定期乗車券

出典: Wikipedio


Template:国際化 定期乗車券(ていきじょうしゃけん)とは、鉄道バスなどの公共交通機関において、通勤通学を主に特定の区間を繰り返し乗車する乗客を対象として、一定の期間を区切って発行される乗車券である。一般的に定期券(ていきけん)又は定期(ていき)と略して呼ばれる。本項では日本の定期乗車券を中心に記述する。

目次

概要

定期乗車券の運賃は、券面記載経路を、普通乗車券で有効期間内に1日1往復する場合の額より安価に設定されている。有効期間は発行する事業者によって異なることもあるが、1か月・3か月・6か月のものが多い。また、通学定期券に限り1学期・2学期・3学期の区分で発売している事業者もある(学期定期券)。

利用には、券面記載氏名の本人が使用する場合のみ有効とする記名式<ref>乗り降り自由のフリー乗車券などの一部でも記名式も採用</ref>が原則であるが、事業者によっては乗車時の所持者であれば誰でも有効とする持参人式を認めている場合がある。

日本においては、原則として券面記載経路しか乗車することができず、普通乗車券などで認められている選択乗車などのルールも一部を除き適用されていないが、その経路内の停留所)では、原則として下車や乗車が可能である。しかし、日本国外においては途中下車を認めず、券面表示駅(停留所)で乗降する場合のみ有効とする例もみられる。これは、有効期間内に乗車上限回数を設けたり、乗車を1日1往復(2回乗車)に限定されていたりすることによる。

歴史

定期券の歴史は古く、明治時代から存在したといわれる。 Template:節stub

JR

画像:継続定期券発行機.jpg
JR西日本の定期券自動継続発行機(JR難波駅
JR旅客営業規則において規定されている定期乗車券の種類は、次の4種類である。
  • 通勤定期乗車券
  • 通学定期乗車券
  • 特別車両定期乗車券
  • 特殊均一定期乗車券

利用可能な列車

原則として普通列車<ref>快速列車を含む広義の普通列車</ref>の普通車自由席のみであり、急行特急列車、グリーン車指定席車にはそれに対応する料金を支払っても乗車することができない<ref>したがって、普通列車でも全車指定席の「ムーンライト」シリーズには乗車できない。</ref>。これらの利用には、定期乗車券の有効区間であっても、別途乗車区間に対応する普通乗車券の購入も必要である。ただし、別料金を支払うことで特急列車に乗車できる例外規定が設けられている例が多数ある。それらを次項で示す。

例外規定

  • 特例として区間・列車を限定して特定特急券自由席特急券又は急行券を購入すれば普通車自由席に乗車できる場合がある。21世紀初頭の現在では特急列車が大衆化し、また特急列車が通勤に利用されることが増加していることから、この特例の適用は非常に多くなってきている。
  • 首都圏の一部区間及び瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」では、グリーン券によりグリーン車に乗車することができる<ref>東京圏でのグリーン券の扱いも参照のこと。</ref>。また、「マリンライナー」など指定席を連結している普通・快速列車の一部では、指定席券の追加購入により普通車指定席車両に乗車することができる。
  • ムーンライトながら」の沼津大垣間は、指定席券を購入すれば乗車することができる。
  • 九州旅客鉄道(JR九州)では、対応料金を支払えばグリーン車も含めてすべての特急列車に定期乗車券で乗車することが可能である。また、北海道旅客鉄道(JR北海道)と四国旅客鉄道(JR四国)でも、すべての特急・急行列車の自由席が、定期券と特急券・急行券の組み合わせで乗車できる<ref>いずれも本州直通の寝台特急列車を除く。ただし、JR北海道の「はまなす」は組み合わせ利用可</ref>。

なお、JRでは、発売する駅から有効な定期乗車券のみを発売する<ref>旅客営業規則第20条。無人駅の場合は隣接する有人駅において発売</ref>のが原則であるが、実際には他社駅発着の定期乗車券を発売することもある。鉄道駅みどりの窓口以外では各支社に属する販売センター<ref>鉄道駅とは別にある、法人向けの営業拠点</ref>で発売することもある<ref>社員に定期券を現物支給するために、企業などで一括購入する場合</ref>。

旅客営業規則で規定されている定期券

通勤定期乗車券

主に通勤目的のための定期乗車券であるが、購入時に通勤証明書などを提示する必要はなく、誰でも任意の区間で購入することができる。小児用の通勤定期乗車券もあるが、こちらは学習塾病院に通う際に利用されることがある。

なお、1966年昭和41年)までは通勤定期乗車券の購入には勤務先の証明が必要で、別に勤務先の証明が不要な普通定期乗車券も存在していた。通勤以外にも使えるのに「通勤」と名が付くのはこの名残である。

有効期限は1・3・6か月である。

JRの通勤定期の割引率は他の交通機関と比べると高く、1か月定期で約50%、3か月定期で約55%、6か月定期で約60%である。

通学定期乗車券

児童・生徒・学生の通学のための定期乗車券であり、通勤定期乗車券より運賃が安い。購入時に通学を証明する通学証明書の提示が必要で、販売区間も自宅の最寄駅と学校が指定する最寄駅との間のみに限られる<ref>最寄駅の定義については別項の条件を参照</ref>。また、翌年度の5月1日以降にまたがるものは発行できない<ref>すなわち、3月に発行することも可能</ref>。JRでは大学生<ref>専門学校生を含む。</ref>用・高校生用・中学生用・小学生用の4種類がある。有効期限は通勤定期と同様1・3・6か月である<ref>6か月定期は10月、3か月定期は1月までしか発行できない。</ref>。ただしJR北海道では、学校の休みの日数が道外と大きく異なる事情を考慮して2・4か月の通学定期も設定されている。新学期(特に入学式当日)には新学年の証明書類が必要になるため、新規に窓口で発行しなければならない学生の長蛇の列ができることも珍しくない。また、これらの事情を考慮して輸送機関の職員が学校に出向いて、新入生が入学式終了後に窓口に行かず定期乗車券を購入できるよう販売するケースもある。

高校生用は大学生用の1割引き、中学生用は大学生用の3割引き、小学生用は中学生用の半額の運賃が設定されている。大学生用定期の価格は通常の約30%なので、月10往復程度で元が取れる。なお、3か月定期は1か月定期の5%引き、6か月定期は1か月定期の10%引きの運賃が設定されている。

通学定期乗車券は、卒業に必要な単位取得のための通学のために発行が認められるものであって、課外クラブのために校舎とは別の場所にあるグラウンドに通うようなケースでは発売は認められない<ref>課外クラブは卒業に必要な単位ではない。</ref>。また、購入ができるのはJRに指定された指定学校の生徒などであり、指定学校ではない教育施設<ref>学習塾や一部の専修学校など。いわゆる「1条校」は無条件で指定学校となる。</ref>に通う場合は発売は認められない。なお、放送大学の学生には通学定期券は発行されない。

発売条件についての詳細は、「通学定期乗車券の発売条件」を参照のこと。

運賃が安いだけあって、発売には様々な制限がある。通学定期乗車券の購入ができない場合は通勤定期乗車券を購入することになる。

なお、通学定期乗車券の規定による減収分は鉄道事業者の負担、より正確にいうと割引率の低い他の利用者からの収入で負担しているのが現状で、かつての国鉄ローカル線、ローカル民鉄の経営が破綻したのも通勤利用者が自家用車に転移し、割引率の高い(増収にならない)通学定期乗車券利用者が利用者の主流となっていたことも原因の一つである。

一部の自治体では、公共交通機関の利用促進のために通学定期乗車券に補助金を支出したりするところもある。

特別車両定期乗車券

「グリーン定期券」ともいい、グリーン車の利用を前提にしていることから、あらかじめ利用する区間のグリーン券に相当する金額も合わせて計算されている。なお、グリーン車の連結していない区間を含めて発行することができる。計算方法は、グリーン車利用区間での通勤定期乗車券との差額を利用する区間のグリーン券に相当する金額として全区間の定期乗車券に合算する。有効期間は1か月と3か月のみである。

首都圏では通勤・通学定期乗車券とグリーン券でグリーン車に乗車できるようになったため、満席時や事故などの際に特別料金分の保障がされないグリーン定期券のメリットは「グリーン券を事前購入しなくてよい」という点以外薄れてきている。

なお、東京山手線内相互発着用の運賃表がある。これは、1984年の東京山手線相互発着用の普通運賃表の新設に伴うもので、該当区間が東京・品川間(東海道線、横須賀線)、品川(大崎)・池袋間(湘南新宿ライン)、上野・日暮里間(常磐線)しかない現在、需要は皆無に近いと思われる。

特殊均一定期乗車券

「山手線内均一定期券」が唯一の例である。東京山手線内の全区間に有効であり、山手線環状運転区間、中央本線神田~代々木間及び総武本線秋葉原~御茶ノ水間の各駅間で乗降することが可能な定期乗車券である。有効期間は1か月のみ。発売は東京山手線内駅の「みどりの窓口」又は「定期券発売機」に限られる。運賃は13,860円。これは、「千駄ヶ谷(中央東)御茶ノ水(総武2)秋葉原(東北)東京(東海道)品川(山手1)代々木(中央東)新宿(山手2)日暮里(東北)秋葉原」(41.4km 13,860円)に相当する。なお、Suica定期券での発売はないが、上記経路の例に従えば、ほぼ同一の効力を持つ同額のSuica定期券は発券可能である<ref>ただし、この例では代々木・千駄ヶ谷間の最短経路は乗車できない。</ref>。

その他の定期券

新幹線定期乗車券

遠距離通勤・通学の増加に伴い、新幹線用の通勤定期乗車券「FREX(フレックス)」、通学定期乗車券「FREX(フレックス)パル」(JR東日本・JR東海・JR西日本)、「つばめエクセルパス」(JR九州)が発売されている。ただし、これらは旅客営業規則においては特別企画乗車券(トクトクきっぷ)の扱いである。新幹線の普通車自由席を利用できるため、発売額には乗車区間の定期旅客運賃に加え新幹線自由席特急料金に相当する定期特急料金が加えてある。また、途中の区間において新幹線を利用する定期乗車券も設定可能であるが、この場合、全区間の定期旅客運賃と新幹線乗車区間の新幹線自由席特急料金に相当する額を合算し発売される。例えば、新宿~宝積寺間の乗車券に新幹線を大宮~宇都宮間で利用する定期券も発売できる。

新幹線定期乗車券の所持者が増加したことから、通勤時間帯の新幹線の普通車自由席が通勤列車並みに混雑するようになった。東海道新幹線では朝8時台の「のぞみ」において新横浜~東京間で普通車指定席の空席を定期利用の有無を問わず自由席扱いとする特例措置をとっている。また、新幹線定期乗車券使用者を対象とした普通車指定席やグリーン車への着席を目的とした料金回数券を設定・発売している。詳しくは特別企画乗車券を参照のこと。

特急料金定期券

遠距離通勤・通学は、新幹線沿線のみならず在来線特急列車にもみられる。JR東海を除くJR旅客5社がそれぞれ発売している。北海道旅客鉄道(JR北海道、名称:「かよエール」)・東日本旅客鉄道(JR東日本、名称:「定期券用月間料金券」)の一部区間と、西日本旅客鉄道(JR西日本、名称:「パスカル」「○○○特急料金定期券(○○○は列車名)」)・四国旅客鉄道(JR四国、名称:「快て~き」)・九州旅客鉄道(JR九州、名称:「エクセルパス」)の全特急運転区間において、特急列車の普通車自由席を利用できる料金定期券、又は特急料金相当額を運賃部分に加算した定期乗車券を発売している。料金定期券は、定期乗車券の購入と同時かあるいはすでに所持している定期乗車券を提示し、定期乗車券区間内の特急列車停車駅間の特急料金定期券を購入する形をとる。なお、JR西日本で発売している指定席特急料金定期券「マイシート」は定期乗車券と組み合わせて有効期間中普通車のあらかじめ指定した座席を利用できる。

2駅併用定期券

JR北海道で発売されている、分岐の外方で近隣する2駅のどちらでも乗降可能な定期乗車券。対象は、新札幌厚別白石以西の各駅間と、琴似八軒桑園以東の各駅間(新札幌・厚別~琴似・八軒という両方とも2駅併用にもできる)。運賃は対象の2駅のうち高額となる駅の定期券を購入した場合に適用される。例えば、白石~八軒・琴似の場合、白石~琴似間(通勤1カ月6,780円)ではなく、白石~八軒間(通勤1カ月7,130円)を購入しなければ2駅併用とはならない。なお、区間がKitaca利用可能エリア内でも磁気式でなければ2駅併用とはならない。

詳細は総販 (システム)を参照。

定期入場券

駅構内や改札内への入場・通行ができる「定期入場券」がある。ただし、発行は駅構内に自由通路がない場合、また駅弁を売る業者など駅構内に定期的に立ち入る必要がある場合に限られる<ref>業者の場合は、自社の従業員証の提示でこれに代えることがほとんどである。</ref>。例えば、JR東日本の電車特定区間内の駅では東京駅高尾駅のみで発売されている。かつては、駅舎改築前の国分寺駅品川駅でも発売されていた。

なお、定期乗車券を入場券代わりに使用することはできない。駅構内への入場には「乗車船の目的」と「乗車船以外の目的」の二つに分けられ、前者は乗車券類、後者は入場券が必要となる<ref>JRの旅客営業規則第294条には「次の各号に掲げる者が、乗車船以外の目的で乗降場に入場しようとする場合は、入場券を購入し、これを所持しなければならない。(後略)」と規定されている。</ref>。定期乗車券は乗車券の一種であり、乗車券は乗車券類に含まれるため、「乗車船の目的」に限り使用でき、「乗車船以外の目的」(送迎等の入場目的)には使用できないのである<ref>旅客営業規則第147条第6項には「乗車券類は、乗車船以外の目的で乗降場に入出する場合には、使用することができない。」という規定があり、他の多くの鉄道事業者においても同様の規定がある。</ref>。SuicaなどのICカード式乗車券についても同様で、これらもあくまで乗車券類であることから、入場券代わりに使用することはできない。

特殊な割引制度

JRは、かつては公共企業体日本国有鉄道(国鉄)であったため、民鉄にはない種類の割引が存在する。

特定者割引定期券
通学定期券の種類
  • 通常、一般民鉄では大学生でも中学生でも運賃は同一であるが、JRの場合(新幹線定期券は除く)、大学・高校・中学と異なる運賃が設定されている<ref>大学生の運賃を基準とした場合、高校生は90%、中学生は70%</ref>。
  • このため、JR線との連絡定期券を発行している鉄道事業者がJR線分の発売区分を誤って発券(学生の区分をすべて大学生扱い)し、過剰に運賃を収受していた事例が2008年になって発覚した。件数・過徴収期間・過徴収額は記録が残っていないため把握が難しいという。

長距離区間の定期券の購入について

JRの定期乗車券は、新幹線の「フレックス」を除く在来線で乗車区間が100kmを超える区間を購入する場合、駅長の承認が必要となる。また、乗車区間が200kmを超える場合は、購入理由を記載した書面を提出しなければならない。

定期券の所持による権利制限

JRの旅客営業取扱基準規程第151条により、定期券を所持している人は分岐駅通過列車に対する区間外乗車の取り扱いの特例の対象から除外されている。

職務乗車証

社員が業務の必要により、路線を使って移動する場合に使用する社員証型の“定期券”。機能は全線定期と同一。ただしグループを跨る移動は出来ない。JR各社によっては階級に応じて利用できるエリアが異なってくる。

その他の日本の鉄道

JR以外の私鉄地下鉄第三セクター鉄道について

概要

基本的には以下の2種類が発行される場合が多い。JRと同様に定期乗車券で利用可能なのは、原則として特別料金不要の列車の普通車のみであるが、有料で運行される特急急行列車と特別席(指定席)については、それに対応する料金を支払えば乗車できる場合が多い。

  • 愛知環状鉄道のように、事業者によっては学校の就学期間に合わせて4月上旬~7月中旬という期間を設定している場合もある。また、名古屋市交通局においては通学定期券に代えて、学生であれば通学証明書が不要でどんな区間でも購入できる「学生定期券」を発売している。

また、定期乗車券の一種で、ある一定の区間において一定の金額で区切って発行する均一定期乗車券がある。東京地下鉄(東京メトロ)や東京都交通局都営地下鉄)などが発行する「全線定期乗車券」もこの一種である。

変わり種としては、肥薩おれんじ鉄道が65歳以上の高齢者を対象に割引率を通学定期乗車券並みに引き上げた「いきいきシルバー定期」がある。また、2006年7月限定で平成筑豊鉄道は1か月分の定期乗車券などが当たる懸賞つき定期乗車券を発売していた。

なお、事業者によって定期券の割引率が異なるが、首都圏の大手民鉄の場合、普通運賃が低い水準にあるので通勤定期の場合はJRよりも割引率が低く40%弱(1か月に約19往復しないと元が取れない)が多い。東京メトロや都営地下鉄に至っては30%程度(1か月に約21往復しないと元が取れない)となっている。これに対して、通学定期は割引率が高く77%~80%前後(1か月に約7往復すれば元が取れる)の事業者が多い。東京メトロや都営地下鉄の割引率は約65%(1か月に約10往復すれば元が取れる)である。関西の大手民鉄でも通学定期の割引率は高く、中でも近鉄の場合は66km以上の区間(鶴橋~名張など)については1か月にわずか3往復するだけで元が取れるような設定になっている。

地方の民鉄の場合は割引率が低い傾向にあり、バス並みの割引率(通勤定期で約30%)しかない事業者もあって、定期券を購入することが返って損する場合が生じる可能性がある。首都圏では北総鉄道東葉高速鉄道での通勤定期割引率が30%である。最近はこの点を考慮して平日のみ利用可能な定期券を発売している事業者(近江鉄道など)もある。

発売拠点については、JRのように各駅では販売しておらず、主要な駅に集約されている(特に都市部の大手私鉄地下鉄。ただし、名古屋鉄道〈名鉄〉のようにすべての有人駅で発売しているケースもある。)。このため、定期券を発売していない駅からの定期券を購入する場合、乗車駅から発売駅までの普通乗車券を購入した上で乗車券に証明を受け、定期券発売窓口で定期券の購入時に発売駅までの乗車券を払い戻してもらい、帰りの無料乗車券(乗車票)をもらって乗車駅まで戻る形となる。

連絡定期券・共通定期券

事業者が自社の路線から乗り継ぎ可能な他事業者の路線(バス・地下鉄路面電車などを含む)との「連絡定期券」を発行する場合がある。通常は出発地から目的地までの区間で利用する事業者数分の定期券が必要となるが、連絡定期券を利用することにより複数枚の定期券を1枚にまとめることができる<ref>例えば、バス事業者A~鉄道事業者B~鉄道事業者Cのように乗り継ぐ場合、事業者によってA区間からC区間までの連絡定期券が発行されていれば、通常は定期券が3枚必要であるが、1枚の連絡定期券にまとめることができる。</ref>。発行可能な対象区間は事業者ごとに異なり、他社の全線を対象とする場合や他社の一部区間のみを対象とする場合がある。また、運賃も利用する区間の定期旅客運賃を単純に合算した額とする場合やこの合算した額から一定額を割り引いたものを運賃とする場合などがある。利用区間と連絡定期券の発行可能な区間が合致しない場合(もしくは発行区間が重複する場合)は、定期乗車券を本来の枚数より減らすこと自体は可能であるが、複数枚となる<ref>例えば、バス事業者A~鉄道事業者B~鉄道事業者Cのうち、Aの区間とBの区間、もしくはBの区間とCの区間の連絡定期券が事業者によって発行されている場合、通常は定期券が3枚必要であるが、Aの区間とBの区間をまとめた連絡定期券1枚とCの区間の定期券1枚の計2枚、もしくはAの区間の定期券1枚とBの区間とCの区間をまとめた連絡定期券1枚の計2枚にまとめることができる。</ref>。なお、連絡定期券は利用区間に関連するすべての事業者が発行している訳ではない<ref>例えば、近畿日本鉄道は自社線の一部の駅からJR西日本を経由して阪急電鉄など他社線へ連絡する連絡定期券を発行しているが、阪急電鉄やJR西日本でこれと同一の区間を設定した連絡定期券を購入することはできない。</ref><ref>西日本鉄道福岡市交通局の連絡定期券の場合、区間制定期券は西鉄の定期券売場でも地下鉄の定期券売場でも取り扱っているが、地下鉄全線定期券を含む場合は、西鉄での取り扱いはなく地下鉄窓口でのみの発券である。</ref>。このほかにも、特定の条件に合致した場合のみ他社線で乗降が可能となる定期券を発行するケースもある<ref>具体例として、阪急電鉄・阪神電気鉄道神戸高速鉄道の3社間でのケースがある。阪急・阪神と神戸高速鉄道は相互直通運転を行っており、磁気式の通勤定期乗車券で梅田~三宮間を含む場合は阪急・阪神双方の梅田駅で、また三宮~高速神戸間を含む場合は阪急・阪神双方の三宮駅から神戸高速鉄道の高速神戸駅までの各駅(花隈・西元町・元町)でそれぞれ乗降が可能とする共通利用制度を1996年から実施している。発行について特別な手数料や手続きは必要なく、設定された条件をクリアしている場合に自動的に適用されるという性質のものである。</ref>。

座席指定定期券

名古屋鉄道では、特急特別車ミューの座席について、利用者があらかじめ定めた1往復の列車の座席を1か月(平日ダイヤ運行日のみ)確保する「ミュー定期券」と称するものが存在する。1か月13,000円で、有効期間は毎月1日~末日の1か月しかない。

座席指定は券面記載の列車・座席にしか適用されないが、ミュー定期券を所持していれば当該区間内であれば休日ダイヤ運行日も含めて券面表示以外の列車の特別車にも追加料金なしで乗車できる。ただし、座席の指定がないため、座席の指定を受けた他の旅客が乗車してきた場合は席を譲らなければならない。

なお、ミュー定期券利用区間を含む通勤・通学定期乗車券を所有する旅客のみに対して発売され、乗車する際も定期券とミュー定期券の2枚を組み合わせて使わなければならない。また、定期券以外の乗車券とミュー定期券の併用はできない。

南海電気鉄道では、「ラピート」と「サザン」の全列車と「りんかん」1~7・9・11・13号の座席を1か月単位で購入できる定期特別急行券・定期座席指定券がある。特急券と座席指定券のみなので、乗車する際には他の乗車券類が必要となる。詳しくは当該項目を参照のこと。

路線バス

定期乗車券の種類は鉄道用とほぼ同じである。だが、バスの定期乗車券は電車の定期乗車券のように磁気が塗られておらず、乗務員に定期乗車券を提示するいう形になっている<ref>ただし、近年ではIC乗車券カードを導入した事業者を中心にIC定期乗車券に切り替える事業者も出てきている。</ref>。一般的に通勤<ref>「普通定期」と称する事業者もある。</ref>・通学・小児及び各障害者定期券が発行されている。そのため、通常の定期券についての解説は省略する。それに対し、バス以外の公共交通ではあまり見られない種類の定期乗車券が一部事業者から発行されている。

他社局共通定期券

通常の定期券は、発行社局及びその一部グループのみの使用に限られる。そのため、同じ路線・区間を2社局以上で共同運行している場合、通常の定期乗車券ではA社運行の便には乗車できるが、B社運行の便には乗車できないといった問題が発生してしまう。その問題を解消するため、発行社局だけでなく共同運行先社局のバスにも乗車できるように共通定期券が発行されることがある<ref>なお、「共通定期券」などの定期券を発行せず、通常の定期乗車券で相互利用可能としている社・局、区間も存在している。</ref>。

均一区間定期券

通常、A停留所~B停留所として発行しているものを均一運賃区間内(例:210円区間)のすべての路線に乗車可能としているものである<ref>均一区間のみのバス路線を持っている事業者の中には、全社局全線で利用できるタイプの定期乗車券を発行している場合もある。</ref>。

地区定期券

上記の均一区間定期券に類似しているが、均一区間内のみという区分けをせずに、ある一定のエリアを「XX地区」という形で設定し、そのエリア内で乗車可能としているものである。京阪バスなどで採用。同社では一部エリアでさらに安くした代わりに範囲を狭くした「にこにこミニパス」も1992年より導入している。西武バスではひばりヶ丘駅田無駅片山地区をメインに利用出来る「ひばり・田無フリー定期券」を発売している。

環境定期券

マイカー台数の削減や地球環境保全を目的に、1997年神奈川中央交通が開始したのをきっかけに、翌1998年には東京都交通局都営バス)、京阪宇治交通(現在廃止)、その翌1999年には京阪バスなどでも採用され、近年では都市部の多くの社・局が採用しているサービスである。

これは、「環境定期」という乗車券を別に発行する訳ではなく、普段使用している定期乗車券を乗務員に提示することによって定期乗車券所持者以外の家族も利用できるか割引措置を受けられるという制度で、以下の2つがある。

  • 1.定期区間外の発行者の運行する区間を割引運賃(100円程度。事業者により異なる。また小児半額としている事業者もある。)で乗車することが可能となる。
  • 2.定期区間内のみの利用で、定期乗車券所有者に同伴者(ほとんどは同居親族の同伴者)がいる場合、その同伴者も割引運賃で乗車することができるようにしている社・局が多い。意味合いとしては、定期乗車券利用者に対する割引サービスと捉えられる。

一般的に利用可能な日は土曜・休日・長大連休期間(GW旧盆年末年始時期)などの土曜・休日ダイヤ実施日で、利用可能な定期券も通勤定期乗車券のみが多いが、神奈川中央交通など一部社局では通学定期乗車券も利用できる。なお、このサービスはその地区や社局によって受けられるサービスが大幅に違う場合がある。

この定期券制度は地方鉄道などでも採用され始めている。

全線定期券

東急バスなど一部社局が発行しているもので、運賃や区間に関わらず一定の定期旅客運賃のみで全線が自由に使用できる定期券である。

  • 西鉄バスなどの一部では、特定の区域を一定期間自由に乗降できる定期乗車券を発売している。
  • 京阪バスでは、大阪府下及び京都府八幡市の路線が、一部の例外を除き、乗降できる定期乗車券「ワイド定期券」を270円区間定期券相当の発売額で発行している。これらも全線定期券と類似している部分もある。

持参人式定期券

定期券の券面氏名欄を「持参人様」表記や無記名にすることによって、定期券を持参した人が定期券として使用できる乗車券である。環境定期券とは違い、通勤定期以外で持参人定期を発行している社局はみられない。

  • 京阪バスでは通勤定期券は、1981年より持参人式となった。これが日本最初とは特定できないものの、日本ではかなり早い事例である。当時存在していた京阪宇治交通でも1992年4月1日以降すべて持参人方式となっている。
  • 東京都交通局(都営バス)の都区内通勤定期券の券面には購入者名が記載されているが、1992年2月より持参人式を採用しており、購入者以外であっても1乗車につき持参人1人が利用することができる。また、1か月と5日に限り有効の定額定期券(1万円)も持参人式である。
  • 大阪市交通局大阪市営バス大阪市営地下鉄)で発売されている定期券の種類の中で、共通全線定期券は持参人方式で、文字通り、全線(ニュートラムも含む)で利用可能となっている。
  • 札幌市交通局の通勤定期券は、記名はされているが、磁気式では持参人が使用でき、SAPICA定期券では記名人以外の使用はできない。
  • 遠州鉄道では、遠鉄バス遠鉄電車全線(空港直行バスは除く)が利用できる通勤ワイドフリー定期券に限り持参人式となっている。
  • 名古屋市交通局名古屋市営バス)の通勤定期券については、2006年4月1日から持参人方式で全線(ただし、共同運行区間の名鉄バスゆとりーとラインは除く。)で利用可能となっている。

複数区間併合定期券

従来A駅~B停留所のみ利用可能だった定期券をA駅~B停留所とC駅~B停留所の2区間を1枚の定期券で乗車可能としたものである<ref>発行社局が少ない上に一般的な定期券呼称がないため、ここでは便宜上「複数区間併合定期券」と表記した。</ref>。

通勤・通学定期券

仕事のかたわら定時制・通信制の学校に通う場合などに、自宅・勤務先・学校の3か所の最寄り停留所を結んで発売されるものである。公営交通では一部の路面電車地下鉄も含めて制度化されている事業者が多い。「三角定期券」とも呼ばれる。

片道定期券

片道しか利用できないことを条件に運賃を割り引くものである。往復で利用できる定期乗車券の半額としている場合が多い。

契約定期券

事業者と沿線の企業が契約し、退職や異動などの特別な場合を除いて払い戻しをしないことを条件に、通勤定期券よりも割安な運賃で一括して発売するものである。勤務先の証明が必要であった時代の通勤定期券に近いものといえる。企業定期券・団体定期券と呼んでいる事業者もある。

また、筑波大学では、キャンパス内を走るバスである関東鉄道から定期券を一括購入し、それを学生や教職員などに販売することで学内の交通システムとする、筑波大学キャンパス交通システム事業を行っている。詳しくは当該項目を参照のこと。

深夜バス乗車時の特例

運賃割増で運行される深夜バスにおいては、普通運賃と深夜運賃の差額(通常、普通運賃と同額)を払うだけで乗車可能としている事業者が多い。

老齢者向け定期券類

主に高齢~老齢者を対象にして、その事業者のすべての路線を一定期間自由に乗車できる定期乗車券を発売している事業者もある。

  • 例1:東京都発行の「東京都シルバーパス」は、東京都内のほとんどの路線が事業者に関わらず乗車可能となっている。なお、このシルバーパスは年収によって値段が変動される上、東京都内に住民票を置いている者のみが利用できる。
  • 例2:名古屋市営バスにおいては、2008年4月1日現在で60歳以上の高齢者に3か月1万円で市バス全線乗り放題となる「特得60パス」を発売している。購入時に年齢を確認できる公的証明書の提示が必要である。
  • 例3:福島交通発行の「フリーパス」は、65歳以上の人であれば一定料金を支払えば同社一般路線バス(市町村生活バスは除く)全線が乗車可能である。購入時に本人の顔写真が必要。
  • 例4:尼崎市営バスにおいては、65歳以上の高齢者に1ヶ月3,000円、12ヶ月30,000円で市バス全線乗り放題となる「寿定期」を発売している(2009年4月1日現在/他に3ヶ月券、6ヶ月券がある)。年度ごとの初回購入時に年齢を確認できる公的証明書の提示が必要である。

定期回数券

1ヶ月の定期券を約50枚の回数券方式にした形態の定期券である。降車時には氏名を記載した表紙乗務員に提示の上1枚を運賃箱に投入する方式である。京阪バスや京阪宇治交通の一部地区(後者は会社自体の解散により廃止)などで採用(京阪バスでの定期回数券の名称は「特別定期券」となっている)。

その他

あまり例がないが、企画定期券が発行されている事例もある。

  • 福島交通では、土・日曜日・祝日と平日の10〜17時にバスを降車する場合に限り、一般路線バス(市町村生活バスを除く)全線で乗車可能な専用定期券「ショッピングパス」を発売している。全線定期券とほぼ同趣旨の定期券であるが、利用範囲が比較的限定されている点が差異として挙げられる。また、同社の通勤バス定期券を同じ職場などの団体が5名以上で購入する場合、元来の定期券代からさらに5%割り引かれる「企業定期券」が発売される。この場合、定期券の購入方法手段によってはさらに安く購入できるという「システム上のメリット」とも捉えられる。

日本一高額な路線バス定期券は、奈良交通八木駅-新宮駅間の通勤6か月定期券(92万8260円)である。実際に発売可能かはともかく<ref>片道6時間半かかり、新宮駅5:51→12:21八木駅13:45→20:14新宮駅の便を利用しない限り、その日の内に両停留所間を往復できない</ref>同社のWebからは定期券料金を算出することが可能である<ref>検索結果の保存画面 http://s04.megalodon.jp/2009-0401-2306-25/jikoku.narakotsu.co.jp/form/asp/ejhr0100.asp?dia=1&fromcdfare=1388&tocdfare=2120&fromcd=-7&tocd=2120&keito=300013&basefare=5250&area=1,5&kukai_</ref>。

  • 京阪バスでは、かつて設定されていたくるっとBUSにおいて、専用定期券「くるっとマンスリーパス」を通常定期運賃9,240円相当の区間を3,000円で発行していた。ただし、乗車可能なバスはくるっとBUS全便と一部指定運行経路で一部の時間帯のみ乗車可能なものであったが、くるっとBUS廃止によりこの定期券も廃止となっている。

割引率

バスの通勤定期の割引率は30%前後の事業者が多く、1か月当たり約20往復しないと元が取れない場合がある<ref>ただし、直通バスのない区間で同一事業者のバスを乗り継ぐ場合は、運賃の通算や乗り継ぎ運賃の設定があるためこの限りではない。</ref>。よって、割引率が高いバスカード類が発行されている地区では、定期代がバスカード利用時に比べて上回る場合がある。

有効期間

有効期間は一部の事業者に6か月のものがあるが、ほとんどの事業者は1か月と3か月のみである。京都市営バスでは通勤定期券に1年間有効なものも存在する。なお、通学定期券に6か月が設定されていない事業者もある。京阪宇治バスや京阪バス、西武バスなどでは通学定期券に限り学期別定期券が発行されている。これは1学期・2学期・3学期期間のみ有効な定期券である<ref>学期日数換算は、平均的な期間で算出</ref>。関東バスでは、1か月又は3か月通学定期券に端数日を付加して発売する定期券がある<ref>例:4月8日〜7月7日通用の定期券に、7月8日〜20日の日数を付加して発売することにより、学期中全日の定期券使用を可能とする。</ref>。また、尼崎市営バスや国際興業バスでは、通学定期券に前述の学期別定期券のほか、4月1日~翌年3月31日を有効期間とする年度定期券がある<ref>発行日にかかわらず有効期限は3月31日に設定されている。</ref>。

リムジンバス

リムジンバスにおいても定期乗車券を発行している例もある。京阪バスでは、かつて設定されていた松井山手・枚方~伊丹空港線において1か月定期券と3か月定期券を発行していた。

高速バス

高速バスにおいても定期乗車券を発行している例もある。

京成バス日東交通鴨川日東バスでは、東京〜鴨川・木更津・君津線において1か月定期券と3か月定期券を発行している。
福島交通新常磐交通会津乗合自動車では、会津若松 - 郡山 - いわき線において定期券の発売が行なわれている。

定期乗車券の払い戻し

Template:Main

分割購入

乗車券を購入する場合、運賃に距離逓減制を採用している場合には乗車券の分割購入を行うと全区間非分割の運賃(通しの運賃)より通常は高くなる。しかし、経路の一部区間に割安の特定運賃を採用している場合などにおいては、全区間を分割しないで購入するよりも特定の地点で分割して購入する方が運賃計算上割安になる事例が存在する(非分割の場合は全区間で特定運賃が非適用になるため)。

大都市近郊のJRにおいて、競合する私鉄が存在する区間(特定運賃区間)とそれ以外の区間を通して移動する場合に、特定運賃区間分とそれ以外の区間分に分けた運賃の合算の方が全区間を分割しないで乗車券を購入するよりも安い場合が多数あり、上記の事例として挙げられる。

分割購入は合法的であり、規約に反せず、かつ利用者も割安となる手法であるが、分割地点を必ず経由する必要があることから、突発的な状況により選択された経路を経由できない場合では別途通常運賃を要することとなる<ref>ただし、JR定期券の場合は、分割しない場合(通しの場合)も、原則として購入時に選択した一つの経路固定(大回り乗車は不可)であり、ごく一部の特定区間においてのみ使用時に複数の経路が選択できることから、分割定期にしなくても、多くの場合は上記の不利益を回避できない。</ref>。

SuicaICOCAPASMOなどのIC乗車券では2枚以上の定期券情報を載せることが可能であり、特にICOCAでは上記のような区間を分割しての購入が可能である。Suicaについても1か所以上交点があり、1枚で発行できない経路(T・Y・X状になる)であれば、二区間定期券という形で発行が可能である。

ただし、一部区間に長期間の不通が生じた場合など、分割購入していると不利益を被るリスクもある<ref>例えば、A駅⇔B駅⇔C駅を利用するにあたって[A駅⇔B駅]と[B駅⇔C駅]に分割して定期券を購入しているとする。もし、B駅~C駅間が事故や災害で不通になったとすると救済措置(有効期間延長、無手数料での払い戻し、他の交通機関への振替乗車など)が認められるのは[B駅⇔C駅]の定期券だけになる。</ref>。

これとは逆に、バスにおいて全線定期乗車券を発行している事業者では分割購入を使用しない方が安くなる場合もある。一例を挙げると、A地点⇔B地点までバス、B地点⇔C地点まで鉄道、C地点⇔D地点までバスを利用するとする。この場合、バスの全線定期乗車券の利用範囲にA地点⇔B地点及びC地点⇔D地点の両方が含まれていれば各地点間の定期券の分割購入よりも全線定期券の購入が安くなる事例も地区により発生している。

その他の各国の事例

日本以外では定期乗車券制度は一般的ではなく、ごく限られた国にしか存在しない。

中華民国台湾

一部バス会社や、台湾鉄路管理局管轄の路線に定期券が存在する。日本とは異なり、一部を除いて乗車回数が制限されており、日本における回数乗車券と同じような乗車券である。

台湾鉄路管理局の場合、磁気券、非磁気券(自動改札機未設置駅発売)の2種類があり、有効期限は共に1ヶ月(乗車回数制限なし)である。かつては、券種によって有効期限が異なっており、磁気券は2ヶ月(50回制限)と、5ヶ月(150回制限)の2種類が発売されていた。その後、非磁気券と効力を同一にした。定期券では、列車種別に関係なく、全ての列車に乗車することが出来る(団体、観光列車、太魯閣号除く)。無記名、持参人式である。

バスでは、バス会社によって、発売券種や乗車回数制限、有効期限が異なる。鉄道とは異なり、多くは記名式である。

大韓民国

韓国鉄道公社の中長距離列車、首都圏電鉄KORAIL空港鉄道釜山地下鉄において定期券が存在する。基本的に1ヶ月定期券のみの発行となるが、韓国鉄道に限り10、20日券も存在する。

台湾と同様の乗車回数制限があり、首都圏電鉄、釜山地下鉄が60回、空港鉄道が55回となっている。首都圏電鉄、釜山地下鉄のものは、区間が指定されていない発駅フリータイプとなっている。

韓国鉄道の中長距離列車の定期券は上記とは異なり、1日2回の回数制限が付く。また「週中定期券」の場合、土日祝日は利用できない。一般用と青少年用(学生用ではない)の2種類があり、列車種別ごとに発売される。

イングランド

ロンドンおよび、その近郊では定期乗車券のかわりにトラベルカートがある。最大の特徴は特定の乗車駅 、降車駅、乗車区間が指定されないかわりに、ゾーン制で値段が決まる点である。中心部をゾーン1として、そこから放射線状にひろがり、ドーナッツのような形でゾーン2、ゾーン3などと決まっている。

さらに、地下鉄に限らずバス、ゾーン内にある路面電車や他の一部の電車にも乗車可能である。 <ref>http://www.tfl.gov.uk/tickets/faresandtickets/10628.aspx(英語)</ref>

香港中華人民共和国・香港特別行政区)

香港MTRと合併する以前の九広鉄路公司路線である東鐵線および西鐵線、また連絡バスとLRTに限定した一ヶ月間有効パスが存在するが、定期券という形ではなく、ICカード「オクトパス」(八達通)に定期利用情報を書き込むタイプのものである。 それ以外の区間においては定期乗車券制度自体が存在しないが、「オクトパス」利用者については、現金利用よりも運賃が優遇される制度となっている。 <ref>http://www.mtr.com.hk/eng/whatsnew/images/monthly_day_pass.pdf</ref>

シンガポール

MRT、LRT、バス全路線が期間中無制限に利用できる「エンハンスト・シーズンパス」と、バスは無制限だが鉄道の利用が1日4乗車に制限される「ベーシック・シーズンパス」の2種類があり、価格が異なる。定期券という形ではなく、ICカード「Ez-link」に定期利用情報を書き込むタイプのものである<ref>http://www.ezlink.com.sg/consumer/consumer_ispabout.jsp</ref>。 ただし、価格が190SGD(エンハンスト・1ヶ月)と比較的高額であり、長距離高頻度利用者でなければ、定期契約でなく通常のEz-Linkカードに入金して利用した方が月額ベースであっても廉価となることが多い<ref>これは、シンガポールの運賃制度の都合上、乗り継ぎ割引制度が充実していることや、2010年7月3日から一斉導入される総距離方式による運賃制度によるさらなる運賃低減(一連の旅程で最大運賃が2ドル10セント程度となる見込み)の影響が大きい。</ref>。

脚注・出典

Template:脚注ヘルプ Template:Reflist

関連項目

個人用ツール