少女漫画

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プライバシー・ポリシー Wikipedioについて 免責事項 Template:独自研究 Template:漫画 少女漫画(しょうじょまんが)は、少女雑誌に掲載されるなど、主たる読者として若年の女性を想定した日本の漫画

目次

概要

絵柄としては可愛らしい・綺麗な印象を与えるものが多い。作品世界の情趣を大切にして背景をリアルに描き込むことは避け、モノローグの多用、心象を具象化した背景、コマ割りなどを駆使し、人物の感情の流れを重視した演出に優れる<ref name="syoujo">アニメーションノートNo11(誠文堂新光社)2008年、ISBN 4-416-60833-0 p.88「それはマンガの変化に似て」田中桂</ref>。また、動きを表現したり視点を頻繁に変更したりする絵は比較的少ない。ただし現在の少女漫画は青年漫画や映画的手法の影響を大きく受けており、伝統的な少女漫画的表現にとどまらない表現手法も含んでいる。

少女漫画では何らかの形で恋愛を扱ったものが主流であり、恋愛漫画以外でも恋愛要素が含まれている作品は多い。ファンタジー漫画スポーツ漫画も古くからジャンルとして確立しており、現在に至るまで人気が根強い。

あまり恋愛要素が含まれにくいオカルトホラーミステリーの伝統もあり、それを一ジャンルとした専門誌もある。

少女漫画の歴史

松本かつぢの4コマ漫画『ポクちゃん』、『くるくるクルミちゃん』など、日中戦争前の少女雑誌で連載された作品が少女漫画の先駆けである。Template:和暦には手塚治虫が『リボンの騎士』を連載し、少女漫画にストーリー漫画を導入<ref>アニメーションノートNo11 P88「それはマンガの変化に似て」においては、ストーリーマンガの手法を取り入れたのは石ノ森章太郎であるとしている。</ref>、この頃から少女雑誌において従来の絵物語などを押しのけて少女漫画の比重が高まっていった。

1950年代後半から1960年代にかけては、宝塚歌劇の影響を受けたり、高橋真琴らの少女画からの影響を受け、少女漫画特有の装飾的な表現が発達した。人物背景に花を描き込む、キャッチライトが多数入った睫毛の長い目などである。先行した少女小説の影響などもあって、美形の男性・男装の麗人などが登場し、華麗なストーリーを展開した。1950年代から1960年代の少女漫画はちばてつや松本零士など男性作家によって描かれていることが多く、この時期の古典的な少女漫画の様式は、主に前述の高橋真琴を始めとする男性作家や男性編集者によって築かれたものである。しかし、当時の代表的な少女漫画雑誌各誌による、女性漫画家を育てる機運の高まりがあり、女性ストーリー作家第1号とされる水野英子らが現れ、新鮮なテーマやモチーフで少女漫画の表現の幅を広げた。

1970年代に入り、少女漫画はその演出技法から、物語ジャンルへと広がり<ref name="syoujo"/>、萩尾望都竹宮惠子大島弓子山岸凉子といった24年組土田よしこなど、それまでにないSFファンタジー、ナンセンスギャグ、少年同性愛を描く少女漫画家が出て、少女漫画の世界が一気に広がった。この点においては、柴田昌弘(サスペンス性・SF的要素・メカニック)、魔夜峰央(ミステリー・怪奇・耽美・ギャグ)、和田慎二(主にアクション)など少女漫画デビューの男性作家の貢献も大きい。1970年代後半は、少女漫画が男性読者にも注目された時期であり、少女漫画の影響を受けた絵柄や心理描写が少年漫画にも波及し始めた。反面、少女漫画の枠に収まりきらない作品群になじめない層に「乙女ちっくマンガ」と呼ばれる少女趣味的な作品群が支持され<ref>『20世紀少女マンガ天国』エンターブレインP16-17、ただし成長したリアルタイム世代の女性から、古いタイプの女性像の刷り込みなどの批判もあった。</ref>、以後の等身大の女性を描く少女漫画の流れにつながる。

1980年代には紡木たく吉田秋生といった漫画家が人気を博し、従来の少女漫画的な装飾的表現を簡略化する傾向が強まった。等身大の女性を丁寧に描く作家が多くなり、シンプルな背景にキャッチライトが入らない目の人物像を描く漫画家が増えた。それまで扱われてこなかった、性や職業をテーマにした作品が増え、少女漫画読者層が広がった<ref name="syoujo"/>。また、作家のキャリアが長くなってきていることもあり、大人の女性向けの漫画が成長。レディースコミックヤング・レディースがジャンルとして確立した。少年同士の恋愛を描いたボーイズラブ(やおい)も、少女漫画との読者層のズレが起こり、ボーイズラブ専門のレーベルで刊行されるようになった。また少年漫画にも高橋留美子を皮切りに女性漫画家が進出、少女漫画の読者層であった少女たちも少年漫画や青年漫画を読むことが一般的になっていった。これによって、少女漫画の手法や少女漫画的なテーマが少年漫画や青年漫画の世界にも広く普及することになった。

1990年代には心の問題を描く傾向がさらに顕著になり、自ら行動を起こす主人公像が求められるようになった。青年漫画が大きく成長したこともあり、少女漫画と青年漫画をともに手がける作家、少女漫画出身の青年漫画家も多くみられるようになる。1990年代後半以降は、読者の嗜好の多様化に伴い少女漫画や少女漫画誌の発行部数は減少の傾向にあるが、少女漫画的なテーマや表現手法は日本の漫画で広く定着し、男性を含めた幅広い年齢層に受け入れられている。

少女漫画の現状

1980年代以降は、女性読者の少年漫画青年漫画への流失や(中には、メインターゲットを成年男子としながら少女漫画を自称する雑誌(『コミックエール!』など)も登場している)、女性作家が少年漫画雑誌に連載することが多くなったことで、少女漫画界は衰退と対象年齢による細分化の傾向にある。

ただし、『花より男子』、『NANA』、『ハチミツとクローバー』、『のだめカンタービレ』、『桜蘭高校ホスト部』、『君に届け』など、少年漫画に見られない独特の魅力で男性読者や大人の読者を掴んでいる少女漫画も少数ながら存在する。特に矢沢あいの『NANA』は、男性読者や普段あまり漫画を読まない層を読者層に取り込み、2005年度オリコン1位(漫画部門男女)を獲得する等、少女漫画に光を与えた。

メディアミックス化が近年では多く、『NANA』、『のだめカンタービレ』が成功例である。最近ではメディア展開に特化した女児向けの作品以外ではアニメーションよりも映画やドラマといった実写メディアの方が盛況であり、『アタックNO.1』、『ちびまる子ちゃん』、『はいからさんが通る』、『美少女戦士セーラームーン』、『花より男子』などの過去に連載されていた人気作品も次々にドラマ化された。特に、『花より男子』は1990年代に放送されたアニメ版よりもドラマ版の方が商業的に大ヒットし、ドラマ化で単行本の売り上げが急増したことで、少女漫画では一番売れた漫画となった。

近年は幼児小学生中学年以下)といった低年齢層に該当する女児を中心にターゲットにする漫画も『ミルモでポン!』、『きらりん☆レボリューション』の成功により市場を確立していた。ただしこれらはメディアミックス戦略の成功という趣があり、前述の作品が掲載されている『ちゃお』に関してはこれらの成功の影響で、以前と比べると低年齢向けのイメージが強くなっている<ref>これらの作品は『ちゃお』の他には小学館の学習雑誌のうち、・中学年向けにあたる『小学一年生』から『小学四年生』まで掲載されたことがあり、事実低年齢向けの作品に位置づけられている。</ref>。

しかし、その中間層である小学校高学年 - 中学校1・2年生の少女をターゲットにする少女漫画(主に『りぼん』・『なかよし』などに掲載されている作品)は、少女漫画の創生期から『美少女戦士セーラームーン』や『ママレード・ボーイ』、『カードキャプターさくら』などが大ヒットしていた1990年代末期までは少女漫画界の中心に君臨したにも関わらず(なお、『セーラームーン』は園児や低学年にも絶大な人気があった)、前述の作品が全て終了した2000年代以降は、ヒット作がまばらな状態が続き、市場も大幅に縮小した。

なお、中高生以上をターゲットにする人気作品には、小中学生以下をターゲットにする作品や少年漫画とは違い、掲載誌の売上シェアとの関連性がほとんど無く、雑誌単位の購買よりコミックスでの購買の方が多く、編集サイドにおいても単行本出版ペースを念頭に置いた掲載が成されている模様である。その反対に『ちゃお』など小学生を対象とする漫画は、掲載誌の売上シェアとの関連性が高く、雑誌ペースを念頭に置いた連載が成されている。

他には、小学校高学年・中学生前後の少女が主な読者である雑誌(『少女コミック』など)での過激な性描写が問題となっている。ただし、少年漫画の性描写の規制には、女性団体やPTAなどの団体が推進運動を進めているが、少女漫画に対しては、そのような規制推進団体がなく、規制が運動につながっていないという事情もある。

少女漫画家

当初は男性作家も多かったが、前述の少女漫画の変化により、ほぼ100%女性により描かれるようになった<ref name="syoujo"/>。

出版社専属の作家が多数存在するが、この業界は一種のリーグ制を導入している(ホラー作品組と4コマ枠は完全な別枠とされている)。誰もが望むであろう連載組はわずか1-2割しかいない。短期連載組1割、その残りが読み切り組につくことになる。不人気なら専属契約を解除される厳しい世界である。少女漫画作品は他のジャンルに比べて、ストーリーの完結性が強く、計算された物語性が要求されるが、「売れる」と認められるのは(内容の質に拘わらず)連載が長く続く作品であり、短編に優れた作者にはまったく不利となる。1980年代以降、少女漫画家が青年漫画少年漫画に転向する例も多くみられる。

主な少女漫画雑誌

作品が掲載されている主な漫画雑誌。

少女向け

中高生向け

女性向け

参考文献

脚注

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関連項目

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