ピエル・パオロ・パゾリーニ

出典: Wikipedio


thumb|right|ピエル・パオロ・パゾリーニ ピエル・パオロ・パゾリーニPier Paolo Pasolini1922年3月5日 - 1975年11月2日)はイタリア映画監督詩人小説家

目次

人物

略歴

1922年3月5日イタリアボローニャで軍人の家庭に生まれた。父はムッソリーニの命を救ったことで有名なファシストだったが母は感受性豊かな芸術家気質であり、正反対の気質から夫婦は不和だった。少年期のパゾリーニは父の軍務のため北イタリア各地を転々としたため、友達の少ない内向的な性格に育つ。戦時中は母と二人でフリウリで教師として過ごし、地方の農民が保つ方言と素朴な生活に感化されてフリウリ語の方言詩集を編んだ。終戦直前に弟を反独パルチザンの内部抗争で亡くしており、このことはパゾリーニの性格と後の作品に大きな影響を与えた。戦後1947年にイタリア共産党に入党、アントニオ・グラムシの著作を愛読する。しかし同性愛と青年を堕落に誘った容疑でパゾリーニは教職を免ぜられ、フリウリを追われたため1949年ローマの貧民街に移る。窮乏生活を送りながら1955年に小説『生命ある若者』を発表、作家として名声を得たパゾリーニはアルベルト・モラヴィアらの知遇を得る。

また、この頃から映画関係者とも交流を持つようになり、1955年にソフィア・ローレン主演の『河の女』や1956年フェデリコ・フェリーニ監督の『カビリアの夜』の脚本を共同執筆した。イタリア映画界はこの新進作家に注目し彼に脚本を依頼、40歳になろうとしていたパゾリーニは脚本家としてだけではなく、映画監督としても頭角を現していく。農村や都市の下層部での生活者の視点から共産思想に共鳴した彼は、この時代に巻き起こった1960年代の世界的な学生運動とも歩調を合わせ、ユーロコミュニズムの代表的存在として積極的な政治活動も行うようになる。
パゾリーニの作品は一般に難解とされ、特に初期の作品は複雑な台詞と暗示や比喩に満ちている。独特のロケーションも特徴のひとつで、アルベルト・モラヴィアとの世界旅行などをもとに普通の映画では考えられない辺境で撮影を行い、『王女メディア』のような独特の作品を生み出した。生の三部作『デカメロン』『カンタベリー物語』『アラビアンナイト』は商業主義との批判を浴びたが、エッセイ『私は生の三部作を撤回する』で路線の修正を宣言し『ソドムの市』(原題『サロ、またはソドムの120日』)を制作している。

謎の死

1975年、彼の名を一躍有名にした、スキャンダラスで謎めいた死を迎える。『ソドムの市』を撮り終えた直後のパゾリーニはローマ郊外のオスティア海岸で轢死体で発見された(激しく殴打され失神した後、パゾリーニ所有の乗用車を用いて轢殺されたと見られる)。事件は、本作に出演していたエキストラの少年にパゾリーニ監督が男色行為を強要して殺されたと断定されたが、遺体の惨状からネオ・ファシスト、反共主義者、マフィアなどによる暗殺も噂されていた。当時犯人として逮捕された男性が2005年になって、「犯人は別の3人組。家族に危害を加えると脅されたので罪をかぶった。もう両親も死んだので話せる」として、別の何者かがフィルムを盗んで監督をおびき寄せて殺害したことをインタビューで告白した。しかし男性は具体的な犯人像について口を閉ざしており、事件の真相は不明である。

なお、彼の死をめぐるスキャンダルを映画化した『パゾリーニ・スキャンダル』が1996年に製作された。他の再現ものには『親愛なる日記』『あるイタリアの犯罪』があり、パゾリーニのドキュメントに『パゾリーニ・ファイル』『誰がパゾリーニを殺したか?』『パゾリーニ 夢の論理』がある。

作品

映画

脚本のみ

詩集

小説

冬樹社, 1966年講談社1970年/講談社〈講談社文芸文庫〉、1999年

戯曲

文献

  • 『パゾリーニ・ルネサンス』 (大野裕之編、とっても便利出版部、2001年)
  • ファビアン・S・ジェラール『パゾリーニ あるいは<野蛮>の神話』(青弓社、内村瑠美子・藤井恭子共訳 1986年)
  • ジョン・ハリデイ『パゾリーニとの対話』(波多野哲朗訳、「晶文選書」晶文社、1972年)

関連映画

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