因美線
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因美線(いんびせん)は、鳥取県鳥取市の鳥取駅から岡山県津山市の東津山駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
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概要
起点の鳥取駅で山陰本線に、終点の東津山駅で姫新線に接続している。かつては全線が津山線とともに岡山と鳥取を結ぶ陰陽連絡路線の役割を果たしていた。しかし智頭急行の開業後、鳥取と岡山を結ぶ列車が智頭急行智頭線を経由するようになったことで、陰陽連絡の役割は智頭線経由の列車が走る智頭以北のみとなり、智頭以南とで役割を異にするようになった。
岡山支社管内で独自に設定されているラインカラーは藍色(米子支社ではラインカラー自体が山陰本線以外未導入のためなし)。
智頭以南では1997年に急行「砂丘」が廃止された後、落石防止のため25km/hの速度制限が数多くかけられている。雨天時は15km/hという制限になることもある。
岡山県と鳥取県の県境には因美線最長のトンネルである物見トンネルがある。
路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):70.8km
- 軌間:1067mm
- 駅数:19(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 交換可能駅:6(津ノ井・郡家・用瀬・智頭・那岐・美作加茂)
- 運転指令所:
- 鳥取駅 - 智頭駅間 鳥取CTCセンター
- 智頭駅 - 東津山駅間 岡山輸送指令所津山派出
- 最高速度:
- 鳥取駅 - 津ノ井駅間 110km/h
- 津ノ井駅 - 智頭駅間 95km/h
- 智頭駅 - 那岐駅間、美作加茂駅 - 東津山駅間 85km/h
- 那岐駅 - 美作加茂駅間 65km/h
- 最長トンネル:物見トンネル(美作河井駅 - 那岐駅間)
鳥取駅 - 智頭駅間は米子支社鳥取鉄道部の管轄、智頭駅 - 東津山駅間は同岡山支社の直轄である(支社境界駅である智頭駅は米子支社側の管轄。岡山支社管轄区間は2008年5月31日まで津山鉄道部の管轄であったが、鉄道部統廃合により支社直轄区間となった)。
運行形態
thumb|200px|前面窓に「快速」のサボを記載して運転されるキハ120形(2009年4月3日、那岐) thumb|200px|因美線に乗り入れるHOT3500形気動車(2009年4月3日、国英 - 河原) 全線を通して運転される列車はない。正式には東津山駅が終点であるが、智頭駅・美作加茂駅 - 東津山駅間に運転されるすべての列車が津山駅まで乗り入れる。
因美線内では鳥取駅→津山駅の方向が下り、逆が上りとなる。山陰本線・智頭急行線直通列車は米子駅 - 鳥取駅間・智頭駅 - 上郡駅間で上下が逆転する。
1997年に急行「砂丘」が廃止された後、鳥取 - 津山間を直通する交通機関はなくなった。しかし、2004年12月10日に従来運行されていた鳥取 - 岡山間の高速バス(当時は4往復、2005年9月1日から3往復に減便)が津山(中国道津山北BS)に停車するようになってからは、鳥取 - 津山間の直通利用者が高速バスへ移行する傾向が出ている。また、特に高野 - 津山間では並行する路線バスの方が本数が多いため、利用者はそちらへ流れてしまう傾向がある。
特急列車
鳥取駅 - 智頭駅間で倉吉駅・鳥取駅 - 京都駅間(智頭急行線経由)の特急「スーパーはくと」(7往復)や鳥取 - 岡山間(智頭急行線経由)の特急「スーパーいなば」(6往復)が経由し、鳥取駅 - 津ノ井駅間で110km/h、津ノ井駅 - 智頭駅間で95km/h運転を行っている。かつては85km/hで運転され、旧型車両の急行「砂丘」と最新の高性能車「スーパーはくと」が同じ所要時間であったが、地元負担による線路改良が行われ、所要時間の短縮が実現した。なお、郡家駅のホーム有効長が6両までしか対応していないため、特急「スーパーはくと」(通常は5両編成)や特急「スーパーいなば」(通常は2両編成)は最大6両編成に制限されている。
普通列車
普通列車については、おおむね鳥取駅 - 智頭駅間と智頭駅 - 津山駅間の2つの運転系統に分かれている。
鳥取 - 智頭
鳥取駅 - 智頭駅間は、1 - 2時間に1本程度が運行されているが、鳥取駅 - 智頭駅間の列車は一部が那岐駅および山陰本線の米子駅、智頭急行線の大原駅・上郡駅まで直通しており、途中の郡家駅から若桜鉄道線に直通する米子駅・鳥取駅 - 若桜駅間の列車もある。普通列車は鳥取駅 - 津ノ井駅間で95km/h(智頭急行HOT3500形気動車は110km/h)、津ノ井駅 - 智頭駅間で95km/h運転を行っている。第三セクター各路線への直通列車の乗務員は、若桜鉄道線直通列車のみ相互乗り入れを行い、智頭急行線直通列車は智頭駅で交代する。
早朝の鳥取発智頭行の始発列車は折り返しの智頭発米子行の始発列車になっており、この列車に限りキハ121・126形での運行になる。2010年3月13日の改正から土曜・休日は快速列車として運行されている。朝の智頭発那岐行列車は前日の夜に智頭駅で夜間滞泊した車両同士の連結で運行される。
2008年3月15日改正では鳥取駅 - 智頭駅間で夜の時間帯の一部列車時刻が大幅に変更された。この影響で夕方の時間帯に鳥取発の普通列車が2時間程間隔があく事態となった。これに地元(特に高校生)が猛反発し<ref>「部活もできない」新ダイヤ苦情殺到 JR因美線 日本海新聞 2008年5月27日</ref>、1年後の2009年3月14日改正で夜間帯に普通列車が1本増発された<ref>「部活できる」と高校生 JR西が因美線ダイヤ見直し 日本海新聞 2009年2月18日</ref>。
智頭 - 津山
thumb|200px|智頭 - 津山間で運行されたみまさかスローライフ列車(2010年5月9日、美作加茂 - 知和) 智頭駅 - 津山駅間では1 - 3時間に1本で、智頭駅 - 那岐駅間および美作加茂駅 - 津山駅間の折り返し列車があるが、4時間以上運行のない時間帯がある。朝の那岐駅→智頭駅間の1本は鳥取駅まで直通している。この区間では毎月第3日曜日に昼間時間帯の一部の列車が運休し、8時間程度運行されない(バス代行はない)。また、那岐駅 - 津山駅間では全列車がJR西日本キハ120形気動車による運転となっている。2005年3月1日に、智頭駅・美作加茂駅 - 津山駅間の列車のうち、那岐駅・美作加茂駅 - 津山駅間が実質的に回送となる朝の上り列車と夕方以降の下り列車が通過駅のある快速列車に変更された。線内で使われる車両の方向幕に「快速」を含むパターンが少ないこともあり、快速列車は方向幕に行先のみを掲出、前面窓に「快速」(白地に赤文字)と記載されたサボを挿入したうえで運転される(これは姫新線佐用駅以西、芸備線備後落合駅以東でも同様)。
2010年3月13日の改正で、朝の美作加茂駅発着の列車が休日運休に変更され、第3日曜日は津山駅基準で4時台の次が13時台となる。
2007年から春と秋に、国鉄色のキハ28・58形気動車を使用した臨時列車「みまさかスローライフ列車」が津山駅 - 那岐駅(2007年秋のみ)・智頭駅間で運行されている(2007年春はJR四国のキハ58・65、それ以外は岡山配置のキハ28・58)。みまさかローカル鉄道観光実行委員会との協力で途中の美作滝尾駅・美作加茂駅・美作河井駅で長時間の停車時間を設け、各種イベントを開催した。
使用車両
以下に示す車両は全て気動車である。
自社車両
- キハ40系
- 鳥取 - 智頭 - 那岐間で、列車番号が650 - 660番台(朝の1往復以外)。
- 鳥取 - 郡家 - 若桜間で、列車番号が1320番台。
- キハ120形
- 智頭 - 津山間で、列車番号が670 - 690番台。
- 美作加茂 - 津山間で、列車番号が1670 - 1690番台。
- 智頭 - 那岐間で、列車番号が2690番台。
- キハ121形・キハ126形
- 鳥取→智頭→鳥取→米子で、列車番号が650番台。山陰本線鳥取 - 米子間では列車番号が変わる。朝の1往復のみ(平日のみ鳥取から米子までは快速)
- キハ187系
- 鳥取 - 上郡間で、列車番号が70 - 80番台(1往復は9030番台)(特急スーパーいなば)。
下り列車(因美線上り方向)・上り列車(因美線下り方向)とも号数+70(1往復は号数+8940)。特急列車は号数にあわせるため、因美線下り方向は偶数、因美線上り方向は奇数となっている。上郡で列車番号が変わる。
他社からの乗り入れ車両
- 若桜鉄道WT3000形・WT3300形
- 鳥取 - 郡家 - 若桜間で、列車番号が1330 - 1340番台。
- 智頭急行HOT3500形
- 鳥取 - 智頭間で、列車番号が630 - 640番台。直通列車は智頭で列車番号が変わる。
- 智頭急行HOT7000系
- 倉吉・鳥取 - 京都間で、列車番号が50 - 60番台(特急スーパーはくと)。下り列車(因美線上り方向)・上り列車(因美線下り方向)とも号数+50。特急列車は号数にあわせるため、因美線下り方向は偶数、因美線上り方向は奇数となっている。
歴史
- 1919年(大正8年)12月20日 因美軽便線 鳥取 - 用瀬間(13.1M≒21.08km)が開業。津ノ井駅、郡家駅、河原駅、国英駅、用瀬駅が開業。
- 1922年(大正11年)9月2日 軽便線の呼称廃止、因美線に改称。
- 1923年(大正12年)6月5日 用瀬 - 智頭間(6.7M≒10.78km)が延伸開業。因幡社駅、智頭駅が開業。
- 1928年(昭和3年)3月15日 因美南線 津山 - 美作加茂間(10.9M≒17.54km)が開業。東津山駅、高野駅、美作滝尾駅、美作加茂駅が開業。因美線は因美北線に改称。
- 1930年(昭和5年)4月1日 営業距離の単位をマイルからメートルに変更(因美北線 19.8M→31.9km、因美南線 10.9M→17.6km)。
- 1931年(昭和6年)9月12日 因美南線 美作加茂 - 美作河井間 (7.3km) が延伸開業。知和駅、美作河井駅が開業。
- 1932年(昭和7年)7月1日 智頭 - 美作河井間 (16.6km) が開業し全通。因美北線が新規開業区間と因美南線を編入し因美線に改称。土師駅、那岐駅が開業。
- 1936年(昭和11年)10月10日 東津山 - 津山間 (2.6km) を姫新線に編入。
- 1956年(昭和31年)11月1日 東郡家駅開業。
- 1961年(昭和36年)8月1日 鷹狩駅開業。
- 1963年(昭和38年)4月1日 三浦駅開業。
- 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。貨物営業廃止。
- 1991年(平成3年)4月1日 鉄道部制度の発足に伴い、鳥取 - 美作河井間が鳥取鉄道部の管轄となる。同時に美作河井 - 東津山間が米子支社から岡山支社に移管され、津山鉄道部の管轄となる。
- 1999年(平成11年)10月2日 智頭 - 美作河井間が、米子支社鳥取鉄道部から岡山支社津山鉄道部に移管される。
- 2003年(平成15年)10月1日 鳥取 - 智頭間が高速化。
駅一覧
便宜上、東津山側の全列車が乗り入れる姫新線津山駅までの区間を記載する。
- 停車駅
- 線路(全線単線) … ◇・∨・∧:列車交換可能、|:列車交換不可
路線名 | 駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 快速 | 接続路線 | 線路 | 所在地 | |
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因美線 | 鳥取駅 | - | 0.0 | 西日本旅客鉄道:山陰本線 | ∨ | 鳥取県 | 鳥取市 | |
津ノ井駅 | 4.3 | 4.3 | ◇ | |||||
東郡家駅 | 3.9 | 8.2 | | | 八頭郡 八頭町 | ||||
郡家駅 | 2.1 | 10.3 | 若桜鉄道:若桜線(鳥取方面から直通あり) | ◇ | ||||
河原駅 | 3.8 | 14.1 | | | |||||
国英駅 | 3.3 | 17.4 | | | 鳥取市 | ||||
鷹狩駅 | 2.4 | 19.8 | | | |||||
用瀬駅 | 1.3 | 21.1 | ◇ | |||||
因幡社駅 | 3.8 | 24.9 | | | |||||
智頭駅 | 7.0 | 31.9 | ● | 智頭急行:智頭線(鳥取方面から直通あり) | ◇ | 八頭郡 智頭町 | ||
土師駅 | 3.7 | 35.6 | ● | | | ||||
那岐駅 | 2.9 | 38.5 | ● | ◇ | ||||
美作河井駅 | 10.0 | 48.5 | ▲ | | | 岡山県 津山市 | |||
知和駅 | 3.5 | 52.0 | ▲ | | | ||||
美作加茂駅 | 3.8 | 55.8 | ● | ◇ | ||||
三浦駅 | 3.5 | 59.3 | | | | | ||||
美作滝尾駅 | 2.2 | 61.5 | | | | | ||||
高野駅 | 5.2 | 66.7 | ▲ | | | ||||
東津山駅 | 4.1 | 70.8 | ● | 西日本旅客鉄道:姫新線(佐用方面) | ◇ | |||
※ | ||||||||
津山駅 | 2.6 | 73.4 | ● | 西日本旅客鉄道:姫新線(新見方面)・津山線 | ∧ |
- ※:東津山駅 - 津山駅間は姫新線
鳥取駅・郡家駅・智頭駅の3駅(津山駅を含めると4駅)はJR西日本直営駅。それ以外の各駅は簡易委託駅または無人駅である。線内にはJR西日本関連会社への業務委託駅は存在しない。
脚注
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関連項目
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