対戦車ロケット弾

出典: Wikipedio


対戦車ロケット弾(たいせんしゃロケットだん)とは兵器の一種で、戦車装甲車あるいは構築物を攻撃するために用いられるロケット弾である。これは弾薬自身に推進用の火薬が内蔵され直線状に飛翔するものであって、パンツァーファウスト対戦車擲弾)のように発射薬の一瞬のガス圧のみで放物線状の弾道を描きながら投射されるものとは区別される。

バズーカパンツァーシュレックのようなロケット砲から打ち出される物や、M72 LAWのような使い捨ての発射器を用いるもの、RPG-7のように射出時は発射薬を用いた無反動砲であるが飛翔中に弾薬のロケットブースターが作動するものもある。

同じロケット推進弾頭であっても、日本語では誘導式の対戦車ミサイルと区別され、無誘導のものをこう呼ぶが、ロシア語などでは誘導・無誘導に係わらず「ロケット」と呼ばれる。

目次

構造

対戦車ロケット弾は、弾頭部とロケットモーター(ブースター)部に分けられる。発射器を含める場合もある。

弾頭部

多くの対戦車ロケット弾は無反動砲の原理で射出される。このため弾丸の飛翔速度は同口径の他の直射火器と比較して低速であり、運動エネルギーよりも化学エネルギーを用いた弾頭が好まれる。そのため対戦車ロケット弾の登場以来、モンロー/ノイマン効果を利用した成形炸薬弾頭が一貫して採用されている。

ほとんどの種類の弾頭は翼を持つ。これは旋動安定方式ではモンロー/ノイマン効果のメタルジェットが遠心力で分散してしまい貫徹力が落ちるので、弾丸の旋回を最小限にするために翼安定方式が採用されているためである。

現代の対戦車ロケット弾は、特殊な弾頭を搭載しているものもある。 110mm個人携帯対戦車弾に採用されているプローブ付き成形炸薬弾頭は、弾頭先端に長さを調節できるプローブと呼ばれる信管の一部がついておりスタンドオフを変えることによってHEAT指向にもHE指向にもできる。 RPG-7のPG-7VR弾頭は、2つの成形炸薬が1列に並んだタンデム式弾頭を搭載しており爆発反応装甲を無力化できる。

ロケットモーター(ブースター)

撃発当初から作動する推進装置をロケットモーターと呼び、弾薬が投射された後に空中で作動すを開始する推進装置をロケットブースターと呼ぶ。使用される火薬は、主にダブルベース推進薬である。

歴史

第二次世界大戦

第二次世界大戦中の1942年にアメリカ軍が戦線に投入したバズーカが、対戦車ロケット砲の始祖である。これは間もなくドイツ軍に鹵獲され1943年にはパンツァーシュレックとしてコピーされる。これに用いられた代表的な弾薬は、口径8.8cmのR.Pz.B.Gr.4322および4922で、それぞれ150mと180mの射距離を有してした。この弾薬を共用する43式ロケット砲プップヒェンも開発されている。

ベトナム戦争

1945年9月から生産予定となっていたパンツァーファウスト 250 Mは、弾薬に発射薬が取り付けられた再装填可能な対戦車擲弾である。これは戦後ソ連軍によってコピーされRPG-2としてベトナム戦争時に多用された。以後、現代まで東側諸国で多様されているRPG-7はRPG-2の発展型で、射撃時には発射薬のガス圧で発射される無反動砲の一種だが、一定時間後に推力を増強するためにロケットブースターが対戦車ロケットでもある。

バズーカの後継装備品として1963年に開発されたM72 LAWは、使い捨ての発射器に対戦車ロケット弾を1発装填した兵器である。主に西側諸国の対戦車ロケット弾は、使い捨てのAT-4などの軽量化とコストを追求したものと、高価だが良好な命中率を期待できる対戦車ミサイルへと分岐していくこととなる。

現代

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関連項目

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