人形

出典: Wikipedio


人形(にんぎょう、ひとがた)は、狭義には人間の姿を、広義には人間以外の動物や架空の生物も含めて、それらの姿に似せて作られた物をさす。

人形の作成は、古くは先史時代から始まり、いずれの時代でも作られ、人間の文化活動の本質的なものであるといえる。

現代の人形の主な用途は、祭礼などの宗教行事や伝統行事、文楽などの人形劇で使われる他、玩具、土産物、芸術作品など、さまざまな分野がある。

目次

人形の使用目的

玩具としての用途の人形

thumb|none|200px|マトリョーシカ thumbnail|none|160px|大祓の人形(ひとがた) [[ファイル:A doll of a festival of Tochigi,kan-u-uncyo,tochigi-city,japan.jpg|thumbnail|none|150px|祭礼山車に飾られる人形(とちぎ秋まつり)]]

thumbnail|none|160px|横断旗入れ(裾)を兼ねた交通安全人形(奈良県)

古来から人形は子供の遊び道具として与えられ、使用された。日本各地に現在も存在する「郷土人形」は幼い子どもの玩具として非常に大切にされた。日本では主に木製や土製の素材に胡粉などで着彩をした人形が多いが、工芸品として精巧に作られた物もあり、戦後からは美術品として扱われる郷土人形もある。江戸時代に普及した女児向けの人形に「姉様人形」がある。和紙と千代紙で造られた素朴だが優雅な人形は、裕福な武家や商家の子女に大切にされた。代表的な遊び方としては、人形を擬人化して日常生活を再現する「ままごとあそび」や、時代がかなり後の近代からは布製の「文化人形」で遊ぶことが普及した。人形の衣服を交換し組み合わせなどを楽しむ「着せ替えあそび」などは、戦後に日本全国で広まった。

現代での「着せ替えあそび」は、合成樹脂製のきせかえ人形で遊ぶ。後述のマネキンと類似し衣服を着せたり、脱衣の状態にできる場合が多い。複数の付属品の衣装があり、それはほぼ現実の人間の衣服に似せている。着脱には背面に付けられたマジックテープスナップを使う。大体、1960年代頃から生活の西洋化とともに普及し、製品には「スカーレットちゃん」やリカちゃん人形バービー人形などがある。高度経済成長と相まって、庶民のファッションの隆盛とともに人形の衣服も華やかさを増していった。

観賞人形

アンティーク・ドール日本人形のような伝統的な美術工芸品としての価値の高いものや、マトリョーシカこけしのように造形に特色のある工芸品の人形などは、ガラスケースなどに入れてインテリアとして飾ることもある。

日本では、雛祭り端午の節句のような伝統的な行事に特別につくられた美術価値の高い、人形を飾ることがならわしである。

祭礼用途の人形

古代では、人形は他人に呪いをかけるための呪詛の道具や、人間の身代わりに厄災を引き受けてくれる対象物として使われた。

前者の例としては藁人形ブードゥー教の泥人形、後者の例では和紙の流し雛などが挙げられる。 後者のうち、現代でも神道大祓等で用いられる和紙のものは、通常同じ字で「ひとがた」と呼び分けたり、「形代」(かたしろ)と称したりする。

商業用途の人形

洋服や呉服などの衣料品を販売する場で、商品を着用させて顧客に着用イメージを伝達する効果を目的にした人形が存在する。これらの衣料品販売店などで使用されるマネキン人形は衣服の展示や紹介を目的とし、美術のデッサンで使用されるデッサン人形などは人間のモデル代わりに用いることで手元でフォルムの確認ができることや、動作のないという利点がある。

また特定の店舗(多くはチェーン店)のシンボルとして人形が置かれることもある。不二家の「ペコちゃん」、佐藤製薬の「サトちゃん」、ケンタッキーフライドチキンの「カーネル・サンダース」、くいだおれの「くいだおれ太郎」、ジャパンの「さわやか親父」など。

かかし人形

農産物生産の現場(田んぼ等)で、作物を荒らすスズメツバメを追い払うため使われる。数体規模で立てられている場合が多い。近年はマネキンの流用であったり衣服に工夫が凝らされるなど、艶やかに多様化していて、コンテストを行っている自治体もある。

交通関連の人形

  • 工事現場では、交通誘導を促す電気仕掛けの人形があり、ライトを明滅させるだけでなく、腕を半円状に動かすものもある。
  • 交通安全キャンペーン
    • 歩行者飛び出し注意を促す目的として、児童アニメ作品の人気キャラクターを模した人形が使われている事がよくある。道路横断時の横断旗入れを兼ねていることもある。
    • 車の速度注意を促す目的として、警察官を模した人形が使われる事がよくある。

考古学における人形

考古学における出土遺物としての人形には、祭祀用途の土偶や木製人形(ひとがた)、副葬品としての埴輪等があげられる。

人形に見る歴史(生活・風俗)

財団法人人形美術協会は、日本有数の古人形コレクションである「観方コレクション」を所蔵している。日本画家であり、風俗研究家であった故・吉川観方氏が、生涯をかけて蒐集した古人形の集大成こそ「観方(かんぽう)コレクション」である。

吉川観方により収集された人形コレクションは、宮家公家武家等に伝わった古典人形から、一般庶民の暮らしと共にあった素朴な郷土人形など種類も多岐にわたっており、質、量ともに日本随一である。

観方コレクションは、儀礼用、愛玩用、装飾用、鑑賞用、美術工芸品というように幾つにも分かれ、平安時代から発展してきて江戸時代に至った、日本の人形の歴史がわかると同時に、人々の生活の歴史や風俗がうかがえる。コレクションは、伝来・製作年代・作者等が明らかなものも多く、人形美術協会ではこの貴重な文化遺産であるコレクションの保存と研究にも力を入れているという。

観方コレクションは、以下の9つの人形カテゴリーに分類収集されている。

  1. 古代人形(ひとがた)
  2. 御所人形
  3. 加茂人形
  4. 奈良人形
  5. 嵯峨人形
  6. 衣装人形
  7. 美女人形と役者人形
  8. 機巧(からくり)人形
  9. 土人形(つちにんぎょう)

収集目的の人形

また、戦後に日本で製作・販売された、ビニール製人形やブリキ製の人形などの玩具人形を集めるマニアックな大人のコレクターも存在するなど、今では、遊びの域を超える玩具人形がある。希少な人形(フィギュア)である場合、何十万円などの高値で取引される場合がある。またコレクターは30代、40代など一定以上の経済力を持つ男性が多いTemplate:要出典

実験目的の人形

主に自動車の衝突実験等の時に、運転者や同乗者に見立てて車両に人形を乗せて、実験を行う事があり、クラッシュダミーと呼ばれる。他にも自動車に跳ね飛ばされた場合などに、身体のどの部分に大きなダメージが加わるかを実験する為に利用する事もある。

関連項目

人形の種類

伝統的な和人形

thumb|160px|none|Tchantches [[ファイル:ナナちゃん人形.jpg|thumbnail|none|160px|ナナちゃん人形(名古屋駅前・名鉄百貨店本店ヤング館)]]

操り人形

人形の商標

その他特殊な種類の人形など

人形作家

人形に関連する概念

その他周辺概念など

派生事項

以下では「人形に題を取った作品」などを列挙する。 「人形を用いたテレビ番組」などについては人形劇の項を参照されたい。

地名

東京都中央区日本橋人形町
かつて周辺で人形芝居が行われていた事や、人形を作るのに従事する人も多くいた事による。
埼玉県鴻巣市人形
ひな人形製造業者が軒を連ねていたことにちなむ。
人形峠
岡山県鳥取県県境に位置する。おとりの人形を使って化け物退治をしたという伝説による。

文学

音楽

漫画

映画

外部リンク

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