モリブデン

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ニオブ - モリブデン - テクネチウム
Cr
Mo
W
 
 
250px
一般特性
名称, 記号, 番号モリブデン, Mo, 42
分類遷移元素
, 周期, ブロック6 (VIA), 5 , d
密度, 硬度10280 kg/m3, 5.5
メタリックグレー
120px|モリブデン
原子特性
原子量95.96(2) u
原子半径145 pm
共有結合半径145 pm
VDW半径不明
電子配置[Kr]4d55s1
電子殻2, 8, 18, 13, 1
酸化数酸化物2, 3, 4, 5, 6 (強酸性酸化物
結晶構造体心立方構造
物理特性
固体 (常磁性)
融点2896 K (2623 )
沸点4912 K (4639 ℃)
モル体積9.38 ×10-3 m3/mol
気化熱598 kJ/mol
融解熱32 kJ/mol
蒸気圧3.47 Pa (3000 K)
音の伝わる速さ__ m/s at __ K
その他
クラーク数0.0013 %
電気陰性度2.16 (ポーリング)
比熱容量250 J/(kg·K)
導電率18.7 ×106/m·Ω
熱伝導率 138 W/(m·K)
第1イオン化エネルギー684.3 kJ/mol
第2イオン化エネルギー1560 kJ/mol
第3イオン化エネルギー2618 kJ/mol
第4イオン化エネルギー4480 kJ/mol
(比較的)安定同位体
同位体NA半減期DMDE MeVDP
93Mo{syn.}4000 年 ε0.40593Nb
99Mo{syn.}65.94 時間β-1.35799Tc
100Mo{syn.}1E19 β-3.034100Ru
92Mo14.84%中性子50個で安定
94Mo9.25%中性子52個で安定
95Mo15.92%中性子53個で安定
96Mo16.68%中性子54個で安定
97Mo9.55%中性子55個で安定
98Mo24.13%中性子56個で安定

</td></tr> <tr> <th colspan="2" align="center" bgcolor="#ffc0c0">Template:Small2</th> </tr> </table> モリブデン (Molybdenum):原子番号 42 の元素元素記号Moクロム族元素の一つ。

目次

概要

銀白色の硬い金属(遷移金属)。常温、常圧で安定な結晶構造は、体心立方構造 (bcc) で、比重は 10.28、融点は2620℃、沸点は4650℃(融点、沸点とも異なる実験値あり)。空気中では酸化被膜を作り内部が保護される。高温で酸素ハロゲン元素と反応する。アンモニア水には可溶。熱濃硫酸、硝酸、王水にも溶ける。原子価は +2 価~ +6 価。輝水鉛鉱(MoS2など)に含まれる。資源としては、アメリカで約30%、チリで約30%など、北南米で世界の過半数を産出している。

モリブデンは、人体(生体)にとって必須元素で、尿酸の生成、造血作用、体内のの排泄などに関わる。微生物の窒素固定に関しての酵素(ニトロゲナーゼ)にも深く関わっており、地球上の窒素固定量の70%以上は、モリブデンが関与していることになる。

また、植物にとっても必須元素であるため、モリブデン酸のナトリウム塩やアンモニウム塩の形で、肥料として販売されている。

用途

モリブデンは、日本国内において産業上重要性が高いものの地殻存在度が低く供給構造が脆弱である。日本では国内で消費する鉱物資源の多くを他国からの輸入で支えている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60分を国家備蓄すると定められている。

歴史

カール・ヴィルヘルム・シェーレ1778年輝水鉛鉱硝酸と反応させて分離した酸化物として発見し、「水鉛土」(Wasserbleierde)と命名。シェーレの友人ペーター・ヤコブ・イェルム (Peter Jacob Hjelm) が1781年に三酸化モリブデンを石炭還元することにより単体分離し、現在の名称が付けられた。

名称は輝水鉛鉱(Molybdenite)に由来するが、この名称はギリシャ語を意味するmolybdosに由来する。モリブデン鉱物である輝水鉛鉱が鉛鉱物である方鉛鉱に似ていることから名づけられた。日本での「モリブデン」という名称は、元はドイツ語の"Molybdän"で、これが日本語になっている。

モリブデンの化合物

同位体

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入手について

工業的にモリブデンは(融点が高いことから)溶融凝固というプロセスで製造することが困難であるため、大きな素材を作ることが難しい(多くは粉末冶金的製法で製造)。また、加工性に乏しく、常温での圧延は事実上不可能。切削・研磨もかなりの技術を必要とするため、複雑な形状に加工することは困難。粉末ではない金属モリブデンは主に小インゴット・板・線材の形で取引されるが、一般の入手は難しく、専門の販売業者に頼る他ない。

生体におけるモリブデン

モリブデンは、ヒトを含む全ての生物種で必須な微量元素である。人体には体重1kgあたり約0.1mg含まれていると見積もられており、皮膚肝臓腎臓に多く分布している。

モリブデン含有酵素

現在、植物動物をあわせて約20種類ほどのモリブデン含有酵素が知られている。その中で最もよく知られている酵素は、ニトロゲナーゼである。これは窒素固定における窒素アンモニアに変換する反応を触媒する。この酵素マメ科植物の根に共生する根粒菌(リゾビウム属)の菌体内に含まれ、空気から取り入れられた分子状窒素をアンモニアに変換する。藻類も窒素固定にモリブデン酵素を利用している。また、藻類の窒素固定モリブデン酵素は、過剰な硫黄を揮発性の硫化メチルに変換して排泄させるはたらきも有する。

哺乳類においては、キサンチンオキシダーゼアルデヒドデヒドロゲナーゼおよび亜硫酸酸化酵素が知られている。キサンチンオキシダーゼは尿酸合成に関わる。この酵素のはたらきが強くなると痛風になるおそれがある。アルデヒドデヒドロゲナーゼアルデヒドカルボン酸に変換する。この酵素はアルコールの代謝に必須な酵素で、代謝産物である酢酸は体内でエネルギー源の一つとして利用される。亜硫酸酸化酵素は毒性のある亜硫酸イオンを毒性の低い硫酸イオンに変換する。

栄養

2005年版の「日本人の食事摂取基準」では、推定平均必要量:20(15)μg/日、推奨量:25(20)μg/日、上限量:300(250)μg/日(数値はいずれも成人男性、かっこ内は成人女性、ただし、30〜49歳男性および18〜29歳女性の上限値はそれぞれ320μg、240μg)である。モリブデンを多く含む食材は牛や豚の肝臓であり、植物では豆類に多く含まれる。

モリブデンの欠乏症はまれであるが、欠乏すると亜硫酸毒性がみられ、頻脈頻呼吸頭痛悪心嘔吐昏睡の症状が見られたとの記録がある。過剰摂取による中毒は「モリブデノーシス」(Molybdenosis)といい、コロラド州のモリブデンを多く含む土地の草を食べた牛が中毒した例がある。症状は、体重の低下・食欲減退・貧血・授乳不良・不妊骨粗鬆症などである。

関連項目

外部リンク

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