ゾンビ

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プライバシー・ポリシー Wikipedioについて 免責事項 ゾンビ(ゾンビー、Zombie)とは、何らかの力で死体のまま蘇った人間の総称である。ホラーファンタジー作品などによく登場し、腐った死体が歩き回るという描写がよくなされる。

目次

概要

起源

ゾンビは「生ける死体」として知られているが、元来の意味は「お化け」や「妖怪」、「物の怪」といった意味だったらしく、『実体を持った物の怪の全般』を指す。ヴードゥー教のルーツとなる、ヴォドゥンを信仰するアフリカ人は霊魂の存在を信じているが、これは目に見えないものとして当たり前だと捉えられている。

「ゾンビ」は、元はコンゴで信仰されている神「ンザンビ(Nzambi)」に由来され、「不思議な力を持つもの」をンザンビとして呼ばれており、人や動物、物などに対し、使われていた。これがコンゴの奴隷達により、中米・西インド諸島に伝わり、「ゾンビ」と呼ばれるようになり、「不思議なもの」→「妖怪」へと変わっていった。

ゾンビパウダー

ゾンビを作るにはゾンビ・パウダーというものが使用される。この主成分はフグの成分であるテトロドトキシンであり、この毒素を傷口より浸透させる事により仮死状態を作り出す。毒素の希釈が丁度よければ、薬と施術により蘇生することが出来る。毒が多量であれば死に至る。仮死状態であると、酸欠により脳(前頭葉)にダメージが残ってしまう。自発的意思のない人間――つまり、ゾンビを作り出すことが出来る。こうして言い成りになったゾンビは奴隷として農園で使役され続けた。

死者を蘇らせるというよりは幻覚剤の一種を用いて、生きた人間の記憶や意志を奪って使役する術であるという説もある。他にも麻酔の一種を用いて、仮死状態にさせて死亡したかのように見せかけ、更に麻酔が覚めた人をまるで生き返ってきたかのように見せるという説もある。

伝統的な施術

この術はヴードゥーの司祭の一つであるボコにより行われる。ボコは依頼人により人を貶める生業をしている。ボコは死体が腐り始める前に墓から掘り出し、幾度も死体の名前を呼び続ける。やがて死体が墓から起き上がったところを、両手を縛り、使用人として農園に売り出される。魂は壷の中に封じ込まれ、以後ゾンビは永劫、奴隷として働き続ける。

死人の家族は死人をゾンビにさせまいと、埋葬後36時間見張っていることもあれば、死体に毒薬を施したり、死体を切り裂いてしまうこともある。死体に刃物を握らせ、死体が起き出したらボコを一刺しできるようにする場合もあるという。

実情

当然のことであるが、名前を呼ばれた程度で死体が蘇るはずもなく、農民達による言い伝えに過ぎない。しかし、ヴードゥーを信仰しているハイチなどでは、未だに「マーケットでゾンビを見た」などの話が多い。また、知的・精神的障害者がたまたま死者に似ていたため、『死亡した人がゾンビ化される事例がある』などとされることもある。

先述したゾンビ・パウダーの起源はナイジェリアの少数民族であるエフェク人カラバル人に由来するものであるとされる。西アフリカ社会では伝統的な刑法としてこの毒が用いられており、これが奴隷達により西インド諸島に持ち込まれた。『ゾンビ・パウダーにはテトロドトキシンが含まれている』といわれているが、実際にゾンビ・パウダーに用いられるのは、毒を持つフグではなくハリセンボンである。また、ゾンビパウダーの使用法は身体に塗布するものであるため、テトロドトキシンで仮死状態にするという仮説には無理があるとの指摘もある。

『ゾンビ化』は、嫌われ者や罪を犯した者に対し、制裁を加えるための行為であった。また、刑罰という側面に鑑みるに、この場合の『死者』とは生物的なものではなく、共同体の保護と権利を奪われる、つまり“社会的な死者として扱われる”ということの寓意ではないかという説もある。

架空世界におけるゾンビ

[[File:Groupofzombiesjoelf.jpg|thumb|疫病や生物兵器などによる終末ものフィクションの中には、ゾンビもしばしば登場する]] 冒頭で述べたように、ゾンビはホラーやファンタジー作品に多く登場する。作品中においては、元の「疲れ知らずの労働力」としての姿ではなく、「人間に敵対するモンスター」という位置付けで描かれる事が多い。完全な意思を持たず、他者に操られたり生前の生物的な本能や反射行動によって動くものが多いが、作品によっては、肉体的には次第に朽ちつつも自我を持ち自由に活動する例もある。

このゾンビ像を決定づけたのは、1968年のジョージ・A・ロメロのアメリカ映画『Night of the Living Dead』である。この作品でロメロはブードゥー教のゾンビに吸血鬼の特徴を混ぜ込み、新たな恐怖の対象である「生ける死体」を作りあげた。後発のゾンビはほとんどがこの“ロメロゾンビ”の影響下にある。ロメロの2番目の同種作品である『ゾンビ』(1978)は特に有名で、この映画によって「ゾンビ」という言葉が世間に普及した。

なお、ジョージ・A・ロメロ自身は「1968年の映画を撮影していた段階ではゾンビではなくグール(小鬼)と呼んでいた」と語っている。

SF作品において“化学薬品等の影響によるゾンビ化”という設定は以前より存在したが、近年では呪術や魔法的な手法ではなく、科学実験や特殊なウィルス感染、或いは寄生虫によりゾンビ化するという設定が主流になりつつある(疑似科学を取り入れる事により、恐怖の源をより身近に、ある程度のリアリティーを持って表現できるためと考えられる)。これらの作品には、パンデミックという形で被害が拡大するパニック物の様相を呈するものも多い。

一部ではこれらのゾンビをブードゥーのゾンビと区別するために、ロメロの映画に倣って生ける屍Living Dead)と分類・呼称している。このタイプには人間以外のゾンビも存在し、腐りかけた肉体を持つ動物が人間を襲う等の描写も登場する。作品によって細部は異なるものの、全般的なゾンビの特徴としては、あまり複雑な動きはできず、動作も緩慢であるという点が挙げられる。また、頭部や背骨を破壊されたり、燃やされると活動を停止するという弱点も設定されている。また、ゾンビによって負わされた外傷による何らかの感染により、負傷者がゾンビ化するという設定も多く使われる。

過去、長編や長尺の和製ホラーにはあまり登場しなかったゾンビだが、近年では『SIREN』や『屍鬼』など、日本の文化・社会に持ち込んだ作品も生まれている。

マイケル・ジャクソンの有名なPVスリラー』では、マイケル率いるゾンビのダンスチームがダンスをしている。

ゾンビを題材にした映画作品

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ゾンビが登場する作品

漫画・アニメ

小説・ライトノベル

その他

ゾンビを題材にしたゲーム

別の意味でのゾンビ

ゾンビは日本で「活動死体」等とも形容されるが、その一方で様々な意味が追加される形で、別の物の形容詞的に用いられる場合がある。これらではゾンビ的性質を挙げて、そのように呼称している。

無気力な人

オランダ語での俗語

サバイバルゲーム

サバイバルゲームゲームルール上で「デッド(死んだ事になっている)」したプレーヤーがルールを無視してゲームを続行し、他プレーヤーを攻撃した場合などに「ゾンビ」と呼ばれる。ルール及びマナー違反となるので他のプレーヤーの気分を害しやすい。

特殊ルールとして、一度「死んだ」プレーヤーの収容される“捕虜収容所”を襲撃し救出する事で、救出されたプレーヤーをゾンビと呼びゲームへの参加続行を認めるものや、敵に撃たれたプレーヤーが、映画のゾンビのようにその敵チームに加わって元の自陣に攻め込まねばならないルールもある。サバイバルゲームで一般的にゾンビというと前述の違反のことをさすことが多いことから、混乱を防ぐためにこれらのゾンビをリビングデッド(生ける死者)と呼び区別することもある。

自転車競技

自転車のロードレースで複数日にわたってレースを行う「ステージレース」では、タイムオーバー等の理由により棄権扱いとなった選手が主催者による救済措置として次のステージで「復活」する場合がある。これを俗に「ゾンビルール」と呼ぶことがあり、「復活」した選手は「ゾンビ」と呼ばれる。救済措置はルールで定められた制限時間内にフィニッシュできない選手が多数見込まれる場合などに取られることが多く、出来るだけ多くの選手を次のステージに出走させたいという主催者の意向によるものが大きい。

哲学

比喩として用いられる事がある。 Template:Main

衆議院議員選挙

重複立候補制度が導入された1996年以降の衆議院議員選挙では、小選挙区で落選し重複している比例で復活当選をした議員を揶揄の意味合いを込めてゾンビ議員と俗称する。

コンピュータのプロセス

UNIXWindowsのプロセス終了状態で、子プロセスが終了しても、親プロセスがwait()関数などでプロセスの終了値を受け取るまで、プロセステーブルには子プロセスの情報が残される。これをゾンビプロセスと呼ぶ。プロセステーブルは有限な資源なのでゾンビプロセスが大量に発生するとシステムは機能しなくなる。これを悪用した攻撃がDoS攻撃である。

ゾンビウィンドウ

ブラウザクラッシャーブラクラ)の一種で、ウィンドウを閉じてもゾンビのごとく何度も立ち上がることから、この名前が付いた。

ゾンビパソコン

近年のコンピュータウイルスパソコンに感染後、ネットワークに接続された他のコンピュータに攻撃(クラック)を自動的に仕掛け、他のパソコンを汚染する。特に悪質なウイルスのケースでは、感染パソコンに外部から命令が送られると、これら感染パソコンが一斉に迷惑メール送信を始めたり、または所定サイトDoS攻撃を行う等の、何等かの力で操られたゾンビ軍団のような働きをする場合もある。このゾンビPCによるネットワーク化も発生しており、ボットネットがセキュリティ上の一つの脅威にもなっている。

この感染パソコンを指して「ゾンビパソコン(またはゾンビPCゾンビマシン)」と形容するセキュリティ技術筋には呼ばれ、技術系ニュースサイトではこれらの語が用いられているが、「スパム」のように一般的な用語にはなっていない。

ゾンビ企業

本来なら市場競争力を失って淘汰されているはずなのに、過剰な保護政策や融資によって生き延びている企業のこと。平成不況(「失われた10年」)の時期から使われるようになった。主に規制緩和推進や新自由主義の観点から用いられる。

関連項目

関連書籍

参考資料

  • 檀原照和 『ヴードゥー大全』 夏目出版 2006年

外部リンク

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