卒業式

出典: Wikipedio


Template:独自研究 Template:出典の明記 卒業式(そつぎょうしき)は、教育課程を全て修了した事を認定し、そのお祝いをする式典であり、学校教育法施行規則によって定められた日本の学校行事である。大学大学院においては「卒業証書」ではなく「学位記」(学位を記し、そのように称する事を許す免状)が授与される為、「学位記授与式」または「卒業証書・学位記授与式」となる。欧米でも大学の学位授与の式典はあるが、各学校の修了ごとに祝う式典は日本と韓国で見られる習慣である。

目次

歴史

日本では、1872年の学制の施行にともない、各等級(学年)ごとに試験修了者に対して卒業証書を授与したことに起源を持つ。その後、明治10年代ごろ(1870年代半ばから1880年代にかけて)に、現在のような形の儀式として定着した。 Template:節stub

日本における卒業式

日本小学校中学校高等学校等においては、始業式終業式入学式修了式などと並んで、特別活動の中の学校行事で、儀式的行事に分類される学習活動である。

通常、3月に実施される(早春歳時記的なものにされるほどである)。高等学校では上旬、大学・短大では下旬が多い。小中学校では、従来は3月20日頃が多かったが、近年ではやや早まるケースもある。函館ラ・サール高等学校のように2月1日に実施するところもあるが、2月以前や4月以降に行われる例はほとんど見られないようである。高等学校の卒業式は、大学入試の日程と重なり、出席できない場合もみられる。この場合は、後日卒業証書を受け取ることになる。

参考までにアメリカでは6月韓国では2月が多い。これは学年年度(アメリカでは6月に1年度終了、9月から新学期)による違いである。

学習指導要領では、「その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌斉唱するよう指導するものとする」と定められている。

学校によっては、この式において「学事報告」という、教育委員会(来賓として招待した教育委員会関係者)への業務報告を行う所もある。これは、1年間の職員の体制、各学年の入学・進級の実績などを報告するもので、公立小学校で行われる事が多い。

卒業式の形式

  • 大きく分けて対面式と一面式の二つがある。
  • 卒業証書授与がメインであるが、その前後に校歌やその学校独自の卒業時に歌う歌を歌う場、在校生送辞、卒業生答辞などが行われる。

卒業証書授与は校長(幼稚園・保育園なら園長、大学・短大なら学長・総長)によって行われる。校長の脇には教頭や卒業生の学年主任、(幼稚園・保育園などの場合)担任教員などの教員が付く。

  • 授与の際、教員は卒業生にねぎらいの言葉を掛ける場合もある。但し、学年の規模や校風による。(2005年3月放映の「3年B組金八先生」(中学校)や、2004年放映の連続テレビ小説天花」(保育園)など、ドラマではよく見られるが、一般的に実際に行われるかは不明)

対面式

近年特に小学校で増えてきた方式である。一部の中学校でも採用されている。

  • その名の通り演台を中央に置かれた卒業生と在校生・保護者、教職員と来賓が向かい合わせになり進行する方式である。そのため在校生と卒業生の目が合うため緊張感が持ちやすく近年多くの小学校などで取り入れられている。
  • 特徴としてステージがあくため様々な演出がしやすい。その一方で、生徒と教職員、保護者、来賓などとの上下関係を希薄にさせることから「悪平等」であるという側面もあり、賛否両論ある。

卒業式での卒業生の服装

制服制度のない場合、(校則の範囲内ではあるが)卒業生や出席する在校生の服装が自由であることはいうまでもない。しかし、多くの卒業生は親などの意向や、慣例の墨守として改まった服装を着用することが多い。 また、その服装文化には、「在校時のフォーマルな服装(昭和戦前期以前の日本、または欧米の伝統的な服装)」場合と、卒業後のフォーマルな(あるいは日常的に着用する)服装に近いものとの2つの文化があるが、後者に近い服装文化が優勢といえる。

幼稚園・保育園

卒園児は、制服(園服)があれば制服を着用する。ない場合は通常の服装か、入学式で着るような服(女児はワンピースにボレロやカーディガン等、男児はブレザーにハーフパンツ)を着用。

小学校

制服制度のある学校は、制服で出席する。制服がない場合はブレザーなどで出席する。また、進学する中学校の制服で出席することもある。

中学校

制服。

高等学校

制服制度がある場合それを着用する。一部の学校では、「白線流し」と称して制帽白線セーラー服のリボンを結んでに流す例もある(この場合環境保全のため下流で下級生や先生が回収する例が多い)。 制服制度がない場合は、和装(男子は羽織袴、女子はいわゆる昔の女学生風の)・ビジネススーツ・ブレザーなどが多い。この意味で、後述する大学・短大の服装に似る。

大学・短大

和装(男子は羽織、女子はいわゆる昔の女学生風の女袴)・ビジネススーツ・ブレザーなどを着るケースが多い。「ビジネススーツ」が特に多いが、卒業後堅気の職に就く事を誇示するような雰囲気でもある。ただし卒業生の多くがそうした職に就く有名大学においても、京都大学のように一部の学生の奇抜な仮装が「名物」になっている大学もある。角帽とガウン(アカデミックドレス)という「大学」を伝統的に象徴する服装の着用は、欧米や韓国などと違い、日本では一般的でない。東京の武蔵野美術大学では舞台美術を専門とする教授が演出し派手に卒業式を行ったり、学生の仮装が恒例となっている。金沢美術工芸大学も、同様に卒業生の仮装で知られる。神道系の大学の場合は、神官装束、巫女装束の場合がある。防衛大学校では校長(防大は大学校であるため呼称も違う)の祝辞の後で卒業生一同が正帽を宙に投げ、そのまま講堂から飛び出して行く事で知られている(アメリカの陸軍士官学校での風習をそのまま頂いたものである。残された帽子は貸与品である為在校生によって回収される)。

証書授与のスタイル

卒業式のメインである「卒業証書授与」では、学校ならびにその規模により、授与のスタイルが異なる。

  • 全員が壇上で授与を受ける
予め決められたコースを壇上に向かって順番に進み、校長から授与を受ける。その際「5人前の者が証書を受け取ったら起立する」など、手順が細かく決められる。担任が司会の教務主任にかわって司会台に立ち、学籍簿を元に順番に指名し(この部分、本節において全て同じ)返事をして起立をするパターンも多い。壇上での礼について、授与を受けた者とこれから授与を受ける者2名が並び、同時に校長に一礼するところもある。きわめて機械的な進行である。筒に丸めてリボンで止めた証書を、校長が卒業生に左手で渡しつつ右手で握手するアメリカ式(大学、士官学校での様子)を行なう学校もある。
  • クラスの代表が壇上で授与を受ける
学級担任が出席番号順に氏名を読み上げ、呼ばれた生徒は返事をして起立する。最後に「代表者」が指名され、この代表者が壇上で、クラスの代表として人数分の卒業証書を授与される。この場合、前項のように「壇上で並んで礼」ではなく、代表者以外は自分の席で一礼する。クラスごとに「読み上げ」「授与」が行われる。
  • 学科や学校の代表が壇上で授与を受ける
大学など人数が多いところでは、学科単位、あるいは学校全体の代表(総代表)に授与するスタイルが採用される。
学位を認定する学校の場合、卒業証書と学位記が授与されるが、それぞれ個別の証書とする学校と、1枚の「卒業証書・学位記」とする学校がある。

卒業式に歌われる歌

幼稚園・保育園の卒園式では、「おもいでのアルバム」など、幼稚園・保育園生活を四季ごとに辿り、もうすぐ小学校1年生になるという内容の歌詞の歌が歌われる事が多いようである。

小学校以降では、国歌・校歌に加え、かつては「蛍の光」や「仰げば尊し」などが広く歌われたが、近年では他の歌に変わる傾向が強く(ソース)、「旅立ちの日に」「マイバラード」などの、教師が作った歌がよく歌われるようになっている。学校によっては、教職員と児童生徒が交互に多数の歌を斉唱し、式次第(プログラム)において「卒業(式)の歌斉唱」と記す学校も見られた。

現在は、校長・来賓による祝辞や、生徒間での送辞・答辞、卒業に当たって実施される各種表彰などが中心となり、国歌・校歌以外の歌を多数採用する学校は少なくなっている。

下述するように国歌に関する問題が発生していることもあるが、学習指導要領に則り粛々と斉唱する学校は多くなっている。

卒業式における問題

学生運動による卒業式中止

1968年安田講堂での卒業式実力阻止を図った学生運動によって、東京大学の卒業式が中止になった。

日章旗の掲揚や君が代の斉唱における問題

学習指導要領では、「その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と定められている。1990年代以降、この要領に卒業式(及び入学式)における日章旗の掲揚、君が代の斉唱が指示されている事について、これを「強制」であると主張し、国旗掲揚・国歌斉唱に反対する教師が存在する。これに関連して、様々な問題が発生している。

卒業式ガイドラインのようなものを策定するなどして、各学校・校長へ指示・指導を行っている都道府県あるいは市区町村の教育委員会もある。ガイドラインとは、例えば以下のような内容のものである。

  1. 式場正面中央に日章旗を掲揚し、児童・生徒は日章旗に正対する。
  2. 式次第に「国歌斉唱」と明記する。
  3. 君が代の斉唱は教師のピアノ演奏で行い、一同起立し、日章旗に注目する。
  4. 警備要員を除く全教職員が参列する。

しかし、教職員や児童・生徒の中には、「『思想・信条の自由』に反し不服である」などとして、君が代斉唱時の起立をしなかったり、君が代を斉唱しなかったりする者もいる。教職員のこれらの意見や行動は、日本国内の教育の場に対して混乱を招いているとして、教育委員会が前述のガイドラインを職務命令とし、これに反する教職員を訓告・戒告・減給等の処分にする例が年々増加している。

東京都では東京都教育委員会(都教委)が、都立高校の卒業式(入学式も)において、国旗を壇上向かって左側に掲げ、国歌斉唱の際は国旗に向かって起立し、ピアノ伴奏を伴って歌うこととしており、これに違反した者は職務上の責任を問われる(懲戒処分など)としているが、これに対して反発する一部の教職員もいる。違反を理由に処分された教職員らは、都は日本国憲法第19条に定める思想・良心の自由を侵しているとして、都教委を相手に処分の取り消しなどの裁判を起こしており、東京地裁において、原告の教師側が勝訴したこともある(詳しくは国旗及び国歌に関する法律を参照)。

これらの件に関連して、国旗及び国歌に関する法律(国旗国歌法・平成11年8月13日法律第127号)制定における答弁の中で、時の首相小渕恵三は「教育現場に強制をするものではない」としているが、同じく時の文部省教育助成局局長・矢野重典(のち、文部科学審議官、独立行政法人日本学生支援機構理事を経て公立学校共済組合理事長)は、参議院国旗・国歌特別委員会で、学校での日章旗掲揚や君が代斉唱の指導について「教職員が国旗・国歌の指導に矛盾を感じ、思想・良心の自由を理由に指導を拒否することまでは保障されていない。公務員の身分を持つ以上、適切に執行する必要がある」と述べている。

なお、大学の卒業式では国立大学法人といえども国旗掲揚や国歌斉唱がなされない事が多い。

脚注

参考文献

関連項目

個人用ツール