島
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[[ファイル:LakeErieIslands.JPG|thumb|right|250px|エリー湖諸島(Lake Erie Islands)]] 島(しま)は、水域に四方を囲まれた陸の中で面積の規模の小さいものをいう。より規模の大きなものは大陸と呼ばれる。
水域に囲まれて隔てられたものを指すことから、「他と区別されてまとまったもの」全般を示す言葉として地形以外の分野でも転用されることがある。
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定義
thumb|300px|青色で示している部分が島 4方位のうち:
海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)第121条では、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう」とある。
概説
地理学的にはオーストラリア大陸以上の面積をもつ陸地が大陸に分類され、それ未満の面積のものは島に分類される。この基準によれば面積最大の島はグリーンランドとなる。(世界一の一覧、島の一覧参照)。国土地理院の定義によると、島未満の地形として、暗礁や洗岩、干出岩、水上岩からなる岩礁がある。
1964年9月10日に効力を発揮した領海及び接続水域に関する条約(The Convention on the Territorial Sea and Contiguous Zone)には島の条件を3つ定めている。すなわち、自然に形成された陸地であること、水に囲まれていること、満潮時に水没しないことである。この定義から外れると領海を形成するために有効な領土ではなくなる。そのため、日本は沖ノ鳥島が波浪による侵食によって満潮時に水没しないように消波ブロックなどを設置している。
日本の地理を対象としている場合、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島の5島は島とは呼ばない場合もある。しかし、上記の基準からすれば、これら5島を含めて日本の領土は全て島から成っていると言える。
複数の島がまとまって存在するものを諸島、列島、群島などと呼ぶ場合もある。列島は島が列状に並んだもの、群島は塊状に集まったものを指し、諸島はより適用範囲が広いが、はっきりした定義はない。
島弧
プレート境界(沈み込み帯)に位置する列島を島弧、あるいは弧状列島とも言う。島弧はマントル対流の沈み込みによって地殻が盛り上がって生成する。このような島は弓状に分布することが多く、島弧と呼ぶ。島弧は太平洋プレートの周辺(環太平洋火山帯)に目立つ。以下に北極側から反時計回りに記す。
島の成因
[[ファイル:Greenland 42.74746W 71.57394N.jpg|thumb|right|「小大陸」と呼ばれるグリーンランド]] 海洋に位置する島を成因によって分類すると、大きく三つに分かれる。プレートテクトニクスにより大陸から分離した「小大陸」と見なせる島、陸島、洋島である。
大陸から分離した島
大陸からの分裂で誕生した島の代表例はグリーンランドとマダガスカル島である。
大陸はプリュームによるマントル対流によって、数cm/年程度の速度で移動している。約6億年前の古生代石炭紀に、先行する超大陸が南北に分離した。それぞれ、ゴンドワナ大陸とローラシア大陸と呼ばれる。ゴンドワナ大陸は現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、アラビア半島、マダガスカル島を含んでいた。1億6000万年前からゴンドワナ大陸自体も数次にわたって分裂を続けた。7000万年~9000万年前の中生代白亜紀後期の最後の分裂の際、インド亜大陸と分離したのがマダガスカル島である。そのため動植物の分布がアフリカ大陸とは異なっている。
ローラシア大陸は、現在のユーラシア大陸と北アメリカ大陸、グリーンランドを含んでいた。約5000万年前(新生代第三紀)に、グリーンランドは北アメリカ大陸と分離した。
陸島
大陸棚に存在する島を陸島という。大陸と陸続きであったが、海進、沈下などの原因により大陸と切り離されたために孤立した陸地である。地質構造や陸上の地形に大陸との類似が見られる。代表例はカリマンタン島、グレートブリテン島、台湾島である。カナダ北部の島々も陸島である。
陸島のうち大陸や他の大きな島に近いものは砂州によって大陸などと陸続きになることがある。これを陸繋島と呼ぶ。
後述するサンゴ礁のみからなる陸島もある。例えばオーストラリア大陸東岸北部に約2000kmにわたって伸びるグレート・バリア・リーフは大陸棚に位置する700個前後の島で発達した堡礁である。
洋島
[[ファイル:Hawai'i.jpg|thumb|right|火山噴火によって形成された洋島、ハワイ島]] 大陸棚ではなく、海洋底から直接海面に達している島を洋島という。基本的には火山活動によるが、単純な火山性の島と、火山島などの沈下によって形成されたサンゴ礁に分かれる。
火山島
洋島のうち、火山島はホットスポット上に多く位置する。ホットスポットとは下部マントル付近から上部マントルに向かって定常的に熱い物質が上昇している場所のことである。例えばハワイ諸島の場合、約7000万年にわたって、同一のホットスポットが多数の島を生成してきた。古い島は侵食を受け、海面下に海山として残っている。アイスランド島もホットスポット上にある。
このほかにカリブ海東端の小アンティル諸島に属する島、例えばマルチニーク島などは、カリブプレートと北アメリカプレートの沈み込み帯上に位置する火山島である。
サンゴ礁
[[ファイル:Omelek Island.jpg|thumb|right|サンゴ礁により形成された洋島、マーシャル諸島・オメレク島(Omelek Island)]] サンゴ礁は、刺胞動物門花虫綱に属するサンゴ類と光合成を行う緑藻類や紅藻類といった細胞内の共生藻から成る集合体である。サンゴ礁の主成分は石灰岩(炭酸カルシウム)からできている。石灰岩はサンゴ類の骨格(骨片)のほか、共生藻の分泌物の沈着によって生成する。このため、太陽光が十分透過する水深40m~60mよりも浅い海中でなければサンゴ礁は成長しない。水温も18度前後でなければならない。
サンゴ礁は島の周辺の海岸を取り囲む裾礁(きょしょう)として発生する。代表例は小笠原諸島、奄美群島、沖縄諸島、先島諸島である。裾礁が形成された後に、中央の島が沈降すると、島の海岸線から数kmはなれた位置にドーナツ型のサンゴ礁からなる陸地が形成される。これを堡礁(ほしょう、バリアリーフ)と呼ぶ。沈降がさらに進むと中央の島は消え、ラグーンと呼ばれる礁湖を取り囲む幅数100m~1km程度のドーナツ型の陸地だけが残る。これを環礁(かんしょう、アトール)と呼ぶ。サンゴ礁自体が成長することから、波による侵食に強く、孤島であっても波浪による侵食に耐える。
サンゴ礁に基づく島にはさまざまなバリエーションがある。サイパン島やグアム島を含むマリアナ諸島や小笠原諸島はプレート境界に位置する火山島とサンゴ礁が複合した裾礁の段階にある。南太平洋に位置するメラネシアやポリネシアでは、堡礁や環礁の段階に達している。東部ミクロネシアに位置するマーシャル諸島共和国の国土は30個弱の環礁だけから成る。
宮古島や石垣島などの先島諸島は裾礁形成後に隆起したため、サンゴ礁段丘や隆起サンゴ礁と呼ばれる特異な地形がよく発達している。
離島・孤島の意義
- 経済的側面
- 領海の観点
- 気象観測点として
- 気象観測島は気象観測拠点としても重要である。現在にいたっても海洋内の定期観測拠点が少ないためである。
- 法律的離島の定義
- 航路の目印としても
- 灯台が建てられ、目印となる。
島の生物
島には、特殊な生物相が見られることがよくある。固有種が多く、また、飛べない鳥の出現なども広く見られることである。島の生物の生態についての研究は、島嶼生物学が扱う。
洋島では、漂着する生物が定着する事によって生物相ができることから、両生類や哺乳類を欠くといったような、大陸にくらべて偏った生物相になりやすい。ガラパゴス諸島やハワイ諸島、小笠原諸島などが有名である。
陸島でも、大陸では絶滅した群が生き残っているなど、特殊な生物が見られる例が非常に多い。
地形以外の島
- 浮島
- 水底に接していない島を浮島と呼び、天然でも湖沼の一部に浮島が見られる。ミャンマーのインレー湖の浮島は表土を持ち、植物の栽培が可能である。ペルー・ボリビア間に広がるチチカカ湖にも浮島が存在する。日本国内では、例えば秋田県鹿角市の作沢沼にはミズゴケ類からできた直径数mの浮島が見られる。
- 「島」の字源
- 「島」という漢字は、渡り鳥が羽を休めるために利用する海にある山を表すために作られた文字だという。
- 独立したものの象徴としての島
- 人里はなれた場所としての島
- 地理学上の用語以外に、島にはさまざまな意味がある。人里から隔絶した土地という意味でも古くから島という言葉が用いられてきた。例えば、源頼朝が流刑となった蛭ヶ小島は、伊豆山中(静岡県伊豆の国市)に位置する。
- 縄張り
- 「区画」という意味から、勢力の及ぶ範囲。「シマ」とかたかな表記されることが多い。
- 臓器の「島」
- 膵臓中でインシュリンなどのホルモンを分泌するランゲルハンス島は、顕微鏡下の観察で他の膵細胞から独立して見えたことに由来する。
- 庭園
- 平安時代末期から鎌倉時代初期に記されたと考えられている日本最古の造園書である『作庭紀』(さくていき)は、庭の主たる構成要素として築山、池、島、南庭白砂、鑓水を挙げている。これが転じて、池や築山のある日本庭園のことを島と呼ぶこともある。
- 形からの連想
- 島式プラットホーム
- 上記のプラットホーム同じように遊技台が設置されている取り付け台を「島」と呼ぶ。
- デスクや陳列棚の「島」
- オフィスの机や店舗の陳列棚などが数個まとめて配置され、その四方が通路で囲まれているものを島と呼ぶことがある。スーパーマーケットの陳列棚の場合、それぞれの島の両端には店側の最も売りたい商品が並べられていることが多く、大抵は買い得な価格が設定されている。
- 地方区分としての「島」
- 日本統治時代の朝鮮では、郡と同格の行政機関「島」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島庁」と言う。行政機関としての「島」は済州島と鬱陵島の2つであった。日本統治時代の朝鮮の行政区画参照。
- その他
- 周囲が河川・水路・海などの水面で囲まれている場合、俗に「島」と呼ばれることがある。房総半島にある千葉県は、都県境がほぼすべて河川になっているため「千葉島」と揶揄されることもある。また、宮城県の七ヶ浜半島にある七ヶ浜町も、半島の基部を貞山運河が横断し、周囲を全て水面で囲まれるため島と揶揄されることがある。一方、新潟市中央区には、河川・水路・海によって周囲が囲まれる「新潟島」と呼ばれる地区があり、市民のみならず行政もこの名称を用いている。
沖縄の場合
沖縄では、自分たちの生活の場や故郷のことをさして「シマ」という例が多い。たとえば沖縄人を意味する「うちなんちゅ」は往々に「シマンチュ」と言い換えられる。また泡盛のことを「しまざけ」、沖縄民謡(奄美も同様)を島唄など同様な意味で使う例が多い。それらはさらに「シマ」と略される例もある。
関連項目
外部リンク
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