スクーバダイビング

出典: Wikipedio


スクーバダイビングスキューバダイビングとは、空気を詰めたタンクを使ってのダイビング(潜水)である。これに対して息をこらえて行う潜水をフリーダイビング、地上からホースで空気を供給する潜水を送気式潜水と呼ぶ。日本にはアメリカのアクアラング社(Aqua Lung)が紹介し、一時期は社名「アクアラングTemplate:Enlink」がスクーバダイビングの意味で使われることも多かった。なお、本記事では特に断らない限り、「ダイビング」を「スクーバダイビング」の意味で使用する。

目次

語源・由来

スクーバとは、英語のSelf Contained Underwater Breathing ApparatusのアクロニムであるSCUBAのカナ表記であり、空気などの呼吸ガスを携行する方式の潜水器具(ジャック=イヴ・クストーが発明者の一人として有名)を指す。自給式水中呼吸装置とも訳される。英語のSCUBAは本来潜水器具を指す名詞であるが、現在では、この方式の器具を用いて行う潜水活動をもスクーバと言い、また形容詞的語としても良く使われる。

スクーバダイビングは、海事工事、水難救助軍事などの職業的活動としても行われるが、一般にはレジャーダイビングを示すことが多い。

潜水限界

アマチュアダイバーの場合、潜水可能深度は最大で40メートル程度である。潜水可能時間は最大で3時間半程度(ただし、潜水深度が大きいほど短くなる)。

潜水深度

水深が大きくなるほど緊急時の浮上が難しくなり、窒素酔い減圧症の危険性も高くなる。そのため、Cカードのライセンスでは、技術レベルに応じて潜ることができる深度が決められており、これを破ると事故の際に保険が下りない場合がある。この水深は保険の規約によっても異なるが、スクーバダイバーで約12メートル、オープンウオーターダイバーで約18メートル、アドバンスドオープンウオーターダイバーで約30メートル、スペシャルティ・ダイバー(ディープダイビング・スペシャリティ)で約40メートルである。レクリエーショナルダイビングではこの40メートルが限界となる。テクニカルダイビングの限界は約100メートルである。

潜水時間

スクーバ・タンクの容量は通常10~14リットルほどであり、始めに通常150 - 200気圧程度<ref name="padiow">PADI 『オープン・ウォーター・ダイバー・マニュアル』、1999年(参照したのは2008年の第11版)</ref>(約1.8-3.6キログラム)の圧縮空気を詰める。アマチュアダイバーの場合、通常はスクーバ・タンクを1本だけ使うため、この空気が無くなるまで<ref>安全上の見地から、少なくとも30気圧、可能な限り50気圧程度の内圧をタンクに残した状態で潜水を終了することが強く推奨される。</ref>の時間が一つの目安となる。水深が浅い場合には1時間程度であり、深くなるほど呼吸に使われる空気の圧が上がり、時間が短くなる。一般的に、潜水可能時間はダイバー個人の水面空気消費率(1気圧環境、すなわち水面における1分間あたりの空気消費量)から、タンク容量×利用可能圧÷(1+平均潜水深度÷10)÷水面空気消費率の計算により見積もられる。例えば容量12リットルのタンクを使用し、150気圧の空気を使用可能で、潜水中の平均深度15m、ダイバーの水面空気消費率が12リットルの場合、12×150÷(1+15÷10)÷12=60分になる。なお、通常のレクリエーショナルダイビングにおける水面空気消費率は、上級ダイバーで10 - 14リットル/分程度(小柄なダイバーでは8リットル/分程度になる場合もある)、初級ダイバーで20 - 30リットル/分程度である。すなわち、同じ上記の条件でも24 - 90分と、ダイバーによって潜水可能時間には大きな差が生じる。なお、実際の空気消費量は、体調、水温、水の流れや、水中における運動度合い等の諸条件によって変化するため、個々の潜水における実際の潜水可能時間が、上記の式で算出された潜水可能時間と乖離することも多い。

また、水圧が高くなるほど減圧症の危険が高くなるため、減圧停止を行わないレクリエーショナルダイビングの場合には、水深10メートルで3時間半程度、水深20メートルで45分程度、水深40メートルで9分程度を超えて潜水してはならない。先に挙げた限界時間近くまで潜水していた場合には、地上で3時間程度の休憩が必要となる。もっともこの制約は、減圧に関する教育・訓練を受けた職業ダイバーやテクニカルダイバーには適用されず、実際これらのダイバーによっては、上記の限界時間を越えた潜水もごく日常的に行われている。

必要な資格と器材

画像:Divemaster-ready-to-go.jpg
ダイビング器材を装備したダイバー

日本の法律では業務以外の目的でスクーバダイビングをするのに資格は必要ない<ref>業務上の目的で潜水を行う場合は、労働安全衛生法に定められた潜水士の免許が必要である</ref>が、潜水器材のレンタルを含むダイビング関連サービスを受けるためにはほとんどの場合Cカードの提示が必要であることから、Cカードを取得しなければ事実上スクーバダイビングをすることはできない。(ただし、インストラクターが同行し、潜水深度を極浅い範囲に限定した「体験ダイビング」にはCカードは不要であり、また初級Cカード取得のための講習におけるダイビングには当然Cカードは必要ない。)Cカードに関しては後述する。

一方、スクーバダイビングは、器材に頼るレジャーであり、器材選択は安全管理の基本にもなる。

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本項では、主要な器材<ref name="padiow"/>と機能のみ列挙する。

  • スクーバ・タンク…空気を水中に携行するための容器
  • レギュレーター…タンク内の圧力を呼吸に適した圧に調整しダイバーに供給する
  • ダイビングスーツ…ダイバーを低体温と皮膚の損傷から保護する
  • BCD…浮力を調節する
  • マスク…いわゆる「水中メガネ」。水中で物を見やすくする
  • フィン…いわゆる「足ヒレ」。水面・水中での移動を容易にする
  • スノーケル…水面で顔面を水につけたまま呼吸できるようにする
  • ウェイト…ダイビングスーツによる余分の浮力を相殺し潜行を可能にする
  • ウェイトベルト…ウェイトを身体に固定する
  • 残圧計…タンク内の空気の残量を表示する
  • 深度計…潜水深度を表示する
  • コンパス…いわゆる「方位磁石」。水中で方向を表示する
  • 時計…防水時計である。

これら器材はレンタルもされているし、購入することもできる。なお、レクリエーショナルダイバーの場合、スクーバ・タンクは、重量があり運搬が大変なこと、また保管・運搬に法規制を受ける関係から、購入せずにその都度レンタルする場合が大半である。またウェイトも重量があり運搬が大変なことからレンタルする場合が多い。

スクーバ・タンクにはほとんどの場合圧縮空気を使うが、酸素濃度を増やした「エンリッチド・エア」を使うこともある。

必要な費用

まず、Cカード取得の講習費用が必要である。講習によってはダイビングスポットへの旅行の形を取ることもあり、その場合にはツアー代金も必要となる。

ダイビング器材はレンタルが可能である。ただし、可能な限り体に合った器材を使った方が安全という考えや、講習終了後のダイビングでも常に同一の器材を使用した方が安全という考えから、一部、あるいは全部の器材の購入を講習の条件としたり、条件とはしないまでも推奨するスクールもある。ダイビングスクールによってはそのスクール、あるいは提携するダイビングショップでの器材購入を必須としている場合もあるので注意が必要である。

講習費用については、ダイビングスクールによる差も大きいが、費用が高額なスクールが必ずしも良質の講習を提供しているわけではないことには留意する必要がある。2009年には高額な機材や講習を強引に契約させたとして、業務停止命令を受けたダイビング店もある<ref>産経関西 ダイビング店に半年間業務停止</ref>。

潜水場所

港湾河川等を除いて、法律上は潜水の実施に許可を要さない水域も少なくない。しかし、基本的に潜水の対象となるのは観察や鑑賞の対象となる水棲生物が多く棲息する水域であり、このような水域での潜水は、あらかじめ同意を得ない限り、これら生物の採取で生計を立てている漁業関係者とのトラブル発生や、また警察等捜査機関による密漁疑いでの職務質問等の取調べ対象になる可能性も高い。このような背景から、日本では、沖縄県等の一部地域を除いては、個人・当該地域外のダイビングツアー・ダイビングスクール催行業者にかかわらず、地域の漁業協同組合と良好な関係を構築している、あるいは漁業協同組合が経営している、いわゆる「現地サービス」と呼ばれる業者を介して潜水を実施することが大半である。かつては、ダイバーは漁場を荒らす厄介者として忌避される傾向が強かったが、現在では、密漁を行う者はダイバーの極一部であることが広く認知されるようになったこと、またサービスの利用のみならず、食事、宿泊等の消費で地域経済の活性化につながるとの認識が広がったことから、積極的なダイバーの受け入れに方針転換した地域も多くなってきている。

基本技術

スクーバダイビングを行う上で重要な基本技術には、呼吸、中性浮力、圧平衡などがある。初級クラスで習得すべきその他の技術としては、緊急浮上、安全停止、器材の脱着(水面・水中での脱着を含む)等がある。

呼吸

ダイビングでは深くゆっくりとした呼吸が必要である。浅い呼吸では、空気のほとんどが肺に届かないため、空気が無駄に消費される。また、呼吸方法は、次に説明する中性浮力の調整にも重要となる。

中性浮力

水中で楽に移動するためには、器材を含めた体の平均比重を水の比重と合わせる必要がある。こうすることで、体は浮く事も沈む事も無くなるので、静止するために運動することは必要なくなり、また最小限のエネルギー消費で移動することが可能となる。

中性浮力の調整は、体につけた浮き袋で行う。浮き袋から空気を抜くと体はゆっくりと水に沈んで行き、浮き袋に空気を入れると浮上する。そこで、浮き袋に入れる空気の量を調整して中性浮力を保つ。

多くのスクーバ器材を体に付けた状態でも、体は水に浮くか、水面下わずかに沈む程度であり、深く沈んでいくことは無い。そのため、腰のベルトなどに数キログラムの錘を付ける。錘は地上で装着しておき、水中で調整することは通常はないが、必要量の見積もりが過小であった場合、水底から拾った石を携行して調整手段としたり、また初心者ダイバーの場合には、引率しているガイドやインストラクターが、あらかじめ過剰に携行していた錘を水中で貸し与えるような場合もある。

スクーバダイビングで使う浮き袋はBCD(Buoyancy Control Device)と呼ばれる。詳細については当該記事を参照のこと。また、最終的な微調整は、肺が大きくなると浮き、小さくなると沈むことを利用し呼吸で行う<ref>トリミングという</ref>。

圧平衡

画像:Compensacion.jpg
耳抜きをするダイバー

体には耳内、肺などに空間があり、水圧に応じて意図的に圧力を調整しなければ、激痛となり、場合によっては重大な障害が生じることがある。

耳内の圧調整は耳抜きで行う。つまり、鼻をつまんだ状態で息を吹き込む。水深を変えるごとにこまめの耳抜きが必要である。肺内の圧調整は呼吸で十分であるが、たとえ短時間であっても呼吸を止めてはいけないとされている。

安全停止(無減圧限界時間)

上述したとおり、レクリエーショナルダイビングは無限圧限界時間の範囲内で実施することが大前提である。しかし、無限圧限界時間は減圧症の罹患確率をゼロにするものではなく、ある確率で減圧症に罹患することは避けられない。この確率を最小限にするため、浮上中、ある程度の時間一定深度に滞在し、体内の窒素をある程度排泄することが行われ、これを安全停止という。通常は深度5mに3分間滞在する。万が一無限圧限界時間を越えて潜水してしまった場合、ダイビングコンピュータを携行していればその指示に従えばよいが、ダイビングコンピュータを携行していない場合には緊急減圧という手順を行う。これは、深度5mにタンク内の空気が残っている限り長く滞在するもので、これによって体内の窒素をできる限り排泄する。緊急減圧を実施した場合は、減圧症に罹患した兆候がないか、潜水終了後24時間にわたって注意深く観察する必要がある。

ダイビングの種類

レクリエーショナルダイビング

海や湖などに楽しみで潜る行為を指し、ファンダイブともいう。

一般に、次の範囲内で潜水することが強く推奨される。

  • 水深30m以内(特にトレーニングを受けた場合水深40m以内)
  • 特別な浮上手順(減圧)を行わなくて良い水深・潜水時間
  • 直接浮上可能な場所
  • 洞窟の場合、自然光の届く範囲
  • 沈没船の場合、外側
  • 呼吸ガスは空気(講習を受けることでEAN40以下のナイトロックス

テクニカルダイビング

画像:Vad lake. 2007.03.14. Cave. Exit.jpg
洞窟潜水をするダイバー
画像:Gland cenote.jpg
ステージボトルを使用するケイブ(洞窟)ダイバー

一般的なレクリエーショナルダイビングの限界を超えた領域、すなわち

  • 水深40m以上
  • 減圧潜水(特別な浮上手順を要する潜水)
  • 洞窟潜水
  • 沈没船内

などに、より安全に到達・帰還できるよう装備や手順を体系化した非職業的ダイビングを指す。 全てのレジャーダイビングにおける安全管理の基礎を担う。 詳しくはテクニカルダイビングの項参照。

コマーシャルダイビング

商業潜水ともいう。営利を目的とした作業潜水や調査潜水などを示すが、レクリエーショナルダイビングを行うダイバーへのガイドや講習については、営利目的のものであってもコマーシャルダイビングとは呼ばない。

Cカード

Cカード(C-card)とは、ダイビング指導団体が、直接、またはフランチャイズを通じて実施する技能講習を終了した者に対し発行する技能認定(Certification)カード<ref>BSAC等、欧州に本拠地を置く指導団体の場合、イギリス式英語に則り、Qカード(Qualificationカードの略)と呼ぶ場合もある。</ref>である。ダイビング指導団体は、ほとんどの場合民間の営利企業(欧州等の一部地域には、非営利や公的な指導団体も存在する)であり、少なくとも日本では免許証と違いCカードを所持しないでスクーバ・ダイビングを行うことが法的に禁止されているといった類のものではない。しかしながら、適切な知識・技量を有さない者がスクーバダイビングを行った場合、致死傷事故が発生する可能性が非常に高いことは容易に推定できることから、これらの者にサービスを提供してスクーバダイビングが行われた結果事故が発生した場合、事故を予見できたのに適切な対応(サービスの提供拒否など)を取らなかったとして刑法業務上過失致死罪(211条)などの刑事責任や民法上の不法行為責任を問われる可能性が高い。このようなリスクを回避するため、レジャーダイバーにサービスを提供する者はそのほとんどがCカードの提示を求めており、これを所持せずにダイビングを行うことは事実上困難と言ってよく、その意味では許可証的な性質を有するものと言えなくもない。また海外ではCカードを所持しない者のスクーバダイビングを法的に禁止していたり(オーストラリア)、Cカードを所持しないものに対するスクーバ・ダイビング器材の販売や貸与を禁止している(欧州)例もある。 Cカードには、ほとんどの場合、そのスキルレベルに応じたランクが設定されていて、ダイバーとしての知識や技術、経験などを示す指標になっている。また、スキルアップの目標としての性格もある。認定団体ごとにランクの区分や呼称が異なるため、WRSTCによりRSTC標準が策定され利用されている。また ISO 24803:2007でもレクリエーショナルダイビングスキルの認定基準が規格化されている。

スクーバダイバー
リーダーレベル(ダイブマスターあるいはインストラクター)の引率でダイビングを楽しむことができる。指導団体によっては、オープンウォーターと同等のレベルを指す場合もある。
オープンウオーターダイバー
バディーシステムを守りながら、リーダーレベルの引率なしにダイビングができる。最大潜水深度は概ね18m。
アドバンスドオープンウオーターダイバー
様々なダイビングテクニックを身につけ、海での遊び方を広げる。最大潜水深度は概ね30mないし40m。
スペシャルティ・ダイバー
専門的な知識を身につける。以下の記述は各団体の項目が混在している。
カバーン、ボート、ナイト、ディープ、サーチ&リカバリー、エンリッチド・エア(ナイトロックス)、潮流ダイビング(ドリフト・カレント)、水中スクーター(DPV)、ドライスーツ、淡水ダイビング、高所ダイビング、浮力調整、マルチレベル潜水、沈船アイスダイビング、流氷ダイビング、自然環境保護、水中写真、水中ビデオ、ナビゲーション、器材、水中生物観察、スキンダイビング、 レスキュー・CPR
テクニカル・ダイバー
ケイブダイビング、沈船ダイビング、大深度潜水(40m超)、混合ガス潜水、リブリーザーの知識と技術を身につける。
ダイブマスター
プロフェッショナルの入門レベル。プロとしての基本を身につけ、インストラクターのアシスタントとしてのほか、単独でも入門者を指導することができる。
アシスタントインストラクター
インストラクター開発コースの最初の一部として、プロとしての経験を積み、また、教育システムを習得する。
インストラクター
指導団体のリーダーとして、教育プログラムを実施できる。
インストラクターにはランクがあり、実施できる教育プログラムの範囲が異なる。最上級はコースディレクターで、インストラクター候補生を教育もしくはインストラクターのレベルアップ認定することができる。
エグザミナー
インストラクターの認定試験官。

主な指導団体

指導団体とは、ダイビングの普及・ダイバーの育成を目的とする営利または非営利の団体。現在日本だけでも30あまりの団体があり、それぞれの理念に基づいてダイバーの教育、Cカードの発行を行っている。以下に主な指導団体を挙げる。

BSAC - ビーエスエーシー(British Sub-Aqua Club)
1953年、イギリスのロンドンで発足。チャールズ皇太子を名誉総裁に戴く、世界最古の伝統を誇るダイビング教育機関。
CMAS - クマス、シーマス(Confédération Mondiale des Activités Subaquatiques)
1959年に設立された水中活動に関する国際NGO。設立当時はフランスに本部が置かれたが、現在はイタリアローマにある。初代会長はジャック=イヴ・クストー。日本のJCIAは、1985年にCMASへの加盟が承認された。
NAUI - ナウイ(National Association of Underwater Instructors)
1950年代初め(上記BSACよりは後と見られる)、アメリカのカリフォルニアで発足したナショナル・ダイビング・パトロールを前身とする。
PADI - パディ(Professional Association of Diving Instructors)
1966年にアメリカで設立。全世界のダイバーの約60%が所属しているといわれる、名実共に世界最大のダイビング教育機関。
SSI-エスエスアイ/スクーバスクールズインターナショナル(Scuba Schools International)
1970年にアメリカで設立された指導団体。フリーのインストラクター活動は認めず、代理店(ディーラー)のみに雇用されるインストラクターを認定しているのが特徴。90カ国以上に提携ディーラーを約2100店舗配する。

ダイビング用語

ログ (log)

潜水場所、潜行日時、潜水時間、気温、水温、透明度などの環境要因などを含めた潜水の記録である。日本においては遭遇した生物等の副次的な出来事を記録することに重点が置かれることが多いが、これは必須の記載要件ではない。ログに記録されたダイビングの回数は、Cカードと共に潜水の技量を対外的に証明するものであり、非常に重要である。また、証明としての信憑性を高めるため、ダイビングのためのサービスを提供した者、あるいは一緒にダイビングした者のスタンプないしは署名をその都度得ることが多い。なお一般的に、ダイビングの回数は潜行・浮上の回数ではなく、使用したタンクの本数を基に、「1本」「2本」というように数える。

バディシステム(buddy system)

ダイビングを行うに当たって、2名以上でお互いが相手側の安全を確認し合うシステムである。単独で潜水する場合に比べ、緊急時の対応が取りやすくなるという安全対策でもある。このシステムは、潜水以外にも多くの安全対策手段として用いられている。

安全確認を行うパートナーをバディと呼ぶ。

スクーバの障害

潜水活動中に起こりうる危険について述べる。

  • 以下の障害は、スクーバに特有のものではなく、送気式潜水でも発生しうるものであるが、便宜上本稿に記載する。

スクイズ

体内の空隙などが水圧によって押しつぶされたり引っ張られたりする現象をスクイズ(スクイーズ)という。中耳腔のスクイズによって鼓膜が破れるおそれがある。鼓膜の損傷を防ぐには耳抜きという動作を行う。副鼻腔虫歯マスクドライスーツも、スクイズを起こして痛みを感じることがある。潜行するにつれて、マスク内の空気が陰圧になることで、マスクが顔に押し付けられたり、ひっぱられたりして痛みを感じる現象をマスクスクイズと呼ぶ。マスクスクイズを防ぐためには、鼻からマスク内に空気を送り込むマスクブローを行う必要がある。潜水前に飲んだ炭酸飲料の気泡により、胃腸に不快感をおよぼすこともある。

肺の過膨張傷害

息を止めて浮上したことで起きる。 深いところでは周囲の水圧と同じ圧力の空気を吸うので、息を止めると空気の体積が大きくなり、肺が膨張し、肺破裂を生じる。

スクーバダイビングで最も重要なことは、ゆっくり深く呼吸し、絶対に息を止めない事である。

減圧症

画像:Bends2.jpg
減圧症イメージ画像

症状・治療等の詳細については、該当記事を参照のこと。 ダイビングにおいて減圧症を発症しないためには、十分に遅い速度で浮上する必要があり、通常、潜水の分野で減圧と言えば、この目的で行う遅い浮上を示す。実際的には、浮上速度を長時間にわたってコントロールすることは非常に難しいため、一定深度で一定時間停止する、減圧停止と呼ばれる手順が用いられる。

潜水計画時において、減圧表(ダイビング・テーブル)と呼ばれる表から減圧停止を行わなくてはならない深度・時間を読み取る。現在では事前の計画をせずに、ダイビングコンピュータを装着し、その指示に従って潜水する場合が多い。

窒素酔い

窒素麻酔作用によるアルコール酔いに似た症状のこと。窒素中毒(en:Nitrogen_narcosis)ともいう。詳しくは、当該記事参照。

酸素中毒

酸素分圧が一定範囲以上のガスを呼吸しつづけた場合に発症する可能性のある症状である。詳しくは当該記事を参照のこと。水中で酸素中毒を発症した場合は死に至る可能性が極めて高く、特殊な目的のため綿密な計画の下に行う場合以外は、決してスクーバダイビングの呼吸ガスとして純酸素を用いてはならない。時折、スクーバダイバーの携行する呼吸用ガスタンクを酸素ボンベと称する場合があるが、これはほとんどの場合誤った用語である。

事故の種類

  • ガス中毒
  • エアー切れ
これを防ぐため、通常はタンク内の空気が50気圧未満にならないようにダイビングを終える。

出典、注釈

<references/>


関連項目

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