プラットホーム

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プライバシー・ポリシー Wikipedioについて 免責事項 Template:画像改訂依頼 プラットホーム (platform) とは、鉄道駅において旅客列車に乗降するために線路に接して設けられた台のことである。原語に忠実に書けば「プラットフォーム」となるが、このように書かれることはほとんどなく、日本では一般にはホームと略して呼ばれる。古くは歩廊と呼んだ。

ここではプラットホームと乗り場の数を表現するのに「○面○線」という表現を用いる。「面」はプラットホームの数、「線」はホームに接する線路の数である。例えば単式ホームは1面1線、島式ホームが1つで線路が2つならば1面2線、相対式ホームが2つで線路が1つならば2面1線とする。

目次

規格

高さ

プラットホームの高さは国や地域、鉄道路線によって異なる。日本においては高床タイプのものが一般的である。プラットホームと列車の床面との間に段差が発生する事を防ぐためにプラットホーム側と車両側とでさまざまな段差解消策が採られている。

日本の国鉄では、レール上面を基準とした760mmの高床タイプを標準とし、現在のJRグループでは直流電車専用ホームでは電車の床面に合わせた1,100mmに、電車とそれ以外の列車の共用ホームでは920mm、新幹線では1,250mmとしている。

欧米の旅客鉄道や、路面電車の多くでは低床タイプを採用している。この場合、低床式の車両以外では車内に設けられた階段 (ステップ) か、プラットホーム上に設けられた移動式の仮設階段を利用して乗り降りする。欧米でも都市部の旅客鉄道路線や、イギリスでは高床タイプを多く見ることができる。スペインでは広軌線の標準軌への改軌を機に高床タイプになる予定。北朝鮮は高さ1,250mmの高床タイプである。

貨物駅ではレール上面と同じ高さで、路面電車の併用軌道のような状態のプラットホームが存在する。これはフォークリフトなどの車両が移動する際に段差があると障害となるためである。

長さ

プラットホームの長さは国や地域、鉄道路線によって異なる。日本では法令により停車する列車より長くなければならないが、不足する場合には一部の車両のドアを締め切り (ドアカット) 停車させるか、列車によってはその手前の駅で解結を行い少ない両数で乗り入れる。

アメリカの都市近郊の旅客鉄道路線では数メートル程度の短い高床タイプのプラットホームを使う例がある。この場合、列車を停車させる際に乗降がある車両のドア前にのみプラットホームが来るように速度を調整する。また、仮設階段を乗降するドア前に移動させるタイプも存在する。

貨物駅では長い編成の列車であっても1両ごとに積み込み積み出しを行うことがあるため、短いプラットホームのみ設置される例がある。

世界で最も長いプラットホームはインド西ベンガル州のKharagpur駅のもので、1072mある。日本で最も長いプラットホームは京都駅の0番・30番ホームの558mであるが、一部が切り欠きとなっているため乗り場としては0番と30番の二つに分かれている。

形状と配置

単式ホーム

[[ファイル:ShiromaruSt.jpg|thumb|200px|right|単式ホーム(白丸駅)]] プラットホームの片側のみが線路に接し、乗降に用いられるもの。片面ホームともいう。反対側は単に柵や壁であることもあるが、駅舎に接していることもある。駅に改札口が無く、車内などで運賃を支払うタイプの路線ではそのまま駅の外に通じていることもある。

  • 1-1:1面1線。他にポイントも側線もない駅については「棒線駅」と呼ばれる。
  • 1-2:2面2線。複線の路線で上下線の線路が離れている場合や、上下2層になっている場合に用いられる。「上下方向別単式ホーム」とも呼ばれる。島式ホーム(後述)の外側に片面ホームを増設し、上下線の乗客を分離した構造のものも存在する。また、旅客需要の変動等により単式と島式の複合型 (2面3線、4-2図の配置) から中線を廃止してこの配置になった例もある。

center|単式ホームの図

相対式ホーム

[[ファイル:東逗子駅ホーム大船方.jpg|thumb|right|200px|相対式ホーム(東逗子駅)]] 単式ホームを2つ向かい合わせにしたもの。対向式ホームまたは対面式ホームともいう。両ホームを跨線橋や構内踏切などの通路で行き来できる場合が多いが、通路がなく、改札を出て踏切を渡らないと行き来できない場合もある。

  • 2-1:単線の路線で列車交換の可能な駅。一線スルーの場合にも用いられる。
  • 2-2:複線の路線で待避線のない駅。この場合も「棒線駅」と呼ばれることがある。上下線の間に留置・待避線を入れた例もある。
  • 2-3:複線の路線で、通過列車用の本線と停車列車用の副本線があり、追い抜きの可能な駅。新幹線の中間駅に多く見られることから配線を「新幹線型」と呼ぶことがある。
  • 2-4:方向別複々線の路線で外側線にのみプラットホームのある駅。center|相対式ホームの図

千鳥式ホーム

2つの単式ホームをずらして設けたもの。2本の線路でプラットホームをずらしたもののほか、単線区間で1本の線路の両側にプラットホームをずらして設けたものもある。編成の短い路面電車では、交差点 (踏切) を挟んで上下別のホームを設けたものが多く見られる。

島式ホーム

[[ファイル:Shinkiba st01s2040.jpg|thumb|right|200px|島式ホーム(新木場駅)]] プラットホームの両側が線路に接しているもの。プラットホームそのものは、単式ホーム2つに比べて設置費用や面積などの点で有利である。しかし通過する列車の速度を向上させるために線路のカーブを緩和するには、駅のかなり手前から上下線路の間隔を徐々に空ける必要があり、駅の前後区間も含めると、かえって多くの用地が必要となる。駅舎が地上の場合やプラットホームが他にもある場合、それらとの連絡に跨線橋、地下道、構内踏切などが必要となる。プラットホームの拡張が難しい、プラットホーム上に設備(売店、待合室など)を設けにくい、線路と直角方向に階段を設けられないなどの制約があるほか、ホーム両側を列車が通過するため安全面で劣る。相互発着を行う場合、必然的にこの構造になる。

島式1面

  • 3-1:単線の路線で列車交換の可能な駅。上り列車用と下り列車用で線路を分けるのが一般的だが、通過列車が減速しなくてもよいよう上下線の区別をなくし一線スルー化した駅 (3-1′) もある。
  • 3-2:複線の路線で待避線のない駅。プラットホームの前後にカーブができるため通過列車が減速しなければならない場合がある。
  • 3-3:方向別複々線の路線で内側線(電車線)にのみプラットホームのある駅。
  • 3-4:複線の路線で、停車列車用の副本線として島式ホームを中央に配置し、通過列車用の本線がその両外側に配置され追い抜きの可能な駅 (2-3とは本線・副本線が内外逆になった形である) 。追抜きの可能な駅では、相互接続する場合には5-1のような配線としたり相互接続しない場合には2-3のような配線とすることが多いが、高架などの立地条件によりこのような特殊な配線にすることがある。また、停車列車の折り返しがダイヤにとらわれないという利点もある。

center|島式ホームの図

単式と島式の複合

[[ファイル:Tokuan Station platform.jpg|thumb|200px|単式と島式の複合(徳庵駅)]] 日本の国鉄日本統治時代台湾の鉄道駅に多く、線路配線としては「国鉄型/JR型配線」 (鉄道アナリスト川島令三の命名とされる) とも呼ばれる。多くの場合、単式側に駅本屋がある。

  • 4-1:複線の路線。上下線のどちらか一方のみ待避可能となる。内側が本線、外側 (分岐側) が待避線となることが多い。
  • 4-2:上下線の間に渡り線を入れ、中線として両方向の列車待避や折り返しに使う場合がこの構造。4-2aのように外側を本線とする例も存在する。
  • 4-3 : 島式1面を相対式2面で挟む特殊な例。二つの複線路線が合流する駅、列車の折り返しや運転系統の分離を行う駅などに見られる。

center|単式と島式の複合型(2面3線)の図

島式2面

  • 5-1:複線の路線で、列車待避の際に相互接続が可能な配置。内側2線を本線、外側2線を待避線とするほかに、外側が本線となるものもあり、この場合は内側2線を折り返しに用いることがある。
  • 5-2:方向別複々線の快速・優等列車停車駅、あるいは2つの路線が同一方向に並行する駅である。用地などの関係上、島式ホーム1面2線を二層化して2面4線とする場合もある。

center|島式ホーム(2面4線)の図

両側のドアを開閉する場合

[[ファイル:Kiyosumi-shirakawa-station platform oedo-line.jpg|thumb|right|200px|6-1の例:(都営 清澄白河駅)]] [[ファイル:Meitetsu-nagoya.jpg|thumb|220px|right|6-2の例:名鉄名古屋駅]] 線路を2つのプラットホームで挟むことにより、混雑の激しい駅では左右両側の扉を開けることにより乗車ホームと降車ホームの分離する目的、および折り返し駅や分岐駅で、同一プラットホーム上で乗り換えできるようにするために用いられる。また、待避設備を両方向で共有することでスペースを削減する効果もある。プラットホームごとに乗降を分離する方式はスパニッシュソリューションとも呼ばれる。

  • 櫛形ホームの起点・終着駅 (前述の通り)
  • 6-1:2面3線。各線路の間にプラットホームを配置し、中線を両ホームで共有する。両側のドア扱いをすることで折り返し列車が運用しやすい。
  • 6-2:3面2線。相対式2面2線の中央に島式ホームをはさんだ形で、両方向の列車が両側のドアを開閉する。center|両面のドアを開閉する配線の図

切欠きホーム

[[ファイル:Choshi Station May 2005 6.jpg|thumb|right|200px|切欠きホーム(銚子駅)]] 単式または島式のプラットホームの一部を切り取り、そこに行き止まりの線路を設けたもの。プラットホームの数はそのままで線路を増やすことができるが、有効長が短くなる、乗換の際の移動距離が長くなる欠点もある。幹線から支線が分岐する駅や、地下駅でプラットホームの増設が困難な場合に用いられる。 center|切欠きホームの図 Template:-

櫛形ホーム

[[ファイル:Paris Gare de Lyon dsc03797.jpg|thumb|right|200px|櫛形ホーム(リヨン駅)]] 複数のプラットホームの端を同一平面でつなげた形のもの。間の線路は行き止まりとなり、この部分を特に頭端式ホームということが多い。日本では上野駅高松駅長崎駅大手私鉄の大都市ターミナルなどでよく見られる。欧米の主要ターミナルでは、パリリヨン駅ロンドンキングス・クロス駅フランクフルト中央駅ローマテルミニ駅マドリードアトーチャ駅などこの形のものが多い。 center|櫛形ホームの図 Template:-

プラットホームの呼称

1つの駅にプラットホームが複数ある場合は、数字やアルファベットを付けて区別することが多い。プラットホームの呼称は「○番線」「○番のりば」「○番ホーム」「○号線」「プラットホーム○」など国や地域、鉄道会社や駅によって異なる。また、数字やアルファベットを用いず、「○○方面ホーム」とする場合や、単式ホームのみの駅では呼称自体がない例も存在する。櫛形ホームなどの降車用ホームには、数字が振られている場合と振られていない場合が両方ともある。

安全対策

[[ファイル:ホーム防護柵-dsc30948.jpg|thumb|200px|right|転落防止柵
東京地下鉄東西線竹橋駅ホーム)]] プラットホームからの転落や走行中の列車との接触はしばしば重大な事故につながるため、プラットホームにはこれらを予防するための対策が施されている。日本では、山手線新大久保駅で発生した転落死亡事故以降、安全対策の必要性が強調されている。

白線・点字ブロック

プラットホームの端から一定の距離に列車との接触を防止するための目印となる線 (白線など) が引かれている例がある。また日本では視覚障害者向けに点字ブロックを並べていることが多い。

プラットホーム上に、プラットホーム内側と線路を隔てる柵が設置されている例がある。主にプラットホームに列車が停車しない部分について、白線上やその付近に柵を設置することで、転落・接触事故を防止する効果がある。コストも安く、後述のホームドアで掲げられた問題点も少ないことから、特に乗降客の多い駅で設置される例がある。

ホームドア

Template:Main 近年になり、プラットホームから線路への転落や列車との接触事故防止のため、プラットホームと線路を隔てるホームドア (和製英語で、英語では Platform screen door) を設ける例がある。ドアの形状が腰高程度までのものは正式名称が「可動式ホーム柵」であり、「ホームゲート」とも呼ばれる。近年新設された路線では最初からホームドアが採用されている例がある。

赤外線検知方式

[[ファイル:Gakken-kitaikoma-Station-platform.jpg|thumb|200px|ホームセンサーを設置したホーム(近鉄白庭台駅)]] プラットホームの柵と光センサーを利用した「ホームセンサー」によって転落防止を図る例がある。また、赤外線を使用した障害物検知装置が設置されている例もある。

これは、プラットホーム上の列車停車位置の先頭と末端および連結部の白線上に赤外線発射装置と受光器を設置し、列車の入線・発車時に白線より外側に出ているものを検知して、自動的に列車にブレーキをかけたり、発車ができないようにするものである。 Template:-

その他

[[ファイル:Shinkansen Nagoya Station Platform.JPG|thumb|200px|プラットホーム下に設けられた作業用通路兼用の退避スペース
(東海道新幹線名古屋駅)]] 上記のほか、プラットホームにおける安全対策としては、以下のようなものがある。

  • 非常通報ボタンの整備:転落などに気づいた乗客が押し、乗務員や駅員に知らせると共に列車の入線や発車を止める。
  • 退避スペースの設置:転落した際の退避スペースをプラットホーム下に設ける。
  • 線路脱出ステップの設置:線路に転落しても昇りやすいよう、プラットホーム側壁に昇降ステップを設けたもの。
  • 転落検知マットの設置:特に急カーブ上にホームがある場合、プラットホーム下部の線路横に転落感知マットを設けて人が転落したことを知らせるもの。退避スペースがない箇所にあることもある。
  • 道床の低床化:道床を低くし、レールとの間に空間をあけ、転落者を道床に落として轢断しにくくする。ロンドンの地下鉄などで採用されている。

参考文献

脚注

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関連項目

da:Perron de:Bahnsteig en:Railway platform eo:Kajo (fervojo) et:Ooteplatvorm fr:Quai de gare he:רציף ko:승강장 nl:Perron (platform) pl:Peron ru:Остановочная платформа sl:Železniški peron sv:Perrong zh:車站月台 zh-yue:月台

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