京王7000系電車

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京王7000系電車(けいおう7000けいでんしゃ)は1984年昭和59年)から1996年平成8年)にかけて190両が製造された京王電鉄通勤形電車

  • 本項では新宿方の電動車車両番号を編成名表記(例:7001F、末尾の「F」は編成を意味するFormationの頭文字)とする<ref>文献によっては新宿方先頭車の車両番号を編成表記とすることもあり、この場合は7001Fは7701F、7201Fは7801Fとなる。</ref>。

目次

概要

京王線系統用の車両としては初のオールステンレス車体を採用し、6000系に比べて車体寿命が長くなった。また、同形式と同様界磁チョッパ制御を採用している。冷房装置などに電力を供給する補助電源装置は7010Fまでがブラシレス電動発電機 (BLMG) 、それ以外の編成は静止形インバータ (SIV) を採用しているが、更新工事の際にBLMGからSIVに交換した車両もある。空気圧縮機 (CP) は1985年度までの新製車がHB-2000型、1986年度以降は低騒音化を図ったHS-20D型が基本だが、こちらも交換されて当てはまらない車両がある。台車6000系と同系のペデスタル方式軸箱支持(軸ばね)+車体直結空気ばね懸架のTS-823型台車電動車付随車用)とTS-824型台車(制御車用)を用いている。

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登場時のスタイル(1988年、若葉台駅にて撮影)
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7010F旧塗装(2002年5月19日、明大前 - 下高井戸間にて撮影)
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左側がビードプレス仕上げ、右側がコルゲート仕上げ(2007年7月5日、明大前駅にて撮影)

先頭車正面は、6000系と異なり窓サイズが左右対称である。1986年までに登場した車両は当初全面がステンレス地の銀色で、コーナー部は銀色に塗装したFRPであったが、線路内保守作業者にわかりやすいように1990年までに窓下などへのアイボリー塗装を施した。当初は幌枠の部分のみ銀色とされたが、後にこの部分もアイボリー塗装とした。前面窓上には中央に行先表示器、車外から見て右側に種別表示器がある。前照灯尾灯は窓下にある。乗務員室の構造は中央貫通式だが、中央寄りに仕切り戸がなく、他の編成を連結する際に貫通路として使用することは想定されていない。ヘッドマークを使用する場合は貫通扉に取り付ける。客室と乗務員室仕切りには窓が3か所あり、このうち中央の乗務員室扉は角が丸い。遮光幕など各系列の共通事項については京王電鉄の車両を参照。運転台は低運転台構造で、同形式の非乗り入れ車と同様に黒地の速度計ATS照査速度表示あり)を中心にまとめられたものであり、TNSはデスク左側に置かれている。

車体側面は、6両編成の7001 - 7005Fと8両編成の7006 - 7015Fがコルゲート仕上げ、10両編成の7021 - 7025F・4両編成の7201 - 7205F・2両編成の7421 - 7425Fがビードプレス(下4本・上2本)仕上げとなっている。同様の変化は、ほぼ同時期に製造されていた東武10000系電車にも見られる<ref>本系列と異なるのはビードプレス仕上げの車体が10030系の称号を名乗る点である。</ref>。客室側窓は1枚下降式であり、1つ1つ独立している。戸袋窓は乗務員室直後部分のみ設置されていない。幕板部中央には、縦二段となった車側灯を挟んで種別表示器と行先表示器が配置されている。このうち7021Fと7023Fは幕のサイズはそのままで枠の拡大が行われている<ref>更新工事施工後の2007年12月に実施。</ref>。転落防止幌は灰色のものが後付けで設置され、全車側面から見ると長方形のものである。前者と後者では、先頭車の標識灯の処理や前面アンチクライマーの構造など細部が異なる。このうち、2・4両編成と7021 - 7025Fの8→10両編成化用車両は当時投入されつつあった8000系と同様の白色系の内装<ref>それ以外の編成は濃いクリーム色で落成した。</ref>で落成した。

7001Fを除き、2002年に全編成の帯色を8000系と同じ京王CIカラーの濃いピンクと紺色の2色に変更した。以前にも1990年の相模原線全通に伴う記念列車運行で7024Fについても当日のみ2色帯を採用したが、現行のものとは異なっていた。7001Fは2001年に実施された更新工事により帯色の変更が実施され、7002Fの更新工事の際に帯色を変更したことで全編成の帯色の変更が完了した。この2編成以外の帯色は更新工事等とは無関係に変更された。

事故などによる廃車は発生せず、初期車は新製以来20年以上が経過しているが、オールステンレスカーであるため内装も含めた大規模なリニューアルを施工している(後述)。リニューアル車以外でも検査入場時に合わせてパンタグラフの交換(菱形→シングルアーム式)、種別・行先表示器英字表記入りへの交換、側面車両番号表記の書体変更<ref>一部車両は新製時、改番時から新字体を採用。</ref>を実施している。前面の車両番号表記は7025Fと2・4両編成がヘルベチカ、それ以外の編成が角ばったオリジナル書体である。以前は側面もオリジナル書体で、また旧英文社名「Keio Teito Electric Railway Co., Ltd.」に由来する「K.T.R.」プレートがつけられていたが、車両番号はヘルベチカに、「K.T.R.」はKEIOロゴのプレートに付け替えられている(7025Fと2・4両編成のKEIOロゴは直接表記されている)。種別・行先表示器は全車字幕式(後述する更新工事でLED化された車両も存在する)で、書体は新ゴであり、行先(新線系統を除く)は前面の黒地に対し側面は白地で表示される。

運転台

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運転台(クハ7760)

運転台は6000系とほぼ同様のワンハンドル型主幹制御器を使用している。低運転台で、色は黒色である。ブレーキ装置は全電気指令式となっている。TNS<ref>トレイン・ナビゲーション・システム(Train Navigation System)。次駅や停車駅、時刻を表示する画面。</ref>は6000系と同様、運転台デスクのマスコン左側に設置されている。


室内

室内は、6000系とは異なり着席区分を明確にするため1人分ずつ縫い目が入るオレンジ色モケットのロングシートで、冷房ダクトを埋め込んだ平天井構造となり、暖色系の床材も2色に区分した。側扉内側は更新車も含めてステンレス地で、側扉窓の支持方法は内側からの金属押さえである。更新車は配色が異なる(後述)。中間車端部は狭幅の貫通扉があり、その窓は長くないものであるが、妻窓は設置している。枕木方向のつり革はなかったが、一部の編成に三角形のつり革が枕木方向に増設されている。

車内の様子

編成

2008年現在、6両編成5本(30両、7001F - 7005F)、8両編成10本(80両、7006F - 7015F)、10両編成5本(50両、7021F - 7025F)、4両編成5本(20両、7201F - 7205F)、2両編成5本(10両、7421F - 7425F)の計30本190両が在籍する。スカート(排障器)は後述の新造設置編成以外も後付けで設置されて、灰色塗装で自動連結解放装置の有無にかかわらず、同装置が収まる位置に切り欠けのあるものを使用している。

6両編成(7001F - 7005F)

1984年にMT比3M2Tの5両編成で新造された。1987年に中間電動車を挿入して6両化した。クハ7750形に補助電源装置を搭載するのが特徴である。全編成とも後述のリニューアル工事を施工しているが、時期によってその内容には違いがある。

このグループと次項の8両編成のグループは前面貫通扉に幌台座を備えており、運転台仕切りを増設し貫通幌を装備すれば他編成と併結の際も全車両を貫通することが可能である。

8両編成(7006F - 7015F)

1984年に7006F - 7010F、1986年に7011F - 7015Fが新造された。このうち7006F - 7012Fは5両編成、7013F - 7015Fは8両編成での落成である。5両編成の7006F - 7012Fは1987年に6両化、1990年には7011Fと7012F、1992年には7006F - 7010Fが、それぞれ8両化された。この増備車は後述のビードプレス車体のグループと同時期の落成だが、編成を組む相手に合わせてコルゲート車体とした。

7006F - 7012Fは、編成両数が長くなる度に補器類の機器配置の変更や改番が行われるなど、改造箇所が多いグループである。

10両編成(7021F - 7025F)

1987年から1991年にかけて8両編成5本が新造され、1996年に中間車2両を挿入して現行の10両固定編成となった。コルゲート車体からビードプレス車体に変更し、種別灯が方向幕の横に埋め込まれ、幌台座も廃止されるなど、外観上の変更点が多い。そのため俗に7020系とも呼ばれる事がある。1987年から1988年に新造された7021F - 7023Fは当初幕板部および正面窓上部にも赤い帯を入れていたが、すぐに撤去された。また、7021Fのみ前面上部の黒塗りの範囲の下部が垂直に塗り分けられている<ref>他は2・4両編成も含めて写真のように丸くなっている。</ref>。2007年から後述する更新工事が始まった。

9000系30番台が登場するまでは京王で唯一の10両固定編成であったが、2001年3月のダイヤ改定までは主に朝ラッシュ時限定運用であり、昼間時は1本が高尾系統の優等列車運用に入っていた以外は使用されなかった。そのうち必ず1本は八幡山駅構内に留置していた。

4両編成(7201F - 7205F)

1993年から1994年にかけて5本が新造された。車体構造は前述の10両編成のグループとほぼ同じだが、室内化粧板や機器類は同時期新製の8000系に近いなど若干の差異がある。このグループ以降は従来あった都営新宿線列車無線アンテナの取り付け台設置が省略されている。6両編成と連結して10両編成になる場合は原則として車両番号の末尾が揃うように組成するが、これは同形式も同様である。また、7201Fと7202Fは動物園線の予備編成として使用されることがあるため、ワンマン運転用の機器が搭載されている。

2両編成(7421F - 7425F)

朝ラッシュ時の各駅停車10両化を推進するために、1994年に5本が新造された。4両編成グループと同型の車体を持つ。製造時から新宿側先頭車にスカートを装備している<ref>京王八王子側先頭車のクハ7871 - 7875は原則として営業運転で先頭に出ることがないため、スカートを装備していない。</ref>。


更新工事

2001年秋から更新工事が開始されたが、年度毎に内容が変化している。

  • 2001年度:7001F。車内の更新、座席を区分柄のある紫色のものに変更(9000系とは異なる)、車椅子スペース新設、つり革の丸形から三角形への交換<ref>優先席(後に「おもいやりぞーん」)部の交換と枕木方向のつり革設置は更新とは無関係である。</ref>
  • 2002年度:7002F。ドアチャイムTemplate:Audio Template:Audio)の設置、ドア上部へのLED車内案内表示器の設置(千鳥配置)<ref>後に7001Fにも追設。また7021F・7023Fには2007年末時点では搭載されていない。</ref>
  • 2003年度:7003F、7004F。7004F以降、制御装置を従来の界磁チョッパ制御から9000系と同一のIGBT素子を用いた日立製作所製2レベル方式のVVVFインバータ制御装置に更新。MT比は1:1に改めた。歯数比は9000系と異なる。
  • 2004年度:7005F、7007F、7010F。
  • 2005年度:7006F、7008F、7011F。
  • 2006年度:7009F、7013F、7014F。
  • 2007年度:7012F、7021F、7023F。座席のバケットシート化、シート仕切りの変更(パイプ→板)、窓ガラスの変更(透明→UVカット)とそれに伴うカーテンの廃止(7021Fと7023Fのみ)、ドア接触部に黄色いテープの貼付、ドア際の滑り止めを黄色化。
  • 2008年度:7022F、7024F、7201F、7202F、7205F。7022Fと7024Fはドア上部の案内表示器をLED式からLCD式に変更、車外の種別・行先表示器を幕式からフルカラーLED式に変更。
  • 2009年度:7001F、7421F- 7425F。7001Fは2001年度に一度更新されているため、今回は制御装置の変更のみ実施。

加えて一部の編成では補助電源装置をSIVに交換している。

  • 7001F - 7003F・7007F:MG(TDK-3344A)のまま
  • 7004F - 7006F・7008F - 7010F:MG(TDK-3344A)→SIV(INV146-B0)
  • 7011F・7021F・7023F・7024F:SIV(SVH170-446A)→SIV(INV146-B0)に交換
  • 7012F - 7014F:SIV(SVH170-446A)のまま

2010年度までに京王の車両はすべてVVVFインバータ制御車となる予定だが、本系列は2009年末の時点で4両編成2本、6両編成2本、8両編成1本、10両編成1本の38両(電動車は23両)が界磁チョッパ制御である。

更新工事施工車における変更点

運用

6000系と同等の性能を持つ7000系であるが、いわゆる「グリーン車<ref>2000系2010系など5000系よりも前に製造された旧型車の俗称。車体を緑色に塗装していたことに由来する。</ref>」の置き換えを目的に新製された経緯がある。そのため、長期にわたって各駅停車専用車という位置付けにあり、都営新宿線への乗り入れには使用していない。しかし、2001年3月のダイヤ改定で車両の運用方針を変更した関係で、特急準特急にも使用される機会が増えた。運用方針は編成によって異なる。編成を組む場合は6・8両編成が下り側、4・2両編成が上り側である。

6両編成

4両編成と組んだ10両で朝ラッシュ時の各停や本線優等運用に使用される。また、2両編成と連結して8両の運用にも入ることがある<ref>これは1または2運用で、朝は6両編成+4両編成で組成される。</ref>。

8両編成

主に各停や相模原線の快速が運用のメインである。また、朝ラッシュ時は2両編成と組んで10両を組成する。2006年6月まで存在していたシーズンダイヤでは、多摩動物公園駅発着の急行にも使われていた。

10両編成

専ら特急や準特急に使われている。このため、2001年3月ダイヤ改定で本線特急として9年ぶりに8000系以外の系列が通常運用で使用されることになった。前後運用の関係で、朝夕ラッシュ時には急行・通勤快速・各駅停車でも使われる。

4・2両編成

4両編成は、前述の通り6両編成と連結した10両で朝ラッシュ時の各停や本線優等列車の運用に使われる。7201Fはワンマン運転に対応しており、6022Fの検査時などに動物園線で使用される。

2両編成は、前述の通り平日朝ラッシュ時は8両編成と連結し10両で運用されるほか、1または2運用は6両編成と組成して8両で運用される。また、9000系は本系列と併結可能な設計となっているため、9000系と連結した上で試運転・営業運転を行った事例がある。ただし、9000系と本系列との併結は電気的な相性があまり良くなく、その形態で営業運転する機会は極めて少ない。

7000系同士でも界磁チョッパ制御車とVVVFインバータ制御車とを連結して運行した場合、性能特性の違いから加減速時に前後動が発生することがある。

その他

  • 2006年から10両編成と8両編成においてブレーキ排気口の形状を変更した関係で、ブレーキ緩解時の排気音がほとんど聞こえなくなった。これは6000系にも共通する。
  • 2010年度までに全編成の更新工事を施工することになっている。

脚注

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<references/>

関連項目

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