ハセガワ
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ハセガワ(Hasegawa)とは、飛行機・自動車・艦船・鉄道模型・キャラクター模型を販売する日本の模型製造会社である。
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概要
木製模型メーカーとして創業
ハセガワは、1941年に長谷川製作所として長谷川勝呂が創業、戦後(1945年)は木製模型などの木製教材を製造・販売するメーカーとなり、1961年プラモデル分野に参入して初のプラモデル「グライダー」3種類を発売した。翌1962年6月に多額の開発費を投入した「1/450戦艦大和」を発売、同年に約15万個が販売され1億2千万円を売り上げるヒットとなった。続けて1/90 F-104スターファイター、1/70 P-51ムスタングを発売、こちらも売れ筋商品となり、この成功が木製模型からプラモデルへ本格的に経営の主軸を切り替える分岐点となった。
飛行機のハセガワ
1965年に、スロットカーブームが到来してハセガワも他社の動向と爆発的人気の流れに乗りスロットカー分野に参入したが、加熱しすぎた反動でブームは急速に終焉を迎えた。これ以後安易にブームに乗らず、長く売れる商品作りを目指して安定した人気のある飛行機モデルに着目し、1966年に1/72 F4ファントム2を発売した。これが120万個、3億円を売り上げる大ヒットとなったことが「飛行機のハセガワ」の方向性を決めるきっかけとなり、「定番商品」として飛行機プラモデルを主にした開発を続けることになる。
1970年、イギリスのプラモデル老舗企業フロッグ社(1935年‐1976年)との提携により、フロッグ商品の自社ブランドでの国内販売を開始(1970年‐1973年)、同時にハセガワ製飛行機プラモデルもフロッグブランドで欧州で販売された。幅広い飛行機模型・商品化シリーズを多く抱えたメーカー同士のメリットある提携で、ハセガワにとっては飛行機模型シリーズを充実し、「飛行機のハセガワ」のブランドイメージを上げる役割も果たした。
アメリカにおいても、1960年代後半からUPC社やAMT社へのOEMの形で商品を販売していたが、1972年よりミニクラフト社との提携により「ハセガワ」ブランドを前面に出した販売を開始し、海外での「ハセガワ」知名度アップに繋がった。
キャラクターモデルビジネスへ進出
1980年代、スケールモデル以外のジャンルを模索していたハセガワは、自社デザインによるSF系メカシリーズ「スペースオペレーションシリーズ」を立ち上げ、数点のキットを発売するもののセールスには結びつかず数年で撤退している。またそれと前後してトミーの「レンズマンシリーズ」のプラモデルキットをOEM開発していたことがある。1980年代末期にはミニ四駆ブームに便乗し、「カムコンテック」という自動ステアリング機構を持ったモーターライズキットを開発している。
1990年代に入り、既存金型を流用しながら新規デカールや一部パーツを追加したキャラクターキットの発売を開始。『エリア88』や『戦場まんがシリーズ』などのメジャー作品から、『青空少女隊』や『エアロダンシング』というマイナー作品までをもキット化。他にも『ああっ女神さまっ』から「猫実工大震電」、『帰ってきたウルトラマン』の「マットビハイクル」など幅広いジャンルを網羅していた。変わり種としては酒井法子率いる『のりピーレーシングチーム』の「のりピーシビック」をキット化した。これらのキャラクターキットの販売は、主に「アクト(A.Q.T.)ハセガワ」のブランドで行われた。また、ドラゴンとの共同企画として『鉄腕アトム』のキットを商品化したのもこの頃である。
1990年代半ばには『スター・ウォーズ』のフィギュアをプラモデルキット化する企画がホビーショーや雑誌広告で告知されたが商品化は実現しなかった。
2001年以降は、それまでの既存金型流用というフォーマットからステップアップし、新規に金型を製作しマクロスシリーズやウルトラマンシリーズと言ったアニメ、特撮関連、電脳戦機バーチャロンと言ったTVゲーム関連のキャラクターモデル商品の開発に参入する。 そのきっかけは『超時空要塞マクロス』に登場する可変戦闘機・VF-1バルキリーの商品化で、この人気メカの戦闘機形態がF-14トムキャットをモデルとしていたことから、新金型キットを開発しても「飛行機のハセガワ」ブランドのイメージを活かせるとの判断があった。飛行機で培った精細な技術を注ぎ込んだ結果、今までハセガワの模型を購入したことがないキャラクターモデラーまで取り込んだ大ヒットを収めた。それがキャラクター分野への本格的参入に繋がり、その後のシリーズでは人型ロボットモデルにも手を広げ、ポリキャップなどキャラクターモデル独特の可動技術で向上を図っている。
2008年にはマシーネンクリーガーシリーズへの参入を表明、第1弾として傭兵軍の反重力装甲戦闘機「ファルケ」を2009年3月に発売した。こうした経緯を経て、ハセガワは国内の模型メーカーとしてはスケールモデルとキャラクターモデルの両方を手がける数少ないメーカーとなっている。
鉄道模型へ参入
1990年代初頭にTVゲームメーカーのハドソンからの依頼で製作した16番ゲージ(1/80,16.5mmゲージ)サイズの土佐電鉄600形の『桃太郎電鉄』広告塗装のプラモデルを一般発売したところ、大反響を呼び、これを鉄道模型として走らせるための動力装置が別メーカーから発売される等のブームとなった。これをきっかけとして16番ゲージに参入、エンドウの技術提供を受け、同社製品の『コキ104』や『キハ110系』などのボディ製造も担当。後にNゲージに移行し、鉄道模型ブランドMODEMO(モデモ)を設立して現在に至っている。
主に、都電や東京急行電鉄、名古屋鉄道、土佐電気鉄道の軌道線用電車(路面電車)や、箱根登山鉄道、江ノ島電鉄等の小型電車の完成品を商品化しており、Nゲージの路面電車を継続的に製品化しているメーカーは当社だけである。
路面電車以外では、静岡に本拠があることから16番ゲージで373系、Nゲージで313系、小田急20000形「あさぎり」を製品化しているが、競合他社製品と比べると走行性能(台車)に関して及ばない点もあったものの、車両の造形、前面部の塗色などにおいて他社製品よりより優れる点もあり、好評を得た。
また、Nゲージ参入と同時期に、ナカセイが1980年代に販売していたプラ製板状キット客車の金型を引き取り、完成品として販売を始めている。
社名変更
2000年9月20日、創業時から長く親しまれていた社名「長谷川製作所」からカタカナ表記の「ハセガワ」に商号・社名を変更し現在に至る。
現在の主力商品
スケールモデル
- 1/32, 1/48, 1/72, 1/200 飛行機シリーズ
- 「飛行機のハセガワ」を象徴するスケールモデル。シャープな凹モールド、正確なディテール再現が評価を受け、スケールモデルファン向けに世界各国のハセガワ現地代理店(29ヵ国)<ref>ハセガワ現地代理店一覧</ref>を通じて輸出されている。タミヤに並ぶ国際的に知名度が高いプラモデルシリーズ。飛行機モデルを販売する種類は日本国内随一である。
- 1/24 カーモデルシリーズ
- 現行カーモデルからヒストリックカーシリーズまで手がける。ヒストリックカーは特に近年力を入れ、飛行機モデルに次ぐ「定番商品」を目指して厳選した人気旧車をモデル化している。また、WRCに参戦したラリーカーも多数モデル化されている。
- 1/72 ミニボックスシリーズ
- コレクションに最適な1/72サイズに縮尺したミニ戦車シリーズ。軍用車両を1/76でなく1/72でモデル化した草分け的製品であり、飛行機に次ぐ安定した人気でロングラン販売されているが、最近のヨーロッパや中国製のキットと比べると設計の古さが目立つものも多い。
- 1/350 艦船模型シリーズ
- 2005年に発売した日本海軍戦艦「三笠」は詳細なディテール再現とモールドがホビー市場から高い評価を受け、戦艦模型としては異例のヒットになり、その後グレードアップパーツ・オプションのエッチングパーツ追加発売など話題になった。2006年5月に、ハセガワ創業65周年企画として第二弾日本海軍甲型駆逐艦「雪風」を発売、第三弾は南極観測50周年を記念した南極観測船「宗谷」。これらの好評を受けて引き続き大型艦の「長門」、「赤城」を発売し、世界的規模の1/350艦船模型ブームの火付け役となった。
- 1/700 艦船模型 ウォーターラインシリーズ
- 飛行機関係を得意とするメーカーであるが、静岡にあるメーカー4社(現在は3社)と共同で1971年からウォーターラインシリーズとして艦船模型を販売している。
- ミュージアムシリーズ
- 初期の複葉機を1/8~1/16の大サイズで精密さを前面に出してモデル化した、本格的組み立てキット。博物館に展示されているモデルにも遜色しないシリーズとして命名された。木・プラスチック・真鍮・ラバー・メタルなどの素材を使用している。
- 海外模型メーカー代理店として
- ドイツレベル等の海外模型メーカー製キットおよび完成品の輸入を行っている。また、アメリカレベル、バンキッシュMGの1/32スロットカーシリーズの完成品モデルなども近年取り扱いを始めた。1990年代初めよりドラゴンモデルズの輸入代理店として同社製品の国内販売を行っていたが、2010年1月で取り扱いを終了した。
キャラクターモデル
鉄道模型
- MODEMOシリーズ
- 国鉄客車シリーズ
- 国鉄キハ35系気動車
- JR東海313系電車、小田急20000形電車
- 路面電車シリーズ、江ノ島電鉄シリーズ車両、箱根登山鉄道シリーズ車両ほか多数。
過去の商品エピソード
- ゼロ戦こと零式艦上戦闘機(52型1/32)を設計者の堀越技師自身の監修で発売。
- イタリアESCI社(既に倒産)が製造した1/72スケールのAFV模型をミニボックスEシリーズとして販売していた。
たまごヒコーキ
1980年代に、たまご体型にディフォルメした可愛い「たまごヒコーキ」シリーズとして発売され、ボックスアートもポップでコミカルな明るい箱絵で数十種類販売になった人気シリーズ。購買層は低学年の児童から大人まで幅広く売れていた。長い間絶版であったが、このたまごシリーズで飛行機モデルの魅力・プラモデルの工作・塗装の楽しさを知るきっかけとなる入門モデルとしての役割も果した。 2007年11月、再発売された際には藤沢孝のイラストにボックスアートが変更され、新金型による新製品も追加された。
THE IDOLM@STER 機体
家庭用ゲーム機Xbox 360のソフトである『エースコンバット6 解放への戦火』のダウンロードコンテンツとして、同じくXbox360の『THE IDOLM@STER』のキャラクターが描かれた機体(アイマス機)があり、既存の商品に新たなデカールなどを付属して商品化している。この「アイマス機」はすべて限定生産品で再生産は無く、在庫限りの販売となる。
既に製品化されていた機体(F-2やF-15Eなど)は従来の金型を使用し成型色を変えて対応しているが、話題となったのが完全新規製作となったF-22である。
ハセガワではアメリカ空軍仕様のF-22よりも先にアイマス機である『F-22 ラプター「天海春香」』を発売することとしたため、航空機ファンや古くからのユーザーなどから決して少なくない抗議や批判があった。社内でもアイマス機を先に発売することへの反対意見が多く出たようで、商品化決定までは紆余曲折あったそうである<ref>月刊モデルグラフィックス誌2010年1月号、長谷川勝人専務インタビュー記事参照</ref>。
しかし、初めに限定品であるアイマス機を生産したことにより、今後「定番商品」(継続的に生産・流通する商品)とする『F-22 ラプター 米軍仕様機』を継続して生産できることから賢明な判断であったと言える。
このアイマス機の製品化により「痛車」ならぬ「痛戦闘機」という新しいジャンルを確立。現在までに発売、商品化決定されたアイマス機体は1/72スケールと1/48スケールの両製品を合わせて10体を越えており、ハセガワの商品には無い機体はアメリカレベル社の製品を流用するなどしてラインアップの充実を図っている。
その他
- 模型用コーティングポリマーのノウハウを生かした実車用コーティングポリマーも販売している(通販のみ)
- トライツールのブランド名で工具を販売している。
- 社屋の屋上にF-104が、玄関前にT-3が展示されている(この記事の写真にも写っている)。
関連項目
- JMC
- JOYFUL MODELLERS' CONVENTION OF HASEGAWA 略してJMCとは、有料会員制でハセガワがJMC事務局を運営する模型ファン会員組織。模型ファンのモデラー同士の交流や、作品展示会・技術交流・コンテストなどを主な目的とする。プラモデルの愛好者を広げ、育てる組織として日本全国各地の協賛模型店がJMCステーションに加盟している。
- カルトグラフ社
- イタリアのデカールメーカー、限定商品で採用される例が多い
参考文献・脚注
- 日本プラモデル興亡史 -わたしの模型人生- 井田博 著、文春ネスコ発行 ISBN 4890361871
- ホビダス 飛行機模型の愉しみ Vol.1
<references/>
外部リンク
- ハセガワ公式HP JMC事務局の紹介ページもある。
- ハセガワ・60年代スロットカー発売時の広告解説
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