(ようかい)、要(ようさい)、精(ようせい)、容(ようぼう)、致(らち)、腕(らつわん)、[園(りえん)]、領(りょうしゅう)、涙(るいせん)、城(ろうじょう)、賄(わいろ)、和(わぼく)など
しかし、今回の追加候補漢字だけでは熟語の交ぜ書きや平仮名書きは解消されない。以下のような熟語は引き続き交ぜ書きや平仮名書きになることが多いと考えられる。
  • 表外漢字を用いた熟語で、今回の追加候補漢字に該当しないもの(太字の漢字が該当。今回、追加候補漢字に含まれている漢字は太字にはしていない)
(あいきょう)、愛(あいぶ)、唖《啞》然(あぜん)、旋(あっせん)、軋轢(あつれき)、阿呆(あほう)、安(あんど)、一(いっき)、血(いっけつ)、回(うかい)、迂闊(うかつ)、散(うさん)、航(えいこう)、罪(えんざい)、尾服(えんびふく)、歌(おうか)、吐(おうと)、押(おうなつ)、海(かいえん)、改(かいざん)、旋(がいせん)、離(かいり)、界(かいわい)、然(がくぜん)、化(かのう)、丸(からすま)、瓦(がれき)、可(かれん)、貫(かんろく)、飢(ききん)、然(きぜん)、忌(きたん)、抗(きっこう)、祈祷《禱》(きとう)、急(きゅうきょ)、敵(きゅうてき)、驚(きょうがく)、強(きょうじん)、教(きょうべん)、麗(きれい)、苦(くもん)、馬(けいま)、啓(けいもう)、有(けう)、引(けんいん)、喧嘩(けんか)、制(けんせい)、騒(けんそう)、怠(けんたい)、強(ごうかん)、好々(こうこうや)、恍惚(こうこつ)、合(ごうし)、着(こうちゃく)、口疫(こうていえき)、息(こそく)、胡蝶(こちょう)、然(こつぜん)、骨(こっとう)、塗(こと)、麻(ごま)、身(こんしん)、睡(こんすい)、混(こんとん)、包(こんぽう)、祭(さいし)、銭(さいせん)、錯(さくそう)、細(ささい)、砂(さじん)、緩(しかん)、歯(しこう)、好(しこう)、刺繍《繡》(ししゅう)、湿(しっしん)、執(しつよう)、熱(しゃくねつ)、終(しゅうえん)、器(じゅうき)、工(しゅんこう)、浚渫(しゅんせつ)、戒(しょうかい)、常(じょうとう)、招(しょうへい)、兵(しょうへい)、醤《醬》油(しょうゆ)、深(しんえん)、震(しんかん)、帯(じんたい)、枢機(すうききょう)、弱(ぜいじゃく)、清(せいそ)、沢(ぜいたく)、光(せんこう)、前(ぜんしょう)、操(そうだ)、白(そうはく)、明(そうめい)、掻《搔》痒(そうよう)、生(そせい)、対(たいじ)、大(だいたい)、円(だえん)、脱(だっと)、捕(だほ)、白(たんぱく)、美(たんび)、歯(ちし)、痴(ちほう)、茶(ちゃわん)、躊躇(ちゅうちょ)、房(ちゅうぼう)、愛(ちょうあい)、児(ちょうじ)、報(ちょうほう)、天(てんぐ)、伝(でんぱ)、顛《顚》末(てんまつ)、投(とうかん)、同(どうせい)、汰(とうた)、棟(とうりょう)、怒(どとう)、印(なついん)、造(ねつぞう)、芽(はいが)、徘徊(はいかい)、排(はいせつ)、大(ばくだい)、種(はしゅ)、発(はっしん)、水(はっすい)、抜(ばってき)、目(はとめ)、馬鈴(ばれいしょ)、回(ばんかい)、(ばんそうこう)、範(はんちゅう)、煩(はんもん)、卑(ひきょう)、秘(ひけつ)、護(ひご)、飛(ひしょう)、迫(ひっぱく)、誹謗(ひぼう)、飛(ひまつ)、薬(びやく)、変(ひょうへん)、卑(ひわい)、復(ふくしゅう)、頭(ふとう)、団(ふとん)、粉(ふんじん)、尿(ふんにょう)、分(ぶんべん)、平(へいたん)、片(へんりん)、芽(ほうが)、然(ぼうぜん)、放(ほうとう)、冒涜《瀆》(ぼうとく)、歩(ほしょう)、提(ぼだい)、進(まいしん)、麻(まひ)、延(まんえん)、曼荼羅(まんだら)、微(みじん)、味(みそ)、無(むく)、想(めいそう)、昧(もうまい)、黙祷《禱》(もくとう)、論(もちろん)、絶(もんぜつ)、着(もんちゃく)、枝(ようじ)、飲(りゅういん)、流(りゅうちょう)、凌駕(りょうが)、明(れいめい)、漏(ろうえい)、狼狽(ろうばい)、過(ろか)、骨(ろっこつ)、曲(わいきょく)など

常用漢字表にあるが、一般的に用いられていない字や音訓

  • 以下、5字は常用漢字の本表から削除検討されている。
  1. 勺(シャク):「勺」は昔の容積の単位。合の10分の1。
  2. 錘(スイ・つむ):「つむ」は糸を巻き取る道具。熟語として紡錘などがある。
  3. 銑(セン):「銑」は「鍛えられていない鉄(ずく)」の意である。銑鉄などの熟語がある。
  4. 脹(チョウ):「脹」は「ふくらむ」という意味。膨脹が最も頻出の熟語だが、膨張でも代用できるため(もっとも、膨脹に対する膨張への書き換えは1954年(昭和29年)より新聞協会が独自に始めたもの<ref>http://gakken.hp.infoseek.co.jp/mon.botyo.htm</ref>である)。
  5. 匁(もんめ):「匁」は昔の重量の単位。貫の1000分の1。
  • 新聞協会などマスコミが用いない常用漢字の例
    • 虞(おそれ):「おそれ」は「何々の危険がある」の意。「虞」は常用漢字で読みも「おそれ」と示されている。しかし、この意味の「おそれ」に(恐怖の意味がないにもかかわらず)「恐れ」や「怖れ」と表記されることが少なくなく、新聞社を含むマスコミでは仮名書きまたは「恐れ」と表記する。
    • 且(かつ):「かつ」は副詞で「同時に」、接続詞で「それに加えて」という意味を持つが、仮名書きが一般的で、新聞社などマスコミでは漢字を用いない。
    • 遵(ジュン):「遵」は「決められた規則などに従う」という意味。遵守、遵法などの熟語があるが、新聞社では順法、順守などと書き換えて使用している。
    • 謁(エツ):「謁」は「まみえる」という意味。謁見などの熟語があるが、宮内庁では「引見」を使用。新聞社では他の表現に書き換えられる。
  • 使用用途が極めて特殊な常用漢字
    • 璽(ジ):「璽」とは天子(皇族)の印のこと。印璽、御璽などといった熟語があるが、日常で用いられることは極めて少ない。この字を常用漢字に採用した理由は宮内省(現・宮内庁)からの要望が強かったことによる。
    • 朕(チン):「朕」は天皇の旧一人称。現在は「私」を用いているが、日本国憲法上諭で使われている。日常で用いることは極めてまれである。
  • 古い単位に用いられた常用漢字
    • 畝(うね・せ):「畝」(せ)は昔の広さの単位。反の10分の1。「うね」は畑の土盛りの部分。農業従事者を除くと日常で用いる機会はまれである。
    • 斤(キン):「斤」は尺貫法で用いられる質量の単位であり、江戸時代は貨幣の単位にも用いられた。削除が検討されたが、慣習的にパンを数える単位として用いられるという理由で常用漢字に残される見込みとなった。熟語として斤量がある。
  • 世論調査によって、あまり使用しないと回答された漢字
    • 逓(テイ):「逓」は「一定の数だけ〜していく」という意味。逓信、逓増、逓減という熟語がある。前述の世論調査によって、6割以上<ref>「余り使われていないと思う」と「全く使われていないと思う」の合計で60.5%となる。</ref>の人があまり使用しないと回答した漢字の一つである。マスコミでは逓減を低減と書き換えることがある。

見直し

Template:現在進行 2005年(平成17年)2月2日に国語分科会が「情報化時代に対応する漢字政策の在り方を検討することが必要」であるとした報告書<ref>文化審議会国語分科会報告 国語分科会で今後取り組むべき課題について (PDF)</ref>を文化審議会に提出した。これを受けて、同年3月30日中山文部科学相は常用漢字表の見直しの検討などを文化審議会に諮問した<ref>第39回文化審議会総会 情報化時代に対応する漢字政策の在り方について</ref>。同年9月から文化審議会国語分科会の漢字小委員会が常用漢字見直しの審議に入った。

その後、第6回漢字小委員会では、「『常用漢字』と『準常用漢字(読めるだけでいい漢字)』に分けることの是非」という文言<ref>第6回漢字小委員会で配付された資料3 (PDF) P.3参照。</ref>を含む資料が配付された。また答申時期については、第15回漢字小委員会で2010年2月の新常用漢字表答申を目指すと述べられている。なお、その後の漢字小委員会で表の煩雑化に疑問の声があり、「準常用漢字」等の区分は最終的に行われなかった。2008年(平成20年)1月9日、都道府県名に使われている漢字で常用漢字に現在含まれていない「阪」「鹿」「奈」「岡」「熊」「梨」「阜」「埼」「茨」「栃」「媛」の11字を常用漢字に含めることを決めた<ref>第20回漢字小委員会で配付された資料2 (PDF) P.4参照。</ref>。これは固有名詞は常用漢字表の対象としないのが原則であり、今後も維持するが、特に公共性が高い都道府県名について例外として扱ったものである。また、その後、委員会で「韓」「畿」が追加候補に入ったが、これは都道府県名に準じる漢字としての位置付けである。

2008年(平成20年)5月12日の第21回漢字小委員会で第1次字種候補素案218字が発表された(220字と明記され、主要新聞社もそのように発表したが、実際には「闇」がデザイン差で2つ載っており、また既に常用漢字表に入っている「靴」が誤って入っていたため218字が正しい)<ref>この2点のほか、P.2 6行目 候補漢字Aの「樋」は「桶」の誤りである。</ref>。この時点では特定の語に限って常用漢字と同様に認める熟語が「別表」として付記されていたが、「なるべく単純明快な漢字表を作成する」という考え方に基づき、その後の6月16日の第23回漢字小委員会では第2次字種候補案が「別表」を統合した形で発表され、同日の審議でもその旨了承された。なお、第2次字種候補案では「本表に入れる可能性のある候補漢字」は188字とされた。また、「斤」が削除候補から外された。次の7月15日の第24回漢字小委員会では、7月31日の第39回国語分科会に提出する資料について「最終的な扱いについては前田主査に一任する」ことが了承された<ref>第2次字種候補案国語分科会提出資料では幾つかの文言が変わったが、実質的な内容に変わりはない。なお、国語分科会提出資料は第39回国語分科会で了承された。</ref>。また、国語分科会で字種候補案が了承されたとしても、今後、行われる音訓の検討過程で字種の出し入れの可能性があることも確認された。実際にその後の9月22日の第25回漢字小委員会では、追加候補に「刹」「椎」「賭」「遡」の4字が追加され、「蒙」が削除された。これにより追加候補は191字となった。2009年(平成21年)10月23日の第37回漢字小委員会および11月10日の第42回国語分科会で了承された修正案では「柿」「哺」「楷」「睦」「釜」「錮」「賂」「勾」「毀」の9字が追加、「聘」「憚」「哨」「諜」の4字が削除され、追加候補は196字となった。なお、漢字表の名称は現行と同じ「常用漢字表(改定常用漢字表)」とすることが確定した。

  • 追加(2010年(平成22年)6月現在、196字)<ref>「『改定常用漢字表』に関する試案」では「曾」「瘦」「麵」について「頻度数に優先して、生活漢字としての側面を重視し」て、印刷標準字体ではなく簡易慣用字体「曽」「痩」「麺」を採用している。</ref>
挨 曖 宛 嵐 畏 萎 椅 彙 茨 咽 淫 唄 鬱 怨 媛 艶 旺 岡 臆 俺 苛 牙 瓦 楷 潰 諧 崖 蓋 骸 柿 顎 葛 釜 鎌 韓 玩 伎 亀 毀 畿 臼 嗅 巾 僅 錦 惧 串 窟 熊 詣 憬 稽 隙 桁 拳 鍵 舷 股 虎 錮 勾 梗 喉 乞 傲 駒 頃 痕 沙 挫 采 塞 埼 柵 刹 拶 斬 恣 摯 餌 鹿 叱《𠮟》 嫉 腫 呪 袖 羞 蹴 憧 拭 尻 芯 腎 須 裾 凄 醒 脊 戚 煎 羨 腺 詮 箋 膳 狙 遡 曽 爽 痩 踪 捉 遜 汰 唾 堆 戴 誰 旦 綻 緻 酎 貼 嘲 捗 椎 爪 鶴 諦 溺 填《塡》 妬 賭 藤 瞳 栃 頓 貪 丼 那 奈 梨 謎 鍋 匂 虹 捻 罵 剥《剝》 箸 氾 汎 阪 斑 眉 膝 肘 訃 阜 蔽 餅 璧 蔑 哺 蜂 貌 頬《頰》 睦 勃 昧 枕 蜜 冥 麺 冶 弥 闇 喩 湧 妖 瘍 沃 拉 辣 藍 璃 慄 侶 瞭 瑠 呂 賂 弄 籠 麓 脇
  • 削除(5字)
勺 錘 銑 脹 匁
  • 一度は追加候補漢字に入りながら、その後、外された漢字(85字)
叩 嘘《噓》 噂 濡 笠 嬉 朋 覗 撫 溜 鷹 揃 頷 掴《摑》 翔 喋 噛《嚙》 洩 禄 栗 馴 駕 鴨 淵 駿 蘭 胡 蘇 狼 蝶 掻《搔》 惚 蒼 腿 菩 吊 雀 樽 壺 祀 卿 歪 棲 磯 桶 鷲 媚 寵 秤 套 醤《醬》 疼 賤 顛《顚》 糊 誼 截 綬 庄 毅 揆 躇 躊 憐 狽 萌 撥 謳 蔓 捏 饉 倦 屏《屛》 恍 斡 膠 疇 謗 乖 誹 蒙 聘 憚 哨 諜

また、現行の常用漢字の音訓に以下のものの追加、変更、削除が候補となっている。

  • 追加(29音訓)
委(ゆだねる)、育(はぐくむ)、応(こたえる)、滑(コツ)、関(かかわる)、館(やかた)、鑑(かんがみる)、混(こむ)、私(わたし)、臭(におう)、旬(シュン)、伸(のべる)、振(ふれる)、粋(いき)、逝(いく)、拙(つたない)、全(すべて)、創(つくる)、速(はやまる)、他(ほか)、中(ジュウ)、描く(かく)、放(ほうる)、務(つとまる)、癒(いえる・いやす)、要(かなめ)、絡(からめる)、類(たぐい)
  • 変更(1訓)
側(かわ) - 訓「かわ」を「がわ」に変更。
  • 削除(3音訓)
畝(せ)、疲(つからす)、浦(ホ)

備考欄等について以下のものの変更が候補となっている。

  • 変更
愛・岐・児・滋・城・神・富・分・良・重 - 備考欄に都道府県名を注記。
音 - 語例「音信不通」を「母音」に変更。備考欄「音信不通」の注記を削除。
堪 - 語例「堪能」を追加。備考欄に「『堪能』は、『タンノウ』とも。」と注記。
十 - 備考欄に「『ジュッ』とも。」と注記。
昭 - 語例「昭和」を追加。
側 - 備考欄に「『かわ』とも。」と注記。
透 – 語例「透き間」を削除<ref>近年では「隙間」(もしくは「すき間」)と使用されるのが一般的とされるため。</ref>。
力 - 凡例に注記<ref name="A"/>。

他にも現行の常用漢字の「付表」に以下のものの追加、変更が候補となっている。

  • 追加(6語)
鍛冶(かじ)、固唾(かたず)、尻尾(しっぽ)<ref name="kana">但し、場合によってはかな表記とすることもある。</ref>、老舗(しにせ)、真面目(まじめ)<ref name="kana"/>、弥生(やよい)
  • 変更(4語)
居士(こじ) - 「一言居士」を「居士」に変更。
五月(さつき) - 「五月晴れ」を「五月」に変更。
お母さん(おかあさん) - 「お母さん」を「母さん」に変更。
お父さん(おとうさん) - 「お父さん」を「父さん」に変更。

パブリックコメント

また、文化庁は「『新常用漢字表(仮称)』に関する試案」を公開、パブリックコメントを行い、2009年(平成21年)3月16日から行われたものの結果がニュースなどで報道された。これは第31回漢字小委員会以降で配付された資料に基づくものである。それによると、新たに302字<ref>第32回漢字小委員会で配付された資料3 (PDF)による。ただし、「䑓」(「台」の異体字)・「ヶ」・「々」などの文字についても除外せずに記載されている。</ref>の追加希望があったという。最も多かったのは「鷹」の22件であるが、これは三鷹市鷹栖町白鷹町など名称に「鷹」を含む自治体ホークスサミット参照)が組織票を動員していたことを公表している。続いて「碍」の20件は一部の障害者関係団体が「障害」ではなく、日本では戦前に使用事例が有り中国台湾<ref>台湾や香港で使用されているのは、厳密には正字体の「礙」であり「碍」は「礙」の略字である。</ref>、韓国で現在も使用されている「障碍」と表記するよう主張していることが大きく関与している。その他、6件以上意見があったのは「睦」「柿」「迂」「哺」「蘇」「棲」「疹」「楷」「揃」「叩」「濡」「吊」「悶」「牽」「挽」「捏」「膿」「嘘《噓》」「禄」であった。一方、削除希望の漢字も挙げられ、目立ったのが「鬱」「顎」であった。理由として画数が多いため、中学生に学習させるには難しすぎるという教育委員会の意見が目立っている。さほど実用的でないという理由から「聘」「憚」「憬」などが挙げられたほか、「埼」「阪」「阜」など都道府県に用いられる漢字も列挙された。今回のパブリックコメントでは約220件の意見が寄せられており、「敬語の指針(報告案)」の際の5倍に上っている。文化庁は、このパブリックコメントを加味した上で、再度指針案を練り直すとしていた。

その後、2009年(平成21年)11月25日から12月24日まで再度、修正案を対象にしたパブリックコメントが実施され、272件の意見が寄せられた。追加希望が最も多かった字は「玻」の95件で、この字が人名用漢字でないことを理由に子供の出生届を不受理とされた処分の無効を求めていた愛知県在住の夫婦<ref>2010年(平成22年)4月に最高裁で敗訴が確定。</ref>とその支援者による組織票が動員された結果、前回の0件から一転して95件の追加希望が寄せられた<ref>Template:Cite news</ref>。また、前回のパブリックコメントでは20件であった「碍」は86件と大幅に追加希望が増加。「鷹」は前回より2件増の24件であった。この結果を受けて審議が行われた結果、4月13日に開催された第38回漢字小委員会は「玻」「碍」「鷹」のいずれも追加を拒否し<ref>要望の多かった「玻・碍・鷹」の扱いについて(PDF)参照。</ref>、前年11月の第42回国語分科会で了承された原案通り字種を「196増5減」とする案が了承された。但し「碍」については内閣府障がい者制度改革推進本部で法文上の「障害」の表記見直しが議題となっていることを考慮し、同本部より特に文化審議会へ「碍」の追加を求められた場合は11月頃に予定されている内閣告示の前に追加協議を行うとしている<ref>「改定常用漢字表」に関する答申案(素案)(PDF) P.12参照。</ref>。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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