コンピュータグラフィックス

出典: Wikipedio


Template:Redirect コンピュータグラフィックス (Computer Graphics、CG) はコンピュータを用いて画像を作成すること、およびその画像である。たびたび「コンピュータグラフィック (Computer Graphic)」または「グラフィック」も使われるが、これらは和製英語である。

目次

歴史・概要

CGは主に3D CG(3次元コンピュータグラフィックス2D CG(2次元コンピュータグラフィックスに大別される。しかしながら2D、3Dの区分は方法論としての区分(作成のプロセスによる区別)で、作品としてのCGは2D、3Dのどちらかで創られたと単純に大別はできず、3Dの手法で創られた画像を2Dの手法で加工したり、2Dで描いた絵の上に3Dで作った画像を合成するといったことは頻繁に行われている。

CGはノイズのない鮮やかな色彩、修整や編集の容易さなどを提供する。3Dにおいてはコンピュータシミュレーションによるリアルな映像、滑らかなアニメーション、実際に撮影セットを作らなくてもよいことによる非現実的な映像が可能であることなどを特徴とする。1995年、映画トイ・ストーリー」はフル3DCGで作成された初の劇場用長編と銘打って公開されたが、現在では映画に限らずテレビコマーシャル映像やイラストレーション漫画などあらゆる画像・映像制作に使われる一般的な方法として定着した。実写による映像もコンピュータによって調整が行われることも珍しくない。このように多くの長所をもつが、安易に用いると制作者の持ち味が失われてしまう危険性も同時にはらんでいる。

英語圏においてはCGと言えばコンピュータによってレンダリングされたグラフィックス、多くはいわゆる3DCGを指す。 2DのCGイラストは3Dと同様に(コンピュータ)ドローイングなどと呼ばれるため、日本ではCGイラスト(CGイラストレーション)などといった造語が慣用的に用いられ定着しているが、英語圏においてCGイラストを指して「CG」「コンピュータグラフィックス」などと言うと訝しがられることもあり注意が必要である。

3Dコンピュータグラフィックスの長所はフォトリアリスティックな表現や視点の変更が可能なこと、モデルを一度組めばアニメーションさせやすいことなどが一般的である。3次元グラフィックスの制作プロセスは、形状データを定義・作成するモデリングと、形状データから最終的な画像を出力するレンダリングに大別され、レンダリング技術にはスキャンライン、レイ・トレーシングラジオシティなどがある。

またCGはフォトリアリスティックノンフォトリアリスティックに分かれる。前者は限りなく精密で写真と見紛うようなリアルなものを追求し、後者は逆に鉛筆や絵具で描いたような画像を作る。ノンフォトリアリスティックな画像生成は1998年頃からSIGGRAPH(シーグラフ)で流行りだした。一方、従来から研究されているフォトリアリスティックな画像生成では、近年は実写と上手に合成するイメージベースドレンダリング、レイトレーシング法を改良したフォトンマッピングなどがさらに研究が進められている。 立体的な表現であっても、2次元グラフィックスの編集ソフト(Corel PainterAdobe Photoshop等)で制作した画像は2次元グラフィックスとされるが、3DCGとして制作し出力された画像を上記ソフトウェア等で編集することもよく行われる。

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CGの種類

2DCG

2DCGは一言で言うと「コンピュータを使って描く絵」(コンピュータドローイング)で、コンピュータの内部表現としては、フリーハンド描画や写真修整に適した画素ベースのラスタ形式と、ロゴデザインや設計・製図などに適したベクタ形式に分かれる。アプリケーションの上では前者を「ペイント系」、後者を「ドロー系」と呼んでいるが、実際にはアプリケーションの中で二つの表現形式が混在しているケースが多い。さらにペイント系アプリケーションは、伝統的な筆や画材をコンピューター上で再現したように手で描くペイントグラフィックと、従来暗室などで行っていたような写真の修整や合成を主とするフォトレタッチの二つに大別される。2DCGで扱われる技術は、イラストレーターや漫画家の効率化と表現の拡大に貢献している。

詳細は2次元コンピュータグラフィックスの記事を参照。

3DCG

3DCGはコンピュータに物体の形状、カメラの向きと画角と位置、光源の強度と位置などの情報を入力して、コンピュータ自身にプログラムで画像を計算・生成させる手法を言う。人間が手で描く必要がなく、カメラの位置を少しずつ変えたり、物体の位置を変えたりするだけで、いったん作った情報から異なる画像を大量に作り出すことが出来るため動画制作に向いており、近年の映画のリアリティ向上に多大な貢献をしている。またゲームなどでは主人公に360度の視界を持たせることができるなど利点が多いため多用されている。3DCGの最終的な出力先であるディスプレイやスクリーンなどは二次元 (2D) だが、3DCGは作成時に持っている情報が三次元 (3D) である。

詳細は3次元コンピュータグラフィックスの記事を参照。

CAD

CADはコンピュータを用いて設計をすること。あるいはコンピュータによる設計支援ツールおよびそれらを統合したシステムのこと。建築物や工業デザインなどの分野でそれぞれに専門化したソフトウェアが使用される。二次元CADと三次元CADに大別されるが、設計図を作成する目的に特化しているので、設計の技術や知識を持っていることが使用の前提となる。レンダリング等のいわゆる3DCGとしての出力には別のソフトの支援を要する場合が多い。

ムービー

ムービーとは動画のことである。Adobe社のプレミア、Corel社のビデオスタジオなどの動画を扱う専用ソフトで編集する。特殊効果には同じAdobe社のアフターエフェクトなどがよく使用される。

映画とCG

本格的にコンピュータ・グラフィックスが映画に採用されたのは1982年の「TRON」からだと言われている<ref name="filmsite">Visual and Special Effects Film Milestones</ref>が、日本でも1980年代始めに大阪大学工学部大村皓一助教授(当時)の研究する並列処理コンピュータLINKS-1を使ったメタボールによるモデリングを利用した「ゴルゴ13」などで比較的古くから活用されていた。「オレたちひょうきん族」のオープニングやアニメ・「タイムボカン」のタイムスリップのシーン<ref>『タイムボカン』では「スキャニメイト」という技術で作られたアナログCGが用いられた。</ref>なども有名である。1985年につくばで開催された科学万博では各パビリオンで多くのCGが使用され、世界初の全天周立体映画"ザ・ユニバース"が上映された。1990年に大阪で開催された花の万博では液晶シャッター式のカラーの全天周立体映画"ザ・ユニバース2"が上映され、幕張では2000年代初頭には"エンカウンター"が上映された。

初期には制作コストが高かったために、コンピュータ・グラフィックス風の斬新なイメージを求めて実写合成などを行った「ニセCG」というものも存在した。たとえば、ジョン・カーペンター監督による『ニューヨーク1997』(1981年)でグライダーが夜間飛行をするシーンのモニタにうつる映像は3DCG風ではあるが、実はリスフィルムによる撮影と光学合成を駆使した実写合成である。この手法はテレビコマーシャルなどでも多用された。黎明期ならではのできごとである。

映画におけるコンピュータグラフィックスは1990年代前半に飛躍的な進歩を遂げた。まず、1991年発表の『ターミネーター2』におけるVFXで注目を集める。続いて1993年の『ジュラシック・パーク』では、コンピュータグラフィックスが従来のストップモーション・アニメーションに全面的に取って代わった。そして、1995年の『トイ・ストーリー』に至っては、全編がコンピュータグラフィックスで制作された。2000年代に入ると、多かれ少なかれほとんどの映画で使われるようになる。現在では、時間とお金さえかければ作れないシーンはないとまで言われている。

かつてはSGIなどの高性能ワークステーションや専用のレンダリングサーバ、時としてスーパーコンピュータなどを用いてレンダリング処理を行っており、大変コストがかかるものであった。その後パソコンの高性能化に伴い、安価で高性能なパソコンを使って分散レンダリングを行う方法が主流となってきている。例えば「タイタニック」や「ジュラシック・パーク」などではレンダリング専用マシンの他に業務用パソコンを就業時間後にレンダリングに転用することで効率化を図っている。

レンダリングによりあらかじめ一枚一枚の画像を作り、それらを繋げて映像化したものをプリレンダリング映像という。現在の映画はすべてこの方法によるものであるが、ゲーム機ではリアルタイムのレンダリングによる映像の提供も進んでいる。

一枚ずつセルに絵具(アニメカラー)で彩色する工程を踏んでいたアニメーション制作にもコンピュータ彩色(閉じたエリアに色を流し込む)を導入することで効率化が図られているが、日本では1983年のNHKアニメーション「子鹿物語」が最初とされる。

特殊効果(VFX)にCGを使用することは一般的に行われており、以前は主にCGは特撮、SF映画で使用されていたが、機材の発達により、現在では一般の映画でも多用されており、一見しただけではCGであることを意識させない作品も多い。

デザインとCG

日本でパソコンCGが一般化する契機となったのは、1985年に発売されたNECのPC-9801VM(PC-9800シリーズ)あたりからで、640×400画素ながら4,096色中の16色をインデックスカラーで表示できるというスペックで、特にコンピュータゲームの表現力の向上に貢献した。

日本国内のパソコンはまだグラフィックデザインの分野で実用するには貧弱なものであったが、1987年に最初のカラー仕様のMacintosh II(640×480画素、ソフトウェアによるインデックスカラーでの256色同時表示)が登場してからは、次第にグラフィックデザインの分野でMacintoshが浸透していった。本格的な普及はその数年後、カラーイメージスキャナやカラープリンタなどの周辺機器が充実し始めた頃からである。Macintoshは早い時期からWYSIWYGの考え方を導入していた点も、グラフィックデザインにCGを導入するには重要な点であった。

1980年代は様々な企業がデザインへの応用を目的としたCGシステムを発表している。服飾メーカーのJUN4D-BOX(512×512画素、16,777,216色中256色同時表示)を開発、今ではパソコン周辺機器メーカーとして知られるアイ・オー・データ機器も、ほぼ同様なスペックの西陣織デザインシステムを開発した。また日本ビクターではCGアニメーション専用システムを発売、ヤマハYISシリーズがデザイナーから注目を浴びた。


関連用語

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参考資料

脚注

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