太陽光発電
出典: Wikipedio
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太陽光発電(たいようこうはつでん、Photovoltaic power generation)は、太陽電池を利用し、太陽光のエネルギーを直接的に電力に変換する発電方式である。ソーラー発電とも呼ばれる。再生可能エネルギーの一種であり、太陽エネルギー利用の一形態である。
導入費用が高めな代わりに、昼間の電力需要ピークを緩和し、温室効果ガス排出量を削減できるなどの特長を有する。近年の競争によって性能が向上し、設置や保守が容易である等の利点や、低炭素社会の成長産業としての将来性を買われ、需要が拡大している。 Template:右 この項では、主に発電方式としての太陽光発電について述べる。発電の原理や太陽電池の種類などについては、「太陽電池」の項を併せて参照されたい。
目次 |
特徴
太陽光発電は昼間のみ発電するなど、従来の集中型電源とは様々な点で異なる特徴を持つ。また再生可能エネルギーの一種であり、エネルギー・環境面でのメリットのほか、経済的なメリットも有する。欠点は商用電源として導入コストが比較的高いことであり、価格低減や普及促進の政策を採る国が多い。一般に、下記のような長所や短所を有する。
利点・特徴
- 装置に可動部分が無いものがほとんどで、機械的にメンテナンスフリーである。
- 分散型電源のため、災害などの有事における影響範囲を小さく抑えられ、非常用の電源となりうる。
- 輸出産業として経済・産業面での利益が見込める。
- 構成材料の大部分がリサイクル可能で、原子力発電のように放射性廃棄物になることもない。
- 他の電力施設と比較して、小規模でも効率が低下しないため、任意の規模で利用できる。
- 需要地に近接して設置できるため、送電のコストや損失を低減できる。
- 原子力・火力等の発電と比較して、冷却水・廃棄物・排気などの発生がない。
- 建築物の屋根・壁面にも設置できるため、土地を占有せずに設置することも可能。水力・原子力・火力などの発電方式と比較して設置要件が少ない。
- 太陽光を利用する再生可能エネルギーであり、化石燃料に依存しない。
- 発電量あたりの温室効果ガスの排出量が比較的少ない。
- 出力ピークが昼間電力需要ピークと重なり、需要ピーク電力の削減に効果がある。
- 設置国のエネルギー自給率を向上させる。
欠点・課題
- 2007年時点で電気的・機械的部品の寿命と総発電量を用いて計算した場合、発電電力量当たりのコストが他の発電方法に比べて2〜3倍と割高。
- 発電電力が天候に左右される(曇天・雨天時、パネルに積雪した場合は発電量が低下する)。
- 夜間は発電できず、蓄電性もない。
- 太陽光利用のため、設置面積当たりの発電電力量が既存の発電方式に比べて低い。
発電可能な量
資源量
太陽から地球全体に照射されている光エネルギーは膨大で、地上で実際に利用可能な量でも世界のエネルギー消費量の約50倍と見積もられている<ref name="taiyoukouhatsudenkougaku">山田興一・小宮山宏「太陽光発電工学」ISBN 4-8222-8148-5</ref>。たとえばゴビ砂漠に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られる計算になる<ref name="NEDOkaisetsu">太陽光発電って何だろう(NEDO)</ref>。日本においても、需要より遙かに多い量を置けるだけの場所があると見積もられている。
太陽光発電システムの生産に必要な原料も基本的に豊富であり、少なくとも2050年頃までに予測される需要は十分に満たせるとされる<ref name="NREL_FAQ_MATERIALS">PV FAQs:Will we have enough materials for energy-significant PV production?,米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL), DOE/GO-102004-1834, January 2004</ref>。シリコンを用いる太陽電池では、資源量は事実上無限とされる。またシリコンを用いない太陽電池についてはインジウムなどの資源が将来的に制約になる可能性があるが、技術的に使用量を節約することで2050年以降も利用可能ではないかと見られている<ref name="NREL_FAQ_MATERIALS"/>。なお、太陽電池用シリコン原料の供給は2008年までは逼迫して価格も高止まりしていたが、各社の増産が追いつくことで2009年からは価格の低下が予測されている<ref name="greentech_SiPrice">New Energy Finance Predicts 43% Solar Silicon Price Drop, greentechmedia, 18 August 2008</ref>。太陽電池専用のシリコン原料(ソーラーグレードシリコン)の生産技術も様々なものが実用化されており、精製に必要なエネルギーやコストも大幅に削減されると見られている。
設置可能な場所
太陽光発電は、設置する場所の制約が少ないのが特徴であり、腕時計から人工衛星まで様々な場所で用いられる。
地上に直接設置することも可能であるが、太陽光を十分に受けることができ、パネルの重量に耐えることができる場所であれば屋根や壁など建造物の様々な場所に設置が可能である<ref name="JPEA_BIPV_example">公共施設における導入事例(JPEA)</ref><ref name="PVPS_Gallery">Photo Gallery of PV-installations (IEA PVPS)</ref>。また近年は軽量で柔軟なフレキシブル型太陽電池も開発されており、取り付けの自由度が高まっている<ref name="Fuji_Flexible">フレキシブルなアモルファスシリコン太陽電池の例(富士電機システムズ株式会社 F-Wave)</ref>。
日本国内で導入可能な規模、導入効果の目安
太陽光発電は集中型発電所などに比べれば比較的大きな設置面積を必要とするが、日本においても設置面積は不足せず、潜在的には必要量よりも桁違いに多い設備量(7984GWp = 約8TWp分)が導入可能と見積もられている。このため太陽光発電の導入量は、安定電力供給の電源構成上の観点から決まるとされる<ref name="Sansoken_JapanCapacity">日本で導入できる量(産業技術総合研究所)</ref>。そのような観点から導入可能な設備量は102GWp~202GWp程度と言われる。その中では、建造物へのソーラーパネル設置により期待される導入量が多く、積極的に開発を進めた場合の将来の導入可能量は戸建住宅53GWp(ギガワットピーク)、集合住宅22GWp、大型産業施設53GWp、公共施設14GWp、その他が60GWpなどとなっている<ref name="NEDO_PV_CAPACITY">2030年頃までの技術発展を想定したときの国内導入可能量(MW)(NEDO 新エネルギー関連データ集 平成17年度版)</ref>。 太陽光発電の累計導入設備量が100GWp(=1億kWp)になると、その発電量は日本の年間総発電量の約10%に相当する(200GWpで約20%、8TWpで8倍の計算)。
世界的に見ると、日本における平均年間日照量は最も日照の多い地域の半分程度である。アメリカ合衆国の平均とほぼ同等であり、また導入量世界一のドイツよりは多い(右上図参照)。国内で見ると、冬期に晴天が少なく積雪の多い日本海側では日照量・発電量が少なく、太平洋側で多くなる<ref name="AIST_Hatsudenryo">実環境における発電量 (産業技術総合研究所)</ref>。
温室効果ガス(GHG)の排出量とエネルギー収支
太陽光発電のGHG排出量は化石燃料電源の排出量より格段に少なく、利用することでGHG排出量を削減できる<ref name="Sansoken_PV_Emission">温室効果ガス排出量の削減(産業技術総合研究所)</ref>。またEPT(後述)やエネルギー収支の点でも実用水準であるとされる<ref name="Sansoken_PV_EPT">太陽光発電のエネルギー収支(産業技術総合研究所)</ref>。
主な影響要因
太陽光発電の発電電力当たりのGHG排出量や投入エネルギー量は、システム製造工程と、設置環境において発電できる量でほぼ決まる。運転時は燃料を必要とせず、GHGを排出しない<ref name="Sansoken_PV_Emission"/>。メンテナンスや廃棄時に排出するGHGや投入エネルギー量も比較的少ない<ref name="NEDO100012583"/>。
- システム製造時のGHG排出量や投入エネルギー量は、システムに用いる太陽電池の型や、量産に用いる技術、量産規模などに影響される。一般に単結晶シリコン型が最も多く、これに多結晶シリコン型が続く<ref name="NEDO100012583"/>。薄膜型(アモルファス、CdTe、CIGS、積層型など)は比較的少ない。また生産規模の影響については、例えば年間生産量が10MWから1GWになると、設備容量あたりの投入エネルギー量が半分以下になると計算されている<ref name="taiyoukouhatsudenkougaku"/>。
- 実際の設置地域で寿命までに発電できる量は日照時間や温度などの影響を受ける。緯度や気候のデータ、過去の実績などから大まかな予測が可能である<ref name="Sansoken_Hatsudenryo">太陽光発電の発電量(産業技術総合研究所)</ref>。
温室効果ガス(GHG)排出量
太陽光発電は設備の製造時などに際してある程度の温暖化ガスの排出を伴うが、運転(発電)中は全く排出しない。採鉱から廃棄までのライフサイクル中の全排出量を、ライフサイクル中の全発電量で平均した値(排出原単位)は数十g-CO2/kWhのオーダーであり、化石燃料による排出量(日本の平均で690g-CO2/kWh<ref name="ENV_FIRE_EMISSION">http://www.env.go.jp/council/06earth/r062-01/2-4.pdf</ref>)よりも桁違いに少ない。
- 日本における排出原単位は、現状の一般家庭の場合で29~78g-CO2/kWh(稼働期間20年の場合。30年に単純換算するとその2/3)と算出されている<ref name="NEDO100012583">みずほ情報総研、NEDO、太陽光発電システムのライフサイクル評価に関する調査研究、バーコード番号100012583</ref>。削減効果の目安は660g-CO2/kWhとされる<ref name="Sansoken_GHG_reduction">温室効果ガス排出量の削減(産業技術総合研究所)</ref>。
- 欧州南部での見積もりでは、結晶シリコン太陽電池は現状で25-32g-CO2/kWh、将来は約15g-CO2/kWhに減少すると予測されている<ref name="ECN2006"> Alsema, E.A.; Wild - Scholten, M.J. de; Fthenakis, V.M.Environmental impacts of PV electricity generation - a critical comparison of energy supply options ECN, September 2006; 7p.Presented at the 21st European Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition, Dresden, Germany, 4-8 September 2006.</ref> 。
エネルギー収支
太陽光発電設備のエネルギー源としての性能を比較するとき、エネルギーペイバックタイム(EPT)やエネルギー収支比(EPR)が指標として用いられることがある。これらは設備の製造やそれに必要な原料の採鉱・精製、保守などに投入されるエネルギーに対して、どれだけの電力が得られるかを示す。ライフサイクルアセスメント(LCA)の一環である。エネルギー収支や環境性能について実用性を否定する意見は、いずれも都市伝説などとして否定されている<ref name="Sansoken_QA">[Q&A 太陽光発電のEPT/EPRについて](産業技術総合研究所)</ref><ref name="NREL_QA">What is the energy payback for PV?, PV FAQs(米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL)</ref><ref name="DOE_QA">Learning About PV: The Myths of Solar Electricity(米国エネルギー省)</ref>。
現状で一般的な値はそれぞれEPTが1~3年程度、EPRが10~30倍程度とされる<ref name="Sansoken_EPT">太陽光発電のエネルギー収支(産業技術総合研究所)</ref><ref name="NREL_QA"/>。 Template:See also
発電コスト
太陽光発電の発電コストの相場は、いまのところ他の電源の数倍とも言われる。電力量あたりのコストでは価格競争力が不足するため、現時点では普及促進に際して助成が必要とされる<ref name="IEA_Deployment">IEA, Deploying Renewables -- Principles for Effective Policies, 2008</ref>。普及に伴い、ほぼ経験曲線効果に従って価格が低下している<ref name="JRC_Waldau">Thin Film Production Overview in the Short and Medium term, A.J.Waldau, EU Commission, DG JRC, Ispra, 03/09/2008, 23 EU-PVSEC, Valencia</ref>。2008年末の時点で比較的高出力(125Wp以上)のモジュールについては需要逼迫による価格の高止まりが数年間続いていたが、2009年からは再び低減傾向である<ref name="solarbuzz_top">solarbuzz</ref>。世界的には2012年頃には、条件の良い地域から順次グリッドパリティ(系統電力との等価)を達成し、価格競争力を有し始めると見られている<ref name="EPIA_EUROBAT"/><ref name="Nomura">和田木哲哉(野村證券)、爆発する太陽電池産業、東洋経済新報社、2008年11月、ISBN 978-4-492-76178-6</ref><ref name="PVNews_May2007">PV News Vol.26, No.5, May 2007.</ref>。一部の薄膜太陽電池生産企業はそれに見合う生産コストに既に到達し<ref name="FirstSolar_2009Q4">First Solar Fast Facts</ref>、さらに安くできると表明している<ref name="FirstSolar_2014">First Solar analyst day post-mortem, Part I: 52 cents manufactured cost per watt seen by 2014, PV-tech.org, 30 June 2009</ref>。 技術的検討からは、現行技術の延長で可能な範囲でも公称容量あたりのモジュール単価は65円/Wp程度までコストダウンが可能と見られている<ref name="Zukai_Konishi">桑野幸徳・近藤道雄監修、図解 最新太陽光発電のすべて、工業調査会、2009年7月、ISBN 978-4-7693-7171-7、P.43</ref>。 こうしたことを踏まえ、”2030年ごろになっても経済的に自立できない”などとする主張は誤りであるとの指摘もなされている<ref name="Nomura"/>。日本でも継続的な普及拡大とコスト低減が期待されているが、2005年頃から国内市場は逆に縮小・コスト増加傾向を示した<ref name="JPEA_stats">JPEA, 統計・資料</ref><ref name="IEA_PVPS_JPModulePriceTrend">IEA PVPS, Indicative module prices in national currencies per watt in reporting countries</ref>。このため2009年から新たな普及促進政策が施行され、2009年の国内市場は再び拡大し始めた<ref>[1]</ref><ref>太陽光発電の新たな買取制度ポータルサイト</ref><ref>JPEAオリジナル統計(四半期毎)</ref>(太陽光発電のコスト#政策も参照)。
太陽光発電のコストは、一般的に設備の価格でほぼ決まる。運転に燃料費は不要であり、保守管理費用も比較的小さい。エネルギーセキュリティ向上などの付加的なコスト上のメリットも有する。また特に昼間の需要ピークカットのコスト的メリットが大きいとされる(<ref name="smallisprofitable">エイモリー・B・ロビンス「スモール・イズ・プロフィタブル(Small is profitable)」ISBN 4-87973-294-X</ref>P.131-132, <ref name="solarrevolution">Solar Revolution / The Economic Transformation of the Global Energy Industry, Travis Bradford, The MIT press, ISBN 978-0-262-02604-8</ref>P.131など)。他電源に対するコスト競争力は比較条件にも依存し、用途などによっては現状でも価格競争力を有する。途上国で送電網が未整備な場合、消費電力に比して燃料輸送費や保守費が高い場所など(山地、離島、砂漠、宇宙等)では、現段階でも他方式に比較して最も安価な電源として利用されている。蓄電池を用いた独立型システムにおいても、今後の価格低下と途上国などでの普及拡大が予測されている<ref name="EPIA_EUROBAT">W.Hoffman(EPIA),R.Kubis(EUROBAT),The role of Energy Storage in the future development of photovoltaic power, Intersolar, 12 June 2008</ref>。
太陽光発電そのもののコストのほかに、火力発電の発電量の削減を進めるに伴い、需要と供給の各種変動のギャップを埋める費用の発生も見込まれている。これは風力発電や原子力発電など他の電源も関連する事項である。送電網の機能強化や需要側の制御も含めたスマートグリッドなどの総合的な対策が各国で検討・推進されている<ref name="EU_SmartGrid">SmartGrids Technology Platform(欧州のスマートグリッド開発推進機構)</ref><ref name="US_SmartGrid_NETL">A Vision for the Modern Grid(NETL)</ref><ref name="US_SmartGridLaw">U.S. Energy Independence and Security Act of 2007</ref>。
利用形態
独立蓄電
[[ファイル:Parking-meter_hannover_20050625_111.jpg|thumb|right|120px|パーキングメーターへの利用例]] [[ファイル:Street light.JPG|thumb|right|120px|街路灯で風力発電と併用される。]] 発電した電力を二次電池に蓄電してその場で利用し、外部送電網に接続しない形態。夜間や悪天候時の発電量低下時も太陽光発電にて電力を供給したい場合に利用される。後述の系統連系に比して、蓄電設備のコスト(金銭・エネルギー・CO2排出量)が増えるため、外部からの送電コストが上回る場合や、移動式や非常用の電源システムなどに用いられる。一般に消費電力が比較的少なく、送電網から遠い場合にメリットが大きくなる。また送電網にごく近い場合でも、送電電圧が高い場合はやはり太陽光発電による独立電源システムが安くなることがある。一般向けに、手の平程度の大きさの最大電力点追従装置(MPPT)に自動車用バッテリーを組み合わせる製品なども市販されている<ref name="SMALLPC">たとえばhttp://www.morningstarcorp.com/</ref>。以下、利用例を幾つか列挙する。
- 携帯用小型機器
- 携帯用小型機器では、電卓・ライト・腕時計など、消費電力の少ない携帯機器を一次電池や商用電源による充電不要で利用するために超小型のものが使用される。小型一次電池による電力が比較的高価なためコストの面でも効果がある。電気二重層コンデンサによる蓄電も行われる。
- 送電網が未熟な国々や地域で民生用電化製品の電源として利用
- 無線通信網の中継局や航空管制局<ref name="RFSTATION">http://www.pvsystem.net/mongolia/mngpvabs2.html</ref>
- 燃料の輸送や冷却水の確保が難しい地域の電源として利用
- 庭園灯や街路灯、駐車券発行機などでメンテナンスや配線のコスト削減のために利用
- 非常時の電源確保
- 軍用、キャンプ用(可搬式)
- 自動車のバッテリー補助
- 愛好家がハイブリッド車に載せるなどの例がみられる<ref name="SolarPrius">SolarElectricalVehicles(ハイブリッド車に太陽電池を装備するサービスを行う企業)</ref>。2009年にはトヨタがプリウスがソーラーパネルによる換気システムを搭載できるようになる<ref name="Toyota_Prius_withPV">トヨタ、プリウス公式サイトより、2009年1月</ref>。
- 船舶のエネルギー源
- 船舶の補助動力としての利用も検討されている。2008年、日本郵船と新日石が自動車運搬船で試験することを発表している<ref name="PV_on_Ship">日本郵船、新日石 太陽光活用の大型船舶を開発、MSN産経ニュース、2008.8.26</ref>。
- 宇宙空間での利用
- 地球を回る人工衛星や、太陽に近い所を飛ぶ惑星探査機などに使われている。なお木星など遠距離の惑星へ行く惑星探査機は、太陽からのエネルギーが小さくなってしまうため太陽光発電は通常使われないが、ミッション内容次第では利用の可能性がある<ref name="SOLARSAIL">http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.288/mission-05.html</ref>。
系統連系
thumb|right|220px|集合住宅での利用例 太陽光発電システムを、電力会社の送電網に繋げる形態を系統連系という。太陽電池モジュール→パワーコンディショナー→商用電源という接続形態を取る。発電量が設置場所での利用量を上回る分は電力会社に買い取って貰う(売電)。また、売電電力を送電網に送ることを逆潮流と呼ぶ。夜間や悪天候時など、発電量を利用量が上回る時は系統側からの電力供給で補う。独立蓄電形態のような大容量の蓄電設備が不要なため、コスト・GEG排出量・ライフサイクル中の投入エネルギーが最小限で済む。近くに送電網が来ている場合は、通常この形態で利用する。
出力変動
太陽光発電は天候によって出力が変動し、曇天時や雨天時は晴天時に比較して大幅に発電量が低下する。また夜間は発電しない。系統連系においては、変動が速すぎると他の電源による調整が追いつかなくなるおそれがある。この変動への対応は、大きく2種類の変動への対応に分けられる<ref name="Sansoken_Hendo"/>。
比較的短い周期(数秒~数十分)の変動について:: 太陽光発電のような分散型電源に於いては、規模が大きくなり、設置場所が分散するほど速い変動成分が平滑化され、電源網側での対処が容易となる。これはならし効果と呼ばれ、これによってある程度の導入量までは問題は無いとされる<ref name="Sansoken_Hendo">出力変動と緩和策(産業技術総合研究所)</ref>。米国などにおける調査では、特別な対策をしなくても系統負荷の3割以上の設備容量の系統連系が可能とされている(<ref name="smallisprofitable"/>P.261)。その程度までの連系容量については、過去の大規模な実証試験において、変動は電力網側の調整余力で対応可能であり、送電網全体では送電コスト低減などによるメリットが上回ると報告されている(<ref name="smallisprofitable"/>,P.300など)。連系する容量がある程度以上増加すると、それに応じた変動対策が必要になるとされる<ref name="Sansoken_Hendo"/>。また将来的にはスマートグリッドなど、他の発電方式や電力需要側も含んだ系統全体での包括的対策が必要と考えられている(#発電コストを参照)。
比較的長い周期(数時間~数日)の変動について: 系統連系が主体の導入形態の場合、導入量が少ない段階では、この変動については当面大きな心配は無いとされる<ref name="Sansoken_Hendo"/>。普及が進んで昼間の電力が余るようになると、蓄電設備によって余剰分を他の時間帯に回すなどの対策の必要性が生じる。また独立形のシステムなどで電力の殆どを太陽光発電に頼る場合などは、何らかの蓄電装置を追加して需給の差を埋める(#独立蓄電を参照)。
モジュールを様々な方向に向けて設置している場合、個々の方向で出力が最大になる時間帯がずれるため、正午の瞬間最大出力が低くなる代わりに、他の時間帯の出力が増加する。一方、電力の需要量は時間帯によって変動し、一般的に午前よりも午後の方が大きい<ref>日本における一日の電力需要の変化の例:電力の需要量の変化とその対応</ref>。このため固定式のモジュールの場合、電力需要との整合性を取る観点からは、真南よりも多少西向きに設置するのが好ましい。米国サクラメント市における解析例では、20度の傾斜を持たせて設置する場合、真南から30度西にずらすと、総発電量は約1%減少するが、容量が系統に貢献する度合いは25%近く増加し、全体では経済的価値が大きくなると報告されている<ref name="WENGER">H.Wengerら,1996年</ref>。また冷房需要の多い地域では、日照と電力需要の相関関係が高くなるため、太陽光発電の価値が相対的に高くなる(<ref name="smallisprofitable"/>,P.231など)。
最大電力点追従制御装置
最大電力点追従制御装置(Maximum power point tracker)略称MPPTとは太陽電池からの電圧と電流の積である電力が最大になる出力電圧で電流を取り出す装置である。この装置を使用することにより太陽光の強度に応じて最適の条件で電力を供給できる。
発電部の解説
セル、モジュール、アレイ
[[ファイル:CellStructure-SiCrystal.PNG|thumb|right|200px|結晶シリコン型太陽電池セルの代表的構造]] [[ファイル:4inch_poly_solar_cell.jpg|thumb|right|200px|多結晶シリコン型太陽電池(セル)]]
- セル
- 太陽電池素子そのものをセル(cell)と呼ぶ。素子中の電子に光エネルギーを吸収させ、光起電力効果によって直接的に電気エネルギーに変換する(詳しくは太陽電池の原理を参照)。1セルの出力電圧は通常0.5~1.0V程度である。複数の太陽電池を積層したハイブリッド型や多接合型では1セルの出力電圧そのものが高くなる。必要な電圧を得られるよう、通常は複数のセルを直列接続して用いる。また幾つかの薄膜型太陽電池では、複数の直列接続されたセルを一枚の基板に作り込むことで、小型でも高電圧を発生でき、セルを直列接続する結線工程も省力化できる。
- モジュール
- セルを直列接続し、樹脂や強化ガラス、金属枠で保護したものをモジュール(module, またはパネル panel)と呼ぶ。モジュール化により取り扱いや設置を容易にするほか、湿気や汚れ、紫外線や物理的な応力からセルを保護する。モジュールの重量は通常、屋根瓦の1/4~1/5程度である。なお、太陽光発電モジュールはソーラーパネル(solar panel)と呼ばれることもあるが、この名称は太陽熱利用システム(太陽熱温水器など)の集熱器に対しても用いられる。
- ストリング
- モジュールを複数枚数並べて直列接続したものをストリング(string)と呼ぶ<ref name="SekkeiSekou">太陽光発電協会編、「太陽光発電システムの設計と施工」、ISBN 4-274-20273-9]</ref>。
- アレイ
- ストリングを並列接続したものをアレイ(array)と呼ぶ<ref name="SekkeiSekou"/>。
特に工夫したモジュール製品の例
用途や環境に応じて、下記のように様々な種類の製品が市販されている。
- 太陽電池セルとセルの間に隙間を作り、光を透過させる機能も併せ持つもの(タミヤ製作所の項を参照)
- 高効率で、より少ない設置面積で済むもの
- 高温環境でも性能の落ちにくいもの(温度の影響の項を参照)* 強風対策品
- 塩害対策品
- 低角度設置に対応して、特に汚れが落ちやすくしたもの
- 反射光を軽減して周囲に配慮したもの
- 網目状のセルを使用し、ある程度の光を透過させるもの(半透過型;窓やビル壁面などに利用)
- 着色して意匠性を持たせたもの
- 軽量にして屋根への負担を特に軽減したもの
- 裏面からも光を取り入れ、周囲からの反射・散乱光も利用して発電するもの
- フレキシブルで持ち歩きが容易なもの
- 建造物の平面や曲面に接着剤で貼り付けるだけで設置できるもの
経年劣化と寿命
太陽光発電システムには大部分の製品が稼働できると推測される「期待寿命」と、メーカーが性能を保証する「保証期間」がある。メーカーの製造ミスなどで早期に出力低下などのトラブルが起こることもある。通常の経年劣化による出力低下は20年で1割未満と報告されている。
- 屋外用大型モジュールの場合、過去の製品の結果などから、一般的には期待寿命は20~30年以上と考えられている<ref name="JPEA_Lifetime">耐用年数と補修、JPEA</ref><ref name="DUNLOP"/>。なお一般の家電製品同様、期待寿命は明確に定まっているわけではなく、統一された基準も無い。
- メーカー等による屋外用モジュールの保証期間としては、10~25年ぐらいの性能保証を付けて市販される例が見られる<ref name="25years">"module years guarantee"などのキーワードでの検索結果による、2008年12月時点。</ref>。
- モジュールは年月と共にゆっくりと性能が低下する。低下量は結晶シリコン等の場合、多くの製品は20年間で1割未満と報告されている<ref name="DUNLOP">E.D.Dunlop他、Prog.Photovolt.Res.Appl.14,p.53,2006年</ref>。
- モジュールの強化ガラスとセルとの間には通常EVA等の樹脂が充填される。昔の製品ではこの樹脂が紫外線で黄変(browningまたはdarkening)して性能が急速に劣化する場合があったが、樹脂の改良やガラスにセリウムを添加するなどの対策で解決された<ref name="Holley">W.H.Holley Jr., S.C.Agro, J.P.Galica, R.S.Yorgensen,UV stability and module testing of nonbrowning experimental PVencapsulants, Conference Record of the Twenty Fifth IEEE, May 1996, pp.1259 - 1262</ref><ref name="CeriumGlass">http://www.jdsu.com/product-literature/sccrrg_ds_co_ae.pdf(JDSU)</ref><ref name="Sandia_Browning">D.L.King et al, Photovoltaic Module Performance and Durability Following Long-Term Field Exposure, Sandia National Laboratories</ref>。
- 経年劣化によって発生する代表的な変化としては、セルを固定しているEVAなどの樹脂がはがれたり(delamination)、湿気がモジュール内部に侵入して電極の腐食を起こすなどの例が挙げられる<ref name="NREL_Degradation">M.A.Quintana, D.L.King, T.J.McMahon, C.R.Osterwald, COMMONLY OBSERVED DEGRADATION IN FIELD-AGED PHOTOVOLTAIC MODULES, NREL</ref><ref name="ArcoModule_20years">A.Realini et al, STUDY OF A 20-YEAR OLD PV PLANT (MTBF PROJECT)</ref>。製造企業の技量不足により、比較的早期に発生して交換の対象になる例もある<ref name="Niels_UniSolarReliability">Niels Wolter, Joe Burdick, Photovoltaic (PV) Roofing Products – Are They Reliable?, 2003</ref>。
- アモルファスシリコンを用いたモジュールは屋外光で劣化しやすかったが、これも現在では長寿命化され、20年以上の性能を保証する製品も出現している<ref name="UNISOLAR">http://www.uni-solar.com/interior.asp?id=100</ref>。太陽電池の項も参照。
- 太陽電池の型式によっては、使用開始時に数%程度性能が低下し、その後安定する挙動を示す(初期劣化)。定格値としては初期劣化後の値(安定化効率)が用いられる<ref name="NEDO_aSi">太陽電池技術開発動向,NEDO</ref><ref name="Konagai_aSi">太陽光発電新時代の現状と将来の展望,NEDO</ref>。
- 製品の寿命を予測するための加速試験手法としては塩水噴霧や紫外線照射、高温多湿(Damp Heat)環境試験などが用いられる。検証手段としては実際に屋外の環境に晒すフィールドテストが1980年代から大規模に行われ、現在20数年分のデータが蓄積されている<ref name="DUNLOP2">Ewan D. Dunlop, David Halton, Progress in Photovoltaics: Research and Applications 14 (2005) 53.</ref>。
- パワーコンディショナーなどの周辺機器にも寿命(10年~)があり、部品交換などのメンテナンスが必要である。参考データの項も参照。
- 人工衛星の電源など宇宙空間での利用においては、温度差200℃程度の範囲に及ぶ周期的な温度変化、打ち上げ時の振動、放射線による劣化などに対応できる必要がある<ref name="Sharp_space">宇宙用単結晶シリコン太陽電池</ref><ref name="Ogiso_space">[www.aero.osakafu-u.ac.jp/as/lab3/ 衛星の開発と設計について](大阪府立大学 小木曽研究室資料)</ref>。このためモジュール(パドル)の構造、セルの材料や構造など各部に亘って対策が施される。
- 太陽光発電モジュールは長寿命であるため、それを取り付ける架台および施工部分にも長寿命が求められる。また一般の建築物同様に数年ごとの保守点検が推奨され、メーカーや代理店によっては定期保守点検のプランを用意している場合もある。点検項目のガイドラインとしては日本電機工業会が定めたものなどがある<ref name="JEM_TR228">技術資料JEM-TR228、小出力太陽光発電システムの保守・点検ガイド、平成15年12月、日本電機工業会</ref>。
世界各国の状況
- 世界全体の生産量は2008年で約6.9GWp/年である<ref name="PVNEWS">PV NEWS</ref>。これは2008年に比べて86%の伸びであり、それまでの年4~6割程度の伸び率と比較しても倍近い伸び率である。
- 2008年の市場の急速な伸びはスペインの市場の計画外の急拡大によるところが大きく、2009年はその反動と金融危機によって縮小したのち、2011年頃から再び拡大すると予想されている<ref name="PVTECH_2009dip">Major market decline forecasted for the solar industry in 2009, according to iSuppli, PV-tech.org, 17 April 2009</ref>。
- 市場規模は2020年には10兆円以上<ref name="FujiKeizai200908">太陽電池の世界市場を予測-2020年 太陽電池市場は2008年比5倍の10兆6,021億円と予測-、富士経済、2009年8月27日</ref>、2030年には約2000億ユーロ(約30兆円)に達すると予測されている<ref name="PVStat2008">PV Status Report 2008, JRC</ref><ref name="SCHOTT_MARKET">http://www.schott.com/photovoltaic/german/download/whoffmann_barcelona_june_2005_manuskript.pdf?PHPSESSID=916</ref>。
- 年間導入量では2008年分でスペインが2511MWp(2.5GWp)を導入して1位、ドイツが1500MWp(1.5GWp)を導入して2位である。日本は230MWpであり、前年の3位から6位に転落したと推定されている<ref name="EPIA_2008report">2008: an exceptional year for the Photovoltaic Market, 24 March 2009, EPIA</ref>。
セル製造シェア
2008年の世界市場での太陽電池セル製造メーカー上位各社のシェアはドイツのQセルズ社が前年に引き続き1位、欧米のFirstSolarが2位、中国のSuntechが3位である。日本のシャープは4位に後退した。<ref name="RTS200904">太陽光発電情報、2009年4月分、資源総合システム</ref>。 また国別生産シェアは中国が26%を生産して1位、2位はドイツである。日本はドイツに抜かれ、3位に後退している<ref name="RTS200904"/>。
Template:CHN | 26% |
Template:GER | 19% |
Template:JPN | 18% |
Template:TWN | 12% |
Template:USA | 6% |
詳しくは太陽光発電の市場動向を参照。
太陽電池セル製造用装置メーカー
2008年の世界市場での太陽電池セル製造装置売上高トップはアプライド・マテリアルズであった<ref>VLSI Research [2]</ref>。以下Roth & Rau、Centrotherm、OC Oerlikon Balzers、アルバックと続く。詳しくは太陽光発電の市場動向を参照。
政策
- 固定価格買い取り制度(フィードインタリフ制度)によって法的に電力の買い取り価格を保証する国が増加しており<ref name="Martinot_SUMMARY">Global Renewable Energy Trends, Policies, and Scenarios, Eric Martinot, June 3, 2008</ref>、顕著な普及促進効果が報告されている<ref>IEA, Deploying Renewables -- Principles for Effective Policies, 2008年9月, ISBN 978-92-64-04220-9</ref><ref name="EPIA_SG">Solar Generation V(EPIA)]</ref>。固定価格買い取り制も参照。
- 2020年までに太陽光発電などのコストは半減すると予想され、欧州(EU)では電力の34%程度が風力や太陽光などを含む再生可能エネルギーで賄われる可能性があると予測されている<ref name="NEDO_EU_REPORT">http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1000/1000-01.pdf</ref>。2008年12月には、2020年までにエネルギー需要の20%を再生可能エネルギーで供給することを決定している<ref name="AFPBB_EU2020">EU、2020年までに再生可能エネルギー20%使用で合意、AFP BBNews,2008年12月09日 23:26</ref><ref name="Guardian_EU2020">EU agrees 2020 clean energy deadline,Guardian, Tuesday 9 December 2008 17.02 GMT</ref>。太陽光発電のコストも参照。
日本の状況
Template:Main 日本はオイルショックを経験した1970年代から開発と普及に力を入れており、生産量や導入量で長らく世界一を誇っていた。特に2000年ごろまでは、欧州全体より日本一国の方が発電量が多かった。
しかし近年は他国に冠を奪われている。2004年頃には世界の約半分の太陽電池を生産していたが、2008年には世界シェアは18%まで低下している<ref name="PVNEWS"/><ref name="RTS200904"/>。2007年度は国内生産量の8割近くを輸出している<ref name="JPEA_STATISTICS_PDF">日本における太陽電池出荷量の推移(JPEA)</ref>。国内出荷量の9割近くが住宅向けである。個人宅向けが中心であるが、近年は集合住宅での導入例も見られる<ref name="NEPS_SHIBAURA">http://neps.nef.or.jp/kigyo_04shibaura.html</ref>、<ref name="nedobook">なぜ、日本が太陽光発電で世界一になれたのか、NEDO(非売品)</ref>P.18など)。 2005年に新エネルギー財団(NEF)による助成が終了すると、国内市場は縮小した。これに対応して2009年1月、経産省は緊急提言案に沿って補助金を復活させた(固定価格買い取り制度#日本における状況を参照)。
日本での助成策は電力会社による余剰電力買い取り制度(net metering)が主体であり、自主的に電気料金に近い価格で余剰電力を買い上げている。また他にも多くの助成制度が用いられている。2009年4月時点では、平均的な家庭では初期投資の回収までに20年以上かかるとされる<ref name="AllAbout2008">太陽光発電の損益分岐点【2008年版】、AllAbout、2008年11月28日</ref>。2009年2月の環境省の報告書では、このような長い回収期間では普及速度が不足するため、回収期間を10年程度に短くする必要性が指摘された<ref name="Kankyosho_200902">低炭素社会構築に向けた 再生可能エネルギー普及方策について(提言)、環境省、2009年2月</ref>。この報告書では太陽光発電を含めた再生可能エネルギー全体の普及費用を累計25兆円と見積もる一方、同期間の便益の合計が約60兆円におよび、費用よりも便益の方が大きいと予測された<ref name="Kankyosho_200902"/>。同年3月には経産省も太陽光発電について同様の試算を発表した<ref name="SolarSystemSangyo">「ソーラー・システム産業戦略研究会」報告書、経済産業省、2009年3月18日</ref>。また主要各政党も助成制度を強化する姿勢を打ち出した<ref>日本経済再生への戦略プログラム(最終報告)―今、未来への投資、新たな成長ステージへ―、自民党、2009年4月15日</ref><ref>エコ発電全量買い取り義務化 民主マニフェストに明記へ、2009年3月3日</ref><ref>太陽光発電 世界一奪還めざす、公明党、2009年3月21日</ref>。 こうした動きを受けて2009年、新エネルギー部会などにおける審議を経て新たな制度が策定された<ref name="ShinEneBukaiList">総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(経済産業省)</ref>。この制度は2009年11月1日から開始され<ref name="PV_Portal">太陽光発電の新たな買取制度ポータルサイト、経産省</ref>、初期投資の回収期間を平均的な新築家屋のケースで10年程度とし、制度開始時点で既に設置されている設備も対象とする方針である<ref name="ShinEneBukai34">総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(第34回)-配付資料</ref>。詳しくは太陽光発電の市場動向#歴史的経過を参照のこと。
なおエネルギー収支やGEG排出量の面で考えると、通常は1~数年で元が取れる上、住宅ローン枠<ref name="zyuutaku-ro-nn">住宅ローン枠で太陽光発電の購入について</ref>での購入が可能。(太陽光発電の環境性能を参照)。
公共施設での利用
施設の通常時の電力供給用、および商用電源停電時の電源の確保・環境保護のために、災害の際の避難場所に指定されている公共またはそれに準じた施設に太陽光発電装置を設置することが行なわれている。導入時の負荷軽減のため、各省庁による各種の補助策も実施されている。補助策については太陽光発電の市場動向を参照。
日本の主な太陽光発電システムメーカー
2008年における日本の太陽電池生産企業は1位がシャープであり、以下京セラ、三洋電機、三菱電機と続く<ref name="RTS200904"/>。詳しくは太陽光発電の市場動向を参照。 上記以外にもセル生産や部材供給に関わる企業が多数存在する(例:<ref name="JPEA_CompanyList">太陽光発電協会(JPEA)によるメーカー一覧</ref>)。
また2010年からは、日本規格をパスした中国や韓国の太陽光発電システムが、Template:要出典範囲日本国内での販売を始めている。
宇宙太陽光発電
Template:Wakumigi Template:Main 太陽光発電の最大の欠点として、太陽光に依存するため、夜間にはほぼ発電できず、天候や季節によっても日照量が変化するため、発電量も変化してしまう点が上げられる。
この欠点を回避するため、宇宙で太陽光発電を行う宇宙太陽光発電という構想があり、現在は日本、アメリカ、欧州が中心となって研究が進められている。
宇宙に太陽光発電用の人工衛星を打ち上げ、太陽光のエネルギーをマイクロ波またはレーザー光に変換して地上の受信局に送信し、地上で再び電力に変換するという構想である。宇宙空間の太陽光は、大気に遮られる地上よりも強力である。また大気圏外で受光するため、地球上の天候(雲)や季節に左右されない。
外部リンク
解説サイト
公的機関や業界団体により、解説サイトが設置されている。
- 日本国内
- 太陽光発電って何だろう(NEDO)
- 太陽光発電基礎知識(太陽光発電協会)
- 太陽光発電とは(産総研・太陽光発電研究センター)
- 日本国外
- Student Resources on Photovoltaics…米国再生可能エネルギー研究所(NREL)の学生向け教育素材集。
この他、各メーカーや販売企業によるものもある。詳しくは各企業のサイトを参照されたい。
産業団体
太陽光発電に関連の深い産業団体としては、下記のようなものがある。
- 世界:PVGroup …Semiconductor Equipment and Materials International(SEMI)の下部組織。
- 米国:Solar Energy Industries Association(SEIA) 公式サイト
- 欧州:European Photovoltaic Industry Association (EPIA)、European Photovoltaic Technology Platform
- ドイツ:German Solar Industry Association(BSW)
- スペイン:Spanish Photovoltaic Industry Association / Asociación de la Industria Fotovoltaica (ASIF)
- 日本国内
- 太陽光発電協会(JPEA)公式サイト…日本最大の太陽光発電専門の業界団体。導入・普及促進・広報事業などを手がける。
- 太陽光発電技術研究組合(PVTEC) 公式サイト…日本の業界団体で、研究・技術開発に重点を置く。
- 光産業技術振興協会(OITDA) 公式サイト
- ソーラーシステム振興協会(SSDA) 公式サイト
- 日本電機工業会(JEMA) 公式サイト
公的機関
- IEA Photovoltaic Power Systems Programme(IEA PVPS)…国際エネルギー機関(IEA)内の専門組織。国際的な研究協力や情報収集・交換を手がける。
- 2009年に「国際再生可能エネルギー機関」(IRENA)の設立が予定されている<ref name="IRENA_Mainichi">IRENA:日本、参加を見合わせ 米国などの動向注視、毎日新聞、2009年1月7日</ref>。
- アメリカ合衆国エネルギー省(DOE)
- ドイツ環境省(BMU)
- 日本国内
研究開発
専門部署を有する研究機関
- 米国国立再生可能エネルギー研究所 (National Renewable Energy Laboratory, NREL) 公式サイト …再生可能エネルギーや省エネルギー技術全般を扱う米国の研究所。
- 欧州機構共同研究センター(JRC)
- Fraunhofer-Instituts für Solare Energiesysteme (Fraunhofer ISE) …ドイツの研究機構であるフラウンホーファー協会内で太陽エネルギーを専門とする研究機関。
- 日本国内
- 産総研 太陽光発電研究センター…専門の研究機関。太陽電池の標準の供給、各種関連技術の研究開発を行っている。
- 東京大学: 先端科学技術研究センター(RCAST)
- 東京工業大学: 小長井・山田研究室、太陽光発電システム研究センター
- 東京農工大学: 黒川浩助研究室
専門学会・展示会
代表的な専門学会・展示会を下記に記す。近年は併催の展示会の規模が増す傾向があり、また展示会が主体のものも増えている。
国際学会
- World Conference on Photovoltaic Energy Conversion (WCPEC)… 4年毎に地域を変えて開催される専門学会<ref name="PVSEC17_OITDA">OITDAによる専門学会に関する資料</ref>。
- European Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition (EU-PVSEC) … 欧州の専門学会。年々規模が拡大しており、2008年9月開催の第23回では参加者約3600人(学術セッションのみ、展示会来訪者を含まない)、参加83カ国、併設展示会は世界最大規模(約5万平方メートル)を記録している<ref name="TechOn_EUPVSEC">【EU PVSEC】太陽電池の学会・展示会がバレンシアで開幕,学会参加者は3600人,展示会は1.5倍の規模に、Tech-On!、2008年9月2日</ref>。
- Photovoltaic Science and Engineering Conference (PVSEC) … 日本とアジア・太平洋地域で交互に1年半おきに開催。
- IEEE Photovoltaic Specialists Conference (PVSC) … 米国の専門学会。
- 国際的な展示会は年間数十件に上る<ref>Solarbuzzの展示会情報</ref>。
日本国内の学会
- 日本太陽エネルギー学会…日本国内の専門学会。
- PV Japan…専門展示会を主体とする。2008年から下記の新エネルギー世界展示会と併催。
- 新エネルギー世界展示会 …再生可能エネルギー全般を扱う展示会と学会。
- PV EXPO … アジア最大の国際商談展示会。
- 日本学術振興会 産学協力研究委員会 次世代の太陽光発電システム 第175委員会…次世代の太陽電池の各種技術開発に関する研究会・ワークショップ・シンポジウムなどを開催している。
専門論文誌
- Progress in Photovoltaics: Research and Applications
- Solar Energy
- Solar Energy Materials and Solar Cells
主なNGO・ユーザー団体
- Renewable Energy Policy Network for the 21st Century(REN21) 公式サイト…再生可能エネルギー全般について、世界の普及状況や政策に関する情報を収集・発信している、世界的なNGO組織。
- 太陽光発電所ネットワーク(PVowner Network Japan, PV-Net)…日本のユーザー団体。
- 太陽光・風力発電トラスト
- 自然エネルギー推進市民フォーラム(REPP)
- マメナジープロジェクト(mamenergy project)
- エコロジー・エネルギー・フォーラム(Ecology Energie Forum)
脚注
Template:脚注ヘルプ Template:Reflist
関連項目
- 新エネルギー
- 再生可能エネルギー
- 太陽光
- 宇宙太陽光発電
- 太陽電池
- 太陽熱発電
- 太陽熱温水器
- 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法 - RPS制度について
- ソーラーアーク
- 地球温暖化
- ソーラーカー
参考文献
- 工業調査会編、「図解最新太陽光発電のすべて」、2009年7月、ISBN 4769371713
- 日本太陽エネルギー学会編、「太陽エネルギー利用技術」 ISBN 4-274-20278-X
- 浜川圭弘・桑野幸徳「太陽エネルギー工学」ISBN 4-563-03603-X
- 和田木哲哉(野村證券)、爆発する太陽電池産業、東洋経済新報社、2008年11月、ISBN 978-4-492-76178-6
- 飯田哲也「自然エネルギー市場」ISBN 4-8067-1303-1
- 岩堀良弘「発電貯金ならほっといても…お金がたまる」ISBN 4-89436-951-7
- 太陽光発電協会編「太陽光発電システムの設計と施工」ISBN 4-274-20273-9
- 産業技術総合研究所太陽光発電研究センター編著「トコトンやさしい太陽電池の本」ISBN 978-4-526-05795-3af:Fotovoltaïese energie
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