ダート

出典: Wikipedio


ダート

  • ダートコース・ダートトラックを指し、競馬モータースポーツの走路の一種。本項で詳述。
  • 道路地図等で表示する未舗装区間のこと。道路地図の中には、舗装ができていない道のことを特に「ダート」と注釈を入れるものが存在する。

ダート(dirt)は、の意でありダートコース(ダートトラックなどとも言う)のことを指す場合がほとんどである。ダートコースとは競馬モータースポーツなどで利用される土やが細かく敷かれた走路のことである。

目次

競馬のダートコース

アメリカ

アメリカの競馬は、伝統的にダートコースにおけるレースが非常に盛んである。ダートは和訳すればであり、日本の競馬で使われているの意ではない。アメリカのダートコースは土を使っており、路盤は煉瓦を砕いた赤土のような路盤となっており、ダートレースは日本の芝レース並みの走破タイムが出る。小回りで直線の短い競馬場の形態とこの路面の特徴から、アメリカダートコースにおけるレースの特徴はハイペースで先行し、決勝線までそのスピードを維持した馬に有利となるものである。

現在、アメリカの競馬界においてはイギリス式のオールウェザー馬場を導入する競馬場が増えている。これは、低温と降雨のために芝コースでのレース開催を通年で行うことが難しいイギリスにおいて発展したもので、ワックスされた砂と化学合成物質の混合物をコースの素材とするものである。オールウェザー馬場の利点は、維持費が安い、悪天候時に馬場状態が悪化しにくい、コースを平坦にする整備がしやすいことと衝撃を吸収する素材の性質から競走馬の脚部にかかる負担が少ない、という点にあるとされ、競走馬の育成・調教施設では世界的に広く導入されている。降雨量の少ないアメリカと言えども、いざ降雨となれば排水性の悪い路面が泥となって開催の妨げになることにはかわりなく、固く凹凸の整備もしにくい馬場に対する不安もあったことが、オールウェザー馬場への転換を加速させている。

2005年にはケンタッキー州ターフウェイ競馬場が導入し、翌2006年にはカリフォルニア州競馬委員会も導入を決定した。これを導入した競馬場のレースは、スローペースで直線の切れ味勝負という、従来のダートコースとは全く異なるレース傾向への変化が見られるという。

オールウェザー馬場と一口に言っても、競馬場によって用いられる合成素材は異なり、アーリントンパーク競馬場デルマー競馬場キーンランド競馬場ウッドバイン競馬場ではポリトラック、サンタアニタ競馬場ではプロライド、ハリウッドパーク競馬場ではクッション・トラック、ゴールデンゲート・フィールズ競馬場ではタペタが採用されている。

ドバイ

ドバイワールドカップで有名なドバイのナド・アルシバ競馬場ではアメリカのダートを貨物船で運んでそのまま競馬場に敷いていた。ただし、ドバイも2010年に開場のメイダン競馬場ではタペタを用いたオールウェザー馬場が導入され、ナド・アルシバ競馬場は閉鎖される。

日本

中央競馬では戦後、日本中央競馬会冬季間の芝コースの保護を目的として、アメリカを参考にして土主体のダートコースを導入した。しかし、水捌けの悪い土主体のダートコースは雨の多い日本の気候条件下では使用に耐えず、ほどなく水捌けのよい砂主体のコースに置き換わった。芝コースやアメリカのダートと比べてスピードよりもパワーが求められるという特徴があり、そのためにそれらのコースよりも競走馬の脚部にかかる負担は少ないとされる。とくに冬季は乾燥する上に凍結防止の観点から散水ができないため、パワーが要求される馬場になりやすい。このような特徴から、日本のダート競走は一般的に牝馬よりも牡馬が優勢であるとされるが、ロジータホクトベガファストフレンドゴールドティアラブロードアピールのように良績を残した牝馬も多い。

近年では、中央競馬のダートを敬遠してジャパンカップダートになかなか外国馬が出走してくれない(2006年度はついに0頭)、アメリカの重賞やドバイワールドカップで日本のダート有力馬の上位入着馬が少ない、などの問題があることから、「アメリカ型の土主体のダートコースに変更するべき」「近年アメリカで使用例が急増しているオールウェザー馬場を導入すべきだ」という声も出てきているが、これらの意見には、先述の気候上の問題などはあまり考慮されていない。また、アメリカの主要競馬場でも、オールウェザー馬場に使用する合成素材が地区や競馬場ごとに異なる事情もあり、どの素材によるオールウェザー馬場が主流になっていくか見極めている段階だとも言える。

地方競馬競馬場は、芝コースの管理について技術的にも資金的にも制約があることから、ダートコースの内側に芝コースがある盛岡競馬場を除き、ダートコースのみで構成されている。

ダートコースが導入された経緯の違いから、中央競馬と地方競馬との間ではダート競走の扱いに大きな差があり、1997年以前の中央競馬にはGI格の競走すら存在しなかった。

現在、ダート競走格付け委員会によって格付けされた「統一GI」は11競走ある。うち9競走は地方競馬で開催され、中央競馬ではフェブラリーステークスとジャパンカップダートの2競走(中央競馬のダートGIはダート競走格付け委員会でもそのまま統一GIに格付けされている)が施行されている。2006年までは盛岡競馬場のダービーグランプリも中央交流統一GI競走として開催されていたが、2007年に馬インフルエンザの流行が原因で交流競走が制限されたため、その年は統一グレードなしの地元重賞として開催、翌年に競走そのものが廃止されている。

かつてコースというものが存在した。これは現行のダートとはやや質が異なるもので、当時の重賞競走の記録等にも「砂」と記載されている。中京競馬場の場合、1953年に砂コースのみで開場している。重賞競走では1971年中京記念で使用されたのが最後で、ほどなくダートコースに改修されている。札幌競馬場の場合は1968年に砂からダートに改修されており、それ以前の札幌記念は砂コースでの施行であった。

ダートコースで使用される砂は、中央競馬の主要な競馬場及び地方競馬の大井競馬場では青森県六ヶ所村の海砂を使用している。ただし、地方競馬を中心に川砂を使用している競馬場も散見される。

モータースポーツのダート

画像:DirtTrackRacingLateModels.jpg
オーバルコースで行われるダートトラックレース
画像:Autocross Rennen1.jpg
欧州ではオートクロスと呼ばれる

オートバイによるダートコースで競われるレースにはダートトラックレースがある。

また、オートレースも開催当初はダートであった。

クローズドコースで自動車によりタイムを競うレースには、ダートトラックレース、オートクロスダートトライアルなどがある。

凍結対策

冬期にはダートコースの凍結を防止するため、凍結防止剤が散布される。凍結防止剤の成分は塩化ナトリウム、無水硫酸マグネシウム硫酸ナトリウムなどからなり、ダートの中に溶けた塩化ナトリウムが凝固点を下げる働きをする。さらに競馬開催日の前日の夜には係員が待機して定期的にダートの温度を測り、ダートが凍結しそうになると整地作業を行う。なお、冬期は凍結防止のために散水を控えるため、ダートが乾燥し力を要する馬場になりやすい。Template:Motorsport-stub Template:Keiba-stub

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