キンギョ

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キンギョ金魚、学名: Carassius auratus auratus)は、フナ突然変異であるヒブナを観賞用に飼育、交配を重ねていった結果生まれた観賞魚

目次

概要

原産地は中国。中国の(チイ)の突然変異種である緋鮒ヒブナ)を改良したものである。近年、DNA分析の結果ギベリオブナが直接の先祖にあたる事が判明した<ref>Template:PDFlink</ref>。淡水性の魚類で主に藻や水草を食べる。卵生で水中の植物に産卵する。通常30cm程度まで成長する(記録は59cm、体重3kg)Template:要出典。寿命は10年~15年(記録は43年)。学名のauratusラテン語で「金色の」という意味。

はじめに学名をつけたスウェーデンの生物学者カール・フォン・リンネは、キンギョをフナではなくコイの仲間とみなし、Cyprinus auratusと命名している。 <ref>Dictionnaire des sciences naturelles: dans lequel on traite méthodiquement 著者: Frédéric Cuvier</ref>

産地は日本の各地にあるが、愛知県弥富市奈良県大和郡山市江戸川下流域がキンギョの三大養殖地として知られており、他にも山形県熊本県玉名郡長洲町などが有名である。また近年では江戸川下流域から埼玉県北部及び茨城県南部へ生産拠点を移す業者が増えている。各地に美しい魚体の保存・鑑賞を目的とした、愛好会・保存会が多数存在する。

歴史

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中国

金魚は長江下流域の浙江省近辺が発祥の地とされている。魚類の飼育としては最も歴史があり、中国では南北朝時代には既に飼育されていたが、当時はまだ一般的ではなかった。養殖が盛んに行われるようになったのは代に入ってからであり、代には品種も増えた。中国の金魚は長らく皇帝皇族貴族士大夫らによって飼育・愛玩されてきたものであった。このため景徳鎮陶磁器などとともに文化大革命においては「旧文化」として非難・攻撃・破壊の対象となり、生産・流通・飼育とも壊滅状態に陥った。生産者や関係者、更にその家族まで帝国主義者として吊るし上げられ、浙江省の養魚場も破壊された。金魚も大量に殺され、中でも貴重な系統の親魚が多く失われたことから金魚生産は回復不能なほどの大打撃を受け、その歴史は断絶。生産手段や技術もほとんど失われたため、金魚生産で生計を立てていた人々が多かった地域では文革終結後も経済的に非常に苦しい状態が続いた。1978年8月に日中平和友好条約が調印され民間の日中交流が拡大すると、日本の金魚生産者が浙江省などに出向いて親魚の提供や技術移転を行い復興に協力し、間もなく日本のような大量生産も始まった。庶民に流通するようになったのは改革開放政策実施後のことである。現在は中国伝統の特産物の一つとされるのみならず日本や欧米への輸出品として、生産者は政府の支援を受けるに至っている。 中国において「金魚(きんぎょ)」の発音は、「金余(きんよ)」と現地の言葉の発音が非常に似ているため、縁起のいいものとされ、現在でも広く愛玩される背景の一つとなっている。おるほど儲かるようにという願いをこめて店の軒先に金魚、またはその置物を置くところもわずかではあるが存在する。

日本

日本では鎌倉時代にはその存在が知られていたが、金魚そのものは室町時代中国から伝来した。ただ当時はまだ飼育方法や養殖技術等が伝わっておらず、定着するには至らなかった。江戸時代に大々的に養殖が始まったが、江戸前期はまだまだ贅沢品であった。江戸前期の豪商淀屋辰五郎は、天井にとりつけたガラス製の大きな水槽の中に金魚を泳がせ、下から眺めることにより暑気払いをしたと伝えられている。金魚売り金魚すくいをはじめ、江戸中期にはメダカとともに庶民の愛玩物として広まった。1748年に出版された『金魚養玩草(きんぎょそだてぐさ)』が飼育熱を生んだといわれている。ただ当時は今のような飼育設備もなかったために、池を持っているような武士・豪農・豪商でもなければ金魚を長く生かし続けることは不可能であった。庶民は金魚玉と呼ばれるガラス製の球体の入れ物に金魚を入れ軒下に吊るして愉しんだり、たらいや陶器・火鉢などに水を張って飼育したようである。化政文化期には現在の三大養殖地で大量生産・流通体制が確立し、金魚の価格が下がったことから本格的な金魚飼育が庶民に普及。品評会が催されるようになったほか、水槽水草が販売され始めるなど用具の充実も見られた。当時の浮世絵や日本画の題材としても広く取り上げられている。幕末には金魚飼育ブームが起こり、開国後日本にやってきた外国人の手記には、庶民の長屋の軒先に置かれた水槽で金魚が飼育されているといった話や金魚の絵などが多く見られる(エメェ・アンベール『絵で見る幕末日本』(講談社学術文庫)ほか)。明治維新後、ヨーロッパの「愛玩動物(ペット)」の概念が持ち込まれ、とともに家庭において愛玩用に飼育される典型的な動物の一つとなった。学校の池などでの飼育も始まり、また明治時代から大正時代にかけて庶民の生活が次第に豊かになると、キンギョの需要も多様化し、中国からの移入や新品種の作出なども盛んになった。一般に流通する品種も増え、第二次世界大戦後理科の教材として取り上げられ更に普及した。現在も縁日や夜店の金魚すくいなどを通じて日本人には馴染み深い。

アジア

中国の他台湾香港マカオ韓国ベトナムなどのアジア各国・地域では日本と同様に金魚の生産・飼育の歴史がある。アジア各国における金魚の飼育は台湾香港マカオでは日本・中国同様に一般的である。特に香港では住宅事情などから日本などに比べの飼育に困難が伴うため、ペットとしての観賞魚飼育が古くから盛んである。金魚の生産量・輸出量も多く、郊外の農村部には養魚場も点在する。また日本や東南アジアから多様な品種が輸入され流通しており、人口規模に比して観賞魚市場は大きいと言われる。香港の繁華街旺角の通菜街と称する通りに「水族店」と呼ばれるアクアショップが100軒以上集まっている一角があり、「金魚街」と呼ばれている。香港の「水族店」では現在も主力商品として金魚が多く流通しており、金魚があらかじめビニール袋に梱包され店先に大量にぶら下げられている光景を見ることが出来る。一方もともと小動物を愛玩する習慣があまりない韓国では、インテリアとして熱帯魚水槽を設置することは行われているものの、観賞魚飼育自体は人気がなく、金魚の流通も小規模である。タイインドネシアなど東南アジア諸国では経済成長とともに観賞魚飼育も広まりつつあり、香港と同様の売り方をするアクアショップもある。また東南アジアでは主に日本向けの輸出品として熱帯魚とともに金魚が生産されており、熱帯地域特有の気候を生かし日本や中国では見られない新品種の作出も行われている。特異な体制下にある北朝鮮においても、平壌の特権階級家庭の間で金魚の飼育が行われているという(姜哲煥『平壌の水槽―北朝鮮地獄の強制収容所』ポプラ社)。

欧米

金魚は18世紀に中国からヨーロッパにわたり、ペットとして飼育されるようになった。またアメリカには幕末の日本から移入された。熱帯魚には金魚のような赤白がはっきりした色を持つものが少なく、最近は goldfish という名でペットとして、また投資の対象として人気が出ている(同様の理由で錦鯉も人気がある)。また金魚・錦鯉は屋外飼育が可能なためガーデニンググッズとしても注目されている。ヨーロッパやアメリカで作り出された品種も数種存在する。なお、kingyo と表記するべきだ、との声もある。

宇宙へ

1994年7月8日には、宇宙酔いなどの研究のため、弥富町(当時)産の6匹のキンギョが向井千秋宇宙飛行士らとともにスペースシャトルコロンビア」号に搭乗した。

身体の特徴

大きく分けて横向きから観賞することを前提に改良されたものと、上向きから観賞するために作られたものがある。一般的に上向きから観賞するものは高価なものになる傾向がある。

体色

体色は白、オレンジ(金色)、赤、黒、茶などさまざまであるが、孵化してからしばらくの間はフナと同じく黒色をしており、ここから徐々に赤い色などに変化していく(これを褪色現象という)。色は成長とともに変化することもあり、クロデメキンなど黒い色をしたキンギョでは数年経過してから褪色が始まり、金色になってしまうこともある。キンギョの体色には、以下のような呼び名がついていることがある。

猩々
赤のみ
素赤
体は赤く、各ヒレの先端が白い。
更紗
赤と白による模様。そのうち赤の比率の多いものを赤更紗、白の比率の多いものを白更紗と呼ぶこともある。
キャリコ
赤、黒、白などによる複雑なまだら模様。
丹頂
頭頂部のみ赤で、他は全て白のもの。
背赤
背中のみが赤で、他は全て白のもの。
両奴
頭部が白く、両方のエラ蓋が赤いもの
六鱗
口、エラぶた、ヒレのみが赤で、他は全て白のもの。

尾の形

キンギョの特徴の一つは、その独特な尾の形である。フナ尾、吹き流し尾、三つ尾、四つ尾、そり尾、さくら尾、クジャク尾などといった種類がある。特に、三つ尾、四つ尾など、尾ひれの背面側が癒合して腹面に向けて左右に分かれた形は、他の観賞魚の変異にも似たものが見あたらない。

代表的な品種

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キンギョの病気

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養殖方法

[[ファイル:Goldfish in pool.JPG|thumb|中華人民共和国で養殖されるキンギョ]] キンギョの増やし方は比較的容易である。また、親の捕食を防ぐため水槽は別途用意する必要がある。

産卵

産卵期が春先であるため、雄は3歳前後、雌は4歳前後を水温19度前後の水槽に入れる。 水槽にはシュロなどの魚のための産卵床(さんらんしょう)となりそうな物を入れる。意外ではあるが、亀の子たわしでも代用できる。大量に産卵させたい場合は、シュロの皮を針金を用いて直径8cm長さ30cm程度のブラシ状にすると良い。尚、シュロの皮が手に入りにくい場合は、ヤシの実の内皮(たわしの材料)でも良い。また、ホテイアオイの根も使える。卵は1mm前後である。産卵後は産卵された物を素早く別の水槽(水温は同じ)に移す。この時、酸欠による卵の死を防ぐためにエアレーションを微量だけ行い水槽の水が対流するようにするとよい。大量のエアレーションを行うと、気泡による物理的ダメージで稚魚の奇形の発生率を高めてしまう可能性がある。

なお、卵が生存しているか否かは、卵の色で判別できる。生存している物は無色透明だが、死した卵は真っ白になる。

その他

キンギョを題材にした作品

楽曲

小説・文学

漫画・アニメ

置物・キャラクターグッズ等

  • ちょきんぎょ」シリーズ(JAバンクのマスコットキャラクター)
  • 「金魚ねぷた」青森県特産の郷土玩具。

金魚の放流と生態系の破壊問題

Template:独自研究 前述と重複するが、元々金魚は観賞魚として人間が人工的に作り出した動物で、天然には存在しない。フナの突然変異によって発生した金魚は突然変異品種の固定や交配が繰り返され、もはや原種のフナとは似ても似つかぬ形状になっている。リュウキンの丸みを帯びた体型、尖った頭、背面側が癒合して腹面に向けて左右に分かれた尾鰭はその典型と言うべき特徴で、本来なら明らかに奇形魚としか言いようが無い。このため、人間の手が加えられていればいるほど自然への適応能力は非常に低いが、逆にフナに近い品種の場合は、丈夫で飼いやすい品種が多いため、自然への適応能力も自ずと高い物が多くなっている。このフナに近いワキンなどの品種が、近年、自然環境に悪影響を及ぼしているTemplate:要出典

近年環境問題が重視されるようになって河川環境保護等に力が注がれている。そうした活動のうちに自然の河川に魚を放流する事業があるが、中には地元の固有種とは関係のない、本来自然界に存在すべきでない金魚などの改良品種までもが放流される事例が多くなっている。金魚の自然界への放流によって地元の固有種との交雑が起こり、何万年もかけて築かれてきた固有種の絶滅が懸念されている(→遺伝子汚染)。中には業者が選別によって品評的な価値のほとんど無い金魚をそのまま自然の河川に放流してしまうケースも存在する。因みにメダカ錦鯉に関しても、金魚と同様の事態が発生している。

この放流問題は外来魚問題の影であまり重視されていない地域も多いが、遺伝子汚染の問題から対策に乗り出した地域も出ている。特に、ヨーロッパや北米では、中国産や日本産の金魚を外来魚として駆除を始めた地方も出ている。また、こうした放流を行う者はいわゆる「善行」を為しているとの認識を持つ場合が多いことが、防止の働きかけをより難しいものとしている。Template:要出典

関連項目

Template:Commons Template:Wikispecies

脚注

<references />

外部リンク

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