ドライアイス

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画像:Trockeneis.jpg
ドライアイス。常温常圧下では昇華して直接気体の二酸化炭素になる。
画像:Dry ice in water.JPG
ドライアイスは、に入れると大量の白煙を発生する。

ドライアイス (Dry ice) は、二酸化炭素を固体にしたものである。

目次

製造方法

気体の二酸化炭素(炭酸ガス)を、およそ130気圧前後に加圧して液化させ、その液体の二酸化炭素を急速に大気中に放出。その際に気化熱が奪われることにより自身の温度が凝固点を下回ることを利用して粉末状の固体にした上で、それを成形して製品にする。

なお、この方法で製造した場合、ドライアイスは細かい粉体(パウダースノー(粉雪)状態)で圧縮しても固めることができない。したがって、市販されるブロック状のドライアイスは固める為に数パーセントのが添加してある。

おもな用途

温度がよりも低く、液体にならず気化してしまうため扱いが比較的容易であり、冷凍食品アイスクリームケーキ等の食品を腐らせない(融けない)ように輸送するときなどの保冷剤として使われる。

ドライアイスを空気中に置くと空気中の水分が凍り白煙が発生する。二酸化炭素が出ていると間違われるが、二酸化炭素は目には見えない。また、水中に入れることで大量の白煙を発生させることができるため、舞台などでの特殊効果ではお湯にドライアイスを投入した白煙がよく用いられる。放送業界では俗に「炭ガス」と呼ばれている。

人間や動物の遺体保存にも使われ、遺体と一緒にしたまま火葬しても有害ガスが出ないことから、根強い需要がある。

水資源の安定確保・枯渇対策を目的とした、人工降雨・降雪技術の確立のための研究も行われている。

イボ胼胝の切除治療にも使われる。しかし、ドライアイスは保存しにくく利用しにくいため、液体窒素のほうがよく使われている。

ドライアイスとコンプレッサーの圧縮空気を利用した新しい洗浄「ドライアイス洗浄」が環境に良いとされ、自動車産業を中心に多く利用されてきている。

留意点

ドライアイスは日常的に用いられるが、高濃度(およそ70 - 80%以上)の二酸化炭素を吸入するとたとえ酸素が大気中と同等程度含まれていても、二酸化炭素が呼吸中枢に毒性を示す為に自発呼吸が停止し窒息することがある。特に昇華して二酸化炭素の気体になった場合は足下に滞留しやすいため、窒息あるいは酸欠による事故に注意しなくてはならない。特に、冷凍庫のような屋内や、車内で扱う際は、締め切らずに通気や換気を行う必要がある。たとえば350gのドライアイスを乗員室容積2000Lの密閉した車内に放置すると、1時間で車内の炭酸ガス濃度は約10%となり、中毒を起こして意識不明に陥る危険性がある。<ref>船山信次 図解雑学 毒の科学 ナツメ社 ISBN 4-8163-3287-1 p.189</ref>

また、高い場所でドライアイスを扱った際、二酸化炭素が離れた低い場所に流れ込み、そこで酸欠を起こした事故もある。

「使用を誤ると酸欠事故の恐れがある」、「廃棄できず、昇華するのを待つ必要がある」、「商品表面に二酸化炭素が浸透し、炭酸飲料のような刺激感を与えてしまう」、「二酸化炭素は地球温暖化の原因物質とされる」といった欠点のため、近年ではドライアイスに代わって、吸水ポリマーが原料の保冷剤が普及してきている。特にケーキの持ち帰り用には大部分が保冷剤に取って代わられた。

化学的情報

ドライアイスは常温常圧環境下では液体とならず、直接気体昇華する。

  • 比重: 1.56
  • 昇華温度: -79℃(at 1気圧)
  • 溶解潜熱: 45.56kcal/kg (190.75kJ/kg)(at 1気圧)
  • 気化潜熱: 88.12kcal/kg (369.94kJ/kg)(at 1気圧)
  • 昇華潜熱: 136.89kcal/kg (573.13kJ/kg)(at 1気圧)
  • 冷却能力は同容積の氷の約3.3倍。

取扱い上の注意点

ペットボトル破裂事故

#製造方法で述べたとおり、ドライアイスは圧縮された気体であり、昇華して気体になると体積は約750倍になる。

当然ながら、ガラス瓶やペットボトルなどの容器で密閉保存してしまうと、容器内の圧力が急激に上昇してしまう。

さらにその状態で

  • 容器が長時間にわたって放置される
  • 容器を振る
  • 容器を落とす
  • 容器を床や壁などに叩きつける
  • 容器を投げ飛ばす

などして容器に衝撃が加わると、圧力に耐え切れない容器が破裂・爆発し、破片やキャップが飛び散り、非常に危険である。

実際に、炭酸水を作ろうとしてペットボトルやビン容器に飲料とドライアイスを入れて密閉した状態で容器を振るなどしたところ、容器が破裂してビンの破片やキャップなどが吹き飛び、腕や顔面に重傷を負ったという事故が相次いでおり、国民生活センターが注意喚起を行う事態に発展した。中には「破裂して吹き飛んだペットボトルのキャップが眼球に直撃してしまい失明」という事故も報告されている<ref>ドライアイスを入れて密閉したペットボトルが破裂して大けが!!(報道発表資料) 国民生活センター</ref>。

その他の取扱い上の注意点

直接手で触れると凍傷を起こす危険がある。また、10%から50%の濃度の二酸化炭素で中毒を起こす可能性があるため、十分な換気と酸欠に注意が必要である。

食品を冷やす場合は間接的な冷却を行うのが好ましい。ちなみに、ドライアイスを新聞紙などで包むと昇華を遅らせることができるので長持ちする。

出典

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