サクラ

出典: Wikipedio


Template:Redirect Template:生物分類表 サクラ)は、バラ科サクラ属植物のうち、ウメモモアンズなどを除いた総称であり、一般にはサクラ亜属 (Subgen. Cerasus) に属するものを指す。日本で最も知られている花の一つである。

目次

概説

に白色や淡紅色から濃紅色の花を咲かせ、日本人に古くから親しまれている。 

自然種としてはヤマザクラオオシマザクラエドヒガンなど10種ほどが認められている。園芸品種が多く、花弁の数や色、花のつけかたなどを改良しようと多くの園芸品種が作られた。これらのうちヤマザクラの園芸品種を総称してサトザクラ、八重咲きの品種を総称してヤエザクラ等ともいう。とくに江戸末期に開発されたソメイヨシノ(染井吉野)は、明治以降、全国各地に広まり、サクラの代名詞となった。日本では固有種・交配種を含め600種以上の品種が自生している。<ref name = sakuyakonohana_Jp_sakura>日本の桜について、このはなさくや図鑑</ref>

古代では、山に自生して咲くヤマザクラ(山桜 P. jamasakura)や、八重咲きの桜が一般的であった。西行で有名な吉野の桜も、ヤマザクラである。<ref name = sakura1/>静岡県富士宮市に日本最古級のヤマザクラである狩宿の下馬ザクラがあり、特別天然記念物に指定されている。その他、寿命が長く著名な桜に日本五大桜などがある。

また、果実を食用とするほか、の塩漬けも食品などに利用される。

日本において最も馴染み深い花であることから、一般的に国花の一つとされ(法的に定められたものではない)<ref>日タイ修好120周年 ロゴマーク・キャッチフレーズ発表!!、外務省</ref><ref name = sakuratonihonjin>C・W・ニコル『歴史は眠らない サクラと日本人』、(日本放送協会出版会、2010年)、ISBN 978-4-14-189541-1</ref>、明治時代以降軍隊や学校の制帽や階級章に桜を象った紋章が用いられている。現在においても警察自衛隊などの紋章に使用されている。

[[ファイル:100JPY.JPG|thumb|250px|百円硬貨の表には桜がデザインされている]]

3月27日さくらの日である(1992年平成4年)から財団法人日本さくらの会が制定した)。

語源

「サクラ」の名称の由来は、一説に「咲く」に複数を意味する「ら」を加えたものとされ、元来は花の密生する植物全体を指したと言われている。また他説として、春に里にやってくる(サ)の憑依する座(クラ)だからサクラであるとも考えられている。

富士の頂から、花の種をまいて花を咲かせたとされる、「コノハナノサクヤビメ(木花之開耶姫)」の「さくや」をとって「桜」になった、とも言われている。

特徴

サクラのおおもとの原産地はヒマラヤ近郊と考えられており、北半球の温帯に広範に分布している。<ref>さくらFQA、財団法人日本花の会</ref><ref>桜の種類、財団法人日本さくらの会</ref>日本では少なくとも数百万年前から自生しているとされ、桜の葉の化石が見つかっている。<ref>サクラの化石、鳥取県教育センター</ref>また、各地で気候に適応し、ほぼ全土で生育が可能である。さまざまな自然環境に合わせて多様な種類が生まれており、日本においてもいくつかの固有種が見られる。たとえばソメイヨシノの片親であるオオシマザクラは伊豆大島など、南部暖帯に自生する固有種とされる。

桜の花は日本人に非常に親しまれ、園芸用樹として好まれた。エドヒガンやヤマザクラ、オオシマザクラなどは比較的に変性を起こしやすい種であり、このため、園芸技術の発達に伴ってこれらを用いた品種改良が多く行われた。代表的なものはソメイヨシノであり、この種はオオシマザクラとエドヒガン群の特徴を持っている。また、ヤマザクラなどは一枝だけに限って突然変異することもあり、その枝を挿し木や接木にすることによって新たな品種とすることもある。現在、固有種・交配種を含め600種以上の品種が存在するとされる。<ref name = sakuyakonohana_Jp_sakura/>園芸種をサトザクラとまとめて分類することもある。現代では遺伝子情報が良くわかるようになり、品種の特定がよりしやすくなった。理研では重イオンビームの照射による新品種の開発を行った例がある。<ref>重イオンビームで世界初のサクラの新品種の作成に成功、平成19年10月31日、独立行政法人理化学研究所</ref>

thumb|250px|ソメイヨシノの紅葉 樹木としては中高木から低木程度の大きさであることが多い。皮は水平方向に裂け目が出来るものが多い。サクラ属の葉の形は多くの物で楕円形であり、枝に互生し、葉の端はぎざぎざの鋸状になっていることが多い。また、葉に薄い細毛が生えるものも少なくない。葉は秋になると紅葉する。サクラは根から新たな茎が生える種類も多い。(ひこばえとも言う)不定根も良く発生する。

開花期は種によってばらつきがあるが主だったものでは早いと3月中旬頃から、遅いものは5月中旬頃までである。日本においては1月、沖縄のカンヒザクラを皮切りに、カンザクラが2月頃、ヤマザクラが3月下旬、ソメイヨシノが4月上旬、ヤエザクラが4月中旬くらいに見頃を迎え、カスミザクラは5月上旬くらいまで花を咲かす。特にソメイヨシノで顕著であるが、葉が出そろう前に花が咲きそろう。花はモモやウメと違い花柄があり、枝からはなれて咲く。

花びらは五枚から百数十枚までさまざまであり、多くのものが白から桃色である。花弁が五枚までのものを一重、五枚から十枚のものを半八重、十枚以上の花弁をもつものを八重と言う。また、花弁が非常に多く、一枚一枚が細長い場合、菊咲きと称する。さらに花弁雄蕊の中にさらに萼、花弁、雄蕊のある二重構造のものも見られ、これは段咲きと呼ばれる。花弁の枚数の増え方には雄蕊が花弁に変化するものと、花弁や雄蕊そのものが倍数加する変化が見られる。<ref name =harutugerusakura>『Newton』、株式会社ニュートンプレス、2004年5月号</ref>花観賞用の園芸品種としても好まれたためにさまざまな姿の花が見られる。

開花期間は花見によく使われるソメイヨシノが短く、満開から一週間程度で花が散る。これに比べヤエザクラはより長い期間花を咲かせ続ける。その他、温度や雨が散る散らないの原因になる。花が咲いた後に気温が下がる花冷えが起こると、花は長く持ち、咲いた後に雨が降ると早く散る。花が散り頃に葉が混ざって生えた状態から初夏過ぎまでを葉桜と呼ぶ。

thumb|250px|サクラの蕾 サクラは花芽を作ると葉で休眠ホルモンを作り休眠し、一定の寒さに置かれることによって花の蕾が休眠打破の状態になり、その後暖かくなり始めると開花を迎える。この工程は一般的には冬から春にかけて行われることが多いが、秋に何らかの影響で葉がなくなった場合休眠ホルモンが足りず、寒い日を二~三日経てその後小春日和になるとこの条件を満たしてしまい狂い咲きが起きる。また、狂い咲きとは別に十月頃に花を咲かせる品種も存在する。<ref>「十月桜」が開花 深まる秋に「春」、AGARA紀伊民報、2009年10月09日</ref>

近年、サクラが以前に比べ若干早く咲く現象も見られている。また、九州では桜前線の南下現象が見られるようになった。<ref>第7回 桜前線に異変あり! P3日経BP社、2009年03月12日</ref>冬が暖かすぎると休眠打破が起こりにくいため、暖かい九州南部では開花が遅れていると考えられる。これには温暖化の影響が見られ、また、都市部で開花が早まることはヒートアイランド現象も少なからず影響している。これらの要因は季節学的な自然環境の変化を端的に表す指標にもなっている。

サクラは木を傷つけるとそこから腐りやすい性質を持つ。この特性から「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という諺まである。このため、花見の宴会でサクラの木を折る観光客の被害によってサクラが弱ってしまうことが多い。一方、枝が混んできた場合は適切な剪定を行うと樹勢が回復する場合もある。青森県弘前市では同じバラ科のリンゴの剪定技術をサクラに応用することで同地に生えていたソメイヨシノの樹勢を回復することに成功している。<ref name = sakura1>丸谷馨、『日本一の桜』(講談社現代新書、2010年)、ISBN 978-4-06-288041-1 </ref>剪定の際は不要な枝を根元から切り取り、その傷口を消毒し保護剤で保護する。

本来、特に自生種は病害にも害虫にもそれほど弱くはないが、人為的に集中して植えられている場合や人工的に作られた品種はこれらに弱くなる場合もある。桜の病気としてはテングス病根頭がんしゅ病が、害虫などとしては蛾の幼虫やアブラムシ、カイガラムシなどがよく知られている。また、キノコなどの菌類の発生も桜の生育を妨げる。いずれも桜の密集地では互いに伝染し、集団発生する可能性がある。

桜は生育環境さえ良ければ非常に長寿になる。日本三大桜がいずれも樹齢千年を超える老古木となっているほか、五大桜も古木が多く、それ以外にも有名で長寿の一本桜が多く存在する。<ref>さくら長寿番付、桜雑学辞典</ref>寿命60年という説があるソメイヨシノでも樹齢100歳を超えるものはあり、樹木には事実上寿命と言うものはない。<ref name =harutugerusakura/>育つ環境が良く、健康状態の良い木は年齢を重ねても華麗に花を咲かす。

日本におけるサクラ

[[ファイル:山高の神代桜.JPG|thumb|250px|樹齢2000年といわれる高山神代桜。日本武尊が植えたと言う逸話がのこる。]]

日本で桜は最も一般的な花であり、最も愛されている花である。サクラの花は往々にして葉が出そろう前に花が咲きそろう。この「何もないところに花が咲く」という状態に、古来生命力の強さを感じたものと思われる。

歴史

日本最古の史書である『古事記』『日本書紀』にも桜に関する記述があり、日本最古の歌集である『万葉集』にも桜を詠んだ歌がある<ref>桜について詠っている万葉集を写真付きで見る</ref>。奈良時代和歌などで単に「花」といえばをさしていた。万葉集においては梅の歌118首に対し桜の歌は44首に過ぎなかった。

しかしその後、遣唐使の廃止、唐の滅亡などで唐風文化が廃れ、平安時代国風文化が育つに連れて徐々に桜の人気が高まっていった。

  • 難波津の咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花王仁
の「はな」は梅であるが、<ref>王仁、千人万首</ref>
  • ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花ぞ散るらむ紀友則
の「はな」は桜である。

嵯峨天皇は桜を愛し、花見を開いたとされており<ref name = sakuratonihonjin/>、左近の桜は、元は梅であったとされるが桜が好きであった仁明天皇が在位期間中に梅が枯れた後に桜に植え替えたとされている。<ref name = sakura1/>風流事を称して「花鳥風月」というが、平安時代以後の日本において単に「花」といえば桜のことを指すようになった。その後の和歌にも桜を詠んだものは多い。

歌人の中でも特に平安時代西行法師が、と花(サクラ)を愛したことは有名である。彼は吉野の桜を多く歌にしており、西行法師が詠んだ歌の中でも、次の歌は有名である。

  • 願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ

西行法師は、この歌に詠んだとおり、旧暦二月十六日に入寂したとされる。

また、名前の由来の一つの通り、桜は穀物の神が宿るともされ、稲作神事に関連していたともされている。また、暦のしっかりとしない時代には桜の開花を農業開始の指標としていた。このため、農民にとっても昔から桜は非常に大切なものであり、各地に田植え桜や種まき桜とよばれる桜が残っている。<ref>桜さまざま(7) 宮城 栗駒の種まき桜 農事暦としての桜JANJAN、2007年4月17日</ref>

thumb|250px|葛飾北斎によるサクラと富士の絵 江戸時代までには「花は桜木、人は武士」という言葉が成立しており、それまでに「花」=「桜」のイメージは日本で定着した。また、桜の名所も次々と整備された。園芸品種の開発も大いに進み、さまざまな種類の花を見ることが出来るようになった。江戸末期までには300を超える品種が存在するようになった。<ref name =harutugerusakura/>また、江戸末期にはソメイヨシノが開発され、明治になって以降さらに多くの場所に桜が植えられていった。このころには全ての階層の人々にとって花といえば桜となっていた。

春の象徴、花の代名詞

上記のような歴史から桜は花の代名詞となっている。また、を象徴する花として日本人にはなじみが深く、初春に一斉に開花する特徴があり春を告げる役割を果たす。俳句の季語になっているほか、桜の開花予報、開花速報は春を告げる合図となっている。また、入学式を演出する春の花として多くの学校に植えられている。桜が咲いている季節がまさに春である。日本全土で全ての種類の桜が全て散り終わると晩春の季節となり、初夏がやってくる。

文学における桜

春の象徴、花の代名詞として和歌、俳句をはじめ文学全般において非常に良く使われている。

和歌古今和歌集においては70首が桜に関する和歌である。また、俳句の世界でも、古くから春の季語として桜が用いられてきた。 江戸時代の代表的俳人・松尾芭蕉は、1688年貞享5年)春、かつて奉公した頃のことなどを思って次の句を詠んだ。

  • さまざまの 事おもひ出す 桜哉

また、現在に至るまで桜に関する歌や話は非常に多い。能においては西行桜といった桜を人に見立てた演目がある。<ref>三番目物:西行桜、能楽、独立行政法人日本芸術文化振興会</ref>

日本人の精神の象徴

thumb|250px|桜の咲く靖国神社境内 ぱっと花を咲かせた後、散ってゆく桜の儚さや潔さが非常に好まれている。

古くから桜は諸行無常といった感覚にたとえられており、ぱっと咲き、さっと散る姿ははかない人生を投影する対象となった。

江戸時代国学者本居宣長敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」と詠み、桜が「もののあはれ」などと基調とする日本人の精神具体的な例えとみなした。また、潔よさを人の模範と見て、江戸時代以降しばしば武士道のたとえにされてきた。ただし、そのようにすぐに花が散ってしまう様は、家が長続きしないという想像を抱かせたため、意外と桜を家紋とした武家は少ない。

明治時代新渡戸稲造が著した『武士道』では「武士道(シヴァリー)とは日本の象徴たる桜の花のようなもの」と冒頭に記している。武士道的な美徳を重視した旧日本軍では、潔く散る桜が自己犠牲のシンボルとして多用された(特攻機桜花など)。たとえば「花(華)と散る」という言葉は戦死殉職の暗喩である。同期の桜の歌も戦中非常に良く歌われた。

現在でも、桜は日本人の精神を象徴するものして良く取り上げられる。ウェザーニュースの調査によると日本人のおよそ8割が桜をとても好きと答えている。<ref>「日本一の桜好きは宮崎県民」花見調査、日経新聞社、2010年4月8日</ref>咲いている様の美しさはもちろん、花を咲かすためのみに持てる全ての力を使う生命力の強さに惹かれること、咲いてから散るまでの移ろい行く様に人生や一期一会、幸福、恋愛などを投影すること、咲き終えた後には潔く散る姿を美しいと考えること、そしてこれらを自らに当てはめることは日本人にとって稀なことではない。<ref name = sakuratonihonjin/>春が日本では年度の変わり目であり、出会いと別れの時期であることもこれらの要因を引き立てている。また近年では、散ることをただ惜しむだけではなく、ひらひらと散る桜を精一杯さいた勲章のようにいうことも多い。現代の歌や文学にもこれらの象徴として多く取り上げられている。また、警察官および自衛官階級章は、他国なら星形を使うべき所を桜花で表している。これらの職種は国民の生命と財産を守るために命を投げ打つと宣誓しているためである。自衛隊の旗でも、陸海空を問わず、旭日と並んで桜の花を使用した旗は数多い。

日本では桜を外国との友好のために贈ることがある。<ref>-米国ワシントンD.C.の桜物語-</ref><ref>上海に桜2千本植樹 さくらの会と静岡県、産経新聞、2010年2月10日</ref>また、樹木医が海外に送られたこともある。<ref>阿里山の染井吉野を救え!日本から8人の樹木医が来台、な~るほど・ザ・台湾、2010年2月23日</ref>

サクラの開花予想

Template:Main [[ファイル:Sakura Zensen.jpg|thumb|right|200px|桜前線。気象庁が2007年(平成19年)3月14日に発表した2007年の予想図。]] サクラの開花予想は、代表的な地点での開花が予想される日と、予想日を地図上の等値線で結んだ図(この図は一般に「桜前線」と呼ばれる)が知られている。2009年まで気象庁がサクラの開花予想を発表していたが、2010年以降は開花予想を行わなくなった。<ref>桜の開花予想を終了=「民間が充実」と気象庁-54年の歴史に幕、時事ドットコム、2009年12月25日</ref>但し、開花や満開の観測は引き続き行っている。一方で、それ以前から民間気象会社も複数社が独自の開花予想を行っており、2010年以降はこれらの会社の予想が使われることになった。<ref>桜開花の予想合戦花盛り 気象庁撤退、3機関が競争朝日新聞社、2010年3月5日</ref>

気象庁では各地で特定のサクラを標本木として定めて職員の目視による観測を行っている。標本木は南西諸島北海道の大部分を除いてソメイヨシノである。標本木のが5 - 6輪ほころびると、開花したことが発表される。これをマスコミでは「開花宣言」と呼ぶことがある。標本木全体の80%以上のつぼみが開くと、満開となったことが発表される。

平成21年まで気象庁が行っていた予想方法は、各地点の冬期の気温経過や春期の気温予想等を考慮した各種計算を経て、標本木に対して開花予想日を決定していた。民間気象会社の予想方法も概ねこれに近いが、独自の手法を採り入れて行っているものもある。

気象庁が定める東京のサクラの標本木は、靖国神社境内にある特定のソメイヨシノであるが、その樹木がどれであるかは、公開されていない。近年では、サクラの開花については特にマスコミの注目を集める傾向にあり、開花の時期になると、東京管区気象台の職員が観測する風景を、複数のマスコミが取材に訪れる様子がしばしば見られる。

樹木全体から見た開花具合によって咲き始め、三分咲き、五分咲き、七分咲き、満開、散り始めなどと刻一刻と報道される。このように木々の様子を逐一報道することは、世界から見ても珍しい例である。

用途

花・景観

thumb|桜並木 他の花の咲く植物全般に対して、桜のみを特に区別して「観桜」と呼ぶ事がある。それくらいに桜はその景観から人気が高く多くの場所に植えられている。植栽の場合街路樹、公園、庭木、河川敷等に使われることが多い。並木のように道に沿って、あるいは河川に沿って植えられることが多く、あたり一面が花景色になることも多い。また、学校の校庭には桜が植えられていることが多い。小学校などの校庭には、児童や生徒の入学時に桜の花が咲いているようにするため、ソメイヨシノに比べて開花期間が長い八重桜を混植することが多い。また、古くから桜の花を育てている神社も少なくない。しかし、害虫や病気など手入れが大変で、大きく育つためか庭木にされることは少ない。

春に日本では、桜の咲く木の下に人々が集まって、花見と呼ばれる宴が開かれる。花見や宴会の場所として広く知れ渡っているところを桜の名所という。花見の習慣とともに、桜の名所も日本全国各地にある。また、神社や寺など桜を持っている団体が桜祭りを開いている例も多い。また、夜の桜を楽しむために、桜をライトアップする夜桜も各所で行われる。

食用

桜は六月から七月にかけて身をつける。桜の実は俗に「サクランボ」と呼ばれ、果実を食用とする品種も育てられている。品種はおおむねセイヨウミザクラ(西洋実桜)とシナミザクラ(中国実桜、支那実桜)の二系統に分けることが出来、近年では多くが西洋系の品種であるセイヨウミザクラである。これはしばしば「桜桃」(おうとう)とも呼ばれるが本来「桜桃」とはシナミザクラを指している。サクランボの品種としては佐藤錦ナポレオンアメリカンチェリーが有名である。スミミザクラのように酸味が強いが料理に利用される品種もある。観賞用の桜にも赤い実をつけるものがあるが、小さく酸っぱい場合がほとんどであり、これは一般には食用とはされない。

花(花弁)自体も塩漬けにすると独特のよい香りを放ち、ハーブの一種として和菓子あんパンなどの香り付けに使われる。<ref>園児が桜の花摘み体験、満開の秦野特産八重桜/神奈川神奈川新聞社、2010年4月20日</ref>花の塩漬けは、お茶または湯に入れて茶碗の中で花びらが開くことから、祝い事に使われる。婚礼や見合いなどの席では「お茶を濁す」ことを嫌い、お茶を用いずに桜湯を用いることが多い。

桜の葉の塩漬けも食用として用いられる。桜餅は、塩漬けので包まれている。桜の葉の塩漬けには多くの場合オオシマザクラが用いられており、伊豆半島南部において生産が盛んである。

それ以外の使用

花の形をかたどったものも多く、小中学校や商業高校などの校章をはじめ、警察、自衛隊などの紋章に多く用いられている。

木自体は材木として使われることがある。材木は家具や彫刻に用いられるほか、小物入れや茶筒などの細工物(樺細工)や版木に利用される。<ref>樺細工(桜皮細工)のミニ知識、株式会社藤木伝四郎商店</ref>また、燻製のスモークチップとしてよく用いられる。<ref>桜の風味人気高く 朝日特産、サケの薫製作り最盛期、北日本新聞社、2009年11月19日</ref>桜の樹皮は水平方向にはがれ、その表面は灰色を帯びてつやがあって美しいため、木工製品の表面に利用される。

その他では生薬や染料として用いられている樹皮は桜皮(おうひ)という生薬になり、鎮咳、去痰作用がある。染料としては開花時期の樹皮を染色に使用する事ができる。薄いピンク色である。<ref>桜 楽しみ色々、お花見だけじゃない、読売新聞、2010年3月22日</ref>

桜の保護と育成

日本では桜が至るところに植えられており、花見を楽しむ人は非常に多い。しかしその一方では桜に対する管理や保護がきちんと行き届いているとは言いがたい状況にある。<ref>県内の老桜たちに異変四国新聞社、2005年3月13日</ref>桜は元々弱くない植物であるため、放置することも悪いことではないが、特に桜を長く生き長らえさせ、樹勢を保つためにはきちんとした保護や育成が必要である。落葉期の適切な剪定、寒肥、病気や害虫への対策、夏場の水遣り、土壌の改良などがその例に挙げられる。

また、植え付けの際に樹木同士の間隔を広く取ること、桜への負荷がかからない場所を選ぶことなども大切である。

剪定

桜はそもそも「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」といわれるように、傷口が傷みやすく、剪定には不向きとされている。実際、台風などで枝が折れる、観光客に枝が折られるなどの被害を受けるとその傷口から腐って一気にかれてしまうこともある。

しかし、枝が込んできた場合、枯れ枝が出た場合、あるいは枝が伸びすぎている場合はこれを適切に切ることで樹勢をより強めることが出来る。<ref name = sakura1/>不要な枝は根元近くで切り落とし、切り落とした切り口には消毒を行い、癒合剤などを塗り、癒合を促進する。これらの剪定は樹木が休眠期に入っている秋から冬にかけて行うことが好ましい。また、剪定時には鋏や鋸は消毒剤や加熱によって消毒されていることが必要である。

樹勢回復のためのしっかりとした剪定が行いたい場合は樹木医の管理の下で剪定を行うことが好ましい。

土壌改良

桜は水はけの良く、日当たりの良い場所を好む。また、桜は根を浅く広く広げるため、土が固くない場所をより好む。また、毎年花を咲かせるためには非常に多くの栄養を必要としている。このため、他の落葉樹と同じく、寒肥をやることによって桜の樹勢を回復し、花をより多く咲かせることが出来る。土壌が踏み固められていると根頭がんしゅ病やネコブセンチュウ病を誘発し、これらの病気は土壌を汚染する。早いうちであれば土壌改良によって病気をとめることが出来るが、これらで桜が枯れた場合、何度桜を植えてもかれる場合がある。このため、これらの病気にかかった土壌は加熱殺菌すること、石灰などで消毒すること、土そのものを入れ替えること、桜の枯れた後には数年の間樹木を植えないことなどで対策をとることが出来る。桜の周りをコンクリートアスファルトなどで固めないことや、桜を離れた位置から眺めるようにすることで土を踏み固めることを避けることが出来る。<ref>桜の樹勢回復方法、国立桜守の会</ref><ref>桜守の歩み、本に 国立、朝日新聞社、2010年4月10日</ref>

水遣り

桜は水はけの良い土壌を好むが、乾燥には強くない。夏場などは地面の乾燥に気をつけることが大切である。<ref>桜の木は残った 葛飾区四つ木公園東京新聞、2010年4月7日</ref>

病害虫対策

桜が良くかかる病気としては根頭がんしゅ病、根瘤線虫病、テングス病、膏薬病、うどんこ病などがある。

根頭がんしゅ病、根瘤線虫病は根や根の付け根あたりで瘤が発生する病気である。根元の土が踏み固められていると促進される。病気にかかるとすぐ枯れるわけではないが徐々に樹勢がそがれ、桜が弱っていく。これらの病気は病変部位を切り取り、切り取った部分を殺菌し、表面を保護する塗布剤などで保護すること、土壌改良を行うことが有効である。対策を行えば少なくとも病気の進行は抑えられる。<ref>各地の桜に“こぶ病” 樹勢衰え、枯れる被害も P2産経ニュース、2008年3月22日</ref>

テングス病は枝に発生し、枝が竹箒上になる病気である。この病変も徐々に桜が弱り、全ての枝に広がると手遅れになりかねない。発見したら、休眠期を待ち、消毒した鋏や鋸で病変部位を切り落とすことが望ましい。切り落とした後は癒合剤などで回復をうながし、剪定した枝は焼却、鋏や鋸も切った後すぐに消毒することが必要である。消毒の行われていないはさみを使うとそれを元に移る可能性もあるので気をつけるべきである。菌が原因であるので風通しを浴することも対策になる。

膏薬病やうどんこ病については水気が多い場所や湿気の多い場所、あるいは病害虫が引き起こす。胴の部分に菌が入ったりキノコが出来ることによって病気になる。病害虫は菌が入るための傷口を作ったり、傷口を広げるのに加担することが多い。風通しを良くする事や水気がたまらないようにすること、病害虫を駆除することによって病気を抑えることが出来る。

桜に良くつく害虫としてはカイガラムシアブラムシハダニハマキムシコスカシバオビカレハアメリカシロヒトリなどが挙げられる。

これらの害虫に対しては見つけたら駆除することに加えクモアシナガバチなどの害虫の天敵を殺さないことなどが対策になる。<ref>桜はよく虫がつく?、このはなさくや図鑑</ref>害虫によって桜が枯れることは少ないが、これらの害虫を放置すると病気の遠因になるため、出来るだけ早いうちに対策を行うことが必要である。

環境の変化

桜は街路樹として植えられることも多いことなどから、車などの排気ガスによっていためられることも多い。このような場合対策はとりづらいため、その他の要因で樹木が弱らないようにすることが大切である。高山神代桜では桜を守るために近くを通っていた道路に迂回路が作られた。<ref>もうすぐ満開“村の宝”…樹齢2千年、山高神代桜 山梨・北杜、産経新聞、2010年4月2日</ref>

酸性雨なども木を弱める要因になる。また、近年では温暖化によって桜の花が早く咲く現象が起こっている。いずれにせよ、これらの場合、環境の悪化をとめることが一番の対策である。

花見客の被害

花見客のマナーの悪さによって桜の木が痛んでしまうこともある。マナーの悪い花見客による枝折り、火気の持ち込み、ごみの放置、むやみに根元を踏みつける行為などが桜をいためつける原因となっている。<ref>代々木公園、「花見の宴」マナーは都内最悪=悪質で危険な置き土産も、Livedoorニュース、2009年4月7日</ref>枝折りは桜の木を腐らせる可能性があり、火気は桜を熱や煙で痛める。ごみの放置は周辺環境を汚染し、根元を踏みつけることは根を窒息させ樹勢を弱める。夜桜で騒ぐことによって桜だけでなく周辺住民への迷惑も発生している

これらに対し桜の名所といわれる場所では多くが火気の持込を禁止しており、ごみの持ち帰りを呼びかけている。<ref>和歌山公園に高札 花見客のマナー改善呼びかけ、産経新聞、2009年4月3日</ref>しかしながら、これらは花見客に対し罰則を与えるものでないため、あくまで警告にとどまっている。花見を楽しむためにはマナーを守ることが大切である。<ref>お花見マナーガイド</ref>

桜守

桜を保護し、見守る人を桜守と言う。近年では放置されていた桜に対し、保護や手入れをする桜守の団体が増えている<ref>桜守プロジェクト 日本気象協会</ref>

御母衣ダムに沈む村の桜をダム湖岸に植え替えた笹部新太郎の話は水上勉の小説『櫻守』にもとり上げられており、非常に有名である。<ref name = sakura1/>

日本の桜

なお、群はおおよそ亜節に当たる。

ヤマザクラ群

ヤマザクラに類する品種の桜の総称。日本列島および朝鮮半島に分布する。葉が花と同時に開く。

野生種

thumb|野中のベニヤマザクラ

  • アサギリザクラ(朝霧桜・毛山桜)
  • ウスガサネオオシマ(薄重大島)
  • オオシマザクラ(大島桜) - カスミザクラの島嶼種もしくはヤマザクラの海岸型。
  • オオヤマザクラ(大山桜・蝦夷山桜・紅山桜)
  • カスミザクラ(霞桜)
  • カタオカザクラ(片丘桜) - カスミザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。
  • キビザクラ(吉備桜)
  • ケエゾヤマザクラ(毛蝦夷山桜)
  • シオカゼザクラ(潮風桜) - オオシマザクラの一型。
  • ツクシザクラ(筑紫桜・筑紫山桜)
  • ハツユキザクラ(初雪桜)
  • ヤマザクラ Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) (山桜)

園芸品種

thumb|ケンロクエンクマガイ thumb|ハチスカザクラ

  • アオバ(青葉)-別名アオハダ桜、真桜:挿し木で発根しやすいので台木としてよく使われる。ただし寿命が短い。
  • アカツキザクラ(暁桜・霞蝦夷山桜)
  • アカミオオシマ(赤実大島)
  • イズザクラ(伊豆桜)
  • イチハラトラノオ(市原虎の尾)
  • イボザクラ(伊保桜・井保桜)
  • イヨウスズミ(伊予薄墨)
  • ウンリュウオオシマ(雲竜大島)
  • オウシュウサトザクラ(奥州里桜)
  • カンザキオオシマ(寒咲大島)
  • ギジョウジギジョザクラ(祇王寺祇女桜)
  • キヌガサ(衣笠)
  • キリフリザクラ
  • クチナシザクラ(梔子桜)
  • ケタノシロキクザクラ(気多の白菊桜)
  • ケンロクエンクマガイ(兼六園熊谷・兼六熊谷)
  • コウホクニオイ(江北匂)
  • ゴザノマニオイ(御座の間匂)
  • コトヒラ(琴平)
  • コノハナザクラ(木の花桜)
  • コンゴウザクラ(金剛桜・源氏車・小督) - 国の天然記念物。
  • サノザクラ(佐野桜)
  • シダレオオヤマザクラ(枝垂大山桜)
  • ジョウニオイ(上匂)
  • シンスミゾメ(新墨染)
  • スルガダイニオイ(駿河台匂)
  • ゼンショウジキクザクラ(善正寺菊桜)
  • センダイヤ(仙台屋)
  • ソウドウザクラ(宗堂桜) - P. jamasakura cv., P. lannesiana cv. Soudou-zakuraの2種がある。
  • ダイリノサクラ(内裏の桜)
  • タカネオオヤマザクラ(高嶺大山桜)
  • タキニオイ(滝匂)
  • ナラノヤエザクラ(奈良の八重桜・奈良八重桜)
  • ニドザクラ(二度桜)
  • ノナカノサクラ(野中の桜)
  • ハチスカザクラ(蜂須賀桜)- 沖縄系カンヒザクラとヤマザクラの一代交雑種カンザクラ
  • ヒウチダニキクザクラ(火打谷菊桜)
  • ヒヨシザクラ(日吉桜)
  • ベニタマニシキ(紅玉錦・松前紅玉錦)
  • ベニナンデン(紅南殿)
  • ホソカワニオイ(細川匂)
  • マツマエウスベニココノエ(松前薄紅九重)
  • ミナカミ(水上)
  • ミョウジョウ(明星・松前明星)
  • ヤエノオオシマザクラ(八重の大島桜)
  • ヤエノカスミザクラ(八重の霞桜)
  • ヤエベニオオシマ(八重紅大島)
  • ヤツブサザクラ(八房桜)
  • ヤマゴシムラサキ(山越紫)
  • ヨウロウザクラ(養老桜)
  • ライコウジキクザクラ(来迎寺菊桜)
  • ワカキノサクラ(稚木の桜) - ヤマザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。

エドヒガン群

エドヒガンに類する品種の桜の総称。 日本と日本から持ち込まれ朝鮮半島にかけて分布するエドヒガン、台湾に分布するムシャザクラ、中国に分布するP. changyangensis Ingramの三系統があり、いずれも(がく)の下部に球状のふくらみがある。 枝垂桜は、形の面白さから多数の園芸品種が存在する。

野生種

thumb|ひょうたん桜(エドヒガン) thumb|三春滝桜 thumb|ジュウガツザクラ

園芸品種

  • アマギヨシノ(天城吉野) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
  • アメリカ(旧名:曙) - Prunus ×yedoensis Matumura cv. Amerika - 北米に送られたソメイヨシノの実生から生まれた品種で、ソメイヨシノに比べ花が大きい。現地では『曙』と呼ばれていたが、日本に導入する際、同名の桜との混同を避けるために『アメリカ』に改名された。
  • イズヨシノ(伊豆吉野) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
  • ウジョウシダレ(雨情枝垂)
  • ウスゲオオシマ(薄毛大島)
  • オオクサイザクラ(オオクサエザクラ)
  • オモイガワ(思川)
  • カッテザクラ(勝手桜)
  • カバザクラ(樺桜)
  • クマガイ(熊谷)
  • クラマザクラ(鞍馬桜)
  • コシノヒガンザクラ(越の彼岸桜) - 富山県の天然記念物
  • コヒガン(小彼岸・彼岸桜・千本彼岸)
  • コマツオトメ(小松乙女)
  • サイホウジザクラ(西法寺桜)
  • サクヤヒメ(咲耶姫)
  • シキザクラ(四季桜)
  • シダレオオクサイザクラ(シダレオオクサエザクラ)
  • シダレザクラ(枝垂桜・糸桜)
  • シダレソメイヨシノ(枝垂染井吉野)
  • ジュウガツザクラ(十月桜) - 一年の間に三月と十月の2回花を咲かす。
  • ショウジョウ(猩々)
  • ショウワザクラ(昭和桜)
  • シラタキザクラ(白滝桜)
  • シラタマ(白玉)
  • ジンダイアケボノ(神代曙)
  • スルガザクラ(駿河桜)
  • センダイヨシノ(仙台吉野)
  • ソトオリヒメ(衣通姫)
  • ソメイニオイ(染井匂)
  • ソメイヨシノ(染井吉野)
  • タカトオコヒガン(高遠小彼岸) - 長野県の天然記念物
  • タマナワザクラ (玉縄桜)
  • タキノザクラ(滝野桜)
  • トモエザクラ(巴桜)
  • ハヤザキオオシマ(早咲大島) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
  • フナバラヨシノ(船原吉野)
  • ベニシダレ(紅枝垂)
  • ベニツルザクラ(紅鶴桜)
  • ホザキヒガンヤエザクラ(穂咲彼岸八重桜)
  • マツマエウスガサネソメイ(松前薄重染井)
  • ミカドヨシノ(御帝吉野) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
  • ミシマザクラ(三島桜)
  • ミズタマザクラ(水玉桜)
  • ミスミオオヒラザクラ(三隅大平桜)
  • ミドリヨシノ(緑吉野)
  • モニワザクラ(茂庭桜)
  • モリオカシダレ(盛岡枝垂)
  • ヤエベニシダレ(八重紅枝垂)
  • ヤエベニヒガン(八重紅彼岸)

マメザクラ群

thumb|マメザクラ マメザクラに類する品種の桜の総称。マメザクラに類する系列とタカネザクラに類する系列に大きく分けられる。低木もしくは小高木で、実は黒く結実する。欠刻状重鋸葉が特徴。

マメザクラ系

野生種
  • アメダマザクラ(飴玉桜)
  • オオバナマメザクラ(大花豆桜)
  • キンキマメザクラ(近畿豆桜・山彼岸)
  • ショウドウザクラ(勝道桜)
  • ブコウマメザクラ(武甲豆桜) - 旧名ブコウタカネザクラ。主に秩父地方の石灰岩地に産する。
  • フジカスミザクラ(富士霞桜・印野桜)
  • ボンボリザクラ(雪洞桜)
  • マメザクラ(豆桜・富士桜)
  • ミドリキンキマメザクラ(緑近畿豆桜) - キンキマメザクラの赤色色素が欠損した種。
  • ヤブザクラ(薮桜)
園芸品種
  • ミドリザクラ(緑桜・緑萼桜)
  • ミドノヤエ(水土野八重)
  • アカネヤエ(茜八重)
  • コジョウノマイ(湖上の舞)
  • クマガイザクラ(熊谷桜・八重咲山彼岸) - キンキマメザクラの八重。
  • オシドリザクラ(鴛鴦桜)
  • フタカミザクラ(二上桜) - 1970年に二上山で発見された品種。
  • ウミネコ(海猫) - 主にヨーロッパで栽培されている品種。
  • ショウドウヒガン(勝道彼岸)
  • ショウフクジザクラ(正福寺桜・正福寺枝垂・湯村枝垂・湯村)
  • マナヅルザクラ(真鶴桜)
  • フユザクラ(冬桜・小葉桜) - 11月から12月の終わりごろまで花を咲かせることで知られる。群馬県藤岡市の桜山はフユザクラの名所として名高い。

タカネザクラ系

野生種
  • イシヅチザクラ(石鎚桜)
  • タカネザクラ(高嶺桜・峰桜)
  • チシマザクラ(千島桜)

チョウジザクラ群

チョウジザクラに類する品種の桜の総称。低木もしくは高低木で、多雪地帯でよく見られる。押し葉を作ると芽の部分が黄変するという特徴がある。

野生種

  • オオミネザクラ(大峰桜)
  • オクチョウジザクラ(奥丁字桜)
  • チチブザクラ(秩父桜)
  • チョウジサクラ(丁字桜・メジロザクラ)
  • ニッコウザクラ(日光桜)
  • ハナイシザクラ(花石桜)
  • ミヤマチョウジザクラ(深山丁字桜) - チョウジザクラの深山型。中央アルプスから南アルプスにかけて分布する。

園芸品種

  • シキザキチョウジザクラ(四季咲丁字桜)
  • ヒナギクザクラ(雛菊桜) - 菊咲き。チョウジザクラの園芸品種は、ヒナギクザクラを親に持っていることが多い。

ヒカンザクラ群

ヒカンザクラに類する品種の桜の総称。中国の冬桜花、チベットのヒマラヤザクラなどが野生種にあたり、1月から3月にかけて緋色の花を咲かせる。

園芸品種

thumb|カワヅザクラ thumb|カンヒザクラ
thumb|ツバキカンザクラ thumb|ヨコハマヒザクラ
  • アタミハヤザキ(熱海早咲)
  • イズタガアカ(伊豆多賀赤)
  • オオカンザクラ(大寒桜)
  • オカメザクラ(阿亀桜)
  • カワヅザクラ(河津桜)
  • カンザクラ(寒桜)
  • カンヒザクラ(寒緋桜・緋寒桜・元日桜・薩摩緋桜) - 沖縄で「桜」と言えばこのカンヒザクラを指す。
  • ケイオウザクラ(啓翁桜・東海桜・岳南桜)
  • シュゼンジカンザクラ(修善寺寒桜)
  • タイリョウザクラ(大漁桜)
  • ツバキカンザクラ(椿寒桜)
  • ハツミヨザクラ(初御代桜)
  • ミョウショウジ(明正寺)
  • ヨウコウ(陽光)
  • ヨコハマヒザクラ(横浜緋桜)
  • リッシュンカンザクラ(立春寒桜)
  • リュウキュウカンヒザクラ(琉球寒緋桜・琉球緋桜)

ミヤマザクラ群

ミヤマザクラに類する品種の桜の総称。 中国南西部を中心に5種と、日本に1種分布しており、日本産のものは中国産のものとは別種と考えられている。低木、小高木または高木で、若木は有毛の物が多い。

  • ミヤマザクラ(深山桜) - 日本海を取り囲むように分布している。
  • ヤエミヤマザクラ(八重深山桜)

シナミザクラ群

シナミザクラに類する品種の桜の総称。 thumb|トウカイザクラ 中国南西部に7種が分布している。

  • コブクザクラ(子福桜)
  • シナミザクラ(支那実桜) - 中国での呼び名は「桜桃」。実の色は赤や黄色、実の形は球形や卵形など多岐に渡り、様々な品種が存在すると思われるが、まとめてシナミザクラとして扱われている。実を食べるほか、枝・葉・樹皮などを漢方薬として用いる。
  • タイザンフクン(泰山府君)
  • トウカイザクラ(東海桜) - 切り花用に福島市花見山公園近隣の花卉農家で盛んに栽培されている。開花時期がソメイヨシノより1週間から10日ほど早く、満開時に咲き誇る姿は非常に美しい。
  • ホウキザクラ(箒桜)

サトザクラ類

オオシマザクラ、ヤマザクラ等を元に作り出したと見られる一連の品種を総称してサトザクラと呼び、それに類する桜の品種を総称してサトザクラ群と呼ぶ。また、人が作り出した園芸品種を総称してサトザクラ類にする場合もある。サトザクラ群は違った群の桜などを掛け合わせて作られたものであり、どの群でもないと考えられている。 thumb|ウコン thumb|ギョイコウ thumb|シオガマ

  • アサヒヤマ(旭山・朝日山)
  • アズマニシキ(東錦)
  • アマノガワ(天の川)
  • アマヤドリ(雨宿)
  • アヤニシキ(綾錦・松前綾錦)
  • アラカワニオイ(荒川匂)
  • アラシヤマ(嵐山)
  • アラタマ(新珠・松前新珠)
  • アリアケ(有明)
  • イチヨウ(一葉)
  • イツカヤマ(早晩山)
  • イトククリ(糸括)
  • イマジュクザクラ(今宿桜) - シラユキと同種と見られる。
  • イモセ(妹背)
  • イヨクマガイ(伊予熊谷)
  • イワイザクラ(祝桜)
  • ウコン(鬱金) - 淡黄色の花を咲かせる。
  • ウズザクラ(渦桜)
  • ウスズミ(薄墨)
  • エイゲンジ(永源寺・永源寺桜)
  • エド(江戸・江戸桜)
  • オオサワザクラ(大沢桜)
  • オオシバヤマ(大芝山)
  • オオタザクラ(太田桜)
  • オオヂョウチン(大提灯)
  • オオムラザクラ(大村桜)
  • オキナザクラ(翁桜) - シラユキと同種と見られる。
  • オムロアリアケ(御室有明)
  • カリギヌ(狩衣)
  • カンザン(関山・セキヤマ)
  • キクザクラ(菊桜)
  • キクシダレ(菊枝垂)
  • キナシチゴザクラ(鬼無稚児桜)
  • キブネウズ(貴船雲珠)
  • ギョイコウ(御衣黄) - 花は中輪で淡黄緑色。花弁は10枚前後。中心部に緑色でのち紅変する条線がある。
  • キリン(麒麟)
  • クシマザクラ(玖島桜)
  • クルマドメ(車駐)
  • ケンロクエンキクザクラ(兼六園菊桜)
  • コウエンジシロヤエザクラ(光善寺白八重桜)
  • コウカ(紅華)
  • コウダイジ(高台寺)
  • コガネイウスベニザクラ(小金井薄紅桜)
  • コケシミズ(苔清水)
  • ココノエ(九重)
  • コシオヤマ(小汐山)
  • ゴショザクラ(五所桜)
  • ゴショミクルマガエシ(御所御車返し)
  • ゴテンニオイ(御殿匂)
  • コマツナギ(駒繋)
  • コンゴウザン(金剛山)
  • シオガマ(塩釜)
  • シズカ(静香・松前静香)
  • シバヤマ(芝山)
  • シブヤコンノウザクラ(渋谷金王桜)
  • ショウゲツ(松月)
  • ショウナンデン(小南殿)
  • シラユキ(白雪)
  • シロタエ(白妙)
  • スイショウ(水晶)
  • スザク(朱雀)
  • スマウラフゲンゾウ(須磨浦普賢象)
  • スミゾメ(墨染)
  • センダイシダレ(仙台枝垂)
  • センリコウ(千里香)
  • タイハク(太白)
  • ダイミン(大明)
  • タオヤメ(手弱女)
  • タカサゴ(高砂・南殿・奈天・武者桜)
  • タグイアラシ(類嵐)
  • チハラザクラ(千原桜)
  • チョウシュウヒザクラ(長州緋桜)
  • ツクバネ(突羽根・平野突羽根)
  • テマリ(手毬)
  • トウキョウザクラ(東京桜)
  • トラノオ(虎の尾)
  • ナジマザクラ(名島桜)
  • ナデシコザクラ(撫子桜)
  • ニソンインフゲンゾウ(二尊院普賢象)
  • バイゴジジュズカケザクラ(梅護寺数珠掛桜)
  • ハクカサン(白華山)
  • ハクサンオオデマリ(白山大手毬)
  • ハクサンハタザクラ(白山旗桜) - Prunus lannesiana cv. HatazakuraまたはPrunus lannesiana cv. Vexillfera
  • ハナガサ(花笠・松前花笠)
  • バンリコウ(万里香)
  • ヒグラシ(日暮)
  • ヒヨドリザクラ(鵯桜)
  • ヒラノネザメ(平野寝覚)
  • フクザクラ(福桜)
  • フクロクジュ(福禄寿)
  • フゲンゾウ(普賢象・普賢堂)
  • フサザクラ(房桜)
  • フダンザクラ(不断桜)
  • ベニガサ(紅笠・松前紅笠)
  • ベニシグレ(紅時雨・松前紅時雨)
  • ベニユタカ(紅豊・松前紅豊)
  • ベンドノ(弁殿)
  • ホウリンジ(法輪寺)
  • ホクホウ(北鵬)
  • ホタテ(帆立)
  • ボタン(牡丹)
  • マザクラ(真桜・白花真桜)
  • マスヤマ(増山)
  • マツマエ(松前)
  • マツマエアイゼン(松前愛染)
  • マツマエオオシオ(松前大潮)
  • マツマエカザンイン(松前花山院)
  • マツマエハナゾメイ(松前花染衣)
  • マツマエハヤザキ(松前早咲・血脈桜)
  • マツマエフウキ(松前富貴)
  • マツマエベニヒゴロモ(松前紅緋衣)
  • マツマエヤエコトブキ(松前八重寿)
  • ミクルマガエシ(御車返し・御車還し・桐ケ谷・キリガヤツ)
  • ミッカビザクラ(三ヶ日桜)
  • ムラサキザクラ(紫桜)
  • メイゲツ(明月)
  • ヤエアケボノ(八重曙)
  • ヤエニオイ(八重匂)
  • ヤエベニトラノオ(八重紅虎の尾)
  • ヤエムラサキザクラ(八重紫桜)
  • ヤダケムラサキ(矢岳紫)
  • ヨウキヒ(楊貴妃)
  • ランラン(蘭蘭) - 上野動物園パンダに因んだ名前
  • リュウウンインベニヤエ(龍雲院紅八重)
  • ワシノオ(鷲の尾)

その他

サクラ属に含まれるイヌザクラウワミズザクラなどもサクラの名を持つが、花は小さく、花序は総状につくので見かけは大きく異なる。

ギャラリー

日本

Template:Gallery Template:Gallery

日本以外

Template:Gallery

関連語

240px|right|thumb|小学校などで使用される評価印の印面
外枠はサクラの花弁を模している

  • 桜の散るさまをたとえて花吹雪と言う。桜吹雪とも。
  • 秋桜コスモスのことをさす。桜に似た花の形からこう呼ばれる
  • 馬肉のことを桜肉と言う。切り身の色や、桜の咲く季節に一番美味くなることから由来している。
  • サクラエビサクラマスなど、体色の赤いものに使われ、淡い紅色を「桜色(さくらいろ)」という。
  • 電報などの文面で、桜の花は「合格」の意味である。「サクラサク」は合格を、「サクラチル」は不合格の意味に使われた。
  • うばざくら(姥桜、乳母桜)は、開花時に葉がないことから歯がないを暗喩した桜の通称。または桜には見ごろがあることから、年配でありながら艶めかしい女性を指す古語。春の季語
  • 「花は桜木(さくらぎ)、人は武士」:武士の理想としての潔い生き様を、ぱっと咲いてぱっと散るサクラにたとえた言葉。もとは一休宗純の言葉の一部。→散華
  • 和文通話表では、「」を送る際に「桜のサ」という。
  • 商売でのサクラは客寄せのための店が仕込んだ偽の客の事をさす。心理学実験でも使われることがある。
  • その他、桜にちなんだ言葉については、サクラ (曖昧さ回避)を参照。

関連文化

日本古謡

箏曲・地歌・端唄・小唄

  • 雪月花箏曲 - 三橋検校作曲
  • 『桜尽し』 地歌(箏曲) - 佐山検校作曲(桜の品種名を多数詠み込んだ地歌曲)
  • 西行桜』 地歌(箏曲) - 菊崎検校作曲(能「西行桜」に取材した曲。各地の桜の名所をつづったもの)
  • 長等の春』 地歌(箏曲) - 菊岡検校作曲、八重崎検校手付(琵琶湖のほとり長等山の桜の景色を描写した曲)
  • 桜川』 地歌(箏曲) 光崎検校作曲(桜の花びらが川面に浮かぶ美しい光景をあらわした曲)
  • 花の縁』 地歌(箏曲) 吉沢検校作曲(安政二年、松坂屋当主の結婚祝いに作曲された華やかな曲)
  • 春の曲』 箏曲 - 吉沢検校作曲(古今和歌集より春の歌六首を選び作曲したもの。うち桜の歌二首)
  • 山桜』 箏曲 - 吉沢検校作曲(新古今和歌集より山桜の歌二首を選び作曲したもの)
  • 新雪月花』 箏曲 - 吉沢検校作曲(新古今和歌集より、雪、月、花の歌一種ずつを選び作曲したもの)
  • 『稚児桜』 箏曲 - 菊武検校作曲
  • 『さくら変奏曲』- 宮城道雄編曲(「さくらさくら」を箏二部および十七弦の三重奏曲による変奏曲にしたもの)
  • 『花紅葉』 箏曲 - 宮城道雄作曲
  • 『桜狩』 山田流箏曲 - 山田検校作曲
  • 『花の雲』 山田流箏曲 - 山勢検校作曲
  • 『桜見よとて』 端唄・小唄
  • 『葉桜』 小唄
  • 『桜狩』 薩摩琵琶
  • 』(滝廉太郎
  • 『夜ざくら』 端唄
  • 『人をたすくる』 地歌

ポピュラー音楽

近年では桜ソングと称される事も多い。

シングル

アルバム

歌舞伎

落語

映画

ドラマ

Template:節stub

スポーツ

地名

桜町・桜井・桜ヶ丘…などは多数のため割愛。

脚注

Template:Reflist

関連項目

Template:Commons&cat Template:Multimedia Template:Wikiquote Template:Wiktionary

外部リンク

ace:Sakura ar:ساكورا ca:Sakura cs:Sakura de:Kirschblüte en:Cherry blossom eo:Sakuro es:Sakura (cerezo) eu:Sakura (gereziondoa) fr:Sakura he:סאקורה hu:Cseresznyevirág id:Sakura is:Kirsuberjatré ka:საკურა ko:벚나무 lt:Sakura ml:ചെറി ബ്ലോസം ms:Sakura nl:Sakura (bloesem) pl:Sakura pt:Prunus serrulata ro:Sakura ru:Сакура simple:Sakura sk:Sakura sv:Japanskt körsbär th:ซากุระ tl:Seresang namumulaklak uk:Сакура vi:Hoa anh đào zh:樱花

個人用ツール