マウス (コンピュータ)

出典: Wikipedio


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2ボタン型・ボール式マウス
画像:Mausubo-ru.JPG
滑らかなマウスボール

マウス(Mouse)とはポインティングデバイスの一つ。ポインティングデバイスとしてのマウスは、ダグラス・エンゲルバート1961年に発明した。

目次

概要

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1ボタン型・ボール式マウス(初期のPowerMac G4付属品)

本体を手に持って水平に移動させ、ボールや赤外線、レーザーなどを利用したセンサで移動を検知し、2次元の移動距離をコンピュータへ伝える(3次元の移動を感知する3Dマウスも一部分野で用いられる)。ダグラス・エンゲルバートが1961年に世界で最初のマウスを発表した。当初それぞれx・y軸の動作を検出する二つの車輪を底面に装備していたが、のちに車輪は内蔵され、底面に露出したボールによって間接的に車輪を動かす方式(ボール方式)が主流となった。この方式は斜め方向の動作の検出がしやすい、微妙な手の動きを伝えやすいなどの利点があったが、その反面デスク上の埃を巻き込んで次第に快適な動作性能を失っていくため、ときおり分解清掃をする必要がある。そのため、分解掃除が不要な光学式(オプティカル)マウスが普及してからは、そちらが主流となっている。

オペレーティングシステムによっては、マウスの移動速度が速い場合や加速度が大きい場合に、ポインタをマウスの移動距離よりも大きく移動させる機能がある。これによって、ポインタの座標とマウスの実際の位置とは対応しなくなるが、より「動かす」感覚に近くポインタを移動できると感じるユーザーもいる。この場合、マウスはポインティングデバイスではなく、『ポインタを移動させるデバイス』として捉えられていると言えよう。また、マウス位置とポインタ座標が対応している方が正確にポイントしやすいと感じるユーザーもいる。

マウスのボタンは、Macintoshでは1つまたは4つ、PC/AT互換機では2つから5つ、UNIXマシンでは3つのボタンがついていることが多い。このボタンを押すことをクリック、ボタンを押しっぱなしにすることをプレス、またプレスしながらマウスを動かすことをドラッグという。そうしてドラッグしたものからボタンを離すことをドロップという。ドラッグとドロップでドラッグアンドドロップ(しばしばD&D あるいは DnD と略される)ということがある。

Windows向けの場合、Windowsの標準では左ボタンはクリック(項目選択・決定)やドラッグ、右ボタンはコンテキストメニューの表示に主に使われる。1999年に発売されたマイクロソフトのIntelliMouse Explorerにはサイドボタンと呼ばれる2つのボタンが側面に搭載され、それ以降は1つまたは2つのサイドボタンを備える高機能なマウスも普及している。サイドボタンは通常ウェブブラウザの「戻る」「進む」機能に割り当てられるが、マウスのベンダーから提供されるドライバユーティリティを使用すれば好みの機能にカスタマイズできる場合がある。

ボタンだけでは充分な快適性が得られないとして、ホイール(車輪)やトラックボールが表面に付いているものもある(後に詳述)。また、特定のディジタイザ上のみで使用可能なマウス型デバイスといったものも存在する(WACOMタブレットなど)。

マウスという言葉は、形状がネズミに似ていることから名づけられた。英語の複数形はネズミと同じmiceと表すことが多いがmousesと表されることもある。初期のものは指先ではなく手首の側にコードがついていた。左右のボタンをに、コードをに見立てたものである。なお近年はBluetoothや独自方式の無線による「コードレスマウス」もある。コードレスで光学式のマウスは利便性が高いため、しだいにシェアを広げつつある。ただしコードレスマウスは一般に電池を使用するため、重量が重くなり、また電池が消耗すると使えなくなる。

マウスの感度を示す単位はミッキーであり、1ミッキーは1/100インチマウスを動かすことを意味する。このとき画面上でカーソルが何ドット動いたかを、ミッキー/ドット比で指定することで、プログラム上のマウスの感度は実装される。命名者はマイクロソフトのプログラマーだったクリス・ピーターズであり、この単位名はミッキーマウスに由来する一種のジョークと推測される。彼はマイクロソフト社の105人目にあたる社員で、Windows上のマウスドライバなど根幹部分を開発した。

光学式マウス

LEDなどの光源と光学センサにより、移動を検出するマウス。当初は専用パッドを必要とし、動きを検出する精度は高いが、比較的高額で、ワークステーション用や、CADなど限られた分野での使用が主であった。

専用パッドの不要な一般ユーザー向けの製品としては1999年にマイクロソフトが発売したIntelliMouse Explorerが最初であり、通常は赤色LED可視光を底面に照射しカメラセンサーで動きを検出することで動作する。

カメラセンサーにより専用パッドが不要となったが、ガラス板のような透明なもの、白いプラスティック製下敷き、鏡面などの上では全く動作が検出できなかったり、不安定だったりする場合がある。安定した動作を求める向きのために、光学マウスと相性の良いマウスパッドというものも作られ市販されている。

2004年頃からレーザー光を使用した高精度なマウス(レーザーマウス)も発売され、比較的安価に販売されているが、従来の光学式を置き換えるほどではない。

2008年9月にマイクロソフトが青色LEDを使ったBlueTrackマウスを発表した。レーザーマウスと比較しても様々な場所で動作検出性能が高く、かつリフトオフディスタンス(マウスを持ち上げても反応する距離)は短い。

2009年8月にロジクールが暗視野顕微鏡の技術を応用したDarkfieldセンサを搭載したマウスを発表した。従来の方式では動作しなかったガラス板(4mm以上の厚さが必要)や、光沢のある漆塗りのような透明なものの上でも動作することが可能になっている。

ホイール

画像:Wheel mouse.jpg
2ボタン型・ホイールマウス

マウスにおけるホイールは、ポインタ移動とクリック・ドラッグによる操作だけでは煩雑な処理を補助するために設けられた機構である。標準的な2ボタンマウスの場合は、通例左ボタンと右ボタンの間に保持され、人さし指、または中指による前後方向の回転移動を行う。

原理と動作

ホイールは一次元縦方向の回転量を検出し、それを何らかの操作の移動量と結びつける。マウスのポインタ移動と異なり、マウス自体は移動しない。また原理上、動作は無限軌道である。

ホイール自体もクリック動作をもつ。多くの場合、それはホイール状態をロックしてポインタ移動と同期するか、または回転のメタファーから状態のトグルを表す操作に対応する。いずれにせよ、ホイールは比較的クリックしにくい構造であり、頻繁に利用する動作が割り当てられる事はない。

もともとホイールは、3ボタンマウスを使用するCADなどのソフトで、ズーム操作を補助するために中ボタンの機能を拡張したものである。そのためホイールのクリック操作は中ボタンのクリックと同等であり、ホイールの回転でズームを、クリックで操作メニューの表示や画面のパン(図面領域をつかんで画面上を移動させる行為)を行うことができる。

しかしCAD等のソフトを使用しない一般のユーザーにおいては、ブラウザやワープロなどのソフトにおいて画面に入りきらない情報をウインドウ内でスクロールするために用いる事が圧倒的に多く、そのためホイール操作は画面スクロールと同期される場合がほとんどである。これはプログラミングあるいはデバイスドライバの設定により挙動を変更できる。

ホイールの種類

画像:MS Mouse tilt wheel.JPG
マイクロソフト製マウスのチルトホイール
  • 通常の回転型ホイールは文字通り車輪が埋め込まれており、回転量に応じた移動量が検出される。
  • 前後方向へのシフト移動を行うホイールでは、中心からのオフセット量に応じて回転速度をエミュレートする。
  • マイクロソフト社は2003年に従来の縦方向の回転に加えて横方向の角度によって操作できるチルトホイールを搭載したマウスを開発、発売した。これは横スクロールが使用できる。現在ではロジクールをはじめ、他社からもチルトホイールを搭載したマウスが発売されている。
  • A4Tech社のマウスでは、縦スクロールと横スクロールのために二つのホイールが付いているものがある。
  • Apple社のMighty Mouseでは、スクロールボールと呼ばれるトラックボール状のボールで45度単位の方向検出を行う。
  • Apple社のPowerBook/iBook/MacBookでは二つの指でトラックパッドを操作する事でホイール動作をエミュレートする。
  • トラックボールによる完全な2次元の方向検出を行えるものもある。マウス本体の移動と合わせれば、4軸の自由度をもつデバイスと言うことが出来る。
  • IBM社/lenovo社は、スクロールポイント・マウスという、ボタンによってホイールの機能を代替したマウスを販売している。現在は販売終了している初代スクロールポイントマウスでは、ホイール位置にトラックポイントが搭載されており、上下左右へのスクロールを可能としていた。
  • かつて(2000年前後まで?)は、他社からもボタンやレバーによってホイールの機能を代替したマウスが販売されていた。そのボタンを前または後ろに押し続ける、もしくはレバーを前後に倒すと、ホイールを前または後ろに回転させたのと同じ操作とみなされる。
  • ホイールには、回した時にクリック感があるもの(通称:カクカクホイール)クリック感がないもの(通称:ヌルヌルホイール)がある。後者の場合、ホイールで項目を選択するような状況ではホイールに段が付いていないため一つ一つの項目をうまく選択しにくい場合がある。ちなみに、ロジクールの一部のマウスではホイールなどを押すことによって段のあるもの・ないものに切り替えられるようになっている。

接続方式

PC/AT互換機ではPS/2端子(PS/2端子登場前のものではシリアルポート)、MacintoshではApple Desktop Bus(ADB)端子が長く使われていたが、現状(2008年時点)では、いずれもUniversal Serial Bus(USB)端子に置き換えられた。しかしPS/2からUSBへの移行は緩やかであり、PS/2ポートを搭載するパソコンもまだ流通している(→レガシーデバイス)。

無線接続の場合はレシーバーをUSB端子に接続し、レシーバーとマウスを電波で通信するタイプが安価で主流である。Bluetooth接続の製品も徐々に普及しつつある。無線マウスは電源として乾電池を必要とするか、充電池を内蔵する。

主なメーカー

関連項目

外部リンク

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