ゴシック・アンド・ロリータ

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[[File:Two gothlolita.jpg|thumb|right|300px|ゴシック・アンド・ロリータの例(2007年、東京都渋谷区原宿神宮橋)]]

ゴシック・アンド・ロリータ (Gothic & Lolita) は、本来異なるゴシックとロリータの要素を強引に結びつけた日本独自のファッションスタイル<ref name="shiso258-267">樋口ヒロユキ『死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学』冬弓社、2007年7月10日発行(258-267頁)</ref><ref name="fashion-shingo238">吉村誠一『増補最新版 ファッション新語辞典』繊研新聞社、2007年12月15日発行(238頁)</ref>。またそのようなサブカルチャーを指して言う語<ref name="hanbai200604p94-96">『ファッション販売 2006年4月号』商業界、2006年(94-96頁)</ref><ref name="inter153-154">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(153-154頁)</ref><ref name="joseigaku107">『女性学年報 第25号・2004年』水野麗「「女の子らしさ」と「かわいい」の逸脱 -「ゴシック・ロリィタ」におけるジェンダー-」日本女性学研究会「女性学年報」編集委員会、2004年11月30日発行(107頁)</ref>。カルチャーとしてのゴシック・アンド・ロリータは、ヴィジュアル系バンド、嶽本野ばらの提唱する「乙女」、ドール文化などの要素を内包する<ref name="street39">ストリートモード研究会『ストリートモードブック―ネオ★ゴシック・ロリータ』グラフィック社、2007年1月25日発行(39頁)</ref>。

一般的にはロリータ・ファッションの総称ととらえられているが<ref name="yogo500" /><ref name="kenkai3-2">『ロリータについての見解3-2』metamorphose temps de filleデザイナー加藤訓仁子のブログ</ref><ref name="sekai29-39">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(29-39頁)</ref>、本来はロリータ・ファッションというカテゴリーの中のジャンルの一つである<ref name="kenkai3-2" /><ref name="sekai29-39" />。

目次

概要

[[File:François Boucher 018.jpg|thumb|right|200px|ヨーロッパ近世の貴婦人(ロココ文化とモードのリーダーポンパドゥール夫人 <ref name="kawaii111-119">古賀令子『「かわいい」の帝国-モードとメディアと女の子たち』青土社、2009年6月30日発行(111-119頁)</ref>)]] ゴシック・アンド・ロリータは、ロココスタイルのような<ref name="yogo500">『ファッション販売必須用語500』商業界、2008年8月5日発行(70頁)</ref><ref name="shinri">氏原寛、康智善編集『現代社会と臨床心理学』西村則昭「心なき世界」金剛出版、2006年3月発行</ref>近世ヨーロッパの貴婦人を思わせる幻想的な装いを特徴としている<ref name="fashion-shingo238" />。またロココのほかにもヴィクトリア朝時代との関連の指摘もあるなど<ref name="TH No.33 p80">『トーキングヘッズ叢書 No.33』アトリエサード、2008年2月8日発行(80頁)</ref><ref name="escargot48-49">『エスカルゴスキン VOL.1』飛鳥新社、2005年2月1日発行(48-49頁)</ref>、ストリート・ファッションでありながらも西洋伝統文化を継承しようとする姿勢を持っている点が独特である<ref name="fashion-ron42">『ファッション論 VOL.42』兵庫県立大学経営学部准教授小野原教子のエッセイ</ref>。また、ゴシック・アンド・ロリータ・ブランドのデザイナーもヨーロッパの伝統的な服飾文化をよく学んでおり、そうした技術やスタイルを模倣し典型的な西洋のイメージを形にするアイディアを打ち出している<ref name="takaraduka291-297" />。しかし、ゴシック・アンド・ロリータ自体は日本独自の文化とみなされており<ref name="takaraduka291-297" />、欧米では18世紀のドレスを着た者がストリートを歩いている国などありえず、伝統とモダンがこれほど同時に存在している国は他にないともいわれている<ref name="senken050521">『繊研新聞』2005年5月21日付</ref>。

また、一般には「不気味」<ref name="fashion-shingo238" />、「不健全」<ref name="joseigaku107" />、「不健康」<ref name="joseigaku107" />、「現実逃避的」<ref name="joseigaku107" />、「際モノ」<ref name="senken050926" /><ref name="senken060101" />といったイメージで認識されている<ref name="sekai79-81">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(79-81頁)</ref>。また「暑い」<ref name="siebold" />、「動きにくい」<ref name="siebold" />、「収納に困る」<ref name="siebold" />、「高価」<ref name="siebold" />、「品薄」<ref name="siebold" />など、着心地の悪さやスタイル維持の難しさという問題も存在する<ref name="siebold">吉光正絵「サブカルチャーと共同体」『県立長崎シーボルト大学 国際情報学部紀要』県立長崎シーボルト大学、2002年12月20日(219-226頁)</ref>。

さらに、ロリータをターゲットとしたブランドが大小問わず増えているのに対して、ゴシック・アンド・ロリータをメインターゲットとしたブランドはほとんどなく<ref name="hanbai200211p75>『ファッション販売2002年11月号』商業界、2002年11月1日発行(75頁)</ref>、ゴシックとロリータが重なり合う部分にいるゴシック・アンド・ロリータの人口も減っているとも言われている<ref name="TH No.33 85-89">『トーキングヘッズ叢書 No.33』アトリエサード、2008年2月8日発行(85-89頁)</ref>。

外見的特徴

ゴスロリの女王とも表現され<ref name="jinzo142-153">立仙順朗、新島進、宝野アリカ、巽孝之、荻野アンナ、高原英理、識名章喜、小谷真理、茅野裕城子、スーザン・J・ネイピア『人造美女は可能か?』慶應義塾大学出版会、2006年9月11日発行(142-153頁)</ref>、元祖ゴシック&ロリータを自任する<ref name="jinzo88-98">立仙順朗、新島進、宝野アリカ、巽孝之、荻野アンナ、高原英理、識名章喜、小谷真理、茅野裕城子、スーザン・J・ネイピア『人造美女は可能か?』慶應義塾大学出版会、2006年9月11日発行(88-98頁)</ref>宝野アリカは、ゴシック・アンド・ロリータの外見的特徴について

「黒を基調とした、レースフリルリボン、に飾られた華美な洋服、スカートパニエで脹らませ、靴は編み上げのブーツや厚底のワンストラップシューズ。髪は長く、ヘアスタイルの理想は縦ロールで、リボンヘッドドレスで飾る。装いは黒だけでなく真っ白でもゴブラン織り風の花模様でもよい。少年の場合は、主に黒で、小公子風のスーツやパンキッシュな革素材など。東京コレクションにも参加するようなデザイナーの作るものならなおよし、ヴィヴィアン・ウエストウッドは高価だが憧れのブランド、云々。」

と述べている<ref name="jinzo88-98" />。なおアイテムの主な色は黒、白、赤、紫、ピンク、青が挙げられる<ref name="style">『style-arena.jp』「ゴシック&ロリータ」財団法人日本ファッション協会の運営するサイト</ref>。

コーディネート

全体のコーディネートの特徴は「甘過ぎず辛過ぎず」で、甘過ぎるとただの「黒いロリータ」になってしまいがちであるある<ref name="ensemble1p50-55">『ゴシック&ロリータアンサンブル Vol.1』インフォレスト、2010年4月5日発行(50-55頁)</ref>(#黒ロリ)。

個々の部分は、ヘア・アクセサリーはボンネットやカチューシャ、ミニハットを合わせるが、薔薇のコサージュがついたものが一番それらしく見えると言われている<ref name="ensemble1p50-55" />。また、トップスやボトムスは黒で、ロリータ感を出すためにフリルは必須であるが、ロリータになりすぎないようにするためにパニエは控えめがよく、<ref name="ensemble1p50-55" />。さらに黒一色になってしまうのも好ましくないとされるため、ワンピースジャンパースカートなどのメインの洋服は黒をメインカラーとしつつも差し色を用いるが、赤や青など抑えめの色がよいとされており、パステルカラーは用いるべきではないとされている<ref name="ensemble1p50-55" />。ソックスはひざ下丈のハイソックスで、黒地に黒レースあるいは白レースが無難である<ref name="ensemble1p50-55" />。靴はロリータ・ファッションと同じく、つま先の丸いものを用いるが、色は黒で、ヒールのあるものや光沢のあるエナメル素材がよいとされる<ref name="ensemble1p50-55" />。

ヘアメイク

thumb|right|200px|ゴシック・アンド・ロリータのヘアメイクの例 魔女のような死人めいたメイクと表現されることもある<ref name="jinnai23">『仁愛大学研究紀要 第3号 2004年』西村則昭「「ゴシック」な世界観と「乙女」のアイデンティティ -あるストリート・ファッションをめぐる魂の現象学の試み-」(23頁)</ref>ゴシック・アンド・ロリータのメイクは、極端に白い肌色や濃いアイシャドウの病的な雰囲気を出し、赤や黒あるいはダークな色みの強い口紅を用いるというゴシック調である<ref name="kawaii106-111">古賀令子『「かわいい」の帝国-モードとメディアと女の子たち』青土社、2009年6月30日発行(106-111頁)</ref>。また、メイクにはヴィジュアル系バンドの影響がみられる<ref name="kawaii106-111" />ほか、顔は白塗りのこともまれにある<ref name="shiso14-26" />。 こうしたメイクはゴシック・アンド・ロリータの非現実感を強調するために必須で<ref name="kawaii106-111" />、、「メイクもファッションの一部」<ref name="GLBex2p85-94">『ゴシック&ロリータバイブル エクストラ2』インデックス・コミュニケーションズ、2006年7月22日(85-94頁)</ref>、「全身ゴスロリなのに靴はローファー、顔もスッピンはNG」<ref name="GLBex2p85-94"/>とブランドのデザイナーもメイクの重要性を指摘している。

また、髪型については縦ロール姫カットが好まれる<ref name="kawaii106-111" />。縦ロールは巻くのが大変であるためウィッグを用いるものも多い<ref name="street40">ストリートモード研究会『ストリートモードブック―ネオ★ゴシック・ロリータ』グラフィック社、2007年1月25日発行(40頁)</ref>。

ヘアメイクや小物によってゴシック・アンド・ロリータにもロリータにもなると言われており<ref name="GLBex2p85-94" />、ヘアメイクはスタイルを左右するものである。

精神性

ゴシック・アンド・ロリータは精神性を大事にするといわれている<ref name="street113-117">ストリートモード研究会『ストリートモードブック―ネオ★ゴシック・ロリータ』グラフィック社、2007年1月25日発行(113-117頁)</ref><ref name="kawaii106-111" />。例えば、嶽本野ばらは、mana三原ミツカズとの対談の中で、「そのお洋服を着たら、そのお洋服に似合う女の子になってほしい。言葉使い、立ち振る舞いとか。服だけゴス・ロリしていても、何か違う。」と述べている<ref name="GLB VOL.2p92-93">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.2』ヌーベルグー、2001年8月25日発行(92-93頁)</ref>。また、manaも「ゴシックロリータとは、流行に左右されず、神秘的な世界観が永遠に好きでいられる人達、そんな人達のための空間・シーンだと思っています。」と述べている<ref name"GLB VOL.12p50-51">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.2』インデックス・マガジンズ、2004年4月9日発行(50-51頁)</ref>。他にも大槻ケンヂは、そのように精神性を重要視するようになった背景には、「気合いを入れないと街を歩いてて後ろ指差されるファッションだから」と指摘している<ref name="street113-117" />。そのほかにもヴィクトリア朝期のロマン主義思想、神秘主義怪奇猟奇趣味、フランスの世紀末思想耽美主義などもバックボーンとして挙げられることがある<ref name="kawaii106-111" />。また、ゴシック・アンド・ロリータを着る者だけでなく、服自体の精神性の指摘もあり、生死を意識する精神が必ず含まれているともいわれている<ref name="TH No.33 85-89" /><ref name="TH No.33 85-89" />。

またゴシック・アンド・ロリータは、少女の夢やそこに潜む心の闇、自己表現するファッションともいわれているが<ref name="hanbai200604p94-96" />、ロココ調の装いに暗い死の影が浸透しており、それゆえに可憐さが際立っているようなスタイルであるという意見もある<ref name="shinri" />。しかし、奥底に流れる社会に対する冷ややかな眼差しを感じ取らせてしまうため一般の人々に嫌悪されやすいという指摘もあり、ゴシック・アンド・ロリータのように感情を全身にまとい町を歩く者を受け入れることができないのだろうとも言われている<ref name="TH No.33 65-68" />。

心理学的考察については#心理学的考察でも述べる。

年齢層

ゴシック・アンド・ロリータは20代、30代になると着られないと考える者が多いため愛好者は20代までの若い層が大半である<ref name="sekai79-81" /><ref name="sekai125-126">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(125-126頁)</ref>。またゴシック・アンド・ロリータと同年代の女性をターゲットとするギャルブランドやカジュアルブランドが売上げ増のために市場の変動に合わせた新しいトレンドを追い求めているのに比べ、ゴシック・アンド・ロリータ・ブランドは一箇所に留まり一つのテーマを表現している<ref name="hanbai200604p94-96" />。

しかしゴシック・アンド・ロリータは、肌の露出が少なく体型を隠せることや、大きなリボンなどが目を引くことから着る人を選ばない<ref name="sankei20080909" />ことから50代から60代の中高年のものも存在する<ref name="senken050309">『繊研新聞』2005年3月9日付</ref><ref name="otaku210">野村総合研究所オタク市場予測チーム『オタク市場の研究』東洋経済新報社、2005年10月27日(210頁)</ref>。

世代

繊研新聞』では「ハナコ世代」を親に持つ世代が、「プリクラ世代」、「ゆるカジ世代」に続く「カメレオン世代」として取り上げられており、日ごとにテイストの違うスタイルを採用する女子中学生が取り上げられた<ref name="senken081126">『繊研新聞』2008年11月26日付</ref>。記事によるとこれには『オシャレ魔女 ラブandベリー』の影響が大きく、着せ替え人形よりはるかに多い組み合わせ場面に合わせたトータルコーディネートを競うゲーム脳が現実のファッションにも現れているのだという<ref name="senken081126" ./>。

種類

ゴシック・アンド・ロリータには色々なこだわりや切り口があるため、一言ではいえないともいわれているが<ref name="GLBex2p85-94">『ゴシック&ロリータバイブル エクストラ2』インデックス・コミュニケーションズ、2006年7月22日発行(85-94頁)</ref>、アトリエサードの出版するクロスカルチャーマガジン『トーキングヘッズ叢書』No.33では「ゴシック・ロリータの種類」として嗜好するもので分けられた、以下の類型が挙げられている<ref name="TH No.33 72">『トーキングヘッズ叢書 No.33』アトリエサード、2008年2月8日発行(72頁)</ref>。

  1. V系/バンドの追っかけギャル、バンギャ
  2. 澁澤乙女系/澁澤三島谷崎寺山乱歩荒俣球体関節人形が好き。クラシック音楽好き、古典美術好き、お針子見習い等。
  3. A系/アニメ漫画声優に詳しい、元レイヤーだったり。スーパードルフィーなども数体持っていたりする。
  4. イベント・クラブ系/ゴシックイベントクラブに出没する人達。
  5. 90年代的ロリータ/昔の「CUTIE」「Zipper」に影響された年季の入ったロリータ。
  6. 無所属/「下妻物語」を観てからなど、まだ正体不明。

また、これらの類型にあてはまる者が主に好むブランドとして次のようなものが挙げられている<ref name="TH No.33 72" />。

  1. Moi-même-moitiéVISIBLEMARBLEh.NAOTOBLACK PEACE NOWAngelic PrettyBABY, THE STARS SHINE BRIGHTmetamorphose temps de fillebeauty:beast
  2. Victorian MaidenJuliette et JustineEXCENTRIQUEMichal NegrinMary MagdaleneJane MapleEmily Temple cute
  3. metamorphose temps de filleInnocent WorldMA・MAM・ネコミミA+LIDELALICE and the PIRATESBABY, THE STARS SHINE BRIGHTAngelic Pretty
  4. 危機裸裸商店TAKUYA AngelFotusBaby DollEXCENTRIQUEMichal Negrinalice auaa
  5. MILKJane MapleEmily Temple cuteFairy wish
  6. BABY, THE STARS SHINE BRIGHTAngelic PrettyMILKEmily Temple cute

しかし、これらも個人の嗜好の問題であるため、時間と共に変化したり重複したりして複雑になっていることが多い<ref name="TH No.33 72" />。また、ヴィジュアル系バンドやアニメ主題歌の変化などによって、境界線は曖昧になってきている<ref name="TH No.33 72" />。

表記と経緯

ゴシック・アンド・ロリータの通称はゴスロリである<ref name="TH No.33 65-68">『トーキングヘッズ叢書 No.33』アトリエサード、2008年2月8日発行(65-68頁)</ref>。 由来についてゴスロリ関連雑誌の編集長を務めた鈴木真理子は、「私達編集者などの、誰かが狙って「仕掛け人」となって作った言葉ではなく、ストリートの女の子達から生まれて育っていった言葉なのです。」と述べている<ref name="GLBB94-95">『ゴシック&ロリータバイブル ブドワール』インデックス・コミュニケーションズ、2008年2月28日発行(94-95頁)</ref>。鈴木によると、1998年1月から原宿でスナップ撮影を始めたところ、1998年5月ごろからボンネットを付けた人形のような服を着た少女たちに会うようになり、そのファッションが「ゴシック&ロリータ」略して「ゴスロリ」と呼ばれていることを知ったという<ref name="GLBB94-95" /><ref>日経トレンディネット</ref>。

また、表記としては他にゴス・ロリ<ref name="GLB VOL.2p92-93" /><ref name="inter154-156">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(154-156頁)</ref>、ゴス&ロリ<ref name="GLB VOL.6p104-105">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.6』インデックス・マガジンズ、2002年11月15日発行(104-105頁)</ref><ref name="inter153-154" />、ゴシック・ロリィタ<ref name="inter153-154" /><ref>『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行</ref>、ゴシックロリータ<ref name="GLB VOL.1p10-11">『ゴシック&ロリータバイブル 創刊号』バウハウス、2000年12月(10-11頁)</ref><ref name="TH No.33 65-68" />なども存在する。また「ゴシック調ロリータ・ファッション」<ref>城一夫・渡辺直樹『日本のファッション 明治・大正・昭和・平成』青幻社、2007年10月1日(199頁)</ref>や「ゴシック調のロリータスタイル」<ref name="senken050223" />という表現も存在する。

なおゴスロリという語が一般に市民権を得たのは、2003年に起きた河内長野市家族殺傷事件の報道の影響が大きい<ref name="esprit112-115">『現代のエスプリ 454 臨床の語用論I』小野原教子「希いの森 - ゴスロリファッションに見る現代日本女性の下着観」至文堂、2005年5月1日発行(112-115頁)</ref><ref name="sekai141-146">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(141-146頁)</ref><ref name="aera040712">『AERA 2004年7月12日号』朝日新聞社、2004年7月12日発行(60-62頁)</ref>。

ストリート・ファッションとしてのルーツ

ロココ<ref name="yogo500" /><ref name="shinri" />やヴィクトリア朝時代 <ref name="TH No.33 p80" /><ref name="escargot48-49" />のファッション・スタイルとの関連が指摘されているゴシック・アンド・ロリータであるが、ストリート・ファッションとしてのルーツには、ナゴムギャルとトランスギャルの融合とするもの<ref name="TH No.33 65-68" />や、海外のゴシック・ファッションの要素を取り込んだ日本のロリータ・ファッションから派生した<ref name="doraku68">植田裕子『ロリータ衣装道楽』マーブルトロン、2005年2月28日発行(68頁)</ref><ref name="hanbai200604p94-96" /><ref name="yogo500" />とするものなど諸説あり、主に次のようなものがあげられる。

ナゴムギャルとトランスギャルによるゴシックとロリータの融合

1980年代頃、トランスギャルナゴムギャルという二種類のおっかけが存在した。トランスギャルは、トランスレコードYBO2アサイラムなどのおっかけをし、全身を真っ黒の出で立ちに青白いメイクと髑髏のアクセサリーを身につけ<ref name="TH No.33 65-68" />、MILKOZONE COMMUNITYY'sCOMME des GARCONSなどのブランドを好んだ<ref name="GLB VOL.24p41-46">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.24』インデックス・コミュニケーションズ、2007年3月24日発行(41-46頁)</ref>。またナゴムギャルは、ナゴムレコードたま人生筋肉少女帯ばちかぶり死ね死ね団などのバンドのおっかけをし、ボーダーニーソックスリボン、派手なTシャツにラバーソウルを着た実年齢よりも幼い印象で<ref name="TH No.33 65-68" />、Jane MapleMILKPINK HOUSEなどのブランドを好んだ<ref name="sekai44-60">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(44-60頁)</ref>。その後イカ天バンドブームが到来し、歩行者天国でストリートライブが行われるようになってくると、様々なバンドを見るファンによって、ナゴム系とトランス系の双方の要素が混ざっていき生まれた<ref name="TH No.33 65-68" />。

これに関連する意見としては、トランスギャルはジャパニーズ・ゴシックの原型であるとするものや<ref name="kawaii106-111">古賀令子『「かわいい」の帝国-モードとメディアと女の子たち』青土社、2009年6月30日発行(106-111頁)</ref>、現在のゴシック・アンド・ロリータとほとんど変わらないとするもの<ref name="GLB VOL.5p88-89">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.5』バウハウス、2002年7月発行(88-89頁)</ref>、ナゴムギャルとトランスギャルをロリータとゴシックのルーツであるとしつつも、ゴシック・アンド・ロリータの原型を作ったのはMALICE MIZERの世界観に影響を受けたファンたちであるとするものがある<ref name="rococo VOL.1 90-93">『ゴスロリ&パンクスタイル ROCOCO VOL.1』辰巳出版、2004年10月25日発行(90-93頁)</ref>。MALICE MIZERとの関連については#MALICE MIZERのmanaによるゴシックとロリータの融合#ゴスとヴィジュアル系の関係とゴシック・アンド・ロリータでも述べる。なお、バンドブームの衰退とともにトランスギャルの好んだ服装もナゴムギャルの好んだ服装も主流から消えていった<ref name="inter161-162" />。

また、ナゴムレコードに所属していた筋肉少女帯の大槻ケンヂは、「「ゴシック&ロリータ」という言葉は、モアティエのMana様が作ったと言われているんです。しかしその存在というか、いわゆるゴシックでロリータな格好の女の子は、僕の記憶では既に80年代にいましたね。」と述べている<ref name="street113-117" />。また大槻は「目黒鹿鳴館ってライブハウスヘヴィメタがよくライブしてて、ヘヴィメタルってヨーロピアンな流れもあるから、そこで女の子たちがヨーロピアンな服装をするんだけども、まあちょっと感性が違ったりして、今にして思えばゴシック&ロリータな服に偶然なってる場合が多々ありましたかねえ。」と述べている<ref name="street113-117" />。しかし、当時はゴシック・アンド・ロリータという言葉はなかったため、大槻らはそれらを「鹿鳴館ギャル」と呼んでいた<ref name="street113-117" />。

VISIBLEとATELIER-PIERROTによるゴシックとロリータの融合

1990年頃、関東はゴシックテイスト中心、関西はロリータテイスト中心であった。そのころ、大阪のブランドVISIBLEが東京のセレクトショップATELIER-PIERROTのオーナー、大橋敬子の「真っ黒で作って欲しい」という要望から黒のアイテムを作ったことから生まれた<ref name="interview" /><ref name="sekai44-60" />。

VISIBLEは当初、デザイナーのレイチェルと大阪モード学園で同期だったMARBLEの泉さおりが家賃を折半し店舗を借り、MARBLE/VISIBLEとして開店した<ref name="interview">『ゴシック・ロリータ&パンク インタビューBOOK』辰巳出版、2007年3月10日発行(66-67頁)</ref>。このMARBLE/VISIBLEはゴシック・アンド・ロリータのさきがけであるともいわれているが<ref name="yaso-goth118-119">『yaso夜想 特集+ゴスGOTH』ステュディオ・パラボリカ、2003年9月1日発行(118-119頁)</ref>、泉のMARBLEとレイチェルのVISIBLEは初めから別々のブランドで2002年には独立店舗を持つに至っている<ref name="interview">『ゴシック・ロリータ&パンク インタビューBOOK』辰巳出版、2007年3月10日発行(66-67頁)</ref>。

MALICE MIZERのmanaによるゴシックとロリータの融合

[[File:Cosplay.jpg|thumb|right|200px|ヴィジュアル系バンド(MALICE MIZER)のコスチュームプレイ]]

MALICE MIZERはそれまでのヴィジュアル系と比べて、群を抜いて濃いメイクと衣装、過剰な演出をしていたが、MALICE MIZERの中で女性的な位置づけであったmanaのスタイルをエレガント・ゴシック・ロリータと称したものがルーツ<ref name="heart17-18">高原英理『ゴシックハート』講談社、2004年9月15日発行(17-18頁)</ref><ref name="sekai44-60" /><ref name="fashion-shingo238" />で、manaがゴシック・アンド・ロリータを最初に定義した<ref name="GLB VOL.24p41-46" /><ref name="hanbai200604p86-87">『ファッション販売 2006年4月号』商業界、2006年発行(86-87頁)</ref>。

この「MALICE MIZERのmanaによるゴシックとロリータの融合」は有力な説の一つであるが<ref name="shiso258-267" />、一般の少女たちが行っていたロリータ・ファッションのアレンジをまとめたのがmanaの「Moi-même-moitié」であるとも言われている<ref name="shiso258-267" />。前述の大槻<ref name="street113-117" />の他に『KERAマニアックス』編集長の鈴木真理子も、ゴシック・アンド・ロリータが売れるようになったのはMALICE MIZERがメジャーデビューし、ゴシック・アンド・ロリータを着るmanaの姿が全国的に映し出されたためであると述べている<ref name="yaso-goth118-119" />他、「manaがゴシック・アンド・ロリータと名づけた」という説はmana自身も否定しているという<ref name="yaso-goth118-119" />。しかしmanaが自分のファッション・スタイルについて「エレガントで、ゴシックで、ロリータな」スタイルと表現していたため、ファンの間で「ゴシック・アンド・ロリータ」という言葉が生まれたとも言われており<ref name="style" />、また、MALICE MIZERの世界観に影響を受けたファンによってゴシック・アンド・ロリータの原型が誕生したという説もある<ref name="rococo VOL.1 90-93" />。

なお、manaは「ブランドの構想を考え出した97~98年頃、世の中にLolita系ブランドはあったのですが、ダークで可愛いものを扱っているブランドが、僕が知っている限りではありませんでした。僕は怪しくて、Gothiv的なものも大好きだったので、そこにLolitaの持つ可愛らしさを組み合わせたら、と考え、Gothic&Lolitaというものを創り出したのです。」とも述べている<ref name="ensemble1p66">『ゴシック&ロリータアンサンブル Vol.1』インフォレスト、2010年4月5日発行(66頁)</ref>。

類似するファッション傾向との比較・関係

[[ファイル:Classicloli.JPG|thumb|left|200px|ゴシック・ファッションの男性(左)とゴシック・アンド・ロリータの女性(右)(東京都渋谷区原宿神宮橋)<ref name="asahi080711">『朝日新聞 東京版夕刊』2008年7月11日付</ref><ref name="asahi080711" />。]] [[File:Pink gothlolita.jpg|thumb|right|200px|ロリータ・ファッション(2005年、東京都渋谷区原宿神宮橋)]] 前述のトランスギャル、ナゴムギャルのほかにも、ゴシック・アンド・ロリータには志向・外見が類似したいくつかのファッション傾向が存在する。

ゴシック・ファッション、ロリータ・ファッション

前述のようにゴシック・アンド・ロリータは、ゴシック・ファッションとロリータ・ファッションの融合である<ref name="hanbai200604p94-96" /><ref name="yogo500" /><ref name="doraku68" />。そのためそれぞれの要素を含んでいるが、美術評論家樋口ヒロユキは、著書『死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学』の中でゴスイベントに来る、ゴシック・アンド・ロリータ・ファッションゴシック・ファッションロリータ・ファッションの愛好家を比較して次のように大別している<ref name="shiso14-26">樋口ヒロユキ『死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学』冬弓社、2007年7月10日発行(14-26頁)</ref>。

その上で樋口は、ゴシック・アンド・ロリータは、ゴシックとロリータの間にあるもので、ゴシック寄りのものはの匂いが強く、ロリータ寄りのものは少女趣味が強くなるとした<ref name="shiso14-26" />。



ゴシック

ゴシック」(Gothic)とは、「ゴート族風の」という意味で、「野蛮・残酷」を意味する語である<ref name="heart10-17">高原英理『ゴシックハート』講談社、2004年9月15日発行(10-17頁)</ref><ref name="shiso26-36">樋口ヒロユキ『死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学』冬弓社、2007年7月10日発行(26-36頁)</ref>。

ゴシック的な要素

ゴシック・アンド・ロリータは、ゴシックとロリータの要素を結びつけたものであるが、ゴシックな要素として次のようなものが挙げられている。

「色ならば。時間なら夕暮れ。場所は文字通りゴシック建築の中か、それに準ずるような荒涼感と薄暗さをもつ廃墟や古い建築物のあるところ。現代より過去。ヨーロッパ中世。古めかしい装い。温かみより冷たさ。怪物異形異端苦痛の表現。損なわれたものや損なわれた身体。身体の改変・変容。物語として描かれる場合には暴力と惨劇。怪奇恐怖猟奇的なもの。頽廃的なもの。あるいは一転して無垢なものへの憧憬。その表現としての人形少女趣味様式美の尊重。両性具有天使悪魔など、西洋由来の神秘的イメージ。驚異崇高さへの傾倒。終末観。装飾的・儀式的・呪術的なしぐさや振る舞い。幻想への耽溺。別世界への夢想。アンチ・キリストアンチ・ヒューマン。」(高橋英理『ゴシックハート』より引用<ref name="heart8-10">高原英理『ゴシックハート』講談社、2004年9月15日発行(8-10頁)</ref>)

こうした要素を内包していなければゴシック・アンド・ロリータとは呼ばない<ref name="sekai29-39" />。

欧米のゴスの成功の理由は、アンチ・キリストの表象を前面に出したことによって、「堕天使サタンの物語」というもっとも共感域の広い悲劇を想起させたことにあるとも言われているが、ゴシック・アンド・ロリータや、そのカリスマたちがアンチ・キリストの悲劇に宗教的共感を寄せているとは考え難いという指摘もある<ref name="kino" />。

ゴスとヴィジュアル系の関係とゴシック・アンド・ロリータ

thumb|right|200px|ヴィジュアル系 また、ゴシック的な感覚を基に生まれたゴス(Goth)は、日本ではX JAPANMALICE MIZERが伝道したスタイルである<ref name="heart17-18">高原英理『ゴシックハート』講談社、2004年9月15日発行(17-18頁)</ref>。X JAPAN、MALICE MIZER共にヴィジュアル系バンドであるが、ゴシック・アンド・ロリータの源流はそうしたヴィジュアル系バンドファンのコスチュームプレイにあり<ref name="sekai44-60" />、ゴスの流れを汲むヴィジュアル系バンドのファン層を中心に広がっていったとも言われている<ref name="doraku74">植田裕子『ロリータ衣装道楽』マーブルトロン、2005年2月28日発行(74頁)</ref><ref name="sankei20080909">『産経新聞 首都圏版』2008年9月9日付</ref>。 。

一方でヴィジュアル系バンドがステージ衣装を取り入れたり、雑誌でゴシック・アンド・ロリータ系ブランドのモデルにヴィジュアル系バンドのメンバーが起用されたりと相互に影響を与え合っており<ref name="shojo-bunka3.127-144">『年報「少女」文化研究:「少女」文化の友第3号』まえがわまさな「日本におけるゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータ文化概説―付 日本におけるゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータ関係文献目録―」「少女」文化研究会、2008年12月31日発行(127-144頁)</ref>ヴィジュアル系バンドに憧れる層もゴシック・アンド・ロリータに関心を抱くようになったという指摘もある<ref name="cosplay society56-83">成美弘至編『コスプレする社会―サブカルチャーの身体文化』小泉恭子、鈴木裕子「ヴィジュアル系とコスプレ」せりか書房、2009年6月25日発行(56-83頁)</ref>

ロリータ

ロリータは、ロシア人作家ウラジミール・ナボコフの代表作である<ref>紀平英作 編『グローバル化時代の人文学―対話と寛容の知を求めて〈上〉連鎖する地域と文化』若島正「第十七章 翻訳という越境―『ロリータ』をめぐって―」京都大学学術出版会、2007年3月15日発行</ref>小説『ロリータ』に由来する<ref name="GLB VOL.1p50">『ゴシック&ロリータバイブル 創刊号』バウハウス、2001年(50頁)</ref><ref name="esprit104-106">『現代のエスプリ 454 臨床の語用論①』小野原教子「希いの森 - ゴスロリファッションに見る現代日本女性の下着観」至文堂、2005年5月1日発行(104-106頁)</ref><ref name="shiso267-287">樋口ヒロユキ『死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学』冬弓社、2007年7月10日発行(267-287頁)</ref>。この「ロリータ」とは作中に登場するドロレス・ヘイズという少女の愛称であるが、この少女は少女期特有の妖しい魅力(ニンフェット)の持ち主で<ref name="sekai29-39" />、それゆえ「少女的である」という要素が強調されやすい<ref name="sekai29-39" />。 thumb|right|150px|『不思議の国のアリス』

ロリータな要素

嶽本野ばらはロリータの共通して偏愛する要素について

アリス王冠天使テディベアキティちゃん……。澁澤龍彦森茉莉恋月姫楠本まき……。バッハパンクアンティークオルゴール……。」

を挙げている<ref name="patchwork70-73" />。また嶽本は、ロリータは各自が自分流のロリータの定義を持っており、自らの美意識のみを拠り所とし、自分のルールにしか従わないのがロリータとして生きていくための条件であると主張しており<ref name="patchwork70-73">嶽本野ばら『パッチワーク』扶桑社、2002年12月10日発行(70-73頁)</ref>、その定義について、フリルが満載の洋服を着ている、ヘッドドレスをつけているなどの表層的な部分を定番どおりになぞらえても真のロリータにはなりえず、ロリータの解釈と実践は各人によって異なり、ロリータな精神さえ持っていればロリータであると述べている<ref name="patchwork84-86">嶽本野ばら『パッチワーク』扶桑社、2002年12月10日発行(84-86頁)</ref>。

パンク・ファッション

thumb|right|200px|パンク・ファッション パンク・ファッションとゴシック・アンド・ロリータは音楽ムーブメントと深く関連し、奇抜なファッション傾向があり、大人への反抗心などを持つなど、それと重なる部分がある<ref name="rolling">『Rolling Stone』美馬亜貴子「シンディ・ローパーが特別な理由 来日記念特別インタヴュー」</ref><ref name="hanbai200604p94-96" /><ref name="fashion-ron42" />ほか、ヴィヴィアン・ウエストウッドの行ったような伝統回帰やロマンティシズムへの憧憬も志向している<ref name="fashion-ron42" /><ref name="hanbai200604p92-93">『ファッション販売 2006年4月号』商業界、2006年発行(92-93頁)</ref>。実際、ゴシック・アンド・ロリータにパンクの要素を取り入れたゴスパン(Gothic Punk)や、ロリータ・ファッションにパンクの要素を取り入れたパンクロリ(Punk Lolita)などの派生ファッションも存在する。 また、ゴシック・アンド・ロリータの愛好者にもヴィヴィアン・ウエストウッドは人気で<ref name="brand147-150">『ゴシック・ロリータ&パンク ブランドBOOK VOL.1』辰巳出版、2005年6月25日発行(147-150頁)</ref><ref name="senken060101">『繊研新聞』2006年1月1日付</ref>、バッグ、アクセサリー、ジャケットなどのアイテムをあわせることがあり<ref name="soen2005Feb p156-157">『装苑 2005年2月号』文化出版局、2005年2月21日発行(156-157頁)</ref>、中でも足首に紐を巻きつけるバレリーナ・シューズロッキンホース・バレリーナ)は最もポピュラーで<ref name="aladdin">嶽本野ばら『アラジンと魔法のお買物』メディアファクトリー、2007年9月14日発行(65-67頁)</ref>ある。

モード

2005年頃よりミラノパリなど各地のファッションコレクションにおいてゴシックロリータの影響が見られる。CHANELYves Saint Laurentがその例である<ref name="senken050318">『繊研新聞』2005年3月18日付</ref><ref name="senken050407">『繊研新聞』2005年4月7日付</ref><ref name="senken050223">『繊研新聞』2005年2月23日付</ref><ref name="soen2005Feb p62-63">『装苑 2005年2月号』文化出版局、2005年2月21日発行(62-63頁)</ref><ref name="senken050926">『繊研新聞』2005年9月26日付</ref><ref name="inter161-162">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(161-162頁)</ref><ref name="street 33">ストリートモード研究会『ストリートモードブック―ネオ★ゴシック・ロリータ』グラフィック社、2007年1月25日発行(33頁)</ref><ref name="senken080126">『繊研新聞』2008年1月26日付</ref>。

[[File:Alice Liddell 2.jpg|thumb|right|150px|乞食に扮したアリス・リデル1859年ごろルイス・キャロルが撮影)]]

ピンクハウス

ピンクハウス1971年金子功をデザイナーとしてニコルから誕生し<ref name="street 32">ストリートモード研究会『ストリートモードブック―ネオ★ゴシック・ロリータ』グラフィック社、2007年1月25日発行(32頁)</ref>、1983年のオリーブ少女ブーム<ref name="sekai44-60" /><ref name="street 32" />で大ブレイクしたブランドであるが、そのデザインは極端にロマンチックなものであった<ref name="sekai44-60" />。このロマンチックなデザインや独特の印象から、ロリータ・ファッションと同列視する者がいるが、両者には決定的な違いがある<ref name="sekai44-60" />。金子のデザインした服は、肩から下までストンと落ちるような直線的なラインで足をほとんど見せないものが多いのに対し、ロリータ・ファッションは、スカートを膨らませ腰をしっかり絞って強調しており、一部にロングスカートのものもあるものの足は見えるのが一般的である<ref name="sekai44-60" />。

また、ピンクハウスのシルエットはヴィクトリア朝時代(1837年から1901年)の乞食娘に近いのに対し、ゴシック・アンド・ロリータはお嬢様に近いという指摘もある<ref name="TH No.33 p80" /><ref name="GLB VOL.2p80-81">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.2』バウハウス、2001年8月25日発行(80-81頁)</ref>。また、ピンクハウスなどの1980年代DCブランドとゴシック・アンド・ロリータとの違いについてデザイン・コンセプトを指摘するものもいる<ref name="inter153-154">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(153-154頁)</ref>。その指摘は「金子功のデザインの方針が「大人の女性の為の少女趣味」であり、「ヨーロッパの田園」を補強するイメージ写真を掲載するなどしていることに手がかりがある。Pink Houseの想定する「少女」は「自然」と結びつくものであった。さらに、この「少女=自然」「ヨーロッパの田園」イメージは、日本人男性による「想像」の産物である。」というものである<ref name="inter180-181">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(180-181頁)</ref>。

1980年代には少女趣味的な服の代表であったピンクハウスであるが、現在ではロリータ・ファッションに分類されていない<ref name="inter157-158">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(162-164頁)</ref><ref name="GLB VOL.9p">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.9』インデックス・マガジンズ、200年月日発行</ref>。

その他のファッション

ギャル系

[[File:Yamanba de dos.jpg|thumb|right|200px|ギャル(2006年、東京都渋谷区道玄坂109前)]] 東京のファッションカルチャーの代表として、ゴシック・アンド・ロリータとギャル系ファッションは双璧をなしているが<ref name="tyoi1">日系トレンディネット 原宿のストリートで増殖中!“ちょいゴスロリ”の神髄に迫る1</ref>、ギャルは「レース、フリル、リボンにあふれた『かわいいおしゃれ』が大好き」とも言われており<ref name="aera090608">『AERA 2004年7月12日号』朝日新聞社、2009年6月8日発行(頁)</ref>、ギャルから派生した姫系や姫ロリと呼ばれるファッションスタイルが存在する。

一部のギャルから派生した姫ロリは、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTJESUS DIAMANTEの洋服を着て、ブロンドの髪を高く盛り、ティアラや大きなリボンを付け、ネイルや小物にはたくさんのラインストーンを付けるものであった<ref name="GLBB56-71" />。姫系は、ギャルが標榜するお姫様のようなファッション傾向で、JESUS DIAMANTEBarbiePinky GirlsRUBY ROSEA mon avisなどのブランドも好まれている<ref name="doraku74" />。

ゴスロリと名古屋嬢やギャルとの間に親和性があると感じるというものもおり<ref name="shojo-bunka3.148-156">『年報「少女」文化研究:「少女」文化の友第3号』水野麗「少女の異常な愛情 -または私は如何にして心配するのを止めてデコ電を愛するようになったかー」「少女」文化研究会、2008年12月31日発行(148-156頁)</ref>、ギャルとロリータを行き来するもの<ref name="doraku74" />や、ゴスロリと姫ギャルをターゲットにしたシューズブランドも存在する<ref name="senken080708">『繊研新聞』2008年7月8日付</ref>。また、ロリータのカリスマ嶽本野ばらもギャルのカリスマ浜崎あゆみ好きを明言している。

また、ゴシック・アンド・ロリータの着用者の中には、ギャル雑誌『小悪魔ageha』を参考にメイクをするものもいる<ref name="style.">『style-arena.jp』</ref>。

ちょいゴスロリ

2009年4月3日付けの日経トレンディネットの記事では「ちょいゴスロリ」という傾向が取り上げられている<ref name="tyoi2">日経トレンディネット 原宿のストリートで増殖中!“ちょいゴスロリ”の神髄に迫る2</ref>。それによると「ちょいゴスロリ」とは「カラーを黒中心に据えてシューズをベロアにしたり、レースや中世を思わせるアンティーク調アイテムを使ったりなど個々のアイテムはゴスロリを思わせるが、全体のスタイルは完全なゴスロリではない。」というように、ディテールを取り込んで雰囲気を出す、「よく見れば」、「なんとなく」ゴスロリというものである <ref name="tyoi2" />。

ゆかた

2003年6月6日付けの繊研新聞では、各ブランドが初めて作ったゴスロリゆかたのファッションショーが取り上げられた<ref name="senken030606">『繊研新聞』2003年6月6日付け</ref>。記事によると新宿マルイワンで行われたショーにはMABABY, THE STARS SHINE BRIGHTmetamorphose temps de filleSEXY DYNAMITE LONDONBLACK PEACE NOWMIHO MATSUDAなど11ブランドが参加した<ref name="senken030606" />。また、そのデザインは「黒地にバラや血糊のプリント、そろいのヘッドドレススタッズを打ったレザーのチュールレースとのコーディネートなど」とあり、形もベーシックなゆかたにプリントだけゴシック・パンクというものや、ドレスのようなデザインのものが見られた<ref name="senken030606" />。また2007年にもATELIER-PIERROTh.NAOTOdespairDeorartなどもゆかたを制作している<ref>『KERA vol.120』インデックス・コミュニケーションズ、2008年7月16日発行(46-51頁)</ref>。

ニューヨーク州立ファッション工科大学は2009年2月に「サブカルチャー&スタイル」と題したシンポジウムを二日間にわたって開き、前述の川村由仁夜、京都造形大学助教授の成美弘至クリエーティブ・コンサルタントのティファニー・ゴドイが日本のサブカルチャーをテーマに講演を行ったが、その中でゴドイは日本人が制服や着物のように「型」の決まった服を着用してきたことを指摘し、さらにゴシック・アンド・ロリータも、それを着用する者にとっては制服のようなもの、という見方を示した<ref name="senken090316">『繊研新聞』2009年3月16日付</ref>。服飾コードの供給源としてはミュージシャンや漫画家、服飾デザイナー、人形作家などのカリスマが挙げられる<ref name="siebold" />。また、ロリータ・ファッションにも「美しさや、着こなしのルールがあり、完璧性を競う」といわれており、その点がカジュアルダウンで自身を表現するストリートカジュアルとの決定的な違いとする意見もある<ref name="senken061014">『繊研新聞』2006年10月14日付</ref>。

ゴスロリ浴衣はアニメ『ペンギン娘はぁと』でも登場し、「南極さくら ゴスロリ浴衣Ver.」というフィギュアも作られた<ref name="gsc">グッドスマイルカンパニー</ref>。

ゆるふわ

スカートのボリューム感のあるシルエットはゴシック・アンド・ロリータやロリータ・ファッション似ているが、それらがウエストを絞った半円のようなシルエットであるのに対して、ゆるふわは「Aライン気味」とも言える緩いふくらみであるという点が異なる<ref name="yuruhuwa1">日経トレンディネット 人気急上昇の「ゆるふわ」スタイル。”森ガール”との違いは?1</ref>。また決定的な違いとしてゴシック・アンド・ロリータやロリータ・ファッションのスカートがひざ丈やひざ上であるのに対して、ゆるふわはロング丈で統一されている<ref name="yuruhuwa1" />。また、、「レースや装飾がなく無地でシンプルなものが多い」、「甘い雰囲気を引き締めるためにブラックを適所に置いてバランスを保つ」、「パーカーやスエットなどのカジュアルアイテムを取り入れる」などのコーディネートの特徴も指摘されている<ref name="yuruhuwa1" />。

<ref>日経トレンディネット 人気急上昇の「ゆるふわ」スタイル。”森ガール”との違いは?</ref>

[[File:The elegy of a white flower-Takarazuka1951.jpg|thumb|right|300px|宝塚歌劇団雪組によるレビュー『白き花の悲歌』(1951年)中央:春日野八千代、朝倉道子]]

宝塚歌劇

宝塚歌劇に関する特集は、ゴシック&ロリータバイブルでも複数回組まれている<ref name="GLB VOL.18p69-71">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.18』インデックス・マガジンズ、2005年9月21日発行(69-71頁)</ref><ref name="GLB VOL.19p88-91">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.19』インデックス・マガジンズ、2005年12月21日発行(88-91頁)</ref><ref name="GLB VOL.22p77">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.22』インデックス・コミュニケーションズ、2006年9月21日発行(77頁)</ref>。また2005年3月9日付の『繊研新聞』では50代から60代の中高年のゴシック・アンド・ロリータ着用者について触れられているが、記事中で現代社会研究所所長で青森大学社会学部教授の古田隆彦は、50代から60代の女性の多くは少女時代に宝塚歌劇や、中原淳一内藤ルネらの少女画に熱中した世代であることを指摘した上で、少女時代からの宝塚や少女画のファッションへのあこがれが、若者たちやモードに後押しされたのではないかと推測している<ref name="senken050309" />。なお、内藤ルネとロリータブランドHeart Eのコラボレーション商品も存在する<ref name="heart e">Heart E公式サイト</ref>。 また宝塚は「夢の世界」と言われるが、コスプレとゴシック・アンド・ロリータも同じく「夢の世界」の実現にコミットする文化である<ref name="takaraduka280-281">青弓社編集部編『宝塚という装置』水野麗「宝塚・コスプレ・ゴスロリ――「夢の世界」との距離」青弓社、2009年3月20日発行(280-281頁)</ref>。これらは「夢の世界」を形成するにあたって「西洋」のファンタジーを用いている点でも似ているが、水野麗はこの場合の「西洋」を「単に異国情緒・異国趣味といったものではなく、また単純に「先進国」として見習うべき手本といったものでもない。それぞれの文化の根幹にかかわる重要な要素であり、複雑なダイナミズムをもって実現されている、情熱の矛先とでも言うべきものである。」と論じている<ref name="takaraduka280-281" />。

また水野は宝塚、コスプレ、ゴスロリそれぞれの「西洋」について次の点を指摘している。

  • 宝塚と「西洋」
「西洋物」の作品で、念入りな化粧で彫りを深くして「西洋人」を演じるのに、東洋人以外の外国人の入団がないねじれ<ref name="takaraduka280-281">青弓社編集部編『宝塚という装置』水野麗「宝塚・コスプレ・ゴスロリ――「夢の世界」との距離」青弓社、2009年3月20日発行(281-285頁)</ref>
  • コスプレと「西洋」
「西洋」の世界観を持つマンガ・アニメ・ゲーム作品の白人のキャラクターのコスプレを白人がすることへの日本人コスプレイヤーが感じる違和感<ref name="takaraduka285-291">青弓社編集部編『宝塚という装置』水野麗「宝塚・コスプレ・ゴスロリ――「夢の世界」との距離」青弓社、2009年3月20日発行(280-281頁)</ref>
  • ゴスロリと「西洋」
「西洋」が憧れの世界として機能しているゴスロリやロリータ・ファッションを着た白人へ日本人の愛好家が感じる違和感<ref name="takaraduka291-297">青弓社編集部編『宝塚という装置』水野麗「宝塚・コスプレ・ゴスロリ――「夢の世界」との距離」青弓社、2009年3月20日発行(291-297頁)</ref>

さらに水野は、東洋人的な身体が「夢の世界」としての「西洋」を宝塚やコスプレ、ゴスロリで演じているところに、現実の西洋が混ざるとファンタジーと現実の水準の混乱を招くために目立つ、としている<ref name="takaraduka297-299">青弓社編集部編『宝塚という装置』水野麗「宝塚・コスプレ・ゴスロリ――「夢の世界」との距離」青弓社、2009年3月20日発行(297-299頁)</ref>。

しかし同じ西洋のファンタジーを源泉とする宝塚とゴスロリ、コスプレで決定的に違う点がある。それは宝塚が「西洋物」を確立したのに対して、ゴスロリやコスプレが1980年代以降の欧米風の生活スタイルが違和感なく存在する時代から楽しまれている点である<ref name="takaraduka299-301">青弓社編集部編『宝塚という装置』水野麗「宝塚・コスプレ・ゴスロリ――「夢の世界」との距離」青弓社、2009年3月20日発行(299-301頁)</ref>(コスプレとゴシック・アンド・ロリータの関係については#コスチュームとしてのゴシック・アンド・ロリータでも述べる)。 なお宝塚歌劇団は『ベルサイユのばら』(1974年初演)の上演を行っているが、『ベルサイユのばら』はフランス革命期をマリー・アントワネットの生涯を中心に描いた作品である<ref name="GLB VOL11p78-80">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.11』インデックス・マガジンズ、2005年1月16日発行(78-80頁)</ref>。

また、宝塚にはファンクラブが役者を招いて行う「お茶会」というイベントが存在するが<ref name="takaraduka22-25">青弓社編集部編『宝塚という装置』東園子「「宝塚」というメディアの構造――タカラジェンヌの四層構造と物語消費」青弓社、2009年3月20日発行(22-25頁)</ref>、ゴシック・アンド・ロリータやロリータ・ファッションにおいても「お茶会」というイベントが存在し、ブランド主催のものの中には読者モデル<ref name=" KERAVOL.134p37" />やデザイナー<ref name="BSSBkanazawa">BABY, THE STARS SHINE BRIGHT金沢店ブログ</ref><ref name=" KERAVOL.134p46-47">『KERA VOL.134』インデックス・コミュニケーションズ、2009年10月16日発行(46-47頁)</ref>などが参加して行われることもある。ゴシック・アンド・ロリータにおけるお茶会については#お茶会でも述べる。

なお、ヴィジュアル系のルーツが宝塚にあるという意見も存在する<ref>ビジュアル系バンド「アンティック-珈琲店-」が欧州で大人気の理由(前編)</ref>。

各国での展開

これまで、ファッションではアンダーカバーやユニクロ、音楽ではピチカート・ファイブやパフィーが日本から海外進出を果たし支持を得ていたが、それらがあくまでもブランドやアーティスト単体が支持されるにとどまっていた<ref>日経トレンディネット 丸井が「クールジャパン」に本格進出 日本文化のセレクトショップで外国人狙う2</ref>。それに対し、ゴスロリは日本生まれのジャンルそのものが受け入れられているとも言われている<ref>日経トレンディネット 丸井が「クールジャパン」に本格進出 日本文化のセレクトショップで外国人狙う2</ref>。

欧米での展開

ゴシック・アンド・ロリータは欧米でもgosulori(またはgoth-loli)<ref name="esprit108-112">『現代のエスプリ 454 臨床の語用論①』小野原教子「希いの森 - ゴスロリファッションに見る現代日本女性の下着観」至文堂、2005年5月1日発行(108-112頁)</ref>として知られている。ゴスの本場欧米では、本来なら崇高美学とホラーに結びつくゴシック愛好者がミニスカートを履くことを奇妙に感じる<ref name="shiso258-267" />などの批判があるもののゴシック・アンド・ロリータを好むものも存在する。

アメリカでの展開

アメリカではゴシック・アンド・ロリータは既に研究対象としても扱われている<ref name="fashion-ron42" />。実際ニューヨーク州立工科大学の付属美術館ディレクターバレリー・スティールは来日した際、h.NAOTOの廣岡直人へインタビューを行っている<ref name="asahi080717">『朝日新聞 東京版朝刊』2008年7月17日付</ref>。

また、エヴァネッセンスのボーカル、エイミー・リーはアメリカにゴシック・アンド・ロリータを広めたことで知られているが<ref name="asahi070220">『朝日新聞 東京版夕刊』2007年2月20日付</ref>、リーはゴシック・アンド・ロリータ愛好家である<ref>『ゴシック・ロリータ&パンク ブランドBOOK VOL.1』辰巳出版、2005年6月25日発行(64-65頁)</ref><ref name="soen2005Feb p75">『装苑 2005年2月号』文化出版局、2005年(75頁)</ref>。このほかにも、マリリン・マンソンや<ref name="soen2005Feb p75" />シンディ・ローパーはゴスロリ関係の服を来日した際に購入しており<ref name="rolling" />、アメリカでの人気の高さが窺える。

フランスでの展開

フランスでも、2006年12月1日にパリ初のゴスロリ専門洋服店「ハラジュク」がオープンし<ref>EURO JAPAN COMIC</ref>、翌2007年6月にはフランス初のゴスロリブランドKAWAIKOがパリ市内に店舗をオープンしている<ref>EURO JAPAN COMIC</ref>。ほかにも、Japan Expoラフォーレ原宿ファッションショーを行ったり<ref name="senken070711">『繊研新聞』2007年7月11日付け</ref><ref>『装苑 2008年10月号』文化出版局、2008年10月1日発行(6頁)</ref><ref name="KERAVOL.122">『KERA VOL.122』インデックス・コミュニケーションズ、2008年9月16日発行(48-51頁)</ref><ref>Japan Expo公式サイト</ref><ref name="laforet">ラフォーレ原宿公式サイト</ref>、ヨーロッパ初のゴスロリイベントJ-POP COLLECTIONS in Paris 2007が開かれるなど<ref>EURO JAPAN COMIC</ref>、ゴシック・アンド・ロリータが輸入されている。

また、ロリータ・ファッションを愛好するものの中には、ビジュアル系への興味からゴシック・アンド・ロリータを愛好した時期を持つものが多く、例えばBABY, THE STARS SHINE BRIGHTのパリ店では開店当初は黒一色の客が多かったが一年もたたないうちにカラフルなファッションへとかわっていったという<ref name="kakumei93-97">櫻井孝昌『世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか』PHP新書、2009年11月30日発行(93-97頁)</ref>。ちなみにこの変化は、コーディネートしやすい初心者向きの「黒」から、ファッションに目覚めた結果であるともいわれている<ref name="ascii20090922">『週刊アスキー 2009.9.22』アスキー・メディアワークス、2009年9月22日発行(136-137頁)</ref>。


その他欧米での展開

ドイツはヨーロッパで最もゴスロリファンがいるともいわれており、500人規模のファングループが4・5グループあるほか<ref>EURO JAPAN COMIC</ref>。

そのほか日本のツアー企画旅行会社による、ゴスロリ店をめぐるツアーを企画が人気を博しており<ref name="sankei20080909" /><ref name="TJ327">テンカイジャパン327</ref>、原宿のゴスロリショップでは買い物客の4割が日本人以外(特に欧米系)であるという指摘もある<ref name="apalog69">クールジャパンブログ69</ref>。<ref name="marui">web channel</ref>。

このように、欧米人がゴシック・アンド・ロリータが注目するのは、欧米人が行えば単なる懐古趣味の域に留まってしまうものを、東洋人による別のスタイルにしてしまったからだと指摘するものもいる<ref name="esprit108-112" />。その一方で、18世紀19世紀の西洋服飾史をベースにしたロリータと、ヨーロッパ発祥の様式であるゴシックという文化的背景を考えると、ヨーロッパに流入しカルチャーとしてとらえられ広まったことも自然なことかもしれないと指摘するものもいる<ref name="soen2009Oct p106-107" />。

アジアでの展開

日本での展開

[[File:Americamura.JPG|thumb|left|200px|大阪市中央区西心斎橋アメリカ村三角公園付近(2007年)ゴシック・アンド・ロリータの発祥はアメリカ村ともいわれている<ref name="style" />]] [[ファイル:Laforet Harajuku 2008.jpg|thumb|right|200px|ゴスロリの聖地原宿<ref name="GLB VOL.4p66-71">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.3』ヌーベルグー、2002年1月10日発行(66-71頁)</ref>に建つラフォーレ原宿]]

日本では百貨店との同質化を避けたファッションビルがゴシック・アンド・ロリータの希少性の高さ、客単価の高さ、固定ファンの存在、ファッション傾向の追い風を受けて導入し始めた<ref name="hanbai200211p71-72">『ファッション販売2002年11月号』商業界、2002年11月1日発行(71-72頁)</ref>。 ゴスロリ系ブランドを集積した主な商業施設としてラフォーレ原宿<ref name="hanbai200211p71-72" />やマルイワン新宿が挙げられる<ref name="hanbai200211p72-73">『ファッション販売2002年11月号』商業界、2002年11月1日発行(72-73頁)</ref>。その後、新宿地区再編に取り組んだマルイは、マルイシティー1やマルイシティー2など改装を進め、新宿マルイワンをオープンさせ、旧マルイヤング新宿にあったゴスロリ系ブランドを集めた<ref>日経トレンディネット 「新宿マルイワン」がオープン!海外も視野に最新の”東京ファッション”を発信1</ref><ref>http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090224/1024028/?P=2日経トレンディネット 「新宿マルイワン」がオープン!海外も視野に最新の”東京ファッション”を発信2]</ref>。

さらに2002年、京都河原町阪急百貨店がゴスロリ系のブランドを導入し、百貨店からもゴスロリがファッションとして認知されるようになった<ref name="hanbai200211p73">『ファッション販売2002年11月号』商業界、2002年11月1日発行(73頁)</ref>。また北海道でも2002年、三越が札幌店で取り込みきれない18歳から22歳の客層を狙って札幌アルタを開店し、ゴスロリ系をテーマとしたフロアを設けた<ref name="hokkaido020704">『北海道新聞』2002年7月4日付け</ref><ref name="hanbai200211p73" /><ref name="senken021010">『繊研新聞』2002年10月10日付け</ref>。

2005年10月にはゴスロリとレディスパンクの最大のイベントといわれるインディビジュアル・ファッション・エキスポが開かれた<ref name="senken061006">『繊研新聞』2006年10月6日付け</ref>。インディビジュアル・ファッション・エキスポについては#インディビジュアル・ファッション・エキスポでも述べる。


日本での市場規模

前述のようにファッションビルはゴシック・アンド・ロリータの客単価の高さに注目している<ref name="hanbai200211p71-72" />。しかしその一方で松浦桃は、ゴシック・アンド・ロリータの市場規模が拡大しないことについてそれは「着られる時間」、「その分購入されるアイテム=実際に動く購買力、それによって増減する販売数」、「ゴシック・アンド・ロリータというジャンルに所属する人口」の三点で不安定とみられていると指摘した<ref name="sekai79-81" />。これはゴシック・アンド・ロリータが職場や学校へ着て行くことができないため実際に着用する回数が少なく、購入するアイテム数が限定されるという問題と、20代、30代になると着られないと考える者が多いため、購買層が20代までの若い層に集まり、客単価が上がらないという問題を示している<ref name="sekai79-81" />。またゴシック・アンド・ロリータ市場の特徴として、店頭に出ることなく予約のみで商品が完売してしまうことが多いという点も指摘されており<ref name="senken050926" />、品薄なためスタイル維持が難しいという問題も存在している<ref name="siebold" />。

なお『オタク市場の研究』では、ファッションオタクを人口4万人<ref name="otaku210" />、市場規模130億円<ref name="otaku210" />としているが、2004年1月30日付の読売新聞東京版夕刊には、ゴシック・アンド・ロリータ人口は推定4、5万人との記載もある<ref name="yomiuri040130">『読売新聞 東京版夕刊』2004年1月30日付</ref>。また丸井の平岩国泰は、人口100万人、200億円市場であると述べている<ref name="ascii090602">アスキー総合研究所 ゴスロリ人口100万人、200億円市場</ref>

教育現場

日本のデザイン学校の中には、ゴシック・アンド・ロリータを採りあげている所もあり、バンタンデザイン研究所ではゴシック・アンド・ロリータを教えるファッション学部コスチュームデザイン学科<ref name="bantan kenkyu">バンタンデザイン研究所公式サイト</ref>が開設され、その理由を社長の菊池健蔵は「欧米は、子供と大人の中間のファッションが見当たらないが、日本の『キュート』『かわいい』はそれに当たる独自のセンス。日本の"ポップカルチャー"として海外で支持され、その尖端ファッションを学びたいという学生が増えている」と説明した<ref name="sankei20080909" /><ref name="bantan">株式会社バンタン公式サイト</ref>。

ポップカルチャー発信使(カワイイ大使)

2009年2月、KERAゴシック&ロリータバイブル読者モデル青木美沙子外務省から「カワイイ大使」に任命され<ref name="Pink KawaiiTaishi">青木美沙子「青木美沙子のピンクなラブリー日記 カワイイ大使」2009年2月26日12時22分39秒</ref>、様々なイベントに参加する予定した<ref name="mainichi090227">『毎日新聞』2009年2月27日付</ref><ref name="asahi090227">『朝日新聞』2009年2月27日付</ref><ref name="mainichi090321" /><ref name="yomiuri090227">『読売新聞』2009年2月27日付</ref><ref name="mainichi090321">『毎日新聞 東京版夕刊』2009年3月21日付</ref><ref name="jpf.JPCF">Japan Pop Culture Festival</ref><ref name="apalog88">クールジャパンブログ</ref><ref name="GLB VOL.34p16-17">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.34』インデックス・コミュニケーションズ、2009年9月20日発行(16-17頁)</ref><ref name=" KERAVOL.134p176">『KERA VOL.134』インデックス・コミュニケーションズ、2009年10月16日発行(176頁)</ref><ref name="apalog100">クールジャパンブログ100</ref><ref name="mainichi.jp090708">毎日jp</ref>。なお、青木は外務省のサイトでは「ロリータファッション界のカリスマ」としてその名が挙げられている<ref name="Gaimusyou">「ポップカルチャー発信使(ファッション分野)の委嘱」外務省のサイト</ref>。

ポップカルチャー発信使については#JAPAN EXPO#Japan Pop Culture Festivalでも述べる。

イベント

ゴシック・アンド・ロリータに関連するイベントとしては小規模な私的なものから、ファッション・ブランドが主催するもの、ファッションビルが主催するもの、行政機関が主催するものなど主催者、規模さまざまなものが日本国内外に存在する。

お茶会

「お茶会」とは、昼間の時間帯にゴシック・アンド・ロリータやロリータ・ファッションを着用して集まり、紅茶を飲むという会で<ref name="siebold" />、ただお茶を飲むだけでなくゴシック・アンド・ロリータやロリータ・ファッションを着る機会<ref name="senken050926" />、友達作りの場<ref name="senken050926" />、顧客受注会<ref name="senken080715" />などの意味も持つ。また、お茶会は全国各地で行われており、その規模も服飾メーカーが主催する100人規模のもから、私的な10人前後の集まりまでさまざまである<ref name="siebold" /><ref name="senken040630">『繊研新聞』2004年6月30日付</ref>。

日本国外でもフランスや<ref name="senken080715">『繊研新聞』2008年7月15日付</ref><ref name=" KERAVOL.134p37">『KERA VOL.134』インデックス・コミュニケーションズ、2009年10月16日発行(37頁)</ref><ref name=" KERAVOL.134p46-47">『KERA VOL.134』インデックス・コミュニケーションズ、2009年10月16日発行(46-47頁)</ref>、韓国でお茶会が開催されている<ref>青木美沙子のピンクなラブリー日記』</ref><ref name="hanbai201001p20>『ファッション販売2010年1月特大号』商業界、2010年1月1日発行(20頁)</ref>。

J-POP COLECTIONS

2007年12月8日、パリのムーランルージュ横のライブ会場でヨーロッパ初のゴスロリイベント・J-POP COLECTIONS in Paris 2007が開催された<ref name="jpc07">EURO JAPAN COMIC</ref>。開催時間は14時から20時<ref >EURO JAPAN COMIC</ref>、入場料2ユーロのイベントに500人が訪れ、ファッションショーにはmetamorphose temps de filleEXCENTRIQUEEmily TemplecuteA+LIDELBLACK PEACE NOWSEXY DYNAMITE LONDONALGONQUINSといったブランドが参加した<ref name="jpc07" />。また、翌年5月24日には第二回がロンドンで開催され、マルイワンがゴシック・アンド・ロリータのファッションショーを披露した<ref>EURO JAPAN COMIC</ref>。

JAPAN EXPO

[[File:Nana Kitade 20070707 Japan Expo 20.jpg|thumb|right|170px|JAPAN EXPOにおけるラフォーレ原宿コレクション(2007年)ATELIER-PIERROT]] JAPAN EXPOは日本のポップカルチャーを集めたヨーロッパ最大のイベントであるが<ref name="ITNews">東京ITニュースJAPAN EXPO Paris ファッション編</ref>、実行委員代表のトーマス・シルデによると、2005年ごろからJAPAN EXPOにはアニメだけでなく音楽やファッションも求められてきていた<ref name="senken060719">『繊研新聞』2006年7月19日付</ref>。そのため2006年の第7回JAPAN EXPOではマルキュー系のブランドを集めた「東京スタイルコレクション」が初めて開催された<ref name="senken060719" />。翌2007年に開催された第8回JAPAN EXPOにてラフォーレ原宿ファッション・ショーを行った<ref name="KERAVOL.122" /><ref name="senken070711" />。第一回のショーには13のブランドが参加し<ref name="senken070711" /><ref name="JE2007.houkoku">ジャパネキスポ2007イベント結果報告書</ref>、秋冬の最新ルックが100ルック以上披露された<ref name="sibuya070710">シブヤ経済新聞 2007年7月10日</ref>。翌2008年に行われたラフォーレ原宿の2回目のショーにも多数ブランドが参加し<ref name="senken080715" />、10000人以上の観客を集めた<ref name="kakumei24-26">櫻井孝昌『世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか』PHP新書、2009年11月30日発行(24-26頁)</ref><ref name="sibuya090701">シブヤ経済新聞 2009年7月1日</ref>)。2009年のラフォーレ原宿コレクションでは10のブランドが参加参加し、15000人を動員した<ref name="KERAVOL.134p43">『KERA VOL.134』インデックス・コミュニケーションズ、2009年10月16日発行(43頁)</ref><ref name="soen2009Oct p106-107" />。

櫻井孝昌は2009年に出版した著作『世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか』のなかで「フランスのジャパン・エキスポというとコスプレとアニメのイメージが強いが、ここ数年の入場者数激増(二〇〇六年:五万六〇〇〇人、二〇〇七年:八万人、二〇〇八年:十三万四〇〇〇人、二〇〇九年:一六万四〇〇〇人)の背景には、原宿ファッションのパリでの人気急騰もあることはあることはまちがいない。」と述べている<ref name="kakumei24-26" />。なおラフォーレ原宿コレクションは、パリコレクションでも不可能な動員規模でJAPAN EXPOのメインイベントのひとつと目されている<ref name="soen2009Oct p106-107" />。また、JAPAN EXPOの他にもフランスではJapan Pop Culture Festivalが開催されたが、中小企業がほとんどの日本のアパレルメーカーは企業体力の点から、日本国外人気があることが分かっていても海外進出が難しいため、こうしたブランドがまとまって海外進出できる支援・仕組みはクールジャパンを世界に広める上で不可欠であるという指摘もある<ref name="apalog88" />。

Japan Pop Culture Festival

2009年7月2日から5日にかけてJapan Pop Culture Festivalが開催された<ref name="jpf.JPCF" /><ref name="apalog88" />。これを主催したのは外務省所管の国際交流基金とラフォーレ原宿<ref name="apalog88" /><ref name="nissenmedia">日本繊維新聞</ref><ref name="jpf.press">国際交流基金プレスリリース</ref>であるが、これは外務省初の日本カルチャーのイベントであった<ref name="apalog77">クールジャパンブログ77</ref>。また、このイベントの一環として行われたラフォーレ・カワイイ・コレクションには10のブランドが参加した。

なお2009年9月26日・27日にも同名の「Japan Pop Culuture Festibal」というイベントが大阪の関西国際空港で開かれている<ref name="Japanpop outline">Japan Pop Culuture Festibal</ref>。

インディビジュアル・ファッション・エキスポ

2005年10月にはゴスロリとレディスパンクの最大のイベントといわれるインディビジュアル・ファッション・エキスポの第1回が『KERA』の発行元、インデックス・コミュニケーションズの主催で開かれた<ref name="senken061006">『繊研新聞』2006年10月6日付</ref>。インディヴィジュアル・ファッション・エキスポは日本独自の個性派ファッション・イノベーターに向けたファッション・イベントであるが、ファッション・ショーだけでなく、ヴィジュアル系アーティストによるライブなども行われた<ref name="fashionjp">fashionjp.net インディヴィジュアルファッションエキスポ</ref>。

2006年10月8日に新木場スタジオコートで2回目のインディビジュアル・ファッション・エキスポが開かれ「インディビジュアル・マジック」をテーマとしたショーにはPEACE NOWBLACK PEACE NOWALGONQUINSSEXY DYNAMITE LONDONMetamorphoseBABY, THE STARS SHINE BRIGHTALICE and the PIRATESKERA SHOP ANGEL/ARENAなどゴスロリ系の10ブランド、G相原玲菅原麻里青木美沙子Uri千景などのモデルの参加がアナウンスされた<ref name="senken061006" />。なお来場者は1500人であった<ref name="senken061014">『繊研新聞』2006年10月14日付</ref>。 [[ファイル:JCB HALL.jpg|thumb|right|200px|JCBホールstyle-arenaには2008年9月23日にJCBホールの外で撮影された写真が掲載されている)]] 2008年9月23日にJCBホールで開催されたINDIVIDUAL FASHION EXPO IVのファッション・ショーには、ALGONQUINSAngelic PrettyMetamorphoseBABY, THE STARS SHINE BRIGHTSEXY DYNAMITE LONDONSixh.HANGRY & ANGRYALICE and the PIRATESartherapieOzz croceEmily Temple cuteBLACK PEACE NOWPEACE NOW、KERA SHOP ARENA(Qutie FrashHIDEROCK DesignLISTEN FLAVORHYPER CORESUPER LOVERS)、KERA SHOP ANGEL(ATELIER BOZPrincess DollVictorian maiden)などが参加した<ref name="individual">INDIVIDUAL FASHION EXPO IV REPORT</ref><ref name="GLB VOL.30p75">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.30』インデックス・コミュニケーションズ、2008年9月21日発行(75頁)</ref>。参加ブランドはゴスロリ系とロック系あわせて約20ブランドである<ref name="apalog18">クールジャパンブログ18</ref>。また、ゲストライブには分島花音Plastic Treejealkbが参加した<ref name="TJ329">テンカイジャパン329</ref><ref>『装苑 2008年10月号』文化出版局、2008年10月1日発行(156頁)</ref>。なおインディヴィジュアル・ファッションとは、人とは違う「独自性」を強く反映させたファッション・スタイルであるが<ref name="fashionjp" />来場者は約3000人近くおり<ref name="apalog18" />、 東京ガールズコレクション神戸コレクションなどの他のファッションイベントと比べ日本人以外の来場者がかなり多くいた<ref name="apalog18" />。

なおインディヴィジュアル・ファッション・エキスポは、マルイワン新宿のプロモーションのほかに、「”ゴスロリファッションを楽しむ場”の提供」も目的としているという<ref name="apalog24" />。

『ゴシック&ロリータバイブル』

『ゴシック&ロリータバイブル』は、2000年にゴシック・アンド・ロリータに特化したムック誌として創刊された<ref name="style" />がこれ以前には、『装苑』が金子系などのロマンチックなファッションの関係や日本発のモードとして、『CUTiE』がストリート・ファッションの中の小さな一派として、それぞれ取り上げたりしていたものの、ゴシック・アンド・ロリータの専門誌は存在しなかった<ref name="sekai60-65">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(60-65頁)</ref>。また、『』

ロリータ系とその他のストリート・ファッション また、『CUTiE』でも1998年以降になるとほとんどとりあげられていない

編集長の鈴木真理子によると2000年春、ゴスロリ服とヴィジュアル系バンドの動きを面白く思い、ヴィジュアル系バンドとそのファンのためのファッション雑誌を作ることを会社に提案したが会社は承認しなかった<ref name="GLBB94-95" />。しかし夏の終わり頃、提案に反対していた上司が繊研新聞の記事を読んで、今ゴシック&ロリータの服だけが売れているということを知り、鈴木に「ゴシック&ロリータバイブル」を作るように求めてきた<ref name="GLBB94-95" />。そこで創刊が決まり、同時に誌名も決まった<ref name="GLBB94-95" />。『KERA』の別冊として創刊された『ゴシック&ロリータバイブル』は<ref name="street56-59" />、ムック誌でありながら4度の重版を重ねた<ref name="style" />。さらに2003年には『ゴシック&ロリータバイブル VOL.10』が<ref>『ゴシック&ロリータバイブル VOL.10』インデックス・マガジンズ、2003年10月26日発行</ref>、『ゴシック&ロリータバイブル VOL.20』が発行された。また、2007年には創刊号が『ゴシック&ロリータバイブル Premium 1st』として復刊された<ref>『ゴシック&ロリータバイブル Premium 1st』インデックス・コミュニケーションズ、2007年5月24日</ref>。

『ゴシック&ロリータバイブル』が創刊されたことから、2000年までの段階でロリータ・ファッションや、ゴシック・ファッション、ゴシック・アンド・ロリータを特集して一冊の本ができるほどブランド数が増加していたとも言われている<ref name="inter161-162" />。

2004年は、ゴスロリ系雑誌創刊ラッシュと言われたが定着と拒否が分かれた<ref name="street 33" />。なお2007年時点で刊行が続いていたのは『ゴシック&ロリータバイブル』と『ゴスロリ』(ブティック社)のみであった<ref name="sekai211">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(211頁)</ref>。また、メタモルフォーゼのデザイナー加藤も「特に2004年は、ロリータファッション(ゴスロリ?)当たり年!!といっていいほど、何冊も新しい雑誌が発行され、まぁ・・お堅い出版社さんからサブカルチャー系まで・・・・・ホント凄いですね。だけど、中をめくってみれば全部一緒。というのが実際のところ。「ゴスロリってこういうものでしょう?」みたいな。出版社さんも頑張ってるんだろうけど・・・・「子供騙し」と、ベテラン?ロリータさん達は苦笑。結果、マニュアル通りの着こなししか出来ない「制服ロリータ」ちゃんが街に溢れ出す結果に。」と指摘している<ref name="kenkai4-1">『ロリータについての見解4-1』metamorphose temps de filleデザイナー加藤訓仁子のブログ</ref>。

なおゴシック・アンド・ロリータ愛好者は、幻想文学や現代アートなどを扱う『夜想』のコアな読者でもある<ref name="genkiti2005b62">『現代用語の基礎知識2005別冊付録』2005年1月1日発行(62-63頁)</ref>。

スナップから見られる変遷

[[ファイル:Harajuku centre.jpg|thumb|right|200px|原宿:GAP前はスナップ撮影が行われることもある]] 2008年2月に発行された『ゴシック&ロリータバイブル ブドワール』では、過去に『KERA』、『KERA マニアックス』、『ゴシック&ロリータバイブル』に掲載されたスナップを再編集した「Gothic&Lolitaファッションの歴史がわかる!! SNAPヒストリー1998年~2008年」という特集が組まれた<ref name="GLBB56-71">『ゴシック&ロリータバイブル ブドワール』インデックス・コミュニケーションズ、2008年2月28日発行(56-71頁)</ref>。それによると各年のゴシック・アンド・ロリータの特徴は次のようにまとめられている。

  • 創世記(1998年~2000年) 『KERA』VOL.3~25、『Gothic&Lolita Bible』VOL.1、『KERAマニアックス』VOL.1
この頃はゴシック・アンド・ロリータブランドが少なかったため、ヴィヴィアン・ウエストウッドやジェーン・マープルなどのブランドに手作りしたヘア・アクセサリーやスカート、ジャケットなどのアイテムを合わせる者が多数いた<ref name="GLBB56-71" />。また、楠本まきの漫画作品『KISS xxxx』の主人公「かめの」に憧れる者も多かった<ref name="GLBB56-71" />。
  • 2001年『Gothic&Lolita Bible』VOL.2~3
街にはピンクの甘いロリータ・ファッションよりも黒や白のゴシック・アンド・ロリータを着た者が多かった<ref name="GLBB56-71" />。
  • 2002年『Gothic&Lolita Bible』VOL.4~7
女性の王子スタイルが見られるようになった<ref name="GLBB56-71" />。
  • 2003年『Gothic&Lolita Bible』VOL.8~11
ゴシック・アンド・ロリータを基調とする様々なファッション・スタイルが発生し、フェティッシュやサイバーと合わさったものもあらわれた<ref name="GLBB56-71" />。
  • 2004年『Gothic&Lolita Bible』VOL.12~15
『下妻物語』が映画化さたことで、アンダーグラウンドなファッションであったロリータやゴシック・アンド・ロリータが世間に知られるようになり、主人公の桃子のスタイルをまねてピンクの甘ロリに日傘が多くみられた<ref name="GLBB56-71" />。
  • 2005年『Gothic&Lolita Bible』VOL.16~19
和ゴス、和ロリなどが流行り、チャイナや和のテイストをミックスしたQutie Frash、和の素材やカッティングdespairなどの人気が上昇した<ref name="GLBB56-71" />。
  • 2006年『Gothic&Lolita Bible』VOL.20~23
ゴシック・アンド・ロリータの頭モノとしてそれまで主流であったヘッドドレスにかわって、リボンカチューシャの着用者が増えた<ref name="GLBB56-71" />。
  • 2007年『Gothic&Lolita Bible』VOL.24~26
前年ごろ一部のギャルから派生した姫ロリがブレイクした<ref name="GLBB56-71" />。

著名な読者モデル

当初、活動は『KERA』本誌のみのであったが『ゴシック&ロリータバイブル VOL.3』で初登場した<ref name="GLBB106-107">『ゴシック&ロリータバイブル ブドワール』インデックス・コミュニケーションズ、2008年2月28日発行(106-107頁)</ref>。
また、青木は前述のように2009年に外務省からポップカルチャー発信使(カワイイ大使)に任命された<ref name="Pink KawaiiTaishi" /><ref name="Gaimusyou" /><ref name="mainichi090227" /><ref name="asahi090227" />。
  • 井上麻里奈<ref name="GLB VOL17p23">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.17』インデックス・マガジンズ、2005年6月20日発行(23頁)</ref>
声優
デビュー作の『コゼットの肖像』は『ゴシック&ロリータバイブル』誌上にも声優オーディションの広告が掲載された<ref name="GLB VOL.10p80">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.10』インデックス・マガジンズ、2003年10月26日発行(80頁)</ref>。
インダストリアルDJ <ref name=" KERAVOL.130p113">『KERA VOL.130』インデックス・コミュニケーションズ、2009年6月16日発行(113頁)</ref>
2001年『ゴシック&ロリータバイブル』の街頭スナップ撮影を受けたことがきっかけで同誌の読者モデルとなる<ref name="GLBB56">『ゴシック&ロリータバイブル ブドワール』インデックス・コミュニケーションズ、2008年2月28日発行(56頁)</ref>。

ゴシック&ロリータ協会

1998年マルイワンの改装に伴いKERA! SHOPがスタートすると『KERA』の出版元バウハウスの編集広告担当者を発起人とし、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTの磯部明徳が会長の「ゴシック&ロリータ協会」が発足された。ゴシック&ロリータ協会はバウハウスの編集広報担当、関西と関東のブランド数社が集まり、ゴシック・アンド・ロリータというカテゴリーと現在のムーブメントの原型を作った<ref name="street56-59">ストリートモード研究会『ストリートモードブック―ネオ★ゴシック・ロリータ』グラフィック社、2007年1月25日発行(56-59頁)</ref>。

会員

2001年8月12日に、ゴシック&ロリータ協会が主催した「GOTHIC LOLITA SECRET TOUR」の広告や、その他の『ゴシック&ロリータバイブル』の広告によると加盟していたのは次の企業と個人である<ref name="GLB VOL.2p112-113">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.2』ヌーベルグー、2001年8月25日発行(112-113頁)</ref><ref name="GLB VOL.3p10-11">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.3』ヌーベルグー、2002年1月10日発行(10-11頁)</ref>。

  • Angelic Pretty<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • ATELIER BOZ<ref name="GLB VOL.2p112-113" />
  • ATELIER-PIERROT<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • BABY, THE STARS SHINE BRIGHT<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • BLACK PEACE NOW<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • Classic Lolita<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • GOLD SEAL<ref name="GLB VOL.2p112-113" />
  • Innocent World<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • Lapin d'or <ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • Like an Edison<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • MAM<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • marionette<ref name="GLB VOL.2p112-113" />
  • MASK<ref name="GLB VOL.2p112-113" />
  • Metamorphose<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • Michiru Produce<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • MIHO MATSUDA <ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • Na+H<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • OIONE SHIBUYA<ref name="GLB VOL.2p112-113" />
  • OIONE SHINJUKU<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • PS COMPANY<ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • PUTUMAYO<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • S・E・X<ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • SUPPURATE SYSTEM<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • Victorian maiden<ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • zazou planet <ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />
  • 三原ミツカズ <ref name="GLB VOL.2p112-113" /><ref name="GLB VOL.3p10-11" />

なお、ゴシック&ロリータ協会は『KERA』の出版元がインデックスコミュニケーションズに変わった際、解散している<ref name="street56-59" />。

オタク文化との関係

ゴシック・アンド・ロリータとオタク文化には似た部分があり、樋口ヒロユキは「両者ともにジェンダー・バランスが極端に偏っている。オタク美少女に「萌える」男性に偏っているが、ゴシック・ロリータは美少年ゴス・バンドを偏愛する少女達に偏っている。オタクは巨大な乳房を好み、ゴシック・ロリータは中性的な美少年を好む。オタクは美少女フィギュアを好み、ゴシック・ロリータはナルシスティック球体関節人形を愛する・・・・・・」と指摘した上で、オタクは性的妄想を隠そうとしない「エロスの文化」で、ゴシック・アンド・ロリータは性の変わりに死を用いる「タナトスの文化」であるとした<ref name="shiso258-267" />。さらに、両者共にジェンダー・パニックを抱えた存在で、ゴシック・アンド・ロリータの一部にも「やおい」のようなオタク文化を愛好するものがいると指摘した<ref name="shiso258-267" />。 [[ファイル:Maid character.png|thumb|left|200px|オタク文化におけるメイド]] [[ファイル:De Alice's Abenteuer im Wunderland Carroll pic 04.jpg|thumb|right|200px|ジョン・テニエルの描いたアリス。なおテニエルは1893年ヴィクトリア女王からナイト称号を与えられている<ref name=illustration>『イラストレーション 2009年5月号No.177』玄光社、2009年5月1日発行(44-45頁)</ref>。]] この他にもゴシック・アンド・ロリータとオタク文化の関りにメイドの存在があげられる。1997年以降、日本のアニメーションやゲーム世界のキャラクターに必須となったメイドであるが、メイド的な服装のキャラクターは『不思議の国のアリス』におけるジョン・テニエルの挿絵にも見られ、真新しいものではない。そのメイド服が隷属者としてのメイドの枠から離れて日本で流行したのはMALICE MIZERmanaの影響下であったといわれている<ref>小谷真理『テクノゴシック』集英社、2005年8月30日発行(205-208頁)</ref>。manaがアルバム『merveilles』の頃に用いていたステージ衣装はメイド服を髣髴とさせるデザインであったが、このメイドというコンセプトは、ゴシック・アンド・ロリータ愛好家に受け入れられ、多くのゴシック・アンド・ロリータブランドでメイド服の生産が行われた<ref name="shiso258-267" />。さらに、オタク文化でもこのメイドというコンセプトに注目する企業が現れ、コスパが全国初のメイドカフェキュア・メイド・カフェ」を開店する。メイドの例はゴシック・アンド・ロリータ文化から生まれたものをオタク文化で消費したものであるといえる<ref name="shiso258-267" />。

またメイドとは逆にオタク文化で生まれたものをゴシック・アンド・ロリータ文化で消費するボークススーパードルフィーのような例もある<ref name="shiso258-267" />。スーパードルフィーは男性向けのガレージキットを制作してきたボークスが女性向けに制作した球体関節人形で<ref name="sekai165-170">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(165-170頁)</ref>、耽美的な繊細な容姿・世界観でファンを魅了し、コレクタブル・ドールの世界を拡大させた<ref name="otakunokoto179">榎本秋『オタクのことが面白いほどわかる本』中経出版、2009年6月5日発行(179頁)</ref>。ゴシック・アンド・ロリータはスーパードルフィーの衣装としても人気が高く、所有者の中にはスーパードルフィーとお揃いの着こなしをする者もいる<ref name="sekai165-170" />。ゴスロリブランドも人形用の服を販売しており<ref name="inter162-164">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(162-164頁)</ref>、h.NAOTOのようにボークスと協業したブランドもある<ref name="senken060715">『繊研新聞』2006年7月15日付</ref><ref name="senken080126">『繊研新聞』2008年1月26日付</ref>。また、スーパードルフィーの人気は1990年代のヴィジュアル系バンドの隆盛や、ゴシック・アンド・ロリータブームの影響も大きいという指摘もみられる<ref name="otakunokoto179" />。 [[ファイル:Super-dollfie-nono10-juniper.jpg|thumb|left|200px|スーパードルフィー]] しかし、やおいやスーパードルフィーを愛好する者はあくまで一部でしかなく、ゴシック・アンド・ロリータとオタク文化は相反する存在である<ref name="shiso258-267" />。例えば、メイドカフェに見られるようなアキバ系コスプレファッションの本質はゴシック・アンド・ロリータとは全く違う<ref name="hanbai200604p92-93" />。メイドカフェのメイドが一部の人々の享楽のためにあるのに対し、ゴシック・アンド・ロリータは、それを着る少女達を精神的に癒すもの<ref name="hanbai200604p92-93" />で、異性に媚びず、社会に媚びず、ただ自分のためだけに着飾るもの<ref name="TH No.33 65-68" />である。また、このメイドというコンセプトが、ゴシック・アンド・ロリータと同じ頃に発生したにもかかわらずストリート・ファッションとして定着せずオタク文化の中に留まっているのは、ロリータがどこにいても「お嬢様」であるという緩やかな枠で位置づけられているのに対して、メイドは「屋敷内の使用人」という限定された位置づけにあるためとも言われている<ref>松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(185-187頁)</ref>。 [[ファイル:Wikipe-tan GothLoli.png|thumb|right|200px|ゴシック・アンド・ロリータを着るウィキペたん(オタク文化に置けるゴシック・アンド・ロリータの例)オタク文化にはゴスロリカフェも存在する<ref name="asahi080320">『朝日新聞 大阪版朝刊』2008年3月20日付</ref><ref>Gothic&Lolita Cafe Corneilleスタッフブログ</ref><ref name="GLB VOL.25p25">『ゴシック&ロリータバイブル VOL.25』インデックス・コミュニケーションズ、2007年6月21日発行(25頁)</ref>。またゴシック・アンド・ロリータは「お嬢様」キャラクターの服装として着物やお嬢様学校の制服と並んで挙げられる<ref>ライトノベル作法研究所『キャラクター設計教室』秀和システム、2009年8月発行</ref>。]]

MIHO MATSUDAのデザイナーがDevil May Cryの登場キャラクター衣装をデザインした例もあり、コラボレーショングッズの取り扱いも行われた<ref name="shojo-bunka3.159-161">『年報「少女」文化研究: 「少女」文化の友第3号』東園子「ゴス&ロリツアーレポート」「少女」文化研究会、2008年12月31日発行(159-161頁)</ref>。MIHO MATSUDAのほかにもh.NAOTOがオタク文化と関わりのある取り組みを行っている。

オタク文化とh.NAOTO

前述のように、h.NAOTOはボークスと協業しているが<ref name="senken060715" /><ref name="senken080126" />、h.NAOTOのデザイナー廣岡直人は、ゴシック・アンド・ロリータに次ぐ柱<ref name="senken050726" />として登場した「ヘブン」でコスプレ、アニメ、ゲームなどを題材としたラインを発表している<ref name="senken060715" />。ヘブンは声優の高橋直純水樹奈々が着用したことで顧客を一気に獲得し、。東京原宿にオープンした路面店では開店初日に500人のファンが列をつくり、約600万円を売り上げた<ref name="senken050726">『繊研新聞』2005年7月26日付</ref>。また、人気声優とのタイアップも企画し<ref name="senken050726" />、高橋直純とのコラボレーションショーも行われた<ref name="senken060101" />。 また2005年8月4日付けの繊研新聞に掲載された、あるレディスアパレルメーカーについての記事には、東京原宿で開いた路面店に全国からアキバ系が集まり初日だけで約800万円を売り切ったとも書かれている<ref name="senken050804">『繊研新聞』2005年8月4日付</ref>。

またh.NAOTOは、東京ビッグサイトで2006年8月11日から3日間の日程で開催されたコミック・マーケットに「ハングリー&アングリー」を出展した<ref name="senken060728">『繊研新聞』2005年7月28日付</ref><ref name="senken060816">『繊研新聞』2005年8月16日付</ref>。なお、、コミック・マーケットへの出展は商標権と製造・販売ライセンスを玩具メーカーのサンリオに供与することが決まっていた「ハングリー&アングリー」の全国展開を前に、知名度を上げることが目的であった<ref name="senken060728" /><ref name="senken060816" />。また12日、13日には声優の酒井香奈子も来店した<ref name="senken060816" />。酒井はマルイヤング新宿店のイベントスペースに開店した期間限定ショップにもキャラクターグッズに身を包んで登場した<ref name="senken0612">『繊研新聞』2006年12月9日付</ref>。2007年の段階でコミックマーケットへの出展は3回行われている<ref name="senken070823">『繊研新聞』2007年8月23日付</ref>。

コスチュームとしてのゴシック・アンド・ロリータ

[[File:Kazumi.JPG|thumb|right|200px|『ちょびっツ』の「ちぃ」のコスプレ]] 漫画やアニメの登場人物の服装に特定のファッションが見られれば、その漫画やアニメのファンがそのファッションのファンになることもあり、逆に、そのファッションのファンがその漫画やアニメのファンになることもある<ref name="shojo-bunka3.127-144" />。さらに、そうした漫画やアニメの作者や原作者がそのファッションのファンであるということもある<ref name="shojo-bunka3.127-144" />。 そうした状況の中、ゴシック・アンド・ロリータの流行によって、アニメや漫画にもゴシック・アンド・ロリータ的な装いのキャラクターが登場するようになると、現実離れしたゴシック・アンド・ロリータ服は漫画の登場人物になってみたい、登場人物のような服装をしたいというコスプレイヤーにも受け入れられるようになった<ref name="joseigaku109">『女性学年報 第25号・2004年』水野麗「「女の子らしさ」と「かわいい」の逸脱 -「ゴシック・ロリィタ」におけるジェンダー-」日本女性学研究会「女性学年報」編集委員会、2004年11月30日発行(109頁)</ref><ref name="shojo-bunka3.127-144" />。さらに、コスプレが禁止されている会場においても、あくまでファッションであるという理由でゴシック、ロリータ、ゴシック・アンド・ロリータだけは許可されている場合もある<ref name="shojo-bunka3.127-144" />。しかし、ゴシック・アンド・ロリータ愛好者の中にはコスプレとしてゴシック・アンド・ロリータを着ることに対して激しい嫌悪感を示すものもいる<ref name="inter161-162" />。 なお、コスプレ雑誌『電撃レイヤーズ』は「コスロリ」という言葉を提唱している<ref name="inter161-162" />。コスロリとは「コスプレゴスロリ」や「コスプレロリータ」を意味する語であるが、愛好者のなかにはこれらコスロリを蔑視、敵視するものもいる<ref name="shojo-bunka3.127-144" />。しかし、それらコスロリも、ゴシック・アンド・ロリータを着用しない人々から見れば、定期的に着用するライトユーザーと見ることもできる、という指摘もある<ref name="shojo-bunka3.127-144" />。また、同人誌即売会に小物類や衣装を出展することもあり<ref name="shojo-bunka3.127-144" />、前述のh.NAOTOのようにアパレルメーカーが同人誌即売会に出店するケースもある<ref name="senken060728" /><ref name="senken060816" />。そのためどれだけ嫌悪しても、ファン層の何割かは、漫画やアニメと密接に関係した部分の影響を受けており共存している、との指摘もある<ref name="shojo-bunka3.127-144" />。またヨーロッパにおけるゴシック・アンド・ロリータの定着に『NANA』や『DEATH NOTE』が与えた影響は大きいとも言われており<ref name="kakumei26-28">櫻井孝昌『世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか』PHP新書、2009年11月30日発行(26-28頁)</ref>、『DEATH NOTE』の弥海砂や『NANA』のような格好がしたいという部分がきっかけになっているのは間違いないという指摘もある<ref name="kakumei170-173">櫻井孝昌『世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか』PHP新書、2009年11月30日発行(170-173頁)</ref>。

性的なモチーフとしてのゴシック・アンド・ロリータ

ゴシック・アンド・ロリータ着用者は好奇の視線にさらされており、中にはストーカー被害や痴漢被害にあうものもいる<ref name="siebold" />。ゴシック・アンド・ロリータを主題としたアダルトビデオも『Goth Loli倶楽部』(2004年)<ref>『Goth Loli倶楽部』桃太郎映像出版、2004年6月4日</ref>、『Gothic Lolita』(2004年)<ref>『Gothic Lolita』ドリームチケット、2004年9月3日</ref>、『ゴスロリコレクション 柚木ティナ』(2006年)<ref>『ゴスロリコレクション 柚木ティナ』マックス・エー、2006年12月22日</ref>、『ゴシック&ロリータ服で犯される美少女たち』(2008年)<ref>『ゴシック&ロリータ服で犯される美少女たち』ガルーダワークス、2008年3月22日</ref>、『JKゴスロリCAFE』(2008年)<ref>『JKゴスロリCAFE』ワンズファクトリー、2008年4月1日</ref>など複数存在する。

性的なモチーフとしてのゴシック・アンド・ロリータについては、映像作品だけでなく、2006年1月にはキルタイムコミュニケーションから「本邦初のゴスロリ美少女オンリーの成人向けアンソロジーコミック」を謳った『ゴスロリマニアックス』が出版されている<ref>キルタイムコミュニケーション公式サイト</ref>。また漫画だけでなく2004年には、 19世紀末イギリスを舞台とした<ref name="kurobara">黒薔薇は夜に咲く</ref>ゴスロリ・コスプレ陵辱ADV黒薔薇は夜に咲く』がd-angelから発売されている<ref name="d-angel.syouhin">d-angel商品情報</ref>。なお『黒薔薇は夜に咲く』公式サイトでは「ゴスロリファッションを楽しむために、たとえHシーンでも全裸はなし。常に衣装を纏ってのHのみ!!」をこだわりとして謳っている<ref name="kurobara" />。また2007年にミルフィーユから発売されたゴスロリ悪魔っ娘陵辱ADV『魔が堕ちる夜 デーモニックプリンセス』でも「コスチュームを全て脱がしきらない「半脱がし」状態でのHシーン」へのこだわりを謳っている<ref name="maga">魔が堕ちる夜 デーモニックプリンセス</ref>。

なお、『黒薔薇は夜に咲く』のほかにも、『May Queen』(2005年)の小鳥<ref>May Queen</ref>、『魔が堕ちる夜 デーモニックプリンセス』(2007年)のシェリスエルネス・ザーバッハ<ref name="maga.story">魔が堕ちる夜 デーモニックプリンセス ストーリー紹介</ref>、『ノンストップ痴漢特急~私のオッパイさわらないで~』(2008年)の岩佐陣子<ref name="nonstop">ノンストップ痴漢特急~私のオッパイさわらないで~</ref>、『むすめーかー』(2008年)のざくろ<ref name="musume">むすめーかー</ref>、『Stellar☆Theater』(2009年)の藤崎天音<ref name="stellar-char03">Stellar☆Theater</ref>など、ゴシック・アンド・ロリータをテーマとしたキャラクターが複数のアダルトゲームに登場している。

また、ゴシック・アンド・ロリータを着た少女が好きであると公言する大槻ケンヂも著作『大槻ケンヂ短編集 ゴスロリ幻想劇場』の「ゴスロリ専門風俗店の『七曲町子』」という掌編にてゴシック・アンド・ロリータ専門の風俗店を扱っている<ref name="genso">大槻ケンヂ『大槻ケンヂ短編集 ゴスロリ幻想劇場』インデックス・コミュニケーションズ、12月16日</ref><ref name="BR">大槻ケンヂ『ビヨンド・ザ・ロック 第十三回』2005年12月16日</ref>。しかし、この掌編に対しては少女読者から「ゴスロリを汚すな」という抗議が殺到したという<ref name="BR" />。また、大槻は「ゴスロリ服ってボタンいっぱいあってあの脱がせにくさが男の劣情をそそると思うんだけどなあ。」とも述べている<ref name="BR" />ほか、「バージニティっていう部分、純潔というか理想を守るというか…でもそれが、尼僧を見てむらむらするみたいな現象でね、その禁欲的な部分に男の人はどきどきするんでね、そこをかたくなに拒絶せずに、自分たちが以外にエロい服を着ているんだという自覚を持つと、さらに魅力的になるじゃないかと、えーゴスロリに関して男目線で見ている者としては主張したいですね。」と男性の目線から述べている<ref name="street113-117" />。なお、現実にも「ゴスロリ・メイド専門」をう謳ったデリバリーヘルス <ref name="yukikaku">ゴスロリ・メイド専門デリヘル 川崎 遊姫閣</ref>やゴスロリキャバクラ<ref>livedoor ニュース メイド喫茶の次はこれ! ゴスロリキャバクラ</ref>や、ATELIER BOZのように修道女風の商品を製作しているブランドは存在する<ref>ATELIER BOZ公式サイト</ref> <ref>[1][2][3]ATELIER BOZ NAGOYAブログ</ref>。

ちなみに「ゴスロリ専門風俗店の『七曲町子』」は、同じく大槻の著作である『ロッキン・ホース・バレリーナ』の前日談で、七曲町子はそのヒロインであるが<ref name="BR" />、大槻は七曲町子を「マイフェイバリットキャラクター」として挙げている<ref>筋肉少女帯オフィシャルブログ「筋少の大ブログ」</ref>。また『ロッキン・ホース・バレリーナ』は、ヴィジュアル系バンドのボーカル・デュワー君に食われるために博多に向かうゴスロリ少女七曲町子と、全国ツアーを行うパンクバンド「野原」を描いた物語である<ref name="rocking horse">大槻ケンヂ『ロッキン・ホース・バレリーナ』メディアファクトリー、2004年7月6日発行</ref>が、七曲町子のようなバンドファンがフィクション作品で描かれる一方で、現実には「食われたくないから」ライブにゴシック・アンド・ロリータで行くという者もいる<ref name="kino">京都精華大学情報館文化情報課編『木野評論Vol.34”有名する”ひとびと-21世紀のメディアと表現』吉光正絵「ゴスロリ-ロック・カルトの現在形」京都精華大学情報館、2003年3月15日発行(56-61頁)</ref>。

なお、ゴスロリ系の女子は性体験率が高いという調査結果も存在する<ref name="youkai72">三浦展、スタンダード通信社『日本溶解論-この国の若者たち』プレジデント社、2008年3月17日発行(72頁)</ref>ほか、ゴシック・アンド・ロリータを愛好する星月まゆらのようなAV女優も存在する<ref>『宝島 no.670 2008 MAY』宝島社、2008年4月25日発行(90-93頁)</ref>。

オタク文化との格差

また日本では、オタク市場が認知度、市場規模で優位に立っており、ゴシック・アンド・ロリータが吸収されかねない状態にある。樋口ヒロユキは、このようなオタク文化とゴシック・アンド・ロリータ文化の規模の差について、男性の文化と女性の文化という違いによる、ジェンダー・バイアスの影響を認めつつも、私見として、ゴシック・アンド・ロリータが社会への主張・説明の機会を逸してきた点を指摘した。その例として、オタクとの関連を指摘された東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の際にはオタク文化人が積極的に寄せたが、ゴシック・アンド・ロリータとの関連を指摘された前述河内長野市家族殺傷事件の際にはゴシック・アンド・ロリータ文化人がコメントを拒否したことをあげている。また日本国外でもゴシック・カルチャーが盛んなアメリカ合衆国でゴシック・カルチャーとの関連を指摘されたコロンバイン高校銃乱射事件の際に、マリリン・マンソンが主張を行った例がある<ref name="shiso258-267" />。

しかし、ゴシック・アンド・ロリータのマーケットはヴィジュアル系バンドから、パンクロックコスプレアニメ声優などの切り口を巻き込み、より大きなマーケットを形成しつつあるという指摘も見られる<ref name="senken060101" />。

ゴシック・アンド・ロリータ関連年表

  • 18世紀ルイ15世のフランス宮廷からロココ文化が始まる<ref name="kawaii106-111" />
  • 1764年、『オトラント城奇譚』発表<ref name="romance27-28">吉村純司『ゴシック・ロマンスの世界』文化書房博文社、1996年12月10日発行(27-28頁)</ref>
  • 1795年、『マンク』発表<ref name="romance9-25">吉村純司『ゴシック・ロマンスの世界』文化書房博文社、1996年12月10日発行(9-25頁)</ref>
  • 1818年、『フランケンシュタイン』発表<ref name="jinzo310-314">立仙順朗、新島進、宝野アリカ、巽孝之、荻野アンナ、高原英理、識名章喜、小谷真理、茅野裕城子、スーザン・J・ネイピア『人造美女は可能か?』慶應義塾大学出版会、2006年9月11日発行(310-314頁)</ref>
  • 1837年ヴィクトリア朝時代の始まり<ref name="GLB VOL.2p80-81" />
  • 1865年、『不思議の国のアリス』発表<ref name="Alice3-6">坂井妙子『アリスの服が着たい ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生』勁草書房、2007年7月25日(3-6頁)</ref><ref name="jinzo310-314" />
  • 1886年、『小公子』出版<ref name="Alice3-6">坂井妙子『アリスの服が着たい ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生』勁草書房、2007年7月25日(3-6頁)</ref>
  • 1897年、『吸血鬼ドラキュラ』発表<ref name="TH No.33 126">『トーキングヘッズ叢書 No.33』アトリエサード、2008年2月8日発行(126頁)</ref>
  • 1901年、ヴィクトリア朝時代の終わり<ref name="GLB VOL.2p80-81" />
  • 1922年、『吸血鬼ノスフェラトゥ』発表<ref name="daizen">『映画大全集 増補改訂版』メタモル出版、2003年1月1日発行(236頁)</ref><ref name="gaikokueiga168">『外国映画原作事典』日外アソシエーツ、2008年8月25日(168頁)</ref>
  • 1931年、『フランケンシュタイン』映画化<ref name="gaikokueiga550">『外国映画原作事典』日外アソシエーツ、2008年8月25日(550頁)</ref>
  • 1955年、『ロリータ』発表<ref name="jinzo310-314" />
  • 1970年MILK誕生<ref name="sekai209-210" />
  • 1971年ピンクハウス誕生<ref name="street 32" />
  • 1971年、ヴィヴィアン・ウエストウッド活動開始<ref name="sekai209-210">松浦桃『セカイと私とロリータファッション』青弓社、2007年8月22日発行(209-210頁)</ref>
  • 1979年Angelic Prettyの前身、セレクトショップPrettyがラフォーレ原宿にオープン<ref name="ensemble1p67-79">『ゴシック&ロリータアンサンブル Vol.1』インフォレスト、2010年4月5日発行(67-79頁)</ref>
  • 1983年ナゴムレコード創立<ref name="sekai209-210" /><ref name="rococo VOL.1 90-93" />
  • 1984年トランスレコード創立<ref name="sekai209-210" /><ref name="rococo VOL.1 90-93" />
  • 1988年BABY, THE STARS SHINE BRIGHTの前身となる婦人服製造会社設立<ref name="ensemble1p67-79" />
  • 1989年Xメジャーデビュー<ref name="inter158-159">『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行(158-159頁)</ref>
  • 1989年、Kazuko Ogawa誕生<ref name="street 32" />
  • 1980年代、ナゴムギャル、トランスギャル出現<ref name="sekai44-60" /><ref name="GLB VOL.24p41-46" />
  • 1990年頃、VISIBLEが黒いアイテムを作る<ref name="sekai44-60" />
  • 1992年MALICE MIZER結成<ref name="street 33" />
  • 1992年、BABY, THE STARS SHINE BRIGHT設立<ref name="deco">『Alice DECO a la mode Summer 2009』インフォレスト、2009年8月10日発行(48-49頁)</ref>
  • 1998年3月、『KEROUAC』(後の『KERA』)誕生<ref name="KERAVOL.127">『KERA VOL.127』インデックス・コミュニケーションズ、2009年3月16日発行(118頁)</ref>
  • 1998年5月、『KEROUAC』の原宿スナップ隊が「ゴシック&ロリータ」、「ゴスロリ」と呼ばれるファッションを確認する<ref name="GLBB94-95" />
  • 1998年9月、『KEROUAC』で「ゴスロリ」という語が登場する<ref name="GLBB94-95" />
  • 1998年、ゴシック&ロリータ協会発足<ref name="street56-59" />
  • 1998年、MALICE MIZERメジャーデビュー<ref name="inter158-159" /><ref name="street 33" />、merveilles発表
  • 1999年Moi-même-moitiéが誕生<ref name="inter161-162" /><ref name="street 33" />
  • 1999年、『KEROUAC創刊<ref name="sekai209-210" /><ref name="KERAVOL.127" />
  • 1999年、スーパードルフィー発売<ref name="sekai209-210" />
  • 1990年代、ゴシック・アンド・ロリータが認知され始める<ref name="jinzo310-314" />
  • 2000年、ゴシック・アンド・ロリータが徐々に浸透する<ref name="street 33" />
  • 2001年、ゴシック・アンド・ロリータやパンク系トレンドが浮上<ref name="senken021029">『繊研新聞』2002年10月29日付</ref>
  • 2001年、『ゴシック&ロリータバイブル』が創刊<ref name="inter154-156" />
  • 2002年、『下妻物語』発表<ref name="jinzo310-314" />
  • 2003年河内長野市家族殺傷事件が発生<ref name="shiso14-26" />
  • 2004年、『下妻物語』映画化<ref name="jinzo310-314" /><ref name="rococo VOL.1 90-93" />
  • 2004年、ゴスロリ系雑誌創刊ラッシュ<ref name="street 33" />
  • 2004年1月、『ゴスロリ』発行<ref>『ゴスロリ』ブティック社、2004年1月発行</ref>
  • 2004年5月、『FRiLL』発行<ref>『FRiLL』主婦と生活社、2004年5月発行</ref>
  • 2004年9月、『メゾン~ゴシック&ロリータSTYLEBOOK』発行<ref>『メゾン~ゴシック&ロリータSTYLEBOOK』学習研究社、2004年9月11日発行</ref>
  • 2004年10月、『ゴスロリ&パンクスタイル ROCOCO』発行<ref name="rococo VOL.1">『ゴスロリ&パンクスタイル ROCOCO VOL.1』辰巳出版、2004年10月25日発行</ref>
  • 2005年、モードでゴシック・アンド・ロリータが取り上げられる<ref name="senken050318" />
  • 2005年10月、インディビジュアル・ファッション・エキスポが開かれる<ref name="senken061006" />
  • 2006年12月1日、フランスパリ初のゴスロリ専門洋服店「ハラジュク」がオープンする<ref>EURO JAPAN COMIC</ref>
  • 2007年JAPAN EXPOにてラフォーレ原宿がファッション・ショーを行う<ref name="KERAVOL.122" /><ref name="senken070711" />
  • 2007年、h.NAOTOが08年春夏東京コレクションに参加する<ref name="asahi070220" /><ref name="senken070711" />
  • 2007年6月、フランス初のゴスロリブランドKAWAIKOがパリ市内に店舗をオープンする<ref>EURO JAPAN COMIC</ref>。
  • 2008年横浜美術館で「ゴス展」が開かれる<ref name="asahi080711">『朝日新聞 東京版夕刊』2008年7月11日付</ref>
  • 2008年、JAPAN EXPOにてラフォーレ原宿が2回目のファッション・ショーを行う<ref name="senken080715" />。
  • 2009年2月、青木美沙子がポップカルチャー発信使(カワイイ大使)に任命される<ref name="Pink KawaiiTaishi" /><ref name="Gaimusyou" /><ref name="mainichi090227" /><ref name="asahi090227" />
  • 2009年7月、Japan Pop Culture Festival<ref name="jpf.JPCF" /><ref name="apalog88" />、JAPAN EXPOにカワイイ大使が参加する
  • 2010年4月、『ゴシック&ロリータアンサンブル Vol.1』発行<ref>『ゴシック&ロリータアンサンブル Vol.1』インフォレスト、2010年4月5日発行</ref>

関連項目

関連人物

アーティスト

作家・漫画家

関連作品

出典

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参考文献一覧

論文

  • 『県立長崎シーボルト大学 国際情報学部紀要』吉光正絵「サブカルチャーと共同体」県立長崎シーボルト大学、2002年12月20日
  • 京都精華大学情報館文化情報課編『木野評論Vol.34”有名する”ひとびと-21世紀のメディアと表現』吉光正絵「ゴスロリ-ロック・カルトの現在形」京都精華大学情報館、2003年3月15日発行
  • 『女性学年報 第25号・2004年』水野麗「「女の子らしさ」と「かわいい」の逸脱 -「ゴシック・ロリィタ」におけるジェンダー-」日本女性学研究会「女性学年報」編集委員会、2004年11月30日発行
  • 『仁愛大学研究紀要 第3号 2004年』西村則昭「「ゴシック」な世界観と「乙女」のアイデンティティ -あるストリート・ファッションをめぐる魂の現象学の試み-」
  • 現代のエスプリ 454 臨床の語用論①』小野原教子「希いの森 - ゴスロリファッションに見る現代日本女性の下着観」至文堂、2005年5月1日発行、(ISBN 9784784354542
  • 氏原寛康智善編集『現代社会と臨床心理学』西村則昭「心なき世界」金剛出版、2006年3月発行、(ISBN 9784772409018
  • 『イメージとしての「日本」05:海外における日本のポピュラーカルチャー受容と日本研究の現在』水野麗「「ゴシック・ロリィタ」コミュニティにおけるセルフアイデンティティ」大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、2007年1月31日発行
  • 紀平英作 編『グローバル化時代の人文学―対話と寛容の知を求めて〈上〉連鎖する地域と文化』若島正「第十七章 翻訳という越境―『ロリータ』をめぐって―」京都大学学術出版会、2007年3月15日発行
  • 『年報「少女」文化研究: 「少女」文化の友第3号』「少女」文化研究会、2008年12月31日発行
  • まえがわまさな「日本におけるゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータ文化概説―付 日本におけるゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータ関係文献目録―」
  • 水野麗「少女の異常な愛情 -または私は如何にして心配するのを止めてデコ電を愛するようになったかー」
  • 東園子「大阪ゴス&ロリツアーレポート」

一般書

  • 東園子「「宝塚」というメディアの構造――タカラジェンヌの四層構造と物語消費」
  • 水野麗「宝塚・コスプレ・ゴスロリ――「夢の世界」との距離」

雑誌

  • 『AERA 2004年7月12日号』朝日新聞社、2004年7月12日発行
  • 『AERA 2009年12月14日号』朝日新聞社、2009年12月14日発行
  • KERA』インデックス・コミュニケーションズ
  • 『KERA VOL.120』インデックス・コミュニケーションズ、2008年7月16日発行
  • 『KERA VOL.122』インデックス・コミュニケーションズ、2008年9月16日発行
  • 『KERA VOL.127』インデックス・コミュニケーションズ、2009年3月16日発行(雑誌 13405-03)
  • 『KERA VOL.130』インデックス・コミュニケーションズ、2009年6月16日発行(雑誌 13405-06)
  • 『KERA VOL.134』インデックス・コミュニケーションズ、2009年10月16日発行(雑誌 13405-10)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル 創刊号』バウハウス、2001年1月発行(ISBN 9784894614178)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.2』バウハウス、2001年8月25日発行(ISBN 9784860480011)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.3』ヌーベルグー、2002年1月10日発行(ISBN 978-4860480165)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.6』インデックス・マガジンズ、2002年11月15日発行(ISBN 9784860480561)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.9』インデックス・マガジンズ、200年月日発行
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.10』インデックス・マガジンズ、2003年10月26日発行(ISBN 9784860480967)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.11』インデックス・マガジンズ、2004年1月16日発行(ISBN 978-4860481100)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.14』インデックス・マガジンズ、2004年9月20日発行(ISBN 978-4860481469)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.17』インデックス・マガジンズ、2005年6月20日発行(ISBN 978-4860481836)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.18』インデックス・マガジンズ、2005年9月21日発行(ISBN 978-4860481933)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.19』インデックス・マガジンズ、2005年12月21日発行(ISBN 978-4757333099)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.22』インデックス・コミュニケーションズ、2006年9月21日発行(ISBN 978-4757333420)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.25』インデックス・コミュニケーションズ、2007年6月21日発行(ISBN 978-4757333741)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.26』インデックス・コミュニケーションズ、2007年6月21日発(ISBN 978-4757333833)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル VOL.34』インデックス・コミュニケーションズ、2009年9月20日発行(ISBN 978-4757334489)
  • 『ゴシック&ロリータ ヘア&メイク バイブル』インデックス・マガジンズ、2004年9月27日発行
  • 『ゴシック&ロリータバイブル エクストラ2』インデックス・コミュニケーションズ、2006年7月22日発行(ISBN 9784757333369)
  • 『ゴシック&ロリータバイブル ブドワール』インデックス・コミュニケーションズ、2008年2月28日発行(ISBN 9784757334021)
  • 『週刊アスキー』アスキー・メディアワークス
  • 『週刊アスキー 2009.6.30』アスキー・メディアワークス、2009年6月30日発行
  • 『装苑 2005年2月号』文化出版局、2005年2月21日発行
  • 『装苑 2008年6月号』文化出版局、2008年6月1日発行
  • 『装苑 2008年10月号』文化出版局、2008年10月1日発行
  • 『装苑 2009年10月号』文化出版局、2009年10月1日発行
  • 『ファッション販売2002年11月号』商業界、2002年11月1日発行
  • 『ファッション販売 2006年4月号』商業界、2006年2月27日発行
  • 『ファッション販売2010年1月特大号』商業界、2010年1月1日発行
  • 『yaso夜想 特集+ゴスGOTH』ステュディオ・パラボリカ、2003年9月1日発行(ISBN 9784990086848)
  • 『yaso夜想 特集+ヴィクトリアン victorian』ステュディオ・パラボリカ、2008年10月11日発行(ISBN 978-4902916119)

新聞

  • 『繊研新聞』2002年10月10日付
  • 『繊研新聞』2002年10月29日付
  • 『繊研新聞』2003年6月6日付
  • 『繊研新聞』2004年6月30日付
  • 『繊研新聞』2005年2月23日付
  • 『繊研新聞』2005年3月9日付
  • 『繊研新聞』2005年3月18日付
  • 『繊研新聞』2005年4月7日付
  • 『繊研新聞』2005年5月21日付
  • 『繊研新聞』2005年7月16日付
  • 『繊研新聞』2005年7月26日付
  • 『繊研新聞』2005年7月28日付
  • 『繊研新聞』2005年8月4日付
  • 『繊研新聞』2005年8月16日付
  • 『繊研新聞』2005年9月26日付
  • 『繊研新聞』2006年1月1日付
  • 『繊研新聞』2006年7月15日付
  • 『繊研新聞』2006年7月19日付
  • 『繊研新聞』2006年8月8日付
  • 『繊研新聞』2006年9月26日付
  • 『繊研新聞』2006年10月14日付
  • 『繊研新聞』2006年10月6日付
  • 『繊研新聞』2006年10月14日付
  • 『繊研新聞』2006年12月9日付
  • 『繊研新聞』2007年7月11日付
  • 『繊研新聞』2007年7月23日付
  • 『繊研新聞』2007年8月23日付
  • 『繊研新聞』2008年1月26日付
  • 『繊研新聞』2008年3月28日付
  • 『繊研新聞』2008年7月8日付
  • 『繊研新聞』2008年7月15日付
  • 『繊研新聞』2008年11月26日付
  • 『繊研新聞』2009年1月1日付
  • 『繊研新聞』2009年3月16日付
  • 『産経新聞 首都圏版』2008年9月9日付
  • 『朝日新聞 東京版朝刊』2006年3月237日付
  • 『朝日新聞 東京版朝刊』2006年4月8日付
  • 『朝日新聞 東京版夕刊』2007年2月20日付
  • 『朝日新聞 東京版夕刊』2007年9月7日付
  • 『朝日新聞 東京版夕刊』2008年7月11日付
  • 『朝日新聞 東京版朝刊』2008年7月17日付
  • 『朝日新聞 大阪版朝刊』2008年3月20日付
  • 『朝日新聞』2009年2月27日付
  • 『毎日新聞』2009年2月27日付
  • 『読売新聞 東京版夕刊』2004年1月30日付
  • 『読売新聞』2009年2月27日付
  • 『北海道新聞』2002年7月4日付

小説・漫画

  • 大槻ケンヂ『ロッキン・ホース・バレリーナ』メディアファクトリー、2004年7月6日発行

辞典・辞書・用語集

  • 『現代用語の基礎知識』
  • 『現代用語の基礎知識2005別冊付録』2005年1月1日発行
  • 『現代用語の基礎知識2010』2010年1月1日発行

webサイト

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外部リンク

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