ポロニウム
出典: Wikipedio
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一般特性 | |||||||||||||||||||||||||
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名称, 記号, 番号 | ポロニウム, Po, 84 | ||||||||||||||||||||||||
分類 | 半金属 | ||||||||||||||||||||||||
族, 周期, ブロック | 16 (IVB), 6 , p | ||||||||||||||||||||||||
密度, 硬度 | 9196 kg·m−3(α) 9398 kg・m-3(β) no data | ||||||||||||||||||||||||
単体の色 | 銀白色 | ||||||||||||||||||||||||
原子特性 | |||||||||||||||||||||||||
原子量 | [208.9824] u | ||||||||||||||||||||||||
原子半径 (計測値) | 190 (135) pm | ||||||||||||||||||||||||
共有結合半径 | no data | ||||||||||||||||||||||||
VDW半径 | no data | ||||||||||||||||||||||||
電子配置 | [Xe]4f14 5d10 6s2 6p4 | ||||||||||||||||||||||||
電子殻 | 2, 8, 18, 32, 18, 6 | ||||||||||||||||||||||||
酸化数(酸化物) | -2, 2, 4, 6(両性酸化物) | ||||||||||||||||||||||||
結晶構造 | 単斜晶系 | ||||||||||||||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||||||||||||||
相 | 固体 | ||||||||||||||||||||||||
融点 | 527 K (254 ℃, 489 °F) | ||||||||||||||||||||||||
沸点 | 1235 K (962 ℃, 1764 °F) | ||||||||||||||||||||||||
モル体積 | 22.97 × 10−3 m3·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
気化熱 | no data | ||||||||||||||||||||||||
融解熱 | 60.1 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
蒸気圧 | 0.0176 Pa (527 K) | ||||||||||||||||||||||||
音の伝わる速さ | no data | ||||||||||||||||||||||||
その他 | |||||||||||||||||||||||||
クラーク数 | no data | ||||||||||||||||||||||||
電気陰性度 | 2.0 (ポーリング) | ||||||||||||||||||||||||
比熱容量 | no data | ||||||||||||||||||||||||
導電率 | 2.19 × 106 S m−1 | ||||||||||||||||||||||||
熱伝導率 | 20 W·m−1·K−1 | ||||||||||||||||||||||||
イオン化エネルギー | 812.1 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
(比較的)安定同位体 | |||||||||||||||||||||||||
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注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 |
ポロニウム(Polonium):原子番号84の元素。元素記号は Po。漢字では釙。安定同位体は存在しない。第16族元素の一つ。銀白色の金属(半金属)。常温、常圧で安定な結晶構造は、単純立方晶(α-Po)。36℃以上で立方晶から菱面体晶(β-Po)に構造相転移する。
目次 |
特徴
昇華性があり、化学的性質は、テルルやビスマスに類似する。水に溶けない。塩酸にはゆっくり溶ける。硫酸、硝酸には易溶、アルカリにはわずかに溶ける。酸化数は、-2,+2,+4,+6価を取り得る(+4価が安定)。
ウラン系列の過程でラドン222が崩壊することによってポロニウム218が生じ、更にこれが崩壊していく過程でポロニウム214、ポロニウム210が生じる。自然界に存在するポロニウムでは、ポロニウム210の半減期が138.4日と一番長い。人工的に作られるポロニウム209の半減期は102年である。全ての同位体が強力な放射能を持っている。
マリ・キュリーがポロニウムの存在を示唆した際に、ポロニウムを含む精製物がウランの300倍の放射活性を持つと記した表現<ref>Nanny Fröman, Marie and Pierre Curie and the Discovery of Polonium and Radium, Nobelprize.org, December 1, 1996.</ref>が一人歩きして、ウランの300から330倍の強さの放射能を持つという表現がされることが多いが、実際にはウランの100億倍の比放射能(単位質量当りの放射能の強さ(Bq/mol, Bq/g))を有し、ごく微量でも強い放射能を持つ。(ただし、逆に自然界にはウランの100億分の一程度しか存在しない。) このため、昇華性のあるポロニウムは厳重な管理の下で取り扱われなければならないが、ポロニウムが発するアルファ線自体は皮膚の角質層を透過出来ないため、ポロニウムを体内に取り込まない限りは被曝の危険性は少ないともいえる。(外部被曝の場合の危険は低いが、内部被曝の場合には身体から放射できないため体内に放射能が留まることになる。)
アルファ線源や原子力電池に使われる。
歴史
1869年、周期表を発表したドミトリ・メンデレーエフは未発見の第84番元素が存在すると予言、テルルの一つ下に位置する元素であることから、サンスクリット語で「1」を意味する「エカ」をテルルにかぶせエカテルルと仮に名付けた。原子量を約122と予測している。
1898年7月、ピエール・キュリーとマリ・キュリーがウラン鉱石から発見。発見者の祖国ポーランドのラテン語形「Polonia」が語源。1896年にアンリ・ベクレルによる放射能の発見を受け、まず放射能を測定する機器を開発する。ピエール・キュリーの考案したピエゾ電気計を改良し、ウランを中心に放射能を測定する。ウラン鉱石(ピッチブレンド)を測定したところ、ピッチブレンドに含まれるウランの濃度から計算した放射線より少なくとも4倍の線量を検出した。このため、ウランとは異なる未知の放射性元素が含まれているのではないかと推論した。しかしながら、ピッチブレンドは高価であり、新元素を単離するだけの分量が入手できなかった。オーストリア政府に頼み込んだ結果、ヨアヒムスタール鉱山から採掘したウラン鉱の残りかすを数トン入手できた。ポロニウムの分離には数ヶ月を要したという。12月にはラジウムも発見した。
ポロニウムは強いアルファ線を放出するため発熱する。1gのポロニウム塊はアルファ崩壊熱により500℃に達し、520 kJの熱を放出する。この特性から、人工衛星用原子力電池の熱源として利用された<ref>John Emsley (2001),"Nature's Building Blocks", Oxford University Press, p.331 ISBN 0-19-850340-7</ref>。 (実際のところは、発熱体としては238Puの優秀性が際立っている) 英語版Wikipedia アイソトープ電池参照のこと
近年の事件
2006年11月にイギリスで発生した、元ロシア連邦保安庁(FSB)情報部員アレクサンドル・リトビネンコの不審死事件で、ポロニウム210が被害者の尿から検出されたことが明らかになった(死因は体内被曝による多臓器不全と推測され、暗殺その他の謀略死の可能性が広く指摘されている。なお、事件の詳細は同氏の項参照)。
また、ロシア運輸省は航空機から基準値を超える放射線を検出したと発表したが、その後の調査で基準値の範囲内であると判明した。
ポロニウム210はアルファ崩壊のみで崩壊し、崩壊過程でガンマ線の照射を殆ど伴わない(殆どのアルファ崩壊は同時にガンマ線の放射を伴う)。一方、アルファ線は紙一枚で遮断される。このため、容器に入ったポロニウム210を、容器ごと放射線を測定することにより検出することは不可能である。この点でポロニウム210はアルファ崩壊元素の中でも特徴的であり、今回の事件に利用された背景にあると考えられよう。
同位体
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ポロニウムには安定同位体が存在せず、すべてが放射性である。ポロニウム194からポロニウム220までの質量範囲がある。
主な同位体は、加速器で生成されるポロニウム208(半減期2.898年)、ポロニウム209(半減期102年)、自然界に存在するポロニウム210(半減期138.376日)がある。
ポロニウム210
ポロニウム210は自然界に存在するポロニウムの同位体のうち一番長い半減期(138.376日)を持つ。1mgにつき5gのラジウムとほぼ同数のアルファ粒子を放射する。1gのポロニウム210のアルファ線は、熱エネルギーを140ワット生成する。
発生
自然界ではウラン鉱に極微量に存在するだけの非常に稀な元素であり、ラドン222から崩壊するポロニウム218などがある。1934年に実験が行われ、天然のビスマス209に中性子を照射することでビスマス210が生成し、そのビスマス210が崩壊しポロニウムが発生することが判明した。
関連項目
参考文献
<references />
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