バンゲリングベイ

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プライバシー・ポリシー Wikipedioについて 免責事項 『バンゲリングベイ』 (Raid on Bungeling Bay) は、もともとはアメリカブローダーバンド社が制作したシューティングゲーム。『ロードランナー』『チョップリフター』とともに、バンゲリング帝国三部作の一つである。

オリジナルは海外パソコン、コモドール64用に1984年に発売された。
日本においては1985年2月22日に発売された、ハドソンファミリーコンピュータ向けに移植した作品が良く知られている。また、このファミコン版を元に<ref>使用基板はファミコン互換基板である任天堂VS.システム。</ref>、操作方法などを変更したアーケード版を、任天堂が発売する。ソニーHiTBiTブランド)から発売されたMSX版もある。

目次

概要

画面は見下ろし視点の平面全方位任意スクロールシューティングゲーム。マップは縦幅10画面×横幅10画面の100画面。自機のヘリコプター(ファミコン版では架空の「AH-16 シーアパッチ」)を操り、自軍の空母(ファミコン版では「ニミッツ級原子力空母R・レーガン<ref>2009年現在、実在するミニッツ級空母として「ロナルド・レーガン」が存在するが、ファミコン版発売の1985年はロナルド・レーガンが2期目の任期をスタートした年であり、当然後に実在の空母の名称として用いられるかどうかは定まっていない(実在の空母の命名は2001年)。空母の規模も含めて偶然の一致である。なお、ゲームでの同艦は4番艦であるが、実在の同艦は9番艦である。</ref>」)を敵攻撃機(F-18)の爆撃から防衛し、レーダーと戦闘機(F-14)と高射砲台から成る防空網や哨戒艇、戦車などを破壊しながら敵国「バンゲリング帝国」の戦略拠点(工場)を破壊するのが目的。

拠点である工場は爆弾でのみ破壊できるが、自機に搭載できる爆弾数には上限(最大9発)があるため、補給するには空母か敵の空軍基地付近の補給場に着陸しなければならない。また、時間の経過やステージにより工場の耐久力が向上するため、破壊するのが困難になっていく。また、工場が健在な場合、周辺に高射砲や戦車などが徐々に配備され、防衛が強固になる。

自機の被弾によるダメージはヒットポイント制で、空母に着艦すれば爆弾は補給されダメージは0まで回復する。ダメージが100に達すると操縦困難の後、墜落する。自機の墜落地点が工場や戦艦等だった場合はそれらにダメージを与える。

自軍の空母は敵の攻撃機から一定以上の攻撃を受けるか<ref>ただし攻撃機を全滅させて警報を解除した時には空母のダメージはある程度回復する。</ref>、プレイヤーが故意に空母を爆撃した場合や、敵戦艦が同じ画面に侵入すると自動的に撃沈されその時点での残機は全て失われる。その後空母は一切復活しない。その場合でも前述のように敵空軍基地でも補給と修理は可能な為ゲーム続行は可能だが、受けたダメージは完全回復しない。このためゲーム後半は被弾によるダメージ増加やレーダー網と敵戦闘機の連携が増す事などにより、攻略が著しく困難になる。

ファミコン版のオリジナルモードとして、2人対戦プレイが可能である。2人対戦プレイ時には、2P側は「バンゲリング帝国」を操作し、戦闘機ミサイルなどにより1P側を攻撃する。

説明書には、ファミコンのIIコントローラに内蔵されたマイクに「ハドソン!」と叫ぶことにより、戦闘機をスクランブルさせ、攻撃機もヘリ掃討任務にあてることができると書かれていた。実際には音さえ入力されれば言葉はなんでもOKであり、扇風機をマイクに当て風切音を連続発生させる、マイクをテレビのスピーカーに近づけてハウリングを発生させる、といった荒技も存在し、この荒技をゲーム開始から使うと直後に空母に敵航空機が殺到、ヘリが発進する間もなく空母甲板上で撃墜されるほどであった。このことを利用して、攻撃機による空母への爆撃を回避させることも出来た。

登場する駒は自軍がヘリコプターと空母、敵側が戦闘機、攻撃機、哨戒艇、戦車、戦艦、高射砲台、追尾ミサイル、レーダーである。

登場兵器

自軍

AH-16「シーアパッチ」
アメリカ海軍と陸軍、海兵隊が共同開発した新型攻撃ヘリ。武装は30ミリバルカン砲1門と、爆弾9発。最高飛行速度は880Km/h、また少々の被弾では飛行・戦闘に影響を及ぼさない強靭な防御力を持つ。
原子力空母「R・レーガン」
ニミッツ級原子力空母4番艦。武装はバルカン・ファランクスが3門、シースパロー対空ミサイル発射器が8連装3器24門となっているが、ゲーム中では攻撃機への反撃は行われない。なお、空母「ロナルド・レーガン」はアメリカ海軍に実在するが、ゲーム開発当時はレーガンは現役の大統領であり空母は建造されていなかった。ゲームの舞台が近未来であることを想定した設定が結果として現実となった。

バンゲリング帝国軍

哨戒艇
海上を航行しており、自機が接近すると攻撃してくる。受けるダメージは低いが命中判定はランダムで処理されるため、自分からは回避できない。破壊せずに近くにずっといると多大なダメージとなる。空母に体当たりしてダメージを与えることもある。
戦車
工場の周辺を移動しており、自機が接近すると攻撃してくる。攻撃に関しては哨戒艇とほぼ同じである。
高射砲
陸地に配備されており、最初の頃のステージでは高射砲弾、ステージが進むと誘導ミサイルで攻撃してくる。高射砲弾およびミサイルは回避可能。また、ミサイルはバルカンで撃破できる。誘導ミサイルは燃料が切れるのが早く、すぐに墜落するが当たると大きなダメージを受ける。
レーダー
自機及び空母が索敵範囲内に侵入すると、戦闘機及び攻撃機を呼び寄せる。直接攻撃してこないからといって放置していると危険。
F-14戦闘機
敵の飛行場より飛来し、ミサイルで攻撃してくる。自機への攻撃が専門で空母は攻撃しない。
F/A-18攻撃機
敵の飛行場より飛来し、空母に攻撃を仕掛けてくる。空母を撃沈するまで決して撤退せず、また必ず2機で攻撃をしてくる為、2機とも撃墜しないとそのうち空母は撃沈されてしまう。空母への攻撃が専門で自機へは攻撃しない。
Q型戦艦
アメリカ軍が極秘に建造を進めていた戦艦で詳細は不明。多数のミサイルランチャーと16インチ主砲を持ち、さらにバンゲリング帝国に改装を受け謎の兵器が搭載されているらしい。自機が接近すると誘導ミサイルで攻撃をしてくる。また、空母が同一画面に侵入すると一瞬で撃沈されてしまう。ステージが進むとドック内で建造が開始されるがこの時点では接近しても攻撃してこず、数発の爆弾で簡単に撃破できるがしばらくすると再建造が始まり、完成して一旦出航すると耐久力が大幅に増加するため撃沈は困難を極める。しかし出航後の戦艦を撃沈すればドック内の時とは違い、再建造はされない。
工場
不気味に明滅を繰り返す、バンゲリング帝国の兵器生産拠点。陸地に点在するこの工場を全て撃破することがゲームの目的となる。爆弾を一定数以上命中させると明滅が止まり、機能が停止する。その間は戦車や高射砲の配備が止まるが、しばらく時間を置くと復旧する。機能停止状態からさらに爆弾を一定数以上命中させると全壊し、そのステージ中は復旧しない。

ストーリー

198X年、突如カリブ海に現れた謎の次元侵略者「バンゲリング帝国」は、カリブ海一帯を地球の空間から隔離した。内部から脱出する事も、外部から侵入することも不可能な異次元空間に取り残されたアメリカ第2艦隊は、謎の発光現象によりバンゲリング帝国の尖兵と化してしまう。

いまやカリブ海は地球侵略用兵器の生産拠点へと改造され、多数の航空機や陸上兵器、最新鋭のQ型戦艦などが人類に牙を剥こうとしていた。

司令官の迅速な判断により、唯一バンゲリング帝国の支配を逃れた最新鋭空母「R・レーガン」は、ただ一隻でバンゲリング帝国への反撃を開始。わずかに5機のみ残された新型攻撃ヘリがバンゲリング帝国の拠点を破壊する為に飛び立った。

評価

自機の操作が左右で旋回、上下でスピード調整というラジコン的な特殊な方法であったことから、慣れない人にとって非常に難しい操作性であった上、発射する弾は一発ずつだったので、航空機との格闘戦時に「見越し射撃」が必須で、敵機撃墜は困難を極めた。ただし、アーケード版では操作方法は変更されており、レバーを操作した方向に向くように旋回し、そのままレバーを入れ続けると加速(背後方向にレバーを入れると減速・後退)するようになっている<ref>アーケード版ではこの他に、沈められた空母が、ミスからの復帰時に復活するなどの仕様変更もあり、ファミコン版よりも難易度が低い。また、対戦モードがない。</ref>。

発売当時小学生など低年齢層が主流だったファミコン市場において、本作は当時としては高度な戦略を求められる、言わば大人向けのゲームシステムだったこともあり、それらに馴染めないユーザーからは「クソゲー」呼ばわりされることも多かった。また、発売元であるハドソン社の『月刊コロコロコミック』と連携し小学生を対象にした過剰な広告戦略も火に油を注いだ。

本作は『シムシティ』の作者であるウィル・ライトのデビュー作である。ライトはこのゲームのマップエディッタでマップをエディットしているうちに、シムシティのゲームデザインとしての構想が生まれた。また、このゲームの「敵の拠点破壊が敵の戦力に影響する」という見えない戦略性は、『シムシティ』の原形といえるものである。

脚注

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関連項目

  • ファミコン風雲児 - 劇中にて架空の改造版「バンゲリングベイ」が登場。メモリーを増強し複数の本体をリンクさせ、帝国側を3つのコントローラーで操作し、3vs1の対戦ができるという内容だった。
  • ファミコンロッキー - 劇中にて実際のゲームには登場しないボスキャラ(魔の海域の最終兵器)が登場、少なくない小学生がまんまと騙される。el:Raid on Bungeling Bay

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