優駿牝馬

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Template:競馬の競走 [[ファイル:The_70th_Yushun_Himba_20090524R1.jpg|thumb|200px|第70回優駿牝馬(2009年5月24日)
手前:ブエナビスタ、奥:レッドディザイア]] 優駿牝馬(ゆうしゅんひんば)とは日本中央競馬会(JRA)東京競馬場2400mで施行する中央競馬重賞GI競走である。正賞は内閣総理大臣賞日本馬主協会連合会会長賞。

イギリスのオークスステークスを範としているため、日本国内ではこの競走の副称をオークスとしている。日本中央競馬会は提供のテレビCMで「オークス」とのみ表記ならび呼称をし、英語表記をするときは「Yushun Himba(Japanese Oaks)」としている。

目次

概要

1938年イギリスクラシック競走であるオークスステークスを範として4歳(現3歳)牝馬限定の定量の重賞競走阪神優駿牝馬として創設、第1回は現在とは違い鳴尾競馬場の土2700mで施行され東京優駿競走横浜農林省賞典4歳呼馬中山4歳牝馬特別京都農林省賞典4歳呼馬と並び国営競馬の五大競走(五大クラシック競走)の1競走とされた。

1940年からは施行距離を芝2450mに変更するが1943年には芝2400mに変更、1944年太平洋戦争(戦時中)の影響により1945年は太平洋戦争及び終戦におけるアメリカ進駐軍の競馬場の占領により開催中止、1946年10月17日からの国営競馬再開に伴い施行場を東京競馬場に変更(コース・距離は芝2400m)、それに伴い名称を「優駿牝馬」に変更した。1953年からは10月の秋季開催から現在の5月の春季開催に変更、1965年からはオークスの副称が付き1968年東京競馬場のスタンド改築工事の影響により1ヶ月遅れの6月30日に施行、また1972年は流行性の馬インフルエンザの影響で7月2日に順延開催された。なお東京優駿の前週に行われる関係上、前述のように施行競馬場が変更されたことはあるがスタンド改修などで他の競馬場で代替開催になったことは一度もない。

1976年からはエリザベス女王杯の新設に伴い桜花賞とエリザベス女王杯と共に牝馬三冠競走を構成する事になる(牝馬三冠という表現が定着したのは1986年メジロラモーヌが三冠を達成した時から)。

1984年のグレード制施行により最も格の高いGIに格付けられ、1995年からは指定競走となり地方所属の競走馬も出走可能になった。1996年からはエリザベス女王杯が古馬の出走可能な競走になったことにより、同競走に代わって新設された秋華賞を含めて牝馬三冠競走を構成することになった。2003年からは外国産馬の活躍による出走資格の見直しの一環により外国産馬が2頭が出走可能になり、2006年からは5頭に拡大された。

開催時期に関しては原則として東京優駿(日本ダービー)の開催前週の日曜日となっているが1996年高松宮杯(現・高松宮記念)がGIに昇格したことを受け、開催日を5月に繰り上げてから本競走を5月最終日曜(旧来の東京優駿の開催日)に繰り下げたことがあった。しかし高松宮記念は2000年に3月開催となったため、元の開催日に戻した。

中央競馬が誇る八大競走の1競走で桜花賞・秋華賞とで中央競馬の牝馬三冠競走を構成し、更にはエリザベス女王杯を含め牝馬四冠競走と呼ばれることもある。また桜花賞は「桜の女王決定戦」と呼ばれるが、本競走は副称のオークスの意味から「樫の女王決定戦」と呼ばれる。

牝馬路線の競走形態上、施行距離となる芝2400mが出走馬にとって初めての場合が多く競馬中継では「2400mは未知の世界」と言われる。距離適性などの理由で桜花賞の優勝馬がこの競走で敗れることも少なくなく、一生に一度きりの距離となる出走馬もいる。また一般的に牝馬にとって2400mは過酷ともいえ、このレースの優勝馬が疲労残りでその後惨敗続きになってしまったとされるケースが多い。しかしエアグルーヴブエナビスタのように優勝後に更なる飛躍をとげた馬も少なからず存在する。

桜花賞・皐月賞・優駿牝馬・東京優駿のいずれかの2つのクラシック競走とNHKマイルカップを含めて変則三冠競走と呼ぶ者もいる。

出走資格はサラブレッド系3歳(旧4歳)のJRA所属の牝馬の競走馬、地方所属の牝馬の競走馬(5頭まで)及び外国調教馬の牝馬の競走馬(外国産馬と合わせて最大9頭まで)。出走可能頭数は18頭までで優先出走権取得馬(最大9頭)が優先で出走でき、残りの枠(最低9枠)は総収得金額上位の馬から出走できるが残る枠が複数の同収得金額馬だった場合は抽選で出走馬が決まる。

負担重量は定量で55kgである。

総額賞金は1億8470万円で1着賞金9700万円、2着賞金3900万円、3着賞金2400万円、4着賞金1500万円、5着賞金970万円と定められている。

現在の優勝レイは桃色地に金色文字となっている。

主な前走

トライアル競走

以下は優駿牝馬の優先出走権の得られる競走。

競走名格付施行競馬場施行距離競走条件
桜花賞GI阪神競馬場芝1600m国際競走
フローラステークスGII東京競馬場芝2000m国際競走
スイートピーステークスOP東京競馬場芝1800m指定競走

桜花賞は4着まで(内国産馬・外国産馬問わず)、フローラステークスは3着まで(内国産馬、外国産馬問わず)、スイートピーステークスは2着まで(外国産馬はスイートピーステークスに出走できない)に優先出走権が与えられる。地方馬は上記の競走で優先出走権を得た馬に限り出走できる。

トライアル以外から

競走名格付施行競馬場施行距離競走条件優勝馬輩出実績
忘れな草賞OP阪神競馬場芝2000m指定競走チョウカイキャロルエリモエクセル

太字は同レース勝ち馬。トライアル以外では桜花賞の同じ週に開催されている忘れな草賞から向かう馬が好成績を収めている。

歴史

  • 1938年 - 鳴尾競馬場の4歳(現3歳)牝馬限定の定量の土2700mの重賞競走「阪神優駿牝馬」として創設。
  • 1939年 - 1着入線のヒサヨシが薬物使用により失格(ヒサヨシ事件)。
  • 1940年 - 施行距離を芝2450mに変更。
  • 1943年
  • 1944年 - 太平洋戦争の影響で中止。
  • 1945年 - アメリカ進駐軍の競馬場占領により中止。
  • 1946年
    • 施行場を東京競馬場に変更。
    • 名称を「優駿牝馬」に変更。
  • 1948年 - 大久保房松が調教師として2人目の連覇。
  • 1953年 - それまでの秋季から春季の競走に変更。
  • 1960年 - 前年の9月1日から日本競馬の時計が変更になったのに伴い、時計表示が1/5秒表示から1/10秒表示に変更。
  • 1965年 - 「オークス」の副称が付く。
  • 1968年 - 東京競馬場のスタンド増築工事の影響により1ヶ月の順延開催。
  • 1972年 - 流行性のインフルエンザの影響で2ヶ月の順延開催。
  • 1973年 - 稲葉幸夫が調教師として3人目の連覇。
  • 1974年 - 嶋田功騎手として史上初の3連覇。
  • 1983年 - 当競走で史上最多の28頭が出走。なお、1985年も28頭が出走した。
  • 1984年 - グレード制施行によりGIに格付け。
  • 1992年 - 馬番連勝複式勝馬投票券の導入に伴い、出走可能頭数を現在の18頭に削減。
  • 1995年 - 指定交流競走となり、地方所属馬にも門戸が開放される。
  • 1996年 - 5位入線のノースサンデーが進路妨害により12着に降着。
  • 1998年 - 優駿牝馬開催当日の全体の競走数が12に伴い、当競走のレース番号を第10競走から第11競走に変更。
  • 2001年
    • 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走条件が「4歳牝馬」から「3歳牝馬」に変更。
    • ケント・デザーモがJRA史上初となる外国人騎手によるクラシック競走制覇。
  • 2003年 - 外国産馬の出走枠が制限付きで最大2頭まで出走可能となる。
  • 2005年 - 外国産馬の出走枠を最大4頭に拡大。
  • 2006年 - 外国産馬の出走枠を最大5頭に拡大。
  • 2007年
  • 2008年 - 外国産馬の出走枠を最大7頭に拡大。
  • 2009年 - 安藤勝己が49歳と51日で優勝し、自らが持つクラシックレースの最年長優勝記録を塗り替える。
  • 2010年

歴代優勝馬

国際競走となった2010年以降は優勝馬の国旗を表記する。

回数施行日優勝馬性齢勝時計優勝騎手管理調教師馬主
第1回1938年11月23日アステリモア牝32:57 2/5保田隆芳尾形景造タイヘイ
第2回1939年10月1日ホシホマレ<ref>第2回は1位入線のヒサヨシが競走後、薬物使用が判明して失格。2位入線のホシホマレが繰り上がりで優勝。そのため正確な勝時計が存在しない。</ref>牝32:55 3/5
+ 大差
佐々木猛大久保房松ハクヨウ
第3回1940年10月6日ルーネラ牝32:38 0/5近藤貞男青池良佐天野弥三郎
第4回1941年10月5日テツバンザイ牝32:43 1/5稲葉幸夫鈴木甚四郎
第5回1942年10月11日ロツクステーツ牝32:39 0/5玉谷敬治尾形景造吉田善助
第6回1943年10月3日クリフジ牝32:34 0/5前田長吉尾形景造栗林友二
第7回1946年11月24日ミツマサ牝32:46 2/5新屋幸吉上村大治郎東浜一行
第8回1947年10月19日トキツカゼ牝32:40 2/5佐藤嘉秋大久保房松川口鷲太郎
第9回1948年11月14日ヤシマヒメ牝32:32 0/5佐藤嘉秋大久保房松小林庄平
第10回1949年11月13日キングナイト牝32:38 0/5高橋英夫函館孫作浜谷年雄
第11回1950年11月19日コマミノル牝32:38 0/5渡辺正人西塚十勝山内伝作
第12回1951年11月18日キヨフジ牝32:33 4/5阿部正太郎田中和一郎山口茂治
第13回1952年10月5日スウヰイスー牝32:31 2/5八木沢勝美松山吉三郎高峰三枝子
第14回1953年5月17日ジツホマレ牝32:36 3/5杉村一馬杉村政春中塚志つゑ
第15回1954年5月22日ヤマイチ牝32:39 0/5八木沢勝美尾形藤吉永田雅一
第16回1955年5月28日ヒロイチ牝32:32 4/5岩下密政矢倉玉男吉田一太郎
第17回1956年5月27日フエアマンナ牝32:33 4/5佐藤嘉秋大久保房松小林庄平
第18回1957年5月19日ミスオンワード牝32:32 0/5栗田勝武田文吾樫山純三
第19回1958年5月18日ミスマルサ牝32:33 0/5八木沢勝美古賀嘉蔵木村健次
第20回1959年5月17日オーカン牝32:33 4/5清田十一伊藤勝吉吉田一太郎
第21回1960年5月22日スターロツチ牝32:33.4高松三太松山吉三郎藤井金次郎
第22回1961年5月21日チトセホープ牝32:32.5伊藤修司伊藤勝吉野間勘一郎
第23回1962年5月20日オーハヤブサ牝32:31.9藤本勝彦藤本冨良笠木政彦
第24回1963年5月19日アイテイオー牝32:32.4伊藤竹男久保田金造伊藤忠雄
第25回1964年5月24日カネケヤキ牝32:31.1野平祐二杉浦照金指吉昭
第26回1965年5月23日ベロナ牝32:31.3加賀武見田中和夫田中はな
第27回1966年5月22日ヒロヨシ牝32:36.2古山良司久保田彦之勝川玉子
第28回1967年5月13日ヤマピツト牝32:29.6保田隆芳浅見国一小林信夫
第29回1968年6月30日ルピナス牝32:31.6中野渡清一茂木為二郎藤田正明
第30回1969年5月18日シャダイターキン牝32:32.4森安重勝尾形藤吉吉田善哉
第31回1970年5月17日ジュピック牝32:40.6森安重勝工藤嘉見松井照夫
第32回1971年6月6日カネヒムロ牝32:36.0岡部幸雄成宮明光金指利明
第33回1972年7月2日タケフブキ牝32:28.8嶋田功稲葉幸夫近藤たけ
第34回1973年5月20日ナスノチグサ牝32:28.9嶋田功稲葉幸夫那須野牧場
第35回1974年5月19日トウコウエルザ牝32:29.1嶋田功仲住達弥渡辺喜八郎
第36回1975年5月18日テスコガビー牝32:30.6菅原泰夫仲住芳雄長島忠雄
第37回1976年5月23日テイタニヤ牝32:34.4嶋田功稲葉幸夫原八衛
第38回1977年5月22日リニアクイン牝32:28.1松田幸春松田由太郎桶谷辰造
第39回1978年5月21日ファイブホープ牝32:30.2横山富雄山岡寿恵次榊原富夫
第40回1979年5月20日アグネスレディー牝32:29.6河内洋長浜彦三郎渡辺孝男
第41回1980年5月18日ケイキロク牝32:32.3岡部幸雄浅見国一内田敦子
第42回1981年5月24日テンモン牝32:29.5嶋田功稲葉幸夫原八衛
第43回1982年5月23日シャダイアイバー牝32:28.6加藤和宏二本柳俊夫吉田善哉
第44回1983年5月22日ダイナカール牝32:30.9岡部幸雄高橋英夫(有)社台レースホース
第45回1984年5月20日トウカイローマン牝32:31.9岡冨俊一中村均内村正則
第46回1985年5月19日ノアノハコブネ牝32:30.7音無秀孝田中良平小田切有一
第47回1986年5月18日メジロラモーヌ牝32:29.6河内洋奥平真治(有)メジロ牧場
第48回1987年5月24日マックスビューティ牝32:30.9田原成貴伊藤雄二田所祐
第49回1988年5月22日コスモドリーム牝32:28.3熊沢重文松田博資田邉廣己
第50回1989年5月21日ライトカラー牝32:29.0田島良保清田十一伊藤照三
第51回1990年5月20日エイシンサニー牝32:26.1岸滋彦坂口正則平井豊光
第52回1991年5月19日イソノルーブル牝32:27.8松永幹夫清水久雄磯野俊雄
第53回1992年5月24日アドラーブル牝32:28.9村本善之小林稔根岸治男
第54回1993年5月23日ベガ牝32:27.3武豊松田博資吉田和子
第55回1994年5月22日チョウカイキャロル牝32:27.5小島貞博鶴留明雄新田嘉一
第56回1995年5月21日ダンスパートナー牝32:26.7武豊白井寿昭吉田勝己
第57回1996年5月26日エアグルーヴ牝32:29.1武豊伊藤雄二吉原毎文
第58回1997年5月25日メジロドーベル牝32:27.7吉田豊大久保洋吉メジロ商事(株)
第59回1998年5月31日エリモエクセル牝32:28.1的場均加藤敬二山本慎一
第60回1999年5月30日ウメノファイバー牝32:26.9蛯名正義相沢郁梅崎敏則
第61回2000年5月21日シルクプリマドンナ牝32:30.2藤田伸二山内研二(有)シルク
第62回2001年5月20日レディパステル牝32:26.3K.デザーモ田中清隆(株)ロードホースクラブ
第63回2002年5月19日スマイルトゥモロー牝32:27.7吉田豊勢司和浩飯田正剛
第64回2003年5月25日スティルインラブ牝32:27.5幸英明松元省一(有)ノースヒルズマネジメント
第65回2004年5月23日ダイワエルシエーロ牝32:27.2福永祐一松田国英大和商事(株)
第66回2005年5月22日シーザリオ牝32:28.8福永祐一角居勝彦(有)キャロットファーム
第67回2006年5月21日カワカミプリンセス牝32:26.2本田優西浦勝一三石川上牧場
第68回2007年5月20日ローブデコルテ牝32:25.3福永祐一松元茂樹前田幸治
第69回2008年5月25日トールポピー牝32:28.8池添謙一角居勝彦(有)キャロットファーム
第70回2009年5月24日ブエナビスタ牝32:26.1安藤勝己松田博資(有)サンデーレーシング
第71回2010年5月23日Template:Flagiconアパパネ牝32:29.9蛯名正義国枝栄(株)金子真人ホールディングス
Template:Flagiconサンテミリオン横山典弘古賀慎明吉田照哉

優駿牝馬の記録

  • レースレコード - 2:25.3(第68回優勝馬ローブデコルテ)
  • 2着との最大着差 - 大差(第8回優勝馬トキツカゼ)
  • 最高勝馬投票券売上げ - 361億8934万5100円(第55回競走、優勝馬チョウカイキャロル)
  • 当日の最高観客入場総数 - 174,446人(第55回競走)
  • 最多優勝騎手 - 嶋田功 5勝(第33~35、37、42回)
  • 最多連続優勝騎手 - 嶋田功 3連覇(第33~35回)
  • 最多勝調教師 - 5勝 尾形藤吉(第1、5、6、15、30回) 稲葉幸夫(第4、33、34、37、42回)

母仔制覇

過去に2組の優駿牝馬母仔制覇の例がある。

母馬名優勝回子馬名優勝回
1組目クリフジ第6回ヤマイチ第15回
2組目ダイナカール第44回エアグルーヴ第57回

デビューから無敗制覇

過去に4頭がデビューから無敗で優駿牝馬を制覇している。

優勝回馬名無敗成績備考
1第6回クリフジ5戦5勝第12回東京優駿競走優勝
第6回京都農商省賞典4歳呼馬優勝
2第7回ミツマサ4戦4勝
3第18回ミスオンワード8戦8勝
4第67回カワカミプリンセス4戦4勝第11回秋華賞優勝

外国産馬による制覇

優勝回馬名備考
1第68回ローブデコルテ

騎手の父子制覇

優勝回優勝回
横山富雄第39回(ファイブホープ)横山典弘第71回(サンテミリオン)

本競走からの秋華賞・エリザベス女王杯の制覇

日本の牝馬二冠馬を参照。

地方競馬の「オークス」

地方競馬でもオークスを範した競走がある。地区内での中央競馬の優駿牝馬と同等の機能を持った競走に設定されている。以下は2006年現在施行されている競走のみ。

注釈

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関連項目

外部リンク

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